2014年7月31日木曜日

埼玉県 原発避難者集計で半数の約2400人が漏れ落ち

 福島原発事故の避難者について、埼玉県はこれまで2640人としていましたが、今月、県内全市町村に把握人数を照会したところ5044人となり、最大約2400人の漏れがあったことが分かりました。
 県はこれまで、県と二十数市町が提供している応急仮設住宅の入居者のみを避難者として集計してきました。それでは多数の落ちがあるのは明らかなことで、県内の避難者支援団体が2013、14年の2回、独自に県内全63市町村に聞いたところ、当時の県発表の1.72倍になり「県発表は過少ではないか」と指摘していまし
 
 集計されなかった人たちは基本的に自主避難者で、さらに漏れ落ちている人も多数いるとみられます。そして予防接種など医療・教育をはじめとした行政情報、避難者支援情報などが伝わっていない恐れがあります。いずれにしても誠にお粗末な話です。
 
 関西学院大松田曜子准教授は、「避難者に生活上の不利益が生じないよう行政は避難者の実態を把握しなければならない。埼玉県だけの責任ではなく、国が統一のルールで避難者を定義付けず、自治体任せにしているのは大きな問題だ」と批判しています
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原発避難:2400人把握せず…埼玉県集計 国の基準なく
毎日新聞 2014年07月30日
 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の避難者について、埼玉県が今月、県内全市町村に把握人数を照会したところ、従来集計に最大約2400人の漏れがあったことが分かった。国が避難者の定義や人数の集計方法を示していないため、同県はこれまで独自に、県や一部市町が無償提供している仮設住宅の入居者のみ避難者として集計し、一部市町にしか定期的な照会をしてこなかった。復興庁は「他の都道府県にも把握できる限り多くの数字を出すよう伝えたい」としている。【日野行介】
 
 埼玉県への避難者数を巡っては、県内の避難者支援団体が2013、14年の2回、独自に県内全63市町村に聞いたところ、当時の県発表の1.72倍になり「県発表は過少ではないか」と指摘していた。今回の増加分は基本的に自主避難者で、居住把握が困難でさらに漏れ落ちている人も多数いるとみられ、予防接種など医療・教育をはじめとした行政情報、避難者支援情報などが伝わっていない恐れもある。
 
 県消防防災課は今月8日、県内全市町村に避難者数を照会。県は6月に避難者数を2640人としていたが、回答を単純集計すると5044人となった。このうち公営住宅への入居が新たに確認できた人を含む2992人を復興庁に暫定数として報告。残る約2000人は自費で賃貸住宅に入居している人などとみられ、市町村に再照会する。
 
 県はこれまで、県と二十数市町が提供している応急仮設住宅の入居者のみを避難者として集計。集計表を添付したメールを毎月、当該市町にだけ送り、変更があれば連絡を求めていた。
 
 今回は仮設住宅の入居者以外も避難者に含めたが、確実に把握できている人数を回答するよう市町村に要請。このため、複数の自治体の担当者は取材に「ずっと照会を受けずフォローできていないので『不明』と回答するしかなかった」と明かした。避難者が特に多いさいたま市も福島県の一部自治体からの避難者のみを回答した。
 
 県消防防災課によると、12年4月に業務を別の課から引き継いだ際、仮設住宅の入居者を全市町村に照会したのを最後に、一部市町にしか照会していなかった。渋沢陽平課長は「(仮設の入居者という)根拠のある数字にこだわりがあった。発想の切り替えができなかった」と釈明した。
 
 復興庁は毎月1回、都道府県からの情報を基に全国の避難者数を公表しており、7月10日現在で24万7233人。
 
松田曜子・関西学院大災害復興制度研究所准教授の話 
 避難者に生活上の不利益が生じないよう行政は避難者の実態を把握しなければならない。埼玉県だけの責任ではなく、国が統一のルールで避難者を定義付けず、自治体任せにしているのは大きな問題だ。
 

福島原発トレンチに氷投入 1日約15トン、凍結目指す

 福島原発の2号機タービン建屋海側トレンチの凍結止水工事が難航している問題で、東電は30日、汚染水の水温を下げるため、トレンチと2号機タービン建屋の接続部に、1日当たり約15トンの氷の投入を始めました
 2週間程度投入を続け、水温の下がり方を確認しながら凍結を目指します
 当初は5トン程度の投入を予定していましたが、凍結に至らないので3倍ほどに増やすものです。依然として行き当たりばったりの感は否めません。
 
 追記) 記事によって同じ箇所をトレンチと呼んだりトンネルと呼んだりしていますが、ユーテリティー配管や電源ケーブルなどを複数本 敷地内に這わせるためのコンクリート製溝(通常は鉄板またはコンクリート製の蓋付き)を一般に(配管・ケーブル用)トレンチと呼びます。
     地中を通す必要があるときは一部がトンネル構造になりますが、トレンチの一部をなすものと見てそのままトレンチと呼ぶこともあります。
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東電、原発トレンチに氷投入 1日約15トン、凍結目指す
東京新聞 2014年7月30日
 東京電力福島第1原発の海側トレンチ(電源ケーブルなどが通る地下道)の凍結止水工事が難航している問題で、東電は30日、汚染水の水温を下げるため、トレンチと2号機タービン建屋の接続部に、1日当たり約15トンの氷の投入を始めた。
 2週間程度投入を続け、水温の下がり方を確認しながら凍結を目指す。
 
 4月末以降、凍結管を設置している接続部で冷却を始めたが、トレンチ内の汚染水が十分に凍らなかった。このため今月24~28日に、計約8トンの氷と、少量のドライアイスを投入。氷による水温低下の効果が確認されたため、継続的な投入を決めた。(共同)
 

2014年7月30日水曜日

川内原発の火山影響評価についての質問事項

 「原子力規制を監視する市民の会」が「川内原発の火山影響評価についての質問事項」(729日政府交渉用)を公表しているので紹介します。
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川内原発の火山影響評価についての質問事項
        (2014年7月29日政府交渉用)
原子力規制を監視する市民の会
<資料要求>
 燃料体を原発から遠く搬出するために必要な冷却期間について、国内の全原発それぞれについてわかる資料
 
<質問>
1.運用期間中に設計上対応不可能な火山事象が生じる可能性について
 (1)運用期間は何年と想定して審査を行ったのか。
 (2)審査書案に、「鹿児島地溝全体としてのVEI7以上の噴火(注:カルデラ噴火)の平均発生間隔は約9万年」としているが、九州電力は補正申請で主張する「周期性」は認めないということか。であれば、運用期間中にカルデラ噴火の活動可能性が十分低いことの論拠にはならないのではないか。
    九電補正申請 「活動間隔は約9万年の周期性を有している」
    規制委審査書案 「平均発生間隔は約9万年」
 (3)審査書案に、「Dritt et al.(2012)がVEI7以上の噴火(注:カルデラ噴火)直前の100年程度の間に急激にマグマが供給されたと推定している知見」について、サントリーニ島のミノア噴火のたった一度の事例が、南九州における次のカルデラ噴火にも適用できるとする根拠は何か。
 (4)(3)の件につき、適合性審査会合において、九州電力は、サントリーニ島の事例と並べて、ロングバレー火山の事例(Gualda et al.(2012):500~3,000年程度の間に急激にマグマが供給されたと推定している知見)を挙げていたが、これは適用しないのか。
(5)(3)の件につき、2014年3月19日の適合性審査会合において、島﨑委員長代理は、日本の事例で、万年オーダーで供給された事例があれば立地不適となる旨発言したところ、九州電力は、問題のカルデラで岩石学的調査を準備中であると述べ、5月13日の適合性審査会合においても調査中であるとの発言があった。この調査はどうなったのか。この調査結果を見たうえで審査すべきだと考えるが如何か。
 (6)現規制庁のJNESが実施した第2回火山検討会(2013年10月)において、姶良カルデラの岩石学的調査について検討されたようだが、これの内容について明らかにされたい。
2.カルデラ噴火の兆候把握時の対処方針について
 (1)兆候を把握した場合の対処方針について、申請者(九州電力)は、どのような兆候に対してどのように対処する方針なのか、判断基準と具体的な対処について明らかにされたい。それをどのように審査したのか。これらについて、審査書案に記載がないのはなぜか。
 (2)(1)について、保安規定に書き込ませるつもりであれば、その文案を含めてパブリックコメントにかけなければ意味がないのでないか。
 (3)「燃料体等の搬出等」の「等」は何を指すのか。
 (4)燃料体の搬出について、これに何年かかるとの想定で審査したのか。
 (5)川内原発の場合、燃料体を原発から遠く搬出するために必要な冷却期間は何年と把握しているか。
 (6)燃料体等の搬出等が可能な状況で兆候の把握ができることが前提になっているが、これは何によって保証されるのか。
3.辻元清美提出6月18日付の2本の質問主意書に対する6月27日付政府答弁書について
 (1)「『火山の専門家』はいない、ということで間違いないか」という質問に対し、「原子力規制委員会の委員及び職員は、火山影響評価に係わる安全研究の推進、学術論文の収集等を通じて、火山に係わる国内外の知見の蓄積に努めているところである」と回答しているが、要はいないということで間違いないか。
 (2)「カルデラ噴火については、その前兆を捉えた例を承知しておらず、噴火の具体的な発生時期や規模を予測することは困難である」と回答しているが、燃料体の搬出にかかる年月を考慮すると、噴火の具体的な発生時期や規模が予測できなければ、燃料体の搬出などできないと考えるがいかがか。
 (3)「一般論としては、噴火の規模によっては、地下からのマグマの供給量が大きく増加すると考えられるところ、地殻変動等の監視を行うことにより、噴火の前兆を捉えることが可能な場合もあると考えられ」と回答しているが、これは噴火の前兆を捉えることができない場合もあると読めるがそれで間違いないか。
 (4)「原子力規制委員会としては、火山影響評価ガイドに不備があるとは考えていない」と回答しているが、火山ガイドが兆候の把握を前提にしていることについて、火山学者から批判の声が上がっているのは承知しているのか。これについてどのような検討を行っているのか。
    火山学者の指摘の例
   我々は巨大噴火を観測したことがない。どのくらいの前兆現象が起きるか誰も知らない。」(火山噴火予知連絡会会長:藤井敏嗣氏/朝日新聞5/8)
   火山影響評価をめぐる原子力規制委員会の基準は、できもしないことをできるかのように定めている。結果的に国民にうそをつくことになりかねない。」(日本大学教授(火山地質学):高橋正樹氏/南日本新聞6/12)
   カルデラ噴火に至る時間的プロセスもわかっていない。それなのに大規模噴火の前兆を捉えられるという話にすり替わった」「規制委が要請すべきは、燃料を運び出す余裕をもってカルデラ噴火を予測できるモニタリングのはず。それは無理だと規制委にコメントしたが、全然通じていない。」(東大地震研究所教授:中田節也氏/南日本新聞6/12)
 (5)「ご指摘の片山審議官の発言は、事業者が火山活動のモニタリングを実施する段階で火山活動の活性化の兆候が見られた場合に事業者による火山活動のモニタリング結果の妥当性を原子力規制委員会が判断する際の基準について、新規制基準に係る適合性審査とは別に、火山に関する専門家を交えて検討を行っていく必要があるとの趣旨を述べたものである。」との回答について
   ①原子力規制委員会が判断する際の基準を専門家会合で決めるということか。
   ②原子力規制委員会が判断する際の基準がなければ、事業者が兆候を把握した場合の判断基準の妥当性について審査ができないと考えるが如何か。
   ③専門家を交えての検討は、審査書を確定させる前に実施すべきではないか。
4.田中委員長が「規制委・規制庁がリードする」としたカルデラ噴火の調査について
 (1)いつどのように実施するのか。
 (2)調査には専門家は加わるのか。
 (3)調査は、審査書を確定させる前に実施すべきではないか。
以上
 

最終処分場 調査差し止めへ提訴も 加美町

 指定廃棄物の最終処分場の受け入れに一貫して反対している加美町の猪股洋文町長は28日処分場建設のための詳細調査を国が反対を押し切って行う場合、調査の差し止めを求め提訴することも視野に対応する方針を明らかにしました。
 これまでも加美町の反対を押し切って受け入れる調査受け入れるという話はありましたが、25日の福島県内の市町村長会議で、石原環境相が全市町村の意見集約を一任し村井嘉浩知事が、会議後、加美町の反対を押し切って調査を受け入れる可能性について「選択肢としてはある」と話したことが背景にあります
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最終処分場 調査差し止めへ提訴も
河北新報 2014年7月29日  
 指定廃棄物の最終処分場建設をめぐり、加美町の猪股洋文町長は28日の定例記者会見で、町が受け入れを拒否する詳細調査を国が反対を押し切って行う場合、調査の差し止めを求め提訴することも視野に対応する方針を明らかにした。
 猪股町長は「調査を強行すれば町民が黙っていない。法的手段も含め、あらゆる手段を講じる」と強調。「候補地の選定過程に大きな問題があるのは明らか。訴えるべき理由は間違いなくある」と述べた。
 調査受け入れをめぐっては25日に仙台市であった県内の市町村長会議で、石原伸晃環境相が村井嘉浩知事に全市町村の意見集約を一任し了承を得た。村井知事は会議後、加美町の反対を押し切って受け入れる可能性について「選択肢としてはある」と話していた。
 意見集約を村井知事に一任した石原氏について、猪股町長は「加害者の国が被害者の県に押し付けるのは責任放棄だ」と批判。廃棄物処理の枠組みを定めた放射性物質汚染対処特別措置法と、同法に基づき各県処理を定めた国の基本方針の見直しを求めた。
 次回市町村長会議の前に、村井知事が調査受け入れを求め、3候補地の首長と会談する考えを示したことに対し「知事が私を説得できるはずがない。何を持って説得できるのか理解できない」と語った。
 

敦賀原発30キロ圏、避難に最長15時間超 

 県内4カ所の原発を有している福井県は、29日、そのいずれかで重大事故が起きた際、原発30キロ圏の住民が車で圏外に避難するのにかかる時間は、日本原電敦賀原発で事故が起きた場合最長で、15時間50分かかるという推定を公表しました。
 
 避難弱者への対応その他、詳細はまだ不明です。
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福井、住民避難に最長15時間超 敦賀原発30キロ圏
東京新聞 2014年7月29日
 福井県は29日、県内4カ所の原発のいずれかで重大事故が起きた際、原発30キロ圏の「緊急防護措置区域(UPZ)」の住民が車で圏外に避難するのにかかる時間を推計、最長は日本原子力発電敦賀原発で事故が起きた場合15時間50分とのシミュレーション結果を公表した。
 
 4原発の30キロ圏には、滋賀県や京都府、岐阜県の一部地域も含まれるが、福井県民の避難のみを対象とした。
 
 福井県は、事故が起きる時間帯を日中と夜間の2パターン想定。季節は春秋と夏、冬の3ケースを考慮した。(共同)
 

2014年7月29日火曜日

川内原発再稼働「反対」59% 朝日新聞調査(詳報)

 朝日新聞が26、27日に実施した世論調査で、九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)の運転再開について尋ねたところ、「賛成」は23%で、「反対」の59%が大きく上回りました
 
 速報に続き、詳報が載りましたので、原発に関する箇所を抜粋して紹介します。
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川内原発再稼働「反対」59% 朝日新聞世論調査
朝日新聞 2014年7月28日
 朝日新聞社が26、27日に実施した全国世論調査(電話)で、九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)の運転再開について尋ねたところ、「賛成」は23%で、「反対」の59%が大きく上回った。
   (中 略
 川内原発については、原子力規制委員会が7月16日に新たな規制基準を満たすと認めており、九電が地元の同意などを得れば、10月にも再稼働が可能になる。しかし、調査では再稼働に「反対」が「賛成」を引き離した。内閣支持層や自民支持層でも「反対」が半数近くを占め、「賛成」を上回った。
 
 今回の調査では、現在停止している原発を再稼働しないと経済に悪い影響が出るかどうかも聞いたところ、「悪い影響が出る」は42%、「そうは思わない」は43%と、意見が割れた。
 
世論調査―質問と回答〈7月26、27日実施〉  
 
(数字は%。小数点以下は四捨五入。質問文と回答は一部省略。◆は全員への質問。◇は枝分かれ質問で該当する回答者の中での比率。〈 〉内の数字は全体に対する比率。丸カッコ内の数字は7月4、5日の調査結果)
 
   (中 略
◆原子力発電についてうかがいます。いま停止している鹿児島県の九州電力川内原発の運転を再開することに賛成ですか。反対ですか。
   賛成    23     反対    59
◆いま停止している原子力発電所の運転を再開しないと、経済に悪い影響が出ると思いますか。そうは思いませんか。
   悪い影響が出る    42
   そうは思わない     43
◆今後、原子力発電は、技術と管理次第では安全なものにできると思いますか。それとも、人の手に負えない危険性があると思いますか。
    安全なものにできる         25
   人の手に負えない危険性がある  63
◆安倍首相の原発政策に、福島第一原発事故の教訓が生かされていると思いますか。生かされていないと思いますか。
   生かされている      19
   生かされていない     61
   (中 略
 ◇
〈調査方法〉 26、27の両日、コンピューターで無作為に作成した番号に調査員が電話をかける「朝日RDD」方式で、全国の有権者を対象に調査した(福島県の一部を除く)。世帯用と判明した番号は3521件、有効回答は1590人。回答率45%。
 

原発の再稼働阻止を 原水禁世界大会、福島で始まる

 原水爆禁止世界大会が27日、福島市で始まりました
 原水禁世界大会を福島からスタートさせることは、福島原発事故が起きた平成23年に始まり今年で4年目を迎えました。
 
 福島大会には全国から約1300人が参加し「原発の再稼働を阻止し、政府に脱原発への政策転換に向けてかじを切らせる。フクシマを核時代の終わりにする」とするアピールを採択しました。
 
 大会は原爆の日に合わせ、広島、長崎に会場を移し8月9日まで続きます
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原発の再稼働阻止を 原水禁世界大会、福島で始まる
福島民報 2014年7月28日
 核廃絶を訴える原水爆禁止世界大会が27日、福島市で始まった。全国から約1300人(主催者発表)が参加し、「原発の再稼働を阻止し、政府に脱原発への政策転換に向けてかじを切らせる。フクシマを核時代の終わりにする」とするアピールを採択した。
 
 原水爆禁止日本国民会議(原水禁)などで構成する世界大会実行委員会の主催。本県でのスタートは東京電力福島第一原発事故が起きた平成23年から4年連続となった。
 実行委員長の川野浩一原水禁議長はあいさつで、国内原発の再稼働を進める政府の方針について「福島で(原発事故により)古里に帰れない人の苦しみを思いやる気持ちがない」と批判。広島、長崎両県でも原爆の傷が癒えていないと訴え、「断固として脱原発、核兵器廃絶、平和憲法を守る運動を貫く」と述べた。
 県平和フォーラムの角田政志代表は「福島の現状を見れば原発再稼働は到底、容認できない。われわれは原発災害を風化させないと誓う」とあいさつした。県教組福島支部の沢井和宏さんら3人が原発事故発生当時から現在までの県内の状況を説明した。
 閉会後、参加者は市内をデモ行進した。28日はフィールドワークが行われ、原発事故に伴う除染廃棄物を一時保管する伊達市の仮置き場を訪れ、除染作業を見学する。
 大会は原爆の日に合わせ、広島、長崎に会場を移し8月9日まで続く。
 

2014年7月28日月曜日

川内原発再稼働「反対」59% 朝日新聞社世論調査

朝日新聞 2014年7月28日
 朝日新聞社が26、27日に実施した全国世論調査(電話)で、九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)の運転再開について尋ねたところ、「賛成」は23%で、「反対」の59%が大きく上回った。
中 略
 川内原発については、原子力規制委員会が7月16日に新たな規制基準を満たすと認めており、九電が地元の同意などを得れば、10月にも再稼働が可能になるが、世論は「反対」が多数を占めた。
 
 調査では、現在停止している原発を再稼働しないと経済に悪い影響が出るかどうかも聞いたところ、「悪い影響が出る」は42%、「そうは思わない」は43%と、意見が割れた。しかし、原発について「技術と管理次第では安全なものにできる」と答えた人は25%にとどまり、「人の手に負えない危険性がある」と回答した人は63%にのぼった。首相の原発政策についても、福島第一原発事故の教訓が「生かされている」は19%で、「生かされていない」の61%が圧倒した。
中 略
 有効回答は1590人。回答率は45%だった。
 調査結果の詳報は29日付朝日新聞朝刊に掲載する予定です。
 

原子力防災 夜間避難、介護施設任せ 30キロ圏自治体

 原発事故で夜間に避難が必要になった時に、介護施設居住者の避難は、殆どの自治体でそれぞれの施設任せになっていることが、毎日新聞の調査で明らかになりました。
 
 ある特別養護老人ホームには認知症の人を含む高齢者約90人が暮らし、日中は介護士ら約50人が勤務していますが、夜間は7人に減るということです
 夜間に避難が必要になったときには職員を緊急招集するのが建前ですが、一般の火災などとは違い放射性物質が放出される原発事故時に、被曝を恐れる職員に、無理に子どもを家に残してでも集まれとは言えない」と、施設長は語ります
 
 そこまでは手が回らないというのが自治体の言い分ですが、そうかといって施設側にも対応能力はありません。事実上、避難弱者は放置されることになります。
 
 これまでも言われてきたことですが、やはり原発の再稼動は出来る状況にありません。
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原子力防災:夜間避難、介護施設任せ 30キロ圏自治体
毎日新聞 2014年07月27日
 介護保険施設で夜間など職員が手薄な時に原発事故で避難を迫られた場合、対応が施設任せになっている実態が、毎日新聞が原発から30キロ圏の自治体に実施したアンケートで浮かび上がった。職員を緊急招集して原則的に各施設で対応するケースが多く、自治体として対策を講じているところはわずかだった。
 
 九州電力川内原発の東約15キロにある鹿児島県薩摩川内市の特別養護老人ホーム「幸せの里」。認知症の人を含む高齢者ら約90人が暮らす。寝たきりの人や歩行器の利用者らを日中は介護士ら約50人が介護する。しかし、夜間は7人に減る。
 
 「ピコーン、ピコーン」。ナースコールのチャイムが静まり返った廊下に響く。「大丈夫ですか? 何かあったらまた呼んでくださいね」。トイレの介助などで介護士は絶え間なく各部屋を見回る。
 
 もしこんな時に原発事故で避難を迫られたら、自力で歩ける人でも介護士が支え、車やバスまで付き添わなければならない。寝たきりの人なら複数で対応する必要がある。
 
 火災などに備えた職員の緊急連絡網があり、いざという時は電話連絡で集まる。だが原発事故では、放射性物質が放出されることもある。「被ばくを恐れる職員に、無理に子どもを家に残してでも集まれとは言えない」。鹿子木(かこき)努施設長(65)は途方に暮れる。
 
 毎日新聞は6〜7月、原発から30キロ圏の21道府県と、東京電力福島第1原発事故で避難指示が出ている地域を除く125市町村に施設が手薄な時の対応方法を尋ね、施設のない自治体を除く19道府県・106市町村が回答した。
 
 「原則は施設職員に集まってもらう」(薩摩川内市)、「市でも人員不足が考えられ応援は難しい」(静岡県磐田市)など12道府県と20市町村は事実上の施設頼みで、対応方法が決まっていない4県・56市町村と合わせ7割強に上った。自治体職員を派遣すると答えたのは10市町村。残る3県・20市町村は避難せず「屋内退避」にとどめたり、国や県に協力を求めたりする。
 
 東北電力東通原発の西約20キロの青森県むつ市の特別養護老人ホーム「みちのく荘」でも、夜間は職員4人で60人に対応する。中山辰巳施設長(62)は「事故時の対応は各施設で個別に考えているが、夜間の避難はほとんど不可能」と話す。市側も「職員が手薄になる状況が考えられ、市単独で対応策を考えるのは困難」という。
 
 原子力防災に詳しい広瀬弘忠・東京女子大名誉教授は「国が防災を自治体の業務として押しつけたため、施設や自治体が追い詰められている。国が解決策を示すべきだ」と指摘する。【奥山智己、狩野智彦】
 

2014年7月27日日曜日

福島 最終処分場市町村長会議 国への不信感あらわ 

 指定廃棄物最終処分場建設についての福島県市町村長会議25日に開かれまし
 初めて出席した石原伸晃環境相は、初めのうちは「早急に調査したいというのが切なる願いで、環境省が先頭に立って頑張りたい」などと述べましたが、結局は県に35市町村の意見集約を要請、詳細調査実施の判断を委ねました
 驚いた村井知事が「ボールを私の方に投げたということですか」と確認する一幕もあったということです
 
 げたを預けられた村井知事は会議終了後、「寝耳に水だが、市町村の意向を尊重し、より民主的に決めたい考えと受け止めた」と話しました。
 県町村会長の鈴木勝雄利府町長は「何のための会議だったのか。もう一度開いても議論は同じことの繰り返しになる」との見方を示しました。
 石原氏に事態打開の指導力を期待していた首長たちからは「主体性がない」などと落胆や批判の声が出されました。
 
 国は一方的に決めたことを法令などを盾に取って強引に押し付けることは出来ても、立場によって様々に意見が分かれる問題を、市町村の納得を求めながら上手く調整する能力はないということが、ここでも証明されました。
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国への不信感あらわ 最終処分場市町村長会議
河北新報 2014年7月26日
 環境省は25日、指定廃棄物の最終処分場建設をめぐる市町村長会議を仙台市宮城野区のメルパルク仙台で開いた。県内の全首長に出席を呼び掛けた会議は半年ぶりで、出席者は国への不信感をあらわにした。初めて出席した石原伸晃環境相には、県に事態の収拾を委ねたことに批判が噴出した。環境省が求める詳細調査受け入れはめどが立たないまま、議論は次回以降に持ち越された。
 
 処分場建設候補地の栗原市と大和町は、加美町を含む3市町がそろって詳細調査を受け入れる必要性をあらためて表明。加美町は無条件に拒否する立場を説明した。
 佐藤勇栗原市長は「候補地は岩手・宮城内陸地震の大崩落地と同じ。少しの揺れで地滑りが起きる場所に造るのはおかしい」と指摘。「汚染稲わらなどを一時保管する自治体側としては早く決めてほしいという思いだ」と述べた。
 浅野元大和町長は「候補地が陸上自衛隊の演習場に近接する危険性や町内で震災がれきを受け入れた実績が考慮されなかった」と批判。「環境省から納得できる説明はないが、これまでの議論は尊重する」と語った。
 猪股洋文加美町長は「候補地は処分場建設に必要な面積を確保できない。候補地から除外すべきだ」と従来の主張を繰り返した。放射性物質汚染対処特別措置法の見直しや、廃棄物の福島第1原発への集約も求めた。
 
 県に対応を委ねた石原環境相への批判は候補地以外の首長からも上がった
 「放射能汚染対策に取り組む環境省の本気度を疑う」と切り出したのは伊藤康志大崎市長。「霞が関と現地の乖離(かいり)を感じる。地域の実情を真正面から受け止めてほしい」と強調した。
 会議後、大量の汚染稲わらを抱える登米市の布施孝尚市長は「国は3市町の疑問に答えていない。主体性が感じられず、大変不満。知事にげたを預けたのも期待外れだ」と批判した。
 県町村会長の鈴木勝雄利府町長は「何のための会議だったのか。もう一度開いても議論は同じことの繰り返しになる」との見方を示した。
 今後の展望について県市長会長の奥山恵美子仙台市長は「時間的制約がある中で、残された選択肢は何かを見極め決断しなければならない」と語った。佐藤昭塩釜市長は「(詳細調査を受け入れの条件提示など)新たな提案がないと交わるポイントは見つけにくく、解決には向かいにくい」と話した。
 
◎「水源地守れ」 市民団体、会場前デモ
 市民団体の東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センター(仙台市)と県労連は25日、宮城野区の榴岡5丁目公園で、指定廃棄物の最終処分場建設に反対する緊急集会を開いた。
 市民団体や農協などから主催者発表で約340人が参加。「水源地を守るためにも住民合意を無視した建設計画の撤回を求める」との集会アピールを採択した。
 参加者らは終了後、市町村長会議が開催されたメルパルク仙台周辺をデモ行進した。会場前に差し掛かると「環境を守れ」などの掛け声がひときわ大きくなった。