2016年7月31日日曜日

31- もんじゅ新運営主体の選定は難航 回答期限過ぎる

 文部科学省高速増殖炉もんじゅの運営主体となる新たな組織を模索していますが、まだ見通しが立たず難航しています。規制委が回答期限のめどとした時期は既に過ぎています。
 新組織は、現在の運営主体である日本原子力研究開発機構から関係部門を切り離し、現地職員を一定程度引き継ぐことを検討しているようですが、規制委「看板の掛け替えは認めない」との立場です
 
 規制委「看板の掛け替えは認めない」立場を貫けば、もんじゅを運営できるところがなくなり、結局廃炉にすることになるでしょう。
 もんじゅはもしもナトリウム漏れ事故が起きれば対処のしようがなく、危険この上ない装置であることに加えて、いつ完成するのかの目途も全く立っていません。それなのに全く動いていないもんじゅの維持1日あたり5,500万円(年間200億円)かかるとされています
 そんな百害あって一利もない装置は早く廃炉にすべきです。 
 
注 ※ そのうち「液化ナトリウム」が固化しなように保温するための電力料金は1日当たり330万円です。
     それでは残りの1日5,200万円は一体何に使われているのでしょうか?
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もんじゅ新運営主体の選定は難航 規制委勧告の回答期限過ぎる
福井新聞 2016年7月29日
 原子力規制委員会から運営主体を変更するよう勧告された高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)をめぐり、文部科学省は5月末に有識者検討会がまとめた報告書を基に新たな組織を模索しているが、まだ見通しが立たず難航している。規制委が昨年11月に勧告した際に回答期限のめどとした半年は既に過ぎており、関係者からは「内閣や政府全体で取り組まないと解決しない」との声も出ている。
 
 有識者検討会がまとめた報告書は、具体的な運営主体を示さず、新組織が備えるべき要件として▽冷却材のナトリウム取り扱い技術の確実な継承▽原子力分野以外の外部専門家を半数以上入れた経営協議体の設置―などを挙げた。文科省はこれらの要件を基に、国の権限が強く及ぶ特殊会社や認可法人などの形態を軸に模索している。
 文科省の担当者によると「どういう組織形態が良いのか、関係省庁と相談しながら検討している。(新組織を)近く決めるといった状況ではない」。規制委への回答を「夏までをめど」としているが、不透明な情勢だ。
 
 新組織は、現在の運営主体である日本原子力研究開発機構から関係部門を切り離し、現地職員を一定程度引き継ぐことを検討。原子力機構も「(新組織は)機構メンバー抜きには考えられない」(児玉敏雄理事長)との思いで、保守管理の改善状況をまとめた報告書を規制委に提出する方向で最終調整している。
 ただ、規制委が報告書をどう扱うかは分からない上、新組織について「看板の掛け替えは認めない」との立場。安全運転を担保する体制が確立できなければ、廃炉も辞さない姿勢を示している。
 文科省は保守管理体制を整えるため、原発を運営する電力会社などに人的支援を求める方向とみられるが、まだ表立った対外的な交渉に入っていない。
 
 電気事業連合会は「技術的な知見がない」として依然、もんじゅの運営への関与に否定的な姿勢。ある電力幹部は「文科省からの要請はない。もんじゅの設計から携わっていないし、責任を持って運営管理できない」と漏らす。
 
 政府全体としての動きも見えてこない。福井県関係の国会議員の1人は「核燃料サイクル政策を考えると経済産業省も人ごとではないが、様子見しているような状況」とみる。ただ「政府はもんじゅの廃炉までは考慮していない」とし、仮に文科省だけで新組織の課題を解決できなければ「最後は官邸の判断になる」との見方を示す。
 
 一方、原子力機構の第三者委員会「もんじゅ安全・改革検証委員会」の委員長を務める阿部博之・科学技術振興機構特別顧問は「もんじゅの本質的な安全について、規制委と原子力機構の考えに食い違いがある。その共通理解がないと、新組織になったとしても同じことを繰り返す」と警鐘を鳴らす。
 東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえたもんじゅ特有の新規制基準を規制委は早急につくるべきだとし「政府として、もんじゅの将来目標や方向性をはっきり示す必要がある」と指摘している。 

2016年7月30日土曜日

東電 政府に廃炉支援要請へ 原発事故賠償、想定上回る

 東電、福島原発事故の被災者への賠償や、除染、廃炉費用が当初の想定を上回るなどとして、政府に追加の資金支援を要請することが28日、明らかになりました。
 数土文夫会長は記者会見で「事業環境整備を政府にお願いする」と述べました。
 
 政府は原資として国の東電への融資枠を9兆円に設定しています。これに対し、東電は賠償額が既に6兆円台に達し、除染費用も想定を上回る懸念があるとし、福島原発の廃炉作業が本格化すれば多額の費用負担が生じるとしています
 実態はその通りなのでしょうが、では東電に廃炉作業を的確に進める能力があるのかは別問題で、結果としてはみ出した部分はすべて国に要求するというのでは無節操です。
 今後どれほどの費用が掛かるのか、まずは全容を国民の前に明らかにする必要があります。
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東電、政府に廃炉支援要請へ 原発事故賠償、想定上回る
東京新聞 2016年7月28日
 東京電力ホールディングスの数土文夫会長は28日、東京都内で記者会見し、福島第1原発事故による賠償や除染費用が想定を上回る可能性が高まったとして、政府に負担を求める方針を明らかにした。今後本格化する廃炉に関しても支援を要請する。
 帰還困難区域などの除染費用や廃炉作業に関しては国費の投入を求めるとみられる。賠償では支払いの終了時期を明確にするよう要請する見通し。東電は年内にも結論を出すよう求める方針。東電の追加支援につながるため、政府は慎重に判断する。
 原発事故の賠償費用は6兆円台に達し、除染についても現行計画の2兆5千億円を超える公算が高まっている。(共同)

30- 原発新基準施行3年 審査に「緩み」はないか

(社説) 原発新基準3年 審査に「緩み」はないか
岩手日報 2016年7月29日
 原発の新規制基準施行から3年が経過した。原子力規制委員会が策定したこの基準が再稼働への関門となり、安全に向けて一定の成果を上げている。
 しかし、基準適合の審査をめぐって、ふに落ちない点もある。その一つは、運転期間が40年を超える老朽原発の「延命」だ。
 関西電力高浜1、2号機(福井県)が今年、運転延長を認められた。防火性が不十分なケーブルの対策が審査の焦点となったが、防火シートで包むなどする措置を認め、合格を出した。
 
 とはいえ、原子炉等規制法が定める「40年ルール」の下で延長は特例のはずだ。だが、安全対策に多額の資金を投じれば合格証が与えられることが示された。ルールと基準のどちらが優先されるべきなのか。
 老朽化原発の延長が相次ぐなら、審査が「お墨付き」を与える手続きのようになってしまう。ルールを形骸化させてはなるまい。規制委の決然とした姿勢を求めたい
 
 審査の手法をめぐる新たな問題も起きた。関電大飯原発(同)の基準地震動(耐震設計の目安となる揺れ)の算出だ。前規制委員長代理の島崎邦彦東京大名誉教授が「基準地震動が過小評価されている可能性がある」と計算式の不備を指摘した。別の計算式だと数値が上がるという。
 これを受けて規制庁が再計算を行い、問題なしとした。しかしそれは、無理な仮定を重ねて計算した数値だったことが判明した。
 規制委は27日、「見直しは不要」との判断をあらためて示したが、耐震性は本当に大丈夫なのだろうか。審査に対する信頼性を揺るがしかねない一件だ。
 
 審査の厳格さを問うのは、規制委による「合格」が、再稼働の「錦の御旗」になっているからだ。
 「合格しても、絶対的な安全ということではない」という趣旨の発言を田中俊一委員長は繰り返している。それなのに、政府は「基準適合と認めた原発については再稼働を進めていく」と規制委任せの姿勢を取り続けている。
 政府がこのような姿勢である限り、安全面において規制委の判断が生命線だ。原発が過酷事故を起こせば、その被害は他の比ではない。だからこそ、東京電力福島第1原発事故の反省を踏まえた新基準が策定された。
 従来の基準では不十分だった地震や津波の対策を強化。特に活断層については認定基準を明示し、厳しい姿勢を見せている。
 規制委は科学的根拠を頼りに厳正審査するのが役目だ。最新の知見を反映させ、緩みない審査を行うよう望む

2016年7月29日金曜日

原発の新たな知見 積極的な検証が規制委の責務

 愛媛新聞が、今回の大飯原発の基準地震動の再検討問題を巡る規制委の対応に対して、大いなる懸念を示す社説を掲げました。
 今回の対応で明らかになったことは、規制委は基準地震動の算定についての見識を持っていないということで、いたずらに入倉・三宅式にこだわって、武村式の適用などについては、まだ地震学会の定説になっていないから採用できないというものでした。しかし地震という複雑な要素をもつ現象について、その基準地震動の算出式を学会が定めるなどということは所詮無理な話です。
 
 要するに規制委の主張は、地震学会の定説が得られるまでは、(島崎氏の検証で)「不確かさが証明された入倉・三宅式にこだわり続ける」というものなので、それでは島崎氏の提言を黙殺するに等しいことであると同紙は述べています。
 そして本来規制委には「独立した意思決定」を行うことが要請されていたのに、現実のあり方は「安倍政権への迎合とさえ映ると酷評しました
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(社説)原発の新たな知見 積極的な検証が規制委の責務だ
愛媛新聞 2016年7月28日    
 原発の耐震設計の目安となる基準地震動を巡り、過小評価の可能性が指摘されている。地震などの災害対策で新たな科学的知見が得られた場合には、原発の新規制基準に反映させるのが原子力規制委員会の責務であるはず。その知見がまだ定まったものではないとしても、慎重に検討するのが当然だろう。 
 指摘したのは、規制委の委員長代理を務めた島崎邦彦氏。想定する活断層の種類により、関西電力大飯原発(福井県)などでは一般的な計算式だと揺れが小さくなるとして、別の計算式が妥当と訴える。が、規制委の田中俊一委員長は大飯原発の基準地震動を見直さないと明言した。消極的な姿勢を危惧する。
 
 規制委は、島崎氏の指摘を受け事務方に再計算を指示してはいた。結果は新基準適合審査で了承済みの数値を下回ったが、後に再計算の手法に問題があったことが判明し、田中委員長が「判断根拠にならない」と言及する事態に。ならばやり直すのが筋なのに、「知見が固まっておらず、現段階で(別手法に)乗り換える必要はない」と幕引きを図った。「黙殺」にも等しい対応に猛省を促したい。 
 
 大飯原発の基準地震動の審査は、島崎氏が在任中に指揮を執った。自ら誤りを認めて見直しを訴える意味は大きい。今回の指摘は、4月の熊本地震で観測した断層のずれが、一般的な計算式で説明できなかったのがきっかけだ。震度7の激しい揺れを2度観測するなど前例のない地震だけに、規制委はもちろん原発事業者も新たな知見の検証に後ろ向きでいてはなるまい。 
 四国電力は伊方原発3号機を来月中旬以降に再稼働させる方針を示している。愛媛新聞が参院選期間中に実施した県民世論調査では、再稼働に否定的な回答が54%を占め、肯定的な37%を上回った。県民の不安を真摯に受け止めるよう強く求める。 
 
 規制委の原点が、東京電力福島第1原発事故にあるのは言うまでもない。一つの行政組織が原発推進と規制の両方を担った反省に立ち、規制側の原子力安全・保安院を推進側の経済産業省から分離するなどして発足した。活動原則にある「何ものにもとらわれない独立した意思決定」こそが出発点なのだと、改めて肝に銘じるべきだ。 
 国民の信頼が揺らいでいる現状を憂慮する。島崎氏に代わって規制委に加わった田中知氏は原子力学会会長などを務め、電力団体から報酬を受けていた。さらに、老朽原発の運転延長に前向きな田中委員長発言も記憶に新しい。原発の運転期間を定めた「原則40年ルール」を形骸化させかねず、依存度の低減を掲げながら温存を進める安倍政権への迎合とさえ映る。 
 信頼を取り戻すには独立性と専門性を高めるしかない。基準地震動の評価だけではなく、あらゆる業務に通じよう。新たな知見に向き合い、「想定外」をなくすよう努めてもらいたい。福島の事故の教訓でもある。 

29- 浜岡原発「活断層調査は不十分」と規制委

 原子力規制委は27日、中部電力との意見交換会で、中電による浜岡原発の活断層についての調査は不十分だと指摘しました。
 浜岡原発は東海地震の予想震源域のほぼ中央に立地していて、世界で一番危険な原発であるとされています。
 それを「活断層の有無」の問題で処理しようというのは本来無理な話です。規制委は一体何を考えているのでしょうか。
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浜岡「活断層調査は不十分」規制委が指摘
中京テレビ 2016年7月28日
 浜岡原子力発電所をめぐり、原子力規制委員会は27日、中部電力との意見交換会で、中電による活断層についての調査は不十分だと指摘した。浜岡原発をめぐっては、新しい規制基準に基づいた適合性審査が続けられており、中電トップとの意見交換会は2回目。調査が不十分とした規制委に対し、中電は事故発生時の初動対応や住民避難への支援策などを説明。勝野哲社長は活断層について「足りないところがあれば、加えて調査する」と述べた。また、規制委による審査が想定よりも進んでいないことから改めて現地視察を要望した。

2016年7月28日木曜日

規制委 大飯地震動の見直し不要と 再計算結果を撤回

 原子力規制委は、大飯原発の基準地震動について当初の計算結果が妥当であると結論付けました。
 それは使用した入倉・三宅式が正しいということではなく、基準となる地震減の規模(長さ)を大きめに想定しているから大丈夫であったというものです。それならどれほど大きめにすれば妥当だというのかが不明で、他の原発の基準地震動の想定が妥当かどうかの判断もできません。
 全体を通して想定した基準地震動を動かしたくないという強い意思だけが読み取れます。
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規制委、大飯地震動「見直し不要」 再計算結果は撤回
東京新聞 2016年7月27日
 関西電力大飯(おおい)原発で想定する地震動が過小評価されているとの指摘を巡り、原子力規制委員会は二十七日、同委が独自に再計算した結果は信頼性が低いため撤回するとした上で、関電の計算は妥当で、新たな手法が確立されていない段階では、見直す必要はないと結論づけた。
 
 この日の会合では、規制委事務局が、関電と別の式を使う際、ずれて地震を引き起こす部分の方が、断層面積より大きくなるなどの矛盾が生じ、ずれる面積は関電の値を流用するなど入力値を操作した。
 説明を受け、五人の委員が協議。「入力値を工夫、操作したことで、意味のない数字になってしまった」「科学的に逸脱した部分があった」などの認識で一致した。
 計算結果を基に、大飯原発の地震動想定が妥当かどうか議論するのは不適切で、計算結果を実質的に撤回すると決めた。
 今回の再計算は、震源断層が垂直に近い場合、関電の式では地震動を数分の一に過小評価してしまう、との前規制委員長代理の島崎邦彦東大名誉教授の指摘を受けて実施された。
 別の式を使うべきかどうかについては、「連動する断層を長く見積もるなど安全側で審査している」などの意見が多く出され、現在の手法を見直す必要はないと判断した。

保有プルトニウム47・9トンに 15年末時点で 日本

 国際的に削減を求められている日本のプルトニウム保有量が2015年末で前年より0.1トン増えました。
 現在英国に再処理を依頼している分があるので、18年ごろまでさらに増加する見込みです。
 これは使用済核燃料の再処理がまだ軌道に乗らないからではありません。仮に軌道に乗ったとしても事態は全く変わりません。そこに問題の本質があります。 
       (関係記事
3月28日 核再処理しても日本のプルトニウムは減らぬ 米が懸念
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保有プルトニウム47・9トンに 日本の15年末時点総量
東京新聞 2016年7月27日
 内閣府は27日、日本が原発の使用済み核燃料の再処理で取り出し、国内外に保有する分離プルトニウムの総量が2015年末時点で前年より約0・1トン増え、約47・9トン(このうち核分裂性は約31・8トン)だったと国の原子力委員会に報告した。
 約47・9トンのうち国内保管分は前年と変わらず約10・8トン。海外保管分は約37・1トンで、内訳は再処理を委託した英国が約20・9トン、フランスが約16・2トンだった。
 
 英国に再処理を委託した使用済み燃料に含まれるプルトニウムが約1トン残っており、英国の工場が操業を終える18年ごろまでにこの分がさらに増える見通し。(共同)

28- 原発事故避難者らの証言映像をネット公開

避難者らの証言映像をネット公開 筑波学院大と東京大
福島民報 2016年7月27日
 筑波学院大(茨城県つくば市)と東京大の研究チームは26日、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故に伴う避難者や支援者らの証言をまとめた映像アーカイブ(記録庫)をインターネットで公開した。
 つくば市に避難した双葉町民をはじめ、つくば市や民間の支援団体の代表者ら17人を約1年かけてインタビューした。支援活動の背景や内容、工夫した点、課題などを聞き取り、計3時間半の映像にまとめた。大津波に襲われた記憶、避難者受け入れ時の混乱、避難所運営の課題などが語られている。
 インタビューや編集作業には郡山市からつくば市に避難している映像制作会社社長の田部文厚さん(45)が携わった。聴取対象者の言葉だけではなく、表情や視線にこだわり撮影を進めたという。
 プロジェクトリーダーの武田直樹筑波学院大講師は「避難者支援の記録を残し、今後の災害に役立てたい。つくば市モデルとして情報発信していく」と語った。
 ホームページアドレスは  http://sites.anthro.c.u-tokyo.ac.jp/tsukuba/ 

2016年7月27日水曜日

老朽原発 美浜原発3号機 も合格 20年延長へ

 原子力規制委は25日、運開後40年になる関電美浜原発3号機について、新規制基準に基づく審査に関する事実上の合格を出すと明らかにしました。関電高浜原発1,2号機につづいて3基目の運転延長です。
 
 言うまでもないことですが、肝心の原子炉と原子炉格納容器については更新や補強を行わない(=行えない)まま、いきなり最大20年延長するというもので極めて無謀な話です。
 しかし電力会社からすれば20年くらい運転しないと2000億円前後の改修費用に見合う収益が得られないということからで、まさに経済ベースからの要請を規制委が認めるという形になっています。
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美浜3号機「合格」来月3日以降 老朽原発、原子力規制委
 東京新聞 2016年7月25日
 原子力規制委員会は25日、老朽原発の関西電力美浜3号機(福井県)について、来月3日以降に新規制基準に基づく審査に関する事実上の合格を出すと明らかにした。
 
 規制委は当初、今月27日の定例会合で議論する方向で調整していたが、関電大飯原発(福井県)の基準地震動(耐震設計で目安とする揺れ)が過小評価されたとの指摘を巡る対応を優先させたため、日程がずれ込んだ。
 
 美浜3号機は1976年に運転開始。東京電力福島第1原発事故後、原発の運転期間は原則40年となったが、規制委が認めれば20年延長できる規定も作られた。事実上の合格となれば、関電高浜1、2号機に続き2例目。(共同)

原発事故後初、海産魚類「基準超ゼロ」

原発事故後初、海産魚類「基準超ゼロ」 福島県放射性物質検査
福島民友 2016年07月26日
 本県沖の海産魚介類を対象とした県の放射性物質検査で、2015(平成27)年度(4月~翌年3月)に採取された8438点全てが食品の放射性セシウムの基準値(1キロ当たり100ベクレル)未満だったことが25日、分かった。東京電力福島第1原発事故後、単年度の集計で基準値を超えた割合がゼロとなったのは初めて。
 セシウムが検出限界値未満だったものは全体の91.27%に当たる7702点で、初めて9割を超えた。本年度も15日までの採取分2722点全ての海産魚介類が基準値未満となっている。
 
 検査対象は試験操業の魚種以外も含まれる。11年度は34.74%、12年度は12.55%、13年度は2.30%、14年度は0.48%と減少傾向にある。一般食品の基準値は11年度に暫定値として1キロ当たり500ベクレルだったが、集計では現在の基準値100ベクレルで評価した。
 15年度、本県沖で漁獲された魚介類でセシウム濃度が最も高かったのは試験操業対象外のアカエイで、1キロ当たり94ベクレルだった。
 セシウム濃度の低下で試験操業の魚種は当初の3種類から73に拡大。6月には本県を代表する高級魚ヒラメの出荷停止指示が解除され、対象魚種への追加が検討されている。濃度低減の理由について県は、放射線を出す力が半分になる「半減期」を迎えたセシウム134(半減期約2年)の減少などを挙げる。
 
 一方で、試験操業の漁獲量(1~12月)は12年の122トンから、15年は10倍以上の1512トンに増加。しかし原発事故前の沿岸漁業の年間漁獲量約2万5000トンの6%にとどまっており、本格操業への移行は見通しが立っていない。
 
 県の放射性物質検査の対象海域には、試験操業の対象外となっている第1原発から半径20キロ圏内も含まれている。第1原発の港湾内は調査対象外。25日現在、21魚種が国の出荷停止指示を受けている。
 
 一方、湖や河川など内水面で採取された魚で基準値を超えた数も減少傾向にある。昨年度、基準値を超えたのは全533点のうち7点だった。最高値はヤマメの1キロ当たり180ベクレル。養殖魚については13年度以降、基準値超えは出ていない。

26- キロ6万3000ベクレル汚泥 濃度告げず産廃処分

東海村 6万3000ベクレル汚泥 濃度告げず産廃処分 福島第1事故後
 茨城新聞 2016年7月26日
 東京電力福島第1原発事故で放出された放射性物質を巡り、東海村が2011年7月、1キロ当たり約6万3千ベクレルの放射性セシウム濃度が測定された汚泥を、濃度数値を知らせずに産廃業者に引き渡し、処分していたことが25日、分かった。汚泥がその後、どこでどういった形で処分されたか、村は「分からない」としている。山田修村長は「産廃業者に濃度数値を伝えなかったのは不適切だった。村が一時保管するなど他に最善の方法はあり、対応に問題があった」とした。
 
 汚泥は重さ約470キロで土のう24袋分。同村船場の村営屋外プールの底にたまっていた。当時は同8千ベクレルを超す放射性物質を含む「指定廃棄物」基準は設定されていなかった。
 村教委によると、村からプールの管理を委託されている村文化スポーツ振興財団は11年6月2日、水が張られたプールの底の汚泥を採取し、翌3日に汚泥から1キロ当たり約6万3千ベクレルの放射性セシウム濃度が測定された。財団は同9日に財団を所管する村教委の指示でプール脇の土中に汚泥を埋設。その後、財団は7月5日、汚泥を掘り起こして土のう計24袋に詰め、ブルーシートで覆ってその場に保管。同12日に村教委の指示に基づき産廃会社に処分を委託、汚泥を引き渡した。
 同社に処分を委託する際、財団は汚泥に含まれる放射性物質濃度の数値を伝えていなかった。村教委の聞き取りに対し、同社社長は「村側から放射性物質を若干含んだ汚泥とは聞いたが、数値は教えられなかった」と答えたという。
 
 汚泥に関し、村教委は村災害対策本部に一切報告しておらず、当時の村上達也村長や教育長も状況を知らされていなかった。処分を了承した当時の教育次長は茨城新聞の取材に「一刻も早く人が集まる場所から汚泥を移動させたかった」と説明。当時の判断について「村民が被ばくする危険性を除く最善の方法だった」とした。
 ただ、村教委には、誰がどういった経緯で判断し、財団に指示したかなどの記録は残っておらず、同社に引き渡した後、汚泥がどう処分されたか分からなくなっている。
 山田村長は「(汚泥の扱いは)本来は災対本部で協議すべき事案で、情報共有ができていなかった」と話した。 (斉藤明成)
 
★放射性物質を含む汚泥などの廃棄物
 東京電力福島第1原発から放出された放射性物質を含む廃棄物については2011年12月、環境省令で同8千ベクレルを超す廃棄物は環境大臣が指定し、国が処分すると規定。「指定廃棄物」は国に引き渡すまで各自治体・民間事業者が適切に管理しなければならないとされた。

2016年7月26日火曜日

福島第一原発事故の避難者に弁護士が無料電話相談

NHK NEWS WEB 2016年7月25日
東京電力福島第一原発の事故から5年4か月が過ぎた今も、福島県からは9万人近くが全国に避難しています。
こうした人たちを支援しようと、関東の弁護士会が中心となって、25日から無料の電話相談を始め、都内に設けられた窓口には午前10時の受け付け開始から電話が相次ぎました。
相談の多くは、原発事故の避難区域以外から避難している人たちが、無償で借り上げ住宅などに入居できるように支援する福島県の制度が、来年3月末で終わることに関するものでした。相談に応じた弁護士は、福島県が家賃の一部を補助する新たな支援を行うことなどを説明していました。
相談に応じている加畑貴義弁護士は「原発事故から5年以上がたち、記憶の風化が進んでいるが、避難者の悩みは多い。弁護士として引き続き支援していきたい」と話していました。
 
無料相談の電話番号は0120ー615ー030で、25日から今月30日までの6日間、午前10時から午後6時まで相談を受け付けるということです。

節電要請をしない夏 原発再稼働は不要

 政府がまとめた「2016年夏季の電力需給対策」によれば、9電力会社合計の8月の最大電力需要に対して、供給量は9・1増しで十分な余裕があるので、東日本大震災が起きてから初めて政府が「節電要請」をしない夏となりました。ふつう予備率が3%を超えていれば大丈夫とされています。
 事故が起きれば取り返しがつかない原発を再稼働させる必要などはありません。
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主張 「節電要請」ない夏 原発再稼働せず「ゼロ」目指せ
しんぶん赤旗 2016年7月25日(月)
 各地の梅雨明けとともに、いよいよ夏本番を迎えています。気温が急上昇する夏場は冷房や送風のため電力消費も急増する時期ですが、今年の夏は2011年に東日本大震災が起きてから初めて、政府が「節電要請」をしていない夏です。大震災による東京電力福島原発の事故後、全国のほとんどの原発は停止しているなか、節電の普及や再生可能エネルギーの利用拡大で、電力不足が起きなくなっているからです。原発を再稼働しなくても電力が足りている事実は重要です。原発の再稼働は強行せず、原発は停止したまま廃止し、「原発ゼロ」へ進むべきです。
 
電力はまかなえている
 政府が夏を迎えるにあたってまとめた「2016年夏季の電力需給対策」によれば、原発がない沖縄電力を除いた9電力会社の8月の最大電力需要は1億5550万キロワットの見込みで、9電力合計の供給力1億6967万キロワットを1417万キロワット下回ります。ふつう3%を超えていれば大丈夫とされる予備率は9・1%と、電力不足は起きない計算です。電力会社ごとで見ても予備率が低いのは中部電力で6・7%、四国電力で5・8%など、問題のない水準です。
 電力需要は猛暑となる可能性や経済成長などを織り込んで計算しますが、大震災前の2010年に比べ2437万キロワット減っています。福島原発事故後の「計画停電」などを体験した、節電の定着が大きいとみられています。
 
 一方、供給力は、全国ほとんどの原発が停止しているため、稼働している原発は九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)だけです。四国電力伊方原発3号機(愛媛県)は7月中に再稼働させ、夏場の電力需要に間に合わせるとしていましたが、最近も1次冷却水循環ポンプなどのトラブルが相次ぎ、大幅に遅れる見通しです。再稼働しなくても四国電力の予備率は5・8%なので不足は起きません。
 
 安倍晋三政権や電力業界は、原子力規制委員会の審査に合格した原発は再稼働させると、川内原発や伊方原発に加え、関西電力高浜原発(福井県)などでも再稼働の準備を進めています。しかし、この夏の電力需給の見通しは原発がほとんど停止していても電力がまかなえることを示しており、政府の「節電要請」もなしで済ませられることが示すように、原発再稼働を急ぐ口実は破綻しています。
 もちろん、電力不足を引き起こさないためだけでなく、温室効果ガスを増大させる石炭など火力発電所の削減のためにも節電や再生可能エネルギーの利用拡大は重要です。原発に依存せず、「原発ゼロ」に進むことを明確にしてこそ、そのための対策が進むことになるのは明白です。
 
運転続けることが危険
 重大なのは、原発を再稼働させ、運転を続けることの危険性がいよいよ明らかになっていることです。もともと技術的に未完成で事故が起きればコントロールできなくなる原発を、世界有数の地震列島に建設する危険性は福島原発事故などでも明らかになりましたが、今年になってからの九州地方の連続地震は川内原発や伊方原発などの危険性を浮き彫りにしました。事故が起きてからでは取り返しがつきません。再稼働の企てをやめるとともに運転中の川内原発は直ちに運転を中止すべきです。

26- 原子力白書 7年ぶり復活 「原発回帰」への伏線?

 内閣府原子力委員会は、福島原発事故以来、発表を中止していた「原子力白書」を来春に復活することを決めました。2010年以来7年ぶりとなります
 原子力委はかつては「原発推進の司令塔」となっていたもので、自民党内には「『原発推進のとりで』として復権させるべきだ」といった意見が根強くあるということです
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原子力白書 7年ぶり復活 「原発回帰」の伏線か
毎日新聞 2016年7月25日
 内閣府原子力委員会(岡芳明委員長)は、東京電力福島第1原発事故以来、発表を中止していた「原子力白書」を来春に復活することを決めた。2010年以来、7年ぶりとなる。原子力委はかつては「原発推進の司令塔」と位置付けられており、「原発回帰」の伏線との臆測を呼びそうだ。 
 
 白書は、11年春に10年版が発表される予定だったが、福島事故を受けて急きょ中止され、09年版以降、発表がストップしていた。今年度になって「編集作業に必要な人員を確保できた」(内閣府幹部)として復活を決めた。来春発表される16年版は、事故後の原子力政策の動きや、今後の展望を紹介する内容になりそうだ。 
 
 原子力委は、国の原子力政策を推進するために56年設置された。78年には旧原子力安全委員会と分離され、福島事故後も業務や体制を縮小されたが、自民党内には「『原発推進のとりで』として復権させるべきだ」といった意見が根強くある。【中西拓司】

2016年7月25日月曜日

25- 原発の耐震想定でも規制委は信頼を損なった

 島崎邦彦東大名誉教授(前規制委委員長代理)が、熊本地震に対して「入倉・三宅式」を適用して得られれる地震動と実際の地震動の差異の大きさ(「入倉・三宅式」が過小値を与える)から、同式を用いて基準地震動を定めた大飯原発の基準地震動について、規制委に再検討するように求めた件で規制委は右往左往しました。
       (関係記事 下記他)
7月21日 大飯原発の基準地震動 再議論へ 規制委
7月20日 大飯原発基準地震動 「再々計算しない」と規制委
 24日の毎日新聞が社説でそれを取り上げました。
 社説は、島崎氏の指摘が正しければ大飯原発は耐震性の一層の強化などが迫られるとして、19日に島崎氏が規制委に再々計算を申し入れた際の規制委側の対応を見て、規制委の能力に疑問府が付くと指摘しました。 
 そして島崎氏地震動の専門家の意見を広く聞き、良いものは審査に取り入れていくべきだと提言したのに対して、田中委員長「そういう余裕はないし、やるべき立場にもない」と応えたことに首をひねらざるを得ないとし規制委は、原発の安全確保の「最後のとりで」としての機能を果たしていないと述べました。重大な指摘です。
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社説 原発の耐震想定 規制委は信頼損なった
毎日新聞 2016年7月24日
 原子力安全の番人たるべき原子力規制委員会の信頼性が、大きく損なわれる事態となっている。 
 関西電力大飯原発(福井県)で想定する地震の最大の揺れ(基準地震動)が過小評価されていると、規制委の島崎邦彦・前委員長代理が指摘している問題を巡ってのことだ。 
 島崎氏は日本地震学会長などを歴任した地震学の権威だ。規制委に在職中は、大飯原発を含め電力会社が策定した原発の地震想定の審査を担当していた。 
 2年前に退任した後、データを調べ直し、震源として想定する活断層の種類によっては、基準地震動を算出する計算式が不適切なため、過小評価を生むことがあるとの研究結果を得たという。島崎氏の指摘が正しければ、大飯原発は耐震性の一層の強化などが迫られる。 
 
 規制委は関電の想定をおおむね了承していたが、島崎氏の指摘を受けて、関電とは別の計算式を用い、揺れを再計算した。その値は関電の想定を下回り、過小評価にはなっていないとして、13日の定例会で基準地震動は見直さないことを決めた。 
 これに対し、島崎氏は、再計算結果を巡り、基準地震動を大幅に上回るはずだと反論した。通常の審査では、安全性に余裕を持たせるため、計算で導いた値の一部を1・5倍にして評価するが、再計算ではそうしていなかったからだ。 
 再計算をしたのは規制委の事務局の原子力規制庁だ。島崎氏と面談した規制庁の担当者は、再計算は「無理を重ねた形で計算し、精度がない。どの程度余裕を加えるべきか分からない」と釈明した。 
 しかし、この対応は「想定は過小評価だ」との批判を避けるためだったと言われても仕方があるまい。規制庁が上げてきた「過小評価ではない」との報告を、うのみにした規制委の能力にも疑問府が付く。 
 
 5人いる規制委の委員に地震動の専門家はいない。田中俊一委員長は大飯原発の基準地震動は見直さない考えを示しているが、耐震審査が適切に行われているのか心配になる。 
 島崎氏は規制委に対し、地震動の専門家の意見を広く聞き、良いものは審査に取り入れていくべきだと提言している。島崎氏の研究結果に対する専門家の評価が分かれたとしても、提言自体は妥当だろう。 
 ところが、田中委員長は「そういう余裕はないし、やるべき立場にもない」と応えた。こうした姿勢には首をひねらざるを得ない。 
 規制委は、原発の安全確保の「最後のとりで」として、常に安全性の向上に取り組む責務がある。耐震想定の手法についても、自ら改善を図ることが求められている。

2016年7月24日日曜日

24- 電源構成 原発比率10%達成も危うい 同友会副代表幹事

 経済同友会の朝田照男副代表幹事は22日のロイターとのインタビューで、政府が2030年度のベストミックス2022%と想定している原発の比率について、現状を踏まえると10%の達成も危ういと述べました。
 同時に、再生エネルギーを推進しなければ、日本が世界の笑いものになってしまうとして、太陽光などの再生可能エネルギー拡大に向けた民間投資を促すよう、政府の積極的な支援を求めました
 もともと原発比率2022は既設の全原発を再稼働した上に、稼働40年を迎えた老朽原発は作り直すか運転延長をしないと達成できない数値なので、仮に10%を切った場合でも既設の半数近い原発が再稼働している状態です。これではいつまた大事故が起きるか分かりません。ゼロであるべきです。
 
 電気事業連合会の勝野哲会長は22日、共同通信のインタビューに応じ、2030年度の原発比率2022%とする政府方針を達成するため「発電所の新増設や建て替えが必要だ」と語りました。
 
 原発の稼働率をベストミックスに合わせるというのはそもそもが本末転倒の考え方で、福島事故前の原発全盛の状態に戻すということに他なりません(それを織り込むというのがベストミックスの主旨でした)。
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電源構成、原発比率10%達成も危うい 同友会副代表幹事
  ロイター 2016年7月22日
[東京 22日 ロイター] 経済同友会の朝田照男副代表幹事(丸紅会長)はロイターとのインタビューで、政府が2030年度の望ましい電源構成(ベストミックス)で2022%と想定している原子力発電の比率について、現状を踏まえると10%の達成も危ういと指摘した。
太陽光などの再生可能エネルギー拡大に向けた民間投資を促すよう、政府の積極的な支援を求めた。
 
同友会は6月28日に「ゼロ・エミッション社会」実現への提言を発表。その中で、原子力について、「40年廃炉ルール」を厳格に適用した場合、原発全基が再稼動しても政府目標の達成は難しく、「その発電割合は15%程度になる」との見通しを示している。
 
朝田氏は昨年、同友会の環境・資源エネルギー委員会委員長として同提言のとりまとめにあたった。インタビューの中で、朝田氏は福井県にある関西電力の高浜原子力発電所の1号機と2号機が40年超の運転を認められたことに触れ、「あのような運転延長を入れていかないと、原子力比率20%は達成しえない」と指摘。しかし、原子力規制委員会による新規制基準への適合可能性や司法判断による運転見合わせのリスクなどを考慮すると、「残念ながら、10%も行くかどうかという状況」と述べた。
 
一方、再生エネルギー開発については、日本のエネルギー産業で最大の成長分野でありながら、促進するには「障害が多すぎる」と指摘。具体的には、地熱、水力、風力発電に長期の環境アセスメントが必要になるという実態のほか、最大の問題として送電線の不備を挙げた。
 
朝田氏は、再生エネルギーを推進しなければ、「日本が世界の笑いものになってしまうという危機感を持っている」としたうえで、民間企業による投資への促進措置や送電線整備への政府や政府系ファンドからの資金支援を強く求めた。
インタビューは7月20日に行った。 (月森修)
 
 
原発の新増設必要、電事連会長 政府方針達成のため
東京新聞 2016年7月23日
 電気事業連合会の勝野哲会長(中部電力社長)は22日、共同通信のインタビューに応じ、2030年度の電源構成に占める原発比率を20~22%とする政府方針を達成するため「発電所の新増設や建て替えが必要だ」と語り、建設計画の前進に向け原発に対する信頼の回復に努めると強調した。
 原発の新増設を巡っては、政府は東京電力福島第1原発事故後、明確な方向性を示しておらず、難しい状況が続いている。勝野会長は「今後、おのずと具体的な施策が出てくるだろう」と、議論の活発化に期待感をにじませた。

2016年7月23日土曜日

23- 高速増殖炉「もんじゅ」にまた点検ミス 点検を2カ月間放置

 ずさんな管理が相次いで問題となった高速増殖炉「もんじゅ」でまた点検ミスが発覚しました。
 原子炉を冷やすナトリウムを管理する補助施設については今年3月までに点検する計画でしたが、期限が来ても点検が行われませんでした。それでそのことを知らせる警報が出たのですが、同施設を管理する原研開発機構職員はなぜか2カ月間放置していまし
 高速増殖炉では熱伝達媒体に液体ナトリウムが用いられますが、それは水に接触すれば爆発し、空気に触れれば燃焼するという非常に危険なものなので、一旦事故が起きればもう手の施しようがありません。従ってナトリウムの管理をおろそかにするということは、およそ考えられないことです。
 
 同機構はこれまで点検漏れ・点検ミスでさんざん批判されたにもかかわらず、一向に改まらなかったのでついに運転を禁止された経緯があるというのに、何故改善が見られないのでしょうか。
 
 実は同機構による運転管理を禁止して別の組織に運転管理させるというのは表向きのことで、実際には組織の名称が変わるだけで同じメンバーが担当することになるだろうと言われています。それがこんな有様では、「看板の掛け替え」だけで運転管理を継続させるなど論外です。
 
 なお、「もんじゅ」については、原子力規制委から廃炉を含めて検討するように言われた筈ですが、朝日新聞によれば、馳浩文科相は20日、同社のインタビューに応じて、「もんじゅ」「動かすことが前提」「廃炉という選択肢は現段階でまったくない」、「運営主体をどこにするかがまだ固まっていない」だけだ、と述べた(要旨)ということです。
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「もんじゅ」に再び点検ミス しかも2カ月間放置
テレ日ニュース 2016年7月22日
 ずさんな管理が相次ぎ、廃炉も含めた議論が行われている福井県の高速増殖炉「もんじゅ」でまた点検ミスが発覚しました。
 
 もんじゅを運営する日本原子力研究開発機構などによりますと、点検ミスが見つかったのは原子炉を冷やすナトリウムを管理する補助施設です。機構はこの施設を今年3月までに点検する計画を立てていましたが、期限が来ても点検が実施されませんでした。このため、施設のシステムが警報を発していましたが、職員は警報に気が付きながら2カ月間、放置していたということです。機構は「原因究明と再発防止に努めたい」と話しています。もんじゅは相次ぐ点検ミスなどから、2013年に原子力規制委員会から事実上の運転禁止命令を受けていました。その後も保安検査で安全性の根幹に関わるミスが相次ぎ、現在は政府内で廃炉も含めた議論が進められています。

2016年7月22日金曜日

大飯原発の再稼働は断念を! 美浜原発3号の寿命延長は断念を!

25団体が声明
 
 原子力規制委20日、大飯原発の基準地震動の計算方法について議論をやり直すことを決めました。元規制委委員長代理の島崎邦彦氏の指摘に基づいて規制庁が再計算したものの、その計算結果がおかしいと島崎氏から再度指摘を受けたことに対応したものです。
 規制委と関電とで同じ「入倉・三宅式」を使いながら基準地震動の計算結果が一致しないことも、その後報じられました(しんぶん赤旗21日付)。そういうことでは関電の計算値を審査時に承認した規制委が、一体どのようにチェックしたというのか何も信用することなどできません。
 
 20日、「美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会」など25団体が、規制委に対して「大飯原発の再稼働は断念を!美浜原発3号の寿命延長は断念を!ー 川内原発を止め、伊方3号の原子炉起動を中止して全ての原発の基準地震動を武村式で再計算すべき」とする声明を出しました。
 声明では、「入倉・三宅式」を「武村式」に変えて計算すれば基準地震動は1.81倍になるし、震源地の大きさ(Mo)から基準地震動を算出するに当たり、現行では1/3乗を適用しているが、それを片岡らの1/2乗式(1.47倍となる)を用いれば地震動はさらに大きくなるとしています。
 規制委は今度こそ十分に納得のできる正確な解明と再計算を行って汚名を挽回すべきです。
 
    注)下記の声明は「弁護士・金原徹雄のブログ20日付から転載しました。
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[共同声明] 入倉・三宅式の過小評価を熊本地震が証明
     武村式を用いた規制委の試算を適用すれば
     大飯原発3・4号の基準地震動は、856ガルから1,550ガルへ
     クリフエッジ1,260ガルを超えて、地震に耐えられず大惨事に
注.クリフエッジ崖っぷち
 
大飯原発の再稼働は断念を!美浜原発3号の寿命延長は断念を!
   川内原発を止め、伊方3号の原子炉起動を中止して
    全ての原発の基準地震動を武村式で再計算すべき
2016年7月20日
 島崎邦彦氏は、熊本地震を踏まえて「入倉・三宅式では地震動は過小評価」との警告を発し、原子力規制委員会・規制庁は7月13日に、大飯原発の地震動を武村式で再計算した結果を公表した。
 その結果は、基本ケース(破壊開始点3)で、東西方向の揺れは入倉・三宅式による356ガルが、武村式を適用すると644ガルとなった。原発の津波評価で採用している武村式を地震動に適応すれば、1.81倍になることを示している。大飯原発の基準地震動856ガルは1549ガルになり、クリフエッジを超えるため大惨事となる。
 
 大飯原発だけでなく、入倉・三宅式で計算されている現行の基準地震動を1.81倍すれば、美浜3号もクリフエッジを超え、高浜原発や玄海原発でもクリフエッジに近づく。
 さらに、震源の大きさ(M0)から地震動(加速度)を導く場合、M0の1/3乗を適応しているが、これは単なる仮定であり、片岡ほかの1/2乗を採用すればさらに地震動は大きくなる。
 
 
原  発
入倉・三宅式による現行最大加速度:ガル
1.81倍した場合の
加速度:ガル
クリフエッジ※
加速度:ガル
 
大飯原発
856
1,549
1,260
 
美浜3号 
993
1,797
1,320
 
玄海3・4号 
524
948
988
 
高浜3・4号
396
717
973
※)クリフエッジ(崖っぷち):これを超えると炉心の冷却ができなくなり大惨事にいたる地震動
 
 規制委の田中委員長は、7月19日に島崎氏と面談し、自らの再計算結果について「無理を重ねて計算した」「信用できるものではない」等と述べたが、これほど無責任なことがあるだろうか。島崎氏が述べているように、関電の示している基本ケース(破壊開始点3)の東西方向の揺れ596ガルに対して、規制委の356ガルはあまりに過小であるが、このことについての明確な説明もできなかった。さらに、規制庁の小林勝氏は、7月13日の記者会見で、武村式の適用を「不確かさ」として位置付けている。しかし、式そのものを変えることは「不確かさ」ではない。現行の不確かさの全てのケースで用いている入倉・三宅式を武村式に置き換えた計算をすべきだ。これら詳細なデータを規制委が示さない限り、入倉・三宅式の1.81倍の加速度になることを受け入れなければならない。
 
 規制委は自らの再計算結果に基づき、大飯原発、美浜原発3号の再稼働を断念すべきだ。同時に、川内原発を停止し、伊方3号の原子炉起動を中止して、全ての原発の基準地震動を武村式で再計算すべきだ。
 
             美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(他 全25団体 以下省略)