2018年3月31日土曜日

高浜原発差し止め却下 ミサイル攻撃の具体的危険はないと大阪地裁

 運転中の関電高浜原発3、4号機が、北朝鮮のミサイル攻撃を受ける恐れがあるとして、関電を相手に運転差し止めを求めた仮処分申請で、大阪地裁は30日、申し立てを却下しました。
 却下の理由は、「ミサイル攻撃具体的危険があるとは言えない」とか、「北朝鮮がミサイル攻撃するか、高浜原発を狙うか、狙った場合に着弾するかは明らかでない」というものですが、一体、仮に北朝鮮に高浜原発攻撃の意図があったとしても、そんなことを公にするものでしょうか。

 またいつなん時突如として朝鮮半島で戦端が開かれるかも知れず、事態は全く予断を許しません。
 現実に安倍政権はミサイル攻撃のおそれがあるとして避難要領の周知を図り、地域によっては避難訓練までさせている中で、逆に、高浜原発だけはその目標から除外されるという根拠があるというのでしょうか。危険が迫ってから原発を停止させればよいというのは救いがたい認識不足です。。
 大阪地裁の論拠に従えば、ミサイル攻撃への防御策を講じていない原発でも問題はなく、攻撃される可能性は常に除外されることになります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
高浜原発差し止め却下 ミサイル攻撃「具体的危険ない」 大阪地裁
時事通信 2018年3月30日
 運転中の関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)は北朝鮮のミサイル攻撃を受ける恐れがあるとして、大阪府内の女性が関電を相手に運転差し止めを求めた仮処分申請で、大阪地裁は30日、申し立てを却下した。森純子裁判長は「具体的危険があるとは言えない」と判断した。
 森裁判長は決定で、政府が武力攻撃事態などの認定をしておらず、北朝鮮が近い将来、日本をミサイル攻撃するかどうか明らかでないと指摘。自衛隊に迎撃態勢を取らせる破壊措置命令を常時発令していることも、「武力攻撃の具体的危険や高浜原発に飛来する恐れを前提にしていない」とした。

 差し止めを申し立てた水戸喜世子さん(82)は「私の疑問に答えていない」と決定を批判。関電は「今後も立地地域をはじめ社会の理解を賜りながら、運転保全に万全を期していく」とした。


高浜原発、運転差し止め認めず ミサイル巡り大阪地裁
日経新聞 2018年3月30日
 稼働中の関西電力高浜原子力発電所3、4号機(福井県高浜町)を巡り、北朝鮮からミサイルで攻撃されると広域で被害が出るとして、運転差し止めを求めた大阪府高槻市の住民による仮処分申請で、大阪地裁(森純子裁判長)は30日、申し立てを却下する決定をした。

 森裁判長は決定理由で「北朝鮮がミサイル攻撃するか、高浜原発を狙うか、狙った場合に着弾するかは明らかでない」と指摘。国が自衛隊法に基づく破壊措置命令を発令しているとしても、「直ちに具体的な危険があるとはいえない」と結論づけた。

 審尋で住民側は「原発が攻撃されれば放射性物質が大量に放出され、関西圏を含む広い範囲に被害が出る」と主張。関電側は「原発の運転を止めるほどミサイル攻撃の現実的な危険が切迫しているとはいえない」と反論していた。
 3、4号機は大津地裁が2016年3月に運転差し止めを認め、一時運転できない状態が続いた。即時抗告審で大阪高裁が覆して再び運転が認められ、17年5~6月に再稼働した。

東電 原発の避難支援拠点を柏崎へ

 東電新潟本社の橘田昌哉代表は30日に記者会見を開き、新潟本部にある避難支援拠点を柏崎市に移すことを明らかにしました。
 事故時には避難に関する業務の司令塔になるほか、通常時は自治体や消防機関などの要望を聞く部署となります。事故時に支援に関わる初動対応者も50人から140人へ増員します
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
東電HD、原発の避難支援拠点を柏崎へ 新潟市から
日経新聞 2018年3月30日
 東京電力ホールディングス(HD)新潟本社の橘田昌哉代表は30日に記者会見を開き、4月1日に同社の新潟本部(新潟市)にある避難支援拠点を柏崎市に移すことを明らかにした。事故時には避難に関する業務の司令塔になるほか、通常時は自治体や消防機関などの要望を聞く。事故時に支援に関わる初動対応者も50人から140人へ増員する。

 支援拠点は原発から約10キロメートル離れたJR柏崎駅近くに設ける。当面は14人体制で運用する。平時は一般住民や福祉施設と接触して避難の仕方などについて要望を聞き、支援計画に反映させる。飲料や支援車両、生活用品などの配備も担当する。
 事故時の避難対応では柏崎刈羽原発や県内外の事業所で勤務する社員も参加し、現在の3倍近い人員が加わる。

 橘田氏は「福島第1原発事故で失った信頼を回復するため、地元との対話を通じて真摯に意見をうかがうことから始めたい」と話した。

31- 玄海原発 3号機で配管から蒸気漏れ 発送電停止へ

 23日に再稼働した玄海原発3号機で2次系配管から微量の蒸気漏れがあったため31日に発電と送電を停止します。
 原因はまだ不明ですが、稼働早々に蒸気漏れが起きたのは、稼働させないと見つけられなかったということで、それ自体深刻な問題です。
 2次系冷却水配管からの蒸気噴出事故は2004年8月に関電美浜原発3号機で起き、140℃の高温高圧蒸気によって11人がやけどし、うち5人が死亡しました。まずはしっかりした原因の究明が求められます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
玄海原発 再稼働の3号機が発送電停止へ、配管の蒸気漏れ
毎日新聞 2018年3月30日
九州電力、放射性物質の漏れもない
 九州電力は30日、玄海原発3号機(佐賀県玄海町)の2次系配管から微量の蒸気漏れがあり、31日に発電と送電を停止すると発表した。九電によると、原子炉の運転に問題はなく、放射性物質の漏れもないという。3号機は23日に7年3カ月ぶりに再稼働したばかりで、発電出力を段階的に上昇させていた。今後の3号機の工程がずれ込むのは必至で、5月中の再稼働を見込む玄海4号機にも影響を与えそうだ。

 九電によると、30日午後7時ごろ、巡回中の作業員が保温材に覆われた2次系の配管から微量の蒸気が漏れているのを目視で確認した。31日午前1時から発電出力を下げる作業に着手。約5時間後には発電と送電を停止する見込み。制御棒は入れずに、原子炉内の核分裂反応が連続する「臨界」は維持する。配管の状態を確認後、配管の取り換えなどの対応を検討する。

 九電は玄海4号機を5月中に再稼働させる方針だが、田尻浩昭・環境広報グループ長は30日深夜の記者会見で「4号機の工程と重なることは極力避けたい。影響はゼロではない」と述べ、再稼働工程がずれ込むとの認識を示した。

 原子力規制委員会によると、東京電力福島第1原発事故後に再稼働した原発がトラブルで発電と送電を停止するのは、2016年2月の関西電力高浜4号機に続き2例目。

 新規制基準に基づく再稼働後の発電出力上昇作業中のトラブルを巡っては、川内(せんだい)原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)で15年8月、配管に穴が開き、海水が混じり込むトラブルが発生、出力上昇を延期したことがある。

2018年3月30日金曜日

東海第二原発再稼働 30キロ圏内「実質事前了解」協定 全国初

 東海第二原発について、日本原電と30キロ圏内にある6つの自治体は、29日夜、再稼働の際に自治体側の「実質的な事前了解」が必要となる新たな協定を結びました。
 原発を再稼働させる際の事前了解の対象が立地する自治体以外に広げられたのは全国でも初めてのケースです
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
再稼働「実質事前了解」立地自治体以外では全国初 東海第二原発
NHK NEWS WEB 2018年3月29日
茨城県東海村にある東海第二原子力発電所について、日本原子力発電と原発から30キロ圏内にある6つの自治体は、29日夜、再稼働の際に自治体側の「実質的な事前了解」が必要となる新たな協定を結びました。原発を再稼働させる際の事前了解の対象が立地する自治体以外に広げられたのは全国でも初めてのケースです。

原発を再稼働させる際、電力各社はこれまで、自治体と結んでいる安全協定に基づき、原発が立地する自治体と県にだけ事前に了解を得る手続きをとってきました。
しかし、福島第一原発の事故を受けて、茨城県東海村の東海第二原発では、30キロ圏内にある水戸市や日立市など6つの自治体が事前了解の対象とするよう求め、日本原電との間で協議が進められてきました。
そして、29日午後6時から東海村で開かれた会合で、再稼働の際には6つの自治体の「実質的な事前了解」が必要となる新しい協定が締結されました。

新たな協定では、原発の再稼働などの際に東海村を含む6つの市と村が「追加の安全対策の要求などを通じ、事前協議により、実質的な事前了解を得る仕組みとする」としています。
そのうえで、協定の内容の確認書では、6つの自治体が「それぞれ納得するまでとことん協議を継続することを日本原電に約束させた」としています。
原発を再稼働させる際の事前了解の対象が立地する自治体以外に広げられたのは、全国でも初めてのケースです。

日本原電社長「とことん議論し対応」
新しい協定について、日本原子力発電の村松衛社長は「締結までにかかった5年半という期間を大変重く受け止めている。今後の協議については、6つの自治体との懇談会で、さまざまな質問や意見を真摯(しんし)に聞いて、納得を得られるまでとことん議論し、対応させていただきたい」と話していました。

東海村長「新協定締結 ほっとしている」
懇談会の座長を務める東海村の山田修村長は「5年半かけてようやく新協定を締結できたことにほっとしている。再稼働の前提となる審査の結果が出る前に協定を結ぶことが大事だった。6つの自治体の『実質的な事前了解を得る』という内容が明確に盛り込まれたのは大きな成果だ」と話しました。

水戸市長「これまでの要求が通った協定」
原発から30キロ圏内にある水戸市の高橋靖市長は「私たちのこれまでの要求が通った協定だと思っている。新しい協定にある『実質的な事前了解』は、東海村との間に結ばれている現在の協定の『事前了解』と同じものだ。今後は有識者会議などを通じて市民の意見を集約していきたい」と話しています。

6市村の懇談会とは
東海第二原発から30キロ圏内にある6つの市と村で作る懇談会は、福島第一原発の事故のあと、6年前に設立されました。
懇談会のメンバーは、東海村、水戸市、日立市、ひたちなか市、那珂市、常陸太田市、6つの市と村です。
原発事故が起きれば、その影響は広範囲にわたるとして、東海第二原発の再稼働をめぐる判断は、立地自治体の東海村だけではなく周辺の自治体とともに協議していく必要があるとして設立されました。
そして、日本原電が東海村と茨城県との間で結んでいる安全協定を見直し、現在は再稼働などの際に東海村と茨城県にだけ認められている事前了解の権限を、周辺の5つの市にも拡大するよう求める要望書を平成24年に提出して協議を進めていました。

事前了解 周辺自治体が求めるも協定結ばれず
原発を再稼働させる際、これまで電力各社は、原発の立地自治体と結ぶ安全協定などに基づき、事前に自治体の了解を得る事前了解の手続きが取られてきました。
ただ、福島第一原発の事故では、放射性物質が広い範囲に拡散したことなどから、原発周辺の自治体は、事故が起きた場合、立地自治体と同じような被害が起こりうるとして、事前了解の手続きを求める動きが活発化しました。
しかし、電力各社によりますと、原発を再稼働させる際、周辺の自治体に範囲を広げて事前了解の手続きを定めているケースはこれまでありませんでした。
おととし再稼働した福井県にある高浜原発をめぐっては、原発から30キロ圏内に入る京都府と滋賀県は関西電力に対し、事前了解の手続きを求めましたが、結局、そうした協定は結ばれませんでした。
原発事故のあと、新しい規制基準の下で再稼働した原発は全国で5原発7基となりますが、電力各社が再稼働させる際、いずれも県と立地する市と町だけで事前了解の手続きが取られてきました。

東海第二原発とは
東海第二原子力発電所は、福島第一原発と同じ、沸騰水型と呼ばれるタイプの原発で、再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査が終盤を迎えています。
ただ、ことし11月で運転開始から40年を迎えるため、再稼働のためには運転期間を20年延長することが必要で、そのための審査にも合格する必要があります。
また、国の防災指針で避難計画の策定が義務づけられる原発から30キロ圏内には、全国の原発で最も多い96万人が住んでいて、事故の際、住民を安全に避難させることができるのかが大きな課題になっています。

原発避難者京都訴訟で控訴

 福島県などから京都府に避難した住民が、国と東電に対し約85000万円の損害賠償を求め訴訟で下された京都地裁判決に対して住民側と国・東電側が共に28日控訴しました。
   (関係記事)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
原発避難者京都訴訟で控訴
ロイター通信 2018年3月28日
 東京電力福島第1原発事故を受けて福島県などから京都府に避難した住民が、国と東電に対し約8億4660万円の損害賠償を求めた訴訟で、原告のうち、請求が全額認められるなどした2人を除く172人が28日、国と東電に賠償を命じた15日の京都地裁判決を不服として、大阪高裁に控訴した。国と東電も28日、控訴した。

 原告側弁護団の田辺保雄弁護士は、国と東電双方に110人へ約1億1千万円を支払うよう命じた京都地裁判決について「東電の重過失が認められず、避難の相当性が認められていない原告もいる。慰謝料の水準も低く、不十分だ」とした。(共同通信)

柏崎刈羽原発 避難委が初視察

柏崎刈羽原発 避難委が初視察「住民安全、確証得られず」/新潟
毎日新聞 2018年3月30日
 東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働を県が判断する前提となる三つの検証委員会のうち、避難方法を検証する「避難委員会」の全メンバー9人が29日、同原発などを視察した。避難委が同原発を訪れるのは初。視察後開かれた委員会では「住民が安全に避難できる確証は得られなかった」などの意見が出された。【内藤陽】

 メンバーは原発構内で、高台に分散配備された消防車や電源車▽地盤の液状化で損傷の恐れがある荒浜側の防潮堤▽6号機のフィルター付きベント--を視察。免震重要棟にも足を運び、東電社員から事故時の初動態勢などについて説明を受けた。さらに立地自治体や関係機関との直通電話のある「ホットライン室」や、緊急時に衛星回線で周辺自治体に情報提供するための通信機器類を確認した。

 このほか、原発事故時の主要な避難経路となる高速道や国道▽同原発から半径5キロ圏の即時避難区域(PAZ)にある柏崎市内の特別養護老人ホーム--などを見て回った。

 その後、同市内で開かれた委員会では、メンバーから「東電は事故時に周辺市町村に職員を派遣するというが、市町村は情報をきちんと受け取ってそれを生かせるのか」「救助する側は施設などに屋内退避した人をどうやって把握するのか」など情報共有への疑問が相次いだ。委員長の関谷直也・東京大大学院特任准教授は「今後、市町村や住民の意見を何らかの形で聞く必要がある」と述べた

30- 川内原発に大量降灰対策の必要性

川内原発、大量降灰対策の必要性 鹿児島県の原子力専門家委が指摘
岩手日報 2018/03/29
 九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の安全性や避難計画を検証する県の専門家委員会が29日、鹿児島市で会合を開き、大規模噴火時の火山灰対策などを議論した。川内原発周辺では、霧島連山・新燃岳や桜島などで活発な火山活動が続いており、委員からは「大量降灰を想定して作業工程を考えるべきだ」などと対策の必要性を指摘する意見が出た。
 九電側は川内1、2号機の稼働期間中に熊本・阿蘇山などの火山が破局的噴火する可能性が極めて低いとした上で、過去に起きた桜島の噴火を参考に、非常用ディーゼル発電機に火山灰侵入を防ぐ着脱可能なフィルターを設置済みと説明した。

2018年3月29日木曜日

消音器の詰まり原因か 第一原発水素爆発

 福島事故対策検討会と京都大の研究チームは福島原発1、3、4各号機の原子炉建屋で起きた水素爆発について、原子炉格納容器内のガスを排出する際、配管出口の消音器に炉心溶融で発生した粉じんが詰まったのが原因とする検証結果をまとめました。それによって水素ガスが外部に排出されず建屋内に充満し爆発したとしています
 7年目の新しい知見ですが、単純な内容なのでなぜ東電がもっと早く把握できなかったのか不思議です。いずれにしても直ちに新規のフィルター付きベントに反映させるべきです。

 また、これはトーラス=サプレッションチャンバーで、ダストを除去できなかったことを示すもので、チャンバー内が空になっていたか沸騰状態であったため、ダストを水サイドに取り込むスクラビング効果が発揮されなかったということです。
 これはまたサプレッションチャンバーで放射能が除去されなかった筈だとするアーニー・ガンダ―センの主張を裏付けるものです

 サプレッションチャンバーで99%の放射能が除去されるという仮定が崩れた以上、放射能の排出量は政府発表の約100倍ということになります。

お知らせ
都合により30日の記事の更新は午後からになります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
消音器の詰まり原因か 第一原発水素爆発
福島民報 2018年3月28日
 原子力関係の有識者らでつくる福島事故対策検討会と京都大の研究チームは東京電力福島第一原発1、3、4各号機の原子炉建屋で起きた水素爆発について、原子炉格納容器内のガスを排出(ベント)する際、配管出口の消音器(サイレンサー)に炉心溶融で発生した粉じんや氷が詰まったのが原因とする検証結果をまとめた。ガスが外部に十分に排出されず建屋内に充満し、爆発したとしている。

 27日に大阪府の大阪大で開かれた日本原子力学会春の大会で示した。研究チームは事故当時、1~3号機格納容器内は溶融燃料により内部構造物が溶け落ちて、発生した粉じんと、水素を含んだ水蒸気が充満していたとみている。ベントによってガスは配管を通り排気筒から排出されるはずだったが、サイレンサーが大量の粉じんでふさがれ、別の配管から建屋内に逆流したと指摘。さらに、ガス内の水蒸気がサイレンサーの到達時に気圧の変化で凍結し、目詰まりしたとしている。

 研究チームは2011(平成23)年8月に1、2号機原子炉建屋の間にある排気筒周辺の配管付近で、毎時10シーベルト超の高線量が確認された経緯などを踏まえ、粉じんや高線量の氷が発生したと分析した。
 1、2号機と3、4号機は2機で一つの排気筒を使用しており、ベント用配管は排気筒の直前で合流している。東電は2011年3月12日に1号機のベントを実施した。2号機では同13、15の両日にベントを行ったが事実上、失敗に終わった。研究チームは先に実施した1号機のベントでサイレンサーが目詰まりした影響により、2号機で成功しなかったとみている。

 研究チームは、サイレンサーが多くの原発で採用されているとした上で「重大事故に備え、対応策の検討が必要だ」と訴えた。

東海第2原発 30キロ圏内市町の反対で稼働を止められるか

 これまで原電東海第二原発30キロ圏内にある水戸市など6市村と原電との間で、6市村は、自治体側が「ノー」と言えば再稼働を止められる内容を要求してきました
 29日に行われる最終会合住民の意思を反映した協定となるか注目されています。もしも市村側の要求が通れば国内で初の快挙となります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「原発止められる協定」焦点 東海第二 協議大詰め
東京新聞 2018年3月29日
 首都圏唯一の原発、日本原子力発電(原電)東海第二原発(茨城県東海村)を巡り、原発三十キロ圏内にある水戸市など六市村と原電との間で、新たな協定の締結に向けた協議が大詰めを迎えている。六市村は、自治体側が「ノー」と言えば再稼働を止められる内容を要求。二十九日には東海村で最終会合が開かれる。住民の意思を反映した協定となるかが焦点となっている。 (山下葉月)

 「今の文言は人ごとのようだ。原電は責任を持たないとダメだ」。六市村のある首長が語気を強めた。原電が昨年十一月に示した協定案は「再稼働する際の事前了解は規定されていないが、事前協議で実質的に担保される」と曖昧な内容だった。
 六市村は「事前了解」の明確化を求め、まず「事前了解は規定されていない」の削除で原電と合意。「実質的に担保」も修正を求め、文言の細部にこだわり交渉。二十九日に示される協定案に、交渉関係者は「異論は出ないのではないか」と合意する方向だという。

 原子力規制委員会の新規制基準に適合した原発が再稼働する際、原発事故の不安から「周辺自治体の了解も必要」と各地で議論が起きている。再稼働に自治体が同意するかどうかは法的に必要なく、協定がそれを補っている面もある。電力会社が事前了解を得るのは立地自治体と県のみだが、三十キロ圏の自治体にも拡大すれば全国初となる。

 原電も事前了解の協定を結ぶのは県と東海村だけ。当初はこれに水戸市など五市を加えるよう求めたが、原電が難色。交渉リーダーの山田修・東海村長が「形にこだわらず実を取る」として別枠の協定となった。規制委の審査が終盤を迎え、六市村と原電は二十九日、「事前了解」を盛り込んで合意をしたい考えだ。

 昨年八月の茨城県知事選での共同通信の世論調査で、県民に再稼働の是非を聞くと、反対派が64・6%で、賛成派の28・7%を大きく上回った。水戸市議会も再稼働反対の意見書を可決する見通しだ。一方、政府は二〇三〇年の電源構成目標で、原発を一六年度の2%から、20~22%に引き上げる方針。ある首長は「電力会社が自分の首を絞めるような協定を結ぶだろうか」と疑念を抱く。

 二十九日にもまとまる協定内容は全国の注目を集める。東海第二原発の差し止め訴訟代理人の丸山幸司弁護士は「再稼働反対の住民の声が強ければ、首長は無視できない。協定により住民の声を代弁できる」と期待。成蹊大の武田真一郎教授(行政法)は「住民の意思を反映させるには拘束力を持つ契約にするべきだ。『六市村の合意がなくては再稼働できない』と明確な文言を盛り込めば誤解がない」と指摘した。

 <東海第二原発の30キロ圏> 14市町村あり、全国の原発30キロ圏で最多の約96万人が住んでいる。原電と協定締結に向け協議しているのは水戸、那珂、日立、ひたちなか、常陸太田の各市と東海村。圏内の自治体は法律で、事故時の住民の避難計画をつくることが義務付けられている半面、新規制基準に適合と判断された原発が再稼働する際、電力会社が事前了解を求めた「地元」は、立地する市町村と県に限られている。

原子力規制委 もんじゅの廃炉計画を認可

 高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の「廃止措置計画」が、原子力規制委から認可されました。
 機構は今年7月から燃料を取り出す予定ですが大気に触れると燃焼するという液体ナトリウムの抜き出しが順調に行くのか(それが考慮された装置になっているのか)が先ず注目されます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
原子力規制委、「もんじゅ」の廃炉計画を認可
読売新聞 2018年03月28日
 原子力規制委員会は28日、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の「廃止措置計画」について、核燃料の取り出しを行う2018~22年度の工程を認可した。
 これを受け、機構は今年7月から燃料を取り出す予定で、30年に及ぶ廃炉作業がスタートする。

 工程は4段階に分かれており、今回認可されたのは第1段階の部分。機構は、炉心と炉外にある燃料貯蔵槽の燃料計530体のうち、まず炉外の100体を年内に燃料プールへ移す。22年度までに全ての燃料をプールに運ぶ計画だ。国内で高速増殖炉の廃炉作業が行われるのは初めて。

 廃炉の費用は約3750億円で、施設の解体などを含む作業全体が終了するのは47年度の見通し。もんじゅは1兆円以上を投じながらも冷却材の液体ナトリウムが漏えいする事故(1995年)などのトラブルが相次ぎ、政府は2016年12月に廃炉を決めた。

29- 福島原発からはいまも1日約20億ベクレルが外洋へ

放射性物質の外洋流出続く
ロイター通信 2018年3月28日
 東電福島第1原発の汚染水問題で、放射性物質セシウム137が今も外洋(原発港湾外)に1日約20億ベクレル漏れているとする研究結果を福島大学環境放射能研究所の青山道夫教授が28日、大阪府吹田市で開かれた原子力学会で発表した。濃度は原発の南約8キロの福島県富岡町沿岸で海水1リットル当たり0・02ベクレル程度。漁業には影響がないとしている。

 13年の1日約300億ベクレルから大幅に減ったが、流出は依然続いており、青山氏は、海水中のセシウムとトリチウムの分析から「汚染水源は溶融した核燃料を冷却した水で、建屋から海につながる流出経路があると推定できる」とみている。共同通信

2018年3月28日水曜日

放射能 心配せず遊ぼう 福島の子らが保養キャンプへ 滋賀県高島市

 福島原発事故被災地の子供たちに、放射能の心配がない土地でのびのびと過ごしてもらう保養キャンプが滋賀県高島市マキノ町で始まりました。
 今回で16回目で、小学生を主体に中高生らも合わせて55人が24日に同市に入り、44日まで1112日で野外活動などのイベントを楽しみます
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
放射能、心配せず遊ぼう 福島の子ら保養キャンプ 高島 /滋賀
毎日新聞 2018年3月27日
 東日本大震災による福島第1原発事故被災地の子供たちに、放射能の心配がない土地でのびのびと過ごしてもらう保養キャンプが高島市マキノ町で始まった。大津市の藤本真生子さん(60)らボランティアの実行委が主宰する「びわこ☆1・2・3キャンプ」で、小学生を主体に中高生らも合わせて55人が24日に来訪。4月4日まで11泊12日で野外活動などのイベントを楽しむ
 震災翌年の2012年から春・夏休みなどに子供たちを受け入れており今回で16回目。福島、宮城県など東北だけでなく、東京都、神奈川県など首都圏からの参加も目立つ。

 宮城県大崎市から小4の次男を連れて初めて参加した木村昌子さん(50)は「福島市から転居したが、大崎市でも(通常より高い放射線量が測定される)ホットスポットが心配で、子供を公園などで自由に遊ばせられない」と話した。木村さんはキャンプスタッフとして子供たちの世話をする。

 26日は子供たちが手作りピザに挑戦。生地を延ばしてチーズなどをトッピングし、ドラム缶の窯で焼いた。昼に食べた小学生は「アツアツでおいしい。100点満点」などと喜んでいた。【塚原和俊】

東電 7年ぶりに広告再開 顧客流出抑制狙う

 東電は福島原発事故を受け、新聞テレビなどの広告宣伝自粛していましたが、電力自由化で顧客が流出しているため7年ぶりに広告を再開し27日付の首都圏の全国紙5紙の朝刊に全面広告を掲載しました。 
      (  柏崎・刈羽原発を有する新潟県では一足先に解禁しています)
 電力会社の潤沢な広告宣伝費はメディアにとって魅力であり、電力会社がメディアを間接的に支配するための武器でもあります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
東電、7年ぶりに広告再開 顧客流出抑制狙う
日経新聞 2018年3月27日
 東京電力ホールディングス傘下の小売事業者、東京電力エナジーパートナーは2011年以来7年ぶりに広告を再開した。27日付の首都圏の全国紙5紙の朝刊に全面広告を掲載した。東電は福島第1原子力発電所の事故を受け、新聞やテレビなどのマス媒体での広告宣伝は自粛していた。ただ電力自由化で顧客が流出しており、広告を通じて電気やガス販売などの知名度を向上させて顧客つなぎ留めを狙う。

 広告は「電気、ガス、それから、それから。」というメッセージを掲載。電気以外にもガス販売や住宅の見守りサービスをアピールした。東電は2016年の電力小売り自由化開始時にインターネットの広告は展開していたが、マス媒体での広告は自粛していた。

 18年1月には電車内の小型液晶を使った動画広告「トレインチャンネル」の活用も始めるなど販促に力を入れ始めている。東電は新電力に顧客が流出するなどで、16年度の販売電力量は10年度比で約17%減少している。

東海第2原発事故に備え 大洗町が千葉の6市町と協定

 茨城県大洗町は、東海第2原発の過酷事故時に避難を予定している千葉県の6市町27日、避難者受け入れに関する協定を締結しました。
 城里町栃木県の芳賀町など5町と28日に同様な協定を結ぶ予定です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
東海第2原発事故備え協定 茨城・大洗と千葉の6市町
岩手日報 2018年3月27日
 日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)で深刻な事故が起きた場合に備え、同県大洗町と千葉県の6市町は27日、避難者受け入れに関する協定を締結した。計画では、大洗町の全住民約1万7千人を避難させる。

 茨城県によると、大洗町や水戸市など、同県で東海第2原発から半径30キロ圏内の自治体は、福島、栃木、群馬、埼玉、千葉の5県の自治体と避難協定の締結を進めている。28日には茨城県城里町が、栃木県の芳賀町など5町と結ぶ。

 大洗町が協定を結んだのは、千葉県の銚子、旭、匝瑳、香取の4市と多古、東庄の2町。

28- 福島県内の放射線量 

 福島県内の空間放射線量が公表されました。
 正常値は0.05マイクロシーベルト/時(以下)と言われています。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
東日本大震災 県内の放射線量 /福島
毎日新聞 2018年3月27日
 ◆県内の放射線量(26日正午)◆
福島市(63キロ北西)    0.15
郡山市(58キロ西)     0.08
白河市(81キロ西南西)   0.07
会津若松市(98キロ西)   0.05
南会津町(115キロ西南西) 0.04
南相馬市(24キロ北)    0.07
いわき市(43キロ南南西)  0.06
     ※単位はマイクロシーベルト毎時。カッコ内は福島第1原発からの距離。

2018年3月27日火曜日

2030年度 原発20%維持 有識者会議が追認

エネルギー基本計画」の見直しに向けて有識者会議で、2030年度の電源構成について、原発20~22%維持する案を概ね了承しました。
 これは原案を追認する内容ですが、それは30年度時点で少なくとも原発30基が稼働する必要があるというもので、まさに原子力ムラの希望に沿ったものです。
 経産省が組織する有識者会議では、基本計画が現在の世界の趨勢に沿うものに改められることは到底期待できないことを認識させられます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
電源構成 2030年度、原発20%維持 エネルギー計画素案
毎日新聞 2018年3月27日
 経済産業省は26日、国のエネルギー政策の基本方針を定める「エネルギー基本計画」の見直しに向けて議論を行う有識者会議を開き、2030年度の電源構成(エネルギーミックス)の目標について原発20~22%など現状を維持する案をおおむね了承した。また、新増設・建て替え(リプレース)については含みを残した。

 30年度の電源構成について、他に再生可能エネルギー22~24%、液化天然ガス(LNG)27%などとする目標を堅持する方向でおおむね了承した。また、原発について「依存度低減」「重要電源」を併記し、大きな位置づけの変更は行わなかった。再生エネについて「主力電源」と明記した。
 原子力政策では、原発の今後の人材・技術維持のために「生きた現場の連続的な確保による『現場力』の維持・強化」との文言を盛り込み、今後の新増設・建て替えについて含みを持たせた。
 基本計画の見直しについては、今回取りまとめた30年の案に加え、50年のエネルギー政策についても今後、議論して反映し、今夏の閣議決定を目指している。【片平知宏】

伊方原発2号機廃炉へ

 四国電力は伊方原発2号機(愛媛県)を廃炉にする方針を固めました。
 国が原則40年と定める原発の運転期間まで4年しかなく、最長60年まで延長ても延長に要する安全対策費を賄って利益を上げるのは無理であると判断した模様です
 2号機の発電容量が約57万キロと小さく利益幅が小さいのが影響していると思われます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
四国電、伊方原発2号機廃炉へ
日経新聞 2018年3月26日
 四国電力は26日、伊方原子力発電所2号機(愛媛県)を廃炉にする方針を固めた。国が原則40年と定める原発の運転期間まで4年しかなく、原子力規制委員会による最長60年までの延長認可を得ても、東日本大震災後に導入された厳しい新規制基準を満たすには安全対策工事費の膨張が見込まれる。同社は採算が合わないと判断したもようだ。

 四国の原発は伊方1~3号機のみ。1号機は廃炉作業中で、3号機は2016年8月に再稼働した。2号機は判断を保留し、電力需要の見通し、稼働時の運転期間、安全対策コストなどを慎重に検討。温暖化対策の観点からも活用方法を探っていた。

 しかし、2号機は出力が56万6千キロワットと小さく、月35億円程度の収支改善に寄与する3号機(89万キロワット)ほどの効果は期待できない。11年3月の東日本大震災後、想定される最大の揺れである基準地震動が570ガルから650ガルに引き上げられており、電源確保の対策などコスト膨張は確実。稼働によってそれを上回る収益シナリオは描けなかったとみられる。

 3号機は定期検査中だった17年12月、広島高裁が運転差し止めを命じる仮処分を出したため、現在は停止が続いている。