2016年11月30日水曜日

甲状腺がん患者らに療養費10万円給付 崎山さんらの基金が

 崎山比早子さんらが設立した「311甲状腺がん子ども基金」が、福島原発事故後に甲状腺がんや、その疑いがあると診断された患者らに療養費10万円を給付することを決めました福島県を含む1都14県に住む25歳以下の患者が対象です
 国はこれまで何もして来なかったので、崎山さんらが基金を設立し、著名人らが呼び掛け人となり全国から善意を募りました。
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甲状腺がん患者らに療養費10万円給付 1日から受け付け
福島民報 2016年11月29日
11甲状腺がん子ども基金」は東京電力福島第一原発事故後に甲状腺がんや、その疑いがあると診断された患者らに療養費10万円を給付する。同基金の崎山比早子代表理事が28日、福島民報社を訪れ、高橋雅行社長に概要を説明した。
 
  給付は原発事故以降に甲状腺がんや疑いと診断された県内を含む1都14県に住む25歳以下の患者が対象。12月1日から来年3月31日まで応募を受け付け、基金の審査を経て給付する。より専門的な治療を受ける必要がある患者にはさらに追加で10万円を給付する。来年4月以降も改めて応募の受け付けをする。
  同基金には著名人らが呼び掛け人となり全国から善意を募った。問い合わせは基金事務局 電話(0120)966544へ。
 
  福島民報社には同基金の崎山代表理事、武藤類子副代表理事、吉田由布子理事、脇ゆうりか事務局長、活動を支援する元会津坂下町議の千葉親子さん、福島ぽかぽかプロジェクトの矢野恵理子さんが訪れた。

30- 日本には抵抗の文化がない スベトラーナさん +

ノーベル文学賞作家、福島県訪問し「日本に抵抗の文化ないと目の当たりにした」
サンケイ・スポーツ 2016年11月28日
 ノーベル文学賞作家でジャーナリストのスベトラーナ・アレクシエービッチさん(68)が28日、東京都府中市の東京外国語大で講演した。東京電力福島第1原発の事故で甚大な被害を受けた福島県を訪問したことを踏まえ「日本社会に抵抗の文化がないことを目の当たりにした」と語った。
 
 アレクシエービッチさんは26、27日と福島県を視察し、事故の被害を受けた住民らの話を聞いた。講演では「何千人もが訴訟を起こせば国の態度も変わるだろうが、一部の例外を除いて、団結して国に対して自分たちの悲劇を重く受け止めるべきだと訴えるような抵抗がなかった」と指摘。「(旧ソ連時代から)全体主義の長い歴史を持つ私たちと同じ状況だ」と述べた。

「日本には抵抗の文化がない」 福島訪問したノーベル賞作家が指摘
The Huffington Post  2016年11月29日 
2015年にノーベル文学賞を受賞したスベトラーナ・アレクシエービッチさん(68)が11月28日、東京外国語大学(府中市)で講演した。26〜27日に福島第一原発の事故の被災地である福島県を視察した際に、被災者から国の責任を追及する声が少ないとして「日本社会に抵抗という文化がない」と感じたと話した。時事ドットコムなどが報じた。
 
アレクシエービッチさんは、チェルノブイリ原発事故で被害を受けた人々の証言を集めたノンフィクション作品「チェルノブイリの祈り」などで知られている。28日には「著作が人類の未来に貢献した」として、東京外国語大学から名誉博士号を授与された。
 
23日の来日後、福島県を訪れて原発事故の被災地を視察し、事故で住居を追われた人々の話を聞いた。11月29日付けの東京新聞によると、今回の講演では福島の原発事故について「チェルノブイリと同じく、国は人の命に全責任を負わない」と指摘した上で、次のように話した。
“福島で目にしたのは、日本社会に人々が団結する形での『抵抗』という文化がないことです。祖母を亡くし、国を提訴した女性はその例外です。同じ訴えが何千件もあれば、人々に対する国の態度も変わったかもしれません。全体主義の長い文化があったわが国(旧ソ連)でも、人々が社会に対する抵抗の文化を持っていません。日本ではなぜなのでしょうか

2016年11月29日火曜日

福島原発事故 廃炉・賠償20兆円へ 従来想定の2倍

 福島原発の廃炉と賠償の費用20兆円以上に膨れ上がると経産省が試算していることが分かりました。これはつい10日ほど前には18兆円と言われていたものなので、今後もアップする可能性があります。特に廃炉費用については今回は約6兆円と見込んでいますが、これが最も不確実です。
 
 これらの費用は、「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」が一時的に立て替えますが、最終的には東電と大手電力が利用者から集めた電気代などから返す仕組みで、経産省は新電力の利用者にも負担させたい考えで問題視されています。
 
 それから東電経営者・株主・銀行などが全く無傷のままでいるというのも虫が良すぎる話で、17日に開かれた脱原発を掲げる超党派の議員らの会合では、「まずは東電を法的整理し、投資として株を買った株主や債権者である銀行が負担し、その後に利用者に負担させるのが順序だ」などの声が相次いだということです。東電の経営者は言うまでもなく、それまでは安定収入として高配当や貸付金利子の恩恵に預かってきた株主や銀行が、企業がマイナスを生じた時にもその責任を負うのは当然のことです。
 経産省は、電気の消費者が、「本来負担すべき廃炉費用積立分を逃れていたのだから、50年遡って徴収する」というような非常識な論理で新電力にまで負担させる前に、まずそういう常識的な対応を行うべきでしょう。
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福島原発事故 廃炉・賠償20兆円へ 従来想定の2倍 
毎日新聞 2016年11月27日 
福島第1原発事故の費用は大きく膨らむ見通し
 東京電力福島第1原発事故の賠償や廃炉などにかかる費用が総額20兆円超に上り、従来の政府想定のほぼ2倍に膨らむと経済産業省が試算していることが27日、分かった。
 政府は拡大する費用の一部を東電を含めた大手電力と新電力(電力自由化で新規参入した業者)の電気料金に上乗せする方針で、国民負担の増大は必至だ。
 経産省は、東電の経営改革や資金確保策を協議する有識者会議を開催しており、年内にも結論を出す方針。試算は会議の議論のベースになるとみられる。
 
 政府の従来の想定は、▽賠償=54兆円 ▽除染=25兆円 ▽汚染土を保管する中間貯蔵施設の整備=11兆円 ▽廃炉=2兆円 の計11兆円となっていた。
 新たな試算は、賠償が約8兆円、除染が4兆~5兆円程度に膨らむ見通し。
 廃炉も従来の2兆円が数兆円規模で拡大する公算が大きい。
 中間貯蔵施設の整備費は変わらないが、全体では20兆円を上回る見込みとなった。
 
 政府の従来想定は2013年末時点に見積もったが、賠償や除染の対象が増加している。
 廃炉も原発内に溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出し費用などが拡大。経産省は既に現状で年800億円の費用が年数千億円程度に達するとの試算を明らかにしている。
 
 費用の工面について、政府はこれまで、
▽賠償は国の原子力損害賠償・廃炉等支援機構がいったん立て替え、東電を中心に大手電力が最終的に負担金を支払い
▽除染は国が保有する東電株の売却益を充当
▽中間貯蔵施設は電源開発促進税を投入
▽廃炉は東電が準備  との枠組みを示してきた。
 
 政府は、賠償費の増加分について、原子力損害賠償・廃炉等支援機構の立て替え増額を検討。これとは別に、大手電力や新電力が送電会社の送電線を利用する料金への上乗せも検討している。この料金は政府の認可制となっており、最終的に電気料金に転嫁される
 
 除染費も東電株の売却益で賄えない可能性が高く、東電などに負担を求める案が検討されている。その場合、最終的に電気料金に転嫁される可能性がある。
 廃炉費は、東電が他社との提携などによる経営効率化で捻出した資金を積み立てる制度の創設を検討する。ただ、東電が経営努力のみで賄いきれるかは不透明で、電気料金の引き上げにつながる可能性もある。【宮川裕章、岡大介】

29- スイスで国民投票 「原発の早期閉鎖」を反対54%で否決

 スイス連邦政府は福島の事故後、将来脱原発する方針を決めましたが明確な時期は決めていません。
 今回の国民投票を主導した「スイス緑の党」などは古い原発を45年で止める必要があるとして、5基ある原発のうち3基を来年運転停止させることを含めて、29年までに脱原発を完了させることを訴えました
 27に行われた国民投票は、停止に賛成が46%、反対が54%で否決されました(投票率は 45%)。
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スイスで国民投票 「原発の早期閉鎖」を否決
NHK NEWS WEB 2016年11月28日
スイスで27日、国内にある5基の原子力発電所の閉鎖時期を早めることの是非を問う国民投票が行われ、54%の反対多数で否決されました。
 
スイスでは、国内に5基の原子力発電所があり、総発電量に占める原子力発電の比率は30%余りと、水力発電に次いで多くなっています。
原発の中には運転開始から47年がたつものもあり、野党「緑の党」などが原発の運転期間を45年にして老朽化した原発をすぐにでも停止すべきだと訴え、27日、その是非を問う国民投票が行われました。
直接民主制のスイスでは、国の重要案件は国民投票で決めることになっていて、投票の結果、賛成が45・8%、反対が542%で、反対多数で否決されました。投票率は45%でした。
 
この結果について、スイス政府は27日、国民がエネルギーの安全保障上の問題を認識し、温暖化対策を後退させかねない石炭火力発電などによる電力の輸入に頼ることを望まなかった結果だと歓迎しました。一方で、45%が賛成票を投じたことを踏まえ、原子力から再生可能エネルギーへの転換などを着実に進めていく考えを示しました。
 
スイスでは、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて新しい原発の建設を凍結するとともに、既存の原発の段階的な停止を定めた政府の「エネルギー戦略2050」がことし9月に議会で可決されています。

2016年11月28日月曜日

自民に原発マネー7・6億円 2015年

 原子力関連企業などでつくる日本原子力産業協会(原産協会)の会員企業・団体2015年に、自民党の窓口である政治資金団体に少なくとも計76000万円関連会社分を含む)を献金しました。一つの分野の献金額としては非常に巨額です。
 これまでは12年が約3億円、13年に約5億8000億円、14年が約7億1000万円で、安倍内閣になって最高額に達しました。
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原発マネー自民に76億円 2015年政治資金収支報告
安倍政権下 最高に 再稼働・輸出推進のなか増加
しんぶん赤旗 2016年11月27日
 電力会社や原子力関連企業などでつくる日本原子力産業協会(原産協会、本部東京)の会員企業・団体が2015年に、自民党の政治資金団体「国民政治協会」に関連会社分を含めて少なくとも計7億6000万円を献金していたことが25日に総務省が公開した政治資金収支報告書でわかりました。安倍政権が原発の再稼働と輸出を推進する中で献金は増え続け、第2次政権発足後の最高額となりました。
 
 同協会会員の献金額は、年末に自民党が政権に復帰した12年は約3億円。その後13年に約5億8000万円、14年に約7億1000万円と連続して上昇していました。
 この間安倍政権は九州電力川内原発1、2号機や四国電力伊方原発3号機などを再稼働させたほか、運転40年以上の原発にさらに20年の運転延長を次々と認可。再稼働に反対する世論を無視する形で原発産業の利益確保に努めてきました。
 今月には日印原子力協定にも調印。核不拡散条約(NPT)に未加盟のまま核武装したインドへの原発輸出を可能にしました。
 
 15年の献金では額の上位に重電機器・家電メーカーの一般社団法人「日本電機工業会」(7700万円)、日本経済団体連合会会長出身企業の東レ(5000万円)、原発メーカーの三菱重工業(3300万円)や日立製作所(2850万円)などが並びます。
 同じく原発メーカーで、15年発覚の不正会計などで経営再建中の東芝は前年の2850万円からゼロに。一方、税金(公的資金)投入の経緯から前年まで献金を自粛していたメガバンク3行が各2000万円を拠出しました。
 
 そのほか大手ゼネコンや鉄鋼、繊維など幅広い業界の企業が献金しています。電力会社は関連企業を通じて資金を拠出。関西電力関連のきんでん(400万円)、中国電力関連の中電工(112万円)などです。
 原産協会は取材に対し「個別企業の政治献金は関知していない」としています。

28- 福島の燃料デブリ 仏で来月再現試験 硬さなどを調査

 福島原発1~3号機内に残る燃料デブリの取り出し方法を研究ている国際廃炉研究開発機構(IRID:在フランス)は、12月上旬にも1~3号機の溶融燃料と同一成分のものを溶融・混合してデブリを再現し、自然冷却をさせた後にその硬さや成分を把握します。
 IRIDの担当者は「共同研究の結果を早期にまとめ、安全で効率的な取り出しにつなげたい」としています。
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溶融燃料、仏で来月再現 変質状態調査 取り出し手法探る
福島民報 2016年11月27日
 東京電力福島第一原発1~3号機に残る溶融燃料(燃料デブリ)の取り出しに向けて研究を続けている国際廃炉研究開発機構(IRID)は、12月上旬にも1~3号機の溶融燃料と同一成分の溶融燃料をフランスで再現する調査を始め、構造物と混ざり変質した状態を調べる。結果を取り出し手法の絞り込みに生かす。
 
 調査はフランス政府と共同で同国南部にある研究施設で遠隔操作を活用して実施する。ウラン50キロとステンレスやジルコニウムなどの金属24キロをそれぞれ炉で溶かし、コンクリートを置いた容器に流し込んで融合させる。1カ月ほど自然冷却させた後に解体し、硬さや成分分布を把握する。
 IRIDの解析調査によると、原発事故当時に1~3号機にあった核燃料は溶け落ちる過程で圧力容器のステンレス鋼や燃料棒のジルコニウム鋼、格納容器底部のコンクリートと混ざって固まっている。溶融燃料を原子炉内から取り出す際には細かく砕く必要があるが、機材で破砕できないほど硬化している場合、作業が難航する可能性がある。このため溶融燃料の取り出しは廃炉作業の最大の課題とされている。
 IRIDの担当者は「共同研究の結果を早期にまとめ、安全で効率的な取り出しにつなげたい」としている。

2016年11月27日日曜日

原発避難いじめ 放置は法以前の問題 学校が動かなければ人権は守れない

 北海道新聞が「原発避難いじめ問題」で「放置は法以前の問題」とする社説を載せました。
 福井新聞は同じく社説で「動かない学校、守れぬ人権」と書きました。
 横浜小学校と同市教委にすべての責任があることは明白です。
 以下に紹介します。
   (関係記事)
11月26日 原発避難いじめ 両親・代理人の会見内容を産経新聞が詳報
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(社説)原発避難いじめ 放置は法以前の問題だ
北海道新聞 2016年11月26日
 子供の人権について、いったいどう考えているのか。
 福島第1原発事故後、中1の男子生徒が自主避難先の横浜市で長年受けてきたいじめを、学校や教育委員会が把握しながらほとんど対応をしていなかった問題だ。
 悪口や暴力にとどまらず、多額の金銭被害まであったという。
 「つらかった」「こわくてしょうがなかった」。生徒は悲痛な思いをつづった手記を公表した。
 取材に応じた両親は、学校や市教委の対応を「自己保身にしか見えない」と痛烈に批判している。
 国は2013年にいじめ防止対策推進法を施行したが、今回は法律や制度以前の問題だ。教育者としての資質を疑わざるを得ない。
 
 いじめが始まったのは、転校直後の小2ごろからだ。同級生から「菌」や「放射能」と呼ばれ、暴力を受けて不登校となった。
 小5になると「(原発事故の)賠償金をもらっているだろう」などと言われ、遊興費として計約150万円を負担させられていた。
 学校は保護者から相談を受けていたが、内部調査で「自らお金を渡していた」と判断。「警察に相談してほしい」などと、1年半にわたり解決しようとしなかった
 保護者から改善を求められた市教委も「介入はできない」と、何も対応しなかったという。
 
 推進法は、いじめにより自殺や不登校、財産被害など深刻な結果が生じた疑いがある場合を「重大事態」として、第三者委員会で調べることなどを義務づけている。
 なのに、学校側は重大事態と認定しなかった。150万円もの金銭被害があるにもかかわらずだ。
 怠慢にもほどがある。
 市教育長は対応遅れを認めた上で、市立小中高校にいじめ防止の徹底を指示する文書を出した。
 
 疑問なのは、これまでの調査の内容をほとんど公表していないことだ。子供の成長に配慮する必要があるためとするが、被害者が自ら手記を公表しているのである。
 こんな対応では、反省点を再発防止に反映させられまい。
 子供たちの差別意識の背景にも目を凝らす必要がある。福島からの避難者に対する大人の無理解が影を落としてはいなかったか。
 子供は社会を映す鏡だ。大人たちの行動も問われている。
 「死んだら何も言えない。助けてくれる大人が必ずいる」。取材の中で生徒は、両親を通じ全国の子供たちに向けてこう訴えた。
 教育関係者は、この叫びをしっかりと受け止めねばならない。
 
 
【論説】 原発避難いじめ 動かない学校、守れぬ人権
福井新聞 2016年11月26日
児童生徒が陰湿ないじめに遭っても、教師や学校側はその事実を認めようとせず、教育委員会は不介入を決め込む。教育現場にはびこる保守的な事なかれ主義が子どもたちを窮地に追い込んでいく。そこから浮かび上がるのは、共存能力を失った社会の不幸な現状であり、人権意識の希薄な排他性のまん延である。
 
 東京電力福島第1原発事故の影響は子ども社会にも根深く及んでいる。福島県から横浜市に避難してきた少年が小学、中学といじめを受けていた問題は、単純ないじめを超えたところにある差別、犯罪的行為だ。
 教育の基本は「個人の尊厳」であり「自他の敬愛と協力」ではなかったのか。教育現場は少年を救えなかった。駆け込んだのは「フリースクール」である。
 
 現在、中1の男子生徒は小2で自主避難した直後からいじめを受けていた。小6の時に書いた手記に「ばいきんあつかいされて、ほうしゃのうだとおもっていつもつらかった。福島の人はいじめられるとおもった」とつづった。
 名前に「菌」を付けて呼ばれたり蹴られたりし、不登校にもなった。小5の時「(原発事故の)賠償金をもらっているだろう」と言われ、同級生らの遊興費などを負担した総額は約150万円に及んだという。
 
 少年は恐くて抵抗できず「いままでなんかいも死のうとおもった」と記し「でも、しんさいでいっぱい死んだから つらいけどぼくはいきるときめた」と手記を結んだ。生きる勇気を称賛する向きもあるが、限界まで追い込んだ教育環境こそ責められるべきだ。
 
 警察の調査結果でも学校や市教委は動かなかったという。「いじめ」と認定したのは生徒側の申し入れで調査した市教委の第三者機関だ。少年の親は、兆候を直視せず放置した学校、事実関係を公表しない市教委に不信感を隠さない。
 
 5年前、大津市の中2男子がいじめを苦に自殺したのを機に、議員立法によるいじめ防止対策推進法が2013年に施行された。深刻な被害、長期欠席を余儀なくされた場合を「重大事態」と定義、学校に文科省や自治体への報告義務と調査組織の設置を義務付けた。今回の事態は軽微だったのか。
 文科省の15年度調査によれば、小中高校などで把握されたいじめは過去最多の22万4540件。うち重大事態は313件だ。定義の曖昧さや教育機関の消極姿勢からすれば、おそらく氷山の一角なのだろう。
 
 内閣府が12年に行った人権調査によると、大震災や原発事故に絡む問題で「差別的な言動」や「職場、学校での嫌がらせ、いじめを受けた」が4割強あった。
 「いままでいろんなはなしをしてきたけどしんようしてくれなかった」「せんせいに言(お)うとするとむしされてた」と少年は書いた。憲法11条は基本的人権を「侵すことのできない永久の権利」と規定する。
 
 教師は多忙。だが、子ども一人一人に寄り添う心と少しの勇気があれば、小さな人権と命は救われる。 

「チェルノブイリの祈り」のアレクシエービッチさん 東大で講演

「原発事故は新しい形の戦争だ」 
ノーベル賞作家 アレクシエービッチさん 東大で講演
東京新聞 2016年11月26日
 原発事故に遭遇した人々の証言を集めた記録文学「チェルノブイリの祈り」などで知られるベラルーシのノーベル文学賞作家でジャーナリスト、スベトラーナ・アレクシエービッチさん(68)が来日し、東京大(東京都文京区)で25日、講演した。「原発事故は、新しい形の戦争だと思った。われわれが考え方を変えない限り、原発は続く。人間が自然と共生するための新しい哲学が必要とされている」と語った。
 
 アレクシエービッチさんは2003年に北海道電力泊原発を訪れている。現地では「日本の原発はチェルノブイリと違う。地震にも耐える設計だ」と説明されたが、その後、福島第一原発の事故が起きた。「人間は自然を征服できないことが分かった。今後何十年も続く大惨事を、どう語っていくのか。もし可能だとすれば、それは被災した人々の証言によってだと思う」と述べた。
 
 社会主義国家ソ連の実態と崩壊を市民へのインタビューで描いた「セカンドハンドの時代」の邦訳が今年9月、岩波書店から刊行されたばかり。「大事なのは想像力を失わないこと。共産主義やファシズムも、人生が前に進むのを阻めない。だから絶望する必要はない。人々を勇気づける知識人の役割も重要だ」と会場に呼び掛けた。
 
 アレクシエービッチさんは昨年12月にノーベル文学賞を受賞した。今月末まで日本に滞在し、28日には東京外国語大で名誉博士号を受ける。 (出田阿生)

27- 新潟県と25市町村 原発事故時の広域避難で議論

新潟県と25市町村、原発事故時の広域避難で課題など議論  
日経新聞 2016年11月25日
 新潟県は25日、東京電力柏崎刈羽原子力発電所で事故が発生した際の広域避難の課題や対応策を議論する担当者会議を新潟市内で開いた。会議では原発事故の発生を受けて、避難先となる自治体の避難所の運営や避難中継所で被曝(ひばく)の有無を調べるスクリーニングなど受け入れ体制について参加者が意見を交わした。
 
 原発事故時に住民避難に関わる県内の25市町村の原子力防災の担当者ら約45人が参加。被災自治体と受け入れ先の自治体をグループに分け、事故発生時の避難経路などを議論。事故時の各自治体の連携を確認していた。
 
 新潟県の須貝幸子・原子力安全対策課長は「原子力災害は非常に広域に及ぶため、市町村をまたがった避難が必要になる」と指摘。「各市町村の意見を十分に聞いた上で、広域避難のあり方をきちんと考えていきたい」と話した。

2016年11月26日土曜日

原発避難いじめ 両親・代理人の会見内容を産経新聞が詳報

 福島原発事故で福島県から横浜市に自主避難した横浜市立中1年の男子生徒が小2の時からいじめを受け、小5のときに同級生から計150万円をゆすり取られ不登校となり、現在はフリースクールに通っている問題に関連して、NHKは24日、「学校側は、確認された金額は8万円で本人が率先して渡していたとして、いじめにはあたらないと判断していた」旨を報じました。
 NHKは市教委という公式機関のリーク?なのでそのまま報じたというでしょうが、これではまるで被害者本人の書いたノートの記事がデタラメで、その被害を訴えた両親の主張も虚偽であると言わんばかりです。この報道姿勢は大変に問題です。
 
 これに対して産経新聞は25日の紙面に、この15日に被害者の両親と代理人(黒沢知弘弁護士ら)が記者会見をした内容をしく載せました。
 
 それによると、生徒のノートには
 恐喝に関しては、「(加害生徒の)3人から…お金をもってこいと言われた」「○○○(加害生徒名)からは メールでも 言われた」「人目が きにならないとこで もってこいと 言われた」などときわめて具体的に書かれていて、
 いじめについても、「○○○(加害生徒名) ○○(加害生徒名) には いつも けられたり、なぐられたり ランドセルふりま(わ)される、かいだんではおされたりして いつもどこでおわるか わかんなかったので こわかった」などと具体的に記述してあり、
 学校側の対応に関しても、「いままで いろんな はなしを してきたけど (学校は)しんようしてくれなかった」「なんかいも せんせいに 言(お)うとすると むしされてた」などと書かれてありました。
 
 こうした内容を虚偽としてすべて無視した学校や市教委の対応はどう考えても不自然です。そのうえ問題が発覚した後も、市教委は極力事実関係を伏せる一方で、逆に学校の対応が正しかったかのようなリークを行ったわけで、身勝手というしかありません。
 
 産経新聞の『義憤の報道』に拍手を送ります。
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「ばいしょう金あるだろ」「せんせいにむしされてた」
涙で手記を代読した弁護士が伝えたかったこと
産経新聞 2016年11月25日
 東京電力福島第1原発事故で福島県から横浜市に自主避難した横浜市立中1年の男子生徒がいじめを受けていたのに、学校や市教育委員会が適切に対応していなかった問題。小2で横浜市に家族と移った後、すぐにいじめが始まり、その後、不登校、復学、さらにいじめ、と続き、男子生徒が心安らかに学校に通える貴重な時間が失われた。両親は、学校や市教委に何度も掛け合ったが、なかなか動かず、問題を根深いものにしてしまった。15日に開かれた代理人の黒沢知弘弁護士の記者会見を詳報する。
 
代理人の黒沢弁護士が涙ながらに生徒の手記を代読
 男子生徒は、長年いじめを受けてきたことをふまえ、手記を書いた。
 男子生徒の代理人が本人に代わり、平成27年7月にB5ノート3ページのうち最後の1ページに、いじめに対する思いをつづった手記をゆっくりと読み上げた。
 代理人は、男子生徒の成長を阻害しないという配慮のもと、一部を抜粋して紹介した。
 「(加害生徒の)3人から…お金をもってこいと言われた」
 「○○○(加害生徒名)からは メールでも 言われた」
 「人目が きにならないとこで もってこいと 言われた」
 「お金 もってこいと言われたとき すごい いらいらと くやしさが あったけど ていこうすると またいじめがはじまるとおもって なにもできずに ただこわくてしょうがなかった」
 「ばいしょう金あるだろ と言われ むかつくし、ていこうできなかったのも くやしい」
 「○○○(加害生徒名) ○○(加害生徒名) には いつも けられたり、なぐられたり ランドセルふりま(わ)される、 かいだんではおされたりして いつもどこでおわるか わかんなかったので こわかった。」
 「ばいきんあつかいされて、 ほうしゃのうだとおもって いつもつらかった。 福島の人は いじめられるとおもった。 なにも ていこうできなかった」
 「いままで いろんな はなしを してきたけど (学校は)しんようしてくれなかった」
 「なんかいも せんせいに 言(お)うとすると むしされてた
 ゆっくり、かみしめるように手記を読み進めていったが、後段、代理人は時折、涙をぬぐいながら読みきった。
 代理人は、手記を公表してよいかを本人にも丁寧に確認したところ、むしろ、表に出してほしいという意思を確認し、公表に踏み切ったと説明した。
 少年は、今後、同じような思いをする人が出ないよう、昨夏の自身の思いを手記にし、あえて公表した。
 
両親の根深い不信感
 男子生徒の両親の学校と市教委への不信感も根深いものがある。
 両親は、何度も学校や市教委にいじめの対応を依頼したが、有効な手立てはとられなかった。「普通に学校に通わせたかっただけなのに。時間を返してほしい」と気持ちをコメント。代理人も「率直にいって、学校教育や教育委員会の意味を本質的に忘れているのではないか」と断罪した。
 同席した別の弁護士も「重大事態は、疑いの時点で調査を開始すべき。長期の不登校だけでも重大事態。これを調査しなかった。自ら調査すべきで、調査があることを市も知らせるべき。すべては、遅きに失した」と指摘した。
 
 また、男子生徒が金品を要求され、計約150万円を自宅から持ち出していた件にも言及した。
 加害生徒が「賠償金がたくさんもらっているから金を出せ」という言いがかりで、男子生徒に複数回にわたり数万円、計約150万円を持ってこさせ、ゲームセンターだけでなく、みなとみらいの娯楽施設などで派手に使っていたという。
 ここで原発避難者に対する大きな誤解があったことが浮び上がる。代理人は、男子生徒が持ち出した150万円に、賠償金は一切含まれていない、という事実を説明した。そもそも、自主避難の場合、賠償金は少額で、一般的には、年額4万円程度という。両親は、純粋に生活資金としてとっておいた貴重なお金にも関わらず、「多額の賠償金を手にしている」という加害生徒らの勝手なシナリオから、悲しい結果を生み出した。このことに関しても代理人は「福島に対して理解が足りない」と言い切った。
 
 第三者委員会がまとめた報告書も、市教委は非公表の方針を決して変えなかった。この点も、男子生徒や保護者の考えと大きなズレがあることがわかった。
 代理人は、「親御さんは何らかのプレスリリースがあると期待されていた。ただ、実際に報告されず驚いたと。再発防止のため、どのようないじめがあり、教育委員会にどのような問題があったか公表されるべきではないかと話していた」と説明した。市教委が会見で、いじめの経緯や個人情報を公開しないことを保護者も納得されている、と説明したことについては、「まったくない。加害児童のプライバシーまで公開する必要はないが、何らかの公開を望んでいらした」と説明した。
 
加害児童はいま
 一方、加害児童はどうか。
 現時点で、いじめにメインで関わった当事者らからの聞き取り調査は行われておらず、気持ちもわからないという。特に、いじめの首謀的な役割を果たした生徒らからは、謝罪もない、という。ただ、金品の要求に関わった生徒は十数人いたが、そのうち一部の生徒らからは、返金や謝罪の対応があったという。もっとも、返金額は数万円に過ぎないという。
 男子生徒の保護者は、告訴などというよりも、「報告書の答申がようやく出た状況で、当面は今以上に何をするというより、落ち着きたい」と話してるという。

26- 廃炉費用の一部を新規事業者が負担は不適切

  原発の廃炉などにかかる費用の一部を新たに参入した電力事業者に負担させる仕組みを経済産業省の委員会が検討していることについて、新規参入の事業者29社のうち26社が「適切でない」と考えてことがわかりました。当然のことです。
 これについて原発のコストに詳しい大島堅一立命館大教授は、「新規参入の事業者は本来かかっていない費用を払わないといけないので、電力自由化の趣旨に反する」と述べています
 
 NHKのニュースの他、大島教授のツイッター(11月25日)を紹介します。
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廃炉費用一部を新規事業者が負担 「適切でない」と回答
NHK NEWS WEB 2016年11月25日 
原子力発電所の廃炉などにかかる費用の一部を送電線の利用料に上乗せして新たに参入した電力事業者に負担させる仕組みを経済産業省の委員会が検討していることについて、環境団体が調査を行った結果、新規参入の事業者の多くが「適切でない」と回答していたことがわかりました。
 
東京電力・福島第一原子力発電所の事故の賠償や全国の原発の廃炉費用を捻出するため、経済産業省の委員会は、託送料と呼ばれる送電線の利用料に上乗せして原発を利用していない新規参入の電力事業者にも負担させる仕組みを検討していて、来月末までに議論がまとまる見通しです。
 
これについて、今月、環境団体が新規参入の事業者に行った意向調査の結果が、24日、公表されました。それによりますと、回答した29社のうち26社が、託送料への上乗せは「適切でない」と答えたということで、「原発の利益を受けていない事業者が負担するのはおかしい」とか、「『原発は安い』とうたって推進してきた国が税金で負担すべきだ」などを理由としてあげたということです。残り3社は「どちらでもない」と回答し、「適切だ」と答えた事業者はいませんでした。
 
これについて廃炉費用に詳しい立命館大学の大島堅一教授は、「新規参入の事業者は本来かかっていない費用を払わないといけないので、電力自由化の趣旨に反する。託送料は、国会の審査を受けずに金額を決められるので、廃炉費用が膨張する可能性がある」と話しています。
 
 
大島教授ツイッター(11月25日)
 
昨日の発表が報道されましたね→廃炉費用一部を新規事業者が負担 「適切でない」と回答 | NHKニュース   http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161125/k10010783471000.html 
 
 
経産省は、損害賠償費用のうち一般負担金部分は、過去の需要家は未払いだとして3兆円?の負担を国民に求めるそうだ。後付けで、ほとんどこじつけとしか言いようのない理屈。
 
では、今稼働している川内原発1,2号機、伊方3号機の分は、一体どうなっているのだろう?
 
そもそも一般負担金は、原賠機構がそのときの状況に応じて原子力事業者の支払い額を決めているわけで、なんか一定の料率があるわけではない。それなのに、遡って徴収???。一般負担金ってそういうものじゃないでしょ。
 
原発事故費用や廃炉費用の問題は、複雑なように見えてすごく単純。要は、これらの費用を国民全員に払わせて、原子力事業者の負担を軽くしようということだよ。

2016年11月25日金曜日

脱原発パレードに1600人 宇都宮

 厳寒の中、「さようなら原発!栃木アクション」宇都宮市中心部で開かれ、約1600人が集まりました。
 集会後市民たちは「原発反対」「再稼働やめろ」などと声を上げながらJR宇都宮駅付近まで行進しました。
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原発なくそう 1600人パレード 宇都宮で市民団体主催
東京新聞 2016年11月24日
 東京電力福島第一原発事故を受け、原発のない社会の実現を訴える「さようなら原発!栃木アクション」が、宇都宮市中心部で開かれ、約千六百人(主催者発表)が「原発反対」「再稼働やめろ」などと声を上げながら行進した。
 
 市民団体による実行委員会が二〇一二年に始め、今年で五回目。パレードに先立ち、宇都宮城址(じょうし)公園ではトークイベントがあり、日本原子力発電の東海第二原発がある茨城県東海村の村上達也前村長も参加。村上さんは「東海第二で事故が起きれば、隣接する栃木県にも被害が及ぶ。手を携えて原発ゼロを目指そう」と呼び掛けた。
 その後、参加者は公園からJR宇都宮駅付近までの約二・二キロをパレードし、脱原発を訴えた。 (中川耕平)

25- ベトナム 原発中止は福島事故で計画変更の結果

ベトナム、日本の原発建設計画を白紙撤回 福島の事故で計画変更の結果...
ハフィントンポスト2016年11月23日
日本とロシアが受注したベトナムの原子力発電所の建設計画が、白紙撤回された。
福島の原発事故を受けて安全性を見直した結果、建設費用が膨大になり、財政難も追い打ちをかけた。「成長戦略の柱」として官民一体で推進してきた日本の原発輸出が頓挫することになる。
 
ベトナムの国会は11月22日、日本とロシアが受注した南東部ニントゥアン省の原発建設計画を白紙撤回する政府案を、90%を超す賛成多数で承認した。
ベトナムは、グエン・タン・ズン前首相時代の2009年、国会でニントゥアン省に計4基の建設計画を承認した。第1原発(2基)はロシアが受注し、日本は官民一体の売り込みの末、第2原発(2基)を受注した。当初は2014年に1基目が着工する予定だった。
しかし、2011年の東京電力福島第一原発事故で、安全性に対する疑念が高まった。朝日新聞デジタルによると、原発の設置場所を海岸沿いから、内陸へ数百メートルの地点に変更。計画も遅れ、最初の稼働が2028年になると見込まれていた。
 
ベトナムのニュースサイトVnExpressによると、日本とロシアのコンサルタントは、建設費用が当初見込んでいた100億ドル(1兆1100億円)から270億ドル(約3兆円)に膨らむと試算、発電単価としても割高となることが予想された。2015年末に負債が1600億ドル(約17兆7000億円)に膨らみ、財政再建を進めるベトナムにとって、巨額の設備投資は重荷になった。
 
ベトナム政府は声明を発表。今回の計画撤回は「経済的理由」によるもので、「いかなる技術的な内容によるものでもない」とした。

2016年11月24日木曜日

原子力規制委 原子炉強度問題で検査方法の見直しを検討

 フランスの原発で鋳鋼製の原子炉蓋板部分に基準以上の炭素が含まれていてひび割れが見つかった問題で、国内原発の部品を再調査した結果、全ての原発で「炭素濃度は基準を満たしているされたました。原子力規制委は各社から報告された評価を妥当だとしました。
 しかし国内での調査は、製造時の炭素濃度のデータを再確認したに過ぎず、本当に実物が安全なのかは疑問です。規制委は今後検査方法の見直しを検討することになりました。
 
 フランスでは、現地の規制当局が一部の稼働中の原発について運転を停止し調査する方針だというのに、日本のやり方は全く緊急性を感じさせず、悠長で生ぬるい感じを否めません。
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原子力規制委 原発部品問題で検査方法見直し検討
NHK NEWS WEB 2016年11月22日
フランスの原子力発電所の部品に比較的もろい鉄の合金が使われた疑いが出ている問題で、国内の電力会社がいずれの原発の部品も基準を満たしているとした報告について、原子力規制委員会は各社の評価を妥当だとする一方、今後、検査方法の見直しを検討することになりました。
 
フランスの原発では、日本の鉄鋼メーカーなどが金属に強い圧力を加える「鍛造」という方法で製造した主要な機器に使われる合金の部品に基準以上の炭素が含まれていたことがわかり、比較的もろくなっている疑いが出ています。
この問題を受けて、原子力規制委員会は国内でも同様の問題がないか、同じ加工法で製造された原発の部品を使っている電力会社11社に調査を求めたのに対し、先月各社は残っていた製造データなどから「炭素が多く含まれている可能性はない」と報告しました
これについて、規制委員会は22日の会合で、各社の評価を妥当だとしました。そのうえで、今後、合金に含まれる炭素の量をより詳しく調べることができるよう、検査方法の見直しを検討することになりました。
 
一方、フランスでは、現地の規制当局が一部の原発について、運転を停止し、調査するよう指示していて、規制委員会はフランスでの調査状況などの情報収集を進めることにしています。