2021年12月30日木曜日

原発は脱炭素かで割れるEU 独仏にも溝

 原発を脱炭素化に資する電源と認定するかについて、原発大国フランスなどは認定したい意向ですが脱原発を進めるドイツなどが反対埋まりません。

 原発は、発電の工程では確かに「脱炭素」ですが、ウランの採掘から精製し核燃料集合体にする迄の工程と使用済み核燃料の処理と数万年の保管には膨大なコスト(資材費と動力及び労力)が掛かるので脱炭素」ではありません。何よりも発電中に火力発電の1・5倍~2倍も海水温を暖めるので地球の温暖化防止を明らかに阻害します。
 原発を「脱炭素」と極めつけて、議論の俎上に上がること自体を避けようとする日本は、EUの公明正大な姿勢と対照的です。
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原発活用是非、割れるEU 脱炭素化めぐり、独仏にも溝
                            時事通信 2021/12/30
【ブリュッセル時事】気候変動対策への原発活用の是非をめぐり、欧州連合(EU)が割れている。
 欧州委員会は原発大国フランスなどの主張を踏まえ、原発を脱炭素化に資する電源と認定し官民投資を促す方向だが、脱原発を進めるドイツなどが反対。溝は埋まらず調整に苦慮している。
 EUでは2022年1月から、発電や輸送、製造などさまざまな経済活動のうち、一定の環境基準を満たし「グリーン」と見なせるものを分類するルールの運用が始まる。政策当局や投資家、企業に統一的な評価基準を提供し、脱炭素化資金を呼び込む狙いだ。
 ただ、原発と天然ガスについてはEU内の意見集約が進まず、グリーン認定可否の判断が先送りされてきた。欧州委の具体案公表は、当初予定した年内から年明け以降にずれ込む見通しだ。
 国内発電の約7割を原発に頼るフランスを筆頭に、新設原発の利用を進めるフィンランドやチェコなど10カ国は、今年10月の共同声明で、原発のグリーン認定を要求。こうした動きを受け、フォンデアライエン欧州委員長は「安定的エネルギー源の原発は必要」と表明し、認定を示唆した。輸入に依存する化石燃料の高騰に不安が広がることも、原発活用の追い風となっている。
 しかし、安全性や放射性廃棄物の問題から原発の持続可能性への疑念も欧州では根強いドイツなど5カ国は、11月の共同声明で「(制度の)信頼性や有用性を損なう」とグリーン認定に反論。国内の原発利用を40年以上禁じてきたオーストリアでは、欧州委を提訴する案も浮上している。
 またドイツは、脱原発や脱石炭を進める一方、天然ガス活用を訴え、フランスと一線を画してきた。就任間もないショルツ首相は「各国が自らの取り組みを追求できることが重要」とフランスにも配慮した姿勢を示すが、連立を組む緑の党のハーベック副首相は、原発の認定を「支持しない」と明言する。
 欧州委の提案は過半数の国が反対しなければ成立するが、EUの政策全体を左右する問題だけに禍根を残す恐れもある。 

柏崎刈羽原発7号機 2万カ所の点検進める

 柏崎刈羽原発7号機では、床や壁の貫通部での安全対策工事の未完了94カ所見つかり、施工を行うとともに、貫通部や貫通部に見える箇所約2万カ所について工事漏れがないか総点検を入念に進めています。産経新聞の記者がチェックの現場を見てきました

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2万カ所の点検進める柏崎刈羽原発7号機
                           産経新聞 2021/12/29
核物質防護の不備や安全対策工事の未完了など不祥事が相次ぐ東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)7号機。このうち、床や壁の貫通部での安全対策工事の未完了は計94カ所見つかり、施工を行うとともに、貫通部や貫通部に見える箇所約2万カ所について工事漏れがないか総点検を進めている。その現場を見てきた。

■懐中電灯と台帳
東電は11月25日、柏崎刈羽原発7号機コントロール建屋地下2階の一室を報道陣に公開した。コントロール建屋は中央制御室などが入る建物だ。
部屋の中に入ると、配管などが壁を貫通している箇所に赤色や青色のシールが貼られ、東電社員2人が懐中電灯を片手に、必要な工事がきちんと完了しているかどうかを指差し確認していた。
「火災が広がるのを防ぐ工事が必要な箇所には赤いシール、浸水防護の工事が必要な箇所には青いシールを貼り、その貫通部にどのような工事が必要かを一目で分かるようにした。そのうえで、必要な工事がきちんと施工されているかをチェックしている」(東電担当者)
点検箇所は全部で約2万カ所。中には、埋設された電線管の貫通部のように、どこからどこにつながっているのか目視だけでは確認できない約2700カ所も含まれている。
約2万カ所にはそれぞれナンバーが付けられ、台帳で管理。社員は台帳に記載された箇所について、シールで示された内容の工事がきちんと施されているか確認していく。

■完了は来年2月ごろ
東電は、安全が第一に求められる原発で、安全対策工事の未完了が多数見つかったことを重く受け止め、貫通部に必要な工事がきちんと完了しているかの総点検を3段階に分けて実施している。
第1段階は、台帳をもとに個々の貫通部で工事が完了しているかをチェック。第2段階では一つの壁、一つの床ごとに貫通部をみていき、〝面〟で工事の完了を確認。面の中に見落としている貫通部がないかも確認する。最後に、貫通部がある部屋ごとに工事漏れがないかを改めてチェックする。点→面→空間と順を追って徹底的に総点検を行い、工事漏れゼロを目指している。
現在、約2万カ所に対し第1段階の点検を進めており、11月末時点で「6割ほどの点検が完了している」(柏崎刈羽原発の稲垣武之所長)。同時点で、第2段階については着手したばかりで、第3段階は未着手の状態だった。総点検全体の完了時期は来年2月ごろを見込む
稲垣所長は安全対策工事の未完了問題について「現場がこの工事は何のためにやっているのかを理解し、意識して工事に臨む必要があった」としている。

■他の工事でも問題
同原発の工事をめぐっては、貫通部以外にも問題が発覚。原発の新規制基準では、火災感知器を消防法に基づいて設置するよう求めているが、これが守られていなかった。
同法施行規則では、火災感知器は換気口などの吹き出し口から1・5メートル以上、煙感知器については壁や梁(はり)から0・6メートル以上離れた場所に設置することになっている。ところが、計105個が規定された距離より近い場所に設置されていた。今後、是正工事を行う。
さらに、重大事故の際に使用する設備「フィルター付きベント」の部品(伸縮継手)で、品質確認のために行ういくつかの試験の一部が行われなかったことも発覚。今後対応する。
東電の信頼回復への道のりはまだまだ遠い。(本田賢一)

独 原発3基31日停止 残る3基も22年に停止 廃炉へ

 ドイツ原発全廃政策の一環として、原発3基が31日、稼働を停止します。同政策はショルツ新政権にも引き継がれ、22年には残る3基が稼働を停止します。石炭などの化石燃料の削減も劇的に進め発電による二酸化炭素排出量は10年比で40%減っています。また30年には石炭火力発電を完全停止します。

 代わりに、太陽光や風力などの再生可能エネルギーによる発電を30年には全発電量の80%にする計画です
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独 原発331日停止 全廃政策 新政権も継続 22年 残る3基も停止、廃炉へ
                      しんぶん赤旗 2021年12月29日
 ドイツで、メルケル前政権が福島第1原子力発電所事故を受けて決めた原発全廃政策の一環として、原発3基が31日、稼働を停止します同政策はショルツ新政権にも引き継がれ、2022年には残る3基が稼働を停止します。(片岡正明)
 31日に停止するのは北部のブロックドルフ、中西部のグローンデ、南部グンドレミンゲンの3基。ドイツ政府によると、同国の総発電量に占める原子力発電の割合は21年の14%から22年は7%になります。
 政府は21日の発表で「核技術はなお人間と環境にとって危険なものであり、それゆえ稼働を停止しなければならない」と表明。原発全廃の必要性を改めて強調しました。
 メルケル前首相は11年3月の福島原発事故直後、放射性物質もれを伴う原発事故の深刻さを指摘し、「人間の保護を第一に置く。妥協は許されない」と発言。すぐさま国内にある17基の原発のうち、老朽化した7基の運転を停止し、同年6月に原発撤退を法制化しました。これまでに11基が停止しています。
 その一方で、地球温暖化対策として石炭などの化石燃料の削減も劇的に進めました。電による二酸化炭素排出量は10年比で40%減っています。30年には石炭火力発電を完全停止します。
 代わりに、太陽光や風力など持続可能なエネルギーによる発電を増大させ、30年には全発電量の80%にする計画です。
 22年に稼働停止するのは北西部のエムスラント、南部のイザール、ネッカーウェストハイムの3基。原発の解体作業は30年代まで続く見込みです。廃炉で出る廃棄物は8万9000トンと見込まれており、最終的な処理と保管をどうするのか、問題は山積みです。
 ベルギーやスペインなどは原発全面停止を計画する一方、フランスなどが地球温暖化対策で原発を再評価し、小型原発建設や古い原発の稼働延長をする動きも出ています。
 チェコやフランスなどドイツと国境を接する国々での老朽原発の問題も残されたまま。欧州連合(EU)全体で原発をどうするのか、論争が続いています。

日本政府、原発処理水問題で韓国国民などから意見聴取へ

 28日、韓国YTN(東京支局)日本政府が福島第一原発のトリチウム水の処分に関し、韓国や台湾、香港など外国の消費者の処理水や福島産食品への認識状況を把握するため、オンライン設問調査を行うことを伝えました。

 韓国のネットユーザーからは「処理水の海洋放出には断固反対だ」「隣国(韓国)の国民のほとんどが反対している。何か別の処理方法を考えるべき」などと処理水放出に反対する声が続出しています
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日本政府、原発処理水問題で韓国国民などから意見聴取へ
  韓国ネット「断固反対」「どうせ強行する」
                      Record China 2021年12月28日
2021年12月28日、韓国・YTNは、日本政府が東京電力福島第一原発の処理水の処分に関し、韓国など外国の消費者の意見を聞く設問調査を推進すると伝えた。
日本政府は同日、首相官邸で開かれた官僚会議で、処理水の処分に関して今後実施していく具体的な行動計画を決定した。
日本政府は、来年中に国際原子力機関(IAEA)による安全性評価を受けるなど、処理水放出前後にわたってIAEAを中長期的に関与させる方針。また来月からは、韓国や台湾、香港など外国の消費者の処理水や福島産食品への認識状況を把握するため、オンライン設問調査を行う
さらに、風評被害対策のため300億円規模の基金を年内に創設し、1年以内に業種別の賠償基準を具体的に定めることを決めた。

この記事を見た韓国のネットユーザーからは「処理水の海洋放出には断固反対だ」「隣国(韓国)の国民のほとんどが反対している。何か別の処理方法を考えるべき」「安全なんだから日本国民の飲み水として使用すればいい」「韓国が反対しても強行するくせに。安心して魚が食べられなくなる」「尹錫悦(ユン・ソクヨル、保守系最大野党『国民の力』の大統領候補)氏は処理水放出に『問題ない』との立場を示している。彼の当選は絶対に阻止しなければ」など処理水放出に反対する声が続出している。(翻訳・編集/堂本)

30- 不祥事続いた1年「深く反省」 東電新潟本社代表

 東電新潟本社の代表と柏崎刈羽原発の所長は24日の会見で、テロなどを防ぐ核物質防護体制不備を含め、不祥事が相次いで発覚したこの1年を振り返り、橘田代表は「地域をはじめ県民に大変な不安をおかけした1年だったと改めて深く反省している」と、また稲垣所長は「矢のような3カ月間だった。安全最優先の意識を所員に浸透させている」と語りました。

 その後記者との1問1答が行われました。
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不祥事続いた1年「深く反省」 東電新潟本社代表と柏崎刈羽原発所長
                            新潟日報 2021/12/28
 東京電力新潟本社の橘田昌哉代表と柏崎刈羽原発の稲垣武之所長は7号機の消火配管手抜き溶接を発表した24日の会見で、テロなどを防ぐ核物質防護体制不備を含め、不祥事が相次いで発覚したこの1年を振り返った。橘田代表は「地域をはじめ県民に大変な不安をおかけした1年だったと改めて深く反省している」と語った
 同原発では今年、核防護体制の不備や、終了していたとした安全対策工事の未完了問題が判明したほか、6号機での手抜き溶接、さらに7号機でも同様の手抜き溶接が見つかるなど失態が相次いだ
 橘田代表は「深く反省している。来年は改革に向けた取り組みを積み重ね、行動と実績で地域の皆さまに信頼と評価をいただけるようにしたい」と述べた。
 10月1日付で就任した稲垣所長は「矢のような3カ月間だった。安全最優先の意識を所員に浸透させている」と話した。
 現在も同原発所員との対話を繰り返しているとし「若手社員を中心に問題意識を踏まえた前向きな意見ももらっている。所員一人一人が何をやるべきか、役割を自覚していることを日々実感している」と語った。

 一方、6号機の原子炉建屋に直結する大物搬入建屋を支えるくいが損傷していた問題について、稲垣所長は「特定のくいに損傷が集中している原因の特定に時間をかけている」と調査を続けていることを説明した。東電は6号機の調査結果を基に、ほかの設備のくいの確認や建物の点検方法への反映を検討しているとした。

◎決めたことやる会社に
 東京電力柏崎刈羽原発7号機の手抜き溶接工事を発表した24日の東電の記者会見で、新潟本社の橘田昌哉代表、同原発の稲垣武之所長との主な質疑は次の通り。
 -今回の7号機の手抜き溶接の深刻さをどう受け止めているか。
 橘田氏 決められたことがきちんとできていなかったことを重く受け止めている。原発の安全な管理運営を脅かすものだ。決められたことをきちんとできる会社にまずなるのが地域の皆さまに安心していただくために必要だ。再発防止対策に取り組んでいく。
 稲垣氏 品質を満たしていないのは非常に深刻に受け止める。消防、溶接について優先的に社員の力量、知見を向上させたい。
 -7月の記者会見の段階では6号機で30カ所の手抜き溶接工事が見つかり、7号機は見つかっていなかった。調査の進捗(しんちょく)が逆転した理由は何か。
 橘田氏 7号機の方が圧倒的に工事が進んでいて基本的に終わっていた。まずは7号機を一通り確認することを優先して調査した。
 -業者はなぜ手抜き工事を行ったのか。
 橘田氏 (元請けの)東京エネシスによる聞き取りでは、現場にガスボンベを出し入れすることと、(不活性化の)ガスを流すことに時間がかかることが原因ということだった。背景には作業上の悩みがあった。受け止める努力をしなければいけない。
 -東電は7号機の再稼働を目指している。工期を急いだのか。
 橘田氏 工程に関しては当時、東京エネシスから具体的な相談はなかったと確認している。毎週、東京エネシスを含めて工事の調整会議をしているが、その中で指摘はなかった。(再稼働に間に合わせるためという)認識はない

◎さらに厳格な管理必要
 -東電はなぜ溶接の現場を確認しなかったのか。
 稲垣氏 性能確認に大きな責任があるので、耐圧機能があるかなどについては立ち会いをして確認していた。溶接そのものは(東京エネシスからの)報告書を見て適切にやっていると判断してきた。今回の事案を踏まえ、さらに厳格な管理が必要だったというのが一つの反省点だ。
 -再発防止対策で溶接の手順の妥当性を東電が確認できるのか。
 稲垣氏 確かに溶接は関わってこなかった。所員の知識、技量を上げて対応すれば不可能ではないと考えている。
 -2022年1月から再施工を行うが、工事の終了予定は。
 稲垣氏 箇所が多く、工程を精査しているので今の段階では申し上げられない。
 -発注者の東電も元請けも、作業は現場に丸投げだ。不正を行う業者を排除しきれるのか。同じ事態は繰り返されるのではないか。
 橘田氏 われわれには原発を安全に管理運営していかなければならない大きな義務がある。協力企業の作業員を含め、原発に関わる一人一人に原発という施設の重要性を伝えていきたい。
 -工事が多く、東電が原発の業務を把握できなくなっているのではないか。
 稲垣氏 東電は基本的に改造工事や点検作業などは発注先の企業に任せてきた歴史がある。直接手で触ってこなかった。その点は昔から弱かった部分だ。以前は建設を通じて現場を見る機会が今より多かった。所員が適切に現場を見て、一部の作業は直営で実施するなどの取り組みを進めたい。
 -東電が目指す原発再稼働への道のりは遠のいている。
 橘田氏 発電所の再稼働は東電としては必要だと思っている。再稼働に期待する社会の方がいるのも確かだ。ただ、地域の皆さまに安心してもらうために一つ一つの課題を正面から受け止めて解決していく。

2021年12月29日水曜日

新潟県避難委員会 全10項目で論点整理

 原発の安全性を巡る新潟県独自の「三つの検証」の一つで、重大事故時の安全な避難方法を検証する避難委員会が27日、新潟市で開かれ 10項目の論点整理を終えました。

 避難時に住民の許容被ばく量をどの程度にするかは今後も議論を続けるということです。これについて、部外者から「最大100ミリシーベルト/避難行程」などが例示されていますが、避難者には幼児や病人も含まれるのでこんな巨大は数値は論外です。

 本来は原発の安全基準は、原発事故時に住民(や所員)の被曝をどこまで許容するのかをまず定めてから、はじめて細部を決められるものだと言われています。
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県原発避難委 全10項目で論点整理 被ばく議論は継続
                            新潟日報 2021/12/28
 原発の安全性を巡る新潟県独自の「三つの検証」の一つで、重大事故が起きた時の安全な避難方法を検証する避難委員会が27日、新潟市中央区で開かれた。全10項目の論点整理を終えたが、避難時に住民の被ばくをどの程度許容するのかは今後も議論を続ける
 この日の会合では、原発でテロが起きた場合の避難に関して論点を整理。「政府の原発へのテロ攻撃に関する認識は極めて甘い」として、より実践的な避難訓練が必要だと指摘した。
 避難委ではこれまで、住民の衣服などに放射性物質が付着していないかを調べる「スクリーニング」や、甲状腺被ばくを抑える安定ヨウ素剤の配布・服用といった九つの課題について論点整理を終えていた。
 昨年12月以降新たに論点に加えた避難時の被ばくに関する考え方についても話し合った。一般住民の被ばくに関し、委員から「避難計画での許容限度はどの程度なのか検討しなくていいのか」などと意見が出たが、議論は持ち越された
 委員会終了後、関谷直也委員長(東大大学院准教授)は「10項目の検証が終わったが、今後被ばくの考え方をどう議論するかは委員次第だ」と述べた。

トリチウム汚染水の海洋放出に反対する学習会 水戸で

 茨城平和擁護県民会議は23日、水戸市で「トリチウム汚染水の海洋放出に反対する学習会」を開き、24人が参加しました。

 東電福島原発事故に絡み処理水の海洋放出に反対する運動に関わる2人を招き、政府方針の問題点や運動の取り組みについて共有しました。
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福島第1 処理水放出の問題点共有 反対派招き、学習会 水戸
                            茨城新聞 2021/12/29
 茨城平和擁護県民会議(鈴木博久代表)は23日、水戸市千波町のザ・ヒロサワ・シティ会館で「トリチウム汚染水の海洋放出に反対する学習会」を開いた。24人が参加し、東京電力福島第1原発事故に絡み処理水の海洋放出に反対する運動に関わる2人を招き、政府方針の問題点や運動の取り組みについて共有した。
 鈴木代表は「市民は本当のところが知りたい。国が大丈夫と言うから大丈夫というのではなく、お互いに検証することが大事だ」と運動の意義を強調した。脱原発福島県民会議の佐藤龍彦事務局長(69)が方針撤回を求める署名活動の現状を紹介した上で、「事故を起こし、汚染水対策に失敗した責任を誰も取らず、再び県民に犠牲を強いようとしている。県民世論を一つにして放出するなと言うべき」と訴えた。
 また医師の振津(ふりつ)かつみさん(62)は「国・東電が2015年にした、関係者の理解なしにいかなる(汚染水の)処分も行わないという重い約束は何だったのか。これを許せば今後10年、さらに被害を受けさせることになる」と指摘。今回の海洋放出について「やむを得ないものとは思えない。押し通されないように、漁業者を孤立させないように」と呼び掛けた。

処理水海洋放出は「自分ごと」 高校生が研修報告

 トリチウム水について研修を重ねてきた福島県内の高校生11人が26日、Jヴィレッジで報告会を開きました。冒頭で生徒たちは朗読劇を披露し処理水や除染土の役になり廃炉を取り巻く問題を提起しまし

 報告会では、政府が15年に処理水について「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」と約束した経緯を巡り、生徒たちは「約束をほごにしたため国民には不信感がある」と指摘し政府に対し「誠意ある説明を」と求めました。
 会場には政府や東電の関係者ら約50人が訪れまし
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処理水海洋放出は「自分ごと」 Jヴィレッジで高校生が研修報告
                            福島民友 2021/12/27
 東京電力福島第1原発で発生する放射性物質トリチウムを含む処理水について研修を重ねてきた福島県内の高校生が26日、Jヴィレッジで報告会を開いた。生徒らは、処理水を海に放出する計画について「『自分は関係ない』と考えないで」と「自分ごと」として意識するようメッセージを発信した。
 研修は、広野町のNPO法人ハッピーロードネットが、処理水の海洋放出について若い世代の視点で議論を深める「ふくしま浜通り高校生会議」として企画した。高校生11人が10月から6回にわたり、専門家や双葉郡の首長らと意見を交わして海洋放出の課題などに理解を深めてきた。
 報告会では、政府が2015(平成27)年に処理水について「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」と約束した経緯を巡り、生徒は「約束をほごにしたため国民には不信感がある」と指摘した。その上で、政府に対し「誠意ある説明を」と求めた

 海洋放出に伴い懸念される風評の拡大については「自分たちで工夫できることもある。道を切り開くことが大切」と訴え、広野町のコメ農家が自ら消費者に安全性を説明し、販路拡大につなげた事例を紹介した。
 政府が海洋放出を目指す23年春が1年数カ月後に迫る中、国民の理解醸成に向けては「無関心が課題」との認識で一致した。教育現場で処理水に関する授業の義務化や、著名人を起用したテレビCMで正しい知識を普及するなど「関心や興味を持ってもらうためのきっかけづくり」が必要と訴えた。
 会場には政府や東電の関係者ら約50人が訪れた。経済産業省の須藤治福島復興推進グループ長は「多くの人に関心を持ってもらうための間口を広げる大切さを学んだ。ヒントをもらった」と話した。


処理水の海洋放出を考える 福島県内の高校生 
            パネルディスカッションや朗読劇
                            福島民報 2021/12/26
 福島県内の高校生が東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含む処理水を海洋放出する政府方針について考える「ふくしま浜通り高校生会議」の成果報告会は26日、Jヴィレッジ(楢葉・広野町)で開かれた。生徒は処理水の海洋放出に関心を持ち、自分事として考えるよう全国の大人に向かって呼び掛けた。
 福島県広野町のNPO法人ハッピーロードネットの主催。県内の高校生11人は10月から東電や経済産業省の担当者、双葉郡の住民らによる講義を受け、処理水海洋放出の課題などについて学んできた。
 成果報告会では同法人の西本由美子理事長のあいさつに続き、生徒が朗読劇を披露した。生徒が処理水や除染土の役になり、廃炉を取り巻く問題を提起した
 パネルディスカッションが行われ、「海洋放出について多くの人に分かりやすく伝え、理解してもらうには何ができるか」などのテーマで議論を深めた。生徒からは「学校の授業で必修化すべき」や「CMなどで正しい知識を発信する」などの意見が出された。最後に「高校生からの手紙」と題し、岸田文雄首相や全国の大人に宛てた手紙を発表した。
 福島民報社から鞍田炎取締役いわき支社長兼浜通り創生局長が出席した。

29- 政府 風評被害抑制へ行動計画 福島原発のトリチウム水海洋放出

 東京電力福島第1原発から出るトリチウム水の海洋放出計画をめぐり、政府は28日、首相官邸で関係閣僚会議を開き、風評被害の抑制に向けた行動計画を策定しました。
 行動計画は、来年1月以降、政府が安全性の発信を国内外で進める方針を盛り込んだほか、水産物が売れない場合に備え、冷凍可能な水産物の一時的な買い取りや保管を支援する基金として300億円を確保しました。
一方、全漁連は28日午後に声明を出し、「極めて遺憾であり、強い憤りとともに厳重に抗議する」としました。
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風評被害抑制へ行動計画 東電福島第1原発の処理水 政府
                            時事通信 2021/12/28
 東京電力福島第1原発から出る放射性物質トリチウムを含む処理水の海洋放出計画をめぐり、政府は28日、首相官邸で関係閣僚会議を開き、風評被害の抑制に向けた行動計画を策定した。
 安全性に関する情報発信を強化し、水産物などに風評被害が生じる場合は機動的に対策を講じることが主な内容となっている。
 政府は4月、2023年春ごろをめどに処理水の海洋放出を開始する方針を決定した。8月に風評被害への「当面の対策」をまとめたが、漁業関係者らの不安は根強い。原発での不祥事が続く東京電力ホールディングスが放出を実施することへの不信感も出ている。

 会議で松野博一官房長官は「現場の声に向き合う。行動計画は、追加すべき点を把握し不断に改善していく」と強調した。小早川智明東電HD社長は、「不適切事案を起こし、当社への信頼に懸念がある。まずは事業者として信頼回復に努める」と述べた。
 行動計画では、来年1月以降、経済産業省と復興庁などが連携し、安全性の発信を国内外で進める方針を盛り込んだ。21年度内に消費者意識の実態調査も実施する。
 風評被害が生じる場合に備え、冷凍可能な水産物の一時的な買い取りや保管を支援する基金を造成する。政府は21年度補正予算で関連経費300億円を確保した。管理団体の選定など執行体制の整備を進めていく。 


原発処理水放出の行動計画 風評被害対応や販売支援も
                  フジFNNプライムオンライン 2021/12/28
福島第1原発の処理水の海洋放出をめぐり、政府は、風評被害対策の基金創設などを含む行動計画をまとめた。
行動計画には、風評被害で水産物の売り上げが減った場合に備え、300億円規模の基金を2021年度内に立ち上げることが盛り込まれた。
基金は、売れ残った水産物を政府が一時的に買い取ったり、ネット販売を支援する際などに活用される。
また、東京電力による風評被害の賠償手続きを簡略化するため、今後1年間で、業種別の賠償基準を策定するとしている。
政府は、2023年春に海洋放出する方針。
一方、全漁連(全国漁業協同組合連合会)は28日午後に声明を出し、「極めて遺憾であり、強い憤りとともに厳重に抗議する」としている。

2021年12月28日火曜日

7号機でも手抜き溶接74カ所 柏崎刈羽原発(続報)

 24日、東電が7号機の消火配管工事の調査結果を公表しました。この件は25日付でNHKの記事を紹介しましたが、新潟日報がより詳細な記事を出していますので改めて紹介します。

 以前は溶接個所の熱処置の省略と報じられたケースがありましたが、今回は酸化腐食防止のためのシールドガス工法を守らなかったという内容です。
 東電は7号機で、この不正工法を行った下請け業者の担当箇所など1580カ所の溶接をやり直すということです
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「7号機でも手抜き溶接74カ所 柏崎刈羽原発 1580カ所の作業やり直し」 
                             新潟日報 2021/12/25
 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)6号機の消火配管で30カ所の手抜き溶接工事が発覚した問題で、東電は24日、再稼働を目指す7号機でも74カ所で同様の手抜きが見つかったと発表した。施工した一部の下請け会社が必要な手順を省いたにもかかわらず、「適正に行った」と虚偽報告することが常態化していたことも判明。元請け会社の現場確認も不十分だった。東電は7号機で、この下請け業者の担当箇所など1580カ所の溶接をやり直す。来年1月に始めるが、完了時期は見通せないという。
 東電によると、手抜き工事があったのは原発の火災時に消火剤を通す固定式消火設備。ステンレス製配管を溶接でつなぐ際、酸化による腐食を防ぐためのガスを配管内に流す手順が作業指示書で定められていたが、実施されていなかった
 溶接工事の元請けは東電グループ会社の東京エネシス(東京)で、同社の下請け6社が施工を担当した。
 エネシスの聞き取り調査によると、うち1社の傘下の溶接士の多くが、定められた手順を守らずに溶接していたと証言した。
 ガスボンベの搬出入や、ガスを流す作業に時間がかかることが動機だったとしている。手抜きを始めた時期は、遅くとも2019年9月という。
 この下請けが担当した7号機消火配管のうち、194カ所を抽出調査し、74カ所で正規の手順と異なる溶接の痕跡が見つかった。
 他の下請け3社が担当した消火配管でも、317カ所で酸素濃度の測定が不十分だったことが判明した。
 東電は手抜きが常態化していた1社が担当した消火配管1220カ所と、新規制基準で義務化れていない自主対策設備43カ所、発注仕様通りに施工されていない3社の消火配管317カ所の計1580カ所の溶接を再施工するよう、エネシスに要求した。
 エネシスは具体的な溶接方法を施工会社に任せ、工事担当者は施工状況を施工記録のみで確認していた。東電はエネシスの施工管理に手落ちがあったとして、一部工事を除き、同社への発注を9月から停止した。
 東電新潟本社の橘田昌哉代表は柏崎刈羽原発で開いた会見で「決められたことがきちんとできていなかったことを重く受け止めている」と述べ、再発防止対策に取り組む考えを示した。
 柏崎市の桜井雅浩市長は24日、市役所で報道陣の取材に応じ、「消火設備の不正施工は重大な問題だ。号機を問わず調査を進めるべきだ」と述べた。

自民に6・3億円献金 原子炉メーカー・鉄鋼・ゼネコン…

 一般社団法人「日本原子力産業協会」の会員企業が、自民党の政治資金団体「国民政治協会」に、20年の1年間にあわせて63500万円もの献金をしていたことがしんぶん赤旗の調べで分かりました。
 日本原子力産業協会には、日本の基幹産業を網羅する350社以上が参加しているということです。日本の産業界が如何に原子力に汚染されているかを示しています。
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自民に63億円献金 原子炉メーカー・鉄鋼・ゼネコン…

                       しんぶん赤旗 2021年12月27日

 「安全最優先の再稼働」を掲げ、2022年度政府予算案に91・2億円を計上するなど原発依存を続ける岸田政権。電力会社や原子力関連の企業、研究機関、原発立地地域の自治体などでつくる一般社団法人「日本原子力産業協会」(原産協会)の会員企業が、自民党の政治資金団体「国民政治協会」に、20年の1年間にあわせて6億3500万円もの献金をしていたことが本紙の調べで分かりました
 政治資金収支報告書(20年)によると、会員企業の献金で目立つのは、原子炉メーカーの日立製作所が5000万円、三菱重工業が3300万円はじめ、原発建設に使われる鉄鋼を供給する鉄鋼メーカーの日本製鉄2000万円、JFEスチール500万円、原発を建設するゼネコンの鹿島、大成建設、清水建設が各2000万円など。このほか、核燃料の調達をする大手商社なども含め、会員企業の献金総額は6億3517万2000円にのぼりました。
 原産協会は、会員企業へのアンケート調査、「原子力発電に係る専業動向調査」を毎年実施しています。今年6月1日から7月16日にかけて325社を対象に行った20年度調査(回答は電力事業者11社ふくむ227社)によると、東京電力など電力各社から、加盟企業への原発関係支出は2兆1034億円(前年比879億円増)、原発関係売上高は1兆8692億円(同1675億円増)にのぼっています。
 年間2兆円を超す膨大な原発マネーに群がる大企業からの献金が、自民党に流れていることは、原発利益共同体の癒着の根深さを改めて浮き彫りにするものです。

原発推進続ける岸田政権
 岸田政権は、原発政策を担う経済産業相に就任した萩生田光一氏が「脱炭素には原発が欠かせない」と発言するなど、原発推進に前がかりです。経済産業副大臣を歴任し、国会で「原発を使い倒さなければならない」(今年2月22日、衆院予算委員会)と質問した山際大志郎氏は経済再生相に就任しました。
 エネルギー政策担当の今井尚哉(たかや)内閣官房参与は、三菱重工業の顧問でもあります。自民党内には、「最新型原子力リプレース推進議員連盟」が今年4月に設立されました。(藤沢忠明)

日本原子力産業協会 前身は、初代原子力委員会委員長で「原子力の父」と言われる正力松太郎氏が呼びかけ、1956年3月に発足した日本原子力産業会議(原産)。戦後の財界・産業界に「大なる収穫」をもたらすものと原子力を位置づけ、電力会社や重電機メーカーを中心に、日本の基幹産業を網羅する350社以上が参加しました。
 05年6月に改組・改革し、06年に発足、今年9月13日現在、会員数は385。日本経団連の今井敬名誉会長が会長を務め、原子炉メーカーの三菱重工業の宮永俊一会長が副会長を務めています。理事には、電気事業連合会の清水成信副会長(中部電力副社長)、日立製作所の久米正執行役常務(原子力ビジネスユニットCEO)らが名前を連ねています。