2023年7月31日月曜日

川内原発「運転延長」へ地ならし着々 反対派は県民投票求める

 九電川内原発の40年超運転延長のための地元同意形成に向け、鹿児島県が“地ならし”を進めています。運転延長の可否は原子力規制委が審査中ですが、県の設置した専門委員会分科会は、九電が実施した特別点検を「適正」と発表しました。

 審議の過程では九電が行った特別点検は調査すべき全対象を網羅していない」とい厳しい意見も目立ちましたが、結局は多数決で「適正」であると押し切られました。要するに「60年間運転しても安全」の具体的根拠が示されないまま、「適正」という結論だけが先行したのでした。
 塩田康一知事は28九電を訪れ、川内原発の運転延長に関して安全性の確保のために厳正に対応するよう要請したものの、知事選で公約した延長の賛否を問う県民投票見送りました。
 一方市民団体の署名活動は6月1日に始まり、1カ月で約1万7千人分を集めました。7月末までに有効署名が約2万7千人分を超えれば、延長の可否について県民投票を行う条例案が提出されます
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川内原発「延長」へ地ならし着々 地元同意目指す鹿児島県 反対派は県民投票求める
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 九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の運転延長のための地元同意形成に向け、同県が“地ならし”を進めている。延長の可否は国の原子力規制委員会が審査中だが、県の設置した専門委員会分科会は、九電が延長を見据えて実施した特別点検を「適正」と発表。塩田康一知事は知事選で「必要に応じて実施する」と公約した延長の賛否を問う県民投票も見送った。一方、市民団体は県民投票の条例制定を求める署名集めに取り組んでおり、知事の思惑通りに県民の理解が得られるかは不透明だ。

「疲労による割れなどが問題になる可能性は低い」「劣化や腐食がないことを継続的に確認すること」…。6月14日夜、薩摩川内市で県が開いた運転延長の安全性に関する住民説明会。分科会の座長らは「一定の安全性を確認した」とする検証結果や、それを踏まえた九電への注文内容を報告した。「検証した割に当たり前の内容ばかり。『安全』を強調しすぎてはいないか」。傍聴した70代男性は疑問を口にした
 川内原発1、2号機は2024~25年、福島第1原発事故後に運転期限として設定された40年の節目を迎える。以降も運転するには、規制委の審査をクリアしなければならない。九電は昨年10月に審査を申請した。規制委は今秋にも結論を出すとみられている。

 県の専門委は前知事が設置。塩田知事は運転延長にテーマを絞った分科会を置き、専門家らが昨年1月から12回議論し、九電から特別点検の内容や、経年劣化の評価について聞き取りを重ねた。塩田知事は原発に批判的な識者も委員に選び、会合では「特別点検は調査すべき全対象を網羅していない」といった九電への厳しい意見も目立った。
 だが、分科会は4月、特別点検を「適正」とする報告書をまとめ、「議論は不十分」とする一部委員の意見を押し切る形で検証を打ち切った。これを受け、塩田知事は県民投票を実施しない意向を表明。延長を事実上、容認したとの受け止めが広がった。
 塩田知事はさらに、規制委と九電に出す要請書に反映させる意見を県民から募集。99件が集まり、規制委の事務局になっている原子力規制庁の片山啓長官に26日、手渡した。「数えてはいないが、不安の声が多かった」。21日の記者会見でそう明かしていた塩田知事は、片山氏に「厳格な審査を行い、県民への分かりやすい説明に努めてほしい」と要請。終了後の取材に「要請をしっかりと受け止めていただいた」と語ったが、県民の声を伝える“セレモニー”を踏むことで、市や議会の同意を円滑に取り付けたい意図が透けた。28日には九州電力の池辺和弘社長にも要請書を渡す。
 市民団体の署名活動は6月1日に始まり、1カ月で約1万7千人分を集めた。7月末までに有効署名が約2万7千人分を超えれば、県議会に条例案が提出される。市民団体の向原祥隆事務局長(66)は「延長を懸念する県民は多いと実感している。知事は県民の立場に立ってほしい」と訴えた。(内田完爾、高田佳典)

中国が日本の新鮮水産物を事実上禁輸に 「相当な損失。つぶれる会社も」

 日本政府はアルプス処理水を必要量の海水で希釈すれば「安全無害」だと主張し、この夏にも海洋放出を実行しようとしています。それを受けて中国政府は先般、魚類の放射線量チェックサンプル検査から全数検査に変更しました。これによって鮮魚類は通関時には腐ってしまうため、各社共2000万~3000万円/月売上高がある関西水産物輸出業者の損失は相当額に上ります。

 全数検査を行うかどうかは各国が決めることなので、それを違法だと非難することは出来ません。それは丁度 日本が海洋放出を決める権利は自国にあると振る舞っていることと裏返しの関係にあります。政府は関連する漁協を含め十分な補償をすべきです。
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【深刻な影響】
中国が日本の水産物を“禁輸” 「相当な損失。つぶれる会社も」 福島原発処理水放出への対抗措置か 
                    FNNプライムオンライン 2023/07/31
日本からの水産物について、中国が放射線量チェックの方法を突然変更したことで、日本の漁業に深刻な影響が広がっている。

【画像】上海の日系スーパーの鮮魚売り場。日本産の魚はほとんど見られない
外国人観光客が、日本の新鮮な魚をおいしそうにほおばっている。
中国国内でも人気の和食だが、いま 、ある異変が起きている。
北京の日本料理店・従業員女性日本の鮮魚は、もうありません。今は中国産のものに置き換わっています
さらに、上海のスーパーでも…。
リポートこちら、日系スーパーの鮮魚売り場ですが、日本産のものは、ほとんど見ることができません

原因は、日本からの水産物の放射線量チェックの方法を、中国が突然変えたこと。
抜き取りから、全てのチェックに変更した。
税関を通るころには、新鮮な魚も腐ってしまうことに…。
福島第一原発の処理水を、海へ流す計画への対抗措置とみられている。

潰れてしまう会社も出てくる可能性
損失は、どれぐらいなのだろうか。
関西の輸出関連業者月にして、各社2000万~3000万円の輸出額があるので、(損失は)相当になると思う。つぶれてしまう会社も出てくるかもしれない
日本の鮮魚の最大の取引先である中国。深刻な影響が広がっている。
           (「イット!」 7月28日放送より)

アルプス処理水の海洋放出 政府が従来の説明を繰り返しても業者の「反対」は変わらない

 トリチウムを含んだアルプス処理水の海洋放出計画を巡り、西村康稔経産相は30日、福島県相馬、いわき両市で相馬双葉漁協、いわき市漁協の幹部らと相次いで面談しました。各漁協と面談するのはIAEAの包括報告書の公表後初めてです

 相馬双葉漁協の今野智光組合長は「810人の組合員、家族、仲買業者の不安を払拭できる対策を、責任を持って講じてほしい」と要望し、「国の説明は現状維持で、大臣が来たからといって理解は進まない」と指摘しました。
 いわき市漁協の江川章組合長は直近の水揚げ実績が原発事故発生前の水準を下回っている」として「完全な復興には至っていない」「海洋放出に反対の立場はいささかもゆるがない」と強調しました。
 政府が同じ話を繰り返しても、漁業者側が納得出来ないというのは当然のことです。
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処理水の海洋放出「反対」強調 福島県の相馬双葉、いわき市魚協 経産相は従来の説明繰り返す
                            福島民報 2023/07/31
 東京電力福島第1原発の放射性物質トリチウムを含んだ処理水の海洋放出計画を巡り、西村康稔経済産業相は30日、福島県相馬、いわき両市で相馬双葉漁協、いわき市漁協の幹部らと相次いで面談した。両漁協の代表者は放出への反対姿勢を改めて強調した。西村氏は国際原子力機関(IAEA)による処理水の安全性に関する包括報告書の内容などを説明した上で「皆さんが安心して漁業を継続できるように取り組む」などとして理解を求めた。ただ、意見交換では、これまでの説明を繰り返すにとどまった。

 西村氏が各漁協と面談するのはIAEAの包括報告書の公表後、初めて。経済産業省は、海洋放出への理解醸成に向けた説明の一環としている。
 相馬双葉漁協の今野智光組合長は「810人の組合員、家族、仲買業者の不安を払拭できる対策を、責任を持って講じてほしい」と要望した。面談後には「(国の説明は)現状維持で、大臣が来たからといって理解は進まない」と指摘した。
 いわき市漁協の江川章組合長は直近の水揚げ実績が原発事故発生前の水準を下回っている状況を説明し「完全な復興には至っていない」と訴えた。「海洋放出に反対の立場はいささかもゆるがない」と強調した。面談後、いわき市漁協の出席者は「国が配布した資料はこれまでと全て一緒だった」と明かした。

 政府と東電は2015(平成27)年、県漁連に「関係者の理解なしには(処理水の)いかなる処分もしない」と約束している。西村氏は面談後、報道陣の取材に約束を順守する考えを改めて示し、「私が責任を持つ」と述べた。

31- 記事は夕刻更新します

 日中外出しますので本日の記事の更新は夕刻になります。 

2023年7月29日土曜日

原発再稼働の事故対策費を消費者が負担? 経産省、新制度で公的支援を検討 

 経産省は26日、脱炭素に効果がある発電所の新設を支援するため来年導入する支援策の対象に、再稼働を目指す既存原発を加える検討を始めると同日の有識者会議「原子力小委員会」で説明しました。

 現在は事故対策費は個別の電力会社が負担していますが、同案が通れば電気料金を通じて全国の消費者から集めることになります。再生可能エネルギー由来の新電力と契約している消費者も、この再稼働費用を負担することになります。余りにも赤裸々な電力会社の救済策です。
 有識者会議は、委員構成時に賛成者が多数になるように集めるので経産省の提案を否決することはあり得ません。岸田政権によるやりたい放題の原発推進策です。
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原発再稼働の事故対策費を消費者が負担? 経産省、新制度で公的支援を検討 有識者会議で報告
                         東京新聞 2023年7月26日

 経済産業省は26日、脱炭素に効果のある発電所の新設を支援するため来年導入する制度の対象に、再稼働を目指す既存原発を加える検討を始めると明らかにした。同日の有識者会議「原子力小委員会」で説明した。
 現在は個別の電力会社が負担している事故対策費を、電気料金を通じて全国の消費者から集めることになり、再生可能エネルギー由来の新電力と契約している消費者も再稼働費用を負担することになる。原発を運営する電力会社の救済策となる手法には、会議の出席者の一部からは批判の声が上がった。
 経産省が来年1月導入する新制度は「長期脱炭素電源オークション」。新電力も含めた電力小売会社から拠出金として集めた資金を発電会社に分配し、運転開始から20年間、一定額を毎年得られるようにする。
 新制度は、再生可能エネルギーの発電所新設や、火力発電所での二酸化炭素の排出を減らす改修などが対象。既存原発の事故対策費も含めることは、国は昨夏以降のエネルギー政策見直しの議論で説明していなかった。
 この日の会議で、経産省の担当者は「投資回収の予見可能性を確保する観点から(制度の)対象とすることを検討したい」と説明。今後、別の有識者会議で詳細を検討するとした。
 委員からは肯定的な意見が多かったが、NPO法人原子力資料情報室の松久保肇事務局長は「事故対策は電力会社の責任で投資するべきだ。消費者に負担させるべきではない」と指摘。支援制度が脱炭素電源を新たに増やす目的であることから「既存原発を対象に加えることは制度にそぐわない」と批判した。
 原発の再稼働に向けた事故対策費は、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)で少なくとも1兆1690億円が見込まれ、他社も数千億円規模を投じている。 (小野沢健太)

長期脱炭素電源オークション
 脱炭素に効果のある発電所への新規投資を対象とした入札制度。国が支援する発電所を入札で決め、全国の電力小売会社から集めた資金を発電会社に分配する。原発の落札価格の上限は年間1キロワット当たり10万円で、100万キロワットの原発を設ける場合は、年間最大1000億円の費用が回収できる計算になる。

福島第1原発「処理水放出」 政治家も官僚も東電も命懸けで責任を取るべきではないか(日刊ゲンダイ) 

「永田町の裏を読む」のコーナーで高野孟氏が、22日の記事に対して数人の読者からの質問に答える形で掲題の記事を出しました。
  元記事
 ⇒(7月22日)政府も国民も福島原発「処理水放出」問題をあまりに他人事と捉えていないか

 若干補足すると、ベータ崩壊するトリチウムの放射能レベルは低いのでそれによる被害はゼロに近いと言えますが、海中の生物に取り込まれたトリチウムが人間に摂取されると、まずDNAに取り込まれやがてDNAが破壊される危険性があります。
 またALPSによる放射性物質能の除去は吸着作用を利用しているのでその除去率は決して高くなく、トリチウム以外でも12種類については殆ど除去されないと見られています。
 関連記事 
 ⇒(7月 8日) 海水浴に行かず近海魚介食べない(植草一秀氏)
 ⇒(7月17日)中国は海洋放出に猛反発! 「処理水」と「汚染水」認識のズレはどこに?

 いずれにしても高野氏が、日本は当初から海洋放出を決めてそれ以外の検討は全くして来なかったことが今日の事態を引き起こしていると指摘している点は極めて重要です。これについては原子力規制委に主要な責任があります。
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永田町の裏を読む 高野孟
福島第1原発「処理水放出」 政治家も官僚も東電も命懸けで責任を取るべきではないか 
                      高野孟 日刊ゲンダイ 2023/07/26
                       (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 先週の本欄で、福島第1原発のトリチウム汚染水を漁民の納得を得ずして海に放出するなど「人間のすることではない」と述べたところ、筆者の知人を含む数人の読者からメールがあり、「トリチウムは国・東電側が言うほど安全無害なのか」「本当に海洋放出以外の選択肢はないのか」などの問いが寄せられた。
 トリチウムは、それだけ純粋に取り出せば理論的には確かに無害なのだが、現実の環境下では例えば海に放出された分が海洋生物の生態系を通じて蓄積され体内被曝を起こすことなど絶対にないとは誰も言い切れないのではないか。しかも、ALPS(多核種除去装置)で63種の放射性物質のうちトリチウム以外の62種はすべて取り除かれることになっているが、それも理論的にはそうだというだけで、2018年8月の共同通信記事が明らかにしたように、実際には炭素14、ヨウ素129、ルテニウム106などが除去できていなかったりする。こういうふうだから、東電の言うことなど誰も信用しないのである。

 海洋放出以外の方法は、実はいくらでもある。トリチウムを除去する技術があり米国では実用化されているらしいが、日本でも近畿大学原子力研究所と大阪の東洋アルミなどのチームによる多孔質フィルター装置をはじめいくつもの実験がある。しかし東電は、ああまでして「トリチウムは安全」と言い張っているのに今更それを除去する装置に投資をするわけにはいかないので、選択肢から外している。
 福島の地元や市民団体の多数意見は「陸上保管」で、これは今のタンク地帯の外側や福島第2の敷地内外などに敷地を確保して、1基10万立方メートル程度の巨大タンクを多数建設して汚染水を100年とかの超長期保管するか、あるいはモルタルで固化して地下処分するなどで、これなら二度と漁民らを脅かすことはないし、近隣諸国の懸念を払拭することもできる。
 それでもどうしても海洋放出したいのなら、首相官邸と経産省と東電本社ビルの上水道に活用して、余った分は東京湾に放出したらどうか。まあ、それは冗談だが、政治家も官僚も経営者も、口先ばかりでなく、自分たちのなすことに体を張って命懸けで責任を取らなければいけないのではないか。

高野孟 ジャーナリスト
1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。

原発事故は国の責任 被害者連帯し共同署名開始(しんぶん赤旗)

 原発被害者訴訟原告団全国連絡会は28日、「20226・17最高裁判決を正すつどい 原発事故は国の責任です!署名スタートアップ集会」を国会内で開き最高裁など裁判所宛ての「原発事故は国の責任です」共同署名を開始すると発表しました。集会にはオンラインを含め100人が参加しました。
 20226・17最高裁判決は、避難した住民らが国に損害賠償を求めた4件の集団訴訟で最高裁が同日出したもので国が津波対策を東電にらせたとしても事故は防げなかったとして、国の責任を認めなかった」判決のことです。同判決は国の「無責」を主張するのに急で、高裁までの過程で明らかにされた重大な事項について判断を避けた(無視した)不当なものでした。
 この最高裁判決を覆すことはもうできないので、後続する裁判事案において正しい判決を得ることに努めるという意味です。
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原発事故は国の責任 被害者連帯し共同署名開始
                       しんぶん赤旗 2023年7月29日
 原発被害者訴訟原告団全国連絡会は28日、「2022・6・17最高裁判決を正すつどい 原発事故は国の責任です!署名スタートアップ集会」を国会内で開きました。最高裁など裁判所宛ての「原発事故は国の責任です」共同署名を開始すると発表。オンラインを含め100人が参加し、全国でたたかう原発被害者や弁護士、支援者らが連帯の思いを語り合いました。
 東京電力福島第1原発事故で避難した住民らが国に損害賠償を求めた4件の集団訴訟で最高裁は2022年6月17日、国が津波対策を東電にとらせたとしても事故は防げなかったとして、国の責任を認めませんでした

 神奈川訴訟の村田弘原告団長は、原発被害に関わるさまざまな訴訟や団体と「手を結んで、政治状況を変えていくたしかな一歩にしたい」とあいさつしました。
 すでに仙台高裁が終わり最高裁へ上告している、いわき市民訴訟の伊東達也原告団長は、署名で国民の怒り、疑問の声を最高裁へ届け「国民の声で最高裁を包囲したい」と力を込めました。
 原発被害弁護団全国連絡会の米倉勉弁護士は、最高裁判決が国が行使すべき安全規制の在り方など「大事な論点について判断しなかった」と批判。「後続の裁判を通して、間違った判決を必ず正す」と決意を語りました。
 中学1年で避難した九州訴訟の金本暁原告団長はオンラインで発言。世論を巻き込んでいく必要があるとし、「事故当時子どもだった避難者もたくさんいる。そういう人たちともつながりながら活動を進めたい」と語りました。
 東京地評の阿久津光事務局長は、被害の実相を学ぶため被害者を招いた学習会や現地訪問などを行っていると報告。「今でも被害が続いていることをしっかり伝える必要がある」と話しました。
 元裁判官やジャーナリスト、俳優など多彩な人々が連帯とエールを送りました。

 日本共産党の吉良よし子参院議員が出席し、あいさつしました。笠井亮衆院議員、岩渕友参院議員がメッセージを寄せました。 

29- 12年の苦しさを5分にこめた福島原発区域外避難者(レイバーネット日本)

 国・東電の責任を問う福島原発被害東京訴訟控訴審は7月27日に結審しました。判決は12月26日に出されます。提訴後実に10年になります。.
 最終日の公判は16時に開廷されました。原告2人の弁論時間は1人10分という短さに限定されていましたが、直前になって更に5分に短縮されたということです。
 原告2人はそうした制約の中で堂々と発言して傍聴席から拍手が起こりました。それを裁判長は本気で制止しようとはしなかったということです
 レイバーネット日本の堀切さとみさんが感動的な報告をしました。
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12年の苦しさを5分にこめた福島原発区域外避難者
                       レイバーネット日本 2023-07-28
堀切さとみ
    ⇒ 動画(報告集会 3分)
 福島原発被害東京訴訟の控訴審が、ついに結審を迎えた。6月20日に結審の予定だったが、一か月後の7月27日に延期されたのだ。二度目の結審にも関わらず、16時の開廷を前に、東京高裁前には全国から大勢の人たちが駆け付けた。
 東京地裁に提訴して10年。いわき市から東京で避難生活を続ける鴨下祐也原告団長は「放射能による被害はないかのように言われる中で、多くの人が私たちの訴えを広げてくれた」と挨拶した。

鴨下裕也さん
 誰もが苦しんだ原発事故。しかし国が出す避難指示は限定的なもので、避難区域の内と外に住む人たちに分断をもたらした。大阪に避難し、関西訴訟を闘う森松明希子さんは「区域内も区域外も、原発事故による避難を余儀なくされたのは同じだ。どちらも国内避難民として人権を保障され、賠償されなくてはいけない」と訴えた。
 傍聴券の抽選には長い列ができ、98の傍聴席は埋め尽くされた。審議が足りないということで、結審はこの日に持ち越されたというが、被告代理人の言葉は短く、何を言っているのか聞き取れない。
 それに対して原告二人の弁論は、堂々とした素晴らしいものだった。傍聴席からの拍手を裁判長は本気で制止しようとはしていなかった

 長い長い裁判の最後に証言台に立ったのは、鴨下美和さん(原告1-2)で、次のように語った。



いわきにある我が家の床は、どんなに拭いても放射線量は下がりませんでした。昨年、ついに手放すことを決めたけれど、帰りたい思いは消えたわけではないのです」
「夫とは大学の研究室で出会い、放射性物質の危険性や管理の厳しさは身をもって知っていました。事故前に法令で定められていた4000倍の空間線量になっても、いわき市は「区域外」とされています
「区域外であるがゆえに、避難先では罵声を浴びせられ、ニセ避難者といわれて、もらってもいない賠償金のことで責められました
 誤解や差別は子どもたちの社会をも歪めました。先月この場で長男が涙を流して意見陳述したように、今も心の傷は生傷のまま癒えることがありません
「福島に残った友人たちも不安を抱えています。子どもが病気になったことを福島県内では言えず、避難している自分に打ち明けてくる。そんな友人の声を聞くたびに「こっちにおいでよ」と言いたくなるけれど、避難生活は苦しすぎて、言葉をのみこんでしまうのです。
 被ばくの危険がなくて安全だと思うなら、私は迷わず帰りたい。区域外避難者は『ないものを恐れ感情的に避難した人だ』という忌まわしい誤解を取り去り、私たちがもう一度、ふつうに安心して暮らせるよう、助けてください」

 美和さんは心をこめて弁論を終え、裁判官に深く頭を下げた。彼女をみつめる三人の裁判官の人間らしい表情を、私は忘れることはないだろう
 傍聴席にはラフな格好の若者の姿が目立った。避難者なのだろうか?  四人で来たという男子に声をかけると、大学の宿題ではじめて傍聴に来たのだという。「メディアはほとんど取り上げることがないけれど、まだ原発事故は続いているんだと思った」「原告の訴えが心に響いた」「裁判ってこんなに短い時間なのかと驚いた」と感想を話してくれた。
 東日本大震災の頃は6歳だったという彼らに、この裁判が伝えるものは大きいと思う。
 報告集会で美和さんは、当初10分の予定だった弁論を、直前になって半分に縮められてしまったことを明かした。ショックだったけれど「確実に5分は話せるんだ」と頭を切り替えたという。避難者、被害者は、復興の名のもとに言葉を押しつぶされてきた。そこで「もういいや」と諦めたら、なかったことにされてしまう。

 五分には納められなかったが、どうしても裁判長に聞いてもらいたかったことですと、美和さんは次のことを語った。それは、東京訴訟の旗に描かれた「ひまわりを持つ女の子」に託した思いだった。
 判決は12月26日に決った。それまでに私たちにもできることがある。郵送かFAXで、裁判長に向けて私たち一人一人の思いを届けることだ。多くの人に、声を寄せてほしいと思う。

2023年7月26日水曜日

日本の鮮魚事実上“輸入禁止”に アルプス処理水放出に中国が「対抗措置」 

 日本の鮮魚料理は中国からの観光客から、「中国のとは食材も料理法も違ってとてもいいです。食感も全然違います」、「日本は海に囲まれているので味が新鮮ですし、料理もすばらしい」と絶賛されています。中国国内での日本鮮魚料理店も同様に人気の的になっています。
 ところが7月7日以降、中国での通関時のチェックがそれまで「サンプルチェック」だったものが全数検査に変わったため、それまでは1日で税関を通っていたものが1週間ほどかかるようになって、通関時には殆ど腐っているということです。
 鮮魚に関しては事実上「輸入禁止」になりました。去年の輸出額は871億円でしたが、…  関西テレビが報じました。
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「日本の鮮魚はもうありません」…原発処理水の放出に中国が「対抗措置」 事実上の“輸入禁止”に
                            関西テレビ 2023/7/25
福島第一原発の処理水の放出をめぐり、中国が、日本の水産物の輸入を事実上ストップする動きに出ています。実際に輸出が滞り、関西の企業にも影響が出始めていることが分かりました。

大阪の台所、黒門市場で外国人観光客が食べて、食べて、食べて絶賛している日本の鮮魚!
【台湾からの観光客】「新鮮で甘い」「脂がのってる」「口の中でとろけた!」
中国からの旅行客は、日本のマグロやサーモンの寿司を食べています。
【中国からの観光客】「中国のとは食材も料理法も違ってとてもいいです。食感も全然違います」
【中国からの観光客】「日本は海に囲まれているので味が新鮮ですし、料理もすばらしいです」
日本の鮮魚目当てで旅行に来る人も少なくありません。

中国国内でも和食の料理店がとても人気です。しかし…
【北京の日本料理店 従業員】「日本の鮮魚はもうありません。今は中国産のものに置き換わっています」
実は今、日本の水産物が中国に実質、輸出できない事態に陥っているのです。
被害の規模は200~500万、多いところで1000万単位は「円」と推定 以下同
関西の輸出関連業者は突然の状況に驚きを隠せません。
【輸出関係業者】7月になってからは通関が下りない。(きょうも)まだ下りていないですよ、もう腐ってますよ」

--Q:被害の規模は?
「例えば、一回の輸出で200~500万、多いところで1000万くらい」
7月20日、中国・上海のスーパーをのぞくと、日本の食材売り場で異変が起きていました。
【上海支局 沖本有二記者】「こちら日系のスーパーの鮮魚売り場なんですが、日本産のものはほとんど見ることができません」
ロシア産のエビが並んでいる
ここ2週間で日本の水産物の仕入れが激減し、鮮魚売り場に並ぶのは…
「ロシア産」のエビ、「カナダ産」のホッキ貝など。

一体何が起きているのでしょうか?
中国税関総所HPには、このような記述が現れました。
「食品、特に水産物は厳格に100%検査を行う」
これまで中国は日本の水産物を輸入する際、一部を抜き取って放射線量を調べる「サンプル検査」を行ってきましたが、7月7日、すべてを検査対象に切り替える考えを示したのです。
これにより、日本から鮮魚を仕入れている北京の日本料理店では、通常なら1日で税関を通っていたマグロやウニが、今回は1週間かかり、届いたときにはダメになっていたといいます。
【北京の日本料理店 従業員】店に着いた時にはとても刺身として使える状態ではありませんでした。味は酸っぱくなって臭くなり、ウニは溶けてしまっていました。損失額は200万元(4000万円)でした」

中国の動きは日本が予定している原発処理水の放出への「対抗措置」と見られます。
【中国外務省 報道官】「日本の排出計画に反対し、それに関連する措置を取るのには十分な理由があります」
日本はこの夏、福島第一原発の処理水を国の基準値以下に薄める形で海へ放出する方針です。
IAEA(国際原子力機関)は「国際的な安全基準に適合する」と結論づける報告書を公表し、EUも、「日本が安全性に関するデータを継続的に透明性のある形で公表した」として、日本製の食品の輸入規制を撤廃しました。
しかし今回、中国は逆に「放出前」にもかかわらず、“規制を強めた”のです。中国は日本の水産物の最大の輸出先で、去年の輸出額は871億円にのぼります。全量検査になったことで輸出が滞り、“事実上ストップ”している今、日本にはどのくらいの損失が出てくるのでしょうか?
【JETRO農林水産食品部 石田達也主幹】「中国側の会見以上の情報を持っておりませんので、実際のところは、よくわからないっていうのが正直ですね。統計の数字って、すぐに何かでてくるものではありませんので、多分、2~3カ月後ぐらいにはなってくると思うんですね。」
しかし、見通しが立たないことで企業には少なからず、影響が出ているようです。
関西の輸出関連業者が、取引先との関係を考慮し匿名を条件に取材に答えました。
【輸出関連業者】「月にしたら各社2000万~3000万の輸出額があるので相当になると思います。水産業界にかなりのインパクト、影響あるじゃないですか、そこをどうするかっていうのを早急にやってもらわないとつぶれてしまう会社も出てくるかもしれない。7月くらいに放出されるんじゃないかっていうのは言われていて、それまでに準備しないといけないねとか。しかし、まさか放出前から止まるとは思ってないので」

日本の水産物の締め出しともとれる中国の対応に、深刻な影響が広がっています。 

アルプス「処理水」放出で 市民が東電などと意見交換(福島)

 アルプス「処理水の海洋放出について、市民と東京電力などとの意見交換会が23日行われ、約30人の市民参加しました。

 参加者からは、関係者は「全世界の消費者が該当しなければならない」などの意見が出されましたが、東電は、「関係者については、人によって考え方や捉え方が異なるため、線引きは難しい」と説明しました。
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処理水放出 市民が東電などと意見交換(福島)
                          KFB福島放送 2023/7/24
処理水の海洋放出について、市民と東京電力などとの意見交換会が、23日行われ、参加者から様々な意見が出されました。

23日は、参加した約30人の市民が、原子力規制委員会と東京電力の担当者と意見を交わしました。
会議では「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」という、国と東京電力が交わした約束の「関係者」の解釈を巡り、参加者からは「全世界の消費者が該当しなければならない」、「反対の立場の私たちを入れていないのではないか」などの意見が出されました。
これに対し東京電力は、「関係者については、人によって考え方や捉え方が異なるため、線引きは難しい」と説明しました。