2016年12月31日土曜日

31- 東通原発が建設凍結でも 事業報酬22億円/年を電気料金に

 事実上建設を凍結している東通原発(工事進捗率9.7%で凍結)を資産(約760億円)に含めて、事業報酬率2.9%を掛けた22億円を毎年電気料金に含めていたことが分かりました。2012年以降の4年間では88億円になります。
 東電は、「事業報酬事業に必要なコストとして料金に含めることを認められている」として、電気料金への算入を止めるつもりはないということです。
 要するに電力会社にとっては「打ち出の小づち」である総括原価方式を既得権?として今後もそれに拘るということで、経産省が一方で電力自由化を叫びながら他方では競争原理が働かないような仕組みを作っていることの反映といえます。常識で考えれば明らかにおかしい話です。
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建設凍結でも料金転嫁 東通原発、年22億円 稼働見通し立たず・東電
 時事通信 2016年12月30日
 東京電力が建設を事実上凍結している東通原発1号機(青森県)を資産として扱い、株式配当などに充てる「事業報酬」として年22億円を電気料金に含めていることが30日、東電への取材で分かった。
 建設中の施設を資産に含めて計算し、電気料金に算入することは認められているが、東電は完成や稼働の見通しが全く立たない原発の分も含めて契約者に転嫁していたことになる。
 福島第1原発事故を受け、東電は業績が大幅に悪化。2012年5月、電気料金の値上げを経済産業省に申請した。家庭向けは平均で846%増と決まり、同年9月に値上げを実施した。
 
 東電によると、この時の値上げ審査で、建設途中の東通原発を資産として料金原価を計算し、認められた。事業報酬率29%を掛けた年22億円が電気料金に含まれている。
 値上げから4年が経過し、契約者の負担は88億円を超える計算だ。東電は16年3月期まで3期連続で黒字決算となっているが、料金原価から東通原発の事業報酬を除外する予定はないという。
 東電の東通原発1号機は、11年1月に本体工事を開始。2カ月後に福島第1原発事故が発生し、進捗(しんちょく)率97%のまま建設はストップした。隣接する東北電力東通原発を現地調査した原子力規制委員会の調査団からは、東電の敷地内に活断層が延びているとの指摘も出た。
 
 東電は取材に対し、東通原発の事業報酬について「事業に必要なコストとして料金に含めることを認められている」としている。建設工事に関しては「立地地域をはじめ、社会の皆さまのご意見、当社の経営状況を踏まえ決定する」と説明した上で、「(10年の)設置許可時点で考慮すべき活断層はないと認められた」と主張している

2016年12月30日金曜日

東芝粉飾決算 その背後では核兵器開発の動き

 日本の体制側は心中、戦後一貫して核兵器の保有を目指していました。勿論平和憲法の理念に反することです。
 米国はレーガン政権の時に、日本がアメリカからプルトニウム分離装置を買い取ったり、「常陽」に引き続いて「もんじゅ」でプルトニウムの分離を行うことを許容しました。
 そして核燃料の再処理工場の建設が計画された際には、関係者はそれが核兵器の開発につながることを隠しませんでした。
 
 しかし「もんじゅ」を巡っての度重なる不手際と莫大な国費の無駄遣いへの国民の非難の高まりの中でついに廃炉に向かわざるを得ないことになりました。それは誤算であった筈ですが、原子力ムラのメンバーが只引き下がる筈はありません。
 当面はフランス政府が計画している高速炉ASTRIDに資金(全額!!)を拠出して共同研究に参画したり、もんじゅの前段階使われた実験炉常陽活用しつつ、いずれは新たな高速炉の建設を目指しています。
 
 櫻井ジャーナルはそうした経過を概観しつつ、年末に明らかにされた東芝の数千億円に上るという大赤字の背景にはこれらの流れとの関係がある筈だとして、国がこの問題がどう決着させるのか注目されるとしています。
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原子力にのめり込んでいる東芝の粉飾決算が問題になっているが、
その背後では核兵器開発の動き
櫻井ジャーナル 2016年12月29日
 東芝が2017年3月期の決算で数千億円規模の減損損失を計上する可能性があるという。 前期にも同社は2500億円程度の減損処理を実施しているが、そうした事態を招いた最大の原因は原子力部門である。2006年2月に東芝はイギリスのBNFL(British Nuclear Fuels Limited/英国核燃料会社)からウェスティングハウス・エレクトロニックを54億ドルで買収したが、この取り引きが原因で2年後には粉飾決算を始めることになったようだ。
 
 こうした事実が公表される直前、安倍晋三政権が高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃炉と新たな高速炉開発する方針を固めたと報じられた。もんじゅには36年間で1兆0410億円がつぎ込まれたが、計画は全く進んでいない。もっとも、計画が進んでいたなら日本を死滅させるリスクを飛躍的に増加させていたはずで、不幸中の幸いと言えるかもしれない。
 
 もんじゅの計画にはアメリカの事情が反映されている。ジミー・カーター政権は核分裂性物質の管理を強化する政策を推進、1978年に成立した原子エネルギー法は、アメリカで作られた核物質を外国がどのように輸入し利用するかを厳しく制限するものだった。その結果、議会は国境を越える原子炉用核燃料の輸送に承認を与えなければならなくなる。
 しかし、次のロナルド・レーガン政権は違った。新型核弾頭の設計や、増殖炉の開発に取り組んでいる科学者たちに資金を注ぎ込んだのだ。そうした計画の中心がクリンチ・リバー渓谷にあったエネルギー省オークリッジ国立研究所の施設。1980年から87年の間に160億ドルが投入されたと言われているが、アメリカの経済状況が悪化したこともあって87年に議会はクリンチ・リバーへの予算を廃止してしまう。
 
 調査ジャーナリストのジョセフ・トレントによると、そこで登場したのが日本だった。クリンチ・リバーの計画を推進していたグループはそこで開発された技術を日本の大手電力会社へ千分の一の値段で移転したのだ。
 日本が核兵器の開発を進めていると確信していたCIAはこうした動きを警戒するが、内部に入り込むことはできなかった。IAEAがアメリカ支配層に逆らうことも難しいだろう。それだけ増殖炉に絡んだ人脈は強力だということを意味している。日本とアメリカの科学者は共同で研究を始め、資金は日本の電力会社が出したという。
 その過程で日本側が第1に求めたのは核兵器用プルトニウムを量産してきたサバンナ・リバー・サイトにあるプルトニウム分離装置その装置が運び込まれることになるのは、東海再処理工場に付属する施設として1995年に着工されたRETF(リサイクル機器試験施設)だ。プルトニウムを分離/抽出する施設だ。
 
 こうした目論見をもんじゅの廃炉で諦めるつもりはないようで、文科省はもんじゅ内に新たな試験炉を設置する方針もまとめ、安倍政権はもんじゅに代わる新しい高速炉の開発に着手する方針を確認した。もんじゅで得る予定だったデータはフランス政府が計画している高速炉ASTRIDに資金を拠出して共同研究に参画したり、もんじゅの前段階の研究に使われた実験炉の常陽を活用するつもりのようだ。
 こうした動きの源は核兵器を持ちたいという日本支配層の欲望にあると言えるだろう。原子力ビジネスによって私腹を肥やしたいという思いも強いだろうが、カネ儲けだけなら原子力である必要はない。
 
 以前にも書いたことがあるが、日本の核兵器開発は第2次世界大戦の時代までさかのぼることができる。そうした研究開発にはふたつの流れがあり、そのひとつは理化学研究所の仁科芳雄を中心とした陸軍の二号研究、もうひとつは海軍が京都帝大と検討していたF研究だ。陸軍は福島県石川郡でのウラン採掘を決め、海軍は上海の闇市場で130キログラムの2酸化ウランを手に入れて1944年には濃縮実験を始めたという。
 
 1945年に入るとドイツは日本へ約540キログラムの2酸化ウランを潜水艦(U234)で運ぶ計画を立てるが、途中でアメリカの軍艦に拿捕されてしまう。日本側は知らなかったようだが、アドルフ・ヒトラーの側近だったマルチン・ボルマンは潜水艦の艦長に対し、アメリカの東海岸へ向かい、そこで2酸化ウランを含む積み荷をアメリカ海軍へ引き渡すように命令していたという。(Simon Dunstan & Gerrard Williams, “Grey Wolf,” Sterling, 2011)その結果、このUボートに乗り込んでいた日本人士官は自殺、積み荷はオーク・リッジ(=米国原爆開発研究所へ運ばれたとされている。
 
 NHKが2010年10月に放送した「“核”を求めた日本」によると、1965年に訪米した佐藤栄作首相はリンドン・ジョンソン米大統領に対し、「個人的には中国が核兵器を持つならば、日本も核兵器を持つべきだと考える」と伝えている。1967年には「動力炉・核燃料開発事業団(動燃)」が設立され、69年に日本政府は西ドイツ政府に対して核武装を持ちかけた
 この提案を西ドイツは拒否するものの、日本側は核武装をあきらめない。10年から15年の期間での核武装を想定、核爆弾製造、核分裂性物質製造、ロケット技術開発、誘導装置開発などについて調査、技術的には容易に実現できるという結論に達している。
 
 原爆の原料として考えられていた高純度のプルトニウムは、日本原子力発電所の東海発電所で年間100キログラム余り、つまり長崎に落とされた原爆を10個は作れると見積もっていた。
 1977年になると東海村の核燃料再処理工場(設計処理能力は年間210トン)が試運転に入るのだが、山川暁夫は78年6月に開かれた「科学技術振興対策特別委員会」で再処理工場の建設について発言、「核兵器への転化の可能性の問題が当然出てまいるわけであります」と主張している。実際、ジミー・カーター政権は日本が核武装を目指していると疑い、日米間で緊迫した場面があったという。
 
 ウェスティングハウス・エレクトロニックなどアメリカやイギリスの核関連会社の買収が経済的に危険だということは東芝の経営者も承知していただろう。だからこそ、日本企業が買収できるのだ。そうしたリスクがあっても買収したい理由があったはずだ。東芝の救済がどのような形で行われるか、興味深い。 

30- 唐津市長選へ 脱原発派の志佐治徳氏が政策を発表

 1月の唐津市長選への出馬を表明している市議の志佐治徳28日、政策を発表し、「玄海原発は再稼働を許さずに廃炉を求める考えで、慎重姿勢の近隣市長らと連携し、県知事に再稼働を認めないように申し入れる」と訴えました。
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出馬の志佐氏「原発の再稼働認めない」
佐賀新聞 2016年12月29日 
 来年1月の唐津市長選への出馬を表明している市議の志佐治徳(はるのり)氏(69)=厳木町=が28日、市役所で政策を発表した。玄海原発は再稼働を許さずに廃炉を求める考えで、慎重姿勢の近隣市長らと連携し、「県知事に再稼働を認めないように申し入れる」と訴えた。
 
 不正・腐敗を許さない市政を目指す市民団体「唐津しゃんとする会」とともに政策をまとめた。市が発注・契約する案件をチェックする第三者委員会の設置や、政治倫理審査会が辞職勧告などができるように罰則規定を設ける政治倫理条例の改正などを主張する。
 このほか、少人数学級の実現、市役所支所(市民センター)の機能強化などを掲げた。志佐氏は政治信条として「企業・団体献金は受け取らない。憲法を暮らしの中に生かし、住民こそ主人公の唐津市政にする」と語った。

2016年12月29日木曜日

福島児童甲状腺がん 2巡目で確定44人 1巡目と合計145人に

 原発事故発生時18歳以下の福島県民を対象とした甲状腺検査において、2巡目の本格検査(9月末現在)で確定がんとされた人は44人(6月末時点から10人増)、がんの疑いあり24で、合計68人となりましたこのうち1巡目の検査で「問題なし」とされていた人は62人でした。
 1巡目の検査と合わせて受診者約27万人中、がんと診断された人は145人に達しました。これは100万人中537人の発症率となり異常に高率です。(注.福島事故以前は100万人中1~2人と言われていました)
 
 国や県はがんが極めて効率で発症していることについて、これまで「スクリーン効果(多人数を対象とした検査)」によるものとか検査機器の精度が向上したから(とか不要な手術を行った)などということを言い訳に使ってきましたが、それは2巡目で新規に44人のがんが確定し、18人ががん疑いに転化したことに対しては通用しません。それににもかかわらず県の検討委が、「現時点で放射線の影響は考えにくい」と従来と同様の見解を示したのは全く理解できません。
 
 また日本財団が県に対して行ったという、「今後は希望者だけを検査すればよい」という提案も大間違いであり、今後も引き続き全員を検査してがん患者の発生に備える必要があることが明らかになりました。
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甲状腺がん・・計44人に、2巡目検査で新たに10人 県民健康調査
福島民友 2016年12月28日    
 県と福島医大は27日に開かれた県民健康調査検討委員会で、原発事故発生時18歳以下の県民を対象とした甲状腺検査を巡り、2巡目の本格検査(9月末現在)で新たに10人が甲状腺がんと診断され、累計44人になったと報告した。がんの疑いは24人。
 
 「がん」や「がん疑い」は前回報告(6月末時点)から9人増の計68人で、このうち62人が1巡目の先行検査で「問題なし」と診断されていた。検討委は「現時点で放射線の影響は考えにくい」と従来と同様の見解を示している。
 検査では原発事故直後から3年目までの先行検査と、2014(平成26)年4月から始まった本格検査の結果を比べて放射線影響などを調べる。程度の軽い方から「A1」「A2」「B」「C」と判定、BとCが血液や細胞を詳しく調べる2次検査に進む。本格検査は14年度に25市町村、昨年度は34市町村で行い、約27万人が受診した。
 
 「がん」や「がん疑い」と診断された68人のうち62人が先行検査でA1、A2と診断され、5人がB判定、先行検査未受診が1人だった。68人の内訳は男性31人、女性37人で腫瘍の大きさは5.3~35.6ミリで事故当時の年齢は5~18歳。このうち事故から4カ月間の外部被ばく線量が推計できたのは35人で最大値が2.1ミリシーベルト、15人が1ミリシーベルト未満だった。
 約30万人が受診した先行検査と合わせ、これまでに「がん」と診断されたのは計145人、「がん疑い」は38人となった。

29- 原発事故と甲状腺がんの関係 第三者機関で検証へ

 福島原発事故に伴う健康影響を調べる県民健康調査検討委が、原発事故と甲状腺がんとの因果関係を科学的に検証する第三者機関の設置を県に提案しました。県は「どのような場を設ければいいか国とも相談しながら検討していきたい」と、設置に向け検討に入る方針です
 
 これまで県の検討委は福島児童の甲状腺がん検査結果を報告する度に、判でついたように患者の多発について「現時点で放射線の影響は考えにくい」と述べてきました。しかしそんな政治的な発言を真に受ける人はほとんどいなかった筈です。当の県や国もそうだったのではないでしょうか。
 
 従って検討委に放射能の影響についての判断を委ねるのは全く無意味であり、星座長が言うとおり、「中立、科学的な立場で甲状腺がんへの放射線の影響を評価できる組織に判断を委託」するしかありません。
 問題はその人選であり、県や検討委の意向を忖度するようなメンバーであれば無意味です。人選を行う県がそこまで腐っていないことを祈るのみです。
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「第三者機関設置」提案 原発事故と甲状腺がん  科学的に検証
福島民友 2016年12月28日 
 東京電力福島第1原発事故に伴う健康影響を調べる県民健康調査検討委員会は27日、福島市で会合を開き、原発事故と甲状腺がんとの因果関係を科学的に検証する第三者機関の設置を県に提案した。県の井出孝利保健福祉部長は「専門家がいる学会や国際機関を含め、どのような場を設ければいいか国とも相談しながら検討していきたい」と述べ、設置に向けた検討に入る方針を示した。
 
 星北斗座長(県医師会副会長)は会合で「中立、科学的な立場で甲状腺がんへの放射線の影響を評価してもらうことが県民の理解につながる」と提案した。ただ、人選や議論の方法などは示されていない。
 検討委の評価部会は昨年3月、甲状腺がんについて「放射線の影響は考えにくい」との中間報告をまとめている。しかし識者からは、中間報告を肯定、否定する両論があり、第三者機関で新たな評価を得たい考えがあるとみられる。
 星座長は検討委や評価部会でも継続して検証を進めるとした上で「第三者としての意見をいただき、それをベースにまた考えたい」と述べた。
 
 一方、県に対しては甲状腺検査の手法を巡って規模縮小を含めた見直しや拡充を求める両論の要望が出ている。検討委は前回会合から検査の在り方について議論を始めており、第三者機関の評価が議論にも影響する可能性がある。

2016年12月28日水曜日

28- 甲状腺がん検診「縮小」にノーベル賞の益川教授らが怒りの反論!

 福島児童の甲状腺検査を巡り、日本財団会長 笹川陽平)が12月9日、福島県庁を訪れ、「検査を自主参加にすべき」とする提言書を内堀雅雄知事に提出しました。それに対して内堀知事は「大事な提言として受け止める」とし、提言を参考に県民健康調査検討委員会で議論を尽くす考えを示しました。まるで提案を待っていたかのような対応でした。
 
 同財団9月に福島市で主催した甲状腺に関する国際専門家会議での議論を踏まえて提言したとされていますが、その国際会議では「福島県ではスクリーニング(集団検診)により甲状腺がんが見つかっている」とか、感度の高い機器を使った検査で多数のがんが見つかる「過剰診断」というおなじみの主張も行われましたが、ベラルーシから呼ばれた専門家ヴァレンティナ・ドロッツ氏は「早期診断が非常に重要」と指摘し、ロシア国立医学放射線研究センターのヴィクトル・イワノフ氏も「福島でも、今後10年20年以上データを取り続ける必要がある」などと発言し、会議の結論として “縮小” を提言できるというようなものではありませんでした。
 
 従ってその後3カ月ほど沈黙していたのですが、突然12月9日に会議を主催した日本財団から、会議内容とはかけ離れた “検査縮小” との提言が福島県に提出されました。日本財団は別に医学の専門家集団を持っているわけではないので、そんな主張をする資格は持っていません。
 同財団安倍政権に近いと言われているので、福島県や福島県民健康調査検討委員会には好都合な提案でしたが、そんなわけでとてもまともに扱えるようなものではありません。
 
 しかし公然と県に提案された上に県も「大事な提案」だとしているので、放置しておくと悪影響を及ぼす惧れがあります。
 20日、ノーベル賞受賞者の益川敏英氏や、物理学者の沢田昭二・名古屋大学名誉教授らが福島県に甲状腺検診は「自主参加」による縮小でなく、拡大・充実すべきです」とする緊急の申し入れを行いました
 LITERAの記事を紹介します。
 
       (関係記事)
12月13日 甲状腺検査 自主参加にと提言 危険な考え
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福島の子ども甲状腺がん検診「縮小」に
ノーベル賞の益川教授らが怒りの反論!
一方、縮小派のバックには日本財団
LITERA 2016.12.26.
「甲状腺検診は「自主参加」による縮小でなく、拡大・充実すべきです」
 福島県で増え続ける子どもたちの甲状腺がんについて、12月20日、ノーベル賞受賞者の益川敏英氏や、物理学者の沢田昭二・名古屋大学名誉教授らが福島県にこんな緊急の申し入れを行った。
 
 本サイトでも何度も指摘しているが、福島原発事故以降、深刻さを増していのが健康被害、特に福島県の子どもたちの甲状腺がんの多発だ。今年9月に公表された 「福島県民調査報告書」によると、福島県の小児甲状腺がん及び疑いの子どもたちが前回より2人増えて合計174人と膨大な人数となっている。こうした発表が出るたびに、増え続ける甲状腺がんの子どもたち──。
 しかし政府や有識者会議、電力会社は「被曝の影響は考えにくい」などと非科学的態度、抗弁を続けている。しかも、現在、福島では子どもたちの甲状腺検査を縮小しようという異常な事態が進んでいるのだ。
 こうした動きに危機感を持ち、立ち上がったのが益川氏らだったのだが、提言は当然だろう。
 
 そもそも縮小の動きが明らかになったのは今年8月、地元紙福島民友に掲載された「県民健康調査検討委員会」の星北斗座長のインタビューだった。星氏はここで、甲状腺検査の対象者縮小や検査方法の見直しを視野に入れた議論を検討委で始める方針を示したのだ。星氏といえば、これまでも「現時点では福島で見つかった甲状腺がんは原発事故の影響とは考えにくいなどとその因果関係を否定してきた人物だが、さらにこれに同調するように、9月には福島県の小児科医会が、検査規模の縮小を含めた検査のあり方を再検討するよう県に要望を行っている。
 子どもたちの甲状腺がんが大幅に増え続けている以上、検診や治療体制の拡充を早急に図るべきだと考えるが、なぜかそれに逆行する “検査の縮小” が叫ばれ画策されていったのだ。
 
 こうした動きについて昨年、甲状腺がんの発生率は平均の50倍にもなり、今後もその増加は避けられないと、政府や医学界を批判した環境疫学の専門家である津田敏秀・岡山大学大学院教授もこう警告している。
「福島県ならびにその周辺の自治体では、甲状腺がんが桁外れに多発しています。そして、それは事故による影響でしか考えられない著しい多発です。過剰診断もスクリーニング効果も、チェルノブイリ周辺地域の同年齢程度の低曝露人口集団で行われた検診によりすでに否定されています。もし、この多発が事故による多発でなく、過剰診断やスクリーニング効果だとしたら、チェルノブイリ周辺地域での甲状腺がんの多発も事故による影響でなくなります。すでに、2巡目も桁違いの多発です。2巡目の多発は過剰診断もスクリーニング効果も意味をなしません。過剰診断もスクリーニング効果も、医学的根拠は一切示されていません。むしろ既存の医学的根拠に反します」
 また甲状腺患者が作る「311甲状腺がん家族の会」や、様々な団体が異議を表明。9月に行われた県民健康調査検討委員会でも、多くの委員から「縮小」はあり得ないとの発言が相次いだほどだ。
 
 ところが、こうした“縮小阻止”の動きに対して巻き返しが起こる。それが9月に開催された、笹川陽平・日本財団会長主催の国際専門家会議「福島における甲状腺課題の解決に向けて〜チェルノブイリ 30 周年の教訓を福島原発事故5年に活かす」だった。
 この会議には事故後、「100ミリシーベルトは大丈夫」「ニコニコ笑っている人には放射線の害は来ません」「福島県は世界最大の実験場」などトンデモ発言を繰り返す“縮小”派の代表格である山下俊一・長崎大学副学長も出席していたが、 “縮小” 派は科学的根拠をほとんど示さないまま曖昧な議論に終始した。
 
 さらに、議論は日本側の思惑とは真逆なものでもあった。たとえばベラルーシから呼ばれた専門家ヴァレンティナ・ドロッツ氏は「早期診断が非常に重要」と指摘し、ロシア国立医学放射線研究センターのヴィクトル・イワノフ氏も「福島でも、今後10年20年以上データを取り続ける必要がある」などと発言、 “縮小” を提言できるとは到底思えない結果となった。
 注目された同会議での提案だったが、しかし “縮小” を提案できる内容ではなかったためか、その後、3カ月ほど沈黙が続いた。ところが12月10日、会議内容とはかけ離れた“検査縮小”との提言が福島県に提出されたのだ。
 この会議を取材した新聞記者はその背景についてこう証言する。
「そもそもこの会議は2011年から毎年行われていますが、これまでも事故や健康被害を小さく見せるような議論が多かった。安倍政権に近い日本財団が、放射能被害を小さく見せようと、この会議を催しているのではないか、という見方もあるほどでした。今回も最初から検査縮小の結論ありきだった。ですから “縮小” の結論を無理やり出すのに、調整に時間がかかったのでしょう。提言にはドロッツ氏やイワノフ氏の名も入ってはいませんでした」
 実際、提言には “健康調査と甲状腺検診プログラムは自主参加であるべきである” などと国際機関や学会にはあるまじき “言い逃れ”の言葉さえ記されている。
 
 まさにトンデモ提言なのだが、しかし12月10日付福島民友によると、提言書を渡された内堀雅雄福島県知事は「大事な提言として受け止める」とし、提言を参考に27日に予定される県民健康調査検討委員会でも議論を尽くす考えを示したという。会議は国際的機関でも学会でもないにもかかわらずだ。
 というのも今年1月、世界的権威がある国際学会「国際環境疫学会」が、現状を「憂慮している」として県民の健康状態を記録・追跡し、原発事故によるリスクをさらに解明する手段を取るよう国や県に要請、専門家組織として調査活動を支援する意向も示した書簡を政府と福島県に送付した。しかし国と県双方が、この提言を無視している。また、前述した津田敏秀教授らが事故とがんの因果関係を指摘した論文も、現在でも無視されたままだ。
 
 まさに恣意的で性急としかいいようがないが、これが現在進行しつつある “甲状腺がん検査縮小” の動きなのだ。結局、政府や県、電力会社、そして「検討委員会」や原発利権に連なり群がる専門家たちも、福島の子どもたちの健康など一顧だにしていない。それどころか健康被害を “なかったこと” にしようとさえしている。さらにこうした異常な事実をマスコミもまたほとんど報じてさえいない
 
 益川氏らが緊急申し入れを行ったのも、これら一連の動きに危機感を持ったことだった。本当に福島の子どもたちの健康を考えれば、それは当然だ。ここに申し入れ書の全文を掲載しておく。
 
福島県知事への申し入れ 
甲状腺検診は「自主参加」による縮小でなく、拡大・充実すべきです
 2016年12月20日
 呼びかけ人
  益川敏英 名古屋大学素粒子宇宙起源研究機構長
  池内 了  総合研究大学院大学名誉教授
  沢田昭二 名古屋大学名誉教授
  島薗 進  上智大学教授
  矢ヶ崎克馬 琉球大学名誉教授
  松崎道幸  道北勤医協旭川北医院院長
  宮地正人  東京大学名誉教授
  田代真人  低線量被曝と健康プロジェクト代表(事務局)
 
 笹川陽平 日本財団会長(委員長)、喜多悦子 笹川記念保健協力財団理事長、丹羽太貫 放射線影響研究所理事長、山下俊一 長崎大学理事・副学長、Jacques Lochard 国際放射線防護委員会副委員長、Geraldine Anne Thomas インペリアル・カレッジ・ロンドン教授らは2016年12月9日、第 5 回放射線と健康についての福島国際専門家会議の名で、「福島における甲状腺課題の解決に向けて~チェルノブイリ 30 周年の教訓を福島原発事故 5 年に活かす~」と題する「提言」を福島県知事に提出しました。
 
 東日本大震災による福島第一原発事故と小児甲状腺がんの関連を検討するために行われてきた小児の甲状腺検診で、これまで170名以上の小児甲状腺がんおよびその疑い例が発見されています。
 「提言」の要は、「検診プログラムについてのリスクと便益、そして費用対効果」の面から、「甲状腺検診プログラムは自主参加であるべきである」という事です。「提言」は、あれこれの理由をあげて「甲状腺異常の増加は、原発事故による放射線被ばくの影響ではなく、検診効果による」などと述べています。
 
 私たちは、以下に示した諸点の検討結果から、福島県民健康管理調査において発見された小児甲状腺がんが、専門家の間でも様々な意見があるものの、放射線被ばくによって発生した可能性を否定できないこと、そして、今後の推移を見る事が重要で、甲状腺検診を今まで以上にしっかりと充実・拡大して継続する必要があると考えます。
 
 検診は2011年10月から始まりました。発がんまでは数年かかるという前提で、事前に自然発生の甲状腺がんの有病率を把握する目的で先行調査が開始されました。その結果、予想以上に甲状腺がん有病者が発見されましたが、今後は本来の目的である事故による影響で、甲状腺がんの増加の有無を調査するために検診は継続すべきです。検査を縮小すべき医学的な根拠はありません。検診の原則の一つはハイリスクグループを対象とすることです。今回の福島原発事故による放射性ヨウ素による被曝は検診対象となるハイリスクグループの子供達を生み出したものであり、検診は継続すべきです。
 
 放射線誘発悪性新生物の発生は医学的には長期的に続くものと考えられており、今後も長期的な検査体制の続行が望まれます。事故後6年を経過しようとしていますが、高校を卒業し就職したり大学に進学したりして福島県外に出る18歳以上の人達も県外で甲状腺の検査が受けられるような処遇・体制の整備が必要です。こうした問題も含めて、国の責任で原発事故の放射線被曝による健康影響を最小限に抑え健康管理を促進するために、福島県とその周辺地域の住民に健康管理手帳の支給を国に申し入れるべきだと考えます。
 
 益川氏らのこの至極真っ当な“声”が社会に広がることを祈りたい。(松崎太陽)

2016年12月27日火曜日

相馬農高飯舘校が最優秀 東北高校演劇大会

 25日に紹介した相馬農高飯舘校演劇部は、福島県高校生の東北演劇大会で最優秀賞に輝きました。また物語を手掛けた顧問の西田直人教諭は創作脚本賞を受賞しました。
 
 劇の題は、「学校再開」をテーマにした「-サテライト仮想劇-いつか、その日に、」で、創部3年で全国大会の出場権を得ました。全国大会は来年8月に仙台市で開かれます。
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相農飯舘が最優秀 東北高校演劇、初の全国へ
福島民報 2016年12月26日
 東北地区高校演劇発表会の最終日は25日、いわき市のアリオスで開かれ、相馬農飯舘校が最高賞の最優秀賞に輝いた。創部3年目で初の全国大会の出場権を得た。
 同校は福島市の福島明成高にサテライト校を置いている。作品はいつか自分たちの学校が飯舘村に戻り、なくなってしまうかもしれない状況に揺れる生徒の心情を表現した「-サテライト仮想劇-いつか、その日に、」。サテライト校の現状と、大人の事情に振り回される子どもたちの不器用な感情がリアルに表現されていた-と高い評価を受けた。顧問の西田直人教諭(47)が物語を手掛け、創作脚本賞も受賞した。
 県大会では2位の優秀賞第1席だった。部員は悔しさをばねに、せりふや演技への思いの乗せ方に主眼を置いて練習に取り組んだという。全国大会に向けてさらに表現力を磨く。部長の菅野千那さん(2年)は「自分たちの素直な気持ちを全国の舞台で披露し、知ってもらいたい」と意気込んでいる。
 東北地区高校演劇協議会、全国高校演劇協議会の主催、県高校文化連盟の共催。小名浜は優秀賞、大沼は優良賞だった。全国大会は来年8月に仙台市で開かれる。

27- 横浜市立小学校 原発避難生徒いじめ問題

 原発事故で福島県から横浜市に自主避難した男子生徒がいじめを受けていたのに、学校や市教育委員会が適切に対応していなかったことが11月に発覚した問題は全国から注目され、以降はそれなりに学校と市教委の対処は進んでいる筈ですが、被害者とその家族の学校と市教委に対する憤りはまだ収まっていません。何故なのでしょうか。
 
 「年の瀬 記者ノート」として、産経新聞が「原発避難者いじめ」の問題を取り上げました。
 産経新聞はこの問題に精力的に取り組んでいて、文中にもありますが連日報じてきたと言うことです。記者の思い入れも強いようで、11月25日には「義憤の報道?」もしています。
 産経新聞の記事を紹介します。
 
   (関係記事)
11月26日 原発避難いじめ 両親・代理人の会見内容を産経新聞が詳報
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原発避難いじめ…「いままでなんかいも死のうとおもった
  …でもぼくはいきる」 その「思い」、大人は守れるか?
産経新聞 2016年12月26日
 東京電力福島第1原発事故で福島県から横浜市に自主避難した同市立中学1年の男子生徒がいじめを受けていたのに、学校や市教育委員会が適切に対応していなかったことが11月に発覚した問題。本来、校長や市教委などとの話し合いの中で解決できればと願っていた本人と両親の思いは何度も裏切られ、最終的にメディアを通じて訴えざるを得なかったことが、全国的な反響につながった。
 
 男子生徒は、小学2年で市内に家族で移った後、すぐにいじめが始まり、その後、不登校、復学、さらにいじめ、と続き、男子生徒が心安らかに学校に通える貴重な時間は失われた。
 両親は、学校や市教委に何度も掛け合ったが、なかなか動かず、問題を根深いものにしてしまった。代理人弁護士らから説明を受ければ受けるほど、初期段階で解決策を見いだせなかったのか、疑問を抱かずにはいられなかった。
 両親の要請で生徒のいじめを調査した市教委の第三者委員会が11月に、学校側の対応を「教育の放棄」と断罪する報告書をとりまとめたことで、男子生徒、保護者にとってようやく一つの区切りを迎えることとなった。
 
 しかし、この報告書の「いじめの経緯」を市教委がなかなか公表しようとしない。男子生徒らが代理人を通じて、メディアに訴えたのは、それが理由だった。
 
◆直接の取材困難
 「いままでなんかいも死のうとおもった。でもしんさいでいっぱい死んだからつらいけどぼくはいきるときめた」
 男子生徒は、平成26年に友人に現金で総額約150万円を渡すことになった際の自身の思いを27年7月に手記にまとめ、今後、同じような思いをする人がでないよう、代理人を通じて公開した。ノートに直筆で書かれたメッセージは、胸を打つものがあった
 
 後日、新潟市で発覚した、同じく福島県からの自主避難者のいじめ事案では担任教諭が謝罪したのに、男子生徒側には謝罪がないということにも「新がたのいじめをテレビで見たけど、あっちは学校の先生があやまっているけど、どうしてこっちはあやまってくれない」と学校に対する不信感を拭えずにいた。
 今夏に発生した、「津久井やまゆり園」での殺傷事件も被害者の実名報道ができず、家族などへの接触も困難を極めた。今回のいじめ問題も、代理人などを通じて情報は入るものの、直接、本人や加害者側には接触しにくく、「本当の思い」に肉薄することはかなわず、連日報じながらも、なかなか実感がわかない面があったのも事実だ。
 
◆子供の味方に
 代理人の黒沢知弘弁護士は横浜市教委の対応について、「弁護士の介入があってなお、重大事案にしない、というのは、危機管理の感度が低いといわざるを得ない。他都市の市教委と比べても、表に出そうとしない体質が強いという印象」と話す。
 今回、林文子横浜市長が、学校長やスクールソーシャルワーカーらを集め、聞き取り調査を実施するなどの踏み込んだ対応をする中で、林市長は、スクールソーシャルワーカーの増員や適正配置などを検討するとしたが、スクールソーシャルワーカーが本当に子供の味方になれるかどうかも重要だ。
 黒沢弁護士も「スクールソーシャルワーカーに関しては、学校ぐるみの隠蔽(いんぺい)を防ぐためにも外部の人間が入り、学校内を常に見て回って、子供のSOSを敏感にキャッチできる人を置かなければ意味がない。対応は当該学校の外部の人間であれば、教育経験のあるボランティアでも良いのではないか」と指摘する。
 
 長期間、問題を放置した学校や市教委の対応の検証や、今後同じような事態を繰り返さないための議論はこれからとなる。
 男子生徒が公開した手記に書かれていた「ぼくはいきる」という前向きな思いを、今度こそ、周りの大人が本気で守ることができるか。そして、再発防止に向け、市や市教委、学校現場が本気で対応するような体制にできるか。
 今後も取材を通して、しっかり見守っていきたい。(那須慎一)
いじめ再発防止検討委員会
 原発避難いじめ問題で、横浜市教育委員会が学校や市教委の対応を検証するために設置し、12月15日に第1回会合を開催した。検討委は、市教委の教育次長をトップに、市教委事務局の部課長級ら10人のほか、市の担当者らも参加。今後、関係部局や外部有識者の意見をまとめ、林文子市長が主催する「総合教育会議」を開催し、来年3月中に再発防止策をまとめる方針。

2016年12月26日月曜日

誰の責任だ 原発が爆発したからだ

 私たちは原発事故からの避難者に対して偏見を持っていないつもりでいても、避難者の皆さんの心情までは理解し切っていません。被災者たちにしても、きっとそんなに簡単に吐露できるような状況には置かれていないでしょう。
 少なくとも そうしたことを絶えず意識する・・・そういうことに努めたいものです。
 自主避難者の「よう氏」のツイッターが「晴耕雨読」に掲載されましたので紹介します。
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誰の責任だ? 原発が爆発したからだ この野郎
よう氏 ツイッターから     
(晴耕雨読 12月25日より転載)
次の住居を探さなきゃいけないなんて裕福地帯に紛れこんでしまったのだろう家賃給料の半分持っていかれるじゃないか。
生活基盤がやっと出来上がったばかり。
便利を取るか貯蓄を諦めるかそもそも何の為にここに居るんだ選んだのは自分。
誰の責任だ?
原発が爆発したからだこの野郎 
 
避難しなかった層の一部の方々は福島知事が自主避難者に対応する必要はないと声高に叫ぶ。
いまだに被災者同士の分断に乗っかってる。
5年前と何ら変化はない。
自主避難して迷惑かけたか?
言われる筋合いは全く無い。
 
本格的に困ってる方々は生きるのに必死でツイッターですら声を出せない 
原発避難関係の事は毒にはなっても、薬にはならないと判断したので避けていたのですが「自主避難者への中傷」にトラウマスイッチがあるようで…それを打破する為に書きますね。
避難関係の事呟くの何年ぶりだろうか。
あまりにも理解の無い人が多すぎるなぁと感じました。
 
自主避難者の一意見 仕事有り。
原発補償も無い無収入状態で、どうやって生活できると言うのでしょうか。
自主避難の理由は事故直後、避難命令が出たからです。
ですが原発から30km内の避難区域から外れ、僅か500mの距離の差で30.5kmのグレーゾーンに値し、一ヶ月で避難解除となりました。
 
実家が第一次産業の仕事でしたので、放射能被害を考慮し、稼業を辞める事を決断。
その時点で無収入。
避難所を転々とたらい回しにされ、避難移転数は総数7回。
世帯人数が多かったので一時期は家族バラバラに避難していた時期もありました。
避難先を転々と移動、現在の仮住居に至る。
 
避難後しばらく後から貰えた僅かばかりの事故補償、それと貯蓄を切り崩しながら就職活動と並行で資格を3つ取得、就職出来たのは2年め。
避難移動期間も含め、原発事故から3年近く経過していました。
唯一頼りの綱だったのが無償住宅。
家賃が浮いた分を無きものとし、全て次の移動の為の貯蓄に回しました。
 
事故直後、家族がぼそっと話した一言、「今は被災者として扱われているけれど、4、5年もしたら被災者には見られなくなる。矛先はこっち側に向かってくるからな。」
現に、その通りのようです。
問題なのは、そんな事よりもこれから先のこと。
有り難いことに偶然にもとても恵まれた環境に住まわせて頂き感謝ですが、まさに5年め、やっと安定した矢先にまた移動しなければなりません。
 
この辺りに住み続けるには平均家賃は○○万円ほど。
人口密度過多で少しでも安い物件がどんどん決まっていく。
世の中本当に不景気なのか?と錯覚すら覚えます。
お金は寂しがりだから、お金のあるところに集まる。
というような光景をたくさん目にしました。
 
ただ、はっきりと言えるのは、私みたいなケースばかりじゃないってこと。
自主避難により、年齢的に難しく再就職困難な方や、持病、母子家庭で生活困窮しながら生活している人も実際に居るってこと。
なぜそういう人達に思いを寄せられないのだろう、なぜ、非難ばかり一人前なのに想像すら出来ないのだろうか。
 
原発事故で死んだ人は居ないと言い切ってる人達、実際に生活出来なくて首を括られた人、孤独死した人、そういう人が何人もいるのに。
上から言葉を投げ掛ける人達、自分が同じ立場に、無になってしまったとしたら同じ言葉が言えるのだろうか。
報道では都合が悪いからやらないか、載ってもほんの小さな片隅に追いやられてる記事。
復興復興の文字で隠れてしまった。
 
ネットでどんな言葉も投げ掛けるのは簡単。
投げ掛けた先には体温のある、血の通ってる人間がいてどんな人が目にするのかわからない。
自分が見たときに、心が軽くなるような言葉に思いを馳せたいし、自分自身もそうありたい。
正直者が馬鹿を見るような世の中は間違ってるし、努力した者が救われる世であってほしい。
その為にはまず自分自身、そして縁ある周りの人達のささやかな幸せから願っていかなきゃ。ね