2015年9月30日水曜日

浜岡再稼働に前提条件 菊川市議会が意見書を可決

 静岡県菊川市議会は、28日の9月定例会本会議で、浜岡原発について「使用済み核燃料の処分事業や実効性のある広域避難計画が確立されない限り再稼働を認めない」などとする議員発議の意見書を全会一致で可決しました。
 一方、昨年の12月定例会から継続審査していた「再稼働を認めない議会決議を求める請願」は反対多数で不採択になりました
 
   (関係記事)
9月17日 浜岡原発再稼動禁止の請願を不採択 菊川市議会委
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浜岡再稼働に前提条件 菊川市議会が意見書可決
静岡新聞 2015年9月29日
 菊川市議会は28日の9月定例会本会議で、中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)について「使用済み核燃料の処分事業や実効性のある広域避難計画が確立されない限り再稼働を認めない」などとする議員発議の意見書を全会一致で可決した。国と県に提出する。昨年の12月定例会から継続審査していた「再稼働を認めない議会決議を求める請願」は反対多数で不採択になった
 
 意見書の要望では、
使用済み核燃料と高レベル放射性廃棄物の処分事業の実証
市民の安全を確保した上で短期間に帰宅可能な原子力災害広域避難計画の策定
災害に対する原発施設の安全性を市民に十分説明する
の3点を盛り込んだ。これらが確実に実施され、「市民の理解が得られなければ再稼働は認めない」と明文化した。
 請願審議では、付託されていた総務建設委員会の小笠原宏昌委員長が「浜岡原発周辺は日本の東西を結ぶ大動脈。事故が起きた場合の影響は大きい」「再稼働の判断を迫られた際に議会として決めれば良い」といった委員会内の議論を報告。採決は賛成4人、反対12人だった。
 
■市民団体の請願、不採択 異例の長期審査に
 菊川市議会が28日に不採択とした浜岡原発に関する請願は、1年近い異例の長期審査となった。議員からは「高度な専門的知識を求められるために時間がかかった」など、原発問題での判断の難しさをうかがわせる声も漏れた。
 
 市議会は請願で指摘された新規制基準の妥当性や浜岡原発の過酷事故対策を検証するため、有識者から意見を聴くなどした。市議の一人は「問題の複雑さや専門性から議論に時間を費やさざるを得なかった」と明かした。
 市が実施した市民アンケートでは浜岡原発の停止継続を望む意見が2年連続で半数を超える。議会は「請願を不採択にしただけでは納得してもらえない」(小笠原宏昌総務建設委員長)と、代わりに意見書を可決することで世論への配慮を示した格好だ。
 
 ただ、請願を出した市民団体の伊藤芳男共同代表は「請願の不採択は残念。意見書は落としどころを探した結果だろう」と批判した。

2015年9月29日火曜日

電力需給 今夏も余力 原発再稼働の必要性なし

 東京新聞が沖縄を除く電力九社に、今年7月~9月中旬までの月-金曜日のピーク時の電力使用率を取材した結果、原発が稼動しない中でも需要ピーク時の電力使用率が95%を超える「厳しい」日はゼロだったことが分かりました。
 
 既存の発電所の増強や、老朽火力も活用して供給力を確保した他、太陽光発電の導入が昨年に比べて倍増し、原発12基分の出力に相当する計1200万キロワットの電力を生み出したことに拠っています。
 
 原発を再稼動させる必要はありません。
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電力需給 今夏も余力 原発再稼働の根拠揺らぐ
東京新聞 2015年9月28日
 この夏の全国の電力需給を電力各社に取材したところ、需要が最も高まるピーク時の電力使用率が95%を超える「厳しい」日はゼロだったことが分かった。節電の定着や企業・自治体の大手電力離れで需要が減る一方、電力会社間の融通や太陽光発電の増加で供給力を確保し、電力の安定につながった。8月に川内(せんだい)原発1号機(鹿児島県)が再稼働した九州電力を除く地域は今夏も原発なしで乗り切った。 (岸本拓也)
 
 本紙は、原発のない沖縄を除く電力九社に、今年七月~九月中旬までの月-金曜日のピーク時の電力使用率を取材した。使用率は、電力会社が気温などから需要を予測して事前に準備した供給力に対する実際の最大需要の割合で、どれだけ電力に余力があったかを知る目安となる。昨年の夏は中部電力と関西電力でそれぞれ一日「厳しい」日があった。
 今年は東京で過去最長の八日連続の猛暑日となるなど、全国的に八月上旬に暑さのピークを迎え、冷房などの使用により各地で今夏の最大需要を記録した。
 九電管内では八月十一日に川内原発1号機が再稼働。九電は「原発の再稼働がなければ、電力需給は厳しい」としていたが、再稼働前は中部、中国両電力から融通してもらい、余力を確保していた。
 原発が動いていない電力各社は既存の発電所の増強や、老朽火力も活用して供給力を確保。太陽光発電の導入が昨年に比べて倍増し、原発十二基分の出力に相当する計千二百万キロワットの電力を生み出したこともピーク時の供給を下支えした。
 東京電力管内では、最高気温が三七・七度となった八月七日に今夏最大の四千九百五十七万キロワットの需要を記録したが、使用率は92・3%と余力を残していた。
 原発依存度の高い関電管内は、原発稼働がゼロでも使用率が90%未満の「安定」した日がほとんど。同四日に今夏の需要がピークとなったが、中部、中国、北陸の電力三社から計百一万キロワットを融通してもらい、使用率は88・1%にとどまった。
 夏を乗り切れた理由について、電気事業連合会の八木誠会長は「節電が大きな要因」と説明。全国の最大需要は東日本大震災前の二〇一〇年と比べて、今夏は13・5%減少した。加えて、企業や自治体などが、料金値上げをした大手電力を解約して新電力へ切り替える動きが進んだことも需要減の一因となり、今夏の安定につながった。
 
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2015年9月28日月曜日

環境省の除染袋管理不備が明らかに 福島汚染袋流出問題

 集中豪雨で飯舘村と南相馬市の川が氾濫し、汚染土壌などを入れた袋が流出した問題で、県は11日、「流出した袋を全て回収し、現場の管理を徹底してほしい」環境省に強く申し入れましたが、いまだに流出数量の把握ができず、全ての袋を回収することは絶望的です。
 またこの過程で作業日報に記帳漏れなどの不備があることが判明するなど、環境省ずさんな管理体制が明らかになり問題視されています。
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環境省、問われる姿勢 除染袋管理不備、地元目線「足りず」
 福島民友 2015年09月27日 
 関東・東北豪雨で飯舘村と南相馬市の川が氾濫し、農地除染で出た汚染土壌などを入れた大型の袋が流出した問題で、環境省が全体の流出量を把握できていなかったことが分かり、同省のずさんな管理体制が問われている。作業日報などの調査はいまだ難航しており、見つかった袋の数は当初の推定を上回るなど、見通しの甘さも露呈した。県民の不安払拭(ふっしょく)に向け、今後の再発防止と信頼回復が急務だ。 
 
◆濁流が直撃
 「流出した袋を全て回収し、現場の管理を徹底してほしい」。除染で出た土壌や草木を入れた「フレコンバッグ」と呼ばれる袋の流出が発覚した11日、県は環境省に強く申し入れた。しかしその後の調査では要請を裏切る事態が相次いだ。流出した袋は24日現在、未使用分を含め448袋で、うち大半の437袋は飯舘村で見つかった。村は2017(平成29)年3月までの避難指示解除を目標としており、除染作業は待ったなしの状況。除染が済んだ農地には、村内の仮置き場への輸送を待つ袋が一時的に置かれている。豪雨で氾濫した新田川などの濁流が、これらの袋を直撃した。
 
 同省は、作業日報や聞き取りから、流出した量を395袋と推定。しかし、最終的に見つかった袋はさらに増えた。同省は「袋数を記入していない日報もあった」とし、流出量の正確な把握は困難な状況だ。回収が困難な袋も36袋あり、望月義夫環境相は全ての袋を回収することを断念した。17日には、南相馬市の山中に袋の調査に入った5人の遭難事故も起きた。急な斜面で体力を奪われたことが原因だが、同省は「地形の確認が不十分で、安全第一との指示も行き届いていなかった」と不備を認めた。
 
◆体質を指摘
 問題を受け、同省は台風が迫る際に袋を高台に移したり、袋同士をロープで結び付けるなどの対策を取る方針。ただ、県内のこのほかの直轄除染地域では、川の近くにどの程度の袋が一時的に置かれているかについて「浸水エリアの特定を急ぎたい」と述べるにとどめている。除染をめぐっては、今回の件以外でも、環境省の対応に不安が高まっている。「地元目線が足りない」と環境省の体質を指摘する声もある。ある県関係者は「今回も環境省の悪い部分が出た」とため息をつく。
 
◆対応に不信感
 中間貯蔵施設の用地交渉は難航し、大熊、双葉両町からは不満の声が上がる。施設の本格稼働時期が見通せない中、南相馬市では民有地に整備した仮置き場の一部を地権者に返還せざるを得なくなった。汚染土などを入れた袋の一部は耐用年数の3年を超えて使用されているが、環境省が袋の詰め替えなど抜本的な対策に移る気配はない。飯舘村の自営業男性(69)は流出後の一連の同省の対応に不信感を抱き「中間貯蔵施設の用地交渉も除染も信頼関係が前提。きっちり対応してほしい」と求める。

新装置で溶融燃料の成分計測へ 取り出し手法の確立目指す

 福島民報 2015年9月27日
 東京電力は平成28年度にも、福島第一原発1、2、3各号機に残る溶融燃料(燃料デブリ)の成分を正確に計測できる国内初の新型装置を導入する。燃料は事故により変質した可能性が高く、取り出し作業を安全に進める上で状況把握は不可欠だとされてきた。調査結果を詳細に分析した上で、廃炉作業で最大の課題といわれる燃料デブリの搬出法を確立する。
 
 日本原子力研究開発機構(JAEA)が新型装置の開発を進め、東電と導入時期などを協議している。
 装置の構造は直径数ミリの光ファイバーの本体部分と成分計測器からなり、遠隔操作できる。燃料デブリ調査のイメージは【図】の通り。コピーが出来ないので添付しません
 高線量に耐える仕様を施した上で、装置を原子炉圧力容器内などに投入する。光ファイバーの先端部分にカメラやセンサーが取り付けてあり、燃料デブリに接近してレーザー光線を照射する。この際、発生した光を基に構成物質を調べる。
 原発事故では、溶けた核燃料が原子炉圧力容器を突き破る溶融貫通(メルトスルー)という現象が起きた。燃料デブリには圧力容器の金属をはじめ、原子炉格納容器底部のコンクリート、炉心冷却のために注入された海水の塩分などが混じっているとみられる。正確に成分を把握せずに取り出し作業を行えば、空気に触れて予想外の化学反応が起き、核物質が変化する懸念もあるという。
 東電は新型装置による計測で得られた結果を、燃料デブリの取り出し計画作りに反映させる。
 
 JAEAは原発事故発生前の平成17年から、原子炉内にある核燃料の状況を離れた場所から正確に捉える目的で新型装置の研究を進めてきた。開発は最終段階を迎えており、光ファイバーの先端を確実に燃料デブリに近づける研究を急いでいる。
 JAEAの担当者は「廃炉の全工程で活用できる技術。早い時期に現場に投入できるようにしたい」としている。一方、東電は「成分分析の機器は画期的で、廃炉の加速につながる」と期待している。
◇  ◇
 東電は2月から5月にかけて、宇宙線「ミュー粒子」を利用し、1号機の燃料デブリの状況を調べた。原子炉圧力容器にあった核燃料は、ほとんど溶け落ちていた。2、3号機についても今後、調査する。
 4月には1号機の原子炉格納容器1階部分にロボットを投入。12地点で画像を撮影、放射線量の測定に成功した。しかし、燃料デブリがある位置や量、形状を把握できなかった。

2015年9月27日日曜日

再稼働は民意無視 雨突き「安倍やめろ」コール 官邸前

しんぶん赤旗 2015年9月26日
 首都圏反原発連合(反原連)は25日夜、首相官邸前抗議行動を行い、民意を無視して原発の再稼働をすすめる安倍晋三政権に怒りの声をぶつけました。冷たい雨を突いて、800人(主催者発表)の参加者が「原発やめろ」「安倍はやめろ」とコールを響かせました。
 
 「出張のたびに参加している」と話す大阪市の大学非常勤講師の男性(32)は「原子力は世界的に遅れたエネルギーだ。これを今から再び推進するというのはおかしな話だ」といいます。
 東京都調布市の女性(68)は「原発は安全だというごまかしはもう通じない。再稼働は市民の生活を考えない政治のあらわれだと思う。安保法の問題も沖縄の問題も根っこは一緒だと思う。市民の声を聞けないならば、安倍政権は退いてもらうほかない」と語りました。
 三重県伊勢市の男性(61)は「安倍首相は、国民の命や意見よりも電力会社の利益ばかり考えて原発を進めている。こんなやり方は絶対に認められない。すべての原発をなくすまで声をあげ続けます」。
 初めて参加した仙台市の男性会社員(58)は「安倍首相は福島第1原発事故の現実を直視していない。再稼働を進めるなんて民意に逆行するもので、輸出なんて言語道断です」と話しました。
 
藤野衆院議員 原発ゼロ訴え 官邸前行動
 日本共産党の藤野保史衆院議員は25日、原発に反対する官邸前抗議行動に参加して、国会正門前でスピーチしました。
 「今国会のあいだに川内原発再稼働など、悪いことを強行されましたが、毎週みなさんに大きな力をもらいました」とお礼をのべ、「安倍政権を倒して原発を止める次のたたかいは始まっています。国民の世論と運動にかかっています。私たちも原発ゼロまで頑張ります」と強調しました。

原発安全神話の誤り (2)多重防御の欠如 (武田邦彦氏)

 工学倫理の武田邦彦教授による「原発の安全神話が間違いだった理由」シリーズは、第2弾として「多重防御の欠如」を取り上げました。
 
 第1弾では、原子炉固有安全性(=自己安定性)を持たないいわば暴走型原子炉であったということでした。
 
 第2弾は、多重防御になっていなかったという話です。
 多重防御で思い出されるのは、原子炉の核燃料は「5重の壁」で守られていて、万一の事故があっても放射能が外界に漏れ出ることはないという宣伝で、ある東大教授は原発の深刻事故は1億年に1回しか起こらないと豪語していました。
 5重の壁とは、燃料ペレット(ウランを数mmの円筒形ガラス状に焼成したもの)、燃料被覆管(ジルコニウム製金属管)、原子炉圧力容器原子炉格納容器原子炉建屋のことですが、福島の事故ではホンの数時間で核燃料が溶融し圧力容器の下部から溶け出し、建屋の下部は地震により、建屋の上部は水素爆発やその他の爆発によって一瞬の内に破壊されました。いわば極めて脆弱な壁であったわけです。
 
 では規制委の認可のもとに再稼動される原発の安全性はどうなのでしょう。
 原子炉に固有安全性はありません。全く従来どおりです。5層の深層防護といわれる最新の防護策も取られていません。第4層の格納容器損傷防止+放射能大量放出の防止策もとられていない従来のままの格納容器ですし、第5層の住民避難策に至っては規制委は全く関与せずに放置しているという有様です。
 結局これまでどおりの安全神話(=どうせ深刻な大事故は起きない)が継続された状態で再稼動に移るわけです。 
 
 今回もブログの冒頭に多重防御の内容を簡単に図解したものが載っています。
 コピーが出来ないので原記事を参照して下さい。
 (いつものように音声ブログがついています)
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原発の「安全神話」が間違いだった理由(2) 多重防御の欠如 
武田邦彦 2015年09月25日  
  音声ブログのURL ↓
第一回目は「固有安全性の欠如」という整理をしましたが、政治的には「国民が納得してくれれば良い」ということで「堤防を高くすることで原発は安全になる」という考え方で再開をしていますが、技術的には「これまで原発が安全だとされたことが正しかったのか?」という見方が必要です。
 
第二回目は「多重防御(時に深層防御と言うことがあるが、概念が二つ含まれているので注意)」です。多重防御とは、1)どれか一つの機械が壊れても、予備の機械で全体が正常に動くようにする(例:主電源、予備電源、非常用ディーゼル発電機、バッテリー)、2)一つの安全が敗れてもそれが大きな事故にならないようにする(例:原子炉から放射性物質が漏れても直接、大気に出ないようにする)、というもので、「種類と深さ」と言うことになります。
 
福島原発事故が起こってみると、確かに電源は4つありましたが、すべてが同じ地下にあり、海水で浸水するとすべて機能しなくなったとか、バッテリーのコードがつながらなくなった(未確認、不詳)などが分かったのです。つまり、表向き「多重防御、深層防御」と言っておいて、実際には電力会社がコストなどの理由から実施していなかったのです。
 
福島事故が起こってから「現場の作業に必死になって頑張った」と一部に賞賛する人がいますが、このような重要な間違い(ウソとも言える)があったのですから、責任を追及するべきですし、また技術サイドは「なぜ、言っていたことと実際の安全状態が異なっていたのか」を調べる必要があります。
 
私も昔から「非常用電源は原発から2キロほど離れた高台にある。原発が損傷しても電気の供給は続く」と説明されていて、それが「ウソかも知れない」と思って設計図を調べたこともありませんでした。
 
ちょうど今、フォルクスワーゲンの排ガスのウソが報じられていますが、アメリカの大学が実際に走っている車の排ガスを調べて分かったことで、一般人はカタログとか公的な試験結果、あるいは大きな会社の場合はカタログに正しいことが書いてあると思わないと車も買うことができません。
 
福島原発事故で明らかになったのは、電源だけではなく、炉内に強い放射性物質がたまって圧力が上がったとき、「そのまま大気に放出するしかない」という構造になっていました。また取水口には予備がなく、テロの工作員が取水口をふさいだらそれで終わりという設計です。さらには東海第二原発では地震の時に原発の運転はしていないので、堤防に工事のための穴を開けていてそこから海水が浸入して原子炉は爆発寸前まで行きました。
 
東海第二の例などは事故後、ほとんど報道もされないという状態で、設備も保守や運転方法も、「原発は安全である」という説明と全く違っていましたし、再開に当たっても改善されていません。「固有安全性」と「多重防御」という原発の安全性の基本中の基本が、1)どのような状態だったのか、2)どうして事実と反する説明がされていたのか、3)どのようなことが起こったのか、4)改善はどうするのか、が闇の中で再開されようとしています。
 
このようなことが原発賛成派、反対派の感情的な対立を生んでいます。どんな技術でもそうですが、技術サイドが誠実でないと、一般人をごまかすことが簡単ですが、それは原発の推進にはならないということを技術者が分かっていなければなりません。
 
また、技術者は経営者の命令に従うのではなく、技術として守るべきことを崩さないというのが「専門家」というものです。医師が金が儲かると言って、不必要に高い薬や検査をするのと同じになります。主として文化系、経済の人は原発再開と言っていますが、実はまだ、原発は再開できるような技術的な議論はされていないのです。 執筆 平成27年9月25日)

津波対策 東電渋る 事故2年前、保安院が要請

 東電は福島原発事故の2年前に、当時の原子力保安院から8m台の津波が来るから具体的な対応を検討するようにいわれたのですが、原子炉を止めるわけにはいかないとか、土木学会の意見も聞かないととかと言を左右にして放置していたことが、今回政府が公表した記録から分かりました。 
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津波対策 東電渋る 事故2年前、保安院要請
東京新聞 2015年9月26日
 政府は、東京電力福島第一原発事故で、政府事故調査・検証委員会が関係者に聴取した記録(調書)五人分を新たに公表した。事故当時の規制機関だった経済産業省原子力安全・保安院(廃止)の名倉繁樹安全審査官の調書では、事故前に津波対策を求めた際、東電の担当者が「(対策のために)原子炉を止めることができるのか」と渋ったことを明かした。前・原子力規制委員長代理の島崎邦彦氏の調書も公表された。
 
 調書では、東北地方太平洋岸で大被害を出した貞観(じょうがん)地震津波(八六九年)について、名倉氏は二〇〇九年、東電から福島第一の場所での試算結果を示された。津波の高さは八メートル台とされ、名倉氏は具体的な対応を検討した方がいいと求めた
 
 だが、東電は「土木学会の検討を待つ」と回答。重要施設を建屋内に入れることを提案すると、東電の担当者は「土木学会の結果を踏まえないことには、会社として判断できない」「原子炉を止めることができるのか」と対応を渋った。名倉氏は「腹が立った」と振り返ったが、具体的な対策は求めなかった。
 名倉氏は大津波を予測していたのに対策を怠ったとして、住民らの福島原発告訴団から東京地検に告訴・告発されている。
 
 一方、当時、地震予知連絡会会長だった島崎氏は調書で、〇二年に国が出した地震や津波の発生予測の長期評価に、貞観津波と同規模の危険性が、知見が不十分で盛り込まれなかったことを「残念」と悔やんだ。国の防災を検討する中央防災会議でも否定の方向で「防災の要の部署が否定した」と指摘した。大津波を起こす地震の予測について、島崎氏自身も「誤解していた。津波地震に対するわれわれの考え方は、百八十度間違っていた」と後悔した。
 調書の公表は昨年九月以降八回目で、計二百四十六人分となった。

2015年9月26日土曜日

2号機の核燃料 70%~100%溶融か

NHK NEWS WEB 2015年9月26日
東京電力福島第一原子力発電所の事故で放射性物質の大量放出が起きたとされる2号機について、名古屋大学などが素粒子を使って原子炉を透視した結果、核燃料の70%から100%が溶け落ちている可能性が高いことが分かりました。国と東京電力は廃炉に向けてさらに調査を進めることにしています。
 
福島第一原発の事故で放射性物質の大量放出が起きたとされる2号機について、東京電力はこれまで、核燃料の一部は原子炉の中心部に残っていると推定していました。
これに対し、名古屋大学などの研究グループは去年4月以降、さまざまな物質を通り抜ける性質がある「ミューオン」と呼ばれる素粒子を使って2号機の原子炉を透視する調査を行いました。その結果を解析したところ、原子炉の中心部に核燃料が残っていれば赤や黄色で示されるはずが、ほとんど反応が見られませんでした。
比較のために調査した5号機では中心部の核燃料がはっきりと映っていて、研究グループは、2号機の核燃料の70%から100%が溶け落ちた可能性が高いとしています。
一方、原子炉の底にも核燃料の姿は明確には写っていませんが、この部分は調査の精度が低く、核燃料が原子炉を突き破って落下したかどうかはさらに分析を続ける必要があるということです。
今回の結果は事故のすさまじさを改めて示すとともに、核燃料がどこにあるかは廃炉に向けた最大の難関である核燃料の取り出しの工程に大きく影響するため、国や東京電力は年内にも別の装置で2号機を透視する調査を改めて行うほか、原子炉の周囲にロボットを投入する準備を進めています。名古屋大学高等研究院の森島邦博特任助教は、「2号機の原子炉には核燃料も水もほとんど残っていない可能性がある。今後の廃炉に向けて役立てて欲しい」と話しています。
この調査結果は、26日、大阪で開かれる日本物理学会の大会で発表されます。 
 
ミューオンとは
「ミューオン」は、宇宙を飛び交っている「宇宙線」と呼ばれる粒子が大気と衝突してできる「素粒子」の一種です。さまざまな物質の中を通り抜ける性質があるため、建物などを通り抜けたミューオンを観測することでレントゲン写真のように中を透視することができます。
これまでにも高エネルギー加速器研究機構などのグループが福島第一原発1号機の建屋を透視する調査を行っていて、ほとんどの核燃料が原子炉の底を突き抜けている可能性が高いことが明らかになっています。
今回の名古屋大学などの調査は、「原子核乾板」と呼ばれる特殊なフィルムを使って2号機を透視したうえで、結果をコンピューターで解析したもので、2号機の核燃料の状況が観測されたのは初めてです。

原発安全神話の誤り (1)固有安全性の欠如 (武田邦彦氏)

 工学倫理の武田邦彦教授が、「原発の安全神話が間違いだった理由」シリーズの第一弾として、「固有安全性の欠如」を取り上げました。
 
 原子炉の固有安全性(=自己安定性)は、核燃料は軽水中では分裂が促進されるが、核分裂が過激になって軽水が沸騰すると炉内が気泡で充満されるので分裂が抑えられることになり、その結果暴走に至らないという考え方です。
 この特性によって黒鉛炉型のチェルノブイリ原発のような事故は生じないとされていました。
 
 しかしそれが間違いであったことが福島原発の事故によって証明されました。
  
 ブログの冒頭には固有安定性を簡単に図解したものが載っています。
 コピーが出来ないので原記事を参照して下さい。
 (いつものように音声ブログがついています)
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原発の「安全神話」が間違いだった理由(1) 固有安全性の欠如
武田邦彦 2015年09月24日
音声ブログのURL ↓
 
日本人が原発を使うことを認めたのは、原発が「絶対に安全」と説明されていたからだ。「絶対安全」という「安全神話」は「5メートルまでの津波なら大丈夫だけれど、15メートルなら爆発する」とか、「テロはあり得ない」というように、「絶対安全」というのが「原発の実施者側の恣意的な仮定」の範囲内だけで、それを外れたら爆発し、その時には「想定外」と言われるというようには考えてはいなかった。
 
確かに国や東大の教授などは20年ほど前までは「軽水炉(日本の原発の形)は絶対に安全」と思っていた節がある。それは表紙に示したように「固有安全性」があると錯覚していたからだ。
 
固有安全性とは「原子炉が暴走しそうになると自動的に沈静化に向かう。何もしなくても爆発することはない」ということだ。つまり、事故が起こりそうになると自分自身で事故を押さえることができる性質をもっているということだ。
 
普通の工場や装置の場合は、爆発すると言ってもそんなに大規模な爆発はしない。最近起こった中国・天津の爆発ぐらいが歴史的にも最大規模だ。それに普通の場合は「放射線」などというものがないので、せいぜい、毒ガスのマスクをつければ消火などをすることができる。つまり事故が起こっても工場に近づくことができる。
 
ところが、原発は事故が起こると一般的には放射性物質が大量にでるので、人が近づけない。つまり、消火しようとしても消火できないということになる。ここが他の工場や装置と決定的に違うので、普段から「事故が起こったら自動的に事故の拡大を防ぐことができる」ということが必要で、その中心が「固有安全性」だった。
 
たとえば、原子炉の中の制御棒(核反応を止める役割)が不調だったり、冷却水の循環が不足したりすると、核分裂中のウランからでる中性子が沸騰している水に吸収されて連続した核分裂反応が止まるという考え方である。これが本当なら(原子力の人はすべてこの考えだった)、水の中にある核燃料は爆発することはない。これが「軽水炉」というもので、「安全な炉」と考えられていた。
 
ところが、今回の福島の状態を見ると、地震で配管が外れたか、津波で電源を失ったかして水の循環ができなくなった。そうすると炉内の水の温度が上がって沸騰し、そこで核分裂が止まるので、それ以上、熱を発生することなく、原子炉は冷えていく予定であった。でも、このような場合の簡単な熱量計算に間違いがあったようだ。
 
原子炉内は新たな核分裂で生じる熱と、すでに核分裂した放射性物質の崩壊による崩壊熱があり、崩壊熱は新しく核分裂する熱の約10分の1程度とされていた。なぜかは不明だが、この崩壊熱が炉内の水の蒸発熱などより遙かに大きく、従ってすべての水が蒸発し、水蒸気が分解して水素と酸素をだし、炉内や炉外で爆発混合気を形成するという、物理的には学生でもすぐに計算できる状態を、なぜか計算間違いをしていたようだ。もしかすると「ウソ」だったかも知れない。
 
かくいう私も原理を理解し、固有安全性を保つように水の量などが設計されているとばかり思っていて、自分では計算していなかった。図面を見れば原子炉の構造も崩壊熱も分かるのだから、計算すれば良かったが、「原子炉設計者が言っているのだから、間違いは無いだろう」と思って、社会にもそのように発信していた。私は、原子力関係者として情けない限りだが、事実はそうだった。
 
ただ、事故が起こって4年以上も経つのに、まだ「固有安全性」という原子炉の基本設計思想はどうだったのか?が明らかにされないまま原発が再開されようとし、それに疑問を挟む技術者がいないのが不思議である。 執筆 平成27年9月24日)

2015年9月25日金曜日

政府の説明は「全部うそ」 会場を沸かせた“小泉節” 

 小泉純一郎元首相(73)松山市内のホテルで16日にあった講演会で、立ちっ放しで1時間以上「脱原発」の熱弁を奮いました。
 
 政府や電力会社が説明する原発の安全性やコストの安さについて「全部うそ」とばっさり切り捨て、「日本は原発ゼロでやっていける」、「首相が原発ゼロに舵を切れば、多くの国民が協力してくれるのに残念だ、安倍首相のこともを批判しました。
 
 小泉氏は首相在任中は原発推進派で、郵政民営化を行い、新自由主義政策を進め日本を格差社会に変えました。そういう点で評価できるところはないのですが、脱原発への転身については「過ちては改むるに憚ること勿れ」の論語を引用して言い訳にしています(それ以外のことについての反省の言は聞こえてきません)。
 
 産経新聞は保守の牙城で原発推進派なのですが、社の趣旨に反するものであっても比較的詳細に紹介するというところがあります。
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政府説明は「全部うそ」 原発派沸かせた“小泉節” 
1時間立ちっぱなしの熱弁、批判の矛先は安倍首相にも
産経新聞 2015年9月24日
 東京電力福島第1原発事故後、脱原発社会を掲げ、講演活動を続けている小泉純一郎元首相(73)。松山市内のホテルで16日にあった講演会でも脱原発の持論を展開した。政府や電力会社が説明する原発の安全性やコストの安さについて「全部うそ」と痛烈に批判。一方で、「ピンチをチャンスに変えるべきだ。日本は原発ゼロでやっていける」と政府が脱原発に舵を切るよう訴えた。1時間以上立ちっぱなしで、約600人を前に熱弁をふるった元首相。首相在任中の原発推進から立場は変わったが、“小泉節”は健在だった。
 
原発神話「全部うそ」
 「松山空港から会場まで天ぷら油の廃油で走る車で来た。天ぷら油で車が走ってしまう。たいしたものだ。まさにバイオだ」
 講演の“つかみ”でこう語りかけた小泉元首相。その後も、簡潔で明快な言葉を巧みに使う独特のフレーズで参加者の関心を引き寄せた。
 政府や電力会社などが説明する原発の安全性や環境への配慮、コストの安さという優位性については「全部うそ」とばっさり。「一度事故が起きれば取り返しがつかない。環境や農産物、故郷なども…。損害賠償などに多額の税金が投入される」と訴えた。
 電力会社の体質にも触れ、「電力会社は原発を動かせば損はしない。コストに上乗せして電気料金を決めていた。電力自由化が始まると、原発が一番安い電力でなくなる」と述べた。
 首相在任中は原発を推進しながら、退陣後は脱原発というのは無責任だ-。自身に向けられたそんな批判に対しては、『過ちを犯したことを知っていながらも過ちを認めないのが本当の過ち』とした論語を引用し、「それは承知。勉強すればするほどうそだと分かった」と語り、会場を沸かせた。
 再稼働を進める政府の方針にも批判を向けた。「核のごみ」(高レベル放射性廃棄物)の最終処分場の候補地を国が選定する方式に変更したが、「自治体も住民もOKしない。再稼働すれば、また核のごみが増える。見通しが甘い」。原子力規制委員会が世界最高水準としている新規制基準についても、「他国と比較していないのにどうして世界一と分かるのか」と苦言を呈した。
 
脱原発は志ある事業
 講演では、脱原発社会の実現を多くの国民が共感できる壮大で夢のある事業と位置づけた。
 昭和40年代後半の石油ショック以後、日本が地道に省エネなどの技術開発に力を入れ、環境先進国になった例を挙げ、「日本人はピンチをチャンスに変える能力に優れている」と強調。九州電力川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)が再稼働した8月までの約2年間、原発ゼロが続いたが、「寒い冬も暑い夏も停電は起きなかった。脱原発宣言したドイツでも何基か原発が動いている。原発ゼロでやっていけるのは日本だけ」との認識を示した。
 その上で、「自然と共存しエネルギーに代えて国民を豊かにする社会の方がはるかによい。原発ゼロは志のある事業。やるべき価値のある仕事で、あきらめずに続けていく。原発の負の遺産を将来に負わせてはいけない」と訴えた。
 
反原発団体の姿も
 今回の講演は、地元の環境コンサルティング会社などでつくる市民団体「愛媛のエネルギーを考える会」が主催。四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)が新規制基準に適合し、再稼働に向けた地元同意の動きが本格化する中での開催となった。
 会場には、福島の事故の経営責任を問う東電株主代表訴訟の弁護団長を務める河合弘之弁護士をはじめ、伊方原発再稼働に反対する同県内の市民団体の関係者らも姿をみせた。
 そんな中で熱弁をふるった元首相。「首相を辞めて、政界引退して、まさかこんな講演をするとは夢にも思わなかった。それでも70歳過ぎても立ちっぱなしで講演ができる」.次々と繰り出される“小泉節”に会場は大いに盛り上がった。
 
批判の矛先は首相にも
 講演後には記者会見も行い、「伊方(原発)であれ、どこであれ、原発を再稼働すべきではない。再稼働すれば核のごみが増える。発想が分からない」と、改めて再稼働反対を訴えた。
 また、「これほどピンチをチャンスに変える時代はない。首相が原発ゼロに舵を切れば、多くの国民が協力してくれる。考えを変えないようで残念だ」と、批判の矛先は安倍晋三首相にも。
 「みなさんの熱心な反応が私に元気を与えてくれる。1時間以上話しても疲れない」。講演をこう振り返った小泉元首相。その“発進力”はまだまだ衰えていないようだ。

福島第一原発廃炉に向け仏の研究機関と協定へ

NHK NEWS WEB 2015年9月23日
東京電力福島第一原子力発電所では、廃炉に向けて放射線量が極めて高い現場での前例のない作業が今後、本格化していくことから、東京電力は、廃炉や除染に多くの実績があるフランスの研究機関と技術的なノウハウなどの情報提供を受ける協定を結ぶことになりました。
福島第一原発では、廃炉の最大の難関とされる溶け落ちた核燃料の取り出しに向けて、今後、原子炉を取り囲む「格納容器」と呼ばれる設備周辺の調査や除染などを本格化させる必要がありますが、放射線量が極めて高いため人が近づくことが出来ず、前例のない難しい作業となります。
このため東京電力は、フランス国内で老朽化した原発や核燃料の再処理施設などの解体を手がけている公的研究機関、CEA=原子力・代替エネルギー庁と技術的なノウハウなどの情報提供を受ける協定を結ぶことになりました。
協定では、CEAから汚染の激しい場所で使う遠隔操作のロボットの開発や協力企業の人材育成などのノウハウの提供を受ける一方、東京電力側からは福島第一原発の廃炉に関するデータを提供するということです。
こうした海外との情報提供の協定は、去年、イギリスの企業と汚染水対策などを巡る協定を結んだのに続いて2例目で、東京電力は今後、CEAの経験に学びながら、福島第一原発の廃炉に向けた技術開発を進めたい考えです。

2015年9月24日木曜日

反原連が日比谷公会堂でイベントそして国会前で抗議集会

 22日、首都圏反原発連合(反原連)が東京・日比谷公会堂で原発ゼロ、再稼働反対を求めて「KEEP CALM AND NO NUKES!」が開かれ、トークセッションや講演、アーティストによるライブが行われました。
 
 その後国会前に移動し、「0922反原発☆首相官邸前・国会前大抗議」集会に移行しました。
 晴天の秋空のもと、のべ1万3000人が参加し、「再稼働反対」「安倍晋三は原発やめろ」のコールが首相官邸、国会議事堂を包みました。
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反原連がイベント
しんぶん赤旗 2015年9月23日
        ミサオ・レッドウルフさん 安倍政権倒し原発止める
        奥田 愛基さん 民主主義は参加してこそ
        鎌仲ひとみさん 話し合える場つくりたい
 
 原発ゼロ、再稼働反対を求めて22日、首都圏反原発連合(反原連)が東京・日比谷公会堂で開いた「KEEP CALM AND NO NUKES!」。トークセッションや講演、アーティストによるライブがおこなわれました。
 
 トークセッションには、精神科医の香山リカさん、慶応大学教授の金子勝さん、映像作家の鎌仲ひとみさん、社会学者の上野千鶴子さん、シールズの奥田愛基(あき)さんが出演。原発再稼働や、安倍政権の暴走をどう止めていくかなどをテーマに話し合いました。
 進行を務めた反原連のミサオ・レッドウルフさんは、運動によって民主党政権は「2030年代原発ゼロ」を決めたが、安倍政権はエネルギー基本計画で原発推進にかじを切ったと指摘。「原発を止めるために、安倍政権を倒さなければならない」とのべました。
 
 「安保法制反対では若者の思いに引きずられて行動した」と切り出した上野さんは「3・11以降、首相官邸前での、うまずたゆまぬ運動の継続があったからこそ、今の風景が生まれた」と強調しました。
 香山さんは「みなさんが抗議の場をつくり続けてくれたから、私も自主的に声をあげることができるようになりました。自分は孤独ではないと思えるようになりました」と語りました。
 原発事故を扱った映画の上映会をおこなっている鎌仲さんは「今はまだ声があげづらい人にも、自分には何ができるかを考え、話し合える場をつくっていきたい」と発言。
 金子さんは「生きるための言葉を届けたときに、民主主義は力をもつと思う。そのために主張し、安保法制や原発再稼働など、おかしいことには声を出していきたい」と話しました。
 「全国各地で『今やらないと』と思い立ち、行動するという連鎖が起きて、今の状況が生まれていると思う」と話した奥田さん。「民主主義は、制度としてあるだけじゃダメで、人びとがちゃんと参加しないと劣化していく。民主主義とは他者と生きる能力だと思います」と語りました。
 
 
原発反対は主権者の声 反原連が官邸・国会前大抗議
しんぶん赤旗 2015年9月23日
 国民の声を無視して原発再稼働に突き進む安倍晋三政権に対し、「原発やめろ」「再稼働反対」の声を突きつけようと、「KEEP CALM AND NO NUKES 0922反原発☆首相官邸前・国会前大抗議」が22日、行われました。首都圏反原発連合(反原連)の主催。晴天の秋空のもと、のべ1万3000人(主催者発表)が参加し、「再稼働反対」「安倍晋三は原発やめろ」のコールが首相官邸、国会議事堂を包みました。
 
 国会正門前で、反原連のミサオ・レッドウルフさんは、安倍政権の姿勢を批判し、「原発反対、再稼働反対、エネルギー政策の転換を求めて主権者の声を可視化していこう」と呼びかけました。
 学者や弁護士、日本共産党の笠井亮、藤野保史両衆院議員、民主党の菅直人元首相(衆院議員)らがスピーチしました。
 社会学者の上野千鶴子さんは「あらゆる人がデモに参加することが普通の社会になった。これは、官邸前で原発反対の金曜行動を続けてきた人たちがいたからだ」と発言。笠井氏は「原発にしがみついて再稼働を推進する安倍政権は1日たりとも続けさせてはならない」と訴えました。
 これに先立って日比谷公会堂で開かれた集会では、6氏によるトークセッションがおこなわれ、シールズの奥田愛基(あき)さんは「官邸前抗議などの運動がすべて今の運動につながっている。今の運動は、次の人へとつながっていく」と語りました。
 東京都渋谷区の女性(67)は「川内原発が再稼働されたが、けっして負けてはいない。運動の盛り上がりに押されて追い込まれているのは安倍政権だ。理屈の通らないことを無理やり通そうとするやり方は許さない」と話しました。
 
粘り強くたたかおう 笠井・藤野議員がスピーチ
 日本共産党の笠井亮、藤野保史の両衆院議員は22日、「反原発☆首相官邸前・国会前大抗議」に参加し、国会正門前でスピーチしました。
 笠井氏は「3年半続いた官邸前の抗議行動。『原発なくせ』と訴えてきた皆さんの声が大きくなって巨大な国民的うねり、運動につながりました」と指摘。国民連合政府の提案にふれながら、「圧倒的多数の国民の声を踏みにじる安倍政権を退陣させ、立憲主義、民主主義を取り戻す新しい政治をつくりましょう」と呼びかけました。
 藤野氏は、原発立地自治体で原発のない街づくりをめざす住民運動が起こっていることを紹介。「各地の運動の根っこには官邸前行動がある。粘り強くたたかいを続けましょう」と訴えました。