2015年3月31日火曜日

東電、除染費用払わず 市町村実施分僅か15億円のみ

 福島原発事故後、市町村が実施した除染費用として国が月末までに東電に761億円請求しましたが、東電側15億円しか応じず、残る746億円の支払いを事実上拒否しています。
 一方、国直轄の除染分は東電に請求した925億円のうち799億円を支払っていて、対応が大きく分かれています
 
 東電広報部は市町村除染への不払いについて「法的に支払い義務のある除染作業かどうか確認に時間がかかっている」と弁明しますが、特別措置法により除染費用は東電が負担することになっていて、理解できない言い草です。
 東電以外に放射能の排出源はないのに何を寝ぼけたことを言っているのでしょうか。
 
 国直轄の除染分はいわゆる原子力ムラのゼネコンが実施しているので、もしもそちらを優先しているというのであれば言語道断です。
 いずれにしても法令で決められたことも不可解な理由をつけて守らないという、理解しがたい会社です。 
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東電、除染費用払わず 市町村実施分2%のみ
東京新聞 2015年3月30日
 福島第一原発事故後、市町村が実施した除染費用として国が二月末までに東京電力に請求した七百六十一億円のうち、東電側が約2%しか応じず、残る七百四十六億円の支払いを事実上拒否していることが、環境省への取材で分かった。一方、国直轄除染分は基本的に応じており、対応が大きく分かれていることが浮き彫りとなった。
 
 除染関連費用は国がいったん立て替え払いした後、東電に請求する仕組み。東電の支払いが遅れれば、利息分は税金で賄われるため国民負担の増加につながる。
 
 東電広報部は市町村除染への不払いについて「法的に支払い義務のある除染作業かどうか確認に時間がかかっている」と弁明。一方、環境省は「全て法律に基づき東電に請求しており、引き続き全額支払いを求めていく」と反発している。
 
 除染関連費用は二〇一一年八月に成立した特別措置法により、東電が負担すると規定。政府は一四年度までに約一・四兆円(うち市町村分は約六千三百億円)を計上した。
 
 環境省は金額が確定し書類がそろった除染事業について、一二年十一月から定期的に東電に請求している。今年二月末までに市町村分として七百六十一億円を求めたが、東電は最初の請求分の一部である十五億円に応じた後は支払っていない。一方、国直轄分として請求した九百二十五億円については約86%の七百九十九億円を支払っている。
 特措法に基づく除染は福島県など東北と関東の八県が対象で、関連費用は総額二・五兆円の見込み。放射性物質による汚染が深刻な第一原発周辺の十一市町村は国が直轄で除染し、これまでに四市町村で終了。それ以外の九十九市町村は各自治体が地域の実情に応じて実施することになっているが、完了したのは十八市町村のみだ。
 
<原発事故に伴う除染> 福島の原発事故で飛散した放射性物質が付着した土壌を取り除き、建物や道路の表面を洗浄する。福島第一原発周辺の避難区域は国が直轄で除染を実施。それ以外は、年間追加被ばく線量1ミリシーベルトから試算した空間線量毎時0・23マイクロシーベルトを超える地域を国が指定し、市町村が除染を実施する。除染の枠組みを定めた特別措置法は東京電力が除染費用全てを負担すると明記しているが、除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設については国が負担する。
 
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2015年3月30日月曜日

美里町と涌谷町、全町の避難計画を検討

 東北電力女川原発の重大事故を想定し30キロ圏内の7市町が策定する広域避難計画で、美里、涌谷両町緊急防護措置区域(UPZ)だけでなく、全町域の計画作成を検討しています
 両町は石巻市の避難者受け入れ先と位置付けられているものの町が全域避難の場合は当然石巻市民の受け入れ困難になります
 
 「宮城のガイドラインでは、UPZだけの避難を想定していますが、両町の担当者は「福島第1原発事故を見ても30キロ圏外だから安全とは言えない。機械的に30キロという線で避難地域を区切るのでは住民の理解が得られない」と述べていて、福島事故では放射能のプルームが帯状に流れたことが明らかにされただけに説得力があります。
 
 UPZ30キロという極く狭い範囲に設定しているのは日本だけで、す。アメリカは80キロに設定していて、先の福島原発事故時には80キロ以遠に避難するようにと米本国から日本滞在者に連絡が入りました。
 
 国があくまでも30キロにこだわったとしても、町が独自に全町非難を計画するのを禁止する権利は国にも県にもありません。
 納得ができてしかも実効性のある避難計画がまとまるまでには、まだまだ時間が掛かりそうです。
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<女川原発>美里と涌谷町、全町域の避難計画検討
河北新報 2015年3月29日
 東北電力女川原発(女川町、石巻市)の重大事故を想定し30キロ圏内の7市町が策定する広域避難計画で、美里、涌谷両町が緊急防護措置区域(UPZ)だけでなく、全町域の計画作成を検討している。両町は石巻市の避難者受け入れ先と位置付けられているが、全域避難の場合は受け入れが困難になる。
 (宮城)県のガイドラインなどによると、美里町で避難対象となる原発から半径30キロ圏のUPZに含まれるのは1行政区の116人。避難先は原則として町内のUPZ外とされている。
 これに対して町は地域防災計画で「原子力災害の規模によって全町域でUPZに準じた対応を取る」と明記。担当者は「30キロ圏外は避難の必要がないと言い切れない。住民の安全を確保するには全町域の避難を具体化しなければいけない」と説明する。
 町は新年度に策定する避難計画で、原発からの距離で町内を区分。放射線量や被害の状況などに応じ、段階的に避難エリアを広げる方針を盛り込むという。
 
 涌谷町はUPZ内に2行政区の831人が居住。担当者は「町全体の避難を考慮した計画を作りたいが一度には難しい」として、当面はUPZに限定し、徐々に対象を拡大した計画に更新していく考えだ。
 両町の担当者は「福島第1原発事故を見ても30キロ圏外だから安全とは言えない。機械的に30キロという線で避難地域を区切るのでは住民の理解が得られない」と口をそろえる。
 ガイドラインでは両町は石巻市の避難者受け入れ先と明記され、受入数は美里町4000人、涌谷町800人を見込む。両町は町内避難にとどまる災害規模なら受け入れるが、全域避難の際は困難な状況となることを含め石巻市と調整する。
 石巻市の担当者は「30キロ圏まで避難が必要な場合はそこで収まらない可能性があり、両町の判断は仕方がない。最悪の事態に備え、さらに避難先を探さないといけない」と語る。
 ある自治体関係者は「そもそもUPZの住民の避難が必要となる自治体に、他自治体からの受け入れも求めるのは酷ではないか」とガイドラインに疑問を呈した。
 
 
 

常磐線の開通時期明示区間 平均毎時0・46μSv

 政府が運転再開の方針を示しているJR常磐線の竜田(楢葉町)-原ノ町(南相馬市)駅間のうち、開通見通しが示されている区間の空間線量率は平均で毎時0・46マイクロシーベルト、最大は毎時2・08マイクロシーベルでした。
 
 環境省などが昨年12月から今年3月まで軌道上の地上1メートルの高さの空間線量率を計測したものです。
 なお、開通時期が明示されていない富岡-浪江駅間の線量平均は毎時4・1マイクロシーベルトで、最大は大熊町の夫沢トンネル付近で毎時29・6マイクロシーベルトでした。 
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空間線量 平均毎時0.46マイクロシーベルト 
JR常磐線の再開通時期明示区間
福島民報 2015年3月28日
 政府が運転再開の方針を示しているJR常磐線の竜田(楢葉町)-原ノ町(南相馬市)駅間のうち、開通見通しが示されている区間の空間線量率は平均で毎時0・46マイクロシーベルトだった。27日に都内で開かれたJR常磐線復旧促進協議会で環境省などが示した。 
 
 調査結果は【表】の通りコピーできないため添付省略。開通時期が示されている竜田-富岡(富岡町)駅間と浪江(浪江町)-原ノ町駅間のうち、最大は浪江駅付近の毎時2・08マイクロシーベルト。平成28年春の運行再開を予定している小高(南相馬市)-原ノ町駅間の平均は毎時0・18マイクロシーベルトで、最大は毎時0・26マイクロシーベルトだった。
 
 開通時期が明示されていない富岡-浪江駅間の線量平均は毎時4・1マイクロシーベルトだった。最大は大熊町の夫沢トンネル付近で毎時29・6マイクロシーベルト。 
 鉄道設備の除染はJR東日本が担当する予定で、線路周辺ののり面などの除染を担う環境省とともに作業を進めていく方針。 
 調査は環境省などが昨年12月から今年3月まで実施。軌道上の地上1メートルの高さの空間線量率を計測した。 
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 また、環境省などは今回の調査で最大の毎時29・6マイクロシーベルトを計測した地点について、除染により毎時9・4マイクロシーベルトまで減少させることができるとする試算結果をまとめた。 
 試算は線路周辺に敷かれている砕石や枕木を全て交換し、のり面を除草したと想定。砕石や枕木を交換することで65%減の毎時10・4マイクロシーベルトまで線量を低減し、さらに除草などを進めることにより68%減の毎時9・4マイクロシーベルトになるとした。 
 また、JR東日本は27年度から前田川に架かる崩壊した鉄橋の設計作業を始める。
 

2015年3月29日日曜日

那須野が原のオオタカ 放射能で減少

 栃木県北端の那須野が原で準絶滅危惧種オオタカの繁殖生態を調査した結果、福島原発事故後 オオタカの繁殖成功率が著しく低下したことが分かりました。
 放射能の空間線量が0.1マイクロシーベルト上がるごとに繁殖成功率最大10%低下しました。
 外部被曝だけではなく食物連鎖で内部被曝している可能性もあるとされています。
 
 産経新聞の記事を紹介します。
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那須野が原のオオタカ、放射能で減少? NPOなどが発表
産経新聞 2015年3月28日
 那須野が原(那須塩原市と那須野町の一部)で準絶滅危惧種、オオタカの繁殖生態を調査するNPO法人オオタカ保護基金の遠藤孝一代表は27日、福島第1原発事故後のオオタカの繁殖成功率の低下は放射能の空間線量の増加による影響が主要な要因とする調査結果を発表した。
 
 調査は名古屋市立大大学院システム自然科学研究科の村瀬香准教授と共同で行われた。村瀬准教授は「原発事故がオオタカの繁殖に与えた影響」のタイトルで論文にまとめ、国際科学雑誌に発表した。
 
 同基金が那須野が原で野外調査を実施してきた震災前(平成4~22年)の19年間のデータを解析して計算した(1)造巣(2)抱卵(3)孵化(ふか)(4)巣立-の各成功率と繁殖成功率(抱卵した巣から幼鳥が巣立つ率)を推定。震災後(23~25年)のデータと比較した。その結果、いずれも震災後は著しく成功率などが低下していることが分かった。
 また24年に空間線量を測定した13営巣地全てで繁殖成功率が低下。0・1マイクロシーベルト上昇で最大10%の繁殖成功率低下につながると試算された。
 
 遠藤代表は「原発事故の2、3年目に影響が出ていることから、オオタカが食物連鎖で外部被曝(ひばく)だけではなく、内部被曝している可能性もある」と指摘。「今後も引き続きモニタリング調査を続けて推移を見守りたい」と話した。また村瀬准教授は「特定の県に限らない広域の調査が必要」としている。
 

官邸前抗議行動 丸3年 142回

 毎週金曜日の夜雨の日も雪の日も首相官邸前「原発いらない」「再稼働反対」と訴えてきた抗議行動(反原連主催27日に3年を迎え、行動の回数は延べ142回になりました。
 
 しんぶん赤旗が参加した人たちに「思い」を聞きました。
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原発ゼロ その日まで 官邸前3年
しんぶん赤旗 2015年3月28日
 27日に3年を迎えた首都圏反原発連合(反原連)の首相官邸前抗議行動。毎週金曜日の夜、雨の日も雪の日も、「原発いらない」「再稼働反対」と訴え続けてきた人たちの思いは―。
 
後悔から行動
 ■東京都清瀬市の女性(56)
 原発事故が起きたときに感じた「なんで何もしてこなかったのか」という後悔が、官邸前に足を向けさせています。原発は制御できないとわかった今、原発をとめるのは、つくった者の責任です。安倍政権の思い通りにさせてはいけない。
 
しぶとく参加
 ■埼玉県富士見市の女性(46)
 福島第1原発事故が起きた時の、声をあげずにはいられなかった怒りと悲しみの気持ちを今でも覚えています。官邸前で抗議行動が続いていることは、すごく大事なことです。これからも自分のペースで、しぶとく参加し続けていきたい。
 
微力でも声を
 ■横浜市の男性(44)
 再稼働は正気のさたとは思えません。地震やテロが起こったら、福島の原発事故と同じようなことが起こる。原発を動かせば、放射性廃棄物が増え、これからの世代の負担がどんどん重くなる。微力でも声をあげていくことが大事です。
 
走る「脱原発」
 ■札幌市の男性(69)
 とにかく、原発反対の行動を続けていかないとだめです。官邸前行動には、10回参加しています。マラソンが趣味で、大会に出るために東京にきたときに必ず参加しています。走るときは「脱原発」のゼッケンをつけてアピールしています。
 
どんなときも
 ■神奈川県大和市の男性(74)
 2年以上、官邸前行動に参加しています。官邸前では、寒いときも、暑いときも、若い人が毎週、がんばっている。私たちが声をあげなくなったら、政府は何をするかわからない。これからも参加し、訴え続けたい。
 
声は確実に広がっている
反原連の音響担当 若林一彦さん(62)
 福島第1原発事故から4年がたちましたが、放射能汚染水や核廃棄物など、未解決の問題が山積みです。そのような中で原発再稼働を狙う政府の姿勢は、決して容認できません。
 安倍政権は原発推進だけでなく、どの問題でも、独善的な施策を進めています。これをいかに崩していくか。なによりも、「原発は重要なベースロード電源」だとするエネルギー基本計画は、何としても撤回させないといけないと思います。
 デモ行進すると、街の反応がとても好意的に感じます。表だって声を出していない人たちにも、「原発はいらない」という世論は確実に広がっているのではないでしょうか。
 約1年半もの間、稼働原発ゼロの状況が続いており、原発がなくても電気は足りているんだということを、もっと多くの人たちに知らせていきたい。
 1986年に起きたチェルノブイリ事故が、原発に反対する運動を始めたきっかけです。生きとし生けるものの命を脅かし続ける原発はどこにも必要ありません。
 自分は官邸前で音響を担当しています。参加者から「スピーチがよく聞こえる」と言われるのが、励みになっています。原発ゼロの社会を目指して、これからも頑張っていきましょう。
 
世論と運動が追い詰める
 首相官邸抗議行動は、だれでも自由に参加できる定例行動として、原発に反対する国民世論を目に見える形で示してきました。
 首都圏反原発連合(反原連)が官邸前行動を始めた3年前は、野田民主党政権でした。この年の夏には、関西電力大飯原発(福井県)に反対して、参加者は20万人という空前の規模になりました。こうした運動の広がりのなか、民主党政権は「2030年代に原発稼働ゼロ」を掲げざるをえなくなりました。
 
 2012年12月に誕生した安倍自民・公明政権は、エネルギー基本計画で、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ、原発推進に逆戻りし、九州電力川内原発(鹿児島県)、関西電力高浜原発(福井県)を突破口に再稼働に突き進んでいます。
 しかし、どの世論調査でも、再稼働反対が5~6割を占め、本紙の調べで、原発反対の定例行動は46都道府県279カ所にのぼります。反原連は、原発をなくす全国連絡会、さようなら原発1000万人アクションとともに、「反原発統一行動」を5回行い、共同を広げています。
 
 稼働原発ゼロの状況が1年半、続いています。「この状況をつくりだしているのは、3年間にわたって毎週金曜日に首相官邸前行動を続けてきた首都圏反原発連合のみなさんをはじめとする国民の世論と運動の力です」。日本共産党の志位和夫委員長は、8日の「反原発統一行動」でこう語りました。世論と結んだ粘り強い運動が安倍政権を追い詰めています。
 
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「原発なくせ」「再稼働反対」と抗議の声をあげる人たち=2月27日、首相官邸前
 
 

原発がある状態では人間の未来はない 大江健三郎さん +

 「『さようなら原発』1千万署名市民の会」主催講演会で、呼び掛け人のノーベル賞作家大江健三郎さんが「原発がある状態では人間の未来はない、という態度を継いでいかないといけない」と語りました

+東京新聞の記事を追加
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「原発ある状態、未来ない」 大江健三郎さんが講演会で
北海道新聞 2015年3月28日
 東京電力福島第1原発事故から4年が過ぎたが、風化はさせない―。脱原発を訴える市民団体が28日、東京都新宿区で講演会を開き、呼び掛け人のノーベル賞作家大江健三郎さんが「原発がある状態では人間の未来はない、という態度を継いでいかないといけない」と語った。
 
 知識人でつくる「『さようなら原発』1千万署名市民の会」が主催。大江さんは、集まった約1400人に「(安倍晋三首相は)原発について楽天的で、何も未来を考えていない。私たちは考え方の根本が同じで、強い信頼を感じる」と強調した。

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「一千万署名市民の会」講演会 大江健三郎さん訴え
東京新聞 2015年3月29日
 脱原発を訴える知識人らでつくる「『さようなら原発』一千万署名市民の会」は二十八日、東京都新宿区の新宿文化センターで講演会を開き、呼び掛け人の作家大江健三郎さんが集まった約千三百人の聴衆に、脱原発や再稼働反対を訴えた。
 
 大江さんは、ルポライター鎌田慧さんの著書などを紹介し「私たちの首相は原発について非常に楽天的。私たちが今何をしなくてはならないか。(さまざまな人が)原発のある状態では人間の未来はない、特に日本の未来はない、と根本のところで同じ声を発してきた」と述べた。
 
 福島県いわき市議で、東京電力幹部らを業務上過失致死傷容疑で告訴・告発した福島原発告訴団副団長の佐藤和良さんは、福島第一原発事故で今も十二万人が避難している現状を報告。「復興を考えると、原発事故が誰の責任で起きたのか明らかにするべきだ。あきれ果てても諦めないことが大切」と訴えた。
 
 京都大原子炉実験所の今中哲二助教は、事故直後に大変な汚染が起きているのに情報が出てこなかったために、福島県飯舘村に調査に入ったと説明。「日本も放射能汚染に向き合う時代になった。こんなにたくさんの原発を造ったことがそもそもの間違いだった」と語った。
 
 

2015年3月28日土曜日

柏崎刈羽原発、全号機停止から3年

 柏崎刈羽原発が全号機停止して26日で3年を迎えました。
 
 敷地内外の断層については、17日に現地調査が行われましが、その結果はまだまとまっていません
 規制委でいま「フィルター付きベント」が本格的に議論されているということで、どのような性能のものになるのか注目されます。
 スウェーデンの原発のフィルター付きベントは5階建てほどの円形の建物に収められているといわれます(朝日新聞)が、柏崎刈羽のそれは既設の建物の地下階に設置されると聞いています。環境への放射能の放出を格段に減じるための設備がそんなチャチなものでいいのでしょうか。
 過酷事故時の放射能の拡散予測は2015年度をめどに行うことが決まりました。
 
 泉田知事は「福島事故の検証と総括をしないうちは再稼働の議論はしない」との立場を貫いていて、避難計画などを特に急ごうとはしていません。
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柏崎刈羽原発、全号機停止から3年
新潟日報 2015年3月26日
 東京電力柏崎刈羽原発が全号機停止して26日で3年を迎えた。原子力規制委員会による6、7号機への新規制基準の適合性審査はスピード感を増しているが、審査の終了時期は見通せず、ソフト面でも避難計画など課題は山積する。産業・経済界を中心に地域経済が冷え込んでいるとして再稼働を求める声が強まる一方で、不安感を訴える声も根強い。
 
 規制委による審査で論点の一つとなっている敷地内外の断層については、17日に現地調査が行われた。規制委は今後、敷地内外の断層が活断層かどうかや重要施設に与える影響などについて評価する。発電所設備については焦点の「フィルター付きベント」が本格的に議論されている。
 
 泉田裕彦知事は「福島事故の検証と総括をしないうちは再稼働の議論はしない」との立場を崩していない。県が独自に福島第1原発事故を検証する「県技術委員会」の審議もまだ途上だ。24日、2015年度をめどに放射性物質の拡散予測を示すことが決まり、一定の前進を見せたが、詳細な内容はまだ決まっていない。
 
 地元では経済界を中心に「3・11の東日本大震災以降、企業向けの電気料金が上がった。これでは中小企業が収益を上げようとしても難しい」などの声が上がる。
 
 一方、再稼働に反対する人や、原発の安全性を不安視する人も多い。「再稼働なら、3・11を踏まえた実効性のある避難計画が最低限必要だ」と訴える住民もいる。
 

またしても原発のコストを安く見せようとしている

 経産省は原発の発電コストを見かけ上安くしようと、種々の算段を始めました。
 
 まず現行の事故の確率=40年に1回 を更に下げようとしています。
 原発事故時の補償の費用や原状回復の費用はそのまま原発のコストの構成要因なので、事故の確率が下がるほどコストは小さくなります。
 しかし、地震国であるにもかかわらず、原発の基準地震動は必要な値の数分の1しかとっていません。従って再稼動させるべきでもなく、勿論事故の確率を下げるべきでもありません。
 福島の現実を見ても、地震で送電用の鉄塔は倒れる、(海水)冷却水ホンプは瞬時に止まるというありさまでした。冷却水ホンプは竪型の長軸の吊下げ型ポンプであるため、地震の震動で破損したものと思われます。
 
 更に金くい虫の「もんじゅ」の技術開発費を原発コストから外し、原発に関する将来に向けた研究費も除外しようとしています。それらが原発関連でないとしたら一体何なのでしょうか。一体どういう名目で処理しようというのでしょうか。
 いかなる方法をとろうともそれがゴマカシであることは明らかで、偽りの原発コストが出来上がるだけのことです。
 
 あれほどの大事故を起したばかりなのに、こんな風にして事故前に原子力ムラが作り上げていた「欺瞞」にまた戻ろうとしています。
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「もんじゅ」技術開発費、原発コストに含めず 経産省
朝日新聞 2015年3月27日
 原発の発電コスト計算から高速増殖炉の原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の技術開発費が除外される見通しとなった。経済産業省が26日開いた、原発や再生可能エネルギーなど電源ごとの発電コストを再検証する「発電コスト検証ワーキンググループ(WG)」で、方針に異論が出なかったためだ。
 
 この日のWGでは、将来に向けた研究費は、いまの発電コストに含めるべきではないとの意見でまとまった。前回2011年の民主党政権下では、それまで含んでいなかった原発立地のための交付金や研究費といった「政策経費」も加えることにした。この時の政策経費は、11年度の予算をもとに年間3182億円かかると試算して、発電コストは1キロワット時あたり1・1円上昇した。
 
 このうち「もんじゅ」を含めた将来に向けた技術開発費は1401億円と半分近くを占めた。今回の算定で使われる今年度予算では、「もんじゅ」を運営する日本原子力研究開発機構の運営交付金が955億円などとなっており、こうした費用が除外の対象になるとみられる。今後、経産省は除外する費用を積み上げるが、前回の1キロワット時あたり8・9円以上とした原発コストの押し下げ要因になる。
 
 一方、前回試算で「約40年に1回」とした事故の発生確率は結論が出ず、これからの焦点になる。委員からは「原発の安全対策をしているのに事故リスクが下がらないのは、つじつまが合わない」とする意見や、「前回も世界最高水準の安全対策をとることが前提だった。確率を変えるのは反対だ」という意見もあり、割れた。
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「原発事故の確率減」 コスト抑制 経産省強調
東京新聞 2015年3月27日
 経済産業省は26日、発電方式ごとにかかるコストを検討する有識者会合を開き、原発で発電する場合に必要なコストの計算方法について話し合った。経産省は福島第一原発のような事故が起きる確率を、前回試算より低く見積もる案を提示。原発に必要なコスト全体を抑えることにつながる提案で、委員から反対意見があがり、まとまらなかった。
 
 二〇一一年の前回試算では、原発の建設から廃炉までの費用のほか、使用済み核燃料の再利用計画にかかる費用や、政府が自治体に配る交付金なども考慮。この結果、一キロワット時の発電に必要なコストを「最低八・九円」とし、政府は「原発は低廉」と主張してきた。
 
 この「最低八・九円」には震災後に電力各社が行った安全対策費や、福島第一原発と同じ規模の事故に備えた費用も一定の条件で推計して含まれている。原発事故の確率は四十年に一回起きる想定になっている。
 
 しかし現在は安全対策費も事故処理費用も当時の想定を大幅に超え、原発コストの上昇要因になっている。これに対し経産省は「安全対策が進んだのだから、事故が起きる確率は低くならなければおかしい」(幹部)と主張。この日の会合で配った資料に、事故の発生頻度が「低減すると予想される」と書き込み、これが「反映されるような算定根拠を考える」と提案した。
 
 委員の中には「個人的には事故の確率は半分ぐらいになっている感覚だ」(山名元・京都大教授)と安易に同調する意見もあった。
 
 これに対し植田和弘京都大教授は「安全対策の効果を算出できるなら事故の確率を下げてもいいが、できないなら(注釈などの)記述で済ませるしかない」と主張するなど意見が割れ、この日は結論を見送った。
 
 
「もんじゅ」技術開発費、原発コストに含めず 経産省
朝日新聞 2015年3月27日
 原発の発電コスト計算から高速増殖炉の原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の技術開発費が除外される見通しとなった。経済産業省が26日開いた、原発や再生可能エネルギーなど電源ごとの発電コストを再検証する「発電コスト検証ワーキンググループ(WG)」で、方針に異論が出なかったためだ。
 
 この日のWGでは、将来に向けた研究費は、いまの発電コストに含めるべきではないとの意見でまとまった。前回2011年の民主党政権下では、それまで含んでいなかった原発立地のための交付金や研究費といった「政策経費」も加えることにした。この時の政策経費は、11年度の予算をもとに年間3182億円かかると試算して、発電コストは1キロワット時あたり1・1円上昇した。
 
 このうち「もんじゅ」を含めた将来に向けた技術開発費は1401億円と半分近くを占めた。今回の算定で使われる今年度予算では、「もんじゅ」を運営する日本原子力研究開発機構の運営交付金が955億円などとなっており、こうした費用が除外の対象になるとみられる。今後、経産省は除外する費用を積み上げるが、前回の1キロワット時あたり8・9円以上とした原発コストの押し下げ要因になる。
 
 一方、前回試算で「約40年に1回」とした事故の発生確率は結論が出ず、これからの焦点になる。委員からは「原発の安全対策をしているのに事故リスクが下がらないのは、つじつまが合わない」とする意見や、「前回も世界最高水準の安全対策をとることが前提だった。確率を変えるのは反対だ」という意見もあり、割れた。
 

2015年3月27日金曜日

原発爆発後の写真公表を枝野官房長官(当時)が叱責

 政府は26日、福島原発事故をめぐ政府の事故調査・検証委員会「聴取結果書(調書)」のうち12人分を新たに公開しまし
 それには、1号機原子炉建屋が2011年3月12日水素爆発したときの写真を公表したことで、枝野幸男官房長官から清水正孝社長が叱責された経緯が記されているということです。
 官邸の隠蔽体質を示すものです。
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原発爆発後の写真公表で叱責 事故調12人分の調書公開
東京新聞 2015年3月26日
 政府は26日、東京電力福島第1原発事故をめぐり、政府の事故調査・検証委員会が関係者を聴取した「聴取結果書(調書)」のうち12人分を新たに公開した。公開は6回目で、計236人分となったが、事故当時の東電経営陣の調書は今回も公開されなかった。
 
 このうち東電福島事務所の松井敏彦所長(当時)は、1号機原子炉建屋が水素爆発した2011年3月12日、爆発後の写真を独断で公表した経緯を説明。公表を知った枝野幸男官房長官から清水正孝社長が叱責され、松井氏も本店担当者から「なぜ勝手に出した」と言われたという。(共同)
 

原発事故時の報道規制の実態

 武田邦彦氏が音声ブログで、福島原発事故時のNHKなどの報道ぶりを詳細に説明しました。
 概要が文字化されていますので以下に紹介しますが、音声では9分弱にわたりより詳細に説明しています。
 下記のURLをクリックすれば動画がスタートします(形式は動画ですが、実際は音声のみです)。
 
 結論は、政府の報道規制によるものか、あるいはマスコミの自主規制なのかは不明ですが、結果として中国の天安門事件の時よりももっと酷い報道規制が行われたということです。
 このときは民主党の菅内閣でしたが、なぜ日本ではいちばん報道が必要なときに報道が行われなくなるのでしょうか。
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原発を再開する前の準備(2)
 報道とパニック 
 武田邦彦 2015年03月26日  
福島原発一号機の最初の爆発映像はNHKで見た。ところがそれに続いた3号機の爆発映像は先進国から流れてくる映像だった。そして4号機はアラブのアルジャジーラしか私は見ることができなかった。
 
それは私の人生でも衝撃的事件だった。日本に生まれ、情報は自由、表現の自由が守られていると信じてきたからだ。しかし実際は中国の天安門事件の時より報道規制か、あるいはマスコミの自主規制は厳しかった。
 
私はIAEA(国際原子力機関)を経由して、日本の気象庁から出された福島の風向きを知った。日本では発表されていなかったばかりか、NHKは風向計の故障を理由にして風向きを国民に知らせず、気象学会の会長は気象学会の会員たちに風向きを発表するなと通達した。
 
さらに、風向きによって放射性物質がどのように飛散しているか、ドイツ、イギリス、ノルウェーの気象庁のホームページからデータを得た。日本からは日本人の健康を守る風向きは発表されず、報道されず、スピーディーの情報は隠された。
 
今では「被曝など平気だ」という人が多いが、政府、自治体、マスコミの人は相当、怖かったのだろう。そして何をすれば良いのか、国民よりむしろ政府や専門家の方がパニックになっていたように思う。
 
それから4年。なぜ報道を規制したのか、まだ理由の説明がない。一つの理由は「パニックが起こるから」ということだが、事実を知らせることによってどのようなパニックが想定されたのか、それも述べられていない。報道の倫理も崩れた。マスコミ各社は記者やカメラマンを福島から引き上げ、そして「安全です」を繰り返した。
 
それ以後、日本の報道は「事実を報道するとバッシングされるか、政府から意地悪をされるので、視聴者に危険がそれほどでもないときだけ報道し、本当に危険が迫ったら報道を避ける」ということになった。
 
原発を再開するなら、次の時にはマスコミはどのように報道するのか、パニックというのはなにか、など準備をしておかなければならないことは多い。また福島の事故の時には地震で停電し、現地ではテレビも止まり、寒さもひどく、携帯の充電もできず、ガソリンもない・・・という状態に陥った。
 
まず報道をどうするか、そして報道にも接することができない国民をどうするかなどを決めなければならない。 (平成27年3月13日)