2024年1月31日水曜日

柏崎刈羽原発 運転禁止命令解除についての住民説明会で今後の地震を不安視する声

 運転禁止命令が解除された柏崎刈羽原発を巡り、東電による住民向け説明会が1月28日、刈羽村で開かれおよそ70人が参加しました。
 参加した住民からは「活断層が動いた時に柏崎刈羽原発がどうなるんだろうか」「どれくらいの人が逃げるかを把握して立てられた避難計画なのか」「今回の能登半島地震を見るともう道路なんてぐちゃぐちゃで通れない。それで逃げろと言っても逃げられない」など、能登半島地震を受け今後の地震による影響や避難のあり方を不安視する声が出されました。
 これらは現実の問題なので真剣に検討されるべきです。本当にヘリコプターが利用可能であるのなら、それによってどれほどの住民が避難できるのかをもっとリアルに説明すべきです。
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柏崎刈羽原発”運転禁止命令”解除後初の住民説明会 東電に対し今後の地震を不安視する声【新潟】
                       NST新潟総合テレビ 2024/1/28
先月事実上の運転禁止命令が解除された柏崎刈羽原発を巡り、東京電力による住民向け説明会が1月28日、刈羽村で開かれました。
テロ対策の不備などにより出されていた事実上の運転禁止命令が、先月解除された柏崎刈羽原発。
命令解除後初となる東京電力による住民説明会には、およそ70人が参加しました。
きょうは改善したテロ対策などについて説明が行われた一方…
【参加した住民】
活断層が動いた時に柏崎刈羽原発がどうなるんだろうか
どれくらいの人が逃げるかを把握して立てられた避難計画なのか
参加した住民からは、能登半島地震を受け、今後の地震による影響や避難のあり方を不安視する声が多くあがりました
【東京電力新潟本社 橘田昌哉代表】
「新しい知見や考え方が示されれば、それに沿った形で事業者としてできる限りのことをやっていきたい」
東電はまた、再稼働に向けては地元の同意を得ることが前提だとあらためて説明しました。
住民説明会は30日に柏崎市でも開かれます。


「逃げろと言っても逃げられないのでは」東京電力柏崎刈羽原発住民説明会で地震に不安な声も
                          BSN新潟放送 2024/1/28
新潟県の東京電力柏崎刈羽原発の事実上の運転禁止命令が解除されたことを受けて地域住民を対象とした説明会が開かれました。
東京電力が新潟県刈羽村で開いた説明会には住民およそ70人が参加しました。柏崎刈羽原発について原子力規制委員会は昨年末、事実上の運転禁止命令を解除。説明会では東電がテロ対策の改善状況などを説明しました。会場からは問題が繰り返し起きたことに対して東電の事業者としての覚悟を問う声や、有事の際の迅速な情報発信について求める意見が出たほか、地震に関する不安も上がりました。
【住民】
今回の能登半島地震を見るともう道路何てぐちゃぐちゃで通れない。それで逃げろと言っても逃げられない。」
【東京電力新潟本社 橘田昌哉代表】
当然のことながら自家用車、バスによる避難が困難な場合にヘリコプターや船舶を活用した避難訓練も行われている
東電は30日に柏崎市でも説明会を開きます。

志賀原発の再稼働審査、「年単位」で長期化へ…海底活断層の連動が想定超え

 最大震度7を観測した能登半島地震で志賀原発の震度は5とされましたが、装置の耐震性のチェックに必要な数値は各階各場所における「加速度(ガル)」です。
 北陸電力は早急にその数値を公表すべきです。
 今後同原発の審査(特に耐震性)が長期化することは明らかです。
 北陸電は当初海底活断層の長さを96キロと想定しましたが、実際には約150キロであったようです地震の強度は活断層の長さによって(一義的に)決まるので基準地震動は当然大きくなります。
 これについて規制委の山中委員長は「海底の活断層について国などの調査を待つ必要がある」と述べました。これは再稼働に前向きな規制委ではなく第3者が検討するのが正解で、それには数年がかかるので審査はそれ以上の時間がかかることになります。
 また宮野広・法政大元客員教授は、「変圧器の損傷や情報発信のあり方、当日の人員配置など、ソフト・ハード両面で地震で得られた教訓を洗い出し、他の電力会社とも共有すべきだ」と語ります。
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志賀原発の再稼働審査、「年単位」で長期化へ…海底活断層の連動が想定超えか
                            読売新聞 2024/1/28
 最大震度7を観測した能登半島地震で、北陸電力志賀原子力発電所(石川県志賀町)の再稼働に向けた審査が長期化する見通しとなった。北陸電の想定より長い海底活断層が連動した可能性が浮上。原子力規制委員会は、原発への活断層の影響を見極めるには数年レベルの時間が必要との見方を示す。

 同原発には1、2号機の2基の原子炉があり、東京電力福島第一原発事故があった2011年に運転を停止した。北陸電は14年、2号機の再稼働を目指し安全審査を申請した。
 規制委の審査では、原発周辺の活断層などがもたらす最大規模の揺れ「基準地震動」を決め、原発の耐震設計に反映させる。これまでは敷地内の断層が活断層かどうかに時間を費やし、これから周辺の活断層に関する審査を進める矢先に大地震が起きた。
 北陸電が準備した審査資料では、能登半島北部に連なる計約96キロ・メートルの海底活断層が連動する可能性を説明していた。これに対し、政府の地震調査委員会は今回の地震では、海底活断層が連動するなどして約150キロ・メートルの岩盤が動いた可能性を指摘。活断層が長ければ想定される地震の規模は大きくなり、審査資料の根拠が揺らぎかねない。

 原発周辺にはこのほかにも陸域、海域に多数の活断層がある。このうち原発に近い志賀町沖合の活断層は今回の地震で動きやすくなったと指摘する専門家もいる。活断層の影響が不明なままでは原発の耐震設計はいつまでも定まらず、再稼働できない状態が続く。
 規制委の山中伸介委員長は、活断層について国などの調査を待つ必要があるとした上で「恐らく年単位の時間がかかる。審査はそれ以上の時間がかかる」との見通しを示す。

変圧器損壊で受電できず「想定外」
 今回の地震で、同原発は震度5強の揺れに見舞われた。安全上、重大な問題は起きていないが、「想定外」のトラブルもあった。
 同原発では、計1657体の核燃料があり、外部電源を使い燃料プールで冷却する必要がある。しかし、地震で原発内の複数の変圧器が破損し、5系統のうち2系統の電源網が使えなくなった。完全復旧には、半年以上かかる見通しだ。

 北陸電は、外部電源が全て失われた福島第一原発事故後、電源の多重化を進めてきた。非常用ディーゼル発電機などの準備もある。ただ、変圧器の破損で受電できない事態は、規制委の委員から「(規制委側として)想定していなかった」との発言が出た。
 北陸電の情報発信も修正が相次いだ。作業員が1日夕、2号機で「爆発音」を聞き、焦げ臭いにおいがしたと報告。林官房長官は「変圧器に火災が発生し、消火済みだ」と発表したが、実際は装置の作動音と油のにおいによるものだった。変圧器から漏れた油の量や、津波による水位変動の説明も修正した。北陸電は「社内の情報共有が不十分だった」と釈明した。

 宮野広・法政大元客員教授(原子炉システム学)は「変圧器の損傷や情報発信のあり方、当日の人員配置など、ソフト・ハード両面で地震で得られた教訓を洗い出し、他の電力会社とも共有すべきだ」と語る。

変圧器、配管接続部に亀裂 志賀原発、報告書を提出

 志賀原発の変圧器周りの絶縁油の漏れが同ラインの亀裂によるものであったことが約1ヶ月ぶりに報告されました。
 細管と(変圧器や冷却器などの)機器類との接続は装置の至る所で見られるものなので、配管の亀裂が変圧器周りだけで起きたとは到底信じられません。変圧器の損傷は単に隠せないから公表したのではないのか、北陸電力は全体の破損状況について明らかにすべきです。
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変圧器、配管接続部に亀裂 志賀原発、報告書を提出 北陸電
                            時事通信 2024/1/30
 北陸電力は30日、能登半島地震後に志賀原発(石川県志賀町)で起きた変圧器の油漏れについて、配管の接続部分に亀裂が確認されたと明らかにした。
 地震による揺れで損傷したとみられる。同社は同日、現時点までの調査報告書を原子力規制委員会などに提出した。
 1日の地震で、志賀原発は1、2号機ともに外部電源を受けるための変圧器が1台ずつ損傷。1号機は約3600リットル、2号機は約1万9800リットルの絶縁用油が漏れた。

 北陸電によると、2台の変圧器を点検した結果、放熱器や冷却器をつなぐ配管に亀裂が見つかった。同社は、部品の交換や内部点検を行うとしているが、復旧の見通しは立っていない。  

原発回帰への新たな仕掛け 長期停止でも最大25億円交付など 経産省

 経産省が、原子力規制委の新規制基準適合審査などで10年以上停止している原発の地元の自治体に最大255億円を交付するなどの規則を新たに設けたことがわかりました。昨年5月に原発推進等5法が成立した1カ月後に設けられました。

 今回の改定ではほかに、原発から30キロ圏内の人口が30万人以上で、かつ避難計画が国の原子力防災会議で了承されていない場合に、最大40億円を自治体に支払うことも設けられました
 また避難計画の策定が義務づけられた原発から30キロ圏内の人口が30万人以上で、かつ避難計画が国の原子力防災会議で了承されていない場合に、最大40億円を自治体に支払うことも設けられました。柏崎刈羽原発、原電東海第2原発がこれに当たります。
 MOX燃料を使うプルサーマル発電を31年までに開始した場合も、最大25億円を交付することも設けられました。
 まさに馬を人参で走らせようとする作戦です。
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原発回帰への新たな仕掛け 長期停止でも最大25億円交付 経産省 推進等5法成立1カ月後
                      しんぶん赤旗 2024年1月29日
 経済産業省が、原子力規制委員会の新規制基準適合審査などで10年以上停止している原発の地元の自治体に最大25億円を交付するなどの規則を新たに設けたことがわかりました。対象になるのは、北海道電力泊(北海道)、東北電力東通(青森県)、北陸電力志賀(石川県)、日本原子力発電敦賀(福井県)などの各原発です。

 この原発交付金は東京電力福島第1原発事故後の2015年に「原発を取りまく環境変化が立地地域に与える影響の緩和をはかる」として設けられた原子力発電施設等立地地域基盤整備支援事業交付金。長期停止原発などに交付すると規則が改定されたのは、原発回帰に大転換する原発推進等5法が成立した昨年5月の1カ月後の同6月です。
 これまでも同交付金は、再稼働した時期が早ければ早いほど交付限度額を多くし、早く再稼働した原発の立地自治体を優遇。さらにその後の改定で、運転期間が40年超の老朽原発が26年3月末までに再稼働した場合に最大25億円を交付しています。

 今回の改定ではほかに、避難計画の策定が義務づけられた原発から30キロ圏内の人口が30万人以上で、かつ避難計画が国の原子力防災会議で了承されていない場合に、最大40億円を自治体に支払うことも新たに設けられました。東電柏崎刈羽原発(新潟県)、原電東海第2原発(茨城県)がこれに当たります。人口の条件などが該当しない場合も最大20億円を交付します。
 また、使用済み核燃料の再処理で取り出したプルトニウムとウランで製造されたMOX燃料を原発で使うプルサーマル発電を31年までに開始した場合も、最大25億円を交付することも新たに設けられました
 同省によると、今回の改定に関係して申請があったのは福井、立地県に隣接する京都、島根の3府県といいます。
 昨年5月、原発推進等5法が強行され、改定された原子力基本法に「国の責務」として原発の活用を明記。地域振興など原発立地地域の課題解決の取り組みの推進が「国の責務」に盛り込まれました。

川内原発運転延長判断を市民に説明 能登半島地震踏まえた質問相次ぐ

 川内原発の運転延長について、薩摩川内市で275機関による住民説明会が開かれ市民271人が出席しました
 肝心の原子炉容器の安全性については「3つの部分について安全点検をすることになっていて、なにも欠陥は認められなかった」ということです。語感からして目視点検のように思われますが、目視で20年先は勿論 現状についても一体何が分かるというのでしょうか。
 また「能登半島地震のように敷地が4m隆起したときに安全性が保たれるのか?」への回答「原発の安全機能を損なわないようにということで審査で確認してある」も、具体性がなくて何を言っているのか不明です。
 そもそも原発に必要な大量の冷却水は海水を引いて賄っているのに、4mも地盤が隆起してもなぜ冷却が可能で安全性が保たれるというのでしょうか。少なくとも即答できるような問題ではありません。これでは村民を丸め込んだだけといわれても仕方がありません。
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川内原発運転延長判断を市民に説明 規制委・内閣府・県など6者がそろう 能登半島地震踏まえた質問相次ぐ 鹿児島
                         MBC南日本放送 2024/1/29
川内原発の運転延長について、薩摩川内市で27日、市や県、原子力規制委など5機関による住民説明会が開かれました。市民からは元日に起きた能登半島地震を例に懸念する質問が出されました。
薩摩川内市の主催で27日に開かれた住民説明会です。市と原子力規制庁、内閣府、資源エネルギー庁、県、九電のあわせて6者が説明に立ち、市民271人が出席しました。
川内原発では1号機がことし7月、2号機が来年11月に法律で定められた運転開始から40年の期限を迎えるのを前に、去年11月、原子力規制委員会が20年の運転延長を認可し、翌12月、薩摩川内市と県もその判断を容認しています。

説明会では、まず原子力規制委員会の事務局である原子力規制庁の担当者が、川内原発の運転延長を認可した判断について説明しました。
(原子力規制庁 塚部暢之安全規制調整官)「原子炉容器は3つの部分について安全点検をすることになっている。結果、なにも欠陥は認められなかった
その後の質疑応答は、事前に文書で質問内容の提出を求めて行われましたが、市民の関心はことし元日の能登半島地震に集中していました。

Q.能登半島地震では地震により隆起が起こっているが、仮に敷地が4メートル隆起したときに安全性が保たれるのか
(原子力規制庁 鈴木健之安全審査専門職)「建物そのものの耐震性もそうだが、地盤が地震のときに建物構築物を支持できるのか、(原発の)安全機能を損なわないようにということで審査で確認してある」

原子力防災を担う、内閣府への質問では…
Q.道路の寸断などによる多数の集落の孤立、志賀原発の事故時の避難先市町の甚大な被害など、原子力防災のあり方の根本的な見直しが必要ではないか
(内閣府 高橋一幸地域原子力防災推進官)「自然災害と原子力災害が起きた場合、自然災害の避難行動をとっていただく。安全に避難が準備できるまでは原子力災害の避難はその次というところが大原則

能登半島地震を巡っては、発生から内閣総理大臣を本部長とする非常災害対策本部の設置まで6時間半かかり、1回目の会議に至っては翌2日の午前にずれこみました。
情報発信・防災対応は本当に大丈夫なのか?その後の記者会見でさらに質問を重ねると…
Q.途中で非常災対本部に上がるような形になった。(対応・情報発信が)本当にできるのかとの懸念が(市民から)出ているたのでは?
(内閣府 高橋一幸地域原子力防災推進官)「いままさに災害の対応中。教訓・検証は後日きちんとやったほうがいい。よりよくしていく、ひとつの教訓として能登半島地震は考えていかなくてはいけない」
薩摩川内市民は…
(会社員)「理解が深まったのでいいセミナーだった。リスクはあると思うけれど、いろいろと便利になってきている(運転延長に)賛成」
(市民)「知らなきゃと思ってきたけれど、(内容が)難しくて分からない。こうやって電気の恩恵に預かっているほうで反対ってあからさまには言えない。とにかく子どもたちに安心して未来を託せる環境にはしてもらいたい」

薩摩川内市の田中良二市長は…
「能登半島地震から出てくる新しい知見と、来月の原子力防災訓練における振り返りを、次の原子力防災訓練・安全対策にはいかしていくべきと現時点でも考えている」
川内原発の運転延長認可後、初めてとなる県の原子力防災訓練は来月10日に行われます。

31- 「本当に来るんだ」津波がわずかな時間で到達 その時、上越市住民がとった行動は

 テレビ新潟が能登半島地震時に津波に襲われた上越市の様子を報じました。
 原発と直接の関係はありませんが、津波の襲来が予想されるとき、原発事故時に5~30キロ圏内の住民が「当初は屋内退避」とされているのが、「絵空事」であることが分かります。
 気象庁によると津波が陸をはい上がり到達した高さ上越市で58メートルでした。
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【能登半島地震】「本当に来るんだ」津波がわずかな時間で到達 その時、住民がとった行動は 上越市を襲った津波 速度は新幹線より速い《新潟》
                        TeNYテレビ新潟 2024/1/30
能登半島地震からまもなく1か月。
地震がもたらした課題と教訓について住民の証言をもとに振り返ります。
今回は「津波からの避難」についてです。
上越市の海岸沿いの地区では10分ほどで津波に襲われました。
どのように避難したのか地域の住民がアンケート調査を行うと課題が浮かび上がってきました。

沿岸部のまちに押しよせた津波
勢いよく川を遡上する津波。
地震からわずか20分後、防波堤を越え沿岸部のまちを襲いました。
「津波きてるぞー!上あがれ!」
上越市港町。海抜は2メートルから3メートル。
津波は堤防を越え住宅地に押し寄せてきました。
海水浴場にはがれきが散乱、浜辺の土産物店には押し流されてきた大型の厨房機器も・・・。
県内の観測地点のうち、柏崎市鯨波で40センチ、新潟市と佐渡市鷲崎で30センチの津波を観測しました。
現地調査を行ったのは、長岡技術科学大学の犬飼直之准教授です。
上越市など観測地点が無かった地域では「2メートル」ほどの津波が押し寄せていたと分析します。
【長岡技術科学大学 犬飼直之准教授
「直江津あたりが突出して津波の痕跡高が高くなっている。到達した津波の高さは2メートルくらいはあったんじゃないかと考えています」
さらに、気象庁は津波が陸をはい上がり、到達した高さが上越市で5.8メートルだったと明らかにしました。

住民が語ったその瞬間
そして、今回の津波。
特徴のひとつが地震発生から到達するまでの「速度」です。
視聴者から提供されたこの映像が撮影されたのは午後4時34分。
津波警報が発表された22分後でした。
<住民は>
「津波警報でた後10分後くらいに津波が押し寄せて家でウロウロしていたら玄関まで波が入ってきたんですよね。逃げたかったけどまごまごしていたら津波が来ちゃったからとりあえず2階へ・・・逃げる余裕なかったもの」
<住民>
「外に出ようとしたら玄関の鉢とか花瓶がだだっと倒れた…下駄箱の上の物が全部落ちて。下が水浸しになった。それだけ片づけてって言ったら(夫が)“おーい死んじまうじゃねぇか” って。それで外に出たんです。振り向いたら津波1分もしないうちに車に行ってエンジンかけてバックしたら津波が車にずっと来ちゃって」

津波の速度は新幹線より速い
犬飼准教授の試算によると今回の津波・・・。
第一波が到達した時間が上越市で19分、糸魚川市では8分で到達していた可能性があるといいます。
【長岡技術科学大学 犬飼直之准教授】
「津波が伝播するスピードは水深だけで決まってくる。だいたい時速350キロメートルくらい。新幹線よりも速いスピードで伝播している」

住民はどう動いたのか
東日本大震災では津波により多くの命が奪われました。
今回は地震の発生直後に津波警報が発表・・・。
その時、住民はどう動いたのでしょうか。
元日の上越市港町で・・・
「津波きてるぞー!上あがれ!」
この動画を撮影した上越市港町に住む高校1年生高原楽歩さん、そして、父の一歩さんです。
父の高原一歩さん
「まさか、あの高さを超えてくると思っていなかったので・・・車も通り人もいたので、大きい声を叫んで、津波きてるよ、早く上がれと叫んだと思う」
地震発生当時、自宅のリビングで家族4人、団らんの時間を過ごしていました。
大きな揺れが襲ったのはその時でした。
息子の高原楽歩さん
「人生で経験したことのない揺れでこれはただごとじゃすまないなと少し覚悟をしましたね」
午後4時12分。
テレビから聞こえてきたのは「津波警報」を伝える声。
その1分後、家族4人、すぐに家の外に飛び出しました。
高原一歩さん
「(家から)出てこられていない方もいらっしゃったので私はとにかくあそこに向かいながら大声を出しながら”津波来るよ”ということを伝えながら、まずとにかくあそこの旧学校の玄関を目指しました」
避難場所に指定されていたのはかつて小学校だった建物。
一歩さんは近所に避難を呼びかけながら100メートル先の避難場所へと走りました。

開かなかった避難所のカギ・・・とっさの行動に
午後4時14分。
到着すると玄関の前にはすでに数人の姿が・・・。
カギを管理する住民も到着していましたが焦りからか開けることができません。
そこで、とっさの行動をとったといいます。
<高原一歩さん>
「(カギを)預かったんですけどカギが開かなかったんです。何回やっても、もう時間がないと思ってこれそのままの残骸ですけどこのブロックを投げてこのガラスを割ったんです」
一刻を争う事態にガラスを割るという判断。
撮影された動画からこの地域に津波が押し寄せたのは遅くとも午後4時34分。
20分ほどの時間で最大で100人を超える人が避難をしたといいます。
<高原一歩さん>
「本当にくるんだ、と。津波って、本当にくるんだ。今回以上に高い津波がきたときに、もっと早く到達したときにどうしようと考えなければいけないと考えさせられた」

住民へのアンケートでわかったこと
この地域では東日本大震災のあと、自主的に防災組織を立ち上げ、年に1回、津波を想定した訓練をおこなってきました。
今回の地震や津波を受け、緊急のアンケート調査を実施。私たちが取材をした日までに51人から回答がありました。
津波警報を受け数分以内に避難を開始した人は3割ほど・・・7人は「避難しなかった」と回答しました。そして・・・。
【アンケートの回答より】
「足が悪い主人を置いていけない」
「港町は高齢者が多く避難の方法を考えなければいけない」
「高齢者の避難対策、避難タワーの建設などを早急にお願いしたい」
「子どもがいたので助かったが普段は1人なので心配」
高齢者や体の不自由な人などいわゆる「災害弱者」が避難できるのか。
帰省中の家族がいたため今回は避難できていても普段はひとり暮らしの高齢者は命を守ることができるのか。
課題が浮き彫りとなりました。
<アンケートを実施した防災士は>
「避難訓練はたくさんやってきたが、自分事として訓練している人が少なかったのかもしれない。そこは大きな反省点」

「強い揺れを感じたら直ちに避難を開始する行動を」
気象庁は地震の発生後、2分から3分を目標に津波に関する情報を発表するとしています。しかし、今回のようにわずかな時間で到達するケースも・・。
【長岡技術科学大学 犬飼直之准教授
「日本海沿岸域の地震の発生域は他の領域に比べて比較的陸地に近く、津波が発生した場合、陸地に早い時間で到達しやすい。津波に関する情報をみて避難行動をしたのでは2分ロスし、遅いと考えられる。強い揺れを感じたら直ちに避難を開始する行動をとってほしい」
高原一歩さん>
「津波警報がきたら、すぐ逃げないととは家族で話をしてましたし。やはり避難訓練の経験があったからなのかなというふうには思います」
わずかな時間で押し寄せる津波・・・。

命を守るために揺れたら すぐに避難行動をとることが大切です。 

2024年1月29日月曜日

柏崎刈羽原発 再稼働巡る議論本格化へ 複合災害時 知事・政府の思惑は

 新潟テレビ21が掲題の記事を出しました。
 今年は柏崎刈羽原発の再稼働の議論が本格化します。しかし、その前提になる3つの検証委員会の成果がどこまで県民に公表されているのか、あるいは県にそれをする気があるのかが不明確です。
 3つの検証委員会の成果は、それ以外の課題と一緒の説明会にして短時間の説明で済まして良いようなものではないことを県は認識すべきです。
 柏崎刈羽原発の再稼働が頓挫すれば、福島第一原発の廃炉を課せられた東電の経営や、電力の安定供給などが危うくなるというのは本末転倒の議論で、事故を起こしたときの人的及び物的被害を最小限度に抑えるられるかが明確でなければ動かせないというが鉄則です。
 その点で「能登半島地震」が示した警鐘は決定的で、「避難路が数十か所で寸断」したこと一つとっても「再稼働不可」なのは明らかです。
 知事は再稼働に当たっては「信を問う」と述べるのではなく、検証で明らかにされた問題点をいつまでにどのように克服するのかを先ず明らかにすることです。特に避難委員会が明らかに456件の課題をどう解決するのかは最大限に重要です。
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【柏崎刈羽原発】再稼働巡る議論本格化へ 知事の姿勢・能登半島地震から想起された複合災害・政府の思惑は【新潟】
                        UX新潟テレビ21 2024/1/27
昨年末、原子力規制委員会による、柏崎刈羽原発に対する事実上の運転禁止命令が解除され、今年は、再稼働をめぐる議論が本格化する見通しです。政府は、夏までに柏崎刈羽原発を再稼働させ、電力需要のピークに備えたい考えですが、県内では、東京電力に対する不信感は根強いままです。
能登半島地震をきっかけに、原発事故との複合災害を懸念する声も広がっていて、与野党問わず再稼働に対する慎重論が上がっています。この問題を巡る現状と、関係者の思惑をまとめました。

去年12月27日、原子力規制委員会による、柏崎刈羽原発に対する事実上の運転禁止命令が解除された直後、東京電力の小早川智明社長は、斉藤健経済産業大臣と面会しました。
直前には、花角英世知事や柏崎市の桜井雅浩市長、刈羽村の品田宏夫村長にも電話で報告を済ませていました。

東京電力ホールディングス 小早川 智明 社長
「花角知事には当社の改善の取り組みについて私が先頭に立って県民のみなさまにご理解いただけるように取り組んでいく旨を申し上げたところ、知事からはしっかり努力していただきたいとのお話をいただきました。」

斉藤  経済産業大臣
「これはあくまでスタートラインであり、原子力規制委員会からの指摘や地元の声を真摯に受け止め、引き続き社長自ら先頭に立ってしっかりと改善に取り組んでいただきたい。」
斉藤大臣は「年明けに、地元の意向や実情を踏まえて、信頼回復に向けた取り組みの方針について、改めて聞かせていただきたい」と要請。経産省は、1月内にも東電からの報告を受け、県に対して、柏崎刈羽原発の再稼働に向けた協力を要請する方向で調整しています。

一方、原子力規制委員会の判断が、示される直前に開かれた花角知事の定例会見。
原発再稼働を巡る議論の本格化が予想される中、花角知事が唱える「県民に信を問う」手法に注目が高まっています。

■花角知事
信を問うという言葉の持つ意味は普通の感覚では存在を賭けるというような意味合いが強いのではないかと申し上げたことはあると思うが、今でもそう思う。もちろん選挙という方法もあると思う。」

しかし、柏崎刈羽原発の再稼働の是非を知事選で問うことに、政府内には懸念があります。
政府は去年12月、アラブ首長国連邦のドバイで開かれた国連気候変動会議(COP28)に合わせて、2050年までに世界の原発の発電容量を3倍に増やす多国間宣言に賛同しました。
世界最大級の柏崎刈羽原発の再稼働が頓挫すれば、国際的な宣言の履行に支障が出かねず、問題は、福島第一原発の廃炉を課せられた東電の経営や、電力の安定供給などにとどまらないためです。
ある官邸幹部は「知事選で勝てるならいい。負けたらエネルギー政策が行き詰まってしまう。新潟だけの問題ではなく、日本・世界の問題だ。うまくやらないとえらいことになる」と話しています。
また、「信を問う」時期も焦点です。
柏崎刈羽原発に対する、事実上の運転禁止命令が解除され、早ければ年度内にも、核燃料の装荷など再稼働に向けた物理的な準備が整います。
ある自民党幹部は「柏崎刈羽原発は象徴的。動けば東日本・東京の電気料金も下がる。6月県議会が勝負だ」と話しています。
政府・与党は、電力需要が高まる夏までに、柏崎刈羽原発を再稼働させたい考えですが、県内では慎重な意見が根強く、政府の思惑通りに進むかは不透明です。

1月8日に開かれた、野党関係者による街頭演説会。

■野党関係者
「地震が原発運転中に起これば土砂崩れにより道路が遮断され、交通も麻痺し、高速道路も止められ、電車も動かない。港も津波で壊れているという状況では避難できるわけがない。再稼働なんてできるわけがない。

複数の野党関係者が、能登半島地震の被害に言及し、柏崎刈羽原発の再稼働に反対しました。
県による「福島第一原発事故に関する3つの検証」の継続を求める市民団体が、1月13日に実施した柏崎刈羽原発に関する電話調査で、60%が再稼働に反対し、70%が安全に避難できないと答えました。
アンケートを民間会社に委託した市民団体は、このように分析します。

■新潟国際情報大学 佐々木 寛教授
地震があって初めて逃げられるのかとか 原発事故があった場合にどうなるのかということを当事者としてというか我が事として考える機会になった。」
野党関係者だけではなく、与党・自民党の県議も、原発再稼働に慎重な姿勢を示しています。
ある自民党県議は「原発は危険だという空気が増幅している。地震の前後で、雰囲気が全然違う。今年は勝負の年ではない」と話しています。
政府と県内世論の間で決断を迫られる花角知事。
県庁幹部は、政府へのいら立ちを隠さず、「今、地元は徹底的にアンチ。地元の理解を得て再稼働させようと思うなら、相当なことを考えないといけない。政府は大きな問題だということを、自覚して動いてもらいたい」と話しました。