2019年6月30日日曜日

再稼働済み4原発 訓練で「最低」の評価

再稼働済み4原発の訓練「最低」 規制委が評価、情報共有に不備
共同通信 2019/6/28 20:13
 全国の原発で2018年度に実施された事故対応訓練で関西・四国・九州3電力の再稼働済み4原発が、原子力規制委員会から最低評価を受けた項目があったことが28日分かった。情報共有に不備があったためで規制委の会合で報告された。既に改善したという。
 
 訓練は原子炉の冷却機能が失われる事態などを想定、規制委が3段階で評価した。再稼働済みの4原発は、関電の大飯と高浜、四国電の伊方、九電の川内
 4原発の訓練では規制委に原子炉の状態や対処方針を連絡するのが遅れたほか、情報の重要度に優先順位を付けて伝達できないなどの不備があった。

30- いわき久之浜魚市場9月再開 試験操業漁獲拡大へ方針

<原発・福島のいま> 久之浜魚市場9月再開 試験操業漁獲拡大へ方針
魚市場が再開されるいわき市久之浜支所の施設
河北新報 2019年06月26日
 いわき市漁協は25日、市内の久之浜支所で9月に魚市場を再開する方針を明らかにした。東京電力福島第1原発事故後、試験操業が続いている沿岸の魚介類は市内の沼之内支所魚市場に集約し、販売してきた。体制を強化し、漁獲量拡大につなげる。
 
 市内であった総代会の終了後、江川章組合長が取材に応じた。以前の魚市場施設は東日本大震災の津波で被災し、一部解体した。残った荷さばき施設を利用し、入札を再開する。
 総代会では、魚市場で使う海水のくみ上げ設備を来年度に整備する事業が議決された。当面は簡易型ポンプ設備で対応する。まずは週4日程度開場する予定。
 震災前、久之浜の魚市場は市漁協の水揚げ量の半数を占めていた。久之浜の漁船約30隻は現在、地元で水揚げした後、施設被害が少なかったことから集約先となった沼之内の魚市場に陸送している。試験操業の漁獲量が徐々に増え、沼之内は手狭になりつつあった
 
 江川組合長は「漁獲増を進めるに当たって、沼之内だけでは足りない。久之浜は陸送がなくなり、水揚げしやすくなる。仲買人も市場を選べるようになる」と話した。
 沿岸の魚介類を扱う市内の市場は小名浜機船底曳網(そこびきあみ)漁協が運営する小名浜魚市場と、コウナゴとシラスに特化した市漁協勿来支所と合わせて4カ所になる。

2019年6月29日土曜日

「原発作業で苦痛」東電に33万円賠償命令 福島地裁

 福島原発事故直後の2011324日、同原発3号機タービン建屋で電源ケーブル設置作業に参加した男性が被爆量積算20ミリシーベルトを超えて警告音が鳴った後も作業が続けられたことについて損害賠償責を求めた訴訟で、福島地裁いわき支部は26日、東電に33万円の支払いを命じました。
 判決は、健康被害への不安や恐怖を覚えたと認定「相当程度の精神的苦痛を受けた」としましが、被爆量は16ミリシーベルトとし「健康に影響する被爆をした」との主張は退けました
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<福島第1原発事故>「原発作業で苦痛」東電に33万円賠償命令
   河北新報 2019年06月27日

 東京電力福島第1原発事故直後、高濃度汚染水がある現場で無用の被ばくをさせられたとして、元作業員の男性(53)が東電などに1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、福島地裁いわき支部は26日、東電に33万円の支払いを命じた。
 
 名島亨卓裁判長は、男性は待避しなければならない状況だったのに作業を余儀なくされ、健康被害への不安や恐怖を覚えたと認定。「相当程度の精神的苦痛を受けた」と指摘した。
 男性側は民法上の損害賠償責任を主張したが、判決は原子力損害賠償法を適用し、元請け会社や1次下請け会社への請求は棄却。男性の被ばく量は約1時間半の作業で約16ミリシーベルトとし「健康に影響する被ばくをした」との主張は退けた。
 
 判決などによると、男性は2次下請け会社の作業員として2011年3月24日、同原発3号機タービン建屋で電源ケーブル設置作業に参加。元請け会社従業員らの線量計が積算20ミリシーベルトを超えて警告音が鳴った後も作業が続き、建屋にとどまらざるを得なかった
 判決について、男性の弁護団は「原発労働者の権利が認められた」と説明。東電は「内容を精査し、真摯(しんし)に対応する」とコメントした。

高レベル廃液固化7月再開 東海再処理施設

 日本原子力研究開発機構が運営する東海再処理施設は、2018年6月廃止することを決め、原子力規制委員会はそれを認めました。
 そういう中で、研究開発機構は原発の高レベル放射性廃液をガラスと混ぜて固める作業を7月8日にも再開すると明らかにしました。
 分かりにくい話ですが、六ケ所村の処理施設が未稼働であることと関連するものと思われます。
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高レベル廃液固化、7月再開 茨城の東海再処理施設
共同通信 2019/6/27 22:25
 日本原子力研究開発機構は27日、東海再処理施設(茨城県、廃止中)で、原発の高レベル放射性廃液をガラスと混ぜて固める作業を7月8日にも再開すると明らかにした。数カ月で50本の固化体を製作する。固化作業は2017年6月以来、約2年ぶり。
 
 同施設は、原発の使用済み核燃料からウランとプルトニウムを抽出する再処理を手掛けてきた。機構は廃止と並行し、再処理で出た放射線レベルの極めて高い廃液の固化を進める計画。
 
 27日の原子力規制委員会の会合で、機構は今後の設備点検などが順調に進めば、7月8日にも固化を再開する計画を示した。

29- 福島 汚染処理水の保管量修正

汚染処理水の保管量修正、福島 実際は2千トン減
共同通信 2019/6/27
 東京電力は27日、福島第1原発(廃炉作業中)で発生する放射性物質を含む高濃度汚染水を浄化処理した水(処理水)の保管量について、正確に算出した結果、従来公表していたより約2200トン少ない103万2千トン(5月23日時点)と修正した。
 
 全体で約970基ある貯蔵タンクのうち約800基で算出方法を誤り、実際より多い保管量を公表していた。保管量は変わらないため、タンクの数を減らすことはできない。第1原発敷地内ではタンクの設置場所が足りなくなりつつある。
 
 東電は週1回、処理水や汚染水の保管量を公表している。変更は7月16日公表分から反映する。

2019年6月27日木曜日

東北電株主総会で原発再稼働巡り自治体に温度差

 26東北電力株主総会で、原発事業からの撤退などを求め市民団体「脱原発東北電力株主の会」提案5出されましたが全て否決されました。提案への賛否を巡り株主である各自治体は様々な反応を見せました。
 河北新報が報じました。
 
 26日、一斉に開かれた大手電力8株主総会 脱原発を求める株主提案は反対多数で否決されました。
 共同通信の記事を併せて紹介します。
お知らせ
都合により28日は記事の更新が出来ませんのでご了承ください。
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<東北電>株主総会、原発再稼働巡り自治体の温度差浮き彫り
 河北新報 2019年06月27日
 東北電力が26日開いた株主総会で、原発事業からの撤退などを求めた株主提案5件は全て否決された。東日本大震災から8年余り停止が続く原発の再稼働を巡り、東北の株主自治体における考え方の違いが浮き彫りになった。
 
 市民団体「脱原発東北電力株主の会」は定款変更5件を提案。女川原発(宮城県女川町、石巻市)の再稼働に先立つ事前了解について、立地自治体と同様に半径30キロ圏の自治体も対象とすることなどを併せて求めた。
 
 30キロ圏の宮城県美里町は「再稼働に反対する町の姿勢に合致する」との理由で4件に賛成。送配電部門の所有権分離を訴えた1件には賛否を示さなかった。
 全5件に反対したのは発行株式の約1%を所有する仙台市(約519万株)や宮城県、石巻市のほか、ともに30キロ圏に入る登米市と宮城県南三陸町
 仙台市は「国のエネルギー政策や原子力規制委員会の方針を踏まえ、会社の業務執行で判断するのが望ましい」と説明。宮城県は「安全性確保を前提として、原子力事業の必要性も含めて総合的に判断すべきだ」と指摘した。
 震災後に「卒原発」を掲げた山形県、南相馬市は5件に白票を投じた。「昨年の提案にあった新エネルギーに関する提案がない」(南相馬市)ことなどを理由に挙げた。東京電力福島第1原発事故で被災した福島県、同県浪江町は棄権した。
 
 24年連続で提案を行った株主の会の篠原弘典代表(72)は「東北電は総会で、安全対策工事の完了時期や再稼働時期について明確な回答を避けていた。原子力事業が大きな問題を抱え、見通しが利かなくなっていることが明らかになった」と強調した。
 
 
電力8社総会、原発に理解求める 各社社長が会見で
共同通信 2019/6/27
 東京電力ホールディングスや中部電力など原発を保有する大手電力8社は26日、一斉に株主総会を開いた。脱原発を求める株主提案は反対多数で否決されたが、原発への国民の不安は強い。電力会社は総会後の記者会見で「原発の安全性の向上に努め、ご理解いただけるよう全力で取り組む」(四国電力の長井啓介社長)などと主張したが、理解が広がるかどうかははっきりしない。
 
 東北電力は2020年度以降に女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働を目指す。原田宏哉社長は「原発の必要性などについて大多数の株主に賛同してもらえた」などと述べた。

志賀原発 活断層なし「証明にめど」と北陸電社長

 北陸電力の金井豊社長は26日の株主総会後に本店で会見し、原子力規制委で審査が続く志賀原発2号機について「敷地内に活断層がないことを論理的に証明するめどは立ちつつある」との認識を示しまし
 志賀原発をめぐっては、1号機の原子炉建屋直下に活断層S-1)があるとした原子力規制委の有識者調査団の評価書が確定していますが、北陸電が反論し議論が続いています。
    ⇒(19年4月23日)志賀原発訴訟、結審求める
  (他 関係記事)
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活断層なし「証明にめど」 志賀原発で北電社長
北國新聞 2019/06/27
 北陸電力の金井豊社長は26日の株主総会後に富山市の本店で会見し、原子力規制委員会で審査が続く志賀原発2号機について「敷地内に活断層がないことを論理的に証明するめどは立ちつつある」との認識を示した。ただ審査は長期化しており、「再稼働の見通しは立てられない」と述べた。
 
 北電はこれまでの審査で活断層かどうか判断が必要な敷地内断層の選定を進め、陸側6本は9月から規制委に説明を始める。金井社長は「再稼働の大前提。全力を傾けたい」と強調した。規制委から論点の指摘を受けて説明資料の作成を進めているとし「これまで得られたデータからすると活動性は認められないと思う」と述べた。
 北電が評価対象とした陸側の敷地内断層は、1号機の原子炉建屋直下を通る「S-1断層」など6本。ボーリング調査などで地質の解析を進める。
 
 海岸部の敷地内断層については、原子炉冷却の海水を取り入れる重要施設「取水路トンネル」の近辺で評価対象を選定し、11月に規制委に活断層ではないことの説明を開始する。原発周辺の断層が施設に影響を及ぼさないとの説明は来年1月から予定している。

27- 中国電力は「原発運転目指す」と 株主総会

 26日に開かれた中国電力株主総会では、島根原発2号機の廃炉や山口県の上関原発の建設計画の取りやめなど、原発事業からの撤退を求める株主提案が提出されましたが、提案は否決され、会社側は原発の運転開始を目指す方針を改めて強調しました。
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電「原発運転目指す」
NHK 山口NEWS WEB 2019年6月27日09時18分
中国電力の株主総会が26日に広島市で開かれ、島根原子力発電所2号機の廃炉や山口県の上関原子力発電所の建設計画の取りやめなど、原発事業からの撤退を求める株主提案が提出されました。
提案は否決され、会社側は原発の運転開始を目指す方針を改めて強調しました
 
中国電力の株主総会は広島市中区の本店で行われ、およそ300人の株主が出席しました。
この中で株主からは、島根原発2号機を廃炉にして3号機を研究施設とすることや、山口県の上関原子力発電所の建設計画中止など原発事業からの完全撤退を求める議案が提案されました。
これに対して会社側は「安全の確保を大前提に安定供給、経済性、環境への適合の観点から重要なベースロード電源である原子力発電に引き続き取り組んでいく」と述べ、原発の再稼働や運転開始に力を入れる方針を改めて強調しました。
 
採決の結果、送配電事業を中国電力の完全子会社となる中国電力ネットワークに分割するための議案など、会社が提案した議案はすべて原案どおり可決された一方、原発事業からの撤退など株主が提案した議案はすべて否決されました。
また、株主総会が開かれた本店前には上関原発の建設予定地のそばにある祝島などの住民が集まり、のぼりや横断幕を掲げて建設反対を訴えていました。 

27日の記事の更新は午後からになります

お知らせ
都合により27日の記事の更新は午後からになります。ご了承ください。

2019年6月26日水曜日

再開の海水浴場 今夏7ヵ所に 海水浴客は震災前の2割以下

<原発・福島のいま> 
再開の海水浴場波高し 海開き、今夏7ヵ所に 観光客、震災前の2割以下
河北新報 2019年06月25日
 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で一時は全て休止を強いられた福島県内の海水浴場は今夏3カ所が9年ぶりに復活し、計7カ所=図=で開設されることになった。震災から9年目でようやく再開が本格化するが、先に開設した海水浴場は苦戦を強いられている。
 7カ所の過去の入り込み数は=表=の通り。今夏は南相馬市の北泉、いわき市の久之浜・波立(はったち)、新地町の釣師浜の各海水浴場が再開する。震災前にあった18カ所のうち半数超は、復旧中などを理由に再開のめどが立っていない。
 
<原発事故影響も>
 先行して再開にこぎ着けた相馬、いわき両市の4カ所は昨夏の入り込み数が計約11万3000人。震災前の2010年と比べ2割以下に落ち込んだ
 相馬市商工観光課は「震災後に無料で通れる(東北中央自動車道の)相馬福島道路ができ、山形方面に期待して周知を図ったが実際は3分の1に減った」と漏らす。
 レジャーの多様化などを背景に海離れが全国で進む中、県内の減少幅はそれを上回る。いわき市観光事業課は「明確な分析はできていないが、原発事故の影響はあるだろう」と話した。
 県や各自治体による調査では、水質や空間放射線量は震災前と同様の数値が確認されている。ある自治体の担当者は「ことさら『安全』と強調すればかえって不安をあおりかねず、地道に数字を積み上げるしかない」とも打ち明けた。
 
<魅力発信へ工夫>
 サーフィンの名所として知られる北泉海水浴場は今夏、第1原発30キロ圏内で初めて再開する。南相馬市は今夏の目標を震災前の3割に当たる2万5000人に設定した
 市は「客数が減るのは目に見えている。海を知らない子ども向けのPRや通年のイベント実施など工夫をし、もう一度人が集まる場所にしていきたい」(観光交流課)と述べ、魅力発信に一層力を注ぐ考えだ。
 
 日本大の畔柳昭雄特任教授(親水工学)は「島国の日本で海離れが進めば、自然災害や環境破壊への関心も薄くなる」と懸念を示した上で「熱心な工夫によって客数増を実現させた地域もある。『泳ぐ』以外の視点で海を活用することで人を呼び込んだり、遊泳期間を拡大したりすることも有効だろう」と語る。

電源三法交付金 7年ぶり増 青森県

18年度電源三法交付金、7年ぶり増・青森県内合計137億円
デーリー東北 2019/6/25
 原発や核燃料サイクル施設の立地に伴う電源三法交付金で、2018年度の青森県と県内市町村分を合わせた交付実績は137億431万円(前年度比2億6250万円増)だったことが24日、県のまとめで分かった。7年ぶりに増額に転じた。県原子力立地対策課は増額の理由について「県総合運動公園陸上競技場の整備費など、県への交付額が増えたため」としている。
 
 同交付金は、国が「電源開発促進税法」をはじめとする法律に基づき、電気料金などを原資に、地方自治体が申請した事業に対して支給している。県内への交付が始まった1981年度以降の38年間で、総額は3438億2881万円となった。
 
 水力、火力発電所の立地地域も対象だが、原子力関連施設分は18年度分で約99%に上り、例年大部分を占めている。主な交付対象は県や、むつ、大間、六ケ所、東通の立地4市町村と、隣接、隣々接の11市町村。
 18年度の市町村への交付総額は、92億5848万円(3億6072万円減)。市町村別では六ケ所村が23億9972万円でトップだった。
 
 県への配分は44億4583万円(6億2323万円増)。内訳は、同競技場(16億4701万円)や、県道川内佐井線(4億9877万円)、県道薬研佐井線(3億5775万円)の各整備費の一部など。県立八戸工業高の校舎改築費の約8割(6500万円)にも充当した。

26- 参院選佐賀 原発 国策に翻弄いつまで

【暮らしの現場 参院選佐賀】(2)原発 国策に翻弄いつまで
西日本新聞 2019/6/26 06:56
「事故が起きて生活も何もかも失った。もう福島には戻れない」。佐賀市に住む渡辺弘幸さん(57)は、手に持った放射線測定器に視線を落とし、静かな口調でそう話した。
福島県出身。2011年の東京電力福島第1原発事故後、原発から70キロほど離れた福島市内の自宅を離れ、佐賀に引っ越してきた。「毎日、空気中の放射線量を測らないと不安。ここもいつ事故が起こるか」。事故を経験して以来、測定器を手放せないという。
佐賀に暮らして8年。九州電力玄海原発(玄海町)3、4号機は昨年、相次いで再稼働した。県や関係自治体は毎年、事故を想定した大規模な避難訓練を行うが、渡辺さんは「本当に事故があれば車は大渋滞し、パニックで訓練通りにいかない」と指摘する。
 
昨年は知事選、今年に入って県議選があったが、渡辺さんは動きだした3、4号機への議論の深まりを感じられないという。18日には山形県沖で震度6強の地震もあったばかり。「悲惨な事故を起こす原発が身近にあるのに」
□    
原発内で増え続ける使用済み核燃料の処分法も直面する課題だ。
使用済み核燃料を保管する貯蔵プールは対策を講じなければ、残り5~7年で満杯になる見通し。九電は21年度上期に青森県六ケ所村の再処理工場が完成予定であることを理由に敷地内に新たな貯蔵施設を計画するが、地元や周辺自治体には「長期保管につながる」との声がある。
 
唐津市の住民らが15日に開いた原発学習会に参加した同市の離島・神集島の中村孝徳さん(77)は、「稼働すれば使用済み核燃料が増える一方なのに、国は肝心な問題を先送りにしていておかしい。順序が逆だろう」と憤る。
 
島民にとって安全、安心な暮らしにかかわる重要な問題だが、今回の参院選でどこまで争点として取り上げられるのか。中村さんは住民が納得できる真正面からの議論を求めている。
□    
一方で、原発が地元経済に貢献していることは否定できない事実だ。
 
玄海原発周辺は今、バスやトラックが行き交い、旅館や飲食店は大勢でにぎわっている。再稼働後、3号機が5月に初めて定期検査入りし、全国から集まった作業員であふれるからだ。居酒屋で働く女性(61)は「今はどの店も遅くまで開けている。やはり再稼働すれば活気が戻る」と話す。
 
だが、この先も潤い続けるか分からない。原子力規制委員会は4月、新規制基準で各電力会社に義務づけている原発のテロ対策施設が設置期限に間に合わなければ稼働中でも原発を停止させることを決めた。玄海原発は期限の22年に間に合わない可能性があり、町には不安視する声も少なくない。
 
「安全のために一時的に止まるのは仕方ないが原発は暮らしに直結する。最終的に規制委の方針を受け入れるしかないのもわかる。ただ、これからどうなるのだろうか」。原発政策の行方に女性は気をもむ。

2019年6月25日火曜日

韓国原発トラブルは担当者の計算ミス

 韓国のハンビッ原発1号機で510 制御棒の性能の試験中に熱出力が制限値の5%を超えてごく短時間で約18%まで上昇した事故は、担当者が核分裂進行の計算を間違え、制御棒を過剰に引き出したことが原因だったとする中間調査結果を発表しました。
   (関係記事)
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原発トラブルは「人災」、韓国 熱出力急騰、担当者が計算ミス
共同通信 2019/6/24 18:57
 【ソウル共同】韓国の原発で原子炉の熱出力が制限値を超えて急騰した問題で、韓国原子力安全委員会は24日、担当者が核分裂の進み具合の計算を間違え、原子炉の出力を調整する制御棒を大幅に引き出したことが原因だったとする中間調査結果を発表した。韓国メディアは「人災」と管理体制を批判している。
 
 トラブルは南西部の全羅南道・霊光にあるハンビッ原発1号機で5月10日に発生。制御棒の性能の試験中に熱出力が制限値の5%を超えてごく短時間で約18%まで上昇した。制限値を超えた場合即時停止すると運営指針では定めているが、運営会社の韓国水力原子力(韓水原)は緊急停止しなかった。

原発訴訟で高裁裁判官が福島視察

原発訴訟で高裁裁判官が福島視察 県内の帰還困難区域など
共同通信 2019/6/24 19:47
 東京電力福島第1原発事故で、福島県から千葉県に避難した住民らが国と東電に損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁の裁判官が24日、原発事故で立ち入りが原則禁止の帰還困難区域など福島県内の被災地を視察した。
 
 視察は、裁判官が被害の実態を把握するため、現地進行協議として非公開で実施。白い防護服を着用した白井幸夫裁判長らが浪江町の帰還困難区域にある原告男性の自宅を訪れ、動物に家屋が荒らされた状況の説明を男性から受けた。休校が続く浪江町の大堀小や、飯舘村内の除染廃棄物の仮置き場なども視察した。
 
 原告側は一審千葉地裁でも裁判官の現地視察を求めたが、実現しなかった。

25- 反原発団体 国と意見交換するも具体的回答なく

反原発9団体、国と意見交換 原子力政策、具体的回答なく
佐賀新聞 2019/6/22
 「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」を含む全国9つの反原発団体は21日、国の原子力政策に関して、原子力規制庁、資源エネルギー庁、原子力委員会の担当者と意見交換した。事前に質問項目を示していたが、国は具体的な回答ができない場面が目立った。
 
 九州電力玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)の使用済み核燃料対策については、特殊な金属容器に入れて空冷する「乾式貯蔵」と、燃料プールの間隔を詰めて貯蔵容量を増やす「リラッキング」を併用する九電の計画の審査が進んでいる。団体側は「乾式貯蔵とリラッキングは許可が下りるのも同時という理解でよいか」と質問。規制庁は「審査中なので、分からない」との答えにとどめた。
 
 使用済みプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料の行き先を尋ねる質問に対しては、エネ庁は「再処理が基本方針。その上で、発生状況と保管状況、再処理技術、関係自治体の意向などを踏まえ、方策の検討を進めたい」とした。
 
 裁判の会の永野浩二事務局長は「職員たちは事務的な対応で、答える気が全く感じられなかった。不誠実な対応で、憤りを感じる」と語った

2019年6月24日月曜日

「国内有数の景観まで壊すのか」と首都圏送電計画ルートに飯舘村

 東北電力は、秋田県内に設置した太陽光発電設備を東北電力の送配電網につなぐ際に、変電所の変圧器の交換費用1億2500万円を全額負担させたとして太陽光発電業者から訴訟を起こされました。
 それとは別件ですが、東北電が新たに計画している送電線ルートが、「日本で最も美しい村」連合に加盟している飯館景観を壊すとして、住民らから苦情が出されています。
 東北電は急きょルートの再検討に着手しましたが経済性を重視する電力側と環境の保持を望む住民との対立の行方が注目されます。
 原記事にはルート案や現在の景観の写真が掲載されています。
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<原発・福島のいま>
飯舘村の住民困惑「国内有数の景観まで壊すのか」 
東北電、首都圏送電計画ルートに
河北新報 2019年6月21日
 東北電力が宮城、福島両県に送電線「東北東京間連系線」を新設し、東京電力管内の首都圏への送電能力を倍増させる電力広域的運営推進機関(東京)の計画を巡り、送電線ルートになった福島県飯舘村の住民から「国内有数の景観が損なわれる」と戸惑いの声が出ている。東北電は急きょルートの再検討に着手したが、費用面などの問題もあって着地点が見えていない。(福島総局・斉藤隼人)
 
 「驚いた。これだけ原発事故で被害を受けて帰還も進んでいない村に、また東京のための設備。残された貴重な資源である景観さえも壊すのか」
 村北部の玄関口、佐須地区で田尾陽一さん(78)が語気を強めた。視線の先に田園や牧草地帯、集落が広がる。村は「日本で最も美しい村」連合に加盟し、景観を売りに地域発展を目指す
 東京都民だった田尾さんは東電福島第1原発事故直後から村に入り、村内外の仲間とNPO「ふくしま再生の会」を結成。昨夏に移り住み、農家民泊など地域交流事業を本格化させようとした矢先、拠点の目の前を高さ80メートルの鉄塔や送電線が横切ると知った。
 
 村は一部を除き2017年3月に避難指示が解除されたが、居住者数は住民登録の約2割にとどまる。「産業を復活させるには長い時間がかかるため、景観を生かした地域の将来像を描いていた。原発事故からの再生を目指す村にどれほど打撃を与えるだろう」。田尾さんはため息をつく。
 懸念は地域に広がりつつある。隣接する前田地区の佐藤健太村議(37)は「集落の真ん中を送電線が通れば住民帰還を妨げかねず、村にはメリットがほとんどない」と指摘。「できた後に『何だこれは』では遅く、今真剣に考える必要がある。計画自体に反対なのではない。もう少し配慮してほしいだけだ」と訴えた。
 
 両県を通る全長158キロのルートは図の通り。東北電が市街地や国定公園、険しい山間地などを避けて設計した。昨年、村民向け説明会を3度実施。住民要望を受け今年3、4月にも説明の場を設けた。
 同社は昨年9月の北海道地震で全域停電(ブラックアウト)が起きたことを念頭に置き、安定した電力供給の意義を強調。5月にルート変更も含めて再調査を始めたが、費用が膨らむ懸念が強く先行きは不透明だ。
 同社広域連系線福島立地事務所の遠藤淳所長は「大幅なルート変更は難しい」とした上で「調整できるかどうか技術的観点で調査している。なるべく早く結果をまとめ、住民の理解を頂きたい」と述べた。
 同社は22年の着工に向け、本年度は土質調査などを進める予定。
 
 景観トラブルに詳しい高崎経済大の谷口聡教授(民法)は「景観は歴史・文化的に価値が認められる」と指摘。「巨大な送電線は大勢の人に利益をもたらす側面もあるが、村民の精神的苦痛が大きいことを電力会社は認識すべきだ」と語る。
 
東北東京間連系線]東北-東京間に50万ボルト送電線や鉄塔を新設し、東北から首都圏に送電する場合の運用容量を現行から倍増の1028万キロワットに拡大する。電力取引の活性化や再生可能エネルギーの利用促進などが狙い。2027年の完成を目指す。工事費は1530億円。国主導で進められ、事業は全国の電力需給を調整する電力広域的運営推進機関(東京)が計画し、東北エリアは東北電力が事業実施主体となる。