2018年2月28日水曜日

商業ベースのウランは早晩枯渇する 原発をべ―スロード電源という愚かさ

 27日、2050年時点のエネルギー政策の課題を話し合う経済産業省の有識者会合があり、報告書に原発の重要性を明記する方向で調整に入ったということです。

 しかし、英紙「ザ・ガーディアン」2013年7月2日号に、英政策調査・開発研究所役員ナフィーズ・アフメド博士は、「2020年代、暴騰するウラン燃料コストが、世界中で原子力発電を崩壊させる!」という論文を寄稿していて、その中で「原発のウラン燃料は2025年以降急速に生産量が減少し価格が高騰する結果、原発の運転が困難になる」と予測しています。

 別にその時点で枯渇するということではないのですが、価格が高騰すれば燃料として使用できなくなる点では同じです。
 原子力ムラのメンバーを中心に、10年後、20年後もベースロード電源になり「得る」と考えているのは大いなる錯覚であって滑稽なことです。そんな刹那的な燃料を用いる結果として、地球を数万年間汚染するものを生み出し、使用済み核燃料を数万年間にわたり莫大な費用を投じて維持管理するというのは、あまりにも不合理で滑稽の極みです。
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2050年にも原発重要と明記へ 将来の新増設に道筋
佐賀新聞 2018年2月27日
 2050年時点のエネルギー政策の課題を話し合う経済産業省の有識者会合は27日、報告書に原発の重要性を明記する方向で調整に入った。改定作業を進めるエネルギー基本計画にも反映させる方針だ。原発の新増設には踏み込まない見通しだが、重要な電源と位置付けて将来の新増設などに道筋をつける狙いがあるとみられる。

 現行の基本計画は、30年時点で原発を「重要なベースロード電源」としている。50年でもその位置付けが大きく変わらなければ、事実上、原発が恒久化されることになる。

双葉町が新成人にDVD 卒業アルバム代わり

新成人に「幻のアルバム」 原発事故で避難、町が制作
 福島・双葉
時事通信 2018年2月28日
 東京電力福島第1原発事故から間もなく7年。今も全域に避難指示が出ている福島県双葉町は、当時中学生だった新成人に、学校生活の写真や現在の町の様子を収めたDVDを昨年から贈っている。今年も卒業アルバムがないまま故郷を離れた約70人に「幻のアルバム」を届けた

 東日本大震災と原発事故が起きた2011年3月11日午後、町立双葉中学校では部活動が行われていた。被災直後、生徒たちはトイレ用の水の確保などを懸命にこなした。1年生の担任だった鈴木阿佐美さん(34)は「恐怖や不安の中、いま一生懸命やらなくてはいけないことをやってくれた」と振り返る。全町避難が決まると、生徒たちは県内外に散り散りに。双葉中は14年に同県いわき市に移転し、再開した。

 アルバムには震災前の思い出を集めた。新成人や教諭らから提供を受けた学校生活の写真約100枚と動画2本を収め、自動的に映し出すスライドショー形式にした。ドローン(小型無人飛行機)で撮影した双葉町や中学の校舎も収録。町の担当者は「避難先でも双葉町の子ども。常に支えていきたい思いがあった」と話す。
 当時の担任らのメッセージ動画も収録し、鈴木さんは「環境や経験することは一人ひとり違うが、それが必ず糧となって今後の人生の役に立つ」と呼び掛けた。
 双葉町から新潟県に避難し、現在は埼玉県で暮らす大学生山本佑香さん(20)は今も町が大好きで、「戻れるなら戻りたい」という。町から届いたアルバムを見るうち、懐かしさが込み上げてきた。「卒業アルバムがないので、代わりになるものを作ってもらって感謝しかない。絶対大切にします」と喜んだ。

28- 大震災7年 ボランティアは減少 緊急雇用創出事業打切                                          

被災地支援は減少 長期化、変わるニーズ 東日本大震災7年
時事通信 2018年2月28日
 甚大な被害をもたらした東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から7年。被災地でのボランティアらによる支援活動は、減少の一途をたどっている。復興が長期化し、被災者のニーズも変わる。資金不足に嘆く団体がある一方、被災地に移り住んで貢献を続ける人もいる。

 岩手、宮城、福島3県の社会福祉協議会を経由して支援活動をした人数は、2011年5月の1カ月間の延べ18万2346人がピーク。その後は減少し続け、17年12月は延べ1751人まで落ち込んだ。ボランティアの活動は、がれき撤去や避難所での炊き出しなどの緊急支援から、コミュニティー維持のための仮設住宅などでの集会開催など日常生活の支援へと移行しているという。
 行方不明者の捜索とボランティアの受け入れ事業を行っている宮城県気仙沼市の一般社団法人「気仙沼復興協会」は、16年度に国からの緊急雇用創出事業が打ち切られ、職員を10人から3人に減らした。17年度からは県の助成金や寄付金で運営するが、綱渡り状態だ。事務局長の千葉貴弘さん(43)は「利益確保のための事業を企画したくても、人手が足りない」と頭を抱える。

 勤め先だった市内のホテルが被災した千葉さんは「復興は道半ば。何か手伝いたいと来てくれる方々を受け入れる窓口は今後も必要だ」と指摘し、「協会を通じてできた地域の人やボランティアとのつながりは財産。これからも人のつながりを生み出す場でありたい」と語った。
 大学時代にボランティア団体で活動していた東京都出身の西崎芽衣さん(25)は、「今しかできない」と大手広告会社の内定を断り、昨年4月から福島県楢葉町のまちづくりを支援する一般社団法人「ならはみらい」で働き始めた。「町民になって、ものすごく先のことを考えるようになった。町に意味があることを確実にやっていきたい」と意気込む。
 支援団体による全国規模の連絡組織「東日本大震災支援全国ネットワーク」の栗田暢之代表(53)は「どこまで続けるかだが、まだ7年。応えるべき課題はたくさんあるのでは」と指摘。「被災地は、原発や過疎化など日本全体が抱える課題を解決しようとする先進地でもある。関心ある人にどう提示し、議論を高めていくかを考えるべきだ」と話している。

2018年2月27日火曜日

原発事故被災の住民「経済面で不安」が7割 福島大調査

 原発事故で被災した双葉郡の7町村で、住民の74%が今後の生活に経済的な不安を感じていることが、福島大の回答者約1万世帯の調査で明らかになりました。
 就労面では、震災前は364%だった正規雇用は206%に減少し、逆に無職が284%から555%に増えました。震災前に正規雇用だった人の約3割が無職になっています
 賠償金支払い終了への不安を感じている人は783%に上りました

 コメント欄には「福島県在住と言うだけで縁談がなくなった」、「震災後、だんなの仕事がうまくいかなくなり、性格も変わってしまい離婚した」などいう、悲惨な内容も書かれていたということです。
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 東日本大震災
福島第1原発事故 被災の7町村住民「経済面で不安」7割 
就労支援など課題 福島大調査 /福島
毎日新聞2018年2月25日
 東京電力福島第1原発事故で被災した双葉郡の7町村で、住民の74%が今後の生活に経済的な不安を感じていることが、福島大の調査で明らかになった。生活設計を賠償金や年金・恩給に頼らざるを得ない実態も判明するなど多くの課題が浮き彫りになった。

 調査によると、今後の生活の経済面で33・8%が「とても不安」、40・5%が「ある程度不安」と回答。生活設計のもとになっているのは(複数回答)、賠償金が56・4%、年金・恩給が50・7%で、勤労収入は32・7%にとどまった。賠償金支払い終了への不安を感じているのは78・3%に上った。
 就労面の影響も大きく、震災前は36・4%だった正規雇用は20・6%に減少。逆に無職が28・4%から55・5%に増えた。震災前に正規雇用だった人の約3割が無職になっていた。
 調査に当たった丹波史紀客員准教授(社会福祉学)は「住民の生活再建は途上で経済的に安定しているとは言えない。実態に合った賠償に加え、就労支援などが必要だ」と指摘した。

 調査は2017年2~3月、協力を得られなかった広野町を除く7町村の全約2万6500世帯に調査票を郵送。約1万世帯から回答があった。

「人生壊された」続く苦悩
 福島大による東京電力福島第1原発事故の被災地住民調査では、自由記述欄に4320人の回答があった。「人生が壊された」「原発事故がなければ、和やかに家族みんなで暮らせたはず」。事故後も続く苦悩が記されていた。

 記述欄には「できることならあの土地で最期を迎えたかった」(80代女性)「(避難先から)戻ったとしても生活できない。戻りたい思いだけではどうにもならない」(50代男性)と古里を思う声が目立った。
福島県在住と言うだけで縁談がなくなった」「震災後、だんなの仕事がうまくいかなくなり、性格も変わってしまい離婚した」と、人間関係を巡ってつらい体験をした被災者も多い。
子どもが学校に溶け込めずつらい思いをしているのに何もできず、申し訳ない」(30代女性)と、原発事故で子どもに負担を掛けたと自らを責める母親もいた。
 一方で「もう少し前向きにやっていかなくては」(60代男性)との意見も一定数あった。

大飯原発 3・4号機の再稼働中止訴えデモ行進

 大飯原発
3、4号機の再稼働中止訴え 5市町で110人デモ行進 /福井
毎日新聞 2018年2月26日
 関西電力が来月以降に再稼働を予定している大飯原発3、4号機(おおい町)の再稼働中止を求めて、脱原発を目指す住民ら約110人が25日、敦賀、小浜、おおい、美浜、高浜の計5市町に分かれてデモ行進した。

 参加者は「事故が起こってからでは遅すぎる」などとハンドスピーカーで訴え、各市町を回った。住宅地では、重大事故に備えて考えておくべきことや使用済み燃料がたまり続けることの危険性などを解説したビラを各家庭の郵便受けに入れた。

 また同日、デモを呼びかけた「ふるさとを守る高浜・おおいの会」(東山幸弘代表)など県内外7団体は、再稼働中止を求めた要請書を原子力規制庁の西村正美・地域原子力規制総括調整官(福井担当)に手渡した。要請書では「(規制委と関電の)火山灰降下量の評価は過小。(再稼働)審査のやり直しの必要が生じている」などと主張した。【高橋一隆】

27- ふげんの燃料搬出26年度完了に延期

ふげん燃料搬出、延期表明 26年度に完了、原子力機構
日経新聞 2018年2月26日
 日本原子力研究開発機構の児玉敏雄理事長は26日、廃炉作業中の新型転換炉ふげん(福井県敦賀市)の使用済み核燃料について、2017年度としていた搬出完了時期を26年度に延期すると表明した。福井県庁で同日行われた西川一誠知事との会談で述べた。

 当初、搬出先としていた機構の東海再処理施設(茨城県東海村)が廃止となり、新たな搬出先が見つからないため。機構は代替策として、海外での再処理に向け関係機関と調整を進めているが、難航している。
 近く、搬出時期を変更した廃炉計画の認可を原子力規制委員会に申請する。33年度としている廃炉完了時期は変更しないという。

 ふげんは1979年に本格運転を開始し、03年に運転を終了。738体あった使用済み核燃料のうち、272体は07年までに東海再処理施設に搬出したが、08年に同施設の耐震補強工事のため中断。
 その後、東京電力福島第1原発事故を踏まえた原子力施設の規制基準強化に伴い、機構が東海再処理施設の廃止を決めたため、残り466体の搬出先がなくなっていた。〔共同〕

2018年2月26日月曜日

福島海産物の輸入拒否 WTOに訴えるべきものなのか

 世界貿易機関(WTOが、韓国が日本の原発事故被災地からの水産物輸入を禁止しているのはWTO違反であると判定し是正勧告を出しました。
 これは日本がWTOに提訴した結果ですが、相手が他の国であったなら日本は提訴したのでしょうか。どうも韓国を見下している感じが否めません。
 海産物の輸入禁止は、果たして貿易の自由化に反するものなのか、WTOの審査になじむものなのか、そして強権によって輸入を強制すべきものなのか? というのが率直な思いです。

 御承知のように、日本はいま保有量が100万トン以上に達しているトリチウム汚染水の処理に困窮していますが、規制委の方針は、それを海洋投棄したいというもので、何とか福島の漁業組合を説得したいと考えているわけです。
 それが「放射能を希釈拡散させてはならない」とする国際原則に外れたものであるのは明らかなので、日本はとても海産物の輸入を他国に強制できるような立場ではない筈です。
 天木直人氏のブログを紹介します。
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寝た子を覚ます事になるWTOの原発汚染禁輸の是正勧告
天木直人のブログ 2018年2月24日
 私は驚いている。
 世界貿易機関(WTO)の紛争パネルが韓国が日本の原発事故被災地からの水産物輸入を禁止している事に対して、WTO違反であると判定して是正勧告を出した事についてだ。
 このような重大な判断を、WTOの紛争パネルが、よくも下せたものだ。
 それよりもなによりも、安倍政権がこんな訴えをWTOパネルに起こしていた事に驚かされる。
 この是正判決は、間違いなく今後大きな問題となって、安倍政権にブーメランのごとく跳ね返ってくるだろう。
 安倍政権は、寝た子を覚ますことになる。

 考えても見るがいい。
 あの時安倍首相は、東京五輪の招致を優先して、原発事故はコントロールされていると世界に大ウソをついた。
 コントロールされていなかったからこそ、日本は汚染水を海洋に投棄するという暴挙をせざるを得なかった。
 その暴挙で汚染された水産物を輸入規制するのは、自国民の食の安全を確保する政府としては当然である。
 そして、汚染の不安は数年ぐらいでなくなるはずがない。
 安全であるかどうかの科学的判断は、貿易の自由化という国際経済のルールを専門にしているWTOのパネルに出来る筈はないし、科学者の間でも、食して安全だと言い切れるコンセンサスはないはずだ。

 韓国が上級委員会に不服申し立てを行う方針を表明したのは当然である。
 不服申し立てを行った韓国政府に、菅官房長官は「極めて遺憾」と述べたらしい。
 斎藤健農林水産相は、科学的根拠に基づいた主張が認められたわけだから、韓国にはそれを重く受け止めて欲しいと文句を言ったらしい。
 愚かな対応だ。韓国を見下す日本の傲慢ぶりだ。
 しかし輸入規制をしているのは韓国だけではない。
 多くのアジアの国々がなんらかの規制をしているはずだ。何よりも中国が必ず反応して来る。
 自らの主張が認められた事を歓迎するとだけ言って、ローキーで対応すればよかったのだ。
 ただでさえ、韓国とは慰安婦問題や北朝鮮問題を抱えている。
 その上に、原発汚染問題を抱えるようでは、今の安倍政権の能力では対応できない。
 パネルのどのメンバーがそのような勧告を出したのか、日本の工作はなかったのか、などという話しすら出てくるだろう。
 そうでなくとも、東電は原発事故を収束出来ているのか、という事になる。安倍首相のアンダーコントロール発言が再び問題にされる事になる。
 そして安倍首相の原発再稼働政策が再び問題にされるようになる。
 安倍一強で日本はごまかせても、世界をごまかすことは出来ない(了)

首都圏避難者の現状 支援考えるシンポ 埼玉

 東日本大震災の被災者の現状や支援を考えるシンポジウム「首都圏避難者の孤立を防げ」が24早稲田大で開かれ約60人が参加しました。
 早大災害復興医療人類学研究所と震災支援ネットワーク埼玉(さいたま市)が毎年開催しています。
 主催者が最近行った首都圏避難者を対象実態調査の中間報告では、2割にうつの可能性が表れたということで、経済的不安や高齢化、子どものいじめなどの課題が指摘されました
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 東日本大震災
首都圏避難者の現状、支援考える シンポに60人 /埼玉
毎日新聞 2018年2月25日
 東日本大震災の被災者の現状や支援を考えるシンポジウム「首都圏避難者の孤立を防げ」が24日、東京都新宿区の早稲田大で開かれた。同大災害復興医療人類学研究所と震災支援ネットワーク埼玉(さいたま市)が毎年開催しており、約60人が参加した。

 主催者が昨年10月~今年1月、福島県からの首都圏避難者を対象に実施した実態調査の中間報告があり、約2割にうつの可能性が表れたという。経済的不安や高齢化、子どものいじめ、大人と子ども両方の引きこもりなどの課題が指摘された。

 帰還困難区域の福島県富岡町から避難した佐藤純俊さん(70)も現状を報告した。同県いわき市の復興住宅に戻るため、同市と避難先の埼玉県杉戸町とを行き来している。復興住宅の自治会長に就任し、一からのコミュニティー形成になることから「各復興住宅の連合自治会を8月までに作り、専門機関と連携して実態調査をしたい」と語った。1人暮らしの高齢者も多いため、緊急時通報システムの導入を課題に挙げた。

 今後の支援のあり方を話し合うパネルディスカッションも行われ、個々の避難者の事情に応じて専門組織につなぐなど、ソフト面での支援の必要性が指摘された。【清藤天】

26- 親睦深めて悩みの相談も 秋田で原発被災者交流会

 東日本大震災
親睦深め、悩み相談も 秋田で被災者交流会 /秋田
毎日新聞 2018年2月25日
 東日本大震災から7年を迎えるのを前に、県内に避難する被災者を対象とした交流会が24日、秋田市の県ゆとり生活創造センター「遊学舎」で開かれた。17人が参加し、互いに今の暮らしぶりや胸の内に抱える悩みを打ち明けていた。
 NPO法人「あきたパートナーシップ」が主催。県内在住の被災者同士が親睦を深め、被災自治体の担当者などと意見を交換するのが狙い。

 冒頭のワークショップは非公開で、出席者によると「古里に戻り、再スタートする」「秋田は雪が多くて大変」といった心境を発表した。絵手紙の制作会もあり、果物のスケッチとともに「今を楽しむ」などと、それぞれが思いを込めたメッセージを添えていた。

 東京電力福島第1原発事故で福島県小野町から出身地の大仙市に帰郷した高橋和美さん(66)は「被災者に寄り添った支援が今後も各地で続いてくれれば」と話した。【山本康介】

2018年2月25日日曜日

フジ「バイキング」 不可解な米山新潟県知事バッシング番組

 米山・新潟県知事は1月に維新代表・松井一郎大阪府知事から、名誉毀損を口実に損害賠償550万円等を求められています。それはツイッターでの文言を松井氏が誤解したもので、そのことを米山氏が説明したにもかかわらず、いきなり訴訟を出されたものでした。
 それは元維新代表の橋下が、IWJ」代表のジャーナリスト・岩上安身氏が、橋本氏に関する第三者のツイートをリツイートしただけで、名誉毀損で訴えたのに似ていて、 どちらも相手との話し合いを省略していきなり訴訟に入っています。
 ほぼ同じ時期に起こされた維新関係者たちによるこの裁判は、高額な賠償金を請求して脅すことで「弱者の言論=維新への批判」を封じようとするスラップ裁判と見られています。

 23日放送の『バイキング』(フジテレビ)で、この松井一郎氏の提訴事件を取り上げましたが、その内容は“米山叩き”に終始する異常なものだったということですそうした一方的な不正な取り上げ方で放送するのはそれ自体が大きな問題で、それ自体が米山知事の名誉を毀損するものです。

 柏崎刈羽原発の再稼働に簡単に同意しそうにない米山知事は、東電をはじめとする原子力ムラにとっては実に邪魔な存在で、産経新聞などもことあるごとにバッシングしています。
 LITERAは、この『バイキング』の異常な報道姿勢は、こうした再稼働をめぐる動きを睨んだ「米山バッシング」の一環であった可能性があると述べています。

 かつて関西の放送局が、京都大学の反原発グループ「熊取6人集」の特集番組を放送したところ、電力会社が広告会社を通じて関西の各局に圧力をかけて、とうとうどの放送局もそれを再放送することが出来ませんでした。それが原子力ムラの正体です。
 決してあなどることはできません。
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『バイキング』が維新スラップ訴訟で不可解な米山新潟県知事バッシング!
 背景に原発再稼働推進派の意向か
LITERA 2018.02.24
 この不可解な特集はいったい何なのか。23日放送の『バイキング』(フジテレビ)が、例の維新代表・松井一郎大阪府知事が米山隆一新潟県知事を提訴した件を今更ながら取り上げたのだが、その内容は“米山叩き”に終始する異常なものだった。

 念のため振り返っておくと、この裁判は、米山県知事のTwitter上での発言に対し松井府知事が名誉毀損を主張し、損害賠償550万円等を求めているというもの。しかし後述するが、本サイトでも取り上げたように、そもそも米山県知事の発言は松井氏に対するものではなく、完全に松井府知事の誤読で、しかも批判した内容も論評の範囲だ。維新への批判を封じ込めるためのスラップ裁判としか考えられず、仮にこんなものが認められてしまったら言論の自由が著しく損なわれてしまうことになる

 ところが、『バイキング』では、法廷闘争の経緯の説明が終わったとたん、MCの坂上忍が「この米山さんって大丈夫なのかなって僕思っちゃったんだけど」「こういうことよく言えるな」と米山県知事を攻撃、スタジオは米山批判一色に。たとえば東国原英夫は、米山県知事が以前、維新公認で国政選挙に出馬したエピソードをわけ知り顔で話しだし、こんなネガキャンをぶっていた。
2012年の衆院選のときには僕、(米山氏の)応援に行きました。いや、本人じゃないですけども、本人の周辺からね(維新への批判が出ていた)。日本維新の会は政党を立ち上げたばっかだったんで、やっぱ不備があったんですよ、いろいろと。ただ、それに対してちょっと不平不満をおっしゃってました、周辺の方が」
「その辺からおそらく、どっかで(米山氏が維新を)恨みに思っていた背景があったんじゃないかなって僕は推察します」

 いや、米山県知事が以前から松井氏へ不満を持っていたというのはある意味当たり前の話。一方で、松井府知事による訴訟が政治を批判する言論をいかに萎縮させるかという論点は、誰の口からも一向に語られない。それどころか、ひたすら米山県知事のほうが悪いと言わんばかりの一方的なバッシングが続く
 たとえば元TBSアナウンサーの吉川美代子氏は、「(批判の応酬が)知事対知事になると、新潟県知事が大阪府のことに口出す暇があったらもっとやることあるだろと、知事だったら県知事としてのツイートをしてほしいというのはありますよね」と米山県知事を批判。Twitterよりも知事の仕事をしろというのは一見もっともだが、しかし、米山氏のツイートに噛み付いて名誉毀損裁判まで起こすのもどう考えても「知事としての仕事」ではないのに、その松井府知事の態度は完全スルーだ。

 『バイキング』ではその後もほぼ一方的な米山バッシングが続いた。そもそも、松井氏が問題視した米山県知事の発言は、松井氏ではなく橋下徹前大阪市長を示唆して〈異論を出したものを叩きつぶし党への恭順を誓わせてその従順さに満足する〉と批判したものだったのだが、番組では、それに到るまでの“米山VS橋下の遺恨”を、やはりツイッターでのやりとりを紹介するかたちで解説。

 そのやりとりは、2017年3月、森友問題に関して橋下氏が、〈事実確認もせずに国会で(籠池泰典氏と)無関係と言い切った稲田さんは政治家としてアウト〉としつつ〈しかし蓮舫さんも二重国籍問題で全く同じことをやった。稲田さんが辞任なら蓮舫さんも辞任。民進党、追及するか?〉とツイートしたことに、米山氏が〈そもそも別問題〉〈立場上あまり言いたくもありませんが、ご都合主義が過ぎるかと思います〉などと反論したもの。
 これに対し橋下氏が激怒。〈ほんとこんな頭の悪い知事を持って新潟は大丈夫か?頭だけじゃなくて人間性も最低だけど〉などと口汚く攻撃したのだが、坂上からこのやり取りについての感想を求められた宮迫博之は、やはり橋下氏を露骨なまでに擁護したのだ。
「米山さんが『ご都合主義』とか言うことで、まず火をつけているわけですよね、橋下さんに。だから橋下さんの性格上、こういう返しになってしまうのも(しかたがない)」

 続けて東国原が大げさに身振り手振りを交えながら、さも米山県知事の“積年の怨み節”がバトルの原因かのようにこう印象付けた。
「これは米山さんがまだ県知事になる前に、つまり浪人してたときに私人として、(一方で)橋下さんは公的な立場、市長だったり府知事、そんときに米山さんはやっぱり、ちょこちょこね、ちょっかいを出している」
「でも米山さんは私人だからほっておこうと橋下さんはしてた。でも(米山氏が)県知事になったので、公人と公人の立場になったので、ネチネチこれ以上言われるとややこしいから、法律的に訴えて白か黒か決着つけましょうというのが今回の(騒動)」

 いやはや、係争中の案件に対し、『バイキング』はここまで橋下氏や松井府知事に肩入れして大丈夫なのか? 言っておくが、米山県知事に対する批判は好きにすればいい。しかし繰り返すが、問題は、坂上にしても東国原にしても、番組ではもっぱら米山県知事のほうを悪しざまに言う一方で、この騒動の本質である、政治権力がネット上の言論に対して濫りに訴えることの危険性にはただの一言も触れなかったことだ。

 あらためて言うが、問題の知事バトルの発端は昨年10月。生まれつき頭髪が茶色い女子生徒が大阪の府立高校から髪を黒染めするよう強要され、精神的苦痛を受けたとして府を訴えた裁判に関して、米山県知事といま何かと話題の国際政治学者・三浦瑠麗氏がTwitterで応酬し、そのなかで米山県知事がこのようにツイートした。
〈因みにこの「高校」は大阪府立高校であり、その責任者は三浦さんの好きな維新の松井さんであり、異論を出したものを叩きつぶし党への恭順を誓わせてその従順さに満足するという眼前の光景と随分似ていて、それが伝染している様にも見えるのですが、その辺全部スルー若しくはOKというのが興味深いです〉

 これに対し、横から入ってくる形で松井府知事が〈米山君、いつ僕が異論を出した党員を叩き潰したの? 君も公人なんだから、自身の発言には責任取る覚悟を持ってるでしょうね。いつ僕が異論を出したものに恭順を誓わせたのか説明して下さい〉と噛み付いた。そこで米山県知事は、〈どこにも松井さんとは書いていないのですが…。文章上分かりづらかったなら恐縮ですが、状況上誰かは言わずもがな当然松井さんもご存知と思います〉などと、暗に橋下氏を批判したツイートだと反論したのである。

 なお、同時期には橋下氏が維新所属の丸山穂高衆院議員に対しTwitterで「ボケ!」などと連発しており、米山氏が〈状況上誰かは言わずもがな〉〈あれだけ衆人環視で罵倒されれば〉と言ったのはこの件を指していると思われる。しかし、松井府知事は〈話をすり替えるのはやめなさい。僕がいつ党員の意見を叩き潰したのか? 恭順させたのか? 答えなさい〉などと責めたて、12月6日付で米山氏を名誉毀損で提訴した、というわけだ。

 振り返ってみれば自明の通り、米山県知事は、批判は松井氏に対するものではないとちゃんと表明している。にもかかわらず松井府知事は、それを無視したのである。しかも、米山県知事もブログで〈仮に私のツイッター上の説明をもってしてもなお、松井府知事の主張する誤読の通りだと解する余地があるとしても、その誤読自体松井府知事と日本維新の会に対する言論の自由の行使としての正当な論評であり不法行為に当たらない〉と再反論しているように、米山氏の批判はごく普通の論評の範囲内だ。

 もし、この程度の発言で政治権力者が提訴し、裁判所がそれを認めてしまえば、政治権力者の態度に対する論評は限りなく縮小を余儀なくされてしまうのは必至だ。たとえば坂上も『バイキング』などで政治家に対する批判を口にするが、それだっていつ訴えられてもおかしくなくなるのである。

 しかも、本サイトでも報じたように、松井氏の提訴と同時期には、橋下氏がインターネット報道メディア「IWJ」代表のジャーナリスト・岩上安身氏を名誉毀損で提訴している。岩上氏は第三者のツイートをリツイートしただけであり、もしこんな訴訟がまかりとおれば、自分に批判的な人間を恣意的に選んで裁判等で疲弊させるという行為が正当化されてしまうのだ。

 ようするに、坂上らが米山県知事を批判するのは勝手だが、松井府知事らの提訴が問題なのは、そうした批判すら裁判の対象にされかねないということなのである。にもかかわらず、番組はそうした本質的問題点は完全にネグり、むしろ橋下・松井の維新コンビの肩ばかりを持ったのだ。『バイキング』は自分たちが何をやっているのかわかっているのか。まったく、メディアとして完全な自殺行為と言わざるをえない。

 しかも今回の『バイキング』の取り上げ方には、もうひとつ不可解な点がある。前述のとおり、松井府知事が米山県知事を提訴したのは昨年末で、そのことが広く知れ渡ったのは年明け1月のこと。つまり、それから1カ月以上も開いているし、裁判の新たな動きを伝えるわけでもなく、言ってしまえば、テレビが常に求めているニュースとしての新鮮さもない。
 にもかかわらず、いったいなぜ2月も後半の今頃になって、“松井VS米山のバトル”を取り上げたのか。 
 そこでひとつ思い出されるのは、MC坂上と松井府知事との関係だ。坂上は昨年『ダウンタウンなう』(フジテレビ)で松井府知事と共演。松井府知事のたいしておもしろくもない過去のやんちゃ話や恐妻家エピソードを大喜びで聞き続け、ヨイショしまくっていた。まさか松井府知事に頼まれでもしたのだろうか。

 しかし、そんなことよりもっと可能性の高いものがある。局上層部あるいは東電の意を受けて、番組ぐるみで原発再稼働をめぐって米山県知事へのバッシングを仕掛けた可能性だ。
 周知のとおり、米山氏が知事をつとめる新潟県には東京電力柏崎刈羽原発があるが、昨年10月、原子力規制委員会が東電の示す安全対策が新基準に「適合」しているとして審査に合格。再稼働に向け本格的に動き始めている。
 しかし、脱原発の方針を掲げて当選した米山県知事は、この再稼働の動きに一貫して否定的な立場を崩していない。福島原発事故の原因究明や、柏崎刈羽原発で事故が起きた場合の住民避難や健康影響に関する独自の検証委員会をつくり検証を進めており、昨年末にも「県独自の検証がなされない限り、再稼働の議論は始められない」と従来の方針を明言。先月25日にも「検証を待たずに再稼働をすれば、差し止め訴訟をすることになる」とまで語った。再稼働には地元の同意が必要なため、再稼働を進めたい安倍政権と東電、原子力ムラにとっては、米山県知事の存在が邪魔なのだ。
 そのため、米山県知事に対するバッシング報道を仕掛けたのではないか。うがちすぎと思うかもしれないが、同じ新潟県でやはり当時脱原発を掲げていた泉田裕彦前知事もバッシング報道を仕掛けられたことがあった。

 さらに、福島原発後鳴りをひそめていた東電のメディア対策もここに来て完全に復活。最近は、再稼働に向けて“ご説明”と称してメディア各社に出向くなど、情報操作に動きまわっている
 実際、米山県知事に対しても、2月22日発売の「週刊新潮」(週刊新潮)が、「大雪で使えない太陽光に血税を流した戦犯は誰か」として、バッシング記事を掲載。米山県知事が再稼働に同意しないことについて、「次の知事選を睨んでのことであるなら、個人の選挙のために首都圏を巨大なリスクにさらす姿勢は万死に値する」などと批判している。
 また先月中旬、大雪で新潟県内の電車が立ち往生した際も、産経新聞が自衛隊の要請も検討しなかったなどとして、米山県知事を厳しく批判していた。
 今回の『バイキング』の不可解な“松井VS米山のバトル”企画も、こうした再稼働をめぐる動きを睨んだ米山バッシングのためのものだったのではないか。

 フジテレビということを考えると上層部の意を受けた企画だった可能性は十分ありえる。脱原発そのものをテーマにするとどう転ぶかわからないが、“松井VS米山バトル”なら坂上や東国原が松井府知事の肩をもつことは目に見えているおり、米山県知事=目立ちたがりのおかしな人と印象づけられる。そういうことだったのではないか。

 しかしいずれにせよ、そうしたポチ犬みたいな番組のあり方は、報道や言論の自滅を導くだけだ。討論形式で人気を博しているという『バイキング』だが、あらためてそのおかしさに視聴者は気がつくべきだろう。(編集部)

「原子力ムラ」関連法人に天下り24人

 原子力関連の独立行政法人や公益法人など計13法人に、国家公務員出身の常勤・非常勤役員が、今月時点で少なくとも24人いることが分かりました。福島原発事故から7年となる今も「原子力ムラ」と呼ばれた中央省庁と関連法人の人的つながりが続いています。
 原子力ムラは現存しているだけでなく、日本で自然エネ発電が普及することを妨げたために、日本は太陽光発電や風力発電が大幅に遅れ「世界の孤児」状態に陥っています。
 自然エネ発電を普及させることで世界のトップクラスの電気料を下げないことには、工業製品の競争力にも影響します。また現在海外に支払っている燃料代25兆円も大幅に節約できます。
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今もつながる「原子力ムラ」 関連法人 天下り24人
東京新聞 2018年2月25日
 原子力関連の独立行政法人や公益法人など計十三法人に、国家公務員出身の常勤・非常勤役員が、今月時点で少なくとも二十四人いることが本紙の取材で分かった。二〇一二年七月に政府が調査した際には二十二法人六十人だった。人数は減ったものの、東京電力福島第一原発事故から七年となる今も「原子力ムラ」と呼ばれた中央省庁と関連法人の人的つながりが続いている実態が確認された。

 政府は原発事故後の一一年と一二年の国会決議を受け、原子力行政に携わる経済産業省と文部科学省所管の三十七法人を対象に、国家公務員出身者の在籍状況をまとめた。調査の対象には、放射線医療など原発との関わりが必ずしも強くない法人もある。
 本紙はこの対象法人のうち、原子力規制庁に統合された原子力安全基盤機構を除く三十六法人(名称変更法人を含む)に照会し、国家公務員出身者の在籍状況を集計。
 二法人は「現在は一般の法人に移行しており、公開義務はない」などと回答を拒否、一法人は期限までに回答しなかった。
 二十四人の役員の出身省庁は、エネルギー業界を所管する経産省が九人、原子力を所管した旧科学技術庁を統合した文科省が十三人と大半を占めた。

 政府機関に位置付けられる独法や国立研究開発法人の役員十人は、出身省庁に戻ることが前提の「現役出向」。その他は退職官僚の再就職だった。
 これとは別に、回答を拒んだ二法人が過去に公開した資料によると、少なくとも五人の役員が国家公務員出身者だった。 (横山大輔、吉田健一)

原子力関連法人における国家公務員出身役員状況(表)

25- 降雪時の原発避難は困難

豪雪の原発避難困難 藤野氏 車両動けず計画は空論
しんぶん赤旗 2018年2月24日
 日本共産党の藤野保史議員は、23日の衆院予算委員会分科会で、福井県などを襲った記録的豪雪を受け、原発事故対応や住民避難がきわめて困難になると指摘しました。

 藤野氏は「この間の豪雪では、雪に慣れているはずの福井県でも3日間近い車両の立ち往生が起きた」と指摘。原発から半径5キロメートル圏内の住民の、大雪時などの避難計画について追及しました。
 内閣府の荒木真一官房審議官は、避難ルートとなる主要な国道などの除雪を最優先するとしながらも、「計画の改善を検討する必要がある」と認め、避難計画の想定の不十分さが明らかになりました。
 大雪時などの避難について、内閣府が定める関西電力大飯原発(福井県)の緊急時の対応方針は、天候が回復するまで屋内で待機したあと、自家用車やバスなどで避難するとしています。

 藤野氏は、「この間の豪雪で、車両は動かせなくなると分かった」と指摘。避難ルートに含まれる同県北部では1メートルを超える積雪が相次いでおり、「ルートが使えない可能性が現実となった」とただしました。
 武部新環境大臣政務官も「大雪を想定した冬季訓練や、避難計画の改善が必要だ」と認めました。

 藤野氏は「今回の豪雪は、原発で事故が起きた場合の電力会社の事故対応や避難計画が机上の空論だということを示した」と強調。この状況での原発再稼働は許されないと、厳しく批判しました。