2018年1月31日水曜日

東京電力 福島原発 02年に津波試算拒否 保安院の指摘に

 これは30日付下記記事の詳報版です。

 福島原発事故9年前の2002、福島県沖での大津波を伴う大地震発生を想定した政府の「長期評価」が公表された直後、東電は、原子力安全・保安院(当時)から「福島県沖で津波地震が起きた場合のシミュレーション(コンピュータによる模擬実験計算)を行うべきだ」と指摘されたにもかかわらず、「長期評価には根拠が伴っていない」「時間も費用もかかる」などと40分くらい抵抗しため、保安院は最終的に「長期評価は具体的な理学的根拠が伴うものとは確認できない」として津波シミュレーションを行わないとの東電の方針を了承したとが分かりました

 保安院はその後2006年にも想定以上の津波対応を求めましたが東電は具体的な対応をしませんでした。東電は2008年になって初めてシミュレーションを実施し、最大157メートルの津波が襲う可能性があると想定しましたが、それに見合った対応は見送りました。

 東電が保安院に対して何故こんなに強く出られるのか不思議です。しかしこの傲慢な態度は、被災者・避難者たちへの補償交渉でも不断に見られていることなので、それが東電の常態なのかも知れません。

お知らせ
都合により2月1日、2日は記事の更新ができませんのでご了承ください。
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東京電力 福島原発 02年に津波試算拒否 保安院の指摘に
毎日新聞 2018年1月30日
 東京電力福島第1原発事故9年前の2002年、福島県沖での大津波を伴う大地震発生を想定した政府の「長期評価」が公表された直後、東電が経済産業省原子力安全・保安院(当時)から「福島県沖で津波地震が起きた場合のシミュレーションを行うべきだ」と指摘されたにもかかわらず、「(長期評価には)根拠が伴っていない」などとして拒否していたことが分かった。

 当時、保安院原子力発電安全審査課に在籍していた担当者が29日、毎日新聞の取材に「いろいろ働きかけたが納得してもらえなかった」と明かした。公表直後の保安院と東電のやりとりが明らかになるのは初めて。政府の地震調査研究推進本部は02年7月、「三陸沖北部から房総沖で1896年の明治三陸地震と同様の地震が発生する可能性がある」とする長期評価を公表。担当者は翌8月、長期評価が第1原発の安全対策に影響するかどうかを東電に確認するヒアリングを実施した。

 この担当者の証言や、原発避難者が東電と国を相手取った訴訟で国が提出した担当者の陳述書によると、保安院は「福島-茨城沖も津波地震を計算すべきだ。東北電力はかなり南まで検討している」などと指摘。東電側は「時間も費用もかかる」「しっかりした理学的根拠もない」などと難色を示し、「40分くらい抵抗」。保安院は、シミュレーションの見送りを了承した。

 保安院は06年にも想定以上の津波対応を求めたが東電は具体的な対応をせず、08年になって初めてシミュレーションを実施。最大15・7メートルの津波が第1原発を襲う可能性があると想定したが、それに見合った対応は見送られた。担当者は「(事故が起き)耐震の審査に関わった人間として非常に残念だ」と振り返ったが、保安院の対応の妥当性は「軽々には言葉にできない」と述べるにとどめた。

 避難者訴訟の原告代理人は「東電の悪質性が露見した。国にも責任がある」と指摘した。東電の広報担当は「係争中なのでコメントできない」としている。【斎藤文太郎】


福島津波試算 02年見送る 旧保安院、東電の反発で
東京新聞 2018年1月30日
 二〇一一年三月に起きた東京電力福島第一原発事故の約九年前、政府の地震調査委員会が「東北の太平洋岸ではどこでも大津波が起こる危険がある」との長期評価を公表した際、当時の経済産業省原子力安全・保安院が東電に「福島沖で津波地震が起きたときのシミュレーションをするべきだ」と求めたが、東電の反発を受け、見送っていたことが二十九日、分かった。
 原発避難者が国などを相手取った訴訟で千葉地裁に提出された関係者の陳述書で判明した。第一原発に津波が襲来し大事故が起きたが、この段階でシミュレーションをしていれば津波対策に早く着手できた可能性がある。
 陳述書は、旧保安院の原子力発電安全審査課で地震や津波関係の審査班長だった川原修司氏のもので、法務省の担当者に答える形で当時の事情を説明している。

 地震調査委は〇二年七月三十一日に長期評価を公表。川原氏らは同八月、複数回にわたって東電の担当者に事情を尋ね、長期評価を前提に津波のシミュレーションを行うよう要請した。
 東電は、地震学者による一つの論文を基に説明し、シミュレーションを拒んだ。陳述書に添付されていた電の担当者の電子メールの写しには、当時のやりとりが記されており「四十分間くらい抵抗した」と書かれていた

 東電はさらに地震調査委メンバーの佐竹健治氏(現東京大教授)が長期評価の見解に異論を唱えていたことや、将来的に別の方法で第一原発への大津波を考慮するなどと主張。川原氏は「長期評価は具体的な理学的根拠が伴うものとは確認できない」として津波シミュレーションを行わないとの東電の方針を了承した。
 東電は取材に対し「継続中の訴訟に関わる事項なので回答を差し控える」とコメントした。

<福島第一原発の津波想定> 1号機建設当時は高さ海抜約3・1メートルの津波を想定した。国の地震調査委員会が2002年7月に出した大津波の危険を指摘する長期評価に基づき、東電が津波シミュレーションを行ったのは08年春。国の原発耐震指針改定を受けた安全性見直し作業によるものだった。敷地の高さを大きく超える最大15・7メートルの津波の危険性が示された。東電はこの結果を11年3月の事故直前まで当時の経済産業省原子力安全・保安院に報告せず、具体的な対策も取らなかった。東電が大きな津波の想定に本格的に取り組み始めたのは07年11月ごろとされてきたが、02年に保安院から要請を受けていた。

大飯原発の基準地震動の算定法は不十分 地震調査委が疑問視

 3月に再稼働を予定する関西電力大飯原発の安全審査で基準地震動(最大の揺れ)の算定方式をめぐり、策定元の政府の地震調査委員会内で、原子力規制委の認識を否定する見解が示されていたことが分かりました。
 
 地震調査委が定めた基準地震動の計算手法は
(1)地震を起こす活断層の形状をあらかじめ設定して算出する
(2)地表で確認できる活断層の長さから算出する
2があり、両方による算出は義務付けられていませんが、調査委は(2)を標準としていました。(1)による場合は活断層の幅を想定して計算しますが、幅を定める理論的方法はないので恣意的なものになります。そのため長さによって一意的に定まる断層の規模によって計算する仕方を重視したわけです。

 ところが規制委は、その逆に大飯原発の基準地震動を(1)だけの計算法で定めました。
 そもそも島崎氏が辞めたあとは地震に関する専門家が規制委にはいなくなりました。そんな状態で基準地震動をいわば独断的に審査したわけなので、それでは説得力に欠けるのは否めません。

 東京新聞の記事を紹介します。
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大飯の揺れ算定法「不十分」 地震調査委 規制委の認識疑問視
東京新聞 2018年1月30日
 三月に再稼働を予定する関西電力大飯(おおい)原発(福井県)の安全審査で主要な判断基準だった地震時の基準地震動(最大の揺れ)の算定方式をめぐり、策定元の政府の地震調査委員会内で、原子力規制委員会の認識を否定する見解が示されていたことが分かった。大飯原発の地震想定に関しては、専門家から過小評価の可能性が指摘されている。 (中崎裕)

 本紙が情報公開請求で入手した、地震調査委の部会や分科会の議事録で判明した。規制委は二つある計算手法のうち一つだけで再稼働を認めたが、算定方式(レシピ)を定めた調査委は「一つでは不十分」との考えを示していた
 レシピに記載されている計算手法は(1)地震を起こす活断層の形状をあらかじめ設定して算出する(2)地表で確認できる活断層の長さから算出する-の二つ。双方による算出は義務付けられておらず、大飯原発の安全審査で関電は、(1)による想定しかしていなかった。

 しかし、規制委が審査中の二〇一六年九月、地震調査委の強震動評価部会では、(1)の手法について、委員から「知見が不足している」との指摘や「間違いではないが、不確実性がまだ残っている。両方やることには賛成」との意見が出た。より精度を高めた計算手法の確立には「三年ぐらいはかかる」との見方も示されていた。

 二カ月後、レシピの修正案を検討する強震動予測手法検討分科会でも、事務局が(1)の手法に関し「併せて(もう一方の)方法についても検討して比較するなど、結果に不自然なことが生じていないか注意しながら検討していただきたい」とし、事実上、二つの併用が望ましいとの解釈を示した。レシピは分科会後に修正版が公開されたが、こうした見解は明示されなかった。

 規制委は昨年五月、関電の想定を了承、再稼働を認めた。地震調査委の検討内容を規制委が把握していれば、審査に影響した可能性があるが、規制委事務局は取材に「(検討内容について)調査委に問い合わせはしていない」と回答した

 規制委の更田豊志委員長は、二つの手法でも計算するべきだとの指摘に関し「(適用は)難しいところがある」と述べ、関電が採用した計算手法で信頼できるとの見解を示した。

<地震調査委員会> 地震に関し、気象庁や大学などの調査・研究結果を分析し、総合的な評価を行う政府の組織。各地の断層が起こす地震の揺れを予測する手法として算定方式(レシピ)を策定、公表している。委員は大学や研究機関の地震研究者らが務める。阪神大震災を受けて1995年にできた地震調査研究推進本部内に設置され、同本部の事務局は文部科学省にある

31- 核燃サイクルは直ちに中止するしかない

 日米原子力協定自動延長されましたが、肝心のプルトニウムの消費方法は未確定のままです。高速増殖炉の計画が破たんしたからという言い方がありますが、そもそも核燃サイクル自体がプルトニウムを増産するものであって、プルトニウム消費の方策にはなっていませんでした。当初から根本的に誤った方向に走り出していたということです。

 原子力協定の期限切れはその辺を正しく見直すチャンスだったのですが、なし崩しの形で自動延長になりました。しかしこのまま進んでは現状国内外に47トンも保有されているプルトニウムが更に増えるだけで、事態は悪化する一方です。
 核燃サイクルは直ちに中止し、日本が保有しているプルトニウムの処分について、国際的に協議すべきです。

 河北新報と岩手日報が社説でこの問題を取り上げました。
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社説 日米原子力協定延長/サイクル延命策にすぎない
河北新報 2018年1月30日
 日米原子力協定の自動延長が今月決まった。日本の核燃料サイクル政策の生命線となっている協定なのに、ほとんど議論されないまま延長される結果になったのは残念だ。
 取りあえずサイクル政策を続けられることになったものの、破綻を繕って使う見通しのないプルトニウムをため込めば、国際的な批判を受けかねない状況に変わりはない

 国や電力業界が進めるサイクル政策は、原発で発電に利用した後の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し、再び原子炉で燃やそうという内容。そのためには日米協定が不可欠だった。
 ウランなどの核物質は核兵器への転用を防ぐため、どの国で産出し、濃縮されたのかといった「国籍」が極めて重視される。供給する国とされる国が協定を結ばなければ、ウランなどの取引はできない仕組みになっている。
 日米原子力協定は1968年に結ばれ、大量の原発用濃縮ウランが米国から日本に供給されるようになった。ウランを原発で燃やした後に残るプルトニウムを取り出すのが再処理だ。元をたどれば米国製ウランであり、米国の了解が必要になる

 長期的に再処理できるよう、1988年に改定したのが今の日米原子力協定。期限は30年後の今年7月16日だが、半年前までに両国とも協定終了を通告せず、そのまま延長されることになった。
 核燃料サイクル政策にこだわる国や電力各社には好都合だが、余剰プルトニウムの解消という難題が待ち受けている状況に変わりはない。
 内閣府が昨年8月にまとめた「プルトニウム管理状況」によると、日本が保有するプルトニウムは2016年末時点で、英仏両国で再処理し保管中が37.1トン、国内9.8トンの計46.9トンに上る。

 プルトニウムは核兵器への転用が最も心配される物質だ。必要もないのに保有することは国際的に疑念の目を向けられる。日本も当然、使い道を明確に示さなければならないのに、はっきりしない。
 その理由は核燃料サイクルの破綻にある。プルトニウムは本来、現在の原発とは全く仕組みが異なる高速増殖炉の燃料と想定されていた。
 ところが、原型炉「もんじゅ」は廃炉が決まり、実用化の見通しは全く立たなくなった。プルトニウムとウランを混ぜて現在の原発で使う「プルサーマル発電」もあるが、東京電力福島第1原発事故で再稼働すら簡単には進まなくなっている。
 プルトニウムの利用は八方ふさがりであり、容易に消費先は見いだせないだろう。そうなったのはひとえに、核燃サイクルを遮二無二推進してきたからだ。日米原子力協定の期限切れも見直しのチャンスだったが、議論も反省もないまま延命された。幕引きの決算を、またもや将来に先送りしただけにすぎない


社説 日米原子力協定延長 問われる潜在的核能力
岩手日報 2018年1月30日
 7月に30年間の期限を迎える日米原子力協定の自動延長が決まった。これにより、日本の核燃料サイクル事業の基盤が維持される。
 日本は非核国だが、核兵器転用が可能なプルトニウムの抽出も平和利用のため認められている。この特権が継続することになる。
 原子力開発は、核兵器利用と平和利用が背中合わせの関係にあると言える。たとえ核兵器開発の意思がないとしても、プルトニウム保有に対する世界の目は厳しい。特別待遇は、核開発を探るイランなどの不満も招いてきたという。潜在的核能力を持つ重大性に鑑みた原子力政策の在り方が問われよう。

 被爆国日本は、平和利用としての原子力発電を進めるため、後ろ盾となる米国と1955年に結んだ原子力協定の下、濃縮ウラン供与を受けて研究を本格化。その後、核燃料サイクルを含む新たな協定に調印した。
 使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを利用し、高速増殖炉によって資源効率を飛躍的に高める核燃料サイクル。しかし、そんな「夢の原子炉」構想は遠のいた。実用化に向けた原型炉もんじゅは無残な結果に終わった

 だが既に海外での再処理分を中心に、原爆約6千発分に相当するとされる約47トンのプルトニウムを保有。サイクル構想が事実上破綻した今、通常の原発使用による消費を目指すが、見通しは不透明だ。
 そんな中で青森県六ケ所村の再処理工場が完成して稼働すれば、プルトニウムがさらにたまっていくことになる。
 このような状況に対し、米国内には懸念がある。核兵器開発につながる技術・施設を持つことを意味するからだ。「潜在的核抑止力」としての意義をにおわす日本の政治家の発言が過去に出ていることも疑心暗鬼にさせている。
 このままサイクル事業を続けてよいのかどうか。政府は原子力政策を根本的に考え直す必要がある。

 協定延期確定に合わせるかのように、国の原子力委員会は、保有量削減に向けた新指針策定の方針を決定。「使う見通しがたった分しか再処理しない」などが検討されるとみられるが、核燃料サイクル政策に対する米国の注視は強まるだろう。
 日本としては新たな期限を決める再改定が望ましかったようだ。自動延長では、日米いずれかの通告で6カ月後に協定を終了できるため、「非常に不安定な状態」(河野太郎外相)になるからだ。
 いずれにせよ、利用が見通せないプルトニウムの大量保有は国際的な説得力を欠く。核燃料サイクル廃止に向けた検討も視野に入れる時期ではないか。

2018年1月30日火曜日

原発事故9年前に津波試算見送り 東電反発で旧保安院

 福島原発事故の約9年前、当時の経済産業省原子力安全・保安院が東電に「福島沖で津波地震が起きたときのシミュレーションをするべきだ」と求めましたが、東電の反発を受け、見送っていたことが千葉地裁に提出された関係者の陳述書で分かりました。
 東電が反発しただけで保安院がなぜ要求を引っ込めたのかよく分かりません。
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原発事故9年前に津波試算見送り 東電反発で旧保安院
東京新聞 2018年1月29日
 2011年3月に起きた東京電力福島第1原発事故の約9年前、政府の地震調査委員会が「東北の太平洋岸ではどこでも大津波が起こる危険がある」との長期評価を公表した際、当時の経済産業省原子力安全・保安院が東電に「福島沖で津波地震が起きたときのシミュレーションをするべきだ」と求めたが、東電の反発を受け、見送っていたことが29日、分かった。
 原発避難者が国などを相手取った訴訟で千葉地裁に提出された関係者の陳述書で判明した。第1原発に津波が襲来し大事故が起きたが、この段階でシミュレーションをしていれば津波対策に早く着手できた可能性がある。(共同)

中学の対応「不適切」原発避難いじめで第三者委

 福島原発事故で新潟県下越地方に避難した中1女子生徒が昨年、いじめを受けて一時不登校になった問題で、第三者委員会は29日、孤立感を相談した女子生徒に担任が「気のせいではないか」と述べたことや、国語の教諭が、いじめを訴える作文を見落としたことも不適切だったとする検証結果と再発防止策を報告書にまとめ、地元の教育委員会に提出ました。
 女子生徒は現在通常通り登校しているということです
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中学の対応「不適切」原発避難いじめで第三者委 新潟
時事通信 2018年1月29日
 東京電力福島第1原発事故で新潟県下越地方に避難した公立中学1年の女子生徒が昨年、いじめを受けて一時不登校になった問題で、第三者委員会は29日、学校などの対応が不適切だったとする検証結果と再発防止策を報告書にまとめ、地元の教育委員会に提出した。

 報告書によると、女子生徒は2012年、福島県から避難し、直後から同級生に「きもい」などと言われた。中学に進学後も、名前に「菌」を付けた鬼ごっこが行われるなどして不登校になった。
 当時、孤立感を相談した女子生徒に担任が「気のせいではないか」と述べたとして、「不適切な対応」と指摘。国語の教諭が、いじめを訴える作文を見落としたことも「真摯(しんし)に読んでいれば把握できた」とした。
 原発事故からの避難といじめとの関連については、「被害生徒が関連性があると受け止めても無理はない」と言及した。
 再発防止策では、全職員が組織的に対応する体制づくりや、子供が相談しやすい環境整備などを学校や教委に求めた。
 教委によると、女子生徒は現在、通常通り登校しているという。

30- 柏崎刈羽原発で水道水270トン漏れ

柏崎刈羽原発で270トン水漏れ 劣化や寒さで配管破損か
産経新聞 2018年1月29日
 東京電力は29日、柏崎刈羽原発(新潟県)3号機の屋外で、復水器の洗浄装置につながる配管から、水道水約270トンが漏れていたと発表した。東電は劣化や寒さで配管が破損した可能性も含め、原因を調査している。

 東電によると、28日午前10時20分ごろ、社員が3号機の屋外を見回っていたところ、循環水ポンプ周辺にある排水升の水位が上昇しているのを確認した。水の漏えいは止まっており、外部への影響はないという。

2018年1月29日月曜日

自主避難世帯の8割「福島に戻らず」 新潟県の調査で明らかに

 福島原発事故に伴う福島県外への自主避難者のうち79・0%が、住宅支援終了後も福島県に戻らず、避難を継続しています。
 新潟市で開かれた「三つの検証」の一つ「健康・生活委員会」の生活分科会で、新潟県が報告しました。
 新潟県に自主避難した419世帯では823%が県内にとどまっています。
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自主避難世帯の8割「福島戻らず」 新潟県の調査で明らかに
新潟日報 2018年1月28日
 東京電力福島第1原発事故に伴う福島県外への自主避難者のうち79・0%が、住宅支援終了後も福島県に戻らず、避難を継続していることが27日、新潟県の調査で分かった。同日、新潟市中央区で開かれた米山隆一知事が進める「三つの検証」の一つ「健康・生活委員会」の生活分科会で、新潟県が報告した

 住宅支援が打ち切られ、家賃など経済的な負担が増えても、自主避難者の多くは福島県外での生活を続けている実態が改めて浮き彫りになった。
 避難者の住居移転に関する調査は、県が2017年12月に全国の都道府県に照会してまとめた。
 16年12月末時点で福島県外に自主避難していた2753世帯のうち、17年3月末に住宅支援が打ち切られた後も同じ都道府県にとどまった世帯は76・2%。他県へ移転した世帯2・8%を加えると79・0%に上った。福島県に帰還した世帯は17・1%だった。
 本県に自主避難していた419世帯では82・3%が県内にとどまり、1・9%が他県へ移転した。福島県に戻ったのは15・8%。

 生活分科会は今回の調査を、17年度内に開かれる「総括検証委員会」に提出する。

 避難者調査の取りまとめについて、座長の松井克浩・新潟大教授(社会学)は「(福島事故から)何も回復しておらず、失われたものは膨大であることが改めて確認できた」と指摘。新潟県で原発事故が起きた場合を念頭に「検証作業を進めたい」と述べた。
 生活分科会は今後、原発事故が生活に及ぼす影響について本格的に検討する。

29- 東通原発 建設工事再開にむけて「複数社と協議」 東電社長

 東電小早川智明社長は25日、青森県東通村の越善靖夫村長を訪れ、建設が止まっている東通原発について、工事の再開に向けて「共同事業で進めるため複数の社と協議している」と述べました。
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東通原発事業体「複数社と協議」 東電社長、村長を訪問
河北新報 2018年1月26日
 東京電力ホールディングスの小早川智明社長は25日、青森県東通村の越善靖夫村長を訪れ、建設が止まっている東電東通原発について「共同事業で進めるため複数の社と協議している」と述べた。
 新年のあいさつ回りの一環。越善村長は「一日も早い工事再開に向け取り組んでほしい」と応じた。
 小早川社長は報道各社の取材に「今年が正念場で、共同事業の取り組みを前に進めたい。経営の効率化を図り、計画を前に進めるために全国の英知を結集することが一番の早道」と語った。
 東電の子会社のリサイクル燃料貯蔵(RFS)がむつ市に建設中の中間貯蔵施設で、関西電力の使用済み核燃料を受け入れる可能性については「承知していない」と否定。共同出資の可能性も否定した。

2018年1月28日日曜日

立憲民主党 原発ゼロへ支持者と都内で初会合

 立憲民主党は、策定中の「原発ゼロ基本法案」に国民の声を反映させるためのタウンミーティングを始めました。一回目は27に東京で開かれました。
 立民党は東日本大震災から7年を迎える311日に先立つ同9日に、法案を提出したい意向です。スッキリした脱原発法にまとまることを期待します。
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立憲民主党、原発ゼロへ支持者と都内で初会合
日刊スポーツ b2018年1月27日
 立憲民主党は27日、策定中の「原発ゼロ基本法案」を巡り、支持者らと議論する初のタウンミーティングを東京都内で開いた。逢坂誠二党エネルギー調査会長は、電力会社の廃炉支援に国が責任を持つことなどを柱とした法案の骨子を説明。約70人の参加者からは、廃炉を担う人材の育成を盛り込むべきだといった意見が出た。

 立民は全国で同様の会合を開催し、寄せられた声を法案に反映させる。枝野幸男代表らが繰り返す「草の根からの声に基づく政治」を実行する姿勢を示し、安倍政権との違いをアピール。通常国会の論戦で「脱原発」を訴えていく構えだ。

 逢坂氏は、東日本大震災から7年を迎える3月11日に先立つ同9日に、法案を提出したい意向を示した。(共同)

原発避難の集団訴訟 3月の判決を前に原告などが集会

原発避難の集団訴訟 原告などが判決前に集会
NHK NEWS WEB 2018年1月27日
福島第一原発の事故で避難した人などが賠償を求めている集団訴訟で、3月に相次いで判決が言い渡されるのを前に、原告や弁護団などが東京で集会を開き、「国や東京電力の責任を認めてもらいたい」と訴えました。

集会は東京 文京区で開かれ、原発事故で避難し、国や東京電力に対して集団訴訟を起こしている原告や弁護団、支援者などおよそ300人が参加しました。

集団訴訟は全国で30件を超え、3月には東京や福島、京都で相次いで判決が言い渡される予定で、27日の集会では、原告を支えるために情報を共有しようと、全国の支援者の連絡会が結成されました。
続いて各地の裁判の状況が報告され、京都の原告の福島敦子さんは「3月に相次ぐ判決では国と東京電力の責任を認めてもらいたい。被害の実態と裁判の状況を多くの人に知ってもらうため力を合わせてたたかいましょう」と訴えました。

一連の集団訴訟で国や東京電力は「事故を予測することはできなかった」などとして争っていて、前橋地裁と福島地裁が国と東京電力の責任を認めた一方、千葉地裁は国の責任を認めず、判断が分かれています。

原発事故全国弁護団連絡会の米倉勉弁護士は「被害の実態に合った賠償を求めるため、原告や支援者と連携していきたい」と話していました。

28- 浜岡原発 排水配管が図面と異なる施工

配管の接続先が図面と異なる 浜岡原発樹脂堆積問題
産経新聞 2018年1月27日
 浜岡原発(静岡県御前崎市)の廃棄物減容処理装置建屋で放射性物質を含む粒状の樹脂が広がっていた問題で、中部電力は26日、樹脂が堆積していた排水口につながる配管の接続先が、現場の図面と異なっていたなどとする報告書を、原子力規制委員会に提出した。

 報告書によると、排水口につながる配管内部の状態を確認する過程で、この配管が図面とは異なる配管に接続されていることが分かった。中部電は排水口にふたを設置し、詳しい原因を調べている。

 樹脂は18日、建屋2階で空気浄化装置を点検していた協力会社の社員が発見。同じ建屋では昨年5月にも、原子炉の冷却水浄化に使った樹脂が地下の排水口から噴き出すトラブルがあった。

2018年1月27日土曜日

原発ゼロを政治の争点に 全国連絡会総会で確認

 原発をなくす全国連絡会25日、第6回総会を開き、広範な人びとと結びついた運動をさらに発展させ、「原発ゼロ」を政治の争点に押し上げること、原発事故被害者賠償と、避難者の住宅保障の打ち切りを許さないことなどの方針を確認しました。
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原発ゼロを政治の争点に 全国連絡会総会で確認
しんぶん赤旗 2018年1月27日
 全労連や全日本民医連などでつくる原発をなくす全国連絡会は25日、東京都内で第6回総会を開き、広範な人びとと結びついた運動をさらに発展させ、「原発ゼロ」を政治の争点に押し上げる方針を確認しました。
 
 原発問題住民運動全国連絡センター事務局長の柳町秀一さんが主催者あいさつ。さようなら原発1000万人アクション事務局長の藤本泰成さん、首都圏反原発連合のミサオ・レッドウルフさんが連帯あいさつしました。
 
 確認された方針は、国民のなかでは原発ゼロ・再稼働反対が多数であることを強調、そうした声が小泉純一郎、細川護熙の両元首相が顧問を務める「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」(原自連)の「原発ゼロ」法案などに結実しているとのべています。
 今後の課題として再稼働を許さず、原発ゼロの日本をめざす▽「原発ゼロ」を政治の争点に押し上げる▽原発事故被害者賠償と、避難者の住宅保障の打ち切りを許さない―などをあげています。
 日本共産党の藤野保史衆院議員が国会情勢を報告。原自連の法案にふれ、「わが党の立場とも一致しています。みなさんと力をあわせて、実現のために努力していきたい」と語りました。
 
 3月3日から11日までの原発ゼロ週間で「即時ゼロ」を訴えて列島騒然のうねりをつくりあげよう、と呼びかけるアピールを採択。3月4日午後1時から、東京・日比谷野外音楽堂で全国集会を開催することを確認しました。

原発事故 東電旧経営陣の公判再開 証人は20人超

 東電旧経営陣3人が、福島原発事故業務上過失致死傷罪で強制起訴された裁判が、26日、昨年6月の初公判以来7カ月ぶり再開され、初めて証人尋問が行われました。
 これから6月にかけて20人を超える証人尋問の集中審理を行い、秋ごろまでに証人尋問と被告人質問を行う予定です。
 この日の証人は、東電で原子力部門部長代理を務めた男性社員で、津波でタービン建屋地下に設置された電源設備が浸水したため、「原子炉を冷却し、監視するすべを失った」と説明し、「地震直後に原子炉は非常停止していたので、津波が来なければ収束していたと思う」と述べました。
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原発事故 東電旧経営陣の公判再開 証人は20人超
NHK NEWS WEB 2018年1月26日
東京電力の旧経営陣3人が、福島第一原発の事故をめぐり業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴された裁判が、およそ半年ぶりに東京地方裁判所で再開されました。裁判長は、法廷に呼ぶ証人の数が20人を超えることを明らかにし、6月にかけて集中審理を行う方針を示しました。
 
東京電力の元会長の勝俣恒久被告(77)、元副社長の武黒一郎被告(71)、元副社長の武藤栄被告(67)の3人は、福島県の入院患者など44人を原発事故からの避難によって死亡させたなどとして、業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴され、いずれも無罪を主張しています。
 
26日、東京地方裁判所でおよそ半年ぶりに審理が再開され、裁判長は、法廷に呼ぶ証人の数が20人を超えることを明らかにし、6月にかけて集中審理を行う方針を示しました。
 
続いて証人への質問が始まり、東京電力が公表した事故調査報告書を取りまとめた社員が、原発の仕組みや事故が起きるまでのいきさつについて証言しています。
 
裁判では、震災の前に事故を予測できたかどうかが争点となっていて、検察官役の指定弁護士が、社内で津波を想定していたのに対策を先送りしたと主張しているのに対して、3人は想定が妥当かどうか専門の学会に検討を依頼していたとして、先送りを否定しています。
 
 
東電社員を証人尋問 原発事故「津波なければ収束」
旧経営陣公判・東京地裁
時事通信 2018年1月26日
 東京電力福島第1原発事故で、業務上過失致死傷罪で強制起訴された元会長勝俣恒久被告(77)ら東電旧経営陣3人の第2回公判が26日、東京地裁(永渕健一裁判長)であった。証人尋問が始まり、社内で事故調査を担当した東電社員は「津波がなければ事故は起きなかった」と証言した。
 
 公判は昨年6月の初公判以来、約7カ月ぶり。秋までに二十数人の証人を呼び、勝俣元会長ら3人の被告人質問を行う。津波の予見可能性などを争点に、実質的な審理が始まった。
 26日は、東電で原子力部門の部長代理を務めた男性社員が出廷した。津波でタービン建屋地下に設置された電源設備が浸水したため、「原子炉を冷却し、監視するすべを失った」と説明。「地震直後に原子炉は非常停止していたので、津波が来なければ収束していたと思う」と述べた。
 
 
原発事故公判が再開 報告書まとめた東電社員を尋問
東京新聞 2018年1月26日
 東京電力福島第一原発事故を巡り、津波対策を怠ったとして業務上過失致死傷罪で強制起訴された勝俣恒久元会長(77)ら旧経営陣三被告の第二回公判が二十六日、東京地裁で始まった。東電の社内事故調査に携わった社員が証人出廷し、津波で電源が喪失し水素爆発を引き起こした事故の経緯などを説明した。
 
 昨年六月の初公判以来、七カ月ぶりの再開で、証人尋問は初めて。永渕健一裁判長は今年六月にかけて第十七回公判まで行い、秋ごろまでに東電の関係者、地震や津波に関する専門家など二十数人の証人尋問と、被告人質問を行う見通しを明らかにした。
 
 この日出廷した社員は事故当時、原発の設備管理担当の部長代理で、事故後には東電の事故調査報告書を取りまとめた。法廷では事故の経緯のほか原発の仕組みなどについて証言。「津波が来なければ事態は収束していた」などと述べた。
 
 他の二被告は武黒一郎元副社長(71)と、武藤栄元副社長(67)。主な争点は巨大津波の危険性を具体的に予見できたかや、対策をしていれば事故は防げたかなど。指定弁護士は今後の尋問を通じ、東電社内で事故前から津波の危険性が十分に認識され、三被告もそれを把握していたことなどを立証する方針とみられる。
 
 昨年の初公判で、指定弁護士は「国の長期予測から最大一五・七メートルの津波が来るとの試算があったのに、対策を先送りした」と主張。被告側は「実際の津波は、長期予測も全く想定しない規模で、事故はおよそ予見できない危険が現実化したものだ」とし、無罪を主張した。
 
 勝俣元会長らを巡っては、福島原発告訴団が一二年に告訴・告発。東京地検は二度、不起訴としたが、検察審査会が三人を起訴すべきだと議決し、一六年に指定弁護士が強制起訴した。