2021年2月28日日曜日

エネ庁幹部ら1年で80回来県

 経産省や資源エネルギー庁の幹部らが昨年1月から今年1月の約1年間で、自治体関係者や県議らとの「意見交換」などの目的で計80回、新潟県に出張していたことが分かりました。そのうち半数以上は9月以降で、この時期は柏崎刈羽原発7号機の再稼働に必要な全審査が「合格」となる局面でした。政府が再稼働への地元理解を得ようと「地ならし」に入っていた可能性があります。

 25日の衆院予算委で共産党の藤野保史衆院議員(比例北陸信越)が明らかにしました。
 再稼働を議論する前提となる原発の安全性を巡る新潟県独自の「三つの検証」まだ終わっていな段階で、自治体関係者ら経産省やエネ庁の幹部が水面下でと頻繁に会っていたことはやはり不健全です
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エネ庁幹部ら1年で80回来県 柏崎原発再稼働へ地ならしか
                           新潟日報 2021/02/26
 原発の再稼働政策を進める経済産業省や資源エネルギー庁の幹部らが昨年1月から今年1月の約1年間で、自治体関係者や県議らとの「意見交換」などの目的で計80回、新潟県に出張していたことが25日、分かった。そのうち半数以上は9月以降だった。この時期は、原子力規制委員会による東京電力柏崎刈羽原発7号機の再稼働に必要な全審査が「合格」となる局面で、政府が再稼働への地元理解を得ようと「地ならし」に入っていた可能性がある。
 本県では、花角英世知事が同原発の再稼働を議論する前提とする、原発の安全性を巡る県独自の「三つの検証」はまだ終わっていない。それにもかかわらず、再稼働を進める立場の経産省やエネ庁の幹部が水面下で自治体関係者らと頻繁に会っていたことは県民から疑念を持たれかねない
 25日の衆院予算委員会で共産党の藤野保史衆院議員(比例北陸信越)が、経済産業省から提出を受けた資料を基に明らかにした。
 資料によると資源エネルギー庁の保坂伸長官が4回来県しており、いずれも9~11月だった。ほかに高橋泰三・前長官が1回、平井裕秀次長が2回、小沢典明首席エネルギー・地域政策統括調整官が5回、その他の同庁と経産省の幹部職員らが計68回、本県に出張していた。この中には、複数人で共に来県したケースも含まれている。
 訪問相手は自治体関係者が最も多い50回超で、地元経済団体関係者や県議も多かった。出張の目的は「意見交換等」がほとんどで、ほかに柏崎刈羽原発の視察や原子力防災訓練への参加があった。
 東電が再稼働を目指す同原発7号機の全審査が終了したのは昨年10月30日。その2カ月前の審査最終局面から回数が増え始め、9月以降だけで半数以上の42回を占めた。
 藤野氏は25日の予算委でこの問題を取り上げ「ほぼ1週間に1回、幹部が新潟入りしていることになる。ほかの原発立地地域にはないことだ」と指摘。面会の目的をただした。
 梶山弘志経産相は「事業者だけでなく国も前面に立ち、原子力について地元や国民の理解が深まるように丁寧に取り組むことが重要だ。立地地域の関係者とはエネルギー政策を巡る課題について常日頃から意見交換している」と述べた。
 エネ庁は同日、新潟日報社の取材に対し「新潟への訪問回数は多い方だが、同程度の地域もある。突出して多いわけではない」と説明した。
                 (後 略)

柏崎市長 安全協定見直しに言及

 柏崎市の桜井市長は25日の市議会施政方針演説で、東電が原発立地自治体と結ぶ安全協定について「法的根拠の付与など、国や関係者と意見交換、研究を始めたい」と述べ、紳士協定にとどまる現状の見直しに言及しました。

 東電県、柏崎市、刈羽村と安全協定を結び、再稼働する際に事前了解を得るとしていますが、それは安全協定に基づくもので法的拘束力はないとされています
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柏崎市長、安全協定見直しに言及 東電不正入室問題 法的根拠を研究
                           新潟日報 2021/02/26
 新潟県柏崎市の桜井雅浩市長は25日の市議会2月定例会議本会議の施政方針演説で、電力会社が原発立地自治体と結ぶ安全協定について「法的根拠の付与など、国や関係者と意見交換、研究を始めたい」と述べ、紳士協定にとどまる現状の見直しに言及した。東京電力柏崎刈羽原発で所員による中央制御室への不正入室などが発覚し、改めて問題意識を持ったという。
 同原発を巡っては、東電が県、柏崎市、刈羽村と安全協定を結んでいるが、法的拘束力はない。東電が原発を再稼働する際に関係自治体から事前了解を得ることも安全協定に基づいて行われている
 25日の本会議後、桜井氏は取材に「法的根拠のないものが再稼働のみならず、常に原子力政策に横たわる状況がいいのかどうか。時代に合わない部分もある」と語り、法的根拠を持つものにすることの是非も含め、国や他の原発立地自治体などと意見交換していく意向を示した。
 一方、桜井氏は施政方針演説の中で、不正入室と7号機の安全対策工事未完了が相次いで発覚した問題に関しても言及した。「再稼働に関する今後の日程は見込みも付かないような状況だ。この事態を打開できるのは東電自身だ。原因の分析、改善策など誰もが納得できる取り組みが必要だ」と強調した。

柏崎原発の燃料装填の計画見直し 

 東電は26日、柏崎刈羽原発7号機の原子炉への核燃料装填について、3~4月に行うとしていた計画を見直すと発表しました。実施時期は未定です

 元々、3~4月に装填というのは地元同意の見通しもないままで東電が決めたものでした。
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柏崎原発の燃料装填の計画見直し 東電、工事未了新たに1件
                             共同通信 2021/2/26
 東京電力は26日、再稼働を目指す柏崎刈羽原発7号機(新潟県)の原子炉への核燃料装填について、3~4月に行うとしていた計画を見直すと発表した。実施時期は未定。安全対策工事の未了が新たに1件見つかり、計3件となったことも明らかにした。
 東電によると、装填計画の見直しは、工事未了のほか、昨年9月に起きた所員によるIDカード不正使用問題を踏まえ決めた。
 新たな工事未了は7号機の原子炉建屋地下1階で見つかった。床を配管が貫通する場所で、止水工事が行われていなかった。原因を調べている。

28- 東電、原発賠償額が10兆円超へ

東電、原発賠償額が10兆円超へ 避難の慰謝料、営業損害で

                            共同通信 2021/2/27
 福島第1原発事故を起こした東京電力による賠償支払額の累計(除染費用を含む)が、2021年度にも10兆円を超える見通しになったことが27日、分かった。避難に伴う慰謝料や営業損害などに対する支払額は2月19日現在で9兆7028億円に上り、事故から10年が過ぎても増えるのは確実。巨額賠償は地域への影響や原発のコストの大きさを映し出している。
 一方、避難者らの集団訴訟が相次ぐなど、これまでの支払い対応が被害の実情に見合っていないとの声も多い。東電が「最後の1人まで賠償貫徹」とする公約を果たす時期は見えないままだ。


2021年2月27日土曜日

東電 柏崎刈羽原発7号機  6月 営業運転の計画を見直し「未定」に

 柏崎刈羽原発では去年9月、社員が別の社員のIDカードを使って中央制御室に入室していた不正をはじめ、安全対策工事の漏れなど様々な不祥事が重なったのを受けて、東電は26日、ことし6月には営業運転に入れたいとしていた計画を見直し、今後の工程を未定としました。
 再稼働には県など地元の同意がまず必要なので、6月に営業運転に入れたいというのは東電の一方的な希望に過ぎなかったのでした。
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東電 柏崎刈羽原発7号機 “6月 営業運転の計画”見直し
                     NHK NEWS WEB 2021年2月26日
新潟県にある柏崎刈羽原子力発電所7号機について、東京電力は原子炉を冷却する設備の一部の安全対策工事が終了していなかったと発表し、工事完了と検査の合格を前提にことし6月には営業運転に入れるとしていた計画を見直し、今後の工程を未定としました。
東京電力は、再稼働を目指している7号機で安全対策工事を進めていますが、事故があった場合に、原子炉を冷却する重要設備の地下にある配管の水漏れ対策が終わっていなかったと発表しました。
東京電力は先月、いったん安全対策工事を完了したと発表したもののその後、消火設備の工事漏れなどミスが相次いで判明、工事を再開するとともに総点検を行っていました。

こうした問題を受けて、東京電力は26日、安全対策工事の完了と原子力規制委員会の検査合格を前提に、ことし6月には営業運転に入れるとしていた計画を見直し、今後の工程を未定としました
柏崎刈羽原発ではこのほかにも去年9月、社員が別の社員のIDカードを使って中央制御室に入室していた不正も明らかになり、規制委員会から報告を求められています。
7号機の再稼働には地元自治体の同意も必要で、再稼働ができるかどうかの具体的な見通しは立っていません。

東京電力はミスを陳謝したうえで、「工事の設計側と実施側の情報共有が問題だったと考えています。総点検を丁寧に実施し、結果は改めてお知らせして参ります」と話しています。 

原発ゼロ 政治の争点に 原発をなくす全国連絡会総会

 原発をなくす全国連絡会は25日、第9回総会を、オンラインをまじえて開きました。

 野党が提出した原発ゼロ基本法実現を求める請願署名を軸に「ふくしまの復興と原発ゼロをめざす大運動」を進め、原発ゼロを政治の争点に押し上げる取り組みを広げる方針を確認しました。
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原発ゼロ 政治の争点に なくす全国連絡会総会
                       しんぶん赤旗 2021年2月26日
 全労連、全日本民医連、新日本婦人の会などでつくる原発をなくす全国連絡会は25日、原発事故から10年を前に第9回総会を、オンラインをまじえて開きました。野党が提出した原発ゼロ基本法実現を求める請願署名を軸に「ふくしまの復興と原発ゼロをめざす大運動」を進め、原発ゼロを政治の争点に押し上げる取り組みを広げる方針を確認しました。
 開会あいさつした全労連の川村好伸副議長は、東京電力福島第1原発事故終息の見通しは立たず、賠償打ち切りなど被災者切り捨ての政治が続けられていると告発。原発ゼロへ野党共闘を後押しし、政権を交代させることが必要だと述べ、「対話・宣伝を広げよう」と呼びかけました。
 情勢報告した日本共産党の笠井亮衆院議員は、野党が共同提出した原発ゼロ基本法案の審議を自民・公明両党が拒否する一方、菅政権が福島原発事故を終わったことにし、原発を永久化しようとしていると指摘。「原発ゼロの一番の近道は政権交代だ」と強調し、原発ゼロを野党の共通公約に政権交代へ力を尽くすと表明しました。
 ふくしま復興共同センターの斎藤富春代表委員(福島県労連議長)が特別報告し、生業(なりわい)は事故前の水準に戻っておらず、賠償・支援が打ち切られていると批判しました。
 各団体の代表が発言し、全日本教職員組合の山本乃里子さんは、福島の現状を学び、職場、地域や保護者と共有する取り組みを報告。自由法曹団の柿沼真利弁護士は、裁判の成果を生かし、被災者救済の政策を実現したいと表明しました。新日本婦人の会福岡県本部、「原発ゼロの会おおさか」の代表がオンラインで発言しました。

福島 除染の廃棄物処分 4000億円以上必要

 福島原発の事故の除染で出た廃棄物土や草木などについて、最終処分費の試算まとまりました。この試算は国が公共工事などで進める除染廃棄物の再生利用が9割以上で実現でき、処分は福島県外で行うという条件で行われました。
 その結果最終処分が必要なのは全体の8%にあたる113万立方メートルになり、これを対象とした処分場の建設や輸送などの費用は最低でも4401億円と算出されました。
 放射性物質を濃縮する処理を行って最終処分量を1900立方メートルまで減らすケースでは6756億円がかかるとされました。
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福島第一原発 除染の廃棄物処分 4000億円以上必要に 初の試算
                     NHK NEWS WEB 2021年2月26日
東京電力福島第一原発の事故のあとに行われた放射性物質を取り除く除染で出た廃棄物について、最終処分には4000億円以上が必要だとする初めての試算を研究者のグループがまとめました。この試算は除染廃棄物の9割以上が公共工事などで再生利用されるという条件で行われていて、再生利用が進まない場合、費用はさらに増える見通しです。
福島県で行われた除染によって出る土や草木などは東京ドーム11杯分にあたる1400万立方メートルと推計されていて、2045年までに福島県外で最終処分することが法律で定められています。
この最終処分の費用について「環境放射能除染学会」に所属する研究者のグループが初めて試算を行い、25日、結果をまとめました。
この試算は国が公共工事などで進める方針の除染廃棄物の再生利用が9割以上で実現でき、処分は福島県外で行うという条件で行われました。
その結果、最終処分が必要なのは全体の8%にあたる113万立方メートルとなり、処分場の建設や輸送などを考慮した費用は最低でも4401億円と算出されました。
放射性物質を濃縮する処理を行って最終処分量を1900立方メートルまで減らすケースでは6756億円がかかるとされました。
グループでは、再生利用が想定どおり進まない場合、最終処分の費用はさらに増えるとしています。

研究グループの委員長を務めた国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センターの大迫政浩センター長は「福島県外での最終処分や国が進める再生利用の問題は、かなり長期にわたり国民が背負い続けていかなければいけない。事故の発生から10年が経過し少しずつ関心が薄れていると感じるが、国民全体の問題とする努力が必要だ」と話しています。 

27- 国産初の研究用原子炉が再稼働 10年ぶり 茨城 東海村

 茨城県東海村にある国産初の研究用の原子炉「JRRー3」が新しい規制基準に対応する工事などを経て定期検査に合格しました。

 およそ10年3か月ぶりに再稼働し今月15日から核分裂反応が連続する臨界になりました。
 原子力開発機構 原子力科学研究所の大井川宏之所長は「安全確保を大前提に運転し、学術や産業利用に貢献したい」と話していま
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国産初の研究用原子炉が再稼働 10年3か月ぶり 茨城 東海村
                     NHK NEWS WEB 2021年2月26日
茨城県東海村にある国産初の研究用の原子炉で、運転を停止していた「JRRー3」が新しい規制基準に対応する工事などを経て定期検査に合格し、およそ10年3か月ぶりに再稼働しました。
茨城県東海村にある日本原子力研究開発機構の「JRRー3」は、昭和37年に運転を始めた国産初の研究用の原子炉で、その後大規模な改造工事などを経て、原発事故の前年の11月から定期検査に入り、運転を停止していました。
新しい規制基準の審査に3年前に合格し、建屋や排気筒の耐震工事や、燃料を冷やす原子炉プールに外部から給水するための工事などが先月までに終わり、今月15日からは核分裂反応が連続する臨界にするなどして検査が行われてきました。
26日は原子炉を最大出力で運転する最後の検査が行われ、中央制御室では原子力機構の検査担当者が冷却水の放射線量や温度に異常がないことなどを確認し、検査に合格しました。
原子力機構によりますと、ことし6月から核分裂反応で発生する中性子などを用いた大学や企業の研究などに利用される予定だということです。
日本原子力研究開発機構原子力科学研究所の大井川宏之所長は「安全確保を大前提に、地元にも理解をいただきながら運転し、学術や産業利用に貢献したい」と話していました。

2021年2月26日金曜日

福島沖地震で東電と菅首相が福島原発の異変を隠蔽!

 菅首相は昨年10月26日の所信表明演説で「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という「脱炭素化社会の実現」を打ち出しました。そして12月25日に公表された政府の「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」は、安全最優先での原発再稼働を進めるとともに、安全性に優れた次世代炉の開発を行っていくことが必要と明記しました。要するにグリーンエネルギー政策を盾にして原発の再稼働・新設を推進することを明確にしたわけです。

 25日の記事「洋上風力発電を本気で進めるべき」でも述べたように、「カーボンゼロ  原発再稼働」と考えるのは愚かなことで、原発が、熱効率が低くて「海水暖め装置」である以上、地球温暖化防止の決め手になることはないし、発電時だけはCO2を出さないもののトータルでは殆ど火力と同様で「カーボンゼロ」でもありません。

 13日に福島県などを襲った最大震度6強の地震で、14日2時前に菅首相がいち早く報道各社のインタビューに応じ「原子力関係でもすべて異常な報告については、ありません。すべて正常ということです」と述べました。しかしその後 福島第1原発で様々な故障が起きていたことが明らかにされました。

 LITERAが、まだ地震の影響の全容が分かる前に菅首相が「すべて正常」と発表したのは、危機管理の重要性をまるで理解しておらず、国民を騙してその場をしのげればいいと考えていることの顕れだとする記事を出しました。
 確かに記事が指摘する通りで、原発の再稼働を進めたいばかりに安全性を強調しようとした意図が透けて見えます。
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福島沖地震で東電と菅首相が福島原発の異変を隠蔽! 地震計は故障、汚染水タンクがずれ、格納容器が水位低下しても「すべて正常」
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 もうすぐ福島第一原発事故から10年の節目を迎えるが、2月13日に福島県沖で発生したマグニチュード7.3、最大震度6強の地震をめぐり、とんでもない事実が次々と判明している。
 なんと、福島第一原発の3号機に設置されていた地震計2台が故障していたことを東京電力が確認しながら、それを放置していたため、13日の地震のデータを取れていないことが22日になって判明したのだ。
 東電が地震計の故障によってデータが取れていないことを認めたのは、22日におこなわれた規制委員会" class="tagLink">原子力規制委員会の「第88回特定原子力施設監視・評価検討会」でのこと。東電の説明によると、3号機の原子炉建屋に地震計が設置されたのは昨年3月。10年前の事故の影響で3号機の原子炉建屋の耐震性が劣化しており、その安全性を確認するために原子力規制委員会が提案して地震計2台が設置されたというが、昨年7月の大雨などによって2台とも故障した
 だが、東電は故障を把握していながら、そのまま半年以上も放置。そんななかで今回の地震が発生し、肝心の地震の揺れを観測できなかった、というのである。
 地震計の故障を知ってながら交換も修理もおこなわなかったという杜撰さには閉口するほかないが、もっと問題なのは、この事実を東電が地震発生後から1週間以上も“隠蔽”していたことだ。
 東電はこの検討会のなかで、「昨年から故障していると気づいていたが、修復等の対応をとっていなかった」とあっさり述べたのだが、繰り返すが、この検討会がおこなわれたのは22日。13日の地震発生後、ただちに地震計の故障とデータが取れていないことを発表すべきなのに、この問題を隠していたのである。

汚染水タンクのずれを4日間公表せず 信用できない東電 格納容器の水位、圧力低下は大丈夫なのか
 しかも、東電が“隠蔽”したのは地震計の問題だけではない。13日の地震によって福島第一原発の処理水や浄化途中の汚染水が入ったタンクの位置にずれが生じ、14日の午後13時ごろにはその事実を把握しておきながら、18日になって公表したのだ。
 いや、さらに深刻なのは、19日に公表された、1号機と3号機の格納容器で水位が低下している、という問題だ。
〈東電によると、1号機で15日から、3号機で17日以降に、それぞれの格納容器内の温度計の一部で測定温度が低下。温度計が水につかっていないと判断し、水位低下と結論付けた。
 温度計の位置から、1号機で1.9メートルの水位が40~70センチ低下し、3号機も6.3メートルあった水位が約30センチ下がったとみられる。〉(東京新聞19日付)
 10年前のメルトダウンによって格納容器は損傷を受けており、今回の水位低下は13日の地震によってその破損が拡大したことによるものと見られているが、22日に公表された情報でも格納容器の水位は〈その後も低下傾向にある〉。また、水素爆発を防ぐために格納容器には窒素が注入され、圧力が高くなっているが〈1号機では大気圧との差を計測する圧力計の値が1.2キロパスカルから0.1キロパスカルまで下がりほぼ大気圧になっている〉という(NHKニュース23日付)。
 水位だけではなく、圧力も大気圧並みまで下がっている──。東電は周辺の放射線量などに異常はないと説明しているが、水位の低下による核燃料の冷却への影響に本当に問題はないのか、漏れた水はどこに流れているのか、水素爆発の危険はないのか、不安は尽きない。そもそも、地震計の故障を放置し、さらにはその事実を隠してきた東電を信用できるわけがない。
 しかし、信用ならないのは、事故対応にあたる菅義偉首相も同じだ。
 実際、13日の23時すぎに地震が発生したことを受け、14日2時前に菅首相は報道各社のインタビューに応じたが、このとき菅首相はこう述べていた。
原子力関係でもすべて異常な報告については、ありません。すべて正常ということであります

格納容器の水位と圧力が低下したのに「すべて正常」と言い切った菅首相の無責任
 「『現時点では異常はない』という報告を受けている」と言うのならまだしも(それも「十分な確認はできていると言えるのか」とツッコミを受けるべきものだが)、ところが菅首相は「異常な報告はありません」「すべて正常」と断言したのだ。
 6日後になって水位の低下が発表されるなど「すべて正常」とはとても言えない、むしろ続々と危険な情報が明らかになっている状況に陥っているのが現実なのだが、ようするに菅首相は何の根拠もなく「正常だ」と国民に言い張ったのである。
 10年前の事故の際、当時、官房長官だった枝野幸男氏は放射線量について「ただちに人体や健康に影響を及ぼす数値ではない」などと曖昧な表現を繰り返し、「すぐにはなくても後にはあるということか」と批判を浴びたが、今回の菅首相の発言はそうした次元を超えた「根拠のないデタラメ」「はったり」だ。
 こうした態度からは、新型コロナ対応でもはっきりしたように、菅首相が危機管理の重要性をまるで理解しておらず、国民を騙してその場をしのげればいいと考えていることがありありとわかる。
 しかも、菅首相が今回、こんな無根拠なデタラメを断言してみせたのは、菅首相自身が原発政策を推し進めようとしているからだ。
 菅首相は昨年10月26日の所信表明演説で「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という「脱炭素化社会の実現」を打ち出し、それと同時に「原子力政策を進める」と明言。さらにその翌日には、自民党の世耕弘成・参院幹事長が会見で「新しい技術を取り入れた原発の新設も検討することが重要」と発言した。
 そして、昨年12月25日に公表された政府の「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」では、〈安全最優先での再稼働を進めるとともに、安全性に優れた次世代炉の開発を行っていくことが必要〉と明記されたのだ。

菅首相が「すべて正常」と言い切ったのは原発の再稼働・新設を推し進めたいから
 福島第一原発の事故の反省もなく、グリーンエネルギー政策を盾にして原発の再稼働・新設を推進する──。13日の地震によってさまざまな異常が起きている事実、またも異常を隠蔽した東電の態度を見ても、いかにこれが危険なものなのかは一目瞭然だ。
 いや、いちばん危険なのは、菅首相の姿勢だ。今回、菅首相が留保をつけることもなく「すべて正常」と断言したのは、推し進めようとしている原発の再稼働・新設にケチがつかないように強い言葉で否定してみせたのだろうが、こんな国民に平気で嘘をつく総理大臣が原発再稼働・新設や事故の対応にあたれば一体どうなるか。不都合な事実はすべて「異常な報告はない」と押し切り、問題が判明するまで闇に葬られるだろう。
 自己中心の対応しかしない菅首相には、新型コロナ対応だけではなく危機管理全般を任せることができない。その恐ろしさについて、国民はもっと知らなくてはならないはずだ。(編集部)

規制委員長「大変遺憾」 柏崎原発 核物質防護で問題続出

 柏崎刈羽原発で昨年9月に中央制御室への不正入室し、1月27日には侵入検知に関わる核物質防護設備を誤って損傷させ、福島第2原発でも今月中旬に無効化済みのIDカードを紛失するなど核物質防護に関わる問題が相次いで起きたことを受け、原子力規制委の更田豊志委員長は24日の定例記者会見で「大変遺憾だ」と苦言を呈しました。
 規制委は不正入室が核物質防護規定に違反したと既に判断していますが、新たに判明した2件についても事務局の原子力規制庁が検査を実施し規定に違反しているかなどを確認するとしています。
 更田氏は、既に認められている規定の見直しを東電に求めた場合には、再審査が必要となりますが、その間の再稼働事実上あり得ないと述べました。
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規制委員長「大変遺憾」 柏崎原発 核物質防護で問題続出
                           新潟日報 2021/02/25
 東京電力柏崎刈羽原発で核物質防護に関わる問題が相次いで起きたことを受け、原子力規制委員会の更田豊志委員長は24日の定例記者会見で「大変遺憾だ」と苦言を呈した。今後の検査などを通じて「厳しく見ていきたい」と強調した。
 柏崎刈羽原発で昨年9月に起きた中央制御室への不正入室問題は、1月下旬に発覚。同27日には侵入検知に関わる核物質防護設備を誤って損傷させ、福島第2原発でも今月中旬に無効化済みのIDカードを紛失したことが分かった。
 核物質防護に関わる問題が相次いだことについて、更田氏は「東電の防護に対するレベルや質に疑問は持っている」と述べた。ただ、新たに発覚した2件の深刻さなどの評価に関しては「現時点では何も申し上げられない」とし、事実関係の確認を急ぐとした。
 核物質防護規定は核物質を扱う事業者のルールを定めたもの。既に認められている規定の見直しを東電に求めた場合には、再審査が必要となる。この場合の再稼働について、更田氏は「許可になっていない時点での発電所の利用は、事実上あり得ない」と述べた。

 規制委は既に不正入室が核物質防護規定に違反したと判断している。新たに判明した2件についても事務局の原子力規制庁が検査を実施し、規定に違反しているかなどを確認するとしている。 

IAEA 福島第一原発 トリチウムなど含む水の処分に協力の考え

 IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長はNHKの単独インタビューに応じ、福島第一原発でたまり続けているトリチウムなどの放射性物質を含む水の処分について、「われわれは日本政府の決定を待っていて、決定されれば協力できる」と述べました。

 因みにIAEAは基本的に原発推進の立場で、政府が処分方法を決定した場合、地元や周辺国の懸念の声などに対応するため、IAEAが処理水質のモニターするなどで協力していく考えを示したものです。
 
 なおIAEAの去年の年次総会で韓国の代表は、処理水を海に放出すれば隣国の環境にも影響が出かねないとしたうえで「日本政府は決定を下す前に、韓国など国際社会に、透明性があり具体的なコミュニケーションをとる義務がある」と主張しました。
 日本側は、まだ水の処分方法は検討中だとしたうえで「日本政府は適切な方法で国際社会と情報を共有している。IAEAに対しても全面的に協力してきた」と反論しています。
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IAEA 福島第一原発 トリチウムなど含む水の処分に協力の考え
                     NHK NEWS WEB 2021年2月25日
IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は、東京電力福島第一原子力発電所でたまり続けているトリチウムなどの放射性物質を含む水の処分について、日本政府が処分方法を決定した場合、地元や周辺国の懸念の声などに対応するため、協力していく考えを示しました。
IAEAのトップ、グロッシ事務局長は24日、本部があるオーストリアの首都ウィーンでNHKの単独インタビューに応じました。
福島第一原発のタンクにたまり続けているトリチウムなどの放射性物質を含んだ水の処分をめぐっては、国の小委員会が、基準以下の濃度に薄めるなどしたうえで、海か大気中に放出する方法が現実的だとする報告書をまとめ、政府が処分方法を検討しています。
これに対して漁業関係者などからは風評被害を懸念する声があり、隣国の韓国も懸念を示しています。
これについてグロッシ事務局長は「地元の人や周辺国が懸念を示す難しい状況を考慮すると、IAEAの存在が重要だ」と述べ、国際機関であるIAEAが技術的な観点から協力できるという考えを示しました。
そのうえで「われわれは日本政府の決定を待っていて、決定されれば協力できる」と述べ、日本政府が処分方法を決定した場合、地元や周辺国の懸念の声などに対応するため、協力していく考えを示しました。
具体的には、放出した処理水をIAEAがモニターして公表する仕組みなどについて日本側と協議しているということで、これについてグロッシ事務局長は「詳細はまだ言えないが、合同チームをつくって実施していく考えだ」と述べました。

グロッシ事務局長 去年 福島第一原発を視察
おととし12月に就任したIAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は、1年前の去年2月、就任後初めて日本を訪問しています。
この訪問でグロッシ事務局長は、東京電力福島第一原子力発電所を訪れ、原子炉を視察して、東電側から廃炉に向けた進捗(しんちょく)状況について説明を受けたあと、焦点の1つとなっているトリチウムなどの放射性物質を含む水についても放射線量などの説明を受けました。
また、東京では当時の安倍総理大臣とも会談し、福島第一原発の廃炉や汚染水対策をめぐりIAEAとしても協力していく意向を伝えていました。

トリチウムなど含む水の処分 IAEAの年次総会でも討論に
東京電力福島第一原子力発電所にたまり続けているトリチウムなどの放射性物質を含む水の処分をめぐっては、IAEAの本部があるウィーンで開かれる年次総会で、おととしに続き去年も韓国の代表が日本の対応に懸念を示しています。
この中で韓国の代表は、処理水を海に放出すれば隣国の環境にも影響が出かねないとしたうえで「日本政府は決定を下す前に、韓国など国際社会に、透明性があり具体的なコミュニケーションをとる義務がある」と主張し、日本の対応に懸念を示しています。
そして、IAEAに対して、処理水の対応で具体的な役割を果たすよう求めました。
これに対し日本側は、まだ水の処分方法は検討中だとしたうえで「日本政府は適切な方法で国際社会と情報を共有している。IAEAに対しても全面的に協力してきた」と反論しています。

26- 試験操業が3月末終了 福島県漁連「前に進みたい」

 福島県漁連は24日、福島第1原発事故後に続けてきた試験操業を3月31日で終了する方針案をまとめました。同月下旬の漁協組合長会議で最終決定します

 同県新地町の沖合で取れたクロソイから国の基準値を超える放射性セシウムが検出された件については、野崎哲会長は「特異なケースで他魚種からは出ていない。前に進みたい」と述べました。
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試験操業が3月末終了 福島県漁連「前に進みたい」
                         河北新報 2021年02月25日
 福島県漁連は24日、いわき市内で地域漁業復興協議会を開き、東京電力福島第1原発事故後に続けてきた試験操業を3月31日で終了するとした方針案をまとめた。同月下旬の漁協組合長会議で最終決定する。
 方針案では(1)漁船、漁港、市場などの生産・流通体制が一定程度復旧した(2)検査体制を整備し、県産魚介類の安全性が確保されている-などとして、試験操業の目的は達成されたと明記。東日本大震災前の水準の操業に向けて段階的に移行するとした。
 同県新地町の沖合で取れたクロソイから国の基準値を超える放射性セシウムが検出され、国は出荷制限をかける方針。野崎哲会長は取材に対し「特異なケースで他魚種からは出ていない。前に進みたい」と述べ、試験操業終了への影響はないとの見解を示した
 各漁協は移行に向けた課題の洗い出しとロードマップ(工程表)の策定を進めている。協議会で相馬双葉漁協(相馬市)は震災前に行っていた他県沖での操業再開の必要性を指摘。いわき市漁協は勿来魚市場での鮮魚販売を9月を目標に始める方針を明らかにした。

2021年2月25日木曜日

洋上風力発電を本気で進めるべき

 福島県沖では、原発事故からの復興の象徴として国が12年から約600億円を投じて浮体式洋上風力発電の事業を進めてきましたが、経産省は昨年末、発電機の選定に問題があり、稼働率が想定より低かったことなどによる不採算を理由に施設を撤去すると表明したばかりです。その一方で政府は12月に、40年の洋上風力発電容量を原発45基に相当する最大4500万キロワットとする目標決めました。

 何ともついて行きかねる話ですが、日本の場合再生エネを追求するうえで洋上風力発電は絶対に欠かせません。
「カーボンゼロ  原発再稼働」と考えるのは愚かなことで、原発が、熱効率が低くて「海水暖め装置」である以上、地球温暖化防止の決め手になることはあり得ません。また発電時だけはCO2を出さないもののトータルでは殆ど火力と同様で「カーボンゼロ」でもありません。

 河北新報が「洋上風力発電/地域の理解得る努力が必要」とする社説を出しました。
 洋上風力発電設備の部品数は約2万程度とされています。それはガソリン自動車の約3万点には及びませんが、電気自動車の約1万点をはるかに上回るもので、産業の裾野は広く、多くの企業が関与できます。
 政府は浮体式洋上風力発電の試験的運用の失敗をキチンと総括したうえで、新たな洋上風力発電構想に向けてシッカリした方針を立てるべきです。

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   (21.01.13)洋上風力発電 山積する課題を詰めつつ進めて欲しい
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社説 洋上風力発電/地域の理解得る努力が必要
                         河北新報 2021年02月25日
 高層ビルに匹敵するような高さの風車が洋上に立ち並ぶ。そんな光景が日本にも現れようとしている。海上の風を活用し電気を生み出す洋上風力発電を、日本で普及させる試みが本格的に始動した。
 ただ課題は山積している。適地・風の調査、技術開発、人材育成、港などのインフラ整備、送電網、発電コストの低減と、幾重もの高いハードルがある。日本の主力電源を、天然資源を燃やす火力から再生可能エネルギーに転換するには、超えなければならない壁であろう。日本の産学官の底力が試される。
 息の長い取り組みとなろう。政府は一貫性のある長期的で具体的なビジョンを明示し、産学官一体で推進できる態勢をつくりたい。その際、漁業者や海運業者らとの調整は丁寧に進めるべきだ。同時に国民、地域住民の理解を得る努力と工夫も欠かせない。
 菅義偉首相は昨年10月、温室効果ガス排出を2050年に実質ゼロとする目標を宣言した。12月に40年の洋上風力の発電能力について、原発45基に相当する最大4500万キロワットとする政府目標も決めた
 10年前の東京電力福島第1原発事故以降、原発の稼働は低迷し、二酸化炭素を出す火力発電の利用が増えた。再生可能エネルギーの太陽光や陸上風力は立地上の限界があり、海に囲まれた日本で洋上風力は温暖化対策の「切り札」と位置付けられた。
 東北は北海道と並ぶ洋上風力の適地とされ、東北電力管内は40年の発電能力の目安が900万キロワットに上る。洋上風力参入を促す「促進区域」として秋田を含む3県の5海域が指定され、事業者の公募も始まった。
 事業規模で数千億円といわれるビッグプロジェクトである。洋上風力の設備は部品が数万点に及び、産業の裾野も広い。建設、運転、保守の各段階で地域経済への波及効果もあろう。政府は「次世代産業に育てる」(梶山弘志経済産業相)と意気込み、アジア市場への進出も想定する。
 原子力も火力も先行きが見通せない中、洋上風力を今後の有力な産業政策としたい狙いも垣間見える。ただ産業優先の前のめりの姿勢が過ぎれば、発展可能性に照らして必ずしも有益とはなるまい。
 騒音や景観など、地域住民の懸念への十分な配慮と対応は不可欠だ。魚や鳥、海洋など自然環境への影響も考慮すべき点となる。再生可能エネルギーといえども、太陽光や陸上風力の開発を巡る反対運動が各地で起きている。
 洋上風力先進地の欧州で市民が参画・投資する例もあるという。地域ぐるみである。検討に値しよう。東北を単なる場所貸しにしてはなるまい。産業として育てるなら、事業者にとって不都合な情報も地域や住民と共有したい。問題の解決策を探求し、技術的熟度を高めることは国際的な競争力の向上につながろう。