2020年3月31日火曜日

デブリ取り出しに1兆4000億円弱 福島原発31年度までに

 東電30日、福島原発1~3号機でデブリの取り出し準備などのため、2031年度末までにかかる費用として1兆3700億円が想定されると発表しました。
 2、3号機のデブリ取り出し設備などに1兆200億円が掛かるということです。実に想像を絶する額ですが一体どんな風に算出したのでしょうか。当然原発産業が請け負うわけで、原子力ムラにとっては廃炉も大いなる商売となっているということです。
 因みに1兆円は、従来ベースでいえば100万KWの原発2基分の建設費に相当する額です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
福島第1デブリ取り出し 東電が1兆3700億円以上の試算公表
河北新報 2020年03月31日
 東京電力は30日、福島第1原発の溶融核燃料(デブリ)取り出しに2020年度以降、少なくとも1兆3700億円がかかるとの試算を公表した。廃炉の最重要工程とされるデブリ取り出し作業で、東電が中長期的な支出想定を公表するのは初めて。
 試算は27日公表した「廃炉中長期実行プラン2020」に基づく。プランは31年までの工程を暫定的に示し、21年に2号機で試験的取り出しを始め、規模拡大を段階的に進めながら3、1号機の順で作業を展開すると定めた。
 内訳は準備作業に3300億円、設備の設置に1兆200億円、実際の取り出しには200億円。ただ試算対象は31年までの支出に限られる上、格納容器の内部調査が未実施の1、3号機は取り出し費用を「想定困難」として算出していない。最終的な総額は大幅に膨らむ恐れがある。
 東電は第1原発の廃炉でこれまでに約1兆3000億円を支出している。


溶融核燃料取り出しに1兆円超 福島第1原発、31年度末までに
共同通信 2020/3/30
 東京電力ホールディングスは30日、福島第1原発1~3号機で溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出し準備などのため、2031年度末までにかかる費用として1兆3700億円が想定されると発表した。
 内訳は2号機の内部調査や1~3号機建屋の除染などに3300億円、2、3号機のデブリ取り出し設備などに1兆200億円、2号機のデブリの試験的取り出しなどに200億円。31年末までの廃炉作業内容などを具体化した「廃炉中長期実行プラン」を27日に公表したことを踏まえ、算定した。
 これまではデブリ取り出し費用が算定できていないなどとして、20年3月期の業績予想は未定としていた。

東電「安全より経済優先せず」と保安規定を変更

 東電は30日、福島第1と福島第2、柏崎刈羽(新潟県)の3原発について、安全管理のルールを定めた保安規定に「安全性より経済性を優先しない」ことなどを明記し、原子力規制委に変更申請しました。規制委の要求に応じたものです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
東電「安全より経済優先せず」3原発の保安規定変更
共同通信 2020/3/30
 東京電力は30日、福島第1と福島第2、柏崎刈羽(新潟県)の3原発について、安全管理のルールを定めた保安規定に「第1原発の廃炉をやり遂げる」「安全性より経済性を優先しない」ことなどを盛り込み、原子力規制委員会に変更申請した。
 内容は東電の小早川智明社長が2017年、柏崎刈羽6、7号機の再稼働に向けた審査の中で確約した7項目。規制委が当時、合格の前提として保安規定に記載するよう求めていた。今後、内容が妥当かどうか確認する。
 確約表明から2年半以上かかったが、東電は「7項目以外を含め、全般的に検討していた」と具体的な理由を説明しなかった。

31- 高校生英国渡航団が 廃炉や風化などのついての冊子

研修の成果一冊に 高校生、廃炉などの考え集約 
福島民報 2020/03/31
 広野町にあるNPO法人ハッピーロードネット主催の英国渡航団に参加した高校生の研修成果をまとめた冊子「Shiru Manabu(シル・マナブ)」が完成した。同法人は県内の全高校に配布し、授業などで活用してもらう。 
 冊子はカラー版、全三十八ページで、一万部作成した。昨年八月の英国研修や、同九月の青森県六ケ所村訪問を通して学んだことを、写真や地図を使いながら紹介している。廃炉や風化、リーダーシップなどのテーマごとに生徒の考えをまとめた。 

 同法人の西本由美子理事長と訪問団に参加した磐城高二年の鈴木芙優さんと伊藤結さん、磐城桜が丘高二年の前川夏穂さんと佐々木香子さんは三十日、いわき市役所で記者会見し、訪問の成果と将来への決意を語った。 
 西本理事長は「生徒の視点で書かれているので同世代が廃炉などに関心を持つきっかけになるはず。生徒が苦労して作った冊子を多くの人に読んでほしい」と呼び掛けた。英語版もある。同法人は希望する人に冊子を配布している。

2020年3月30日月曜日

原発銀座の50年 あっても、なくても(東京新聞社説)

 東京新聞が「原発銀座の50年 あっても、なくても」とする社説を掲げました。
 50年」は敦賀原発1号機が稼働してから今年で50年になるという意味で、「あっても、なくても」は直接的には「怖い」につながります。れば事故が怖いし、ければ経済が回らないから怖いということです。
 敦賀原発の航空写真も載っています。社説に写真が載るのは珍しいのではないでしょうか。
 明らかなことは50年はあっても100年はないということです。そもそもウランが枯渇します。
 前後の見境なく数十年分しかないウランを燃やした結果、使用済み核燃料が地球上を汚染することがないように10万年もの間 厳重に保管する必要があります。
 そうした事実上際限のない負担を後世の人たちに掛けるという非道さが原発の本質であると言うことができます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【社説】原発銀座の50年 あっても、なくても
東京新聞 2020年3月30日
 <福井県の、ぼく、おおい町出身でね、知ってます? 原発の町、おおい町です>
 時事ネタで人気のお笑いコンビ、ウーマンラッシュアワーの村本大輔さんは、こう切り出した。昨年暮れにフジテレビ系で放映された「THE MANZAI」のひとこまだ。
 <おおい町の隣は、高浜町ね。高浜町には疑惑だらけの高浜原発がありまして、その隣には美浜原発がありまして、その隣には敦賀の『もんじゅ』があったんです。でも、おおい町には夜の七時以降は開いてる店がほとんどない。真っ暗になる。これ叫ばせてください。電気はどこへ行く~>
 ここで客席、大爆笑。
 <地元の人間にしてみれば原発があっても怖いし、なくても怖い。あったらあったで地震があったら怖い。なかったらなかったで経済が回らないから怖いですよね>
 ふるさとの本音を代弁するかのようなマシンガントークが続く。客席は何度も笑いに包まれる-。

 「原発銀座」と呼ばれる福井県の若狭湾沿岸部は、世界に類のない原発の密集地。村本さんが言うように、関西電力の大飯、高浜、美浜、日本原子力発電の敦賀、そして日本原子力研究開発機構の実験炉「もんじゅ」と「ふげん」-。廃炉が決まったものも含めて、計十五基の原子炉が湾内にひしめく、まさに「銀座」の様相だ。
 ヘリコプターで高度千五百メートルから見下ろした。複雑な海岸線。もやの中、岬の陰に身を隠すように、原子炉が立ち並ぶ。
 美浜、もんじゅ、敦賀の三カ所は、一枚の写真に納まるほどの近さにあった。

◆「平和利用」に誘われて
 原発銀座の一丁目、第一号となる敦賀原発=写真、本社ヘリ「まなづる」から=の運転開始から、今月で五十年が経過した。
 一九五三年、アイゼンハワー米大統領の「アトムズ・フォー・ピース(原子力の平和利用)」演説をきっかけに、唯一の被爆国日本にも原子力ブームが巻き起こる。
 福井県は五七年、産学官の代表による「福井県原子力懇談会」を組織して原発誘致に乗り出した。
 繊維に代わる新しい“地場産業”がほしかった。太平洋側の発展に「追いつけ追い越せ」の機運もあった。
 核分裂同様、原発立地も連鎖する。原発が立地されると、見返りに電源三法交付金など「原発マネー」が流れ込み、庁舎や保養施設のような、立派なハコモノが建設される。それを見て、近隣の自治体が名乗りを上げる。時あたかも高度経済成長期。電力需要も右肩上がり。若狭の浜辺はこうして「原発銀座」になった。
 だが、やがて期待はしぼんでいった。元福井県原子力安全対策課長の来馬克美さんは書いている。
「原子炉建設によって道路などのインフラは整備された。また、建設労働者の流入により、一時的に地域経済が潤いもした。しかし、それは土木建設業界が活躍する建設工事の初期までであり、機器設備類の組立や実際の稼働に入る頃には、原子力発電所建設による利益を受けるのは立地市町周辺に限られることが明らかになっていた」(「君は原子力を考えたことがあるか」)
 立地自治体の住民があまねく恩恵を受けたわけでもない。

 村本さんと同じおおい町に生まれた作家水上勉は、こう書いた。
 「人を信じるしかあるまい。関電の技師さんを信じるしかあるまい。原発の安全は人間を信じることだ。ひとつそれがくずれれば、イカ釣り舟も地獄の宴(うたげ)だ」(「若狭がたり」)。多くの人が不安を押し殺し、原発との共存を自らに強いてきたのではなかったか。
 福島第一原発の事故を境に若狭湾の潮目も変わり、うち続く電力会社の不祥事は、地元との信頼関係に、とどめを刺した感がある。

◆「百年」はあり得ない
 老朽化した敦賀1号機は廃炉が決まり、2号機直下には大地震を起こす恐れのある活断層の存在が指摘されている。3、4号機の建設予定地は更地のままだ。新増設の見込みはない。原発銀座に「百年」はあり得まい。世界は再生可能エネルギーの時代になった。
 半世紀-。原発の真の受益者は、地方が送る電気を使い繁栄を謳歌(おうか)してきた都会の電力消費者だった。若狭のような供給地の未来をどうするか。消費者もともに考える時。例えば村本さんの原発ネタが、きっかけになればいい。

写真

「廃炉」支える決意 建設業・エイブルの水野さん

 福島民友新聞が、福島原発1、2号機共用排気筒(高さ120m)の解体作業を請け負う建設会社「エイブル」に勤務する水野寿秋さん(26)=いわき市出身=を紹介する記事を出しました。
 水野さんは9年前の3月11平工高を卒業し東北学院大への進学を控える中で大震災に見舞われました。大学卒業後の進路を考え始めた時、「自分も何か復旧、復興の役に立ちたい。にぎわう富岡町をもう一度、見たい」と、それまでは考えていなかった地元の企業「エイブル」に就職しました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「廃炉」支える決意 富岡復興へ 建設業・エイブルの水野さん
福島民友 2020年03月30日
 事故収束と廃炉作業が続く東京電力福島第1原発の敷地内にある協力企業棟。広野町の建設業「エイブル」の水野寿秋さん(26)=いわき市出身=は、同社が担当する1、2号機共用排気筒(高さ120メートル)の解体作業を事務面からサポートする。「廃炉は30~40年の長丁場。自分が関わり続けるだけでなく、経験を次の世代に引き継いでいきたい」。決意と責任感に満ちた目で、本県の未来を見つめる。

 9年前の3月11日。平工高を卒業し、東北学院大への進学を控える中、いわき市の自宅で大きな揺れに襲われた。津波被害はなく同居する家族3人も全員無事だったが、原発事故で幼少期から親しんだ大切な場所を奪われた。祖父母が暮らした富岡町だ。
 正月やお盆に囲んだ食卓、夜の森地区の桜並木。思い出の中の富岡町は、いつも笑顔にあふれていた。祖父母は事故で古里を追われ、避難した同市に自宅を再建。慣れ親しんだ地を離れた2人の寂しげな表情が、今でも水野さんの脳裏に浮かぶ。
 大学卒業後の進路を考え始めた時、ふと、そんな2人の顔と富岡町の光景を思い出した。「自分も何か復旧、復興の役に立ちたい。にぎわう富岡町をもう一度、見たい」。それまでは考えていなかった地元の就職先を探す中で震災後、復旧工事を積極的に受注しているエイブルが目に留まった。迷いはなかった。

 昨年8月に始まった排気筒解体は、4班編成のエイブル社員が切断装置のカメラを頼りに、約200メートル離れた操作室から遠隔で筒身を切る前例のない作業だ。水野さんは作業の進み具合や工程別の課題をまとめ各班に伝える役割を担い、さまざまな情報の共有を下支えしている。
 当初は切断装置の不具合で度々作業が中断し「胃が痛かった」と振り返るが、現在は作業方法の改良などで順調に工程が進んでいる。地元就職のきっかけになった祖父は2年前に亡くなり、今では、祖母に掛けられるねぎらいの言葉が仕事に打ち込む原動力になっている。「排気筒の解体は廃炉全体から見たら小さなことかもしれない。ただ、長い廃炉はそうした作業の積み重ね。少しずつ、復興に向けて仕事を進めていけたらと思う」

福島ロボットテストフィールドが全面開所

 ロボット研究開発拠点「福島ロボットテストフィールド」は31全面開所します。試験用橋梁が完成したことで、全21施設が利用できるようになります
 ロボットは廃炉を含めた様々な分野で活躍が期待されています。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
31日全面開所 福島ロボットテストフィールド
福島民報 2020/03/30
 南相馬市と浪江町のロボット研究開発拠点「福島ロボットテストフィールド」は三十一日、全面開所する。
 既に供用を始めている二十施設に加え、試験用橋梁(きょうりょう)が完成し、全二十一施設が利用できるようになる。橋梁は幅十メートル、長さ五十メートル、高さ五メートルで、インフラ点検の実験で使われる。
 フィールドは、福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の中核施設として整備される。物流やインフラ点検、防災などで活躍するロボットや小型無人機(ドローン)の研究開発拠点となる。
 八月二十日から三日間、ロボット分野の国際大会「ワールドロボットサミット」が開かれる。世界各地から約百チームが出場し、ロボットやドローンの技術や性能を競う。


ロボのまち動画で紹介 南相馬市が制作・公開
福島民報 2020/03/28
 南相馬市は、同市の「ロボットのまち」の実現に向けた取り組みを紹介するPR動画を作った。二十六日、動画投稿サイト「ユーチューブ」の市公式チャンネルで公開した。 
 人材育成や技術革新の動きを広く伝えようと、市が昨年十一月から約四カ月かけて制作した。JR常磐線原ノ町駅や福島ロボットテストフィールドなどの電子看板での発信も検討している。 
 公開した動画は十五秒の短編から十二分四十六秒の長編までの計十一本。門馬和夫市長、東京都から市内に進出した小型無人機(ドローン)を研究開発する「スペースエンターテインメントラボラトリー」の金田政太社長(36)ら六人のインタビューを収録した。「南相馬のロボットは道具じゃない、○○だ」を合言葉に、それぞれが○○に言葉を当てはめて発表している。このほか、宅配や草刈りロボットが活躍する日常を描いた動画もある。 
 福島ロボットテストフィールドは三十一日に全面開所する。八月には国際競技大会「ワールドロボットサミット」の会場となる。 
 制作を担当した市ロボット産業推進室の花沢真司さん(37)は「無機質なロボットに温かい印象を持ってほしい。動画を活用して地元を盛り上げたい」と話している。

30- 女川原発の作業員が内部被ばく

 女川原発の原子炉建屋1階で、点検作業をしていた50代男性作業員が内部被ばくしました。分解された弁を磨く作業などを担当管理区域を出る際に、口元に汚染が確認されました。
 内部被ばく量は005ミリシーベルトと確認されました。外部被爆の許容値は年間1ミリシーベルトですが、内部被ばく量をそれと比較するべきではありません。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
女川原発の作業員、内部被ばく=身体に影響なし—東北電
時事通信 2020年3月27日
 東北電力は27日、女川原発2号機(宮城県)の原子炉建屋1階で、点検作業をしていた協力企業の50代男性作業員が内部被ばくしたと発表した。内部被ばく量は0.05ミリシーベルトで、東北電は「身体に影響を与えるものではない」としている。同社の原発で作業員が内部被ばくしたのは初めて。
 東北電によると、男性は26日午前9時45分ごろから約1時間半、分解された弁を磨く作業などを担当。管理区域を出る際、口元に汚染が確認され、その後の検査で内部被ばくが判明した。体調不良などは訴えていないという。


女川原発2号機で作業員が内部被ばく
河北新報 2020年3月28日
 東北電力は27日、女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の原子炉建屋1階で作業していた協力会社の50代の男性作業員が、体内に微量の放射性物質を取り込み、内部被ばくしたと発表した。東北電が保有する女川原発と東通原発(青森県東通村)で内部被ばくが発生したのは初めて。
 内部被ばく量は0.05ミリシーベルト。東北電の担当者は「自然界から受ける年間の線量に比べて極めて低く、身体に影響を与えるものではない」と説明している。
 東北電によると、作業員は26日午前9時45分ごろ~11時20分ごろ、布で金属製の弁の汚れを落とす作業に従事。終了後の体表面の検査で口元の汚染が確認され、27日の測定で体内への取り込みが判明した。
 作業員は専用の服やゴム手袋、長靴、ヘルメットを着けていた。弁は通常、原子炉の水を採取する配管に設置されているが、作業時は飛散防止のためビニール袋に入れていたという。

 東北電の担当者は「地域の方々にご心配とご迷惑をお掛けした。原因を究明し、安全性向上と再発防止に取り組む」と謝罪した。
 女川2号機は2月、原子力規制委員会の新規制基準適合性審査に正式合格した。東北電は安全対策工事を終える2020年度以降の再稼働を目指している。

2020年3月29日日曜日

東電と東芝が柏崎刈羽の安全対策で新会社

 東電と東芝が共同で、東電柏崎刈羽原発6号機の安全対策工事を請け負う新会社を設立する方針です。東電と東芝側がそれぞれ持つ原発運営とメンテナンスの知見を統合し、効率性を高め安全対策費用増加に対応しようとする狙いです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
東電と東芝、原発で新会社柏崎刈羽の安全対策で
共同通信 2020/3/28
 東京電力ホールディングス(HD)と東芝が共同で、東電柏崎刈羽原発6号機(新潟県)の安全対策工事を請け負う新会社を設立する方針であることが28日、分かった。
 4月にも東電HDと東芝子会社の東芝エネルギーシステムズ(川崎市)が折半出資して新会社を設立し、7月から本格的に事業を開始する方向で検討している。
 柏崎刈羽原発は事故を起こした東電福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)で、再稼働が遅れている。原発の規制強化で安全対策費用が増加しており、東電HDと東芝側がそれぞれ持つ原発運営とメンテナンスの知見を統合することで、効率性を高める狙いがあるとみられる。

3次元放射線測定システム車開発 除染や廃炉に貢献

 日本原子力研究開発機構は放射線源の位置を測定して3次元の画像にできる「3次元放射線測定システム車」を開発しました。
 あまり被爆をしないで「ホットスポット」を見つけることが出来るので、除染や廃炉作業の推進に貢献できるとしています
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「3次元放射線測定システム車」開発 JAEA、廃炉に貢献
福島民友 2020年03月28日
 日本原子力研究開発機構(JAEA)は放射線源の位置を測定して3次元の画像にできる「3次元放射線測定システム車」を開発した。局所的に空間線量率の高い「ホットスポット」を見つけやすく、除染や廃炉作業の推進に貢献できるとしている。

 JAEAによると、広い場所で放射線測定器(サーベイメーター)を使い徒歩で放射線源を調べようとすると、時間がかかる上、作業員の被ばく線量の増加が課題になる。さらに従来のモニタリングカーでは空間線量率の変動を把握できるものの、放射線源がどこにあるのか把握するのが難しいという。
 3次元放射線測定システム車には放射線源がどこにあるかなど放射性物質の分布を測定して可視化するガンマ線可視化装置と、レーザー光を用いた3次元距離測定センサー、衛星利用測位システム(GPS)を搭載しており、組み合わせることで車両から半径100メートル程度を3次元の画像にできる。
 JAEAは、東京電力福島第1原発や原発事故に伴った帰還困難区域での実証を経て実用化したい考えで、「実用化では空間線量率も(3次元の画像で)見られるようにしたい」としている。

原発立地市町村の税収21%減 交付金は57%減 ピーク比

 原発や核燃料サイクル施設が立地するか建設構想がある全国25市町村で、地方税収入がピーク時から21%減し、同じく原発関連交付金も57%減少しているということです
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
原発立地市町村の税収21%減 ピーク比、停止や老朽化で
共同通信 2020/3/28
 原発や核燃料サイクル施設が立地するか建設構想がある全国25市町村で、自主財源の柱である地方税収入がピーク時から21%減っていることが28日、各自治体への取材で分かった。原発の長期停止や老朽化で固定資産税収が減ったとの回答が目立った。もう一つの収入源である原発関連交付金も最大時から57%減少。原発や関連施設が新増設されないと、自治体は厳しい財政運営を迫られる状況が浮き彫りになった。人口減も進んでいる。
 東京電力福島第1原発事故後、財政に減収などマイナスの影響が出たと14市町村が答えた。

29- むつ市議会 核燃税条例を可決

 むつ市議会は市に搬入予定の使用済み核燃料に課税する条例案を賛成多数で可決しました。2125年度に約94億円の税収を予定するもので、総務相との協議で同意が得られれば施行されます
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
むつ市議会、核燃税条例を可決
河北新報 2020年03月28日
 むつ市議会は27日、臨時の本会議を開き、市に搬入予定の使用済み核燃料に課税する条例案を賛成多数で可決した。総務相との協議で同意が得られれば施行される

 条例は、リサイクル燃料貯蔵(RFS)が市に建設中の使用済み核燃料中間貯蔵施設に搬入される燃料が課税対象。法定外普通税で、受け入れ時に燃料のウラン1キロ当たり1万9400円、貯蔵1年ごとに同1300円を徴収する。
 青森県が六ケ所村の再処理工場の使用済み核燃料に課している税額から、特例による上乗せ分(1キロ当たり7000円)を引いた額と同じ。市はRFSの事業開始年度を2021年度と見込み、21~25年度に約94億円の税収を予定する。
 RFSは「十分な内容確認に至っていない。市としっかりと協議を重ねたい」とコメントした。RFSを巡っては県が他の原子力施設と同様の課税をすることも予想され、今後、市と県による綱引きが予想される。

2020年3月28日土曜日

福島原発処理水 一方的な筋書きは捨てよ(信濃毎日新聞)

 信濃毎日新聞が、「福島原発処理水 一方的な筋書きは捨てよ」とする社説を掲げました。
 国と東電はトリチウム汚染水の処分法を事実上「海洋放出」に絞り、東北地方東側住民の説得に入っていますが、原発事故の被害から立ち直りつつある漁業関係者には死活問題で反対の声が高まっているのは当然です
 119万トン処理水の7割には、トリチウム以外の法定基準を超える放射性物質が含まれ、タンクの底には沈殿物も生じていることが最近明らかにされました。論外のことです。
 東電は、風評被害が生じれば適切に賠償する方針を示しているようですが、これまでの例から不十分なものであることは明らかです。
 信濃毎日新聞は、海洋放出しか手段がないと、誘導するかのような議論の進め方は認められるものではないと述べています。 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
社説 福島原発処理水 一方的な筋書きは捨てよ
信濃毎日新聞 2020年3月27日
 東京電力福島第1原発の処理水を巡る政府の地元説明が続く。
 放射性物質トリチウムを含む処理水を法定基準以下に薄めて海に流す―。国と東電は事実上、処理水の処分法を「海洋放出」に絞っている。
 原発事故の被害から立ち直りつつある漁業関係者には死活問題で反対の声が高まっている
 福島第1では核燃料が溶け落ちた原子炉建屋に注ぐ冷却水に、山側から流入する地下水が加わり、汚染水が増え続けている。
 東電は特殊設備で一定の放射性物質を取り除いて「処理水」としタンクに保管するものの、2022年夏には容量が限界に達すると試算している。
 3年余にわたって処分法を議論した政府小委員会は、大気への放出も選択肢に挙げた上で、実績のある海洋放出の方が「確実」と提言した。風評被害対策の拡充も併せて求めている。
 放出に伴う被害は風評にとどまるだろうか。119万トンに及ぶ処理水の7割には、トリチウムのほかにも法定基準を超える放射性物質が残る。トリチウム以外は取り除けるとしてきた東電は、この事実を隠した経緯がある

 最近になり、処理水の保管タンクで沈殿物が見つかった。放射性物質を含む危険性があるのに、東電は当初、政府小委に報告しなかった。福島の住民が不信の目を向けるのも無理はない。
 東電は処理水を再浄化するとし近く試験を始める。トリチウム以外は浄化できると証明した上で、地元と協議するのが筋だ。沈殿物の性質も突き止め、相応の対策を講じなければならない。
 最大で44魚種に上った出荷制限が、今年2月になってようやく全て解除された。福島県だけでなく茨城県などの漁協も海洋放出に強く反対している
 東電は、風評被害が生じれば適切に賠償する方針を示す。他の賠償で、原子力損害賠償紛争解決センターの和解案を次々と拒否しているだけに、説得力を欠く。地域を成り立たせているなりわいを金であがなえるはずもない。
 当面は処理水のタンク保管を続ける方策がないか、東電は改めて検討すべきだ。前例がないとして政府小委が退けた地層注入、地下埋設の技術的可能性と環境への影響度合いも詳しく説明し、福島の住民の理解を得られる処分法を探らなくてはならない。
 海洋放出しか手段がないと、誘導するかのような議論の進め方は認められるものではない。 

女川原発避難計画「再審査を」市民団体が国に申し入れ書

 内閣府と宮城県などでつくる女川地域原子力防災協議会25日、女川原発重大事故時の「緊急時対応」避難計画をまとめたことに対して、「女川原発の避難計画を考える会」は26「避難バスの確保や避難退域時検査場所での渋滞問題など、指摘したことが全く検討されていない」として、「審査していない場合は再審査を命ずるよう求める」との申し入れ書を、国の防災協議会メンバー24人に送付しました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
女川原発広域避難計画「再審査を」 石巻の市民団体、国に申し入れ書送付
河北新報 2020年03月27日
 東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の重大事故を想定した住民避難計画となる国の「緊急時対応」の公表を受け、石巻市の市民団体「女川原発の避難計画を考える会」は26日、国の原子力防災会議メンバー24人に対し、計画の実効性について再審査を求める申し入れ書を送付した。
 同会は書面で「実効性に関する審査の有無を確認し、審査していない場合は再審査を命ずるよう求める」と訴えた。
 市役所で記者会見した原伸雄代表(77)は「避難バスの確保や(放射線量を調べる)避難退域時検査場所での渋滞問題など、指摘したことが全く検討されていない。市民の不安に応える計画にするため審査を差し戻すべきだ」と述べた。
 計画は内閣府や県などでつくる女川地域原子力防災協議会が25日に取りまとめた。今後は原子力防災会議が了承する手続きへ進む。

JA福島県協議会 東電の賠償案受け入れへ

東電の賠償案受け入れ JA原発事故の農林業損害
福島民報 2020/03/27
 JAグループ東京電力原発事故農畜産物損害賠償対策県協議会は二十六日、福島市のJA福島ビルで総会を開き、東電が示した東電福島第一原発事故による二〇二〇(令和二)年一月以降分の農林業損害賠償案の受け入れを決めた。帰還困難区域内は原発事故発生前に得ていた年間利益を一年単位で一括支払いし、避難指示解除区域も農業環境が整っていない地域は帰還困難区域内と同等とし、一年単位で賠償する。
 賠償案は帰還困難区域内に加え、避難指示解除区域のうち(1)農地や周辺の水路が未整備(2)除染土壌の仮置きを継続している(3)作付け実証を行っている-の理由で営農ができない生産者が対象となる。
 解除区域で営農を再開していても、原発事故発生前より収量が落ちた生産者には減収分を支払う。二〇二一年以降も避難指示解除や農業環境の回復に至らない場合、一年ごとに損害額を確定させて賠償を続ける。
 東電は全対象者に営農意欲の有無を確認し、再開や継続を希望する生産者には将来的な営農計画の策定などを求めた上で一括賠償する。帰還困難区域内の生産者には前払いも可能とする。営農を再開しない生産者への賠償は終了する見込み。
 賠償案に基づいて支払いが適切に行われているかを共同で検証する場を設置する。今後、対象者向けの説明を開き周知を図る。
 東電は二〇一七(平成二十九)年一月以降の避難区域内の損害賠償として、原発事故前に得ていた年間利益の三年分を約六千七百人に一括前払いした。

28- 東海第二 使用前検査は再稼働直結せず 6首長が原電に確認へ

東海第二 使用前検査 再稼働直結せず 6市村首長、原電に申し入れ
東京新聞 2020年3月27日
 東海村の日本原子力発電(原電)東海第二原発を巡り、再稼働の際に事前同意を求められる周辺六市村の首長が二十六日、再稼働前に実施される使用前検査は、再稼働に直結しないことを確約するよう原電に申し入れた
 代表で山田修村長が村役場で原電の担当者に申し入れ書を手渡した。申し入れは二月に開かれた首長と原電幹部との会合を受けた。
 会合の中で示された使用前検査の申請書で「東海第二の使用開始予定時期」として、事故対策工事が終わる予定の二〇二二年十二月の日付が入り、再稼働の日程と誤解されかねないため、申し入れでは「東海第二への住民の理解が十分とは言えない状況下で、誤解を招きかねない」とした。
 その上で、使用前検査は再稼働に直結しないと確約する▽事故対策工事や使用前検査の内容やスケジュールについて、住民への説明を強化し、その目標や計画を六自治体に示して確実に実施する-の二点について、原電に回答を求めた。 (松村真一郎)

2020年3月27日金曜日

海洋放出「一貫して反対」と茨城漁協 国などに説明求める

 茨城沿海地区漁協連合会の吉田彰宏専務理事は25日、東京新聞の取材にトリチウム水「海洋放出には一貫して反対。全国や関係県の漁連とも連携して、国や東電に説明を求めていく」と話しまし
 大井川和彦茨城県知事は25日の記者会見で、「安易な結論ありきの放出ではなく、どうやったら風評被害の抑制も含めてベストの判断をできるのか、しっかり検討していただきたい」と重ねて求めました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
海洋放出「一貫して反対」 汚染水処分方法 国などに漁業団体が説明求める
東京新聞 2020年3月26日
 東京電力が福島第一原発の汚染水を浄化処理した水について、海洋放出などが決まった場合の具体的な処分方法案を公表したのを受け、茨城沿海地区漁業協同組合連合会の吉田彰宏専務理事は二十五日、本紙の取材に「海洋放出には一貫して反対。全国や関係県の漁連とも連携して、国や東電に説明を求めていく」と話した。
 一方、大井川和彦知事はこの日の記者会見で、「安易な結論ありきの放出ではなく、どうやったら風評被害の抑制も含めてベストの判断をできるのか、しっかり検討していただきたい」と重ねて求めた。
「東電からしっかりと話を伺い、(漁業関係者などの)当事者に対する説明もしていただくようお願いしたい」とも述べた。

 処理済み汚染水には、浄化処理で取り除けない放射性物質トリチウムが残る。東電は、海洋放出に決まった場合、国の排出基準の四十分の一ほどまで海水で薄める方針。全量放出には三十年程度かかる可能性があるとした。
 ただ、福島第一で保管できる処理済み汚染水の最大量は、東電の説明では百三十七万トン。これに含まれるトリチウム総量を、事故前に定めていた年間の「放出管理目標値」(実際の年間放出実績は目標値の十分の一程度)で割れば、四十五年程度かかる計算だ。
 それだけの量を三十年で放出すれば、かつての放出量の十五倍ほどのトリチウムを毎年、垂れ流すことになる。 (宮尾幹成)