2024年3月30日土曜日

複合災害への懸念高まる中…規制委 “屋内退避の運用”を検討チームで議論へ

 原子力規制委は27日の会合で屋内退避の運用に関する検討チームの設置を決定しました。屋内退避について定めた原子力災害指針の変更は考えずに、屋内退避の対象範囲・実施期間、解除を判断するタイミングなどについて議論を行うということで、山中委員長は「複合災害」は運用面の条件の一つに考えているということです。

 要するに「屋内退避」を大前提にするということですが、能登半島地震で30キロ圏内の住宅の大半が屋内に留まれないほど損壊した事実に照らせばとても現実的とはいえません。
 そもそも原発が過酷事故を起こすのは複合災害時においてなのに、それをわざわざ多くの条件の中の一つに矮小化するのは不自然です。「津波は考慮しない」も論外です。
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複合災害への懸念高まる中…原子力規制委 “屋内退避の運用”を検討チームで議論へ【新潟】
                        新潟ニュースNST 2024/3/28
原子力規制委員会は3月27日の会合で屋内退避の運用に関する検討チームの設置を決定しました。
検討チームでは、屋内退避の対象範囲・実施期間、そして解除を判断するタイミングなどについて議論が行われます
能登半島地震をきっかけに県内でも複合災害への懸念が高まっていますが、原子力規制委員会の山中伸介委員長は「屋内退避について定めた原子力災害指針の変更は考えていない」としたうえで運用面での条件として複合災害を検討していく考えを示しました。

原子力規制委員会 山中伸介 委員長】
「屋内退避の運用についての検討では、検討チームの中で色んな条件に基づいて検討を行っていただくということで、色んな状況を考えていただくので、複合災害もその一つだろうと考えている」
検討チームは4月中に1回目の会合を行い、来年度中に屋内退避のあり方について取りまとめる方針です。

柏崎刈羽原発 再稼働へ地元同意が焦点に 東電所長、理解求める

 東京電力は28日、柏崎刈羽原発7号機について、早ければ4月15日にも原子炉に核燃料を装荷する計画を原子力規制委員会に申請しました。
 稲垣武之所長は「燃料装荷自体は、施設の健全性確認を進めるステップの一つだ。再稼働に向けて地元同意が必要なこととは矛盾しない」と述べ規制委の承認が得られれば、燃料集合体872体を原子炉内に装着するということです。
 原発の過酷事故時に安全に避難できる準備が完成していなければ再稼働はできないのに随分と前のめりな話です。
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〈柏崎刈羽原発〉
再稼働への動き加速 早ければ4月15日にも燃料装荷「一つ一つ確実に」
                       NST新潟総合テレビ 2024/3/28
東京電力の再稼働に向けた動きが加速しています。3月28日、東京電力は柏崎刈羽原発の再稼働に必要な検査の一環として核燃料を入れる作業の開始を原子力規制委員会に申請。早ければ4月15日にも作業が始まる見込みです。
柏崎刈羽原発 稲垣武之 所長】
「本日7号機の使用前確認変更申請を原子力規制委員会に申請しました」
東京電力が原子力規制委員会に申請したのは、再稼働に必要な検査の一環で原子炉に核燃料を入れる作業を開始すること。
テロ対策の不備が相次いで発覚し、核燃料の移動を禁じられていた東京電力ですが…去年12月にこの命令が解除されたことで再稼働に向けた動きを加速させています。
原子力規制委員会の承認が得られれば、4月15日にも核燃料を入れる作業を開始する方針の東京電力。
燃料を入れた後はプラントの健全性について確認を進める予定で、緊急時の即応体制を強化するため、宿直体制は8人から51人に増員するとしています。
柏崎刈羽原発 稲垣武之 所長】
「燃料装荷や健全性確認を進める中で気づきがあれば立ち止まり、一つ一つ確実に対応していく。また、これらの進捗状況は適宜、地域の皆様にもお伝えしていく」
今回の作業についての住民への説明は準備が整い次第行うとしていますが、この先に控える原子炉を起動させる試験の前には住民の理解を求める考えです。
柏崎刈羽原発 稲垣武之 所長】
「検査は検査なので、我々の機能を確認する。また、健全性を確認する検査なので、その一つ一つにご理解をということではないと思っている。私が申し上げているのは“制御棒を引き抜く”というところにあたっては地元のご理解が大前提ということ」
さらに再稼働への地元の同意を得るための動きも進められています。
【柏崎市 桜井雅浩 市長】
「そういったもの(使用済み核燃料を)再稼働までにおおむね80%以内にしてもらいたいということが(再稼働の)前提条件になる」
資源エネルギー庁の幹部が再稼働への理解を求め訪れた際、東京電力に使用済み核燃料の割合を減らすよう求めていると説明していた柏崎市の桜井雅浩市長。
この使用済み核燃料について、東京電力は7月から9月に青森県むつ市の中間貯蔵施設に搬入する計画も明らかにしました。
青森県やむつ市には中間貯蔵施設を運営するリサイクル燃料貯蔵が27日に報告していて、まずは搬出が可能な4号機の使用済み核燃料から運び出す考えです。
柏崎刈羽原発 稲垣武之 所長】
「その(搬入)の間で原子力安全に係るような事案を起こさないことが非常に重要。リサイクル燃料貯蔵とも協力して、周辺の方々に一切ご迷惑をおかけしないということを協力してやっていく」
検査、そして使用済み核燃料の搬出など東京電力側の再稼働に向けた準備は着々と進んでいます。


来月15日にも核燃料搬入 柏崎原発、規制委に申請 東電
                            時事通信 2024/3/28
 東京電力は28日、停止中の柏崎刈羽原発7号機(新潟県)について、早ければ4月15日にも原子炉に核燃料を搬入する計画を原子力規制委員会に申請した。
 再稼働には地元自治体の同意も必要となるため、具体的な時期は見通せないままだ。
 規制委の承認が得られれば、敷地内のプールで保管していた872体を原子炉内に搬入する。東電によると、同原発の稲垣武之所長は記者会見で「燃料装荷(搬入)自体は、施設の健全性確認を進めるステップの一つだ。再稼働に向けて地元同意が必要なこととは矛盾しない」と述べた。
 柏崎刈羽原発は6、7号機が2017年、再稼働に必要な規制委の審査に合格したが、18年以降にテロ対策関連の不祥事が相次ぎ発覚し、規制委から事実上の運転禁止命令を受けた。規制委は昨年12月、追加検査で改善が確認されたと判断し、命令を解除した。

30- 柏崎刈羽原発再稼働 「認められない」市民グループが村長に申し入れ

 「原発を再稼働させない柏崎刈羽の会」のメンバーは、刈羽村の品田宏夫村長に申し入れ書を手渡し能登半島地震の例などを挙げて、原災害から村民の命を守るため、実効性のある防災計画が示されない限り、再稼働は認められないと訴えました。本当に安全に避難できるのか真剣に考える必要があります。
 原発が過酷事故を起こす割合が1億分の1などとしたのは原発の安全神話全盛時代の話で、現実はもっと遥かに大きな確率(世界中の原発を対象にすると20年に1回の割合)で過酷事故は起きています。
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刈羽村
双方相容れず 原発再稼働「認められない」市民グループが村長に申し入れ
                        UX新潟テレビ21 2024/3/29
柏崎刈羽原発の再稼働に向けた動きが活発化する中、刈羽村の住民が安全性への不安から再稼働は認められないとする申し入れ書を村に提出しました
原発を再稼働させない柏崎刈羽の会」のメンバーは、刈羽村の品田宏夫村長に申し入れ書を手渡しました。東日本大震災、そして能登半島地震を挙げて、原子力災害から村民の命を守るため、実効性のある防災計画が示されない限り、再稼働は認められないと訴えました。
■市民
「私たちが犠牲になりたくないと言っている人たちが多い。」
■品田村長
「可能性の話をしだすと、リスクで例えば100万分の1、1億分の1になるかリスクの話をしないと可能性があるだけで動けないことはない。」
■原発を再稼働させない柏崎刈羽の会・高桑千恵さん
「いつももこんな感じで基本のところで分かりあえない。」
市民側は避難の課題などについて質問し、品田村長は「期限までに回答する」と伝えました。

2024年3月27日水曜日

正真正銘のジャーナリスト青木美希さんが語る原発とメディア

 昨秋ジャーナリスト青木美希さん上梓した3冊目の著書『なぜ日本は原発を止(や)められないのか』(文春新書)が2年間も出版出来なかったのは、政府でも電力会社のせいでもなある大手新聞社が妨害したためでした。(因みに青木さん上梓した1冊目『地図から消される街』、2冊目『いないことにされる私たち』でした)
 メディア自体に言論の自由があると思うのは大間違いです。特に電力会社が巨大な広告費を使ってメディアを支配している中では、大手の新聞社が原発を批判する記事を出すのは不可能です。
 それでなくても日本では、肝心の福島県でも「放射線の恐ろしさ」を口にするのはタブーとされているということです。被爆者を傷つけてはならないという配慮もあるのかも知れませんが、いわゆる権力に盾突くべきではないという「村社会性」が大きいのはないでしょうか。
 レイバーネットТⅤ今年の3・11特集は、ジャーナリストの青木美希さんをスタジオに迎え3月13日に放送されました。
 「レイバーネット日本」のブログに詳細な記事が載りましたので紹介します。
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レイバーネットТV報告
正真正銘のジャーナリスト、青木美希さんが語る原発とメディア
                      レイバーネット日本  2024-03-27
 レイバーネットТⅤ今年の3・11特集は、ジャーナリストの青木美希さんをスタジオに迎え、3月13日に放送された。
 福島第一原発事故から13年。「除染した場所でも放射線量は元の十倍。それなのに避難者は住宅提供を打ち切られ、戻るも戻らないも自己責任にされている。こうした現実を報道機関はきちんと伝えたでしょうか」。
 カメラを正面から見据えた青木さんのまなざしの先にあるのは、彼女がよって立つところのメディア界だった。


←青木美希さん


 昨秋上梓された著書『なぜ日本は原発を止められないのか』(文春新書)が二年間も出版出来なかったという話から、志賀原発の最新取材報告に至るまで、青木さんが随所で力を込めたのが、激しい言論統制と闘うジャーナリストとしての覚悟だ。著書の出版を遮ったのは政府でも電力会社でもない、ある大手新聞社だったのだ。
 多くの気概ある記者たちが今、苦しい状況に立たされている。取材しても書かせてもらえず、辞めていく人も多い
 会社の姿勢に反することは言ってはいけないなんて、とりわけ報道機関においてあってはならないことだ。しかし、比較的リベラルだと思われていた新聞社も同様で、毎日新聞の東海林智さん(元新聞労連委員長)は「自分が大事だと思う問題は決して手放さないで書き続けるという、ジャーナリストとして当然のことが難しくなっている」とメッセージを寄せ、もう一人のゲスト、元東京新聞の土田修さんは上司から「東京新聞はジャーナリズムではない」と一笑に付されたことを明かす。ジャーナリストって、あこがれるべき存在じゃなかったのか?
 ここ数年、青木さんは勤務時間外を使って取材発信してきたが、そのプライベートな時間さえ会社は統制してくるという。個人の責任において伝えることも許されないのか。
 それでも彼女は屈しない。福島で、能登で、何が起きているかを正確に伝えるために、あらゆる圧力や攻撃にも耐えて踏ん張っている。
 「伝えなかった責任というものを、報道機関は負うべきだ。その責任が問われないまま、同じことをくり返してはいけない」。青木さんのこの言葉が、原発を止められない理由をもっとも端的に示している。正真正銘のジャーナリストの姿を目の当たりにし、力と勇気が湧いた。連なろうとする人は、きっと出てくるはずだ。(H)

アーカイブ録画(72分)

【詳細報告】 読者の応援の言葉で、どんな圧力・攻撃も跳ね返す!

報告:笠原真弓
 3月11日前後になると、なんとも胸の奥が騒がしい。2011年のあの日以来、いまだに日常を取り戻せない人々が大勢いる。あの日何が起き、今どうなっているかを知りたいのに、彼らの言葉を信じていいのかさえ闇の中。どんなに原発推進側に圧力をかけても疑念は膨らむ。
 それを糺そうとするジャーナリストたちのエネルギーの素は、読者の励ましの言葉という。真のジャーナリストを育てるのは私たちにあるとつくづく思う。

 レイバーネットTV197号<3.11特集:原発とマスコミの大罪>
      ●ゲスト:青木美希(ジャーナリスト)/土田修(元東京新聞)
      ●企画・司会:堀切さとみ
◆新著『なぜ日本は原発を止められないのか?』に込めた思い
 堀切:3.11が近づくと、原発関連の報道が目白押しになる一方「どうせ今だけだろう」と鬱になる被災者もいる。巷では、現在、原発関係の本は売り上げが伸びないと聞くが、一貫して原発問題を追ってきた青木美希さんの3冊目の本『なぜ日本は原発を止められないのか?』は昨年末に出版されて以来、4刷りまで出ている。
 青木:タイトルは「とめられないのか」ではなく「やめられないのか」と読む。これまで反原発について知らなかった人にも読んでもらいたいとタイトルを工夫した。今回は男性からの反響が多くなった。原発の構造は、単純だということが伝わったと思う。
 堀切:確かに1冊目『地図から消される街』、2冊目『いないことにされる私たち』は、被害者目線だが、この本は多角的だ。
 青木:「やめられないのか」にするか「やめないのか」で悩んだが、「やめないのか」にするとやめるべきという人しか読まない。でも「やめられないのか」にすると、原発に疑問を持っている人も手に取ってくれるということだ。やめられないと思っている人に「本当にやめられないんでしょうか?」と問いかけたかった。
◆原発推進側の話を中心にしたわけ
 青木:家族にエネルギーの研究者、電力会社社員がいる環境の中で育ち、「エネルギーをどう賄うか」は学生時代からのテーマ。今回は原発推進する側の話も多数だが、事故後推進から変わった人も取り上げた。
◆大手新聞などでは伝えられないことを書いたと思う
 土田:今年の3.11もきれいになった双葉町の駅舎や、復興が進んでいるようなイメージから始まる報道が多かったが、3月9日の報道特集(金平茂紀/青木美希)が素晴らしかった。また、長周新聞は、きっちり報道している印象を受けた。東京新聞も報道しているが、他は制約がある印象がある。その制約を取っ払って書いたのがこの本だと思った。
 青木:出版しようにも、会社に止められた。でも、読者の声におされ、今回今まで言えなかったこと、伝えたかったことを詰め込んで、何とか出版することができた。
◆「被曝」について書けなくなった現場/避難指示解除でも高線量
 青木最近では、被曝について書くことができなくなっている。ある記者は、被曝を恐れて避難している人のことを書いたのに、その部分を全部カットされてしまった
 避難指示の出た12町村すべてが、今は解除されている。そこを自分で調達した線量計で測っている。昨年12月に1年前に避難指示が解除されたところで、アラームがなった。その一番近くのモニタリングスポットの数字は、0.3μシーベルト/hを越えていた。もともとの放射線量の約10倍の値。そんなところが除染済として避難解除されている。
 そこに住む人に、線量計を持っているか尋ねると「そんなものを持っていたら、ここが異常地域みたいじゃないか」と。住民は現実を直視しないし、出来ないのだ。
◆解除地域にあらたに移住する人たちへの情報不足
 青木今の放射能の状態やその影響が伝えられないままに、戻るも戻らないも「自己責任」になっている。一方、2万世帯の避難先の住宅手当などが打ち切られ、兵糧攻めで戻らざるを得ないのが現実。更に大熊町や双葉町も今後打ち切られる可能性があり、家探しが始まっている。
 突然税金が課せられ、どうやって生活していったらいいのかわからず困っている人たちのことを、13年目の今、メディアはきちんと報じただろうか
◆原発がなくなったら困るのはだれ?
 青木原発の存続を願うのは「ほんの一部の既得権益を持っている人たち」で、岸田さんが聞いているのはそうした人たちの声。私たちの声ではない。
 堀切:あるドキュメンタリーで、避難先から戻った人が「原発を動かしてほしい」という人もいた。仕事がないから…。
 青木:それは聞いたことがない。確かに高齢者の仕事と廃炉作業はあり、それ以外は非正規ばかりで正規の仕事がない。
◆電力会社の本音は「やめたい」?
 土田:この本によると、枝野幸男(当時官房長官)さんへのインタビューで、電力会社は本音ではやめたいのに、思考停止でやめ方が分からないのでは?と言ったとある。
 青木:官僚を取材していると「前例踏襲」なので、とても分かりやすい。100年先、200年先のグランドデザインなどは示せない。自分が定年退職するとき、退職金が出るかどうかしか考えていない。政治家も同様だ
 電力会社は企業なので「原発を止めた方が儲かる」という、あらたな仕組みを作ることが大事なのに、それが出来ないのが日本。変えようとすると、元に戻そうとする強い力が働く。そのため日本は世界から立ち遅れる。そこを枝野さんの言葉はよく表している。
 土田:六ケ所の再処理工場など、その典型と思う。
 青木やめると言ったとたんに、たくさんの店晒し物件が噴き出てくる。核燃サイクル(使い終わった核燃)はどうするのか?これに手をつけたくないから、原発を使い続けている面もある
 土田核燃リサイクルをアメリカとイギリスはやめました。残るはフランスと中国、ロシア、日本。日本以外は核兵器を持っている。
 青木:核燃リサイクルは夢の技術で、採算も取れず、いかに原発を続けるかに端を発したもの。実現の可能性については事実をきちんと伝えていく必要がある。
◆チャット・会場から
 ・東京電力の会見も、記者たちが少なくなってきているようだ。 ・著書に毎年関電副社長が歴代首相7人に1千万円を盆暮れに贈っていたと。それぞれからの生々しい謝辞が記載されていたが、そのソースは?民主党政権の時はどうだったのか?
 青木:引用先を書籍中に記しています。まだネットでみられるものもあります。民主党政権の時は、労組に支えられていますから、連合との結びつき、選挙や普段からの関係の中で、出来ないこともたくさんあったとか。
◆自然エネルギーと民主党
 堀切:本の中で、自然エネルギーにも触れている。ではどれくらい普及しているのか?
 青木:RE100という自然エネルギー100%をめざす国際企業が参加する運動がある。
 日本からは出版時50社(現在は82社)が参加している。ここに入らないと、世界的企業との付き合いができないから。一方で、政府の消極姿勢に、懸念の声も上がっている。
 日本には、出力制御という制度がある。好天予報が出ると大手電力会社から「明日から送電を止めてください」と言ってくる。実質的不買で、実際1回の出力制御で原発3基分が無駄になった。
◆休憩タイム:乱鬼龍とジョニーHのコーナー
  今月の迷句 あれから13年まだ原発に懲りないか  乱鬼龍
        珠洲市民原発阻み民救う        八金
  ジョニーH替え歌コーナー 『原発廃炉ブギ(東京ブギ~武器ウギ)』
                途中からスタジオから踊りも登場

◆東海林智さんから「ジャーナリズムを放棄しない青木さんへ」
  対談予定だった東海林さんからのメッセージが読まれる。
 「青木さんは、自分で大事な問題と思うと決して手放さず、ものにしていく。ジャーナリストとして大事なことなのに、現場ではそうもいかない。その中で書き続けたのがこの新刊で、心からの拍手と連帯を送りたい。
 特定の社に限らずメディアに働く者にとって、今は息苦しい時代。人権や平和の分野で、部下にもめ事を起こしてほしくないと『取材に応えない』という広報戦略を企業がはじめた。
 例えば、広報担当に連絡を取りにくくする/メール返信に時間をかける/自分らの都合いいことばかり報道させるようにしている。
 そんな中で、ジャーナリズムを放棄しないために、同志を増やしていく取り組みが大事だ」
 青木:北海道新聞時代に自主的に記者の勉強会を持ち、東海林さんから「ジャーナリズムの気骨とは何か」を学んだ。
 やりたいこと(報道)を続けていくことのハードルが高くなっている。東海林さんの在籍する毎日新聞はまだ自由に言えると聞いていたが、それでもこういう言葉が出てくるということは重い。他社の記者もだんだん書けなくなってきていて、あきらめてやめていく人が多い。自分も攻撃や圧力を受けて辛いが、皆さんの励ましの言葉などで、自らを支えながらやっているのが現状。この戦前のような空気を換えなければならない。
 会社によっては、社員の個人的な見解や、プライベートな時間での活動をも規制しているところもあると聞く。
◆東京新聞にもあるタブー 記者クラブ制度の制約 
 土田:東京新聞は、記者の一人ひとりが大事にされている。個人の意見を縛ることは、報道機関ではあってはならない。
 そんな東京新聞でも突破できないところもある。例えば天皇に敬語をつける、日本が飛ばせばロケットなのに北朝鮮が飛ばせばミサイル、汚染水という言葉などだ。
 マスメディアの問題として会社が強制するというより、記者クラブ制度などのために、政府に依存した取材をせざるを得なくなるという問題もある。もっと個人が物を言える関係にならなければという。
◆青木:プライベートの時間をも縛る会社
 新聞社の記者としての場面とは別に、私的な時間をも縛ろうとしている。その力が強まっていることが問題。みんなに伝えたいことも伝えられなくなり、圧倒的に情報量が減るということ。(自著を示し)この本を読んで初めて分かりましたと言う人が多いということは、十分に伝えられていない証拠でもあるので、今後も伝えていきたいと思う。
◆書けないことも
 青木被ばくの問題が書けないために、起きていることを正確に伝えられないジレンマで記者が辞めていく
 厚生労働省の知人によると、健康影響については実証できるデーターがそろう必要があり、裁判で国が負けない限り、時間がかかるという。
 報道機関は、「伝えなかった責任」を問われるべきだが、誰も責任を問われずに来ているので、同じことの繰り返しになるのでは?
◆志賀原発の現状~片付けてから記者に公開
 青木:北陸電力は地震後の3月7日に初めて報道陣に志賀原発を公開した。正式には定期検査のため止まっていたということだが、実際は原発事故から13年間止まっていた。2号基については、最近再稼働を申請していた。
1、「物上げ場」の沈下 2、防潮壁の傾き 3、1号機の直近の地割れ
 などがあったが見せたくないものは片付け、問題個所に近づくことも出来ず、当初の油漏れ箇所も分からなくなっていた
 地割れの近くには案内せず、遠くから指さすだけ写真撮影も禁止。それでも原子炉建屋の真裏だったことが判明したが。参加者から「取材要請は何のためだったのか?」という質問が出て、「原子炉建屋が傾いているという声を聴いたので、大丈夫だということを示すため」と。実際のその後の報道機関では「安全だ」としたところもあった。そのことからも、普段得られている報道は、事実とどれくらい近く、あるいは遠いのかということだ。
◆嘘まみれの原発トラブル報道~現場に行けないから起きること
 土田:志賀原発は止まっていたというが、1999年に臨界事故を起こし、それを7年間隠していた
 青木:普通の事故なら、報道陣が現場にいけるが、原発事故は行かれない。発表者のいうことで報道するしかない。今回の発表も、くるくる変わった。いまだに北陸電力が記者会見を公開していないのも問題。
◆会場から:担当替えの弊害/読者の応援! 
 青木短期で担当が変わるのは問題。取材される被害者から「また一から話すのは苦痛だ」と言われる。新しい担当者には、本などを読んで、勉強をしてから行くようにとアドバイスしている。
 福島原発を知らないと、志賀原発のことは分からない。長く取材して問題を把握して権力者と向き合うことは大事。特に放射能規制委員会の委員長会見は公開されているので、事前に見ておくとよくわかる。
 土田:調査報道班のキャップ時代の経験では、裏取りが大事。自分たちで調べて証拠固めをしないと報道出来ない。記者クラブ制度の問題もある。記者クラブを通さず報道しようとすると、社の方が脅える。そこをしっかり信用されるようにしなければならない。それをしようとしたら社内で「新聞記者は、ジャーナリストではない」と言われた。やはり、社としてはもめ事は避けたい。
 青木:北海道新聞の時の北海道警の裏金問題を取り上げた時、夜道には気を付けろなどの電話がかかってきた。その中でもやってこられたのは、読者からの応援の電話がすごかったから。応援電話の動機は、北海道新聞が負けるだろう…ということだった。

 報道機関は何のために闘うのか。組織の既得権益を守るためではない。皆さんのためだ。その本来の姿に立ち返って頑張りたい。
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◎次回198号は4/10 東海林智さんをゲストに、非正規春闘特集の予定です。

スクリーニング効果を検証へ〜福島県の甲状腺がんめぐり

 福島県の甲状腺評価部会は、これまで一貫して同県児童において他所より甲状腺がんが多く発生していることについて、「甲状腺がんと放射線被ばくの間の関連は認められない」と結論づけ、スクリーニング効果に拠るものと片付けてきました。しかしその客観的な証明はされていないことから、同部会は今後スクリーニング効果の影響について解析することを決めました。
 鈴木部会長は東京医科大学の筒井秀光教授「結論として、被ばく線量の増加に応じて、発見率が上昇するといった関係はないということか」との質問に対して、「小さな集団に区切っていくと、線量効果関係があっちに向いたり、こっちに向いたり、安定した結果ではなくなるから」と答えましたが、「小さな集団に区切れ」ばそうしたことが起きるは当然であって、相関関係は大きな集団で解析すべきものでしょう。
 いずれにしても今回実証的に確認することになったのは大きな前進です。
    注 文中の「コホート」は「同一の性質をもつ集団」のこと
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スクリーニング効果を検証へ〜福島県の甲状腺がんめぐり
              アワ― プラネット(Our Planet)TV 2024/03/25
福島県で実施されている甲状腺検査の結果を評価している甲状腺評価部会の第22回会合が福島市内で開かれ、今後、スクリーニング効果の影響について解析することが決まった

4回目の委員改選を迎えた甲状腺評価部会。保内郷メディカルクリニック医師の鈴木元氏が3期連続で部会長に就任した。前回の第21回目の会合で、先行検査から4回目検査までの解析を終え、「甲状腺がんと放射線被ばくの間の関連は認められない」と結論づけたが、検査5回目以降についても、引き続き基本調査をもとに算出した個人線量を用いたコホート内症例対照研究を継続することなどを決めた。

「どのような結果が出るかは2年後のお楽しみ」鈴木部会長
東京医科大学の筒井秀光教授がコホート内症例対照研究について、「結論として、被ばく線量の増加に応じて、発見率が上昇するといった関係はないと(いうことか)」との質問したのに対し、鈴木部会長は「小さな集団に区切っていくと、線量効果関係があっちに向いたり、こっちに向いたり、安定した結果ではなくなります。一番原因としてあるのが、先行調査の時とそれ以降で、細胞診の率が違っている。」「ただこれから症例が増え、がん登録症例も増えていくと、先行調査での細胞診の率などは中和され、より安定した解析にはなると期待している。」とした上で、「どういう結果がでるかは2年後のお楽しみ」と述べた。

今回、新たに提案されたのは、スクリーニング効果に関する検証だ。5歳ごとのがんの発見率と全国がん罹患統計を比較して、スクリーニング効果の影響を見ることが提案され、今後、取り組んでいくことになった。また手術時の腫瘍径や局所転移の有無、年齢、性別等をもとに分析し、「再発なし生存曲線」などを示すことなども提案された。またUNSCEAR 2020/21年報告書で公表された市町村別推計甲状腺吸収線量を用いた横断調査は行わないことや、がん登録と年齢を統一させる方針が確認された。

評価部会に非公式な事前WEB会議
また鈴木部会長から提案された議題として、公開されている評価部会とは別に、その事前準備として、非公式のWEB会議を開催することが提案され、了承された。開催の理由について、県の県民健康調査課は、医大の解析方法に間違いがないように事前に話をし、打ち合わせをする場」だとしている。「県民健康調査」検討委員会をめぐっては、秘密裏に非公開の事前会議を開催し、事前に意見の擦り合わせをしていたことが報道され、大きな問題となった

【浜岡原発】再稼働への審査で「敷地内の断層」を規制委が視察

 原子力規制委25日から御前崎市の浜岡原発で現地調査を行い、26日は、審査で大きな課題となっている「敷地内の断層」に関する調査現場を視察しました
 ボーリングで採取した地層の資料から最大1m厚さの津波堆積物が確認され、石渡明委員「津波の影響が敷地内で見られるのは珍しい科学的判断をつけたい」と述べました
 現地調査は26日で終了しましたが同委員は「火山に関しての審査はまだほとんど手が付けられていない。今後課題になる」との認識を示しました。
 世界一危険とされた浜岡原発もスイスイと審査が通ってしまうのか注目されます。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【浜岡原発】再稼働へ審査行う原子力規制委員会…「敷地内の断層」に関する調査現場視察
                       静岡第一テレビ 2024/3/26
再稼働に向けた審査を行う原子力規制委員会は、25日から静岡・御前崎市の浜岡原発で現地調査を行っています。26日は、審査で大きな課題となっている「敷地内の断層」に関する調査現場を視察しました

中部電力は、浜岡原発の3号機から5号機の再稼働を目指していますが、このうち3号機と4号機について原子力規制委員会による審査が行われています。25日から原子力規制委員会の石渡 明委員らが浜岡原発を訪れ、想定される津波の高さ「基準津波」に関する現地調査を行っています。
中部電力は、地震と海底の地すべりが連続して発生した場合、想定される津波の高さを最大25.2メートルに引き上げる予定で、原子力規制委員会のメンバーは、原発敷地内と周辺の地層の堆積物を確認しました。
また、審査で大きな課題となっている「敷地内の断層」について中部電力が進める調査現場を視察しました。中部電力は、現在、進めている調査などから、原発の周辺に「活断層はない」ことを今後、審査の場で説明する方針です。
(原子力規制委員会  石渡 明 委員)
津波堆積物の調査を、実際に物を見て行ったのは初めて。十分な調査ができたかというと、基本的なデータが不足している部分もあって、今後、データを含めて審査会合で、もう一度きちんと説明していただいて、その上で必要あれば、もう一度来るかもしれません」
一方、中部電力の担当者は「再稼働に向けて一つひとつ課題をクリアしていきたい」と話しました。


火山審査「今後の課題」 浜岡原発の現地調査終了 規制委
                            時事通信 2024/3/26
 原子力規制委員会は26日、再稼働に向けて審査中の中部電力浜岡原発3、4号機(静岡県御前崎市)の現地調査を終えた。
 石渡明委員は「火山に関して(の審査)はまだほとんど手が付けられていない。今後課題になる」との認識を示した。
 規制委は前日に続き、過去に到達した津波の高さを調べるため、敷地内外の津波堆積物を調査。砂や石などを掘り起こした地点や、採取された堆積物がある地層を確認したほか、原発敷地外を走る断層を視察した。
 中部電は約12万~13万年前以降、この断層が活動していないことを説明していくという。 


原子力規制委員会の浜岡原発の現地調査が始まる 3,4号機の再稼働申請に対する審査
                         静岡朝日テレビ 2024/3/25
 再稼働に向けた新たな動きです。原子力規制委員会による中部電力浜岡原子力発電所の現地調査が25日から始まりました。
 7年ぶりに現地調査に入ったのは、原子力規制委員会の石渡明委員のほか原子力規制庁のメンバーです。
 中部電力は浜岡原発3、4号機について2014年から再稼働申請中で、新規制基準に基づいた厳しい審査が続いています。
 一方、中部電力は3月想定される津波の高さを、従来よりも2.5m高い25.2mに見直していて、今後原子力規制庁に正式に認められれば、防波壁のさらなるかさ上げなどの対策を検討することになります。
片山真人リポアナウンサー
「木の箱に入っているのは原発周辺の地層の土です。貝などの堆積物を調べれば、過去どれくらいの高さの津波がきたかわかるということです」
 原子力規制委員会が地層の津波堆積物の調査をするのは今回が初めてで、ボーリングで採取した39地点の地層の状態を中部電力の説明を受けながら、入念に確認していました。
原子力規制委員会・石渡明委員
厚い所で1メートルくらいある。もしそれが本当に津波堆積物だとしたらこれは大変な事になる。そういう問題意識を持って我々は来ている」 
 原子力規制委員会の現地調査は26日も行われます。


規制委、津波影響「科学的判断」 中電浜岡原発の現地調査で
                            共同通信 2024/3/25
 原子力規制委員会は25日、中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)を現地調査し、過去の津波による堆積物を調べた。3、4号機再稼働の前提となる新規制基準審査の一環で、想定する最大の津波の高さ(基準津波)の策定につなげる。担当の石渡明委員は調査後の取材に「津波の影響が敷地内で見られるのは珍しい。(影響の大きさについて)科学的判断をつけたい」と述べた。
 中部電は、南海トラフ巨大地震や海域の活断層による地震、火山など、複数の津波発生要因を組み合わせて考慮した結果、基準津波は25.2メートルと主張する方針。規制委は主張の妥当性を審査で議論する。既設の防潮堤は22メートル。