2024年4月27日土曜日

最悪を想定せず屋内退避を議論し始めた原子力規制委

 規制委は、原発事故時には道路の混雑を避けるために、5~30キロ圏内の住民は次の指示があるまで自宅退避とする」としています。
 しかし家屋の倒壊や半壊が想定され、また津波が襲来する中では自宅退避は「非現実的である」という指摘が当初からありました。元日に起きた能登半島地震で家屋の半壊が多数生じたことから、その指摘が的中したことが証明されました。

 原発事故時の屋内退避について規定する原子力災害対策指針を見直すため、原子力規制委が設置した検討チームの初会合が22日に開かれまし。そこでは屋内退避の安全性等を議論するのではなく、原発事故が起きた場合でも「新」規制基準によって放射能は大量に放出されないという前提の下に、屋内退避の具体的な日数や対象範囲などを議論していく方針であり、そのことに出席者から異論は出なかったということです。しかしそれはそういう趣旨の委員会であったから誰も異論をはさまなかったのでした。
 日本では基準地震動を3000ガル程度にあげておく必要があると言われているのに、実際に基準地震動を僅か数百ガル程度に低く設定している原発も沢山ある規制基準のどこが一体安全だというのでしょうか。
 規制基準に合格した原発は事故時でも大量の放射能を放出しないというのは正に「新たな神話」です。原子炉格納容器内の圧力が上昇した際には、容器の破裂を防ぐために大気放出しますが、その際に通す「ろ過設備」は海外のものに比べると余りにも貧弱で、到底放射能が低く抑えられるなどと言えるものではありません。

 1年掛けて屋内退避の具体的な日数や対象範囲などを定めたとしても、屋内退避の安全性の問題は何も解決しません。折角屋内退避の問題を議論する委員会を作ったというのに何というピントの外れ方でしょうか。
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原発事故で放射性物質が漏れる事態「回避できる」 最悪を想定せず屋内退避を議論し始めた原子力規制委員会
                         東京新聞 2024年4月22日
 原発で事故が起きた時の屋内退避について規定する原子力災害対策指針を見直すため、原子力規制委員会が設置した検討チームの初会合が22日、開かれた。東京電力福島第1原発事故のように、大量の放射性物質が原発の外に漏出するような最悪レベルの事故を想定しないことが示された

◆「新規制基準で対策が強化されている」
 事務局はこの日、福島事故後につくられた新規制基準で設置が求められる事故対策がうまく機能した、とする三つの想定を提示。いずれも、格納容器が破損して放射性物質が大量漏出した福島事故のような重大事態を回避できる状態とした。担当者は「新規制基準で対策が強化されており、現実的な事態」と説明した。
 想定しているのは原発のフィルター付きベントなどで放射性物質の漏出を制御できるような事故。被ばく線量をシミュレーションし、屋内退避の具体的な日数や対象範囲などを議論していく方針で、出席者から異論は出なかったチームは放射線医学の専門家や自治体職員、内閣府の担当者ら約20人で構成する

◆能登半島地震では屋内退避は困難だった
 現行の指針では、原発事故時、5~30キロ圏内ではいったん屋内退避し、放射線量により段階的に避難するとしている。能登半島地震では家屋倒壊が多発し、北陸電力志賀原発(石川県)で事故が起きていたら屋内退避が難しい状況だった。だが、規制委は屋内退避が有効な手段との認識を示し、チームは屋内退避を前提に議論し、本年度内に報告書をまとめる。(渡辺聖子)


原子力災害対策指針を見直しへ…でも規制委は大幅変更を否定 能登半島地震で「避難の前提」総崩れになったのに
                         東京新聞 2024年1月17日
 原子力規制委員会は17日の定例会合で、能登半島地震を受けて原発の立地自治体から事故時の屋内退避のあり方について意見があったとして、原子力災害対策指針を見直す方針を決めた。現行の指針では示されていない屋内退避の解除の時期などを明記する見通し。
 原子力災害対策指針 東電福島第1原発事故後、重大な原発事故が起きた場合に備え、原子力規制委員会が策定した。重大な事故時は原発の5キロ圏内は避難し、5〜30キロ圏内は屋内退避することなど、住民避難や被ばく防護措置が定められている。

◆家屋倒壊、道路寸断見ても「現在の指針対応できる」
 指針は原発の立地自治体が地域防災計画をつくる際に参考とする。今回の地震では北陸電力志賀原発(石川県)で事故が起きた場合、家屋倒壊などで屋内退避そのものができない状況となった。しかし、踏み込んだ見直しにはならない可能性が高い。
 定例会合で、山中伸介委員長が見直しに向けた議論を提起。地震津波の審査を担当する石渡明委員は、自然災害によって避難に支障が出る事態について「現在の指針は少し足りない」と述べた。山中委員長が議論の論点を提示するよう事務局に指示した。
 一方で、山中委員長は定例会合後の記者会見で、現在の指針について「能登半島地震への対応に問題はない」と述べ、大幅な見直しにはならない考えを示した。多数の家屋倒壊や道路寸断が発生したことを踏まえた見直しの必要性を問われても、「現在の指針や自治体が策定する地域防災計画で対応できる」と述べるだけだった。
 見直しを提起した理由については、13日に東北電力女川原発(宮城県)の立地自治体と意見交換した際、出席者から屋内退避の解除時期を巡る質問が相次いだと説明。「(解除時期を)より明確に示したい」と述べ、見直しにかかる期間については「難しい議論になるため、数カ月はかかる」との見通しを示した。(渡辺聖子)

◆リスクを軽視する規制委 福島第1原発事故を忘れたのか
 <解説> 原発事故時の避難行動のベースとなる原子力災害対策指針の見直しを限定的な範囲にとどめようとする原子力規制委の姿勢は、原子力災害のリスクの大きさから目を背けるもので、規制当局としての役割を果たしていない
 能登半島地震では、多くの家屋が倒壊し、指針が定める屋内退避が現実的に不可能であることが明白になった。避難の判断に使う放射線量の実測値も、北陸電力志賀原発(石川県)の30キロ圏で最大18カ所のモニタリングポストが測定できなくなった。避難に使う道路も寸断され、船での避難も断層活動による隆起で一部の港が使えなくなるなど、指針の前提はことごとく崩れた
 2011年3月の東京電力福島第1原発事故の教訓は、原発に100%の安全はなく、常にリスクと向き合い対策を改めていくことにある。指針が機能しない現実が明らかになった以上、問題点を詳しく洗い出し、抜本的な見直しに臨むことが規制当局としてのあるべき姿だ。規制委は、福島事故で今も2万人を超える福島県民が避難を続けている現状を忘れてはならない。(小野沢健太)

巨大地震が頻発している(植草一秀氏)

 植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
 元日の能登半島地震に引き続き、4月17夜に豊後水道を震源とするマグニチュード66の豊後水道地震が発生し愛媛県愛南町と高知県宿毛市で震度6弱の揺れ観測されました。四国で震度6弱以上の揺れを観測したのは1919年の統計開始以来初めてのことだということです。
 能登半島地震では、原発周辺の家屋の多くが地震で損壊し屋内退避が不可能になり、避難するにも陸路も海路も使用不能で避難不可能になって、地震発生時に周辺住民の生命が守られないことが明らかになりました。
 豊後水道地震の震源は長さ1000kmに及ぶ長大な大断層帯「中央構造線」上にあり、中央構造線にはひずみが集中していて周辺には活断層帯が多くあります
 植草氏は以上のようなことを明らかにし、いまは日本列島直下の地殻変動が活発化していると言って間違いはなく、巨大地震への備えが目下の日本の最重要課題であり、原発もリニアもこの視点から対応しなければ取り返しのつかない事態を招くだろうと警告しました
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巨大地震が頻発している。
               植草一秀の「知られざる真実」 2024年4月25日
2011年3月11日に発生した東日本大震災。
海底を震源地とする地震だったが陸上で記録された最大加速度(地震の揺れの強さを示す指標)は2933ガルだった。
本年1月1日に発生した能登半島地震。陸上で観測された最大加速度は2828ガル。
観測地点は石川県志賀町。志賀町領家に計測機械が設置されている。

川県志賀町に立地するのが北陸電力志賀原子力発電所。
原発の至近地点で2828ガルの揺れが観測された。
志賀原発は現在運転停止中。原発が運転中にこの地震が発生していたらフクシマ事故が再現された可能性がある。
地震で能登半島の道路は寸断された。
また、地震の影響で放射線量を計測するモニタリングポストの多くが使用不能に陥った。

原発周辺の家屋では「屋内退避」が取られることになるが、家屋の多くが地震で損傷し、屋内退避が不可能になった。
地震発生時の避難が計画されているが、陸路も海路も使用不能で避難することが不可能になった。
地震発生時に周辺住民の生命が守られないことが明らかになったと言える。

本年4月17日午後11時過ぎに豊後水道を震源とするマグニチュード6.6の豊後水道地震が発生した。
愛媛県愛南町と高知県宿毛市で震度6弱の揺れを観測した。
四国で震度6弱以上の揺れを観測したのは1919年の統計開始以来初めてのこと。
震源は豊後水道で震源の深さは約38キロ、地震の規模はマグニチュード6.6。















2016年4月には熊本県から大分県にかけて強い地震が連続して発生して大きな被害を出した。
震源は100キロメートルの範囲に広がった。
一連の地震の震源の延長上に西日本を縦断する「中央構造線」と呼ばれる大規模な断層帯が存在する。
九州では大分県の有名な温泉地である由布院に源を発し別府湾に注ぎ込む「大分川」の下を長さ1000Kmに及ぶ長大な大断層帯「中央構造線」が通っている。

2016年4月14日夜に熊本市近郊で巨大な地震が発生。
さらに、4月16日未明に14日の地震を上回る本震が発生した。
熊本県益城町では14日と16日の両日とも震度7の揺れを観測した。
これをきっかけに阿蘇山周辺から大分県へとマグニチュード5クラスの地震が広がっていった。

地震は九州を横切る「別府-島原地溝帯」を東に進んだ。
地溝帯というのは両側を断層で挟まれた幅の広い谷のこと。
別府-島原地溝帯は西日本を横切る長大な断層の連なり「中央構造線」の西端に当たる。
中央構造線の周辺には並行して多くの活断層がある。
安土桃山時代末期の1596年9月1日に中央構造線沿いの愛媛県でマグニチュード7クラスの慶長伊予地震が発生。
その3日後に約200キロメートル離れた大分県で同程度の慶長豊後地震が発生。
その翌日には兵庫県で慶長伏見地震が発生した。
1995年に発生した阪神淡路大震災は中央構造線近くを震源とする地震。

今回の豊後水道地震も中央構造線上の地震である。
中央構造線にはひずみが集中しており、周辺には活断層帯が多い。
別府-島原地溝帯には熊本地震を引き起こした日奈久(ひなぐ)断層帯や布田川(ふたがわ)断層帯、大分の地震との関連が疑われる別府-万年山(はねやま)断層帯などの活断層がある。
中央には巨大な阿蘇山が存在し、雲仙岳がある島原半島から熊本県八代市沖までが活断層の密集地帯。

日本列島直下の地殻変動が活発化していると言って間違いはない。
巨大地震への備えがいまの日本の最重要課題である。
原発もリニアもこの視点から対応しなければ取り返しのつかない事態を招くだろう。

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福島から避難した新潟でまた… 柏崎刈羽再稼働に前のめりな東京電力への怒り

 元日の能登半島地震の際に福島の原発事故で福島県から新潟市に避難した被災者らは、そこでも震度5強の地震に見舞われました。福島原発震災時4歳だった娘(17)は当時の恐怖がフラッシュバックして泣きじゃくり、呼吸がうまくできなくなりました。
 やはり福島から新潟に避難した別の家族は、避難先でいじめられた長男風呂場で「福島はよかった」と1人で声を上げ泣いたということです。
 こうして元日の能登半島地震で改めて福島原発事故の悲惨さが思い出される中で、東電は必死に柏崎刈羽原発の再稼働に前のめりになっています。東京新聞が報じました。
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「原発はもう、あり得ない」福島から避難した新潟でまた…柏崎刈羽再稼働に前のめりな東京電力への怒り
                         東京新聞 2024年4月27日
 東京電力は、柏崎刈羽原発(新潟県)7号機への核燃料の装塡(そうてん)を26日に完了させ、再稼働に前のめりな姿勢を崩さない。福島の事故で福島県から新潟市に避難した被災者らは「福島の廃炉も見えず、能登半島地震のように地震が頻発する中、再稼働するというのか」と強い反対の声を上げる。(片山夏子)

◆能登半島地震で恐怖がフラッシュバック
 福島県郡山市から新潟市に避難した高橋真由美さん(52)は能登半島地震の長く激しい揺れの中、東日本大震災と原発事故を思い出した。避難先の新潟市西区は震度5強を記録。「柏崎刈羽は大丈夫か」と頭によぎった震災時4歳だった娘(17)は当時の恐怖がフラッシュバックして泣きじゃくり、呼吸がうまくできなくなった

 「逃げろー」。家は海から2キロ。津波がすぐ来るとのニュースを見て飛び出したが、駐車場の側溝が20センチほど隆起し段差などで車が出せなかった家族4人で車を持ち上げ、何とか避難した
 高橋さんは13年前、テレビで福島第1原発3号機の爆発を見て恐怖を覚えた。当時4歳と7歳の子どもたちを考え、母子避難を決めた。慣れぬ環境、不安定になった子どもたち、新しい仕事…。3年後に夫と一緒に暮らせるようになるが、心身の疲れがたまり一時はパニック障害に。故郷や人間関係など失ったものは大きく、今も将来が見えずに不安が付きまとう。
 能登の被害を見て事故時の避難は不可能だと感じた。各地で大きな地震が頻発しているのに、まだ原発に頼るのかと高橋さんは絶望的な気持ちになる。「原発はもうあり得ない。ましてや柏崎刈羽は世界最大級の発電所。事故が起きたら福島どころではない。人命優先ならば再稼働という答えはでないはずだ

◆風呂場で泣いた息子…同じ思いはさせたくない
 原発事故後、郡山市に住んでいた女性(55)は自宅の放射線量の高さに驚き、夫と幼い3人の子と新潟市に避難した。子どもたちは新しい環境になじむのに時間がかかった。いじめられた長男が風呂場で「福島はよかった」と1人で声を上げ泣いたときは胸が痛んだ。次男はイライラして不安定になり、学校に呼び出される日が続いた。二度と他の人に自分たちと同じ思いはさせたくないと、柏崎刈羽の運転差し止めを求めて裁判で争っている
 福島の家も新潟の家も原発まで約60キロ。「賠償金の支払いや経営再建のための再稼働なら、また事故が起きたらどうするのか。そもそも福島の廃炉が見えず、まだ避難している人たちも大勢いる中で、東京電力に原発を動かす資格があるのか」

 東京電力が地元自治体の同意を待たずに核燃料を装塡したことに「何が何でも動かすという強い意志を感じる」。今後の焦点となる新潟県の花角英世知事らの判断に向けて願う。「国民がどんなに反対の声を上げても国は聞こうとしない。知事は福島事故や地震頻発の現状を見て、不安の声を受け止めてほしい

公正な審理求め集会 東電刑事裁判で支援団 樋口元裁判官が発言

 福島第1原発事故をめぐり東電元経営陣3人が強制起訴された東電刑事裁判で、福島原発刑事訴訟支援団は25日、元裁判官の樋口英明氏を迎えて集会を開き100人が参加しました。樋口氏は、福井地裁の裁判長して14年に大飯原発3、4号機、15年に高浜原発、4号機の運転差し止めを認める判断を出しました。
 集会で樋口氏は、津波対策をしないことを決めた後の被告人らの行動について「安全性に対する全くの無関心だ。交通事故でいえば人の動静を見落とした人の罪よりも、人がいるかどうかにさえ無関心だった人の罪の方がはるかに大きい」と述べました。
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公正な審求め集会 東電刑事裁判で支援団 元裁判官が発言
                       しんぶん赤旗 2024年4月26日
 東京電力福島第1原発事故をめぐり東電元経営陣3人が業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電刑事裁判で、福島原発刑事訴訟支援団は25日、元裁判官の樋口英明氏を迎えて集会を開きました
 樋口氏は、福井地裁の裁判長して2014年に大飯原発3、4号機、15年に高浜原発、4号機の運転差し止めを認める判断を出しました。集会には、約100人が参加しました
 集会で樋口氏は、津波対策をしないことを決めた後の被告人らの行動について「安全性に対する全くの無関心だ。交通事故でいえば人の動静を見落とした人の罪よりも、人がいるかどうかにさえ無関心だった人の罪の方がはるかに大きい」と述べました。

 集会に先立ち同支援団は、最高裁第2小法廷の草野耕一裁判官について、同刑事事件を担当するのにふさわしくないとし、審理から身を引く「回避」を求める署名3911人分を最高裁に提出しました。これまでに提出しだ分と合わせると計1万2573人分となります。
 同支援団によると草野裁判官は東電などに法的アドバイスをしている複数の弁護士が所属する「西村あさひ法律事務所」の元代表であることなどから、担当を自ら外れるべきとしています
 この事件は、二審で全員無罪となり、現在最高裁で争われています。

27- お知らせ

 都合により27日の記事の更新は夕刻になります.


2024年4月24日水曜日

「原発安全」は思い込み、耐震性も低い 元裁判長、樋口氏が講演

 2014年に大飯原発3、4号機再稼働を認めない判決を出した元福井地裁裁判長、樋口英明氏(71)が7日、柏崎市住民団体「原発を再稼働させない柏崎刈羽の会」主催の講演会で、原発の耐震性について「一般に考えられているよりはるかに低い」と指摘し、「日本の原発はそれなりに安全だろうという先入観が脱原発を妨げる」と主張しました。

 また原発の本質とは「原発は人が管理し続けなければ暴走する」「暴走時の被害は想像を絶するほど大きい」の二つだとし、「(これを理解していなければ)間違った判決や政策になる」と結論付けました。毎日新聞が24日、報じました。
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「原発安全」は思い込み、耐震性も低い 元裁判長、樋口氏が講演
                        毎日新聞 2024 年 4 月 24 日
 関西電力大飯原発3、4号機(福井県)の運転差し止め訴訟で、2014年に再稼働を認めない判決を出した元福井地裁裁判長、樋口英明氏(71)が新潟県柏崎市で講演した。樋口氏は能登半島地震(M7・6)発生時の北陸電力志賀原発の例から、原発の耐震性の低さを指摘。「日本の原発はそれなりに安全だろうという先入観が脱原発を妨げる」と主張した。

 講演のテーマは「能登半島地震と原発」。地元住民団体「原発を再稼働させない柏崎刈羽の会」(本間保・共同代表)の主催で7日にあり、市民ら約160人が耳を傾けた
 能登半島地震では、石川県志賀町で最大震度7、北陸電力志賀原発(同町)で震度5強を記録した。志賀原発では外部電源から電力を受ける変圧器が破損し、約2万3400リットルの油が漏れた。樋口氏は原発の耐震性について「一般に考えられているよりはるかに低い」と指摘した。
 原発に関心のない人は、日本の原発はそれなりには安全だろうと思い込んでいる」とし、福島第1原発事故までは自身もその一人だったと告白。「日本の原発の最大の弱点は耐震性だが、私たちは耐震性が高いと思い込んでしまっている」と話した。脱原発を妨げているのは「原発回帰にかじを切った岸田(文雄)政権でも、電力会社でもない。私たちの先入観だ」と話した。
 また樋口氏は原発の本質とは「原発は人が管理し続けなければ暴走する」「暴走時の被害は想像を絶するほど大きい」の二つだとし、「(これを理解していなければ)間違った判決や政策になる」と結論付けた。【内藤陽】

屋内退避の期間は? 解除の基準は? 検討チームが初会合 今年度末までにとりまとめ

 原子力規制委は22日、原発事故が起きた際の屋内退避について、その実施期間や解除の基準などを検討するチームの初会合を開きました。

 山中委員長は検討チーム設立の趣旨について、「屋内退避の実施時期や解除の基準を明確にすること」としていますが、丸1年掛けてそんなことを決めたとしても、家屋倒壊の危機や津波の危険性があるときに、そもそも「屋内退避が可能であるのか」という根本問題への解決にはなりません。それはその次に行うということでしょうか。
 原発の「60年超運転」を容認したときもそうでしたが、山中氏が何を考えているのか理解に苦しみます。
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屋内退避の期間は?解除の基準は?検討チームの初会合 今年度末までにとりまとめ 原子力規制委員会
                       JNN TBS NEWS  2024/4/22
原子力規制委員会はきょう、原発事故が起きた際の屋内退避について、その実施期間や解除の基準などを検討するチームの初会合を開きました。
原子力規制委員会が策定した「原子力災害対策指針」では、原発事故が起きた際に原発から半径5キロメートルから30キロメートルに住む人は、被ばくを抑えるために自宅などの屋内に退避することになっています。
しかし、これまで屋内退避の実施期間や解除を判断する基準など具体的な運用は決まっていないため、原子力規制委員会が立ち上げた検討チームの初会合がきょう開かれました。

原子力規制委員会 伴信彦 委員
「どうやったら柔軟な運用ができるのか、柔軟な運用するための勘所は何なのか。それをできるだけ明らかにしたい」
一方で、今年1月の能登半島地震では、石川県の志賀原発の近くを含む広い範囲で建物が倒壊し、自然災害と原発事故の「複合災害」が起きた場合、屋内退避すること自体の難しさが浮き彫りとなりました。
宮城県担当者
「能登半島地震につきましては、屋内退避自体が困難であるケースが生じております。原子力防災においては、万が一を想定することは避けられず、実際は屋内退避できない場合の対応策を持ち合わせておかなければいけない」

初会合で原子力規制委員会側は、「屋内退避は被ばく線量の低減には有効だが、余震で建物が倒壊しないなどの健全性が必要であるほか、ライフラインが維持されていないと継続は困難である」などと意見を述べました。
検討会は今年度末にも、とりまとめを行う予定です。


屋内退避指針見直しで初会合 原発事故時、専門家ら検討 規制委
                             時事通信 2024/4/22
 原子力規制委員会は22日、原発事故時の屋内退避に関する現行指針を見直す専門家検討会の初会合を開いた。
 検討会は外部有識者や自治体関係者らで構成され、今年度内に報告書を取りまとめる方針。
 東京電力福島第1原発事故後に規制委が策定した原子力災害対策指針(防災指針)では、重大事故で放射性物質の放出が予想される場合、原発から5~30キロ圏内の住民に被ばくを避けるための屋内退避を求めているが、期間や解除のタイミングなどについては明示されていなかった。
 この日の会合では、事故時に原子炉で著しい損傷が生じないケースや、フィルターを通じて放射性物質の放出を抑制できたケースなど複数の状況を想定し、それぞれに応じた屋内退避の対象や期間を検討する方針を確認。解除時の判断基準についても議論するとした。 

柏崎刈羽原発 「UPZ議員研究会」 圏内7市町にも「国は再稼働の理解要請を」と

 柏崎刈羽原発の再稼働をめぐり、30km圏内の自治体の議員たちでつくる「UPZ議員研究会」が23日、国に対し「国には少なくとも原発30㎞圏内の7市町にも直接理解を要請するよう求める」声明を発表しました。

 関三郎会長(見附市議は、東電が7号機に核燃料装荷を実施したことで、「再稼働に向かって進んでいると実感している。要請文を国に要請するしかない」と訴えました。
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柏崎刈羽原発から30km圏内「UPZ議員研究会」圏内7市町にも「国は再稼働の理解要請を」
                        UX新潟テレビ21 2024/4/24
東京電力・柏崎刈羽原発の再稼働をめぐり、原発から30km圏内の避難準備区域にある自治体の議員たちでつくる「UPZ議員研究会」が23日、国に対し、圏内の7市町にも再稼働の理解を要請するよう求める声明を発表しました。

UPZ研究会は長岡市や上越市、小千谷市などの市議や県議ら66人が所属しています。
23日に開いた会見で発表した声明で、柏崎刈羽原発の再稼働について「電力事業者が福島原発事故を起こした東京電力であることなど、他地域の原発とは状況が大きく異なる」と指摘。「立地自治体よりも広い範囲での理解が必要」とした上で、「国には少なくとも原発30㎞圏内の7市町にも直接理解を要請するよう求める」と訴えています。
今年に入り、経済産業省は県や、原発立地自治体である柏崎市、刈羽村に再稼働に向けた理解を要請しましたが、他の自治体には要請していません。今後、研究会は経産省に声明文を提出するほか、各議員が地元の議会でこの声明文をもとに質疑に臨むとしています。

研究会の会長を務める関三郎見附市議は、東電が7号機の原子炉に核燃料を入れる「燃料装荷」を実施したことに言及し、「再稼働に向かって進んでいると実感している。要請文を国に要請するしかない」と訴えました。

東北電力 東通原発の安全対策工事完了時期を見直しへ

 東北電力は22日、青森県や東通村などに対し、原子力規制委による審査長期化していることを理由に、今年度としていた東通原発1号機の安全対策工事の完了時期を見直すことを報告しました。

 樋口康二郎社長プラント審査に関し「準備には1年半ぐらいの期間を要する」としたことに対して、宮下宗一郎知事「できるだけ早い時期に見通しを示してほしい」と求めました。
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青森・東通原発の安全対策工事、完了時期を「今年度」から見直しへ 東北電力
                            産経新聞 2024/4/22
東北電力は22日、青森県や東通村などに対し、今年度としていた東通原発1号機の安全対策工事の完了時期を見直すことを報告した。原子力規制委員会による審査の長期化が要因。新たな完工時期はプラント(本体)審査の準備が整い、今後の工程の見通しが得られた段階で示すとしている。
同原発の再稼働の前提となる安全対策工事の審査では、想定される最大規模の津波や耐震設計の目安となる揺れに関する議論が終了。一方で、プラント審査に向けて「確率論的リスク評価」で「1千万年に1回程度発生する可能性のある津波」への対応も検討する必要があることから、審査や工事に一定の期間を要すると判断した。

県庁で宮下宗一郎知事に報告した樋口康二郎社長は、プラント審査に関し「現在、スケジュールを精査しているところであり、準備には1年半ぐらいの期間を要する」と述べ、理解を求めた。宮下知事は「できるだけ早い時期に見通しを示してほしい」と求めるとともに、確率論的リスクに疑問も投げ掛けた。

24- 中国電、上関町で中間貯蔵用にボーリング調査

 中国電力は23日、原発から出る使用済み核燃料を一時保管する中間貯蔵施設の建設を巡り、山口県上関町でボーリング調査を始めました。地下100~300mの範囲でい、活断層の有無や地層・地質の分布などを調べるということです。
 地中深くに中間貯蔵するというのでしょうか。
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中国電、中間貯蔵でボーリング調査 山口・上関町への立地見極め
                            時事通信 2024-04-23

 中国電力は23日、原発から出る使用済み核燃料を一時保管する中間貯蔵施設の建設を巡り、山口県上関町でボーリング調査を始めた。調査は半年間の予定。地下100メートルから300メートルの深さで行う。活断層の有無や地層・地質の分布などを調べ、立地が可能かどうかを見極める。「適地」と判断すれば、建設に向けた同意を町に求める方針だ。  

2024年4月22日月曜日

柏崎刈羽原発再稼働「疑問」呈する研究者らによるシンポジウム

 柏崎刈羽原発の再稼働をめぐり21日、新潟県の検証のあり方に疑問を呈する研究者らによる「市民検証委員会」がシンポジウムを開きました。
 県の避難委員会で副委員長を務めた佐々木寛氏らが出席し佐々木氏は柏崎刈羽7号機への燃料装荷の開始などについて、「形だけで再稼働に向かっていることを非常に懸念する」と述べました。
 上岡直見氏は、「どこが通れるかその時にならないと分からんという状態では、そもそも避難計画は成立しない。中越地震と中越沖地震のとき、どこで道路通行止め箇所が発生したかというと全域になっている」、「避難できない以上、再稼働はあり得ない」などと述べました。
 避難が出来なければ再稼働は出来ないというのは「鉄則」であり、それを無視して議会の多数決で再稼働を進めるのはお粗末に過ぎ 話になりません。
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柏崎刈羽原発再稼働「疑問」呈する研究者らによるシンポジウム
                        UX新潟テレビ21 2024/4/22
柏崎刈羽原発の再稼働をめぐり、県独自の検証のあり方に疑問を呈する研究者らによる「市民検証委員会」がシンポジウムを開きました。
21日に開かれたシンポジウム。県の避難委員会で副委員長を務めた佐々木寛氏らが出席し、佐々木氏は柏崎刈羽7号機への燃料装荷の開始などについて、「形だけで再稼働に向かっていることを非常に懸念する」と述べました。
また能登半島地震の被害をうけて、県内で地震がおきれば避難路の確保が難しくなるとの指摘が出ました。

■上岡直見 元県避難委員会委員 
どこが通れるかその時にならないと分からんという状態では、そもそも避難計画は成立しない。中越地震と中越沖地震のとき、道路通行止め箇所がどのように発生したかというと、全域になっている。これでどうやって避難するのか。」
立地自治体の市議らも現状を報告し、「避難できない以上、再稼働はあり得ない」などと述べました。


地震と原発事故が同時に発生…新潟県独自の「3つの検証」元委員が避難方法を疑問視
                          BSN新潟放送 2024/4/21
原発を巡る新潟県独自の「3つの検証」の元委員によるシンポジウムが開かれ、原発事故における避難方法の実効性などを疑問視しました。
新潟市で開かれたシンポジウムは福島第一原発の事故をめぐる県独自の「3つの検証」の元委員らで構成される「市民検証委員会」が開きました。
この中で3人の元委員が登壇し、原子力災害時の安全な避難方法を検証した避難委員会の上岡直見元委員は、能登半島地震や中越地震では多くの道路が通行止めになったとし、地震と原発事故が同時に起きる複合災害では安全な避難は難しいと語りました。
避難委員会・上岡直見元委員
自動車はどこか1か所でも通れない所があると、そこでおしまい
また県が試算した避難時間も現実的ではないと指摘しました。
避難委員会・上岡直見元委員
食事、水そういうところを考えられていない。まだまだ机の上だけの検討にとどまっている
このほか、柏崎刈羽原発の近くには多数の活断層があり、危険性があるとの意見も出ました。市民検証委員会は今後、これらの点について市民と議論を深めるとしています。