2015年7月31日金曜日

政府には原発攻撃から国民を守る気はない 山本太郎議員

 本記事は30日のブログ記事:「原発へのミサイル攻撃『想定ない』 規制委員長」の詳報に当たるものです。
 LITERAが、30日に行われた生活の党-山本太郎議員と安倍首相の質疑応答のポイントを、克明にレポートしているので紹介します。
 
 討論の過程で、弾道ミサイルで原発が攻撃された場合について、首相に代わって規制委の田中委員長が「川内原発1・2号機で何かが起こっても、放射線物質の放出量は「福島原発で放出された量の1000分の1以下」と想定していると答えています。
 被害の規模は検討していないという割には、何やら原発の事故は今後100万年に1回になるというのと同じ響きを持つ数字を出していますが、本当にそうなのでしょうか。
 戦術核ミサイルで原子炉本体や炉を冷却する設備がほぼ完全に破壊されても1000分の1以下に収まるというのであれば、福島原発のときに「もしも職員が退避すれば東日本が全て汚染される」といわれたあの事態は一体何だったというのでしょうか。
 
 田中氏の川内原発における「火山条項」の非適用についての説明や、楢葉町住民の帰還問題について、20ミリシーベルト以下の被曝は何の問題もなく、自主避難者にこれまで賠償金を払っていたのはおかしいなどという話を聞くと、とても信用の出来る人とは思えません。
 原発に対するミサイル攻撃が行われた場合の被害の規模は、日本の命運にもかかわることなのでキチンと根拠を示して説明して欲しいものです。
 
 なお、山本議員の質疑応答の動画は下記でご覧になれます。
       (動画URL 約11分)
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安倍首相が山本太郎に安保法制のインチキを暴かれた! 
政府はやっぱり国民の生命を守る気なんてなかった!
LITERA 2015年7月30日
 安保法制の審議が参議院に移るなり、安倍首相が中国を名指しした上、「場合によっては日本が先制攻撃することになる」などと言い出した。追い詰められた結果、本音を隠さなくなってきた安倍首相だが、昨日の国会では意外な人物の追及で、安倍首相と安保法制のデタラメが暴露されることになった。意外な人物とは、あの「生活の党と山本太郎となかまたち」の山本太郎議員のことだ。
 
 山本がこの日、追及したのは、「原発にミサイルを撃ち込まれたらどうする?」というものだ。いくつかの前提確認の後、山本は、今年1月に提出した質問主意書と同じく「政府自身は九州電力株式会社川内原発発電所に対する他国等からの弾道ミサイルによる武力攻撃を想定していますか?」と質問する。
 すると、安倍首相から返ってきたのは案の定、「弾道ミサイルの脅威に対応するため各種のシミュレーションや訓練を行っている」としながら、「他国等からの弾道ミサイル攻撃に関する想定については、政府として特定の施設についてお答えすることは差し控える」という典型的なゴマカシ答弁だった。
 
 そこで、山本議員は「総理、さまざまな事態を想定し、各種シミュレーションを行っているそうでございますが、川内原発の稼働中の原子炉が弾道ミサイル等攻撃の直撃を受けた場合、最大でどの程度、放射性物質の放出を想定していらっしゃいますか?」と切り返す。
 しかし、この質問に答えたのは、名指しされた安倍首相ではなく、原子力規制委員会の田中俊一委員長。しかも、田中委員長は「弾道ミサイルが直撃した場合の対策は求めておりません」と回答したうえ、川内原発1・2号機で何かが起こっても、放射線物質の放出量は「福島第一原発で放出された1000分の1以下」と想定していると答えたのだ。
 
 シミュレーションしているといいながら対策は講じず、何かあっても放出される放射性物質は、見積もって福島の1000分の1くらい……。このいい加減な回答に、山本のツッコミが炸裂する。
「要はシミュレーションしていないんだと、シミュレーションしないんだということをおっしゃったんですよね?」
 「みなさん、どう思いますか? 弾道ミサイルが着弾したとする。そのほかにいろんなミサイルが着弾したとして、原子力施設破壊されて、福島の東電原発の1000分の1の放出量で済むと思いますか?っていう話なんです。思えませんよね」
 
 そして、「仮定の質問であり、お答えすることを差し控えたい」といった安倍首相に対しても、山本議員は「仮定の話って言っているけれども、やっぱり仮定の話っていうと、これ、答えるの難しいものなんですかね?」と水を向ける。すると、安倍首相から返ってきたのはまたぞろゴマカシ答弁だった。
「武力攻撃事態はですね、その手段、規模の大小、攻撃パターンが異なることからですね、実際発生する事態もさまざまであり、一概にお答えすることは難しいということでございます」
 しかし、こんなもので引き下がる山本ではなかった。ゴマカシを重ねる安倍首相に、安保法制の姿勢との矛盾を突きつけたのだ。
「でも、考えてみてください。今回の(安保)法案の中身、仮定や想定をもとにされてませんか?“A国がB国に攻撃をしかけた”“友好国のB国から要請があり、新3要件を満たせば武力行使ができるのできないの”、これ、仮定ですよね? 仮定でしょ。仮定でよくわからないとごにょごにょ言うわりには、仮定で物事をつくっていこうとしてるんですよ」
 
 「都合のいいときだけ仮定や想定を連発しておいて、国防上、ターゲットになりえる核施設に関しての想定、仮定、できかねますって、これどんだけご都合主義ですか?って話だと思うんです。“我が国を取り巻く安全保障環境、著しく変化”してるんでしょ? 飛んでくるかもしれないんでしょ、ミサイル。“中国が!北朝鮮が!”。いろんな話されてるじゃないですか。“10分で到達します!”。え、で、飛んできたときは? 何もできてませんよ。困りますよね。本気で守る気、あるんですか? この国に生きる生命、財産、幸福追求権守るんだったら、いちばん脆弱な施設、しかも核施設を、どのように防御するかを考えなくてはいけないのに、その(人びとを)逃がす方法も、1000分の1、100分の1? その程度の放出量でしかないなんて、これ、なんなんですか? 意味がわからない
 
 さらに、山本は、もし弾道ミサイルが川内原発に撃ち込まれたとき「防災計画作成の必要性は最大で何キロメートル圏の自治体に及ぶと想定していますか?」と質問を出していたというが、これに対する回答がなかったと言う。もしもの場合、どの範囲で避難をするか、もちろん考えられていなければいけない問題だが、大庭誠司・内閣官房内閣審議官の回答は、「事態の推移に応じて避難の範囲を決定する」というもの。“起こってから考える”と言っているのだ。この答えに、山本の怒りは頂点に達する。
「要は一度、被曝していただくという話ですよ。実測値で計っていくしかないっていう話ですよ。こんないい加減な話あるかよ」
 
 北朝鮮や中国の脅威を叫ぶばかりで、もっとも標的になると思われる原発に関しては何の検討も行っていない。津波であれだけの被害を出したのだから、弾道ミサイルだったらどれほどの被害になるか、そんなことは小学生でもわかる。そればかりか、国民に何かがあっても被曝してから考えると政府は言っているのだ。
 ようするに、安倍首相は「国民の生命を守るため安保法制は必要」と言いながら、国民の生命のことなど何も考えていないのだ。集団的自衛権も実際は「日本人にも命をかけさせてアメリカと対等になりたい」、そして「中国をやっつけたい」という危険な欲望に突き動かされた結果にすぎない。
 
 今回、山本の質問と追及はその安倍の本質を見事に暴き出した。事実、山本のほとんどの質問に、安倍首相はまともに答えることが出来ず、肝心のところはすべて田中委員長や大庭審議官に押し付けた。
 
 ただ、こうした山本の主張をまともに取り上げ、安倍首相を追及しようというメディアはほとんどないだろう。これまで、山本がどんな本質的な問題を突きつけても、永田町にいる「政治の専門家」と称する連中はまともに相手にしようとせず、「どうせ山本太郎だから」と冷笑を浴びせかけてきた。
 実際、今回もNHK『ニュースウオッチ9』をはじめ、ほとんどのニュースはこの山本議員と安倍首相のやりとりを一切無視した。比較的、安保法制の報道に力を入れている『報道ステーション』(テレビ朝日系)や『NEWS23』(TBS系)でさえ、である。
 だが、メディアは山本のことをトンデモ扱いして無視する前に、もう一度、「国民の生命を守るため」と戦争法案をゴリ推ししながら、原発がミサイルの標的になるケースは一切考えていない首相のことを考えたほうがいい。トンデモなのは、明らかにこっちのほうなのである。 (水井多賀子)

2015年7月30日木曜日

原発へのミサイル攻撃「想定ない」 規制委員長

 29日の参院平和安全法制特別委員会で「生活の党」の山本太郎代表が、原発がミサイル攻撃を受けたり航空機が衝突した場合の被害の規模とその防御策を問うたのに対して、規制委の田中委員長は、そういう事態の被害の算定はしていないし防御策も施されていないと答えました。
 
 もしもミサイルなどが原発を直撃すれば、人類がこれまで経験したことのない放射能被害が発生することは明らかです。
 また現行の原発はそれに対する防御策を取っていないので、もしも戦争になれば当然格好の標的になります。
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ミサイル攻撃「想定ない」=原発被害で規制委員長
時事通信 2015年7月29日
 原子力規制委員会の田中俊一委員長は29日の参院平和安全法制特別委員会で、有事の際の原子力発電所の被害想定に関し「弾道ミサイルによって放射能が放出されるという事態は想定していない」と述べた。「生活の党と山本太郎となかまたち」の山本太郎代表の質問に答えた。
 田中氏は「航空機衝突を含めて原発が大規模に損壊した場合について(対策を)求めているが、弾道ミサイルが直撃するような事態は、そもそも原子力施設の設置者に対する規制で対処すべき性質のものではない」と説明した。

福島原発 1号機建屋カバー解体を始める

 東電は28日、福島原発1号機を覆う建屋カバーの本格的な解体作業を始めました。2016年度末ごろまでに解体を終えた後、20年度中の使用済み燃料取り出しに向け、フロアに散乱しているがれきなどの撤去に着手するということです驚くべきスローペースですが、最も汚染の度合いが低い1号機でもこれが限度なのでしょう。
 
 2号機と、特に3号機の燃料取り出しのスケジュールは当分立てられないのではないでしょうか。
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福島第1 1号機建屋カバー解体開始
河北新報 2015年7月29日
 東京電力は28日、水素爆発で壊れた福島第1原発1号機を覆う建屋カバーの本格的な解体作業を始めた。2016年度末ごろまでに解体を終えた後、20年度中の使用済み燃料取り出しに向け、フロアに散乱しているがれきなどの撤去に着手する。
 初日は6枚ある屋根パネルのうちの1枚を遠隔操作のクレーンで取り外した。放射性物質濃度を監視するダストモニターや原発敷地境界に設置してあるモニタリングポストの数値に変動はなかった。
 パネル撤去はことし5月に始める予定だったが、開口部に設置していたシートのずれが見つかり延期。その後の調査で、シートなしでも放射性物質の飛散は防げることが判明した。
 原子炉建屋のがれき撤去をめぐっては、3号機で13年8月、大型がれきの撤去に伴い敷地内の放射性物質濃度が上昇。南相馬市でコメが汚染した原因だと疑われるトラブルが起きた。
 1号機のカバー解体に先立ち、東電は薬剤の予防的散布やダストモニターの増設など、放射性物質の飛散抑制対策を強化した。

関電、再稼働手続き進める 運転差し止めの高浜原発

東京新聞 2015年7月28日
 関西電力が、福井地裁から運転差し止めの仮処分決定が出た高浜原発3、4号機(福井県)の再稼働前の最終手続きとなる使用前検査を全て受ける方向で検討していることが28日、分かった。
 
 2基をめぐっては、異議審で仮処分決定が覆らない限り運転できないが、再稼働に向けた手続きは進めることができる。再稼働に向けた動きを明確にしようとする関電に対し、仮処分の申立人からは「司法を軽視し、住民の安全よりも経済を最優先に考えている」と批判の声が上がっている (共同)

2015年7月29日水曜日

原発事故被害者団体「ひだんれん」が初の統一行動

 全町避難が続いている楢葉町は、政府によってこの9月5日に強引に避難指示が解除されようとしています。
 しかし解除されたら「すぐに戻る」と答えた人は高齢者を中心に住民の17%に過ぎません全町約7400人)。そういう状況ではとても(短時日のうちに)そこで生活ができる地域社会など形成できる筈もありません。
 それでも避難指示解除後も帰還しない人たちはその後は「自主避難者」という扱いになります。
 国は「帰還するかしないかは自由だ」と言いますが、実際には解除したあとは、若干の時間をおいた後に仮設住宅の無償提供住民への損害賠償それぞれ打ち切られます。
 
 放射線防護委員会(ICRP)は、緊急時を脱した後 年間1ミリシーベルトが達成できない場合、年間20ミリシーベルトから1ミリシーベルトのなるべく下方に「参考レベル」を設定するとしていますが、日本の規制委は「20ミリ以下なら国際的なお墨付きがある」という言い方をして、その「参考レベル」を決めようとしません。
 
 福島事故の2数年前に起きたチェルノブイリ事故では、事故の5年後に「参考レベル」を年間5ミリシーベルトに決めて、それ以上は強制移転をさせ、それ以下は「避難の権利ゾーン」にするという合理的な対応をとっています。
 つまり「避難する」かどうかを決めるのは住民であって、国には「戻れ」などという権利はありません。それを「自主避難者たちは勝手に避難したのだから国はなにもしなくて良い」などという規制委の田中委員長は大いに認識を欠いているというしかありません。
 
 5結成された「ひだんれん」原発事故被害者団体連絡会)が27日、最初の統一行動である福島県への要請行動灼熱の福島市内で行い、避難指示区域解除とそれにともなう国の一連の処置について、福島県知事に対し、その撤回と国への働きかけなどを要求しました。
 
 慶大の金子勝教授がツィッターで、この一連の処置を主導したのは資源エネ庁原子力損害対応総合調整官の森本英雄であると強く批判していますので、併せて紹介します。
 
   (関係記事)
     7月8日 避難指示9月解除の福島・楢葉町住民 国に不信 
     7月24日 「自主避難者の支援不要」は田中規制委員長がお墨付き
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東電原発事故の被災者2万人が団体を結成
8bit.news 2015年7月28日
 現在日本国内で、福島原発事故に対する責任追及や賠償の請求のため、裁判所やADR(紛争解決センター)に訴えを起こしている住民は、数万人と言われている。
 2015年5月、全国のそうした被害者団体が福島県内に集い、「原発事故被害者団体連絡会」(略称「ひだんれん」)を結成した。参加団体数は7月現在で18、参加者数は2万数千名にのぼる。
 
 7月27日、「ひだんれん」の最初の統一行動である福島県への要請行動が、灼熱の福島市内で行われた
 6月になって政府が打ち出した、①避難指示区域の解除、②損害賠償の打ち切り、③避難者への住宅支援の打ち切り、④「原発事故子ども・被災者支援法」の改定などについて、福島県知事に対し、その撤回と国への働きかけなどを要求した。
 
 本日はその第1弾として、同日午前中に開かれた「県民集会」の模様をお届けする。
 各参加団体からの発言に込められた、被害の当事者ならではの痛切な思いを、少しでも感じ取っていただければ幸いである。
 
    公式動画 「東電原発事故の被災者2万人が団体を結成」(約18分)
 
 
原子力村のゲッペルス森本
 金子勝 連続ツィッター 2015年7月24~26日
【原子力村のゲッペルス森本】 安保法案でのアベの独裁的姿勢は原子力村にも伝染。資源エネ庁原子力損害対応総合調整官の森本英雄が6月26日の現地説明会で、原子力災害の賠償認定基準について管轄外の資源エネ庁が前面に出て2年打ち切りに狂奔する。
 
【ゲッペルス森本2】 原子力損害賠償の審査については、国の法律で文科省所管の原子力損害賠償紛争審査会が担うとなっているのに、森本資源エネ庁調整官が、その答申を否定して自ら乗り出す越権行為を開始。東電救済・原発再稼働に走る原子力村の横暴。
 
【ゲッペルス森本3】 ちなみに、この森本調整官は、2011年の九州電力、佐賀の玄海原発ヒアリングの「やらせ」当時の原子力立地・核燃料サイクル課長で、訓告処分をうけた「原子力村ゲッペルス(広報官)」として有名な人物であることに注意!
 
【ゲッペルス森本4】 原賠審の中間答申も無視し、除染も避難解除も終わっていないのに賠償まで打ち切ろうとする原子力村の森本調整官の意を受けて、東電は浪江町民へのADR説明で、これまでの賠償には「未来の損害も含めている」とトンデモ発言を開始。
 
【ゲッペルス森本5】 資源エネ庁の森本英雄調整官が、越権行為で賠償打ち切りの先頭に立つ。原子力ムラ完全復活の象徴だ。4年を超える「強制避難」の浪江町幹部に対し、賠償審の権限を犯し、被害審査まがいを始め「ADR和解などもう遅い。」と恫喝
 
【ゲッペルス森本6】 この森本氏は事故当時の原発立地課長として安全神話を振りまき、佐賀県やらせヒアリングで処分を受けた。被災者に対して謝罪すべき責任者が開き直り、原賠審を飛び越え「解除と関係なく2年で賠償打ち切り」を強行する異常ぶり。
 
【ゲッペルス森本7】 森本氏は、原子力委員会が核燃料サイクル原案を秘密会議で評価書き換えした時も責任者だった。原発関連不祥事の中核的人物が、賠償打ち切りで住民に恫喝を行えるのは、安部独裁首相の官邸のサポートがあるからだろう。異常事態だ。
 
【ゲッペルス森本8】 資源エネ庁が賠償裁定に関与できるのは、当事者の合意のある時だけ。それが、被災住民の合意もなしに東電とともに、平成28年に賠償終了という越権裁定行為に出たのは、SM宮沢経産相の任命責任、安部独裁首相の政治責任です。 
 
【ゲッペルス森本9】 原発立地責任者だった資源エネ庁の森本英雄調整官が、賠償を28年打ち切らせようと、原賠審の中間答申を無視し、ADR和解勧告を断念させようとする恫喝を始めているが、法律違反の越権行為。独裁者はまた法の無視で人権侵害。
 
【ゲッペルス森本10】 全ての心ある人は意見の違いがあろうと、被害を受けている福島の商工業者や強制避難させられている人に賠償を断念させようと迫り、今までの賠償に「未来の補償額も含まれている」とする資源エネ庁の越権行為に反対してほしい。

山側凍土遮水壁 9月7日までに工事完了

 高木経産副大臣は、27日、福島原発 山側の凍土遮水壁工事は28日までに全ての凍結管1264本)の設置が終わり、冷媒(ブライン)を送る冷凍設備も9月7日までに完了させると語りました。
 
 ただ4月から行っている凍土壁の凍結試験では凍結にムラがあり、いまだに完全な凍土壁が作れずにいます。それがいつになれば完全凍結するのかも分からないので、いまのところ工事が完了しても凍土壁が直ちに完成するという状況ではありません。
 
 なお、28日、その凍結試験に使っている冷凍機30台のうちの3台が漏電事故を起して停止したということです。
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第一原発の山側凍土遮水壁 9月7日までに完了へ
福島民報 2015年7月28日
 東京電力福島第一原発の汚染水対策の柱となる凍土遮水壁をめぐり、政府は27日、山側の遮水壁の本格凍結の準備が9月7日までに完了する見通しになったと発表した。しかし、本格凍結を始めるには原子力規制委員会の認可が必要。さらに、前段の試験凍結の終了時期の見通しも立っておらず準備完了後すぐに本格凍結を開始できるかは不透明となっている。
 
 27日にいわき市で開かれた政府、東電による廃炉・汚染水対策現地調整会議で政府の原子力災害現地対策本部長の高木陽介経済産業副大臣が示した。同対策本部によると、山側の凍土遮水壁の凍結開始に向けて原子炉建屋周辺地下に設置する凍結管などは計1264本。28日までに全ての設置が終わるという。その後、冷却した冷媒(ブライン)を送る準備などを9月7日までに整える。 
 
 規制委は本格凍結の認可の前提として、建屋周辺の井戸「サブドレン」からくみ上げた地下水を浄化して海に放出する計画に関して、県や漁業者など地元関係者の理解を得ることなどを条件に挙げている。サブドレンは地下水位を調整する役割も担っている。 
 
 このほか、東電は福島第一原発の海側にある2、3号機トレンチ(電源ケーブルなどが通る地下道)で高濃度汚染水を抜き取る作業が7月中にも終了する見通しになったと明らかにした。
 
 
建屋側遮水壁の冷凍機停止 福島第1原発
東京新聞 2015年7月28日
 東京電力は28日、福島第1原発の汚染水対策として1~4号機の建屋周囲の地盤を冷凍する「凍土遮水壁」の冷凍機全30台のうち3台が停止したと発表した。同日午前8時半ごろ、構内の電源盤から地面への漏電を伝える警報が発生しており、東電が関連を調べている。
 
 東電によると、警報から約10分後、作業員が構内の電源ケーブルから白煙が出ているのを見つけた。白煙は消え、原子炉の冷却に問題はないという。
 東電は4月から凍土遮水壁で試験的に凍結を実施。トラブルで止まるのは今回が初めてという。広報担当者は「直ちに解凍することはない」としている。 (共同)

2015年7月28日火曜日

東電、1年余遅れでトレンチ汚染水除去にめど

 東電は27日、福島原発3号機の海側にあるトレンチ内汚染水の抜き取りが今月中にも終了する見通しになったと明らかにしました。2号機の海側トレンチ内をコンクリートで埋める作業も今月ほぼ完了しているので、トレンチ内の汚染源の除去にめどが立ったということです
 これは本来であれば昨年4月中には完了していなければならないものでした。それが1年3カ月遅れでようやく達成できたということです。こんな狭小な工事で、これほど遅延するというのは信じられないことです。
 
 そういえば凍結試験?を開始してから久しくなるのに、完全に凍結しない山側の凍土壁の問題は、その後どうなっているのでしょうか。
 汚染水問題を解決する「かなめ(要)」なのに何の説明もありません。
 
 そもそも凍土壁構想は識者により計画段階から確実性に疑問が呈されていました。
 規制委などがその技術的な詰めを行っている段階で、なぜか経産省とゼネコンと東電が共謀して『着工を既成事実化』するために、工事を開始したという経緯があります。工事費用も全額を国が負担しています(400億円弱?)
 「やってみたがダメだった」で済まされるような問題ではありません。
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東電、トレンチ汚染水除去にめど 今月中にも3号機終了
東京新聞 2015年7月27日
 東京電力は27日、福島第1原発3号機の海側にあるトレンチ(電源ケーブルなどが通る地下道)内にあった汚染水の抜き取りが今月中にも終了する見通しになったと明らかにした。既に汚染水抜き取りを終えた2号機の海側トレンチ内をコンクリートで埋める作業も今月ほぼ完了し、トレンチ内の汚染源の除去にめどが立った。
 
 福島県いわき市で開かれた廃炉・汚染水対策に関する現地調整会議で東電が報告した。3号機のトレンチ内をコンクリートで埋める作業を8月まで続け、建屋内から高濃度の汚染水がトレンチを通じて海へ流れるのを防ぐ。 (共同)

福島第1浄化地下水の放出容認へ 県漁連

 福島第1原発で1~4号機建屋周辺の井戸「サブドレン」から地下水をくみ上げ、浄化して海に流す計画について、相馬双葉漁業協同組合は27日、実施を容認する方針を決めました
 
 山側井戸の一部から最近高度に汚染された地下水が確認されましたが、その原因の解明も含めて地下水汚染の問題は何一つ解決されないまま年月だけが経過しています。
 今回の処置を行えば建屋内に流入する1日300トンの地下水を半減できるので、その分汚染水対策の負荷を軽減できるのは確かです。
 漁業協同組合はそう考えてそれに協力することを決断したものと思われます。
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浄化地下水、放出容認へ=県漁連、8月上旬にも-福島第1
時事通信 2015年7月27日
 東京電力福島第1原発で1~4号機建屋周辺の井戸「サブドレン」から地下水をくみ上げ、浄化して海に流す計画について、原発北部海域の相馬双葉漁業協同組合(相双漁協)は27日、福島県相馬市で理事会を開き、実施を容認する方針を決めた。南部海域のいわき市漁協も同様の方針を決めており、県漁業協同組合連合会(県漁連)は8月上旬にも臨時の組合長会議を開き、計画容認を決定する見通し。
 
 サブドレン計画は汚染水の増加を抑制するため、東電が準備を進めている。理事会後、相双漁協の佐藤弘行組合長は、報道陣に「福島の漁業復興にプラスになる。協力しないといけない」と述べた。漁協は今後、風評対策の実施などを盛り込んだ要望書をまとめ、計画容認の条件とする。
 
 計画では建屋を囲む井戸約40本から地下水をくみ上げ、放射性物質濃度を大幅に下げて海に流す。東電は、建屋内に流入する1日300トンの地下水を半減できるとみており、汚染水対策の柱の一つに位置付けている。

2015年7月27日月曜日

7月28日は例会です

 
 2日(火)は月の例会です

 
 下記により「原発をなくす湯沢の会」の月の例会を行います。
 どうぞお出でください。
  
 と き  月2日(火) 19:00~21:00 
 ところ  湯沢公民館 1階 研修室 (詳細は事務室前の表示板をご覧ください)
 
 学習会のテキストは、「脱原発社会へ-電力をグリーン化する」長谷川公一(岩波新書) で、今回は第1章の半です。
 
 会員外の方でも ご関心・ご興味がありましたら、どうぞお出でください。

川内原発 3県10市町会議の反対を無視して再稼動へ

 九電は8月4日に川内原発の再稼働準備運転を始め同10日ごろ原子炉を起動し、13日前後の発電・送電開始を目指しています。
 しかしながら昨年11月以降に限っても、鹿児島、熊本、宮崎の3県10市町の議会が「再稼働にあたって九電に公開の住民説明会を求める」決議や陳情を採択しているにもかかわらず、九電はそうした決議を無視したまま、住民説明会を一度も開いていないことが分かりました。
 
 ひとたび事故が起きれば取り返しのつかない被害を生じる原発の再起動に当たって、周辺の地方議会の決議を無視して押し進めていい筈がありません。自らを絶対的な優位者とでも勘違いしているのでしょうか。
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川内原発、8月4日から再稼働操作 九電計画
南日本新聞 2015725
 九州電力は24日、川内原発1号機(薩摩川内市)の再稼働に向けた準備運転を、8月4日に始めると明らかにした。同10日ごろの原子炉起動、13日前後の発電・送電開始を目指す最終工程の操作に着手することになる。
 
 
川内再稼働「同意得られず」
九州3県10市町議会が決議・陳情 九電に住民説明会要求
しんぶん赤旗 2015年7月26日
 九州電力が、規制基準「適合」を唯一の口実に8月にも川内(せんだい)原発1号機を再稼働させる動きを強めていることにたいし、昨年11月以降に限っても、鹿児島、熊本、宮崎の3県10市町の議会が「再稼働にあたって九電に公開の住民説明会を求める」決議や陳情を採択していることがわかりました。日本共産党の真島省三衆院議員らが調べました。
 
 九電は「再稼働に当たって住民の理解と協力が必要」といいつつ、自治体の議会決議を無視し、これまで一度も住民説明会を開いていません。再稼働に走る九電とともに、説明会の開催を促そうとしない国の姿勢に批判の声が高まっています。
 
 熊本県水俣市議会は7月2日、「水俣市での住民説明会開催に関する決議書」を全会一致であげました。決議書では、再稼働について「国民の同意が得られているとは到底いえません」と強調。川内原発について、「地震問題、火山問題、過酷事故対策、使用済み燃料、避難計画など、安全上の問題が数多く指摘されています」としたうえで、「40キロの距離にある水俣市民は、再稼働されることに不安を持っています」「住民への十分な説明がないままに、再稼働に踏み切ることは、公的責任を負う電力事業者として、責任のある態度とは思えません」と厳しく批判しています。
 
 福井地裁は昨年5月、大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じる判決を出しました。採択された多くの決議は、この判決から「原発から250キロ圏内の住民に具体的な危険があり人格権が侵害される」を引用しています。
 例えば、宮崎県高原町。川内原発から250キロどころか69キロの地点です。採択された陳情書は「川内原発で重大事故が起これば、壊滅的被害を受けます」と警告。汚染が万一およばなくても避難者受け入れの問題などが生じるとして、「高原町で公開での住民説明会」の開催を求めています。
 また、鹿児島県日置市では「再稼働に当たって住民の理解と協力が必要だ」との九電のいい分を引いて、「市民の生活圏内外が30キロ圏内外という至近距離にあることを考えれば、市民に対し公開の場で事業当事者である九州電力が説明会を開催するのは当然のことです」と結んでいます。
 1993年に日本で初めて世界自然遺産に登録された屋久島町議会も、住民説明会を求めています。
 
議会決議 無視するのか  真島省三衆院議員の談話 
 電気料金を値上げするときには、公聴会を開くことが義務づけられ、住民の質問に経産省や電気事業者が答えなければならない。ましてや地方議会の決議は重い。無条件で住民説明会を開くのが事業者の当然の責務だ。九電は、玄海原発やらせメール事件で失った国民の信頼を回復するために透明性を高め、すべての消費者との対話をつよめることを誓ったはずだ。地域住民や自治体の議会の意思を無視したままの再稼働は許されない。
 
地図:決議をあげた九州の3県10市町

2015年7月26日日曜日

川内原発再稼働に当たって あらためての疑問

 東洋経済(電子版)はこれまでも原発再稼動問題については、折に触れて適切な解説記事を発表してきました。
 この度は福島原発事故後、国内で初となる川内原発の再稼動が近づく中で、まだ残ったままになっている問題点をピックアップしています。
 
 まず肝心の安全性について規制委は「事故の発生頻度を、1原子炉当たり100万年に1回以下にできた」と説明しているということですが、一体何を根拠にした数字なのでしょうか。福島原発事故が起きる前には、政府が重用していた東大教授は1億年に1回としていました。
 しかし現実問題として、福島原発は稼動後僅か40年未満の内に3基が重大事故を起しました。
 この埋めようもない落差は、今度は100万年に1回だといわれてみたところで、そんな空虚な数字の羅列を確認してみようという気にもさせません。
 
 原発が安全でないからこそ、田中委員長は合格させる度に「新規制基準に適合したものであって安全と認めたわけではない」と言していますが、それは我が身への「保険」なのでしょう。その一方で新基準は「世界で最も厳しいレベル」だと明らかな虚言も発しています。
 
 「安全ではないが合格させる。ただし責任は持たない」という論理の持ち主がせっせと合格の判を押し、それによって各原発は自動的に再稼動に向かうというのがいまの日本の姿です。
 
 火山条項もそうです。
 条文によれば、火砕流が到達する危険性を否定できなければ立地(=この場合は再稼動)出来ない筈でしたが、実際には火山学者の一致した反対と警告を無視して規制委は再稼動を決めました。この喉に刺さった棘の痛みは、川内原発の稼動が続く限り続きます。
 電力業界の計算式を用いて原発の耐用年数を60年に延長するという新方針もしかりです。
 
 原子力ムラの人びとの脳裏からは既に福島原発事故はなくなっている、そう考えるしかない再稼動への動きです。
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新基準で初めて再稼働の川内原発に残る疑問
   「合格=安全ではない」と規制委員長も明言
中村 稔 東洋経済 2015年07月25日
 ※ 編集局記者)   
東日本大震災後、順次稼働を停止、現在は一基たりとも動いていない原子力発電所が、ついに稼働する。
7月10日、鹿児島県にある川内(せんだい)原発1号機の原子炉に、九州電力が核燃料を搬入し終えた。使用前検査が順調に進めば、8月中旬に制御棒を引き抜いて原子炉を起動する。2013年7月に策定された新規制基準の下では、「全国初の再稼働」となる。九電は同2号機も9月下旬の起動を目指す。両基で月間150億円程度の収益改善効果を見込み、5期ぶりの黒字化にも期待を寄せている。
 
現在、合格は5基
2012年9月に発足した原子力規制委員会にとっても、川内原発は、新基準で最初に審査を終了した原発だ。田中俊一委員長は、「新基準は以前より要求レベルが高いので、事業者も四苦八苦しており、ずいぶん時間がかかった」としつつ、今後は経験の蓄積により短縮できると語る。
 
規制委の新規制基準適合性審査は三つの段階に分かれている。原子炉の基本設計を審査する「原子炉設置変更許可」と、詳細設計を審査する「工事計画認可」、運転管理について審査する「保安規定変更認可」である。最も重視されるのが原子炉設置変更許可で、これを得れば“実質合格”と見なされる。
現状、実質合格となったのは川内原発と関西電力の高浜原発3、4号機、そして7月15日に許可された四国電力の伊方原発3号機だ。伊方は残りの認可手続きなどを経て、早ければ今年度中に再稼働する可能性がある。
一方、高浜3、4号機は福井地方裁判所で運転差し止めの仮処分を受け、関電が想定していた今年11月の再稼働は困難になった。ほかの審査中原発の再稼働は、あっても2016年度以降の見込みだ。
 
ただ、審査過程では、多くの疑問点も浮かび上がった。
肝心の安全性について規制委は「セシウム137の放出量が(福島事故の100分の1に当たる)100兆ベクレルを超えるような事故の発生頻度を、1原子炉当たり100万年に1回以下にするという安全目標を、川内原発は十分満たしている」と強調する。
しかし、この安全目標は、テロ攻撃などのケースを除いている。そもそも、新規制基準として、定められたものでもない。これを安全性判断の根拠といえるのか
田中委員長は「川内原発は新規制基準に適合したもので、安全と認めたわけではない」と断言する。これは「原発にリスクゼロはない。安全と言えば、新たな安全神話につながる」という限界を示すと同時に、福島事故を踏まえた自戒でもある。
 
新基準そのものも疑問あり
「世界で最も厳しいレベル」(規制委)という新規制基準に関しても疑問が残る。
たとえば、火山に囲まれている川内原発の審査で、焦点とされた火山影響評価。規制委は原発に影響を及ぼす巨大噴火の可能性は十分に小さく、監視によって噴火の前兆も把握できると結論づけた。
だが、たとえ前兆をつかめたとしても、噴火時期も規模もわからないというのが学界の専門家の見方だ。審査では火山の専門家は一人も意見を聞かれていない。規制委審査は科学的といえず、審査基準の火山影響評価ガイドの見直しを求める声も強い
また、自治体が策定する防災避難計画は、審査の対象になっていない。米国では、連邦緊急事態管理庁(FEMA)という専門機関が避難計画の実効性を審査し、同国の原子力規制委員会もプロセスに深く関与している。
 
2014年に規制委委員を退任した大島賢三氏は、「日本版FEMA(緊急事態管理庁のような組織を作り、プロが関与することが必要。今やっても遅くない」と提言した。が、いまだ実現の動きはない。
田中委員長自身、かねて「規制基準と防災は車の両輪」と強調してきた。ただ、現在の法体系上、避難計画の実効性を評価する立場にない、と繰り返している。それでも新規制基準は世界最高レベルと訴えるのは妥当なのか。
 
いまだ再稼働反対が過半数
地元合意の対象を都道府県と立地市町村に限定している現状など、再稼働に至る過程についてはほかにも問題点が指摘されている。だが、今の自民党政権に、見直しに取り組む姿勢は見受けられない。
それどころか今春の電源構成の議論のように、原発依存度を高めに維持するため、規制委自身がまだ一基も許可していない老朽原発の運転延長を、長期目標に織り込む始末だ。これでは世論で再稼働反対が過半を占める現状も仕方ない。原発は安全性の追求が大前提ということを、あらためて問う必要がある。
(「週刊東洋経済」2015年7月25日号<21日発売>)