2013年6月30日日曜日

プルサーマルも金喰い虫

 MOX燃料関電高浜原発に到着したのを機に、プルサーマルが既定の路線であるかのごとくに進めようとしている政府や電力会社への批判が高まっています。
 南日本新聞は29日付の社説で、これまであまり触れられなかった事実を指摘しました。
 それは「MOX燃料は使用後の扱いが極めて難しい」ということで、使用済みとなってからも崩壊熱量が高く毒性も強いために、現行の六ケ所村の再処理工場では処理ができず、新たな再処理施設を造るしかないということです。しかし使用済みMOX燃料の再処理技術は高度で海外にも開発例がないので、これから新しい再処理工場を作るとしたら一体どれだけ巨額の費用が掛かるのか分かりません。

 「巨費」といえばこれまでも原子力関係の新技術には際限がないほどの巨費が投じられてきました。しかしその結果はいまだに何の成果もないか、成果の程が良く確認できない状況になっています。
 「動燃」時代の1970年にスタートした「高速増殖炉もんじゅ」は、40年近くも巨費が投じられてきましたが全く動く気配はなく、停止している装置を維持するだけでも1日に5,500万円(5千5百万円/日)が掛かるといわれています。
 また満足に動いているのか良く分からない六ケ所村の再処理工場には、この先19兆円が掛かるといわれています。ここでの再処理は使用済み核燃料をガラス固化するところまでなので、それを地層に埋設(し少なくとも数百年間管理)する作業は別です。まだ着手の見通しも立っていませんが、この地層埋設の処理には当然莫大な費用が掛かります。
   ※ 「六ヶ所村にはまだ19兆円」 鎌田慧 公式ブログ 6月29日
   (「原発はもう負けてしまった技術なんです。技術史的には終わった、古い技術です。電気などなにも原子力に頼らなくてもつくれるし、充分に足りるということが、どんどんはっきりしてきています・・・・」と書き出された興味深い記事です)

 南日本新聞の社説を紹介します。
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[プルサーマル] 巨費をかけていいのか
南日本新聞 2013年6月29日
 東京電力福島第1原発事故後、停止したままのプルサーマル発電を再開しようという動きが慌ただしくなっている。関西電力がフランスに製造を依頼したプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料が高浜原発(福井県高浜町)に到着した。日本へのMOX燃料輸送は事故後初めてだ。
 関電は、7月の原発新規制基準施行後、速やかに高浜3、4号機の再稼働を申請し、まず3号機でのプルサーマルを再開させたい考えだ。MOX燃料の使用時期は未定だが、4号機への導入も視野に入れているようだ。
 高浜以外にも四国電力伊方3号機、九州電力玄海3号機もプルサーマルを前提に再稼働申請するとみられる。
 だが、電力各社が再開を目指すプルサーマルは重大な問題を抱えていることを見落としていないか。使用済み核燃料を再処理して作られるMOX燃料は使用後の扱いが極めて難しいことである。
 熱量が高く、毒性も強く、六ケ所村の再処理工場では再処理できない。新たな再処理施設を造るしかないが、使用済みMOX燃料の再処理技術は高度で海外にも開発例がないという。抜本策が見いだせない限り、国が推進する核燃料サイクルは行き詰まるというほかない。
 それでも電力各社が原発の再稼働と合わせてプルサーマルを進めようとするのは、原発内のプールにたまり続ける使用済み核燃料を六ケ所村の再処理工場にできる限り送り込む必要性があるからだ。
 各原発のプールに保管されている使用済み核燃料は約1万4000トンに上り、満杯状態に近づきつつある。再処理工場にもほぼ満杯の3000トンが貯蔵されている。再処理工場が早く稼働しないことには近い将来、貯蔵能力を超えてしまい原発が運転できなくなる。
 さらに問題なのは、核兵器の原料にもなるプルトニウムが増える懸念である。日本が保有しているプルトニウムは英仏に預かってもらっている約35トンと英仏から送り返された約9トンで、長崎型原爆5000発分にもなる。こうした状況を国際社会が許すはずがない。
 プルトニウムの消費を見込んだ高速増殖炉の開発が進まず、MOX燃料で肩代わりしている核燃料サイクルは無理がある。プルトニウム保有に対する厳しい目を正面から受け止める必要がある。
 いびつな核燃料サイクルを守るためプルサーマルに膨大な費用をかけることが果たしていいのか。脱原発依存から核燃料サイクル維持へと大きくかじを切った安倍政権の原発政策には疑問符が付く。
 
 

泉田知事は原発新基準を否定 再稼働は困難に +

 
 新潟県の泉田知事は、毎日新聞の単独インタビュー、新規制基準は不十分で柏崎刈羽原発が新基準を満たしたとしても安全を確保したことにはならない」との認識を示しました。

 新規制基準「福島第1原発事故の検証・総括なしに、ハードの基準を作ったもので安全は確保できない」、「原発立地県の意見に耳を傾けずに作られたもので評価に値しない」と述べたうえ、「過酷事故は100万年に1回ということで、万一過酷事故が起きた場合、例えば現場へ犠牲を覚悟で作業員を出す根拠になる法律の整備も行われていないと批判しました
 東電が目指す早期の原発再稼働は勿論認められません
 
 以下に毎日新聞の記事を紹介します。
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柏崎刈羽原発:新潟知事、新基準を否定 再稼働は困難に
毎日新聞 2013年06月29日
 新潟県の泉田裕彦知事は、29日までに毎日新聞の単独インタビューに応じ、原子力規制委員会の新規制基準は不十分で「(同県内に立地する)東京電力柏崎刈羽原発が新基準を満たしたとしても安全を確保したことにはならない」との認識を示した。立地県の知事が原発の安全性に疑問を投げかけたことで、東電が目指す早期の原発再稼働は困難な見通しとなった。

 泉田知事は新規制基準について「福島第1原発事故の検証・総括なしに、(設備面などに特化した)ハードの基準を作っても安全は確保できない。新規制基準は、残念ながら国民の信頼を得られない」と批判。規制委についても「地方自治行政のことを分かっている人間が一人も入っていない」と指摘、緊急時の住民の避難計画などに関し規制委が県の意見を聞かなかったことを問題視し、「こんなデタラメなやり方は初めて」と厳しく批判した。7月8日に施行される新規制基準についても「(原発立地自治体の)県の意見に耳を傾けずに作られた。外部に説明するつもりのない基準など評価に値しない」と切り捨てた。

 また、万が一過酷事故が起きた際、現行法では、事態の悪化を防ごうにも放射線量の高い事故現場へ作業員を出せないことを課題として指摘。「現行制度では法律違反で誰も行かせられないが、放置すればメルトダウン(炉心溶融)が起きる。そういう問題への対応も用意しないと、事故を総括したことにならない」と述べ、政府にも法的な整備を求めた。

 政府は、規制委の新基準を満たした原発は安全性が確保されたとみなし、順次再稼働させる方針を示している。しかし、実際に再稼働させるには地元自治体の了解も必要。泉田知事は、柏崎刈羽原発の再稼働の是非については「福島の事故の検証・総括が先」などと直接的な言及を避けたが、「規制委の新基準では県民の安全を確保できない」との認識を鮮明にしており、仮に規制委の基準を満たしても再稼働を認めない公算が大きい。

 東電が経営再建計画で目指す今年度の黒字化には、柏崎刈羽原発の再稼働が不可欠。再稼働が遅れれば計画は大きく揺らぎ、電気料金の再値上げも一段と現実味を帯びることになりそうだ。【大久保渉、塚本恒】

柏崎刈羽原発:泉田・新潟県知事との一問一答
毎日新聞2013年6月29日
東京電力柏崎刈羽原発の早期再稼働に否定的な考えを示した泉田裕彦新潟県知事とのインタビューでのやり取りは以下の通り。

原子力規制委員会の新規制基準が近く施行され、原発再稼働への動きが本格化する。
知事 現時点では、福島第1原発事故の十分な原因究明や対応策ができていると思えない。事故の検証・総括抜きの基準では国民の信頼を得られないだろう。

新基準のどこが問題か。
知事 規制委に地方自治の専門家が一人も入っていない。事故時に原子炉の圧力を下げるベントをする場合は、放射能を含んだ水蒸気を放出するため住民の避難が必要になるが、規制委は新潟県の意見を一切聞かずに基準を作った。原発の安全管理に関する県の技術委員会も意見を表明したが、まるで耳を傾けてくれない。こんなデタラメなやり方は初めてだ。規制委の田中俊一委員長は、私の質問に「答える義務はない」と発言した。外部に説明するつもりがない基準など評価に値しない。

柏崎刈羽原発は2007年の中越沖地震の時も停止した。
知事 あの時は原発施設から火災が起きる複合災害だった。道路が寸断されて消防車が原発になかなかたどり着かず、一方で途中で救助を求めてくる人にどう対応するのかという問題も出て、結局、消防隊を原発に配備することになった。県と柏崎刈羽原発の間の連絡が不自由になったことも大きな課題になった。当時は、こうした検証・総括をやった上で再稼働を認めた。

東電や政府は、新規制基準を満たすことが安全確保の証明になるとの認識だ。
知事 規制委は100万年に1回の確率で事故は起きると言っている。新基準は(事故を起こさないための)安全基準ではなく、「規制を実行すれば、後は知らない」といっているようなものだ。原発が動かないと電気料金の再値上げにつながるといわれるが、国として考えるべき問題で、立地地域に聞くのは間違っている。

東電が柏崎刈羽の安全審査に向け申請準備を進めている。
知事 柏崎刈羽原発はBWR(沸騰水型)で、新基準を満たすにはフィルター付きベント施設が必要だが、設計すら終わっていないと聞いている。政府による制度の見直しも必要だ。例えば、過酷事故が起き高レベル放射能が出ている現場へ犠牲者を出す覚悟で作業員を出せるのか。現行制度では法律違反で誰も行かせられない。
 
 

2013年6月29日土曜日

官邸前抗議行動 60回目に

 28日、60回目の「原発即時廃止」抗議行動なわれ、首相官邸前と国会・霞が関周辺で「再稼働反対」「原発輸出で成長戦略なんてとんでもない」「原発大好き政党はいらない」がりました

 しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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原発輸出で成長とんでもない 官邸前抗議
 しんぶん赤旗 2013年6月29日
 首都圏反原発連合(反原連)は28日、首相官邸前と国会・霞が関周辺で「原発即時廃止」を訴える60回目の抗議行動を行いました。「原発の活用」の方針を明記して再稼働も輸出も推進する安倍晋三内閣に、4000人(主催者発表)の参加者は「再稼働反対」「原発輸出で成長戦略なんてとんでもない」「原発大好き政党はいらない」と声をあげました。

 「再稼働きっぱりノー」と書いたプラカードを持った甲府市の男性(44)は「政府が再稼働に進んでいる今、黙っていてはいけない。反対だとしっかり主張しなければ」といいます。
 友達と初めて参加した東京都在住の女性(54)は「危ないと分かっているものを他国に輸出するなんて、とんでもない。原発は今なくさなくて、いつなくすんですか」。
 この日、反原連は各党の原発政策を比較・評価したビラとポスターも配布しました。

 日本共産党の笠井亮衆院議員、吉良よし子都雇用と就活対策室長がスピーチしました。
 
 

再生可能エネルギー発電量が原発の2倍に

 日本ではまだ掛け声だけで再生可能エネルギーによる発電はあまり進んでいませんが、世界規模ではその発電量は2016年に天然ガス火力発電を超え、石炭火力発電に次ぐ第二の電源になる見込みです。
 国際エネルギー機関(IEA)が28日までにまとめたところによると、発電量は約千億キロワット時に達し、原子力発電の倍になります

 それなのに日本であまり進まない背景には、かつては700社あまりもあって自由競争していた電力会社が、10電力の国策会社に統合され、送配電設備をそれぞれが独占していたり、「総括原価方式」によって莫大な利益が保障(コスト削減無用)されていることなどがあります。
 2016年に家庭電力会社を自由に選べるようになる「小売りの全面自由化」や、また2018~2020年をめどに電力会社の発電部門と送配電部門を分ける「発送電分離」などの改革を含んだ『電事法改正案』は、会期末のごたごたの中で廃案となってしまいました。これでは電力問題の前進は期待できません。大いに遅れることになるといわれています。

 以下に東京新聞の記事及び社説を紹介します。
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再生可能エネ 発電量 原発の2倍
東京新聞 2013年6月28日
 再生可能エネルギーによる世界の発電量は、二〇一六年に天然ガス火力発電を超え、石炭火力発電に次ぐ第二の電源になるとの予測を、国際エネルギー機関(IEA)が二十八日までにまとめた。発電量は約六兆一千億キロワット時に達し、原子力発電の二倍になるという。
 クリーンなエネルギーを求める声の高まりやコストの低下によって、風力や太陽光発電が世界的に拡大しているため。IEAのファンデルフーフェン事務局長は「多くの再生可能エネルギーは経済的な誘導策がなくても普及するようになったが、さらに拡大し続けるには中長期的に安定した政策が必要だ」と訴えている。
 IEAによると、大規模水力発電を含む再生可能エネルギーによる一二年の発電量は四兆八千六百億キロワット時で、一一年に比べて8・2%増加。石油や石炭、ガスなど他の電源と比べて最も成長が著しく、一八年には一二年比で約40%増の六兆八千五百億キロワット時になると予測した。
 総発電量に占める割合は一一年の20%から、一八年には25%に上昇するとしている。水力を除いた風力、太陽光、バイオマス、地熱発電の合計で見た場合、一一年の4%から一八年には二倍の8%になるという。
 地域別では中国を中心とした新興国や発展途上国で増える見通しで、欧州や米国での伸びの鈍化を補うとしている。

 発電コストが高いという問題も克服しつつあり、既にブラジルやトルコ、ニュージーランドの陸上風力は化石燃料に比べて安い電源となった。
 また、太陽光発電を自家発電として使った場合、多くの国で電力会社から買う電気よりも安い手段になっているという。

 <再生可能エネルギー> 自然の現象を利用して繰り返しつくることができるエネルギーの総称。太陽光や太陽熱、風力、地熱、水力、バイオマスなどを使った発電や熱の供給が含まれる。化石燃料を燃やす火力発電やウランを燃料に使う原発とは異なり、資源に限りがない。核燃料のような危険性がなく、温室効果ガスの排出もごく少ない。建設により環境を損なう大規模なダムの水力は、再生可能エネルギーに分類しないこともある

【社説】 電力改革廃案 国民無視にも程がある
東京新聞 2013年6月28日
 参院本会議での安倍晋三首相に対する問責決議の可決で電気事業法改正案などが廃案に追い込まれた。電力業界に競争を促し、電気料金引き下げなどを目指す重要法案だ。国民無視もはなはだしい。
 来月の参院選をいかにして有利に運ぶか。与野党の駆け引きが、成立が見込まれていた電気事業法改正案や生活保護法改正案をはじめ、国民生活に直結する法案や条約などを廃案に追い込んだ。
 そもそも電事法改正案とは何か。家庭も電力会社を自由に選べるようにする「小売りの全面自由化」を二〇一六年に、電力会社の発電部門と送配電部門を分ける「発送電分離」を一八~二〇年をめどに実現する電力システムの改革が目的だ。
 先行して小売りが自由化されている大企業向けの多くは、東京電力など既存の事業者と独立系の特定規模電気事業者(PPS)との競争によって一キロワット時当たり十一円前後に下がったが、家庭向けなどの小口は二倍の約二十三円。利益の九割を小口が占めており、公正さを著しく欠いている。
 小口も自由化されれば原価に利潤を上乗せする総括原価方式が消滅し、PPSなどとの競争で値下げが期待できるようになる。
 その道筋は、衆参ねじれでも与野党間の隔たりは大きくない。暮らしに身近な法案でありながら、なぜ参院は廃案にしたのか。国民をないがしろにした政治の駆け引きに翻弄(ほんろう)されたと言うほかない。
 さらに見据えるべきは、今なお終わりが見えない東電福島第一原発の事故だ。この事故こそが電力事業に隠された不条理を表に引き出して電力改革を促した。そこから目をそらしてはならない。
 小売り自由化に加え、発送電分離も改革の目玉だ。電力業界による現在の発電と送配電の一体経営は地域独占の土台であり、風力や太陽光などの自然エネルギー参入を阻害していることは否めない。
 分離が実現すれば電力業界の既得権益に風穴があき、自然エネルギーなどの送配電網への公平な接続を通じて多様な電源の効率的活用が期待できる。
 それは国民の多くが求める脱原発への第一歩でもある。
 しかし、首相は民主党政権が表明した三〇年代の原発稼働ゼロを「非現実的」と一蹴し、再稼働や原発輸出に前のめりだ。参院選後の秋の臨時国会に改正案を再提出する方針だが、原発評価の決定的な違いを背景に電力改革を後退させることがないよう強く求める。
 
 
 


2013年6月28日金曜日

MOX燃料が高浜原発に

 フランスで製造された「MOX燃料が高浜原発福井県27日到着しました。
 MOX燃料は使用済み核燃料からプルトニウムを抽出しそれをウランと混ぜて新しい燃料とするもので、これを用いる「プルサーマル」システムを核燃料サイクルを廻すものとして、これまで強力に押し進めてきました。しかしウランとは比較にならないほど強い発がん性のあるプルトニウムを成分とした燃料を、年々老朽化している従来の原発に安易に用いるのは危険だとして、当初から根強い反対運動がありました。

 MOX燃料は爆発を起こした福島第一原発の3号機にも用いられていたために、事故当時プルトニウムの拡散が心配されました。
 それに対してある解説者(大学教授)は「プルトニウムは重いので発電所の域外には飛ばない」と説明していましたが、そんなことは勿論なく粒径が細かくなればいくらでも遠くに拡散して行きます。現実に福島原発事故の1週間後くらいに、常時大気中の放射能成分を測定しているアメリカの観測所でプルトニウムの飛来が確認されています。

 ほぼ全域が高浜原発から30キロ圏内に含まれる舞鶴市の市が、「MOX燃料の安全性について再検証しなければ使用は容認できない」と述べているのは当然のことです。

 この件に関してはNHKが詳細に報じていますので紹介します。
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MOX燃料 高浜原発に 原発事故後初
NHK NEWS WEB  2013年6月27日
プルトニウムを含む「MOX燃料」と呼ばれる核燃料が、福井県にある関西電力高浜原子力発電所にフランスからの輸送船でけさ到着し、船から下ろす作業が行われました。
MOX燃料が国内に運び込まれるのは、おととしの原発事故後初めてです。

高浜原発に到着したのは、フランスで製造されたMOX燃料を積んだ専用の輸送船です。
使用済み核燃料から取り出したプルトニウムとウランを混ぜたMOX燃料を使う「プルサーマル」は、国の核燃料サイクルの柱と位置づけられています。
高浜原発や福島第一原発などの4基で実施されましたが、おととし3月の原発事故の影響で4基は停止するなどしていて、海外からのMOX燃料の輸送も中断されていました。
関西電力は、ことし4月、MOX燃料を積んだ輸送船をフランスから日本に向けて出港させていて、輸送船は、27日午前7時すぎに高浜原発の岸壁に到着しました。
そして、船内に放射性物質が漏れていないかを確認するため放射線量を測定したあと、MOX燃料20体を入れた輸送容器3機を船から下ろす作業が行われました。
関西電力は、輸送容器3基を原発に運び込みました。
関西電力は、高浜原発の3号機でMOX燃料を使う考えで、来月、原発の新たな規制基準が施行されるのに合わせて、運転再開に向けた原子力規制委員会への申請を行うことにしています。

舞鶴市長「再検証を」
市のほぼ全域が福井県の高浜原子力発電所から30キロ圏内に含まれる京都府舞鶴市の多々見良三市長は「MOX燃料の安全性について再検証しなければ使用は容認できない」と述べ、国の原子力規制委員会に対し、安全性の再検討を求める考えを示しました。
また、「舞鶴市と立地自治体並みの安全協定を結んでいないなかでは、手順として違うのではないか」と述べ、立地自治体並みの安全協定を早急に締結するべきだと改めて強調しました。

福井県「国の方針出た段階で判断」
MOX燃料の到着について、福井県安全環境部の櫻本宏部長は「今回のMOX燃料の輸送は、関西電力の責任において判断されたと理解している。燃料の輸送と発電とは完全に別の問題で、関西電力から具体的な話も聞いていないので今後、どうするのか示してもらいたい」と話しました。
そのうえで、「福井県としては、今後、国がプルサーマルをどうするのか方針を明確に示した段階で改めて検討したい」と話しました。

関西電力「安全優先に進めていきたい」
高浜原発へのMOX燃料の搬入作業を終えた関西電力原子力事業本部の水田仁副事業本部長は「東日本大震災の影響で国の核燃料サイクルが不透明な状況が続き、原子力を取り巻く環境に非常に大きな変化がでたなか、地元をはじめとする関係者の理解が得られ、輸送が実現できたということに改めて感謝したい」と述べました。
そのうえで、「資源の少ない日本にとってプルサーマルの重要性は高まっており、安全を最優先に今後もプルサーマルを進めていきたい」と述べました。
また、今回到着したMOX燃料を実際に高浜原発で使用する時期については、「新しい規制基準の審査や国のエネルギー政策の議論の状況などを踏まえ、地元の理解を前提に総合的に判断していきたい」と述べ、明言を避けました。

プルサーマルの経緯
資源が少ない日本では、使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、ウランと混ぜたMOX燃料を再び原発の燃料に利用する核燃料サイクルの実現を、国が目指してきました。
しかし、当初、柱となっていた高速増殖炉は「もんじゅ」の事故で開発のめどが立たなくなり、平成9年からは、MOX燃料を通常の原発で利用するプルサーマルが核燃料サイクルの中心に位置づけられました。
ところが、MOX燃料は通常のウラン燃料に比べ、原子炉を止めるときに使う制御棒の効きが悪くなるなどの特徴があり、安全性を疑問視する声が上がりました。
また、その後、MOX燃料のデータの改ざんや東京電力のトラブル隠しが相次ぎ、地元の同意がなかなか得られず、プルサーマルの開始は大幅に遅れました。
結局、おととしの原発事故までに実施できたのは、▽九州電力の玄海原発3号機、▽四国電力の伊方原発3号機、▽関西電力の高浜原発3号機、▽東京電力の福島第一原発の3号機の4基にとどまりました。

なぜ実施するのか
国などがプルサーマルの実施を目指す背景には、国内的な事情と国際的な事情があります。
国内的な問題は、原発から出る使用済み核燃料がたまり続けていることです。
各地の原発の使用済み核燃料を受け入れている再処理工場を巡っては、地元青森県などと電力会社の間で「再処理事業が著しく困難になった場合、使用済み燃料を施設外に運び出す」という覚書が交わされています。
このため、仮に青森県が新たな運び込みを拒否したり、運び出すことを求めたりすると、各地の原発では、使用済み燃料を保管しているプールが満杯になって、運転できない事態に陥ることから、再処理事業を進めるためにMOX燃料を使うことが求められています。
また、国際的には、使用済み燃料から取り出したプルトニウムは、燃料だけでなく核兵器の原料にもなるという問題があります。
日本が保有するプルトニウムの量は、再処理を委託しているイギリスとフランスに保管されている分も含めて、合計でおよそ44.3トンに上っています。
これは長崎型の原爆およそ5500発を製造できる量に相当するとされ、およそ20年間で4倍余りに増えています。
核兵器の原料にもなるプルトニウムは、必要以上に持たないことが国際的に求められているため、このまま保有している量が増え続ければ、海外から批判が出かねない状況になっています。

プルサーマルをどう実施?
全国では、12基の原発が来月8日に新しい規制基準が施行されたあと速やかに再稼働に向けた安全審査を申請する見通しです。
このうち、原発の運転再開と同時にプルサーマルも行おうとしているのは、▽四国電力の伊方原発の3号機、▽九州電力の玄海原発の3号機の合わせて2基で、▽関西電力の高浜原発の3号機4号機、▽北海道電力の泊原発の3号機の合わせて3基も、「運転再開後に時期を検討したい」としています。
しかし、プルサーマルを実施するためには、新たな規制基準に基づく国の原子力規制委員会の審査を受けることや地元自治体の了解が必要で、現段階では具体的な見通しは立っていません。
プルサーマルを柱とする核燃料サイクルは、おととしの原発事故の影響も受けていて、依然、不透明な状態が続いています。
 
 

2013年6月27日木曜日

個人株主から「脱原発」の提案相次ぐ 電力9社の株主総会

 26日に原発を保有する全国の電力社が一斉に株主総会を開きました
 その中で東電関西電力や中部電力などの個人株主たちは「原発の再稼動禁止・廃炉」などを提案しました。
 しかし電力各社は原子力規制委の新規制基準が日に施行されることを控え再稼働の申請を予定し、中でも北海道、関西、四国、九州の四電力は火力発電の費用がかさみ経営が厳しくなっているとして、早期の原発再稼働に意欲を示しています。

 しかし高市自民政調会長がウッカリ?と口にしたとおり、いまや原発のコストが安いという言い方は明らかな“ごまかし”であり通用しません。それにもかかわらず敢えて「経営が厳しいから原発再稼働したい」と主張するのは、当面電力会社が救われるためには原発の安全性などは問題外だと述べるのにも等しいことと言えます。注目の中部電力の浜岡原発すら再稼動させたいとするに至ってはその感を強くします
 
 ただ万一再び大事故が起きた際には、今度は「想定外」と言う代わりに、「規制委が安全だと言ったのだから何も疑わなかった」と言うことでしょう。今後はそれが世に通用する訳で、規制委の審査にはそれだけの重みが加わります。

 そんな折、自民党の原発再稼動を目指す議員連盟は25日、「規制委が安全性を確認した原発については、政府の責任で早期に再稼働させる」よう求める中間提言をまとめました。そして規制委対する国会の監督強化掲げました

   ※ 自民議連 安全な原発は早期再稼働を」 (NHKニュース 25日)
      自民議連 規制委へ監督強化を」 (東京新聞 25日)

 イタリアの国立災難予測・対策委員会に所属していた科学者6人たちが、「09年のラクイラ大地震を予知できずに309人を死亡させた」として、懲役6年を言い渡されたのはまだ記憶に新しいところです。この際原子力規制委は自らが置かれている防波堤としての立場を十分に自覚し、イタリアのその組織とは比べものにならない責任を帯びていることを自覚すべきです。

 以下に電力会社の株主総会のニュースを紹介します。
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「脱原発」提案相次ぐ 電力9社 株主総会
東京新聞 2013年6月26日
 原発を持たない沖縄電力を除く全国の電力九社が二十六日、一斉に株主総会を開いた。東京電力の株主総会では、福島第一原発事故を受けて三百四十八人の個人株主が福島第二原発や柏崎刈羽原発(新潟県)の廃炉などを提案した。関西電力や中部電力などでも、脱原発を求める提案が相次いだ。 
 原発について、電力各社は原子力規制委員会の新規制基準が七月八日に施行されることを控え、再稼働の申請を予定している。中でも、北海道、関西、四国、九州の四電力は火力発電の費用がかさみ経営が厳しくなっているとし、早期の原発再稼働に意欲を示している。
 原発の廃炉を求める株主提案は、昨年の各社の株主総会でも出ていたが、否決された。各社の取締役会は、株主提案に反対する構えを見せており、今年も否決される可能性が高い。
 東電の株主総会は午前十時から、東京都渋谷区の国立代々木競技場第一体育館で開かれた。公的資金一兆円の資本注入による実質国有化後、初めてとなる株主総会で、会社側は下河辺和彦会長ら社外取締役の留任をはじめとした役員人事案のみを提案した。
 株主提案は過去最多の十五議案に上り、東電株の1・2%を持つ東京都が発電所の個別収支を開示して経営の透明性を確保するよう求めた。個人株主は原発廃炉のほか、役員報酬の減額や総会の公開などを提案した。ただ、東電はすべての株主提案に反対する考え。株式の過半数を持つ国も東電に同調しており、提案は否決される見通しになっている。
 総会の冒頭で、議長を務めた下河辺会長は「福島の復興こそが再生の原点」とし、「事故の責任を全うし、世界最高水準の安全確保と、競争の下で安定供給をやり抜くという新たな使命を果たしつつ、一日も早く経営を立て直す」と述べた。
 総会には、正午現在、二千十三人の株主が出席した。昨年の最終的な株主の出席数は四千四百七十一人だった。

中部電株主総会:会社側は浜岡原発再稼働に意欲
毎日新聞 2013年06月26日
 中部電力の株主総会は26日、名古屋市東区で開かれ、会社側は浜岡原発(静岡県御前崎市)の再稼働に意欲を示し、株主に理解を求めた。一部の株主からは原発からの撤退を求める「脱原発」議案が提出されたが、否決される見通しだ。
 総会には昨年より564人少ない1449人が出席した。会社側は浜岡原発停止による火力燃料費の増加で厳しさを増す経営状況を説明。水野明久社長は「エネルギー資源の乏しい我が国では安全対策を徹底した上で原子力を活用することが不可欠」と強調した。
 一部の株主から、原発からの撤退▽廃炉や使用済み核燃料の管理貯蔵を進める委員会の設置▽日本原子力発電への出資や債務保証の禁止−−など7議案が出されたが、いずれも取締役会が既に反対意見を表明している。
 中部電は浜岡原発の津波対策などの工事を2015年3月までに終え、その後の再稼働を目指している。【和田憲二】

電力各社、原発再稼働に意欲 株主総会で撤退否決 
日経新聞  2013年06月26日
 沖縄電力を除く電力9社は26日、定時株主総会を開いた。原子力発電所の新規制基準の施行が7月8日に迫る中、関西電力や九州電力などは収支改善に向けて原発の早期再稼働に取り組む姿勢を改めて強調した。株主からは原発からの撤退を求める議案が相次ぎ提出されたが、いずれも否決された。
 関電は神戸市内で開いた総会で、高浜原発(福井県)の3、4号機と大飯原発(同)の3、4号機を念頭に再稼働に取り組む意向を強調。八木誠社長は総会後の記者会見で「安全性が確認された原発は速やかに再稼働させたい」と従来の主張を繰り返した。
 四国電力の総会では千葉昭社長が「地域の皆様の理解を頂きながら早期再稼働を目指す」と明言。九州電力の総会では山元春義副社長が玄海原発(佐賀県)と川内原発(鹿児島県)の再稼働に関して「速やかに申請できるように進めている」と述べた。
 中部電力の総会でも水野明久社長が停止中の浜岡原発(静岡県)について「安定的なエネルギーの確保のため、引き続き重要な電源として活用することが不可欠。新規制基準への対応など必要な対策を速やかに実施する」と述べた。
 再稼働に理解を求める電力各社に対し、自治体などの株主からは原発政策を問う声も上がった。関電に出資する兵庫県の井戸敏三知事は「関電は原発への依存度が他社に比べて高い。依存度を引き下げる方針を明示すべきだ」と要求。中部電の総会では株主の一部から原発からの撤退などを求める「反原発」の株主提案7件が提案されたが、いずれも反対多数で否決された。 







  

2013年6月26日水曜日

2013年度総会及び講演会が開かれました

 
 25午後7時~時20分、湯沢町公民館 3階 会議室2 で、2013年度の総会と講演会が開かれました。17人が出席し和やかな雰囲気の中で熱心な討議が行われました。

 第1部の総会では富沢育子さんが議長に選出されました。
 その後議事1号から4号の各項にわたり世話人の南雲敏夫さんから報告と提案が行われ、それぞれ拍手で承認されました。
 新年度の活動計画として、・原発の廃炉に向けた新たな署名運動、・映画「渡されたバトン~さよなら原発~」の湯沢町での上映 ・原発に関する学習会の定例化 ・新しい会員の獲得などに取り組むことになりました。

 引き続き第2部では、十日町に在住しておられる村上茂樹先生(農学博士)による、「放射能汚染の真実~イチから学ぶ放射能のこと~」の講演が行われました。
 約1時間10分にわたるとても迫力のある講演で皆さんも熱心に傾聴しました。
 その濃密な内容を要約して紹介出来ないのは残念ですが、幸いにインターネットで講演のユーチューブ(動画)が公開されていますので、どうぞご覧になって下さい。
 
   放射能汚染の真実 2012年11月25日
  ※ 放射能汚染の真実 イチから学ぶ放射能のこと 2013312 前編
(全部で3本が公開されているそうです)

 以下に南雲敏夫さんが書かれた議案書をもとに、総会の概要を報告します。

総会次第
 第1部 2013年度 総会
 開会
2 代表のあいさつ
3 議事
 第1号 原発をなくす湯沢の会 2012年度活動報告及び会計決算報告
 第2号 2013年度活動計画について
 第3号 2013年度会計予算について
 第4号 2013年度役員等について
4 当面の課題と活動について
5 閉会

 第2部 講 演 会
 演 題  「放射能汚染の真実」~イチから学ぶ放射能のこと~
 講 師  村上茂樹 先生

議 事
 <議事第1号> 2012年度活動報告
   南雲さんから2012年度活動について以下の報告があり、拍手をもって承認されました。
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 2012年11月10日に当会の結成総会が開催され、会の基本的な運動方向や役員体制などが決まり、動きが始まりました。日本から原発をなくす運動が、湯沢町からも始まったことは大きな意義があるものと思われます。
 結成総会以前及び以後の活動内容につきましては、会報に掲載されていますので、ここでは主だった事項について報告させていただきます。
 「原発ゼロの日本へ、柏崎刈羽原発の廃炉をもとめる請願署名」(衆・参議院議長宛)
    署名総筆数(5月27日最終) 762筆
2 原発をなくす湯沢の会のホームページ開設 39
        URL http://yuzawagenpatu.blogspot.jp/ 
3 町公民館で当会の「湯沢町社会教育関係団体登録」が認定される。 321
4 小出裕章先生の講演会 「福島原発事故と柏崎刈羽原子力発電所」開催
  南魚沼市民会館 全体約900人参加 湯沢から約70人参加(チケット販売数92枚)
5 会員の獲得
  現在会員数 115人
    結成総会以降2人増、2人
6 その他
  ・会報の発行  N0.1 2013.2.27  N0.2 2013.6.10
  ・世話人会 5回開催
  ・会の郵便振込口座開設 5月31日 土樽郵便局
  ・各種集会、講演会等への参加

 <議事第2号> 2013年度活動計画
   続いて南雲さんから2013年度活動計画について以下の提案があり、拍手をもって承認されました。
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 原子力規制委員会は、原発の新規制基準を決定し来月から施行するとしている。これは、その内容から、新たな「安全神話」づくりへの重大な契機となる恐れがあるものである。また、自民党は参議院議員選挙の政策に、原発の早期再稼働を掲げるなど、原発被災者や多くの国民の声を無視した動きが強まっている。
 こうした新たな情勢の中、原発をなくす湯沢の会としては、状況を注視しつつ会としての原点(基本的確認事項)である次の3点を柱とし、これに則した運動を進める。
 ①「原発ゼロの日本」をめざし、柏崎刈羽原発の廃炉に向けた運動を行います。
 ②原発についての学習を深め、その中身をできる限り多くの人に伝えます。
 ③運動の趣旨に賛同する人を増やします。
 また、運動の詳細については、会員の声を聞きながらその都度世話会等で議論しながら進めることとする。

1 原発の廃炉に向けた新たな署名運動を!
  東京電力(株)宛と新潟県知事宛の二つの署名活動に取り組む(署名用紙参照)。
  署名目標
   全県で10万が目標なので、湯沢の有権者数比からそれぞれ400とする。
   中間締切 2013年9月30日
2 映画「渡されたバトン~さよなら原発~」の湯沢町での上映成功を!
    旧巻町における原発建設阻止運動を描いたこの映を、湯沢でも上映し原発への関心を高める
3 学習の強化を!原発に関する学習会の定例化
      現在、平均月1回開催している世話会の中身を変更し、どなたでも参加できる学習会を中心に行い、定例化する。
開催日時  毎月第四火曜日19:00~20:30  場所 町公民館
        テキスト 「原発のウソ」小出裕章著
    世話会は、原則として学習会が終了後30分程度行う。
4 新しい会員を増やそう!
  最終的な会員目標数は決めていないが、当面200人にすることが結成総会で確認されている。上記の活動を進める中でも、常に新しい会員の獲得に目を向けていくこととする。
   場合によっては、期間を設け集中的に取り組むことも考える。

 <議事 その他
   その後2012年度の会計報告と2013年度の収支予算計画についての提案があり、それぞれ承認されました。
   また新年度も従来の役員体制で進めることと、一部世話人を補強することが承認されました。
以 上