2017年11月30日木曜日

もんじゅは廃炉を想定しない設計 ナトリウムの抜き取りが不可能

 廃炉方針が決まった「高速増殖炉もんじゅ」ですが、廃炉を完了させる上で絶対に必要な、原子炉容器内を満たしている液体ナトリウムの抜き出しが出来ない構造になっていることが分かりました。

 液体ナトリウムは水と接触すると爆発的に反応が進み、空気に触れる発火するという超危険なものにもかかわらず、構造上開口部等もなくナトリウムを空気に触れさせずに抜き取ることができないということです。 
 誰が考えても必要な解体に向けての配慮が、設計上何もされていないとなってはこれ以上の設計ミスはありません。
 製造の認可には当然国の機関が絡んでいます。ある意味で原発のお粗末さを象徴するものです・
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もんじゅ 設計、廃炉想定せず ナトリウム搬出困難
毎日新聞 2017年11月29日
 廃炉が決まっている高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について、原子炉容器内を満たしている液体ナトリウムの抜き取りを想定していない設計になっていると、日本原子力研究開発機構が明らかにした。放射能を帯びたナトリウムの抜き取りは廃炉初期段階の重要課題だが、同機構が近く原子力規制委員会に申請する廃炉計画には具体的な抜き取り方法を記載できない見通しだ。

 通常の原発は核燃料の冷却に水を使うが、もんじゅは核燃料中のプルトニウムを増殖させるため液体ナトリウムで冷やす。ナトリウムは空気に触れれば発火し、水に触れると爆発的に化学反応を起こす。もんじゅでは1995年にナトリウムが漏れる事故が起き、長期停止の一因になった。

 原子力機構によると、直接核燃料に触れる1次冷却系の設備は合金製の隔壁に覆われ、原子炉容器に近づけない。また、原子炉容器内は燃料の露出を防ぐため、ナトリウムが一定量以下にならないような構造になっている。このため1次冷却系のナトリウム約760トンのうち、原子炉容器内にある数百トンは抜き取れない構造だという。
 運転を開始した94年以来、原子炉容器内のナトリウムを抜き取ったことは一度もない。

 原子力機構幹部は取材に対し「設計当時は完成を急ぐのが最優先で、廃炉のことは念頭になかった」と、原子炉容器内の液体ナトリウム抜き取りを想定していないことを認めた。炉内のナトリウムは放射能を帯びているため、人が近づいて作業をすることは難しい。
 原子力機構は来年度にも設置する廃炉専門の部署で抜き取り方法を検討するとしているが、規制委側は「原子炉からナトリウムを抜き取る穴がなく、安全に抜き取る技術も確立していない」と懸念する。

 もんじゅに詳しい小林圭二・元京都大原子炉実験所講師は「設計レベルで欠陥があると言わざるを得ない。炉の構造を理解している職員も少なくなっていると思われ、取り扱いの難しいナトリウムの抜き取りでミスがあれば大事故に直結しかねない」と指摘する。【鈴木理之】

■ことば
高速増殖原型炉「もんじゅ」
 プルトニウムとウランの混合酸化物を燃料に、発電しながら消費した以上のプルトニウムを生み出す原子炉。出力28万キロワット。原型炉は実用化までの4段階のうちの2段階目。1994年に運転開始したが、95年に2次冷却系のナトリウムが漏れる事故が発生し、長期運転停止。その後も点検漏れなど不祥事が相次ぎ、約250日しか稼働しないまま昨年12月に政府が廃炉を決めた。

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“凍結”なのに効果検証ができない凍土遮水壁 福島原発

 産経新聞が、凍土遮水壁の効果について東電が口を濁している問題について深堀した記事を載せました。
 東電が、いつになったら遮水壁の正しい効果を確認できるのかについての「検証時期」についても明言できないあたりに、釈然としない点があります。
 現状では効果が不明というのも、それならそんなに効果が不明確なこの方式を何故採用したのかということにつながります。いずれは明確になる問題なのでいまは時間を待つしかないようです。
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【原発最前線】
“凍結”なのに効果検証できない 国費350億円が宙に?
 費用対効果、現段階で不明
産経新聞 2017年11月28日
 東京電力福島第1原発で、汚染水の原因となる地下水の原子炉建屋流入を防ぐために設けられた「凍土遮水壁(とうどしゃすいへき)」が、地中の温度が0度を下回ったにもかかわらず、効果を検証できない状態が続いている。遮水壁の内側に地下水をくみ上げる井戸(サブドレン)があり、さらに雨水も地中にしみこんで流入しているため、凍土壁単独の効果を示すのが難しいのが理由だ。示せる時期について「年内、年度内についても言及できる段階ではない」と東電。原子力規制委員会にはその効果について懐疑的な声もあり、国費約350億円の費用対効果について説明責任が問われている。(社会部編集委員 鵜野光博)

「検証時期」明言避ける東電
 建屋内には山側から大量の地下水が流入し、溶融核燃料(デブリ)などと接触して汚染水となっている。東電は対策の一つとして、約1500本の凍結管を約30メートルの深さに打ち込み、1~4号機を約1・5キロにわたって取り囲む凍土壁の凍結を昨年3月から開始。原子力規制委員会は地下水が減りすぎて建屋内の汚染水より水位が低くなり、汚染水が外に漏れだすことを警戒し、西側の1カ所(約7メートル)を未凍結で残していたが、8月下旬からこの区間も許可を得て凍結作業が進められている

 東電は11月2日、最後の区間を含めて「凍土壁の地中の温度がおおむね0度以下に下がった」と発表した。しかし、その効果については「大きな台風のような大雨がない状態が、ある程度続けば、評価できるのではないか」(13日の会見)として示さず、22日の会見では「年内、年度内についても言及できる段階ではない」と時期について明言を避け続けている

10月は台風で大幅増
 一方で、10月は台風による降雨の影響などで流入量が急増。今年に入って流入量は1日当たり百数十トン程度で推移していたが、同約310トンにまで達した。東電は汚染水対策として、敷地内を舗装して雨水の浸透を抑える対策も行ってきたが、建屋がある場所は舗装が十分ではないという。さらに凍土壁が完成しつつあることで、建屋周辺に降った雨が逃げ場を失い、たまっていることも考えられる。
 16日に福島市で開かれた経済産業省の「廃炉・汚染水対策現地調整会議」で、経産省資源エネルギー庁の木野正登廃炉・汚染水対策官は「雨水対策を講じなければ、汚染水の増加を繰り返す」として、東電に対策を求める考えを示した。

 東電が6月に規制委に行った説明によると、山側からの地下水は凍結開始前の1日約760トンから約580トンに低下しており、一時400トンあった建屋流入量は約130トンに減少していた。しかし、この流入量は凍土壁を超えた水をくみ上げるサブドレンの効果も大きく、凍土壁単独での効果は不明のままだ。

「説明責任はエネ庁にも」
 規制委ではこれまで、凍土壁の効果をアピールする東電に対して「サブドレンのくみ上げ量がそんなに減っていない」として重視せず、サブドレンによる水位制御で汚染水漏洩を防ぐことに注意を向けてきた。
 規制委の更田(ふけた)豊志委員長は11月15日の定例会見で、凍土壁について「効果を上げているかどうかは、特別なことでもしない限り立証するのは難しい」との考えを示した。
 「サブドレンでくみ上げずとも建屋周辺の水位が上がってこないという状況が生まれれば、これは陸側遮水壁(凍土壁)の効果なのかなというところだが、試すわけにはいかない。どこまでがサブドレンの効果で、どこまで凍土壁の効果なのかは水掛け論になる可能性もあるし、東電が信用してと胸を張ったところで、一体どの値を見てそれを信用すればいいのかは、なかなか難しい」
 そう指摘した上で、「凍土壁がどれだけの効果を上げたのか、費用対効果の説明責任は、東電並びに資源エネルギー庁にあるのだろうと思う」と述べた。
 福島第1原発の汚染水対策=同原発は山側から海側へ地下水が流れる地層の中に建っており、東日本大震災後は建屋に流入する地下水が汚染水となって増え続けている。高濃度汚染水を浄化した後に残るトリチウム処理水は、構内に林立する約900基のタンクの大半を占めている。東電は流入地下水を減らすため、(1)敷地を舗装して雨水の浸透を抑える(2)建屋手前で地下水ドレンでくみ上げる(3)凍土壁で1~4号機を取り囲む(4)凍土壁を超えた地下水をサブドレンでくみ上げる-の4段構えの対策を行っている。

防火壁に穴60カ所 柏崎刈羽原発 規制庁が確認へ

 柏崎刈羽原発の防火壁で配管などを通す工事をした際、配管と壁の間にできた隙間に適切な防火処置を施していない箇所が、1~7号機で合計60カ所見つかりました

 東電は新規制基準には抵触しない建築基準法に抵触するとして補修工事を進めるとしていますが、なぜ抵触しないのか不思議に思います。
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防火壁に穴60カ所=柏崎刈羽原発、規制庁が確認へ-新潟
時事通信 2017年11月28日
 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の防火壁で適切な防火処置が施されていない穴が約60カ所見つかり、原子力規制庁は28日、近く現場を確認することを明らかにした。同原発6、7号機は原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めており、新基準に照らし問題がないか確認する。
 東電によると、2号機原子炉建屋で7月、防火壁の貫通部に防火処置をされていない部分が2カ所見つかった。防火壁に配管などを通す工事をした際、配管と壁の間にできた隙間に、適切な防火処置を施していなかった。東電が1~7号機の防火区画を点検した結果、同様の穴が他に60カ所見つかった。
 同原発6、7号機には計17カ所あったが、東電は「新規制基準には抵触しない」と説明。一方で、建築基準法に抵触するとして、穴を不燃材で埋める補修工事を進める。

30- 大飯原発 三日月・滋賀県知事 再稼働容認の環境にない

 三日月大造・滋賀県知事は、26日、県した中川雅治原子力防災担当相に対して、大飯原発の再稼働について、「多重防護体制の確立は道半ばで、再稼働を容認できる環境にない」、「多重防護体制として実効性が十分に担保されていないと主張しました
 また原子力災害の緊急時対応について「実動組織の自衛隊等の住民救助の具体的な計画がまだなく、避難車両およびバス等の運転手の確保などが実際確保できるのかという不安が依然残っている」と課題を挙げました。

 立地県の西川一誠福井県知事27日、大飯原発再稼働に同意した中で、三日月知事は理路整然と「再稼働を容認できる環境にない」ことを説明しています
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大飯原発 三日月知事 「再稼働容認の環境にない
滋賀報知新聞 2017年11月29日
 来年1月にも福井県おおい町にある大飯原発3、4号機(関西電力)の再稼働が見込まれる中、中川雅治原子力防災担当相は26日、滋賀県を訪れ、三日月大造知事と会談した。この中で三日月知事は「多重防護体制の確立は道半ばで、再稼働を容認できる環境にない」と従来の県の主張を繰り返した。

 全国有数の原発銀座に隣接する滋賀県として近畿1450万人の命の水源である琵琶湖を預かる三日月大造知事は、多重防護体制として(1)ハード整備のみならず、避難訓練や住民とのリスクコミュニケーションなどソフト対策が(2)立地自治体のみならず最低30キロ圏内の自治体との連携協力体制や安全対策への関与が担保されている(3)再稼働の手続き等で事業者と自治体間の任意協定でなく法定に明確化されている―ことが不可欠とし、現時点で実効性が十分に担保されていないと主張。
 さらに原子力災害の緊急時対応について「実動組織の自衛隊等の住民救助の具体的な計画がまだなく、避難車両およびバス等の運転手の確保などが実際確保できるのかという不安が依然残っている」と課題を挙げた。
 また福島の原発事故にも触れ「復興はいまも途上で、事故対応も当初の想定から大きく上回り、原発の経済性も揺らぎが出ている。国はできるだけ早い時期に原発に依存しないエネルギー社会に転換すべき」と訴えた。

 大飯原発や大飯オフサイトセンター、高島市の住民らが原発災害時に避難経路として利用することになる国道161号線を視察した中川同担当相は「より実効性の高い計画にしていくため大飯地域の緊急時対応に基づく訓練の実施に向けて関係自治体とも相談の上、調整を進める。原子力防災には終わりはない、つねに充実強化させていく」と述べた。
 なお、福井県の西川一誠知事は27日、大飯原発再稼働に同意した。三日月知事は改めて「再稼働を容認できる環境にない」とコメントした。

2017年11月29日水曜日

原発事故後に甲状腺がん手術 8割が将来に不安 福島

 福島児童の甲状腺がん患者支援団体の「3・11甲状腺がん子ども基金」とNHK8月に行った、甲状腺がんの手術を受けた子どもまたはその保護者に行った郵送アンケートの結果、今不安に感じている人が77%で、その内容は「がんの再発」、「がんの転移」、「体調」、「妊娠や出産」、「就職や仕事」などでした。
 福島県民健康調査検討委員会がいまだに甲状腺がんは放射線の影響とは考えにくいとしているため、手術を受けた人たちを含めて国は何の援助も行っていません。
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原発事故後に甲状腺がん手術 8割が将来に不安 福島
NHK NEWS WEB 2017年11月26日
原発事故のあと甲状腺がんと診断され、手術を受けた福島県の子どもやその保護者に支援団体とNHKがアンケートを行ったところ、がんの再発や将来などへの不安を抱えている人が8割近くに上りました。支援団体は患者たちの不安の実態が明らかになったとして、十分な支援を国などに求めることにしています。
原発事故を受けて、福島県が当時18歳以下だったおよそ38万人を対象に行っている甲状腺検査では、これまでに190人余りが、がんやがんの疑いと診断され、検査を大規模に実施したことで多く見つかっている可能性が高いと指摘される一方、事故との因果関係をめぐって専門家の間で議論が続いています。

支援団体の「3・11甲状腺がん子ども基金」とNHKは、ことし8月、甲状腺がんの手術を受けた子どもまたはその保護者、合わせて67人に郵送でアンケートを行い、52人から回答を得ました。

この中で、今不安に感じていることがあるか尋ねたところ、「ある」という回答が77%に上りました。
不安の内容としては「がんの再発」が23人と最も多く、次いで「がんの転移」と「体調」がそれぞれ9人、「妊娠や出産」と「就職や仕事」がそれぞれ5人など、手術のあとも健康面や将来などに、さまざまな不安を抱えていることがわかりました。

自由記述には「娘がひどく不安定になり、夜も眠れず学校に行けず退学した」とか、「甲状腺を全摘した息子は一生薬を服用しなければならず、親としては将来がとても心配」など、切実な声がつづられています。

また見つかったがんについて、有識者で作る県民健康調査検討委員会が、現時点で放射線の影響とは考えにくいとする見解を示している一方、アンケートではほぼ半数が「事故の影響はあると思う」と答えていて、認識の違いも浮き彫りになりました。

「3・11甲状腺がん子ども基金」は、これまで知られていなかった実態が明らかになったとして、患者への精神的なサポートや診療などにかかる費用など、国や県に十分な支援を求めることにしています。

代表理事の崎山比早子さんは「何が原因であろうと、原発事故がなければこのような状況にはならなかったことは確かで、継続的な患者のケアが必要だ」と話しています。

福島県の甲状腺検査
甲状腺は首の前側にある成長などにかかわるホルモンを出す臓器で、原発事故で放出された放射性物質ヨウ素131は、甲状腺に蓄積しやすい性質を持っています。

チェルノブイリ原発事故の際、周辺地域で子どもたちに甲状腺がんが多く見つかり、のちに被ばくが原因と結論づけられたことから、福島第一原発事故のあと、福島県は県民健康調査の一環として、子どもの甲状腺検査を実施することにしました。

検査の対象は事故当時、福島県内にいた18歳以下の子どもたちおよそ38万人で、事故から最初の3年で1巡目、その後、2年置きに2巡目、3巡目と対象者の検査を繰り返し行います。

検査は現在3巡目で、有識者で作る福島県の県民健康調査検討委員会によりますと、これまでに190人余りががんやがんの疑いと診断され、このうち150人余りが甲状腺を切除する手術を受けました

これについて検討委員会では、1巡目の検査を取りまとめた去年3月の段階で、被ばく線量が総じて小さいことなどを理由に「放射線の影響とは考えにくい」とし、検査を大規模に実施したことで、甲状腺がんが多く見つかっている可能性が高いという見解を示しています。

最終的な結論は出されておらず、患者からは検討委員会の見解に戸惑う声や真相の解明を求める声が出ています。

再稼働事前同意 周辺5市に拡大 東海第二原発

 原電、東海第二原発を再稼働する際、事前に周辺五市にも同意を求める方針を決めました。 これまで再稼働してきた各地の原発では、同意は立地する県や市町村に限定しており、対象を周辺自治体にも拡大するのは全国初となります

 原電は24日、来年11月に運転期限を迎える東海第二原発について、最長20年の運転延長を原子力規制委に申請しました。
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再稼働事前同意 周辺5市にも権限「要求認められた」【茨城】
東京新聞 2017年11月28日
 日本原子力発電(原電)が、東海第二原発(東海村)を再稼働する際、事前に同意を求める自治体に周辺五市を加える方針を示したことを受け、高橋靖・水戸市長は二十七日の定例会見で「細かな調整は必要だが、私たちの要求は認められた」との認識を示した。

 再稼働してきた各地の原発では、同意は立地する県や市町村に限定しており、対象を周辺自治体にも拡大するのは全国初となる。
 高橋市長は「五市が(村と)同等の権限を得られるから納得した。五年以上にわたって続けてきた協定見直しの実現まであと一歩。身の引き締まる思いだ」と話した。
 原電は二十四日、来年十一月に運転期限を迎える東海第二について、最長二十年の運転延長を原子力規制委員会に申請した。これについて「延長したからといって、すぐに再稼働するという認識はない」と静観する構え。一方で、「市民目線で見れば、再稼働に突き進むと思われてもおかしくない」と話し、原電に対し、市民への説明を続けるよう求めた。(山下葉月)

29- 宮城県議会 原子力政策特別委の設置で与野党対立

宮城県議会 原発政策で与野党が綱引き
河北新報 2017年11月28日
 宮城県議会11月定例会の政調会長会議が27日、県議会棟であり、原子力政策を協議する調査特別委員会の設置で与野党が対立した。東北電力が2018年度後半以降に目指す女川原発(女川町、石巻市)の再稼働を見据えて議論を活性化させたい野党に対し、与党は「原発は国策であり県議会になじまない」と反論した。

 原子力関連の委員会設置を求めたのは、民進党系「みやぎ県民の声」(9人)など4会派。同会派の太田稔郎氏が「村井嘉浩知事は『再稼働は議会の意見を聴く』と言うが、議論する場がない」と要望した。
 最大会派「自民党・県民会議」(31人)の佐々木賢司氏は「再稼働は会派間の立ち位置が違い、特別委はなじまない」と反発。公明党県議団(4人)の遠藤伸幸氏も「原発はあくまで国の施策」と強調した。
 社民党県議団(2人)の熊谷義彦氏は「再稼働の是非は協議せず、再生可能エネルギーを中心にする」と折衷案を示し、共産党県議団(8人)の天下みゆき氏も「原子力防災をテーマにしてはどうか」と提案したが、結論は出なかった。

 特別委は五つ設置する予定で、「大震災復興」「いじめ・不登校」「スポーツ振興」の3委員会は決定。残る二つの取り扱いは12月4日以降に再協議する。

2017年11月24日金曜日

被害者が生業を再建できるまで補償を 原発再稼働は論外 山下芳生議員

 22日の参院本会議で山下芳生議員(共産)が、自主避難者への住宅提供を今年3月末で打ちきり、精神的苦痛への賠償は来年3月末で終了するのは許されないとし、すべての被害者が生活と生業を再建できるまで国と東京電力が責任をもつべきであると述べました。
 また日本は約2年にわたって「稼働原発ゼロ」を経験し原発ゼロでやっていけることが証明されているので、ただちに「原発ゼロ」の政治決断を行い、再稼働を中止すべきだと政府の見解を質しました。

 それに対して安倍首相は「原発ゼロは責任ある政策と言えない」、「再稼働を進める」と答えました。

 信濃毎日新聞の社説「東海第2原発 経営優先の延長でいいか」を併せて紹介します。

  お知らせ
都合により25日、26日は記事の更新ができません。27日は午後更新します。
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国民の怒り突きつけ暴走ただす
再稼働は論外 原発ゼロ迫る 山下副委員長が代表質問 参院本会議
しんぶん赤旗 2017年11月23日
 日本共産党の山下芳生副委員長は22日の参院本会議での代表質問で、「森友・加計疑惑」や原発、働き方、憲法などで安倍晋三首相の姿勢をただしました。衆院の質疑から、まともに根拠を示さず「ご指摘はあたらない」と“逃げ答弁”を繰り返す安倍首相。山下氏は、動かしがたい事実、国民の怒りの声を突きつけ、暴走政治の転換を求めました。

(質問全文より原発関係を抜粋
原発問題―世論に背き被害者を愚弄する再稼働に未来はない
 東京電力・福島第1原発事故から6年8カ月。総理は、所信表明で、福島では「帰還困難区域を除き、ほぼ全ての避難指示が解除された」と述べました。また、今年3月、避難指示の解除を決めた際には「本格的な復興のステージを迎える」と述べました。

 しかし、福島の現実は、避難指示解除が「本格的な復興」に直結するような状況ではありません。医療・介護をはじめ、除染、住宅の整備、雇用など、まさに課題山積です。そもそも原発事故は収束していない。だからこそ、いまだに6万8千人の方が、故郷や元居た場所に「帰れない」あるいは「帰らない」という事になっているんではないでしょうか。総理にこの認識はありますか。

 しかも、安倍政権は、自主避難者への住宅提供を今年3月末で打ちきり、精神的苦痛への賠償は来年3月末で終了するとしています。絶対に許されません。「復興加速」の看板のもとに、被害者切り捨てをすすめる安倍政権こそ、復興の最大の障害だといわなければなりません。すべての被害者が生活と生業(なりわい)を再建できるまで、国と東京電力が責任をもつことは当たり前ではありませんか。総理の認識を伺います。

 政府の「長期エネルギー需給見通し」では、2030年度の電力に占める原発の割合を20~22%にするとしています。全国で約30基もの原発を再稼働することになります。
 しかし、これは国民の世論に真っ向から反するものです。どの世論調査でも、再稼働に「反対」が「賛成」の約2倍となっています。

 他方、財界は原発の再稼働を強く求め、原発事故を起こした東電の柏崎刈羽原発まで再稼働しようとしています。政府も「稼ぐことが福島事業への貢献」などとして、柏崎刈羽を再稼働させようとしていますが、福島を口実に再稼働を正当化するなど言語道断、被害者を愚弄(ぐろう)するものです。

 再稼働にひた走る道に未来はありません。原発事故後、約2年にわたって「稼働原発ゼロ」となり、日本社会が原発ゼロでやっていけることも証明されています。ただちに「原発ゼロ」の政治決断を行い、再稼働を中止し、再生可能エネルギーの本格的普及へと道を切り替えるべきではありませんか。

 政府は福島原発事故の自主避難者への住宅提供の打ち切りに加え、精神的苦痛への賠償を来年3月末で終了させようとしています。山下氏は「被害者切り捨てを進める安倍政権こそ、復興の最大の障害だ」と厳しく批判。原発再稼働は、どの世論調査でも「反対」が「賛成」の約2倍にのぼるとして、原発事故を起こした東京電力が狙う柏崎刈羽原発の再稼働は論外だと断じ、「原発ゼロ」の政治決断を迫りました。安倍首相は「原発ゼロは責任ある政策と言えない」と民意に逆らい、「再稼働を進める」と述べました。
(後 略)


東海第2原発 経営優先の延長でいいか
信濃毎日新聞 2017年11月23日
 日本原子力発電が東海第2原発(茨城県東海村)の運転期間延長を、原子力規制委員会に申請することを明らかにした。来年11月に運転開始から40年になるため、規定を超える運転を求めるという。
 関東圏にある唯一の原発である。避難計画策定が必要な半径30キロ圏内の人口は、全国最多の96万人に及ぶ。事故時に素早く避難させられるのか疑問だ。
 計画策定は難航している。県は2015年3月にまとめた計画で、52万人を県外に避難させる方針を示した。避難先の自治体との調整は進まず、受け入れ施設の大半を決められないままだ。残り約44万人は県内の自治体に避難するという。机上の空論にすぎない。

 地元の不安も大きい。東海村は、周辺5市も再稼働の判断に関与できるように、原電に安全協定の見直しを要求している
 同意を求められるのは通常、立地自治体と県のみだ。多くの立地自治体は再稼働のハードルが上がるとして、対象を広げることに反対している。再稼働で経済的恩恵がもたらされるためだ。
 異例の要求をしたのは、30キロ圏内の人口の多さを考慮すると「村と県だけでは責任を負えない」からだ。納得できる理由だ。

 原電は難色を示し、協議は進んでいない。再稼働を円滑に進める狙いがあるのだろう。経営優先の姿勢を改めなければならない。
 原発で作った電気を電力大手に卸してきた原電は、福島事故後に厳しい経営環境が続いている。
 所有する3基のうち、敦賀1号機は廃炉が決まり、同2号機は原子炉建屋直下に活断層があると指摘されて、再稼働の見通しは立っていない。大手電力が支払う基本料金のみが現在の収益源だ。

 だからといって、残る東海第2原発の再稼働を、問題を抱えたまま進めるのは無理がある。
 しかも、1978年運転開始の東海第2は福島第1と同じ沸騰水型だ。格納容器が小さく、冷却機能が失われると内部の温度や圧力が上がりやすい欠点がある。同タイプの運転延長申請は初となる。
 原発の運転期間が原則40年とされたのは、老朽化でトラブルが増える懸念があるからだ。運転延長は特例でなければならない。それなのにこれまで3機の延長が認められた。今回の申請が容認されると、原則はさらに形骸化する。

 リスクが大きく、事故時に影響を受ける人口が最多の原発を、40年を超えて運転する意味があるのか。極めて慎重な審査が必要だ。

もんじゅ廃炉 使用済み燃料の処理方法提示へ

 敦賀市にある高速増殖炉「もんじゅ」廃炉とし今後30年間かけて解体などの作業を進めるに当たり、福井県と敦賀市政府に、安全で着実な廃炉の実施や地域振興策の充実などを求めたのに対して、22日夕方、文科省で政府が福井県と敦賀市に要望への対応方針を説明する協議会が開かれ林文科大臣は「使用済みの燃料やナトリウムの搬出など廃炉までに解決すべき技術課題について、平成30年末を目途に検討を進める」として、来年末をめどに使用済みの燃料などの処理方法を提示する方針を伝えました。
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もんじゅ廃炉 使用済み燃料の処理方法提示へ 文科相
NHK NEWS WEB 2017年11月22日
高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉をめぐって、林文部科学大臣は、福井県の西川知事らに対し、来年末をめどに使用済みの燃料などの処理方法を提示する方針を伝えました。

福井県敦賀市にある高速増殖炉「もんじゅ」について、政府は、去年廃炉を決定し、今後30年間かけて解体などの作業を進める方針で、福井県と敦賀市は政府に対し、安全で着実な廃炉の実施や地域振興策の充実などを求めています。
こうした中、22日夕方、文部科学省で政府が福井県と敦賀市に要望への対応方針を説明する協議会が開かれました。

この中で、林文部科学大臣は「使用済みの燃料やナトリウムの搬出など廃炉までに解決すべき技術課題について、平成30年末を目途に検討を進める」と述べ、来年末をめどに使用済みの燃料などの処理方法を提示する方針を伝えました。
そのうえで林大臣は「交付金制度の拡充に向けた取り組みを進めるとともに、新たな雇用創出を目指すようしっかり取り組む」と述べました。これに対し、福井県の西川知事は「廃止措置の実施や地域振興の充実について、力強い言葉をいただいた。最後まで政府として責任を全うしていただきたい」と述べました。

24- 欧州の放射能雲 発生源はロシアと認める

 9月下旬から10月にかけて、ヨーロッパ全土で大気中から放射性物質「ルテニウム106」が検出されたことに関して、ロシア気象庁は21日、原因は放射性物質処理施設の工場廃水である可能性が高いと発表しました。
 現在は検出されていません。
   (関係記事)
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欧州全土を覆った放射能の雲 発生源はロシア 仏研究所が指摘
ハザードラボ  2017年11月22日
 9月下旬から10月にかけて、ヨーロッパ全土で大気中から放射性物質が検出される事件があった。フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)は「ルテニウム106」と特定し、発生源の特定を進めていたが、ロシア気象庁は21日、ウラル山脈南部を流れる川で、高濃度のルテニウム106を検出し、原因は放射性物質処理施設の工場廃水である可能性が高いと発表した。

 この問題は、今年9月27日から10月13日にかけて、フィンランドやオーストリア、スイスをはじめとするヨーロッパの14カ国で、微量の放射性ルテニウム106が大気中のモニタリングで検出されたもの。
 ルテニウム106は、東京電力福島原発事故でも放出された放射性物質で、セシウム137やストロンチウムに比べると半減期は短く、約1年余り。フランス放射線防護原子力安全研究所は今月9日、「すでにヨーロッパ全土では大気中の放射性物質は検出されなくなり、健康や環境に影響をもたらさない」と発表している。
 そのうえで、ヨーロッパ上空で検出されたルテニウム106の濃度レベルを地図で表し、「最も濃度が高かったのは、ロシアを南北に縦断するウラル山脈とボルガ川に挟まれたエリアだ」として、ロシア西部が発生源である可能性を指摘していた。

 問題発生以来、ロシア政府は一貫して「原子力事故の可能性」を否定してきたが、今月21日、同国気象庁が気象観測データを発表し、「9月下旬から10月半ばにかけて、ウラル山脈周辺の川や貯水池で極めて高い放射性物質による汚染を確認した」と認めた。
 報告によると、ウラル山脈の東に位置する都市チェリャビンスクを流れるミアス川や貯水池などで高濃度のルテニウム106が検出され、チェリャビンスク近郊にある州政府が運営に関わる放射性物質の再処理施設からの工場廃水が、下水処理場に流出した可能性が高いとしている。

 ロシア気象庁によると、9月下旬から10月初めにかけては、西シベリアの中心にあった高気圧の影響で、カスピ海から地中海にかけて放射性物質を含む大気が移動し、ヨーロッパ各地に運ばれたと見られると言う。

 一方、発生源と見られるチェリャビンスクの工場を運営するロシア国営の原子力企業ロスアトム(ROSATOM)の責任者マキシム・ヤコヴェンコ氏は21日、「ルテニウム106はロシアだけでなく、ポーランドやブルガリア、ルーマニアでも検出されており、その濃度は基準値よりも数千倍低いレベルだったが、ルーマニアの検出濃度はロシアより2倍高かった」とコメントを発表し、同社の関与を全面的に否定している。

2017年11月23日木曜日

「質問時間割合」変更主張の石崎議員は原発テロ対策では「職務怠慢」

 ジャーナリストの横田一氏が、「質問時間割合変更問題」を自民党の国対に申し入れた新潟1区の石崎とおる衆院議員について、原発立地県である新潟県選出の石崎氏が真っ先にすべき仕事は、質問時間変更提案ではなく、原発テロ対策強化(自衛隊がすぐに原発防護を出動できる法整備など)なのではないかとする辛口の指摘をしました。
 与党議員は法案提出前に自民党部会で役人を呼んで議論をすることができのだから質問時間の獲得要求をするのではなく、まず自民党の部会で原発テロ対策問題を取り上げるべきであるというものです。
 
 ハーバードビジネスオンラインの記事を紹介します。
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「質問時間割合変更」問題に火をつけた石崎衆院議員、
原発テロ対策では”職務怠慢”
横田一 ハーバービジネスオンライン 2017年11月22日
(ジャーナリスト)                 
 総選挙後に急浮上した衆議院での「質問時間割合変更問題」は、現在でも与野党で平行線の激論が続いている。加計疑惑の論戦が繰り広げられた11月15日の衆院文部科学委員会では、いったん「与党1対野党2」で決着したが、通常国会のハイライトである「予算委員会」など今後の時間配分(与野党比率)は未決着のままだ。

 そんな中、質問時間割合変更を自民党の森山裕国会対策委員長と松本純国会対策委員長代理に申し入れ、この問題に“火”をつけた自民党若手議員の石崎とおる衆院議員(新潟1区で落選・比例復活)の職務怠慢ぶりが明らかになった。北朝鮮情勢が緊迫していると盛んに喧伝して衆院選を勝ち抜いたにもかかわらず、原発テロ対策について自民党の部会でまったく取り上げていないというのだ。

 石崎氏をはじめとして、世界最大級の柏崎刈羽原発を抱える新潟県選出の自民党議員は、衆院選では「原発テロ対策が重要」と認めていた。しかし、衆院選が終わってからこれまでに何も動きを見せていない。

米山新潟県知事に自民党国会議員からの働きかけナシ
 原発再稼動に慎重な姿勢の米山隆一・新潟県知事は11月8日の会見で、記者の質問にこう答えている。
――新潟県選出の自民党国会議員から「今の原発テロ対策が不十分だから強化するべきではないか」とか知事と意見交換したり、(党の)部会で取り上げたりという話はお聞きになったことはないのでしょうか。
米山知事:特段ありません。

――(小池百合子都知事の“盟友”で希望の党から出馬・落選した)若狭勝さんは自民党国会議員時代に「原発テロ対策が不十分だ」「原子力規制委員会の審査は甘い」ということを自民党の部会で発信なさっていたのですが、石崎さんはじめ自民党の地元国会議員からそういうことを聞いたことはないのでしょうか。
米山知事:自民党の部会が何をしているかは分かりません。少なくとも(地元自民党国会議員から)個別に言われたことはありません。

総選挙中は「原発テロ対策をきちんとやる」と言っていたが……
「日本の原発テロ対策は世界最低レベル」と小泉純一郎元首相も指摘している。しかも「原発テロ対策が不十分であることを原子力規制委員会は知らんふりで、審査対象外にしている。日本国民の生命と健康を守る上で大問題」と新潟5区で当選した泉田裕彦衆院議員・前新潟県知事は指摘していた。
 総選挙で2回、石崎氏の応援で新潟入りした石破茂・元防衛大臣も、同じ見方をしていた。応援演説後に直撃すると、次のように答えた。
「『テロ対策はもっときちんとしないといけない』というのは、私は防衛庁長官(第68・69代長官を歴任、その後第4代防衛大臣)の時からずっと言っていること。原発を民間警備会社やお巡りさんが守っている国は(日本以外には)ないからね。『原発テロ対策はきちんとやらないといけない』と思っています」(10月15日の新潟市での街宣後の石破氏の発言)

 記者は石崎氏も直撃したところ「私も石破さんの意見と同じ」と答えた。さらに若狭勝・前議員(希望の党)が自民党国会議員時代、部会で「原発テロ対策が不十分」と問題提起していたことについても聞くと、「若狭さんとも同じ考えです」と石崎氏は答えた。原発立地県である新潟県選出の石崎氏が真っ先にすべき仕事は、質問時間変更提案ではなく、原発テロ対策強化(自衛隊がすぐに原発防護を出動できる法整備など)なのではないか。
 しかも与党議員は、法案提出前に自民党部会で役人を呼んで議論(事前審査)をすることができる。与党の事前審査後に提出される法案について国会で質問、問題点を明らかにする野党議員とは“主戦場”が異なるのだが、石崎氏はホームグラウンドのような自民党の部会で原発テロ対策問題を取り上げてすらいないということが米山知事の発言で判明した

 石崎氏は自身のブログで質問時間変更申し入れの理由を次のように書いているが、党内の部会で仕事(質問)をしない職務怠慢を棚に上げ、自民党や首相官邸の“御用聞き”をしていると批判されている。
「(5年間の国会運営で)若手議員に質問時間が回ってくることはほとんどありませんでした。1回も質問時間が回ってこない議員が、『仕事をしていない』と週刊誌に叩かれることもありました。若手も国民の代表者であり、地域で聴いた国民の声を国政に届け、諸政策に反映させていくことは極めて重要な議員活動の一つであるにも関わらずです」

「職務怠慢」「御用聞き」といった汚名を晴らすには、石崎氏は質問時間変更よりも自民党部会で原発テロ対策強化を問題提起、対策強化法案の準備などについてたっぷりと質問をするべきだろう。

 【取材・文・撮影/横田一】
ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数

60余か所で防火対策が不備 柏崎刈羽原発

柏崎刈羽原発 防火対策が不備 60か所余で
NHK NEWS WEB 2017年11月23日
新潟県にある柏崎刈羽原子力発電所の原子炉建屋などで、法律で定められた防火対策が60か所余りで図られていなかったことがわかりました。東京電力では来年以降、できるだけ早く対策をとるとしています。
柏崎刈羽原発2号機では、ことし7月、原子炉建屋にある放射性物質の管理区域内の通路で建築基準法に定められた防火対策がとられていないところが2か所見つかり、東京電力は、1号機から7号機までの主な施設について防火体制に不備がないかどうか調査を進めていました。

これについて東京電力は、22日の記者会見で建築基準法に定められた防火対策がとられていなかったところが、新たに60か所見つかったことを明らかにしました。
東京電力によりますと、このうち41か所が放射性物質の管理区域内で、空調設備の配管の隙間を防ぐ措置などが、建設当初から図られていなかったところがあったと見られるということです。東京電力は来年以降、できるだけ早く防火対策をとるとしています

柏崎刈羽原発の一杉義美広報部長は「建築基準法に抵触するかどうか確認を取る必要があるという認識が社内で不足していた。大変申し訳なく、再発防止を図っていきたい」と話しています。