2013年4月30日火曜日

山菜・キノコ類は広範囲に汚染

 
 福島県に接する栃木県の日光市のワラビが汚染されていることが分かり、全市に出荷停止が掛かりました。同市ではワラビの他にもサンショウタケノコゼンマイ、コシアブラといった山の幸が出荷制限を受けていますこうした野菜類の汚染は福島県に接していなくてもプルーム(放射能気流)が通って汚染された地域ではどこでも起きています。

 問題は国・県は出荷制限を掛けるだけで、それらが国民の口に入ることを防止する(=回収したりそれらを公的な施設で保管したりの)手はずを具体的にとっていないということです。
 東電の社広報部はメディアから問われれば「農業関係者など被害を受けた方々へは賠償に努める」とコメントしますが、具体的に進められているという話は聞きません。農産品が売れずにその分の賠償もなければ農家は生活ができません。密かに売りさばくしかなくなります。
 現実に事故の年に出荷停止になった米は数十万トンあったはずですが、それらの米はいまどこにも存在していないということです。

 そうした食物の汚染はこの先何十年続くか分かりません。
 チェルノブイリの原発事故で汚染されたウクライナでは、30年近く経ったいまでもキノコ類の汚染レベルはキロ当たり200~400ベクレルといわれ、食品全体での汚染レベルは平均的にはキロあたり10ベクレル程度(日本の規制値の10分の1)らしいのですが、それでもいま子供たちを中心に多大で深刻な健康被害が起きています。
      ※ 「ウクライナでの放射線被害は極めて深刻」(12年11月10日
 政権が変わっても政府の無策は依然として継続しています。

 以下に東京新聞の記事を紹介します。
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山の幸 広範囲で出荷制限 福島原発事故 基準値超え続く
東京新聞 2013年4月29日
 東京電力福島第一原発事故でまき散らされた放射性セシウムが、野生の山菜やキノコに深刻な影響を与えている。今春も、栃木県の一部でワラビやタラの芽、コシアブラの検査値が国の基準値を超え、新たに出荷制限された。山林の放射能汚染の除去には具体的な手だてはなく、事故の影響は数十年単位で続くと指摘されている。 (伊東治子)

 福島県境に近い栃木県日光市の湯西川温泉。平家の落人伝説で知られる山深い集落に、旅館や民宿が並ぶ。この静かな集落に今月、嫌なニュースが飛び込んだ。同市南部のワラビから一キログラム当たり一〇〇ベクレルの基準値を超えるセシウムが検出され、国から同市全域に出荷制限がかかった。
 市内とはいえ、三十キロ近くも離れた場所での検査値に、全市が揺さぶられる。「湯西川温泉のワラビから出たわけではないのに…」と不満が漏れた。
 セシウム騒動は、事故後から続いている。春に芽吹くサンショウの若葉で作るつくだ煮は特産品で人気が高いが、昨春、市内で野生サンショウから基準値超えのセシウムが検出された。それ以来、出荷制限は解除されていない。
 「今は地元産以外のサンショウが原料のつくだ煮を販売しているが、寂しいね」。地元の道の駅「湯西川」支配人、八木沢正弘さん(65)はつぶやいた。

 同市はサンショウ以外にも、タケノコや野生のゼンマイ、コシアブラといった山の幸が出荷制限を受けている。
 道の駅では事故前に年間一億七千万円あった売り上げが、一割以上も落ち込んだ。「山菜料理や山菜採りを目当てに訪れる観光客が減ったことも一因だろう」と言う。
 林野庁によると、四月二十六日現在、東北や北関東を中心にゼンマイは十二市町、ワラビは十一市町、コシアブラは四十九市町村、野生キノコは九十三市町村で出荷が制限されている。

 基準値を超えるセシウムが検出されるのは、山菜やキノコが自生する山林の除染が、農耕地と比べて遅れているという単純な理由だけではなさそうだ。
 「山林にはもともとセシウムをため込みやすい性質があるようだ」と話すのは、福島復興支援本部環境動態・影響プロジェクトのリーダーを務める独立行政法人「放射線医学総合研究所」の吉田聡さん。
 山林には、生き物に必要な栄養素を外に逃がさず、植物の根から幹、葉へと吸い上げ、落ち葉から再び根へと、効率的に循環させる生態系が出来上がっている。セシウムには栄養素のカリウムと似た性質があるため、この循環に取り込まれたと考えられるという。
 落ち葉の除去で、ある程度の除染効果が見込めるが、吉田さんは「フィンランドの研究者に『落ち葉をはがすと生態系のバランスが崩れ、森に影響する』と忠告された。北欧と日本では山林の形態が違うが、対策は慎重に進める必要がある」と話す。
 さらに、ワラビやゼンマイなどのシダ植物とキノコは、他の植物に比べてセシウムを多く取り込む傾向があることも分かっている。

 吉田さんは「爆発事故が起きた旧ソ連のチェルノブイリ原発周辺では、現在もキノコから高い濃度のセシウムが検出されている。福島の事故でも、影響が数十年続くことは覚悟しなければならない」と指摘する。
 長期にわたって、貴重な山林資源の価値を失わせてしまった原発事故。東電はその責任をどう受け止めるのか。同社広報部は「農業関係者や広く社会の皆さまにご迷惑とご心配をおかけし、おわび申し上げる。被害を受けた方々の目線に立った親身親切な賠償に努める」とコメントした。

2013年4月29日月曜日

「脱原発をめざす首長会議」が開かれました

 
 28日、「脱原発をめざす首長会議」の年次総会が茨城県東海村で開かれ、原発新設を認めないことを明言するよう安倍晋三首相に求める決議を採択しました
 同首長会議は昨年設立され、38都道府県の市町村長とその経験者86人が参加しています。
 総会で採択され5月中にも首相に提出される予定の要請書は東電福島第1原発事故の収束と原因究明を優先し、原発の安易な再稼働をしないよう強調し、原発新設を認めないと明言することや、脱原発基本法案の早期制定など8項目を求めているということです

 以下にNHKニュースと東京新聞の記事を紹介します。
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全国の脱原発首長が会議 茨城・東海村
NHK NEWS web 2013年4月28日
脱原発を目指す全国の市町村長などが、原発に代わるエネルギー政策について議論を交わす会議が、東海第二原子力発電所が立地する茨城県東海村で開かれました。

会議には、地元・東海村の村上達也村長や静岡県湖西市など、脱原発の姿勢を表明している全国の市町村長などおよそ20人が参加しました。
会議では、国内すべての原発の廃止を決めたドイツの出身で、立命館大学のラウパッハ・スミヤヨーク教授が、ドイツの脱原発政策で自治体や市民が果たした役割について講演しました。
この中で、ラウパッハ教授は「ドイツでは、自治体単位で最新式の水力発電所を導入したり、市民が組合を作って太陽光発電施設を整備したりする動きが広がっている」と述べて、自治体や市民が主体となって原発に変わる自然エネルギーを模索していることなどを話しました。
会議ではこのあと、安倍総理大臣に対して、原子力規制委員会が定めた規制基準を厳格に適用し、原発の安易な運転再開を認めないことや、新たな原発建設を認めないことを明言するよう求めていくことなどを確認しました。
東海村の村上村長は「日本は世界的に見ても自然エネルギーへの転換が遅れていることを再認識した。今後、村独自にエネルギー政策を打ち出せるようにしていきたい」と話していました。


首長「脱原発」 広がる
東京新聞 2013年4月29日
 全国の市区町村長や元職の有志でつくる「脱原発をめざす首長会議」は二十八日、設立一周年を迎えた。会員数は十六人増加し、この一カ月だけで現職五人が新加入した。東京電力福島第一原発事故から二年が経過し、安倍晋三首相が原発再稼働を明言するなど、脱原発をめざす動きが正念場を迎える中、危機感を背景に首長の輪は広がりつつある。

 「原発事故から時間がたち、脱原発の世論が少し低下している時期なので、もう一度この問題をクローズアップさせたかった」。二十八日午後、茨城県東海村で開かれた首長会議総会後の記者会見。同県常総市の高杉徹市長は六日前に加入した理由を語った。今月一日に名を連ねた岐阜県北方町の室戸英夫町長も「政権が変わり(国の原発政策の)雲行きが怪しい方向に流れる状況で、脱原発の世論づくりの応援ができたら」と抱負を述べた。

 会議は一年前、三十五都道府県の首長や元首長計七十人で発足。これまでエネルギー基本計画作成をめぐり政府に「原発ゼロ」を要求したり、勉強会を開いたりしてきた。
 この間、会員数はじわじわと増加。今月には二人のほか、東京都多摩市の阿部裕行市長、滋賀県米原市の平尾道雄市長ら三人が入り、三十八都道府県、八十六人に達した。
 阿部市長は二十六日の定例会見で「多摩市にも福島県から避難している人が百人いる。原発事故が収束していないことにきちんと向き合う必要がある」と加入理由を述べた。
 この日は神奈川県小田原市の加藤憲一市長、茨城県かすみがうら市の宮嶋光昭市長、栃木県那須町の高久勝町長ら、代理を含め十六人が出席した。地元東海村の村上達也村長は「原発事故の経験に照らし、地震列島日本から原発をなくしていきたい」とあいさつ。会合では、安倍首相に対し、被災者の生活再建や原発新設をしないことなど八項目の要求を決議した。 (中山高志)
 
 
 

2013年4月27日土曜日

福島 地下水槽周辺の井戸から既に放射性物質

 
 汚染水の水漏れが相次いだ福島原発の地下水槽の周辺に設けた井戸から26日、微量の放射性物質が初めて検出されました。
 東電の発表では放射性物質の濃度が低いため漏れによるものか判断できないとしていますが、1号から3号までの地下水槽の周辺に設置した13か所の井戸からのみ検出されたので、水漏れによるものであることは間違いないと思われます。
 
 また東電は当初、海岸線まで800mあるので海にはなかなか到達しないと説明していましたが、これだけ地下水位が高くてしかも水量が豊富であれば、放射性物質は(水脈に乗って)短時間のうちに海に到達するものと思われます。
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貯水槽周辺井戸から微量放射性物質
NHK NEWS web 2013年4月27日
汚染水の水漏れが相次いだ東京電力福島第一原子力発電所の地下の貯水槽の周辺に設けた22か所の井戸のうち、半数以上の13か所から微量の放射性物質が初めて検出されました。
東京電力は放射性物質の濃度が低いため、貯水槽から漏れた影響か判断できないとして、今後も継続して測定し慎重に調べるとしています。

福島第一原発では汚染水を保管する地下の貯水槽で水漏れが相次ぎ、地下水に汚染が広がっていないか調べるため、貯水槽の周辺に新たに22か所の井戸を掘って、毎日、放射性物質の濃度を測定しています。
このうち、すでに水漏れが確認されている1号から3号までの貯水槽などの周辺に設置した13か所の井戸の地下水から26日、放射性物質が初めて検出されました。
検出されたのは貯水槽から10メートルから20メートル前後離れた場所で、値は1cc当たり最大0.048ベクレルと、汚染水が入っていない5号貯水槽などの周辺の値とほぼ同じだということです。
東京電力は漏れた汚染水についてはくみ上げて貯水槽に戻す対策を取っていて、今回、検出された放射性物質の濃度が低いため、漏れた影響か判断できないとして、今後も継続して測定し慎重に調べるとしています。
 
 

2013年4月26日金曜日

原発・放射能ニュース 13.4.26~4.30


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4.30

大飯、活断層の連動「考えない」 関電、規制委の要請に応じず
東京新聞 2013年4月30日
 国内で唯一稼働中の関西電力大飯原発3、4号機(福井県)の運転継続をめぐり、原子力規制委員会が耐震安全上、評価するよう求めていた同原発近くにある三つの活断層の連動について、関電は要請に応じず「連動を考慮しない」との方針を規制委側に伝えていたことが30日、分かった。
 規制委は3、4号機に対し、7月施行の新規制基準に適合するか事前確認の作業を開始。安全上重大な問題がなければ、次の定期検査に入る9月までの運転継続が認められる可能性がある。だが、規制委側は3活断層の連動の評価は「必須」と考えており、関電の対応次第では運転継続が不透明になりそうだ。(共同) (以上全文)

被災者の移転希望先の地価上積み 弁護団「画期的」と評価
東京新聞 2013年4月30日
 東京電力福島第1原発事故で避難を余儀なくされた福島県双葉町の被災者の土地賠償をめぐり、原子力損害賠償紛争解決センターは30日までに、地価の高い移転希望先との差額分の一部を上積みして、約1120万円とする和解案を被災者と東電に提示した。支援する弁護団が明らかにした。
 固定資産税評価額に特定の係数をかけた東電の賠償額より約160万円高く、弁護団は「移転後の生活が考慮されており画期的」と評価。今後、本格化する不動産賠償にも影響するとみられる。
 センターに和解を申し立てていたのは双葉町に約520平方mの土地を所有し、東京都内に避難中の70代男性と60代女性の夫婦。  (共同) (以上全文)


4.28

土壌の放射能濃度10倍に=1号貯水槽、2日前と比べ-福島第1
時事通信 2013年4月28
 東京電力福島第1原発の地下貯水槽から放射能汚染水が漏えいした問題で、東電は28日、1号貯水槽の外側土壌で27日に採取した水の放射能濃度が、2日前と比べ10倍超に上昇したと発表した。貯水槽外側土壌での水採取場所は2カ所あり、今回上昇が判明した場所はこれまで濃度が低い状態が続いていた。東電は「原因は分かっていない。監視を続ける」としている。
 東電によると、放射能濃度が上昇したのは1号貯水槽の南西側土壌。27日に採取した水でストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質が1ミリリットル当たり1.1ベクレル検出された。26日は検出限界値未満で、25日は同0.099ベクレルだった。 (以上全文))
 
4.27


関電、7月に高浜再稼働申請へ 原発新基準で
東京新聞2013年4月27日
 関西電力が高浜原発(福井県高浜町)3、4号機の再稼働を7月にも国に申請する方向で検討していることが27日、分かった。7月に施行される原子力規制委員会の新規制基準で、高浜原発が重大事故に対処できるかどうかの安全性を確認した後に申請する。
 大飯原発3、4号機(同県おおい町)が稼働しているが、電力需給の安定には高浜原発の再稼働が欠かせないと判断した。規制委の審査で安全性が確認されても、高浜原発が立地する地元の理解も欠かせないため、再稼働の時期は不透明だ。 関電は規制委の新基準に対応できるよう、高浜原発の原子炉を冷却する機能を強化している。(共同) (以上全文)
 
原告団1000人規模で2次提訴へ 福島第1原発損賠訴訟
  河北新報 2013年4月27日
 福島第1原発事故福島訴訟で、原告弁護団は26日、東京電力に損害賠償を求める2次訴訟を7月にも福島地裁に起こす方針を明らかにした。1000人規模の原告団を目指すとしている。
 弁護団によると、請求額は1人月5万円で、福島県内の放射線量を原発事故前の水準に下げることも求める。原告は県民らで既に約200人が訴訟の参加意思を見せているという。1次訴訟の原告は800人で、3月に地裁に起こした。
 弁護団はまた、1、2次訴訟の原告のうち、自宅に長期間帰還できない県内の約25人が5月30日、1人2000万円の慰謝料の支払いを東電に求める訴えを地裁に起こす方針を示した。4月30日には東電福島本社の石崎芳行代表と賠償全般、廃炉問題について話し合うことも明らかにした。 (以上全文)

東通原発 断層8地点追加調査 規制委に計画変更報告
 河北新報 2013年4月27日
 東北電力は26日、東通原発(青森県東通村)の敷地内断層について、2月から実施している追加調査の計画変更を原子力規制委員会に報告した。断層の活動性の有無を確認するため、新たに8地点でボーリングや試掘を実施する。結果は12月までに公表する。
 規制委の調査団が「活断層の疑いがある」と指摘したのを受けた措置。5地点で断層と地形変化の関連性を調査するほか、3地点では小規模な断層の分布状況、地質性状を確認する。
 東北電は断層について「地下の深い場所が岩石化しており、500万年前から活動性はない」として、調査団の見解を否定している。同社は「追加調査で集めた科学的データに基づき、規制委の専門家と議論を続けたい」としている。(以上全文)

4.6

浜岡原発の津波対策工事、1年再延長…耐震精査
読売新聞 2013年4月26日
 中部電力は26日、浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)で進めている海抜22メートルの防波壁設置などの津波対策工事の工期について、今年12月の完了予定を、2015年3月まで1年余り延長すると発表した。
 津波に加えて、耐震性の精査が必要となったためという。再度の工期延長で、停止期間の長期化は必至となる見通しだ。
 
南相馬市産・タラノメ、ワラビから基準値超セシウム
福島民友ニュース 2013年4月26日
 政府は25日、原子力災害対策特別措置法に基づき、南相馬市で採取されたタラノメ(野生に限定)とワラビの出荷停止を県に指示した。県は同日、同市などに政府の指示を伝えた。
 (福島)県の放射性物質検査で、同市のタラノメとワラビからそれぞれ食品の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超える放射性セシウムが検出されたための措置。
 検出値は、タラノメが1キロ当たり130ベクレル、ワラビが1キロ当たり160ベクレルだった。
   (以上全文)

たらのめ 初の基準値超 旧倉渕村 出荷・販売自粛を要請
東京新聞 2013426
 (群馬)県は二十五日、高崎市の旧倉渕村内で採取された野生の「たらのめ」から基準値(一キログラム当たり一〇〇ベクレル)を超える最大同三五〇ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。「たらのめ」の基準値超えは県内で初めて。市場への流通はなく、県は旧倉渕村内の直売所、卸売市場などに出荷・販売の自粛を要請し、各市町村にも住民への周知を要請した。
 県きのこ普及室は「野生ではない栽培ものについては問題ない」と強調している。
 県によると、十五、二十二、二十三日の三日間に高崎市と安中市で採取された「たらのめ」を二十五日に検査。十五日のものから三五〇ベクレル、二十三日のものから一三〇ベクレルが検出されたという。



東電は仮設タンクの増設を約3ヶ月中断

 
 福島原発の廃炉作業の検証に来日したIAEAの調査団は22日の記者会見で、「汚染水の問題が直面する最大の課題。東電は信頼性を向上させるために、包括的な戦略を見直すべき。不具合が発生した場合は、迅速に問題を突き止める能力と対応する能力を備えることが大切」 と指摘しました。
 もともとIAEAは原発の身内の組織なので、好意的に評価しこそすれ打撃的な批判を公表する筈がないことを考えれば、これはかなり手厳しい批判であったと思われます。

 福島原発の汚染水の処理に関して東電の不可解な対応がまたひとつ暴露されました。
 東電は汚染水を貯蔵する仮設タンクの製作をなぜか昨年12月で中止する一方、外部に対しては仮設タンクの増設を行っているように公表していました。
 このため1月からは汚染水を地下貯水槽に入れるしかなく、4月に入ってそこから地中に汚染水が浸透していることが発覚しました。仮設タンクの増設を再開したのは3月中ごろ以降でした。
 虚偽の公表といい、地中や海への放射能の拡散を重大視しなかったことといい、東電の態度は「不可解」というしかありません。 
 
  以下に東京新聞の記事を紹介します。
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福島第一 汚染水 破綻明かさず
東京新聞 2013年4月25日
 東京電力福島第一原発の汚染水量が一月にはすでに、地上タンクの容量を超え、貯蔵計画が破綻していたことが分かった。危機的状況にもかかわらず、東電はタンクには余裕があると発表。その裏で、水漏れ事故が起きた地下貯水池に汚染水を投入していた。この時点で危機を公表し、真剣にタンク増設に取り組んでいれば、四月五日に発覚した汚染水漏れ事故は防げていた可能性が高い。
 
 東電の計画は、セシウム以外の放射性物質も除去できる新たな除染装置が昨年九月に稼働することを大前提とし、新装置でさらに浄化された水を池に入れる予定だった。しかし、新装置の安全面の問題により、昨年九月と十二月の二度にわたり稼働を延期した。
 計画は新装置が予定通り動かない場合の備えをせず、汚染水量がタンク容量をぎりぎり超えない程度の甘い内容だった。慌ててタンクを増設したが、年明けには水量がタンク容量を超えてしまうことが確実になった。
 このため東電は一月八日、3番池に一万一千トンの汚染水を入れ始めた。続いて二月一日には、2番池にも一万三千トンを入れ始めた。
 だが東電はその事実を説明せず、毎週公表している汚染水処理状況の資料で、厳しいながらもタンク容量は順調に増えていることを記載していた。
 
 一月九日の記者会見で、本紙記者がタンクの残り容量が一週間分の処理量(約二千八百トン)を下回った点をただすと、尾野昌之原子力・立地本部長代理は「タンクは約三万トンの余裕があり、足りなくなることはない」と強調し、池に汚染水を投入したことには触れなかった。
 
 一月十五日付以降の処理状況を示す公表資料では、実際にはタンク増設は全く進んでいないのに、池に投入した汚染水の量をタンク容量が増えた形にして公表していた。タンクが増設されたのは、二回の池への投入が終わった後の三月になってからだった。
 
 東電広報部は「タンクの増設はすべて計画通り進めており、問題はなかった。地下貯水池に(新装置で浄化していない)汚染水を入れることも想定していた。漏れたら別の池に移し替えるつもりだったが、全ての池が使えなくなる状況は考えていなかった」とコメントした。

写真

2013年4月25日木曜日

市民の手で脱原発政党の大同団結を促す


 昨年末の衆院選では国民の60%が脱原発であったのにもかかわらず、脱原発の候補が150区で乱立したために、自民党が漁夫の利を得るという結果になりました。
 その反省から来る参院選では脱原発の候補が共倒れにならないように調整をすることが不可避ですが、政党間の連携の動きはまだほとんど見られません。
 そこで参院選に向けた大同団結を政党に任せるのではなく市民側から迫るということで、24日、市民グループ政治団体「脱原発政治連盟」(緑茶会)設立しました。

 直近の世論調査では脱原発を求める回答は70%近くに達しているということです。そうした世論を背景にこの「連盟」がうまく機能することで昨年末の衆院選の二の舞だけは防いで欲しいものです。

 以下に東京新聞の記事を紹介します。
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大同団結 市民の手で 脱原発「緑茶会」 衆院選教訓に
東京新聞 2013年4月25日
 市民グループが二十四日に設立した政治団体「脱原発政治連盟」(緑茶会)。自民党は、原発維持路線をとり早ければ今秋にも再稼働させる見通し。対抗する政治勢力を結集するため、参院選に向けた大同団結を政党に任せるのではなく市民側から迫る方針だ。 (城島建治、宮尾幹成)
 脱原発勢力にとって昨年十二月の衆院選は、悔やんでも悔やみきれない結果だった。
 各種世論調査では脱原発を求める声が強く、本紙が衆院選公示直前に行った調査でも、約60%が支持していた
 しかし脱原発を標ぼうする政党は民主党、日本未来の党、公明党、共産党、みんなの党、社民党、新党大地、新党日本の八党に分散。三百小選挙区のうち、脱原発政党三党以上が候補を出した「脱原発乱立区」は百五十にのぼった。
 その結果、自民党が漁夫の利を得た。例えば、埼玉1区では民主、みんな、共産、社民各党の候補の総得票率は60%を超えたが、議席は得票率が40%にも満たない自民党が獲得した。最終的には比例代表も含めて全体の六割を超える二百九十四議席を自民党が占めた。
 脱原発を求める世論は、いまも高い。本社加盟の日本世論調査会が二月中旬に実施した調査では、脱原発を求める回答は70%近くに達している。
 しかし、国会では「衆院選の反省」から連携する動きはなかなか進んでいない。生活の党、みどりの風、社民党の三党は三月に脱原発基本法案を参院に共同提出。しかし、民主党と共産党は、脱原発を実現する時期が違うとして足並みをそろえなかった。
 参院選での共闘も進んでいない。このまま政党に任せていては、衆院選の二の舞いになるという危機感が緑茶会の発足につながった。
 脱原発を後押しする団体はこれまでも少なくなかったが、緑茶会の特徴は(1)支援する候補に離党を求めず、所属政党のままでの立候補を認める(2)選挙資金や脱原発賛同者の名簿を提供して「直接支援する」-ことだ。
 参院選に立候補するには選挙区が三百万円、比例が六百万円の供託金を納めなければならない。資金が潤沢とは言えない中小政党や無所属で出馬する新人にとっては、緑茶会が出馬のハードルを下げる役割を果たすことになり得る。緑茶会側は「物心両面」で支援をしながら緩やかな連携を迫ることで、政党側にも大同団結の機運が高まることを期待している。

◆推薦する立候補予定者(敬称略)

  選挙区候補
▼民主党
松浦大悟(秋田) 岡崎トミ子(宮城)金子恵美(福島) 藤田幸久(茨城)谷博之(栃木) 大河原雅子(東京)川上義博(鳥取) 武内則男(高知)松野信夫(熊本)
▼みんなの党
行田邦子(埼玉) 米長晴信(山梨)
▼生活の党
森裕子(新潟) 佐藤公治(広島)
▼みどりの風
舟山康江(山形) 亀井亜紀子(島根)
▼無所属
糸数慶子(沖縄)

  【比例代表候補
▼民主党
相原久美子、大島九州男、神本美恵子、ツルネン・マルテイ、藤谷光信
▼みんなの党
川田龍平、平智之
▼生活の党
はたともこ、広野允士、藤原良信
▼共産党
井上哲士、紙智子、山下芳生
▼みどりの風
谷岡郁子、山田正彦
▼社民党
又市征治、山城博治
▼緑の党
須黒奈緒、長谷川羽衣子、杉原浩司、大野拓夫、松本なみほ、田口まゆ
▼新党今はひとり
山本太郎

2013年4月24日水曜日

「意識調査」で『原発は危険』が82%


 民間団体「安全・安心研究センター」が全国1200人に行った意識調査で、圧倒的多数の人たちが「原発は社会にとって危険」と考えているという結果が出まし
 原発が社会に対して「危険である」という意識は福島原発の事故後に急増し、今年3月の調査でも「危険が非常にある」と「危険がかなりある」を合わせると約82%に上りました。

 以下に東京新聞の記事を紹介します。
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福島事故から2年 再稼働 なお反対多数
東京新聞 2013年4月24日
 全国の千二百人を対象にした民間団体「安全・安心研究センター」(東京都渋谷区)の意識調査で、圧倒的に多くの人が「原発は社会にとって危険」と考えているという結果が出た。原発への危機意識は東京電力福島第一原発事故後に高まり、事故から二年以上経過しても高止まりしている。センターの広瀬弘忠代表は「多くの人がいつ原子力災害が起こるか、不安に感じている」と指摘する。
 調査は、地球温暖化やテロなど十項目前後で日本人の危機意識を調べる目的で、十五~七十九歳の男女を対象に一九九三年から実施。二〇一〇年九月までは広瀬氏が名誉教授を務める東京女子大が行い、その後はセンターが一一年六月、一二年三月、一三年三月に調査している。
 原発の社会に対する危険について「非常にある」「かなりある」「少しある」「全くない」から選択する設問で、一〇年九月に13・2%だった「非常にある」は、事故後の一一年六月は49・6%に急増。一三年三月は50・3%だった。事故後はいずれも、八割前後の人が「非常にある」「かなりある」と回答し、原発への強い危機感を浮かび上がらせた。「全くない」は、一〇年九月に3・7%だったが、事故後は1%台で推移している。
 一三年三月の調査は、原子力規制委員会が安全と認めた原発の再稼働の賛否を初めて尋ねた。「大いに賛成」は5・3%、「おおむね賛成」40・3%、「おおむね反対」33・2%、「全く反対」20・6%で、反対が賛成を上回った。
 民主党政権時代の一一年十二月に収束宣言が出された福島第一原発の現状について、収束していないと考えている人は93・6%に及んだ。今後、各地の原発が再稼働した時に福島第一原発と同程度の事故が起こる可能性について「起こる」とした人は22・9%、「たぶん起こる」は56・8%で、「起こらない」「たぶん起こらない」を合わせた19・4%を大きく上回った。
 広瀬氏は「時間の経過とともに原発への危機意識は減ると思ったが、薄らいでいない。日本の原子力政策は難しくなっている」と話す。 

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福島原発汚染水 日量400トン増は地下水の流入分

 
 23日のNHK「クローズアップ現代」で、福島原発の汚染水の1日当たり400トンの増量は地下水の流入による分であると報じられました。
 炉心の冷却方式は、原子炉建屋地下室に流出する冷却後の水をポンプで吸引して地上の除染設備⇒冷却設備に送り、そこで除染冷却されたものを再び炉心の冷却水として使うというクローズドシステムになっているので、本来であれば汚染水の増量はありません。
 ところが原子炉建屋周りの地下水位が地下室の床レベルよりも高いために、建屋の破損部から地下水が流入しそれが冷却排水と混合されるため、その量400トン/日がそのまま汚染水の日増量分になっているということです。

 NHKが明確に触れなかった問題として次の二つの事柄があります。
 ひとつは上記の炉心冷却のクローズシステムがいまや全く実態から遊離したものになっているので、対策の再立案とその実行が早急に求めらていることです。
 「地下水脈の上流側に井戸を掘り、汲み上げた水を海に放流することで地下水位を下げる」というのは苦肉の対策でしたが、東電自身のミスでいずれ地下水自体が汚染されることになった結果やがて限界が来ます。
     20日付「東電福島 地下水の放流はやがて無理に」参照
 もうひとつは、地下室がかなり損壊しなければ日量400トンもの地下水流入は生じませんが、その損壊が地震そのもので引き起こされたという点です。
 東電はこれまで原発事故は「想定外の津波が原因である」と装い 一貫してそのことを強く主張してきましたが、最も重要である原子炉建屋が地震で一部が損壊したという事実はもう隠すことが出来ません。

 武田教授は20日付のブログで「震度6の地震で建物が破壊されたということになれば、震度6の可能性のある日本のすべての原発の建物の耐震性を検討し直さなければならない」ことになると述べています。
    関連記事 16日付「「武田教授が原発の耐震性のいい加減さを公表」

 以下に同ブログを紹介します。
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隠しているのか?知らないのか? 福島の汚染水
武田邦彦 平成25年4月20日
(前略)福島の汚染水が漏れている、どんどん増えているという報道を多く見るけれど、「なぜ、汚染水が増えたの?」という解説を聞いたことがない。すでに原発が爆発して以来、短寿命の元素はみんな無くなっているので、発熱量は100分の1程度になっている。
だから冷却水量は100分の1だが、さらにすでに冷却水は循環しているので、「汚染水が増加する」ということはあり得ない。とすると、「地震で建物の底のコンクリートが割れて、そこから地下水が浸入し、原子炉から融けでた原発内の放射性物質(メルトダウンしたもの)に接して汚染した、今でも地下水が入り込んで汚染が続いている。「固有安全性」がないのでどうにもならない」ということになる。
しかし、このような報道をするには「報道が報道であること、事実を事実のまま伝えること」が必要だ。つまり「原発は想定外の津波で破壊した」という「公式原因」を「震度6の地震で建物が破壊された」ということになり、そうなると、責任問題が再炎し、震度6の可能性のある日本のすべての原発の建物の耐震性を検討し直さなければならないからだ。
でも、事実を事実として報道するという点では「ウソ」なのか、「アホ」なのかをNHKがまず受信者のためにハッキリして、他の報道関係者も考えて欲しいと思う。