2016年8月31日水曜日

柏崎原発 再稼働に厳しかった泉田知事が出馬しないことに 

 東京新聞が、新潟県知事選への出馬撤回を表明した泉田裕彦知事が、これまで原発問題に対して取ってきた言動を総括する記事を出しました。東電の柏崎刈羽原発を再稼働させたいとする目論見を、泉田知事が断固拒否してきた軌跡が述べられています。
 
 TVなどで、浄水場(下水処理場も同様)の高放射能汚泥の処理や放射能に汚染されたがれきの焼却処分において、「汚泥類は自分たちで処理する」、あるいは「がれきの焼却を引き受ける」とする県内の市長らと間で軋轢があったことが報道されています。 
 これについては「放射性汚泥の処理は東電で行うべし」、あるいは「放射性がれきの引き取りと焼却は、放射能の分散になるので不可」とする知事の見解が明らかに正論でした。泉田氏は資源エネルギー庁にいたことがあるので、そうした基礎知識に間違いはありませんでした。
 市長たちには「善意なのだから」という言い分があったのでしょうが、そういう次元の問題ではありません。
 汚染を更に広げてしまうことの非は、広範囲に及んだ放射能汚染が一向に回復していないことからも明らかです。
 
 新潟県はまたと得難い人を失うことになりました。
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柏崎刈羽を巡る対立に変化も 再稼働に厳しい泉田知事不出馬 
東京新聞 2016年8月31日
 新潟県知事選への出馬撤回を表明した泉田裕彦知事は、史上最悪の原発事故を起こした東京電力が再び原発を運転することに厳しい目を向けてきた。東電関係者は「突然の表明で驚いたが、われわれは原発の安全対策に全力を尽くすだけ」と、推移を見守る姿勢だが、同県に立地する柏崎刈羽原発の再稼働を巡る県との対立構図に変化が起こる可能性も出てきた。
 
 泉田氏が東電への強い不信感をあらわにしたのは二〇一三年七月。東電が県に事前説明しないまま柏崎刈羽6、7号機の再稼働に向けた原子力規制委員会の審査申請を決めたことに、泉田氏は「地元軽視だ」と猛反発した。
 県庁を訪れて理解を求めた広瀬直己社長を「『安全を大切にする』という言葉はうそだった」「約束を守らない会社」と報道陣の前で厳しく叱責(しっせき)、「話がかみ合わないのであれば、お引き取りください」と一方的に面会を打ち切って追い返した。
 
 泉田氏は、東電が福島第一原発事故から二カ月後の一一年五月になってようやくメルトダウン(炉心溶融)を認めたことにも「事実を隠蔽(いんぺい)した」とさまざまな場面で批判を展開し、専門家でつくる県技術委員会の場で真相究明を求めてきた。
 その結果、東電は今年二月になって、炉心溶融の判断基準を記したマニュアルを見過ごしていたと発表。東電の第三者検証委員会が六月、「当時の社長が炉心溶融という言葉を使うなと社内に指示していた」との報告書をまとめ、広瀬社長は隠蔽を認めて謝罪した。
 
 泉田氏は一方で、全国知事会の危機管理・防災特別委員長として、政府に原子力防災の強化を要望するなど、国の政策にも厳しい態度を見せてきた。
 その中で、規制委の姿勢を「原発の新規制基準はハード(設備)にしか目が向けられていない」「避難計画について地元の意見を事実上無視している」と批判。田中俊一委員長が「個性的な発言だ」などと不快感を示すこともあった。
 知事選の構図は不透明だが、泉田氏が不在となれば、国や東電にとって原発再稼働への障壁が一つなくなることになりそうだ。
 
◆「炉心溶融」隠しなど指摘
 新潟県の泉田裕彦知事が十月の知事選に不出馬の方向となり、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題の行方は混沌(こんとん)とした状況になった。
 泉田氏は、東電が再稼働へのテコ入れのため「新潟本社」を設立したり、立地する刈羽村などから経済的な理由による再稼働を求める声が上がったりしても、「福島第一原発の事故の検証なくして議論自体ありえない」と、毅然(きぜん)とした姿勢を取り続けてきた。
 東電が福島の事故発生当初、「炉心溶融」や「メルトダウン」という言葉を使わず、事故を小さく見せかけようとした問題も、県技術委員会で指摘された。
 
 一方、原子力規制委員会は、柏崎刈羽6、7号機の新規制基準による審査を、沸騰水型の原発では優先して進めることを決定。審査で「適合」判断が出れば、再稼働までの大きなハードルは地元が同意するか否かだけになる。
 地元同意では、知事の影響力は極めて大きい。周辺自治体の態度も知事の姿勢に大きく影響される。後任の知事はだれか、どういう姿勢で臨むかで、柏崎刈羽の再稼働の行方は左右されるが、現時点では見通せない。 (山川剛史)

規制委の基準地震動計算法は地震調査委に否定された方式

 6月、島崎邦彦前規制委員長代理が大飯原発などで基準地震動過小評価していることを指摘しましたが、田中規制委員長は例によって感情的な表現で否定して、従来通りの計算方式維持すると決めました(7月)
 しかし規制委が維持すると決めた計算方法は、地震の研究などを担う政府機関である地震調査委員会が「地震の規模や揺れを小さく見積もる恐れがある」として使用を避けているものであることが明らかになりました。
 
 地震調査委は、06年に断層の幅と長さから、地震の揺れを計算する方法を一旦公表しましたが、この方法だと断層の規模や、地震の規模であるマグニチュードを小さめに算定し、揺れを過小評価する場合があるとの指摘が出たため、断層の長さなどから揺れを計算する新方式を09年に公表し、以後調査委は各地の地震の揺れをそれで計算してきました
 これに対し規制委は「06年方式は断層の詳細な調査を前提に使う方法。電力会社が詳細に調査しており、原発の審査では適切だ」と主張しています。しかし調査委の纐纈一起部会長(東大教授)は「『断層の幅』は詳細調査でも分からないから活断層が起こす揺れの予測計算に09年の方式を使う。これはどの学者に聞いても同じで規制委の判断は誤り」と指摘しています。 
 
 もともと地震動の専門家がいない規制委が、専門家ぞろいの調査委側の意見を聞かず、改良された方式を却下するのは無理な話で、地震動を小さ目にするために06年方式にこだわっていると見られても仕方がありません。
 
 また06年方式が採用している「入倉・三宅式」は17点ほどのデーターを回帰分析した式であって、いわば17点のデータの平均的挙動を示したものに過ぎません(実際のデーターは当然回帰線の上下に大きくバラついている筈です)。
 防災科学の専門家によるとその超過側のバラツキの度合いは、1・6~2倍(地震の1~2割において)、中には3〜4倍の揺れもあるということです。これは「地震動」という複雑な要因を持つ現象を、無理に(他の要因を捨象して)1変数に留めて回帰分析した結果として当然起きることです。
 ここで重要になるのは、平均値基準で求められた値から「基準地震動」(起こり得る最大の地震動)を定める際の「余裕(倍率)」をいくつにするかですが、現基準にはその規定もないということです。その都度恣意的に定めていて、大飯原発の再計算の際にはたまたまその余裕の中に納まったということです。
 これについても専門家からは、「上乗せをどれだけ取るか、リスクをどの程度許容するかについての社会的議論が必要だ」と指摘されています。
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原発・基準地震動 使用回避の計算法、継続の規制委に異議
毎日新聞 2016年8月30日
政府の地震調査委の専門家「規制委の判断は誤りだ」と批判 
 原発の耐震設計の根幹となる基準地震動(想定する最大の揺れ)について、政府の地震調査委員会が「地震の規模や揺れを小さく見積もる恐れがある」として使用を避けた計算方式を、原子力規制委員会や電力会社などが使い続けていることが分かった。調査委は2009年に改良した新方式を採用している。規制委は「(現行の方式を)見直す必要はない」と主張するが、調査委の専門家は「規制委の判断は誤りだ」と批判し、規制委に疑問符を突き付けた格好だ。 
 
 基準地震動を巡っては、規制委の前委員長代理の島崎邦彦氏が6月、関西電力大飯原発などで過小評価を指摘したが、規制委は7月に現行の計算方式の維持を決めていた。現行方式は大飯原発以外でも使われており、この方式への疑問は他原発の安全審査や再稼働にも影響しそうだ。 
 調査委は、地震の研究などを担う政府機関。断層の幅と長さから、地震の揺れを計算する方法を06年に公表し、規制委や電力会社が基準地震動の計算に採用している。だが、この方式には、断層の規模や、地震の規模であるマグニチュード(M)を小さめに算定し、揺れを過小評価する場合があるとの指摘が出た。このため、断層の長さなどから揺れを計算する新方式を09年に公表し、各地の地震の揺れを計算してきた。調査委作成の計算マニュアルでは両方式が併記されているが、調査委は現状を踏まえ、マニュアルを改定する検討を始めた。 
 これに対し、規制委事務局の原子力規制庁は「06年方式は断層の詳細な調査を前提に使う方法。電力会社が詳細に調査しており、原発の審査では適切だ」と言う。 
 
 調査委の「強震動評価部会」の纐纈(こうけつ)一起部会長(東京大地震研究所教授)は「活断層が起こす揺れの予測計算に、地震調査委は09年の方式を使う。規制委が採用する方式の計算に必要な『断層の幅』は詳細調査でも分からないからだ。これはどの学者に聞いても同じで規制委の判断は誤りだ」と指摘する。【高木昭午】 
 
旧方式の見直しを 
 原子力規制委員会が原発の基準地震動で採用する計算方式に、その「開発元」である政府の地震調査委員会メンバーが疑問符をつけた。基準地震動は、原発が想定し、耐えるべき最大の揺れで耐震設計の根幹だ。規制委は調査委の指摘を機に、その決め方を見直すべきだ。 
 規制委は現行の計算方式を使い続ける方針。だが地震動の専門家がいない規制委が、専門家ぞろいの調査委側の意見を聞かず、改良された方式を却下するのは無理がある。しかも基準地震動には、それ以前の問題もある。原発の建物は「起こり得る最強の揺れ」に備えるのが望ましいが、実際の基準地震動は揺れの「平均」に若干の上乗せをした値に過ぎない。 
 悪条件が重なれば、平均を大きく上回る揺れもあり得る。藤原広行・防災科学技術研究所社会防災システム研究領域長らによると、地震の1〜2割は平均の16〜2倍強い揺れを起こし、3〜4倍の揺れもある。だが、どの程度「上乗せ」するかについて、今の新規制基準には規定がない。規制委と電力会社が調整して決めているだけだ。このため、昨春に関西電力高浜原発の運転停止を命じた福井地裁は「基準地震動は理論的にも信頼性を失っている」と断じた。 
 藤原領域長は「上乗せをどれだけ取るか、リスクをどの程度許容するかについての社会的議論が必要だ」と指摘した。【高木昭午】 

30- 泉田知事が知事選から撤退

 30日、泉田裕彦知事10月に行われる新潟県知事選挙から撤退することを、文書(下に掲載)でかにしました。
 文書によると地元の有力紙である新潟日報が、新潟県が出資する第三セクターの子会社によるフェリーの購入に絡んで批判のキャンペーンを続けていて、それが県民に不信感を与えた結果正常な県政運営ができなくなっていることや、この状況下では知事選において一番の争点と考えている「原子力防災(=柏崎刈羽原発再稼働の問題)」にたどり付けそうもないことを理由にあげました。
 また県庁舎内で森長岡市長知事選への立候補表明したの対応から、新潟日報が森氏側に肩入れしている雰囲気を感じ取ったとも述べています。
 
 新潟日報はこれまで福島原発事故について優れた特集を重ねてきていますが、柏崎刈羽原発の再稼働を実質的に阻止してきた泉田知事をなぜ退場させるようなことをするのでしょうか。記者の良心と社の方針は別だというのでしょうか。
 
 ここで泉田知事を失ってしまうことは脱原発派にとっては大きな痛手です。
 
 NHKニュース、知事文書、ブログDs Note記事を紹介します。
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新潟 泉田知事 10月の知事選に立候補せず
NHK NEWS WEB 2016年8月30日
ことし10月に行われる新潟県知事選挙に4期目を目指して立候補することを表明していた泉田裕彦知事は、新潟県が出資する第三セクターの子会社をめぐる地元新聞の報道を理由に立候補を取りやめることを30日、文書で明らかにしました。
これは、泉田知事が30日午後、文書で発表したものです。
この中で、泉田知事は新潟県が出資する第三セクターの子会社によるフェリーの購入をめぐって地元新聞が県に対して続けてきた批判的な報道によって正常な県政運営ができなくなっていると立候補を取りやめる理由を述べています。
泉田知事は新潟県加茂市出身の53歳。
経済産業省の課長補佐や岐阜県の局長などを務め、平成16年の知事選挙で初当選し当選直後に起きた新潟県中越地震の復興に向けて取り組んできました。
また泉田知事は東日本大震災のあと停止している東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働については、「福島第一原発の事故の検証なくしては運転再開の議論自体がありえない」として慎重な姿勢を示していました
泉田知事は現在3期目で、任期満了に伴ってことし10月に行われる知事選挙に向け、2月の県議会で4期目を目指して立候補を表明していました。
 
新潟日報社「あすの紙面で明らかに」
新潟県が出資する第三セクターの子会社によるフェリーの購入について報道した地元の「新潟日報社」は「社としての見解はあすの紙面で明らかにします」というコメントを発表しました。
東京電力「申し上げる立場にない」
新潟県の泉田知事が知事選への立候補を取りやめることを明らかにしたことについて、東京電力は、「知事選については新潟県民のみなさまがお考えになることであり、当社として申し上げる立場にありません。引き続き柏崎刈羽原発の安全対策を着実に進め、県民のみなさまのご理解をいただけるよう努めてまいります」というコメントを出しました。
 
原発の安全確保に厳しい姿勢
泉田知事は、東京電力柏崎刈羽原子力発電所が立地する新潟県の知事として、原発の安全確保に厳しい姿勢で臨んできました。
泉田知事は平成19年7月に新潟県中越沖地震が起きた際、柏崎刈羽原発で火災や微量の放射性物質が漏れ出す事態が起きたことを受けて、東京電力に免震施設の設置など新たな安全対策を求めました。
5年前の福島第一原発事故のあとは、柏崎刈羽原発の再稼働について、「福島第一原発の事故の検証なくしては運転再開の議論自体がありえない」という姿勢を取っています。
そして、専門家でつくる新潟県の技術委員会で事故の検証作業を独自に進め、この中で、東京電力が事故発生から2か月以上、「炉心溶融」、いわゆるメルトダウンが起きたことを認めなかった問題を追及しました。
その結果、当時のマニュアルに従えば事故の3日後には炉心溶融と判断できたことが明らかになったほか、当時の社長が、炉心溶融という言葉を使わないよう指示していたことも明らかになりました。
こうした問題に対して泉田知事は、今後は、東京電力と合同で検証委員会を設け、真相の解明を続けていく姿勢を示していました。
 
 
【泉田知事知事選撤退についての文書】
この秋の新潟県知事選挙からの撤退について
平成28年8月30日
泉田 裕彦
12年前の知事就任時最初の職務は震災対応でした。県で制度設計が可能な復興基金などにより今日まで、復旧復興を進めることができました。その後、公約を元に作成した政策プランにより県政運営を進め、当時不安視されていた県財政を安定させることができました。
 
3期の任期を振り返りますと、産業面では産業団地利用率が、71.8%(平成16年度末:15.6%)まで高まり、全国に先駆けて導入したマイナス金利制度等により、本県中小企業の設備投資は、全国平均を上回った水準で推移しています。高卒就職率は、リーマンショック時においてもほぼ100%を維持し、セーフティーネットを機能させることができました。存続の必要性が議論されていた表参道ネスパスは、年間で入館者100万人を超え、大阪のアンテナショップとあわせ、新潟の情報発信拠点へ成長しました。
 
医療関係では、医師・看護師の養成定員の増加、ドクターヘリの導入を進め、全国的にも注目を集める魚沼地域の医療再編を進めることができました。県立病院の経営は安定しています。人口問題では、国予測ほどは減らず、前回調査の将来推計を8,000人近く上回りました。
 
難病対策、新潟水俣病対策、ひとり親世帯支援、全国に先駆けたいわゆる出世払い奨学金の導入、障害者支援などに積極的に取り組み、支援の必要な社会的に弱い立場の人に光があたる環境をつくるため、心を砕いてまいりました。
 
県の審議会等への女性登用率も大幅に上昇しました。農業関係では、農家所得の向上を目指した取り組みを進め、1経営体当たりの売上額は約400万円増加し、米の輸出は全国トップで、本県が全体の40%を占めることができました。
 
土木関係では、地元の経済循環を目指した施策を講じ、建設業のすべての規模階層で利益率がプラスとなり、全国46位に甘んじていた設計労務単価は26位まで上昇いたしました。 北陸新幹線開業時の国との交渉での830億円の支援策の獲得により並行在来線の安定運営の基盤を確保でき、この効果は他県へも波及しました。佐渡汽船は黒字化し、経営は安定しています。
 
漸減していた県立図書館の入館者も改革の結果ほぼ倍増しました。個を伸ばす教育を基本に取り組みを進めた結果、小学校で全国上位の学力を獲得し、高等学校では、特色ある学科を設置し、全国的にも注目を集める事例がでてきました。
 
最後に、一人当たり実質可処分所得もこの間12%程上昇したこともあり、昨年10月の県民意識調査では、すべての項目で満足層が増加し、不満足層が減少する結果につながったものと思います。
 
こういった中、今回の選挙は政策論と関係ない動きが続いていると感じています。特に、日本海横断航路に関する一連の新潟日報の報道は、憶測記事や事実に反する報道が続きました。再三の申し入れ http://bit.ly/2bYbBed )にもかかわらず、訂正や説明もなく、最近まで県から申し入れがあった事実も報道してもらえませんでした。また、読者からの説明を求める投書に対する回答を一両日でお返ししたにもかかわらず、県からの回答が現在に至っても掲載されません。
 
このため、県が組織的に虚偽答弁をしているのではないか等の誤った印象が形成されているように思います。県庁内においては、憶測記事や事実に反する記事への対応のため、通常業務に支障が出ていますし、職員の残業時間も大幅に増加しています。県庁舎内での森長岡市長の知事選への立候補表明の際には、クラブの代表幹事社として、庁舎管理責任を有する県職員の同席を認めない上に録音も禁止する一方、その後、十分な情報無しで森市長立候補表明に対するコメントを求めるということもありました。
 
新潟県内で大きな影響力を有する新聞社が、県の説明は読者に伝えることはせず、一方当事者の主張に沿った報道のみがなされている状況です。また、東京電力の広告は、今年5回掲載されていますが、国の原子力防災会議でも問題が認識されている原子力防災については、例えば、県が指摘している現在の指針に従えば避難が必要になったときにはUPZ圏内の住民40万人強を2時間で避難させなければならなくなる問題等県民の生命・健康を守るうえで重要な論点の報道はありませんこのような環境の中では、十分に訴えを県民の皆様にお届けすることは難しいと考えています。
 
以上のような状況に鑑み、この秋の新潟県知事選挙からは撤退したいと思います。これまで、ご支援をいただいた皆様方には、お詫び申し上げますとともに心よりの感謝を申し上げます。
 
 
泉田知事が知事選出馬を撤回
ブログDs Note 2016年8月30日 17:18
前 略
県知事選には泉田知事の他に森・長岡市長も立候補を表明していて事実上2人による一騎打ちと見られていたのですが、泉田支持バイアスを除いた客観的な視点で見ても森さんが泉田知事に勝る点など1つもないので泉田知事の再選は確実、あとはどれだけ大差をつけて柏崎刈羽原発再稼働阻止へプレッシャーをかけられるかがポイントだと私は見ていましたが、ここに来てまさかの不出馬とは。
 
泉田知事は撤退の主な理由として、日本海横断航路に関して新潟日報が事実と異なる報道を続けてることを挙げていて、ウチも新潟日報取ってるのでその辺はよく見てはいますが、確かに偏向報道がヒドいです。あとはテレビではBSNあたりもかなり偏向らしいですね(テレビのニュースは見てないので聞いた話ですが)。推測するところ、たぶん原発動かしたい側(=泉田知事がジャマ)からの圧力もかかってるのでしょう。
 
ただ、泉田知事が本当にこれだけの理由で撤退を決めたとは思えないんですよねぇ。
いや、日報の報道に相当ムカついてたのは事実だと思います。撤退によってどれだけ日報がヒドいかを知らしめる意味もあっただろうし、メディア以外も含めた泉田包囲網によって疲れてもいたでしょう。でも責任感の強い泉田知事が「日報フザけんなよ!」って投げ出すとは到底考えられない。きっと真意は他にあると思わずにはいられません。
 
・・・・これは以前から思っていたのですが、私たち新潟県民はあまりにも泉田知事一人に頼りすぎていたのではないでしょうか。
特に原発に関しては東京電力や原子力規制委員会などへの理論的かつ毅然とした対応を見て「泉田知事なら何とかしてくれる」と甘え過ぎていた部分が多かったように思います。
本当は我々一人ひとりが県民の総意として「柏崎刈羽原発再稼働No!」を突き付けなければならなかった
   (中 略
撤退の理由を圧力と見る方もいるかもしれませんが、「私は自殺しません」と死んだ場合は暗殺と判断してくれって言うくらいの覚悟をもってやってきた人が、今さら外からの圧力に屈するとは思えないし、もちろんお金で動かされるような人でもないし、このまま森さんに県政任せていいとも思ってないだろうから、まったくの無策のまま撤退ってことはどうにも考えられないんですよね。
 
ま、現時点では撤退の表明があったばかりでいかんせん情報不足。憶測で話でもラチがあかないので、今後の泉田知事の動向を見守りたいと思います。

2016年8月30日火曜日

「なくそテ原発2016柏崎大集会」のご案内(再掲示)

 9月3日に柏崎市でなくそテ 原発2016柏崎大集会」が開かれますのでご案内します。
 以前には「なくそテ 原発 2016 人間の鎖」として、人間の鎖で柏崎刈羽原発を包囲する計画を立てましたが、事情があって今回は「大集会」に変更しました。
 
 大会実行委員会が作成した「ビラ」を別途掲示します。
 柏崎大集会ビラでは 次のように呼びかけています。
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 福島原発事故の当事者である東京電力の柏崎刈羽原発。
 世界一の総出のこの原発の地点集会を開き原発再稼働反対・廃炉の世論の強さをアピールします。
 川内原発から高浜、伊方へと進む再稼働の流れをストップさせる大きな運動のエポックであり、その後の全国的な運動の発展へ向けたスタートとします。
 ぜひ集会に御参加を。
 集 会 概 要 
 
   時  2016年9月3日(土)
         13時~15時40分 後パし-ド
     柏崎市文化会館アルフォー
        JR柏崎駅より|徒歩約7分 柏崎I.Cより車で約10分
 
   講演   原発立地県からの発信 脱原発8つの理由
                 講師 静岡県湖西市 三上  市長
   アトラクション    制服向上委員会
 
主催なくそテ原発2016柏崎大集会実行委員会
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 「原発をなくす湯沢の会」でも、当日はマイクロバスを仕立てて参加します(詳細は下記)ので、どうぞ沢山のご参加をお願いします。
 
            集合場所     湯沢町公民館前
            集合時間     9:30
            参加費        1,000円
                    参加申込先   南雲敏夫 090-2674-9414
 
大集会ビラを掲示します。 
 
 ビラ(PDF版)をご覧になる場合は、下のタイトルをクリックしてください。
  画面の下側に選択肢:「ファイルを開く」・「保存」が表示されるので、「ファイルを開く」を選択すると表示されます。

 Google Chrome の場合は左下にタイトル(「○○.pdf」)が表示されるので、それをクリックすると開きます。
 
 画面の過大・過小に対しては、PDF画面上段の中央付近にある倍率(%表示)を調整して下さい。

もんじゅ 今後10年で6000億円 即刻廃炉にすべき

 管理上の相次ぐミス等で長らく停止中の「もんじゅ」について、現行計画に基づいて今後10年間運転する場合、国費約6000億円の追加支出が必要になることが分かりました。既に約1兆2000億円をつぎ込みながら稼働実績が何もなく、今後計画通りの成果が得られる見通しもほとんどないなかで非常に問題です。
 
 もんじゅの再稼働には、高速増殖炉の新規制基準を規制委が作った上で、これに適合させる改修工事が必要になりますが、そもそも一旦事故が起きれば鎮火や爆発防止の手段が取れない装置に於いて、安全基準などが作れるものでしょうか
 もんじゅの燃料を製造する東海村の工場についても同様に新規制基準を設けて、それに対応させる必要があります。そうした費用に6000億円が掛かるというものですが、いったいそれが信頼できる数字なのかも不明です。
 これまでも無意味な時間を浪費するだけで巨額の経費(年間200億円超)を費やしてきたのですから、恥の上塗りのようなことはもう止めて即刻廃炉にすべきです。廃炉には3000億円かかるということですが、それは日本の安全のために仕方のないことです。
 
 政府の諮問委員会は「もんじゅ」を延命させるため苦し紛れに、「『もんじゅ』を使っての高濃度放射性物質の減容化・有害度低減の研究への展開」を提言したようですが、そのために必要な「要素技術」の実用化だけでもさらに数十年が掛かると言われていますそもそも「もんじゅ」タイプのものでは中性子エネルギーいので意味のある減容化にはつながらないとされています
 
 したがってそんな絵空事を並べ立てるのではなくて即刻廃炉にすべきです。
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もんじゅ 10年で6000億円 政府試算、廃炉含め検討
毎日新聞 2016年8月29日
 管理上の相次ぐミスで停止中の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について、現行計画に基づいて今後10年間運転する場合、国費約6000億円の追加支出が必要になると政府が試算していることが28日、分かった。既に約1兆2000億円をつぎ込みながら稼働実績がほとんどなく、政府は菅義偉官房長官の下のチームで、廃炉も選択肢に含めて今後のあり方を慎重に検討している。【岡田英、阿部周一】 
 
 もんじゅを巡っては、原子力規制委員会が昨年11月、運営主体を日本原子力研究開発機構から他の組織に代えるよう所管の文部科学相に勧告。それができなければ廃炉も含めた抜本的な運営見直しをすることも求めた。文科省はもんじゅの運転・管理部門を同機構から切り離して新法人に移す方向で調整していた。 
 
 複数の政府関係者によると、もんじゅの再稼働には、福島第1原発事故を踏まえた高速増殖炉の新規制基準を規制委が作った上で、これに適合させる改修工事が必要になる。運転には核燃料198体を4カ月ごとに4分の1ずつ交換しなければならないが、もんじゅの燃料を製造する茨城県東海村の工場も新規制基準に対応しておらず、耐震補強などが必要だ。内閣官房を中心にした費用の検討では、こうした対策費に10年間の燃料製造費や電気代、人件費などを加えると追加支出額は約6000億円に達するという。停止中の現在も、維持費だけで年間約200億円がかかっている。 
 
 政府内には「(原型炉の次の段階の)実証炉を造れる金額。それだけの支出に見合う存続の意義を国民に説明するのは難しい」という厳しい意見など、廃炉論さえある。原子力機構は2012年、廃炉には約3000億円かかるとの試算をしており、再稼働するかどうかに関わらず今後も多額の国民負担が必至だ。 
 もんじゅは1985年に着工、95年8月に発電を開始したが、約3カ月後に冷却材のナトリウム漏れ事故で停止した。10年5月に再稼働したが3カ月半後に燃料交換装置の落下事故が起き、稼働・発電実績は1年に満たない。 
 文科省の担当者は「再稼働後の運営方法の想定次第でいろいろな試算があり、それぞれ精査中。金額についてはコメントできない」と話している。 
 
 もんじゅ 
    通常の原発の使用済み核燃料から取り出したプルトニウムとウランを燃料とし、使った以上のプルトニウムを生み出す「高速増殖炉」の実用化に向け試験を行う原型炉で、国の核燃料サイクル政策の中核。冷却に使うナトリウムは空気や水に触れると発火する恐れがあるため扱いが難しく、1995年には漏えい事故が発生。2012年には約1万件の機器点検漏れが発覚し、規制委から運転禁止命令を受けた。 

30- 自主避難者らが「住宅支援の延長を求める会」の発足式を

 福島県は、自主避難者に対する住宅無償提供を来年3月で打ち切る方針を示しています。国と東電の自主避難者たちを兵糧攻めにしようという冷淡な発想に基づくものです。
 それに対して福島県から山形県に移り住んだ自主避難者や支援者が28日、「住宅支援の延長を求める会」の発足式を開きました。そして今後は支援の輪を山形県内外に広げていくことを確認しました。
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<原発避難> 住宅支援 打ち切り撤回を
河北新報 2016年8月29日
 東京電力福島第1原発事故の影響で福島県から山形県に移り住んだ自主避難者や支援者が28日、「住宅支援の延長を求める会」を設立した。山形県米沢市内で発足式を同日開き、来年3月で自主避難者に対する住宅無償提供を打ち切る方針を示している福島県に方針撤回を求めるとともに、支援の輪を山形県内外に広げていくことを確認した。
 式には避難者と支援者ら約100人が出席した。井上肇会長が「つらい避難生活は今でも続いており、打ち切りはあり得ない。延長を求める動きを、会の発足を機に全国的に広げていきたい」とあいさつ。福島県秘書課を通じ、文書で内堀雅雄知事との面会を求めたことを報告した。
 
 避難者4人が現状を訴え、そのうち福島市から子ども2人と母子避難している米沢市のパート竹内桃子さん(47)は「子どもに転校を強いたくない。2人の高校卒業までは今の避難生活を続けさせてほしい」と話していた。
 28日現在、求める会の趣旨に賛同し署名したのは828人。9月4日には山形市でも発足式が開かれる。

2016年8月29日月曜日

29- 高浜原発 広域避難訓練 まだ問題は山積

 27日に行われた関西電力高浜原発(福井県高浜町)の広域避難訓練に立ち会った佐賀新聞と神戸新聞の記者が、それぞれ問題点を指摘しました。
 
 佐賀新聞は、重大事故時5~31キロ圏の住民は当面屋内退避するという規制委の方針は、熊本地震の際の実態からみて安全ではないし、内閣府が5月に自宅での避難が難しい場合、近隣の避難所に退避することとした方針についても同様であるとしました。
 また自宅や避難所の耐震性の問題以前に、重大事故が起きれば自宅待機という段階避難が機能すると思えないと、心理(学)的に無理な方針であるという指摘もあります。
 
 屋内退避が可能であるとしても、その期間や解除の指標明確になっているとはいえません。
 規制委の方針ではモニタリングの結果自宅周辺が500マイクロシーベルトに達したら即時避難をするとし、20マイクロシーベルト時以上を足掛け2日間観測してから1週間以内に一時避難するという、一体被曝を防げるのかが不明な基準となっています。
 それにモニタリング設備が住民の被曝を防ぐのに十分な密度に敷設されているのか、測定レンジも0.05マイクロシーベルト(通常時)から500マイクロシーベルト超まで一つの計器で測れるのかという問題もあります。
 
 神戸新聞は、広域避難計画で最大約18万人の避難を見込みながら、訓練で避難したのは福井県から兵庫県に向かった約230人を含め約1130人にとどまったことと、計画で想定するマイカーでの避難もほとんど行われず、バスや自治体の公用車を利用したなど、避難計画の想定とかけ離れた訓練内容であったことに、「この訓練に意味はあるのか」と住民受け入れ側の自治体職員実効性を疑問視する声が出たと指摘しました
 また実際の事故発生時は多くの住民がマイカーで避難するので、経由地でスクリーニング(放射線量検査)を受けずに避難先へ殺到する可能性も指摘されました
 
 納得のいく避難訓練ができるのは、まずは避難の基本方針が見直され、避難計画が整備されてからのことです。
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屋内退避実効性に疑問 複合災害への想定甘く
高浜原発広域避難訓練
佐賀新聞 2016年08月28日
 関西電力高浜原発(福井県高浜町)の広域避難訓練は、地震と原発事故が連動する複合災害を想定して実施された。原発事故の避難計画は一部の住民に一時的に屋内にとどまるよう求める。だが家屋に甚大な被害が出た熊本地震クラスの揺れに見舞われれば「屋内退避」は困難になる。専門家は「自然災害への想定が甘い」と計画の実効性を疑問視する。
 山林と崖に挟まれた高浜町の県道。倒木で道路がふさがれたとの想定で、陸上自衛官が重機で撤去する訓練に当たった。鯖江駐屯地の橋本一郎陸曹長は「道路が寸断される状況も考えられる。迅速に動ける態勢を整えたい」と気を引き締めた。
 国の原子力災害対策指針では重大事故時、原発5キロ圏の住民は即時避難する。5~30キロ圏は原則屋内に退避し、放射線量が上がれば避難する「段階避難」を前提とする
 
■在り方明確に
 しかし震度7を2回観測した4月の熊本地震では、16万棟以上が損壊。大規模災害時に活用する緊急輸送道路も打撃を受け、余震を恐れて車中生活を続ける人も多かった。
 内閣府は5月、自宅での避難が難しい場合、近隣の避難所に退避させることを周知する文書を関係自治体に送付した。だが福井県の担当者は「熊本では住宅だけでなく、指定避難所にも被害が及んだ。国は屋内退避の在り方を明確にしてほしい」と困惑する。
 高浜町では自宅に避難できないとの想定で、指定避難所に逃げる訓練も実施した。だが、参加した50代の男性会社員は「そういった訓練とは聞いていない」と戸惑いを隠せない様子だった。
 
■あらゆる可能性
 屋内退避を前提とした避難計画を巡っては、各地の首長も疑問を投げかける。7月に就任した鹿児島県の三反園訓知事は、川内原発の一時停止を九州電力に要請。専門家による委員会で、安全性や避難計画を独自に検証する考えを示す。
 高浜原発30キロ圏に含まれる滋賀県の三日月大造知事も「屋内で安全に過ごせるのか大きな課題だ」と指摘。屋内退避の期間や解除の指標を明確にするよう国に要望する方針だ。
 
 東京女子大の広瀬弘忠名誉教授(災害リスク学)は「熊本地震では、自宅に戻った人が犠牲になるなど屋内退避が危険を招いたケースもある。重大事故が起きれば、段階避難が機能するとも思えない。道路の寸断や交通渋滞など、あらゆる可能性を想定した避難計画が求められる」と話す。
 
 
高浜原発事故訓練、実効性は 参加者に疑問の声も
神戸新聞 2016年8月28日
 関西電力高浜原発(福井県高浜町)の過酷事故を想定した27日の訓練。政府が了承した広域避難計画で最大約18万人の避難を見込みながら、訓練で避難したのは福井県から兵庫県に向かった約230人を含め約1130人にとどまった。計画で想定するマイカーでの避難もほとんど行われず、バスや自治体の公用車を利用。避難計画の想定とかけ離れた訓練内容に、参加した住民、受け入れ側の自治体職員の双方から実効性を疑問視する声が出た。
 計画では、高浜町の住民約7千人が15カ所の避難所に身を寄せることになる宝塚市。訓練では正午すぎ、市役所に約80人がバスで到着し、市職員らから弁当や非常食などの物資を受け取った。
 高浜町横津海の農業山本仁士さん(61)は「今回は1人で参加したが、実際に事故が起きれば家族も一緒。本当に計画通り進められるのか、細かい点で不安はたくさんある」と漏らす。
 
 宝塚市の山中毅危機管理監は「事前に準備しても大変だった。実際に事故が起きたら宝塚市も危ない。受け入れは混乱して難しいと思う」とこぼした。
 高浜町から約3千人の避難受け入れを想定する三田市では、市消防本部に34人がバス2台で到着し、健康状態のチェックを受けた。同町の男性会社員(59)は本来、計画ではマイカーでの避難となっているが、今回はバスを指定された。「家族もいるし、バスは現実的でない。この訓練に意味はあるのか」と疑問を投げ掛けた。
 
 実際の事故発生時は多くの住民がマイカーで避難し、経由地でスクリーニング(放射線量検査)を受けずに避難先へ殺到する可能性もある。
 「そうなればパニックになる。住民が適切に除染を受けてきたのか、見えないだけに不安だ」と三田市危機管理課の江田政憲課長。避難誘導には複数の自治体などが関わり、それぞれの役割が細分化されているため「全体が見渡せず、よその自治体を信じるしかない」と情報を共有する上での課題を挙げた。