2013年7月31日水曜日

甘利大臣と泉田 新潟県知事の会談はすれ違い

 甘利明経済再生担当相は30日、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の安全審査をめぐり新潟県の泉田裕彦知事と東京都内で会談(非公開)し、原子力規制委員会による審査への東電の申請を了承するよう理解を求めましたが、泉田知事は「審査自体が不十分で認められない」などと述べ会談は平行線に終わりました。

 甘利大臣は「世界一厳しいとされる規制基準のチェックを受ければ原発の安全性は高まる」と審査を容認するように求めましたが、泉田知事は、「新たな規制基準は機械の性能だけを審査するもので、安全審査としては不十分で認められない」と述べました。
 新規制基準によれば安全性は以前に比べれば多少アップしますが、泉田知事がいうとおり不備も沢山あり、決して安心できるレベルというわけではありません。

 泉田知事はまた「今後のとりまとめは規制委が対応しなければいけない。権限がある規制委に説明責任がある」として、知事の要請に対応してこなかった田中俊一委員長責任に触れました。
 
 新潟日報とNHKニュースの記事を紹介します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
泉田知事、甘利担当相と会談 申請めぐり「すれ違い」
新潟日報 2013年7月30日
 泉田裕彦知事は30日午前、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働に向けた安全審査の申請問題について、内閣府で甘利明経済再生担当相と会談した。知事は会談後、取材に対し「(原発の安全性や審査に対する)懸念を伝えた。すれ違いだった」と述べた。早期審査の必要性を訴えた甘利氏も「すれ違いだった」と話し、議論がかみあわなかったことを明らかにした。

 知事は柏崎刈羽原発の過酷事故対策であるフィルター付きベント設置について、県が安全協定に基づく事前了解を与えるまで審査の申請をしないよう東電に求めており、会談後も考えに変わりがないことを強調した。
 会談は「大臣側の意向」(泉田知事)で非公開で行われた。知事は過酷事故の際に放射性物質を放出するフィルター付きベントの設計や、ベントに対する原子力規制委員会の審査が地元自治体の住民避難計画を踏まえていないなどの問題点を伝えたという。

 会談後、知事は取材に対し、申請をめぐる東電の広瀬直己社長との再会談について、事前調整の段階で県の質問に東電が十分な回答をしていないとして不満を示した。「東電は誠意を持って対応し、情報隠蔽(いんぺい)はやめてほしい」と訴えた。

 甘利氏は会談後の取材に「厳しくなった新基準で審査をすることは悪いことではないと伝えたが、すれ違いだった」と話した。2007年の中越沖地震で柏崎刈羽原発が被災した際に経済産業相として対応に当たるなど電力や原発の問題に詳しく、知事の懸念については「担当大臣に回答するようアドバイスしたい」と述べた。
 原発再稼働問題を担当する茂木敏充経産相は30日午前の閣議後会見で、甘利氏から閣議前に行われた知事との会談内容について説明を受けたことを明らかにした。

 柏崎刈羽の審査申請をめぐり、泉田知事は東電が地元に説明をしないまま早期申請方針を決めたことに反発。東電の広瀬社長が5日に知事と会って理解を求めたが物別れに終わった。
 甘利氏は9日の閣議後会見で「(規制委に)安全かどうかを判断させないというのは、(知事の)誤解ではないか」と発言。泉田知事は「誤解しているわけではない」として会談を求めていた。

甘利大臣と新潟県知事 会談は平行線
NHK NEWS WEB 2013年7月30日
甘利経済再生担当大臣は、新潟県の泉田知事と会談し、東京電力が柏崎刈羽原子力発電所の安全審査を国に申請することを容認するよう求めたのに対し、泉田知事は、「安全審査には不備がある」などと反発し、会談は平行線に終わりました。

東京電力は、重大な事故への対策を義務づけた原発の新たな規制基準が施行されたことを受けて、柏崎刈羽原子力発電所の安全審査を国に申請する方針ですが、新潟県がこれに反発していて、申請の見通しは立っていません。
こうしたなか、甘利経済再生担当大臣は、内閣府で新潟県の泉田知事と会談し、「知事の心配は真摯(しんし)に受け止めるが、新たな規制基準は世界一厳しいとされ、チェックを受ければ現状より原発の安全性は高まる。安全審査を受けることと、再稼働の判断は別問題であり、安全性を高める不断の努力をすべきだ」と述べ、申請を容認するよう求めました。
これに対し、泉田知事は、「原子力規制委員会に意見を申し上げても、なかなか取り合ってもらえない。原発の安全審査には不備がたくさんある」などと反発し、会談は平行線に終わりました。
このあと、甘利大臣は、記者団に対し、「会談はすれ違いだった」と述べました。
 
 

2013年7月30日火曜日

東電福島の汚染水対策は破綻状態

 29日の共同通信が、東電福島原発の「汚染水対策は事実上破綻」しているとする記事を掲げました。地下水問題に限定しても、あまりにも問題が多岐にわたり、その一つひとつが深刻なものであるため、もはやその詳細は報じ切れないという現実を「破綻」と呼んだのでしょう。

 記事では触れていませんが29日には規制委から、敷地内を縦横に走るトレンチ(コンクリート製配管・電線管用溝)の下部に敷かれている砂利層が地下水の通路になって、海への複数の流出箇所になっているのではないかという指摘も出ました。これの対策も勿論大変です。

 ところで濃厚な汚染水が止めどなく海洋に流出するという絶対にあってはならない事態を目の前にしても、東電はあたかも放心状態のなかにいるかのようです。
 いま外部から指摘されているような事柄はとうに東電は知っていた筈なのに、なぜ無為のまま経過して今日に至ったのでしょうか。
 毎回の記者会見を舌先三寸で誤魔化しても、マスメディアからは一切追及を受けないということから、思考停止の状態がずっと繰り返された結果、ついには正真正銘の放心状態に陥りそれが所内全体に蔓延していったものとしか考えられません。

 今後はまず広報担当を替え、規制委と東電社長がトップに立って対処するしかないのではないでしょうか。

 (東電が国内外の専門家で構成する第三者委員会「原子力改革監視委員会」の回目会合が26日に開かれ、その際に出席者から福島原発からの放射性汚染水の放出問題について厳しい批判が相次いだことは、28日の記事「米英の原子力専門家が東京電力を批判」で紹介しましたが、29日付のAFPニュースにその詳報が載りましたので末尾に掲載します。)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【福島第1原発の現状】
汚染水対策は事実上破綻   海洋流出防げるか不透明
共同通信 2013年7月29日
 福島第1原発からの汚染水の海洋流出を受け、東京電力は護岸の地盤改良など流出防止策を急ぐが、対策の効果は不透明だ。加えて敷地内の汚染水は1日400トンのペースで増え続け、抜本的な解決策もない。廃炉に向け当面の最重要課題とされた汚染水対策は事実上、破綻している。 
 「1リットル当たり23億5千万ベクレル」。原子力規制委員会が汚染水の漏えい源と疑う敷地海側のトレンチ(地下道)にたまっていた水の放射性セシウム濃度だ。東電が27日、発表した。トレンチが通る2号機タービン建屋東側の一帯では5月以降、観測用井戸で高濃度汚染水の検出が相次いでいる。

 東電は4月、港湾内で長さ約780メートルにわたって鋼管約600本を壁のように打ち込む「海側遮水壁」の工事を始めた。完成は来年9月ごろで、汚染水が海に漏れ出さないよう“念のため”の措置だった。

 ところがわずか約2カ月後、敷地海側や港湾内の海水で高濃度汚染水の検出が相次ぐと、水ガラスという薬液で護岸などの地層を固める「土の壁」の工事に着手せざるを得なくなった。

 トレンチには事故直後に流れ込んだ極めて高濃度の汚染水がたまっている。2011年4月に2号機取水口近くで汚染水漏れがあったことを受け、継ぎ目部分の縦穴を埋めて水の流れを遮断しているが、本来は配管や電源ケーブルを通すためのトレンチに、防水処理は施されていない。

 東電は早期に汚染水を抜き取ってトレンチを埋める計画だが、ここが汚染源だとすれば、完了までは高濃度の汚染水が漏れ続ける。今月26日に記者会見した 広瀬直己 (ひろせ・なおみ) 社長は「もっと早くやるべきだった」と悔やんだ。

 一方、汚染水をどう減らすのかも重要な課題だ。建屋に流れ込む前の地下水を井戸でくみ上げて海に出す「地下水バイパス」計画は地元の強い反発でめどが立たない。1~4号機の周囲の地盤を凍らせて地下水流入を防ぐ「凍土遮水壁」は15年の完成を目指すが、世界的に例のない取り組みで効果は未知数だ。「まずは流入量を減らさないとだめだが、抜本策は挙げられない」と広瀬社長は苦悩をにじませている。

福島第1原発、汚染水流出に専門家委員会から批判噴出
AFP通信 2013年07月29日
【7月29日 AFP】東京電力(TEPCO)が国内外の専門家で構成する第三者委員会「原子力改革監視委員会」の4回目会合が26日に開かれ、福島第1原子力発電所からの放射性汚染水の放出問題について出席者からは透明性の欠如を指摘する声や、「東電は自分たちのやっていることが分かっていないのではないか」など厳しい批判が相次いだ。

 かねて疑われていた福島第1原発から海への汚染水流出について、東電は前週になって初めて認めた。外国人2人、日本人4人の専門家からなる原子力改革監視委員会のデール・クライン(Dale Klein)委員長(米原子力規制委員会元委員長)は「安全側に立った意思決定の姿勢に欠けている。国民に十分な情報を提供していない」「東電は自分たちのやっていることが分かっていないのではないか。計画がなく、全力を尽くして環境と人々を守ろうとしていないと映る」など批判した。

 東電ではこれまで、発がんリスクのある放射性物質の濃度が、採取した地下水中で上昇していると報告していたが、汚染水の流出は原発の敷地内にとどまっていると主張していた。しかし、その主張に規制当局が疑念を募らせる中、ここに来て検出結果の公表が遅れたことを認めた。同じ会見で東電の広瀬直己(Naomi Hirose)社長は、ここ数か月の間に汚染水流出の可能性を警告する機会が少なくとも4回はあったと述べ、「3.11の教訓を学んで対応できていない」として謝罪した。また自らが1か月間、10%の減給処分を受けることを発表した。

 クライン委員長は会見の冒頭、汚染水流出に関する東電の対応に「不満を表明したい。汚染水問題がこれまでの福島(第1原発)の事故処理と改革の進歩を後退させると危惧(きぐ)している」と述べた。また東電による情報隠しではないかとの報道陣の質問に対してはこれを否定し、処理計画は適切だが、それを公表するまでに時間がかかりすぎたとし、「問題が発覚した段階ですぐに分かっていること、分からないことを発表する必要がある」と忠告した。

 バーバラ・ジャッジ(Barbara Judge)副委員長(英原子力公社名誉会長)も、東電の情報公開性の欠如に「本当にがっかりした」と述べ、「(原発の)廃炉作業は複雑で難しいプロセスであるため、今後も問題が生じることは必至だろうが、次に問題が起きたときには今回の誤りから学んで人々にいち早く、状況とそれを改善する東電の計画を知らせてもらいたい」と語った。

  ジャッジ氏はまた、東電の企業風土に問題があるとし「多くの企業同様、閉鎖的で効率性を優先する文化があり…議論する準備ができたと思えるまでは、自分たちだけで問題解決を図ろうとする」と指摘し、「効率よりも安全を優先する文化」を歓迎すると述べた。(c)AFP/Harumi OZAWA 

 原子力改革監視委員会のホームページによれば、日本人委員は3名でその他に事務局長が1名=日本人
 
 

被曝に関する10の真実

 27日の「とある原発の溶融貫通」ブログ(有名なブログです)に「我々が知らされていない本当の事 10の真実」という記事が載りました。
 一つひとつの事項が「目からうろこが落ちる」という感じの鋭い指摘です。なかでも「被爆者援護法」に該当する人がもしも居られれば、被害の深刻さはそれとして それなりの援護は受けられそうです。

 政府やその意を受けた関係機関・医療機関が被曝の被害に無関心を装っている中で、改めて指摘された一つひとつの事項を、もう一度胸の中で反芻してみたいものです。

 以下に全文を紹介します。原文には記載のURLからアクセスしてください。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
我々が知らされていない本当の事10の真実
 とある原発の溶融貫通 2013年7月27日

業界政治家が言えない事
 政治業界は見放しましょう。
10の真実 原発シロアリ帝国撲滅
 ________________________
1つ目は災害があろうとなかろうと我々国民は元々法律で「一般公衆の被曝年限度は年1㍉」と「原子力基本法」で決められていること。
 政府が違法に勝手な思惑で100㍉だ20㍉だと時間稼ぎをしているだけなのです。
 年1㍉の法律に基づいて対策を取らず,誤魔化しているだけなのです。
 ________________________
つ目の知らされない真実は世界唯一の原爆被爆国日本には「被爆者援護法」が既にあり、原爆の爆風・熱線に関係なく、現在21万人が、南相馬市民が1日で浴びた外部被曝50μsvで認定され現在、一生涯医療費無料で補償されているということです。
さらに甲状腺癌や白血病などで生涯毎月13万円以上の手当てが出ているのです。
 ________________________
つ目の事実は670人の被ばく者を出した東海村JCO事故の時も1㍉基準以下で被爆者認定し賠償補償を行ったということです。
 今、我々は年20㍉迄住めと言われています。
 桜井市長も法律違反の20ミリ基準を受け入れ、守るべき市民の命を安売りしようとしています。
 本当の権利を知らされず,10年で200㍉というのはあまりに理不尽です。
 ________________________
 政府も政治家もマスコミも弁護士も我々に伝えない真実のつ目は原発は底なしの高い費用が掛かるということ。
 原発ごみの最終処分場も無く,仮にできたとしても何万年も管理しなければならない。
 事故に備えた保険など取り合う保険会社もなく、賠償金で利益どころか会社も成り立たないことを考えれば,当然、一刻も早く 廃炉したほうが安上がりです。
また現在、原発無くても電気は足りていて、火力発電所は余裕をもって電気を作っています。
 政府のコストや電力量の見積もりのウソが既にばれています。
 ________________________
 5つ目の真実は福島第一原発事故が夏だったら 日本は終わっていたということです。
 当時3月の西風で8割以上の放射能が海に出ましたが、これがもし「ヤマセ」という北東風で東京に運ばれて居たら我々もこうしてはいられませんでした。
 ________________________
 消費税免除がうわさされるマスコミが伝えない真実つ目は「原爆と原発は双子の悪魔」だということです。
 原爆は原発で原料を作るのです。
 油を売っているアラブの王様は原発で電気を作りたいのではありません。
 原爆がほしいので原発を買うのです。
 ________________________
 報道してはならない真実つ目は日本は「世界一危険な原発大国」であるということ。
 狭い国土に大勢の国民、国を取り巻き海岸線に54基を並べています。
そして世界一の地震国。
して津波という言葉は世界共通語です。
 日本列島そのものが震源地なのです。
 世界一の地震津波大国が世界一の原発大国なのです。
 ________________________
さらに政府に都合の悪いつ目の真実は「日本は世界一の無防備国家」で「原発は格好の標的」だということです。
 兵士や軍隊に守られることなく、さあ、狙ってくださいと言わんばかりに海岸線に原発一基、原爆何発分という標的が54も並んでいるのです。
 日本はこれまで何十人いやそれ以上の国民が拉致されてきた国です。
ボートで原発に乗り付けたたった一人の工作員がこの国は亡ぼすことができます。
また、チェルノブイリもスリーマイルも そして東海村も簡単な操作、作業ミスで起こった重大な事故で地震津波が無くても飛行機事故のように人為的なミスで必ず事故が起きる「自爆用の時限爆弾」だということです。
 当然、官僚の中の官僚すなわち「財務官僚」もわかっています。
 ________________________
いよいよ、9番目の真実は「足りてる電気、底なしのコスト、簡単に国が亡ぶ危険性」なのに、原発推進をする。その目的は「原子力村の利権還流にある」ということです。
 「原子力村の仕組み」は国民が拒否することのできない第二の税金=アメリカの3倍の電気料金と税負担で賄われ、最大経費に利益が上乗せされる「総括原価方式」はシロアリ帝国のおいしい利権。
 官僚の天下りに始まり、建設で儲けるゼネコン、研究費や講演料の欲しい御用学者、電力企業献金や株券が欲しい政治家、年間1000億円の広告収入が欲しいマスコミ等々の巨大な利権ピラミッドを作っています。
 彼らは子どもの命や国家の安全よりも自分たちの懐のために文部科学省や御用学者やマスコミを使い業界キャンペーンと洗脳を繰り広げ国民に本当の事が分からないようにしているということです。
 ________________________
そして我々の最も知らねばならない結論、10番目の真実は原発推進のために 我々は生贄にされているということです。
 原子力村は「あらゆる手を使い原発推進をして原発村を維持する」ためは被害を最小限に抑えるしかなく、そのために我々被爆者に当然の権利を悟られないように情報は出しません。
 「一般公衆の被曝限度が年1㍉」ということも「50μ浴びれば生涯医療費無料であることも」教えない。
 本来、無限責任の原子力賠償法では時効などないのに電力会社を時効で助け,片や既に起こっている被ばくによる疾病が原発とは関係ないと、広島長崎、水俣、などのように 何十年かかる医療裁判に逃げ込み責任を果たさず,私腹を肥やす魂胆なのです。

 ***********************
 戦後60年以上、広島長崎で税金で平和式典をしてきながら,広島長崎からも被災地福島の国会議員や候補者からも,年1㍉を大きく逸脱して被ばくを続ける我々を救うために現在行われている「被爆者援護法」について,何も語られるとことはありません。
また,お腹に54本の時限爆弾を巻き,4本が煙を上げている。
 背広で隠し世界に「世界一安全ですよ。」と行商する。
 脇からはならず者に鉄砲を突き付けられ,取引先からは核のゴミを引きっとってくる。
 子どもの被曝や 法の下の平等や国民の人権など考えていられない。
 日本は今、何とも哀れな国に成り下がっております。
 
 

2013年7月29日月曜日

大飯原発 活断層の判断は9月に

 国内で唯一運転している福井県の大飯原発の断層について、原子力規制委員会の調査団は27日、28日2日間、3回目の調査行いました。規制委は大飯原発の9月まで運転継続を認めていますが、断層と判断されれば当然 運転は停止になります。

 調査終了後 島崎邦彦委員長代理は、運転中の3、4号機が定期検査入りする9月までに結論をまとめるのは困難との見通しを示しました。
 調査団は、今回参加できなかった有識者2人が別日程で現地調査した上で、評価会合を開き活断層について議論します。

 断層調査の一定の見解がまとまるまで規制委は定期検査後の再稼動についての審査を進めない方針です。

 これとは別に、志賀原発周辺の活断層について科学者会議など4団体が26日、27日に行った調査のニュースも、併せて紹介します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
大飯原発 活断層か来月にも議論へ
NHK NEWS WEB 2013年7月28日
国内で唯一運転している福井県の大飯原子力発電所で、国の原子力規制委員会の専門家会議による3度目の断層の調査が終わり、島崎邦彦委員は、来月にも開く会合で活断層かどうかを議論する考えを示しました。

大飯原発では、原子力規制委員会の専門家会議が27日と28日の2日間、現地に入り、活断層かどうかで意見が分かれている敷地内を南北に走る「F-6」という断層について調査しました。
28日の調査では、3号機の南側で新たに掘られた溝や、F-6断層が地表に表れた敷地北側の山頂にある調査地点に入り、断層が動いた時期や向きなどについて調べました。F-6断層は、その真上に原子炉を冷やす海水を取り込む重要な配管があると指摘されていて、活断層だと判断されると、3号機と4号機は停止を求められる可能性があります。
調査を終えた島崎委員は「北側と南側で見つかった2つの断層がどうつながり、それが安全上重要な施設の下を通っているかがポイントだ」と述べたうえで、活断層かどうかの判断に向けて、来月にも開く会合で議論する考えを示しました。
国内で唯一運転している大飯原発の2基を巡って、規制委員会は、定期検査が始まる9月までの運転継続を認めた一方で、その後の運転の前提となる新基準に基づく審査は、活断層かどうかを判断するまで行わない方針です。

志賀原発周辺に断層多数  科学者会議など4団体調査
しんぶん赤旗 2013年7月28日
 日本科学者会議石川支部、原発問題住民運動石川県連絡センターなど4団体は26、27の両日、北陸電力志賀原子力発電所(志賀町)周辺の海岸部の測量調査を実施しました。新潟大学名誉教授(地質学)の立石雅昭氏の指導のもと、海岸地形の状況を明らかにし、原発周辺の断層の活動性を分析しました。

 4団体と立石氏は、昨年春以降数回にわたり、原発の北9キロ地点の「富来(とぎ)川南岸断層」や原発の東1キロ地点の「福浦断層」を調査し、両断層が活動性の高い断層であることが決定的になったとする調査結果を発表しています。

 今回は、志賀原発の敷地直下を走る断層と海岸部の断層の走る向きが類似していることから、海岸の線状の構造や断層の状況を測量調査し、原発周辺の断層の状況を推測。その上で北陸電力が否定している断層、無視している断層についても存在を立証することが目的です。

 調査では、活動年代の特定は困難なものの、過去に地震が発生したことを示す断層の破砕帯が幅広く見られるなど、断層が志賀原発の海岸側に多数存在することがわかり、原発直下をはじめ、原発の周囲に数多くの断層が存在することが明白になりました。

 立石教授は「海岸部に幅広い破砕帯を伴う断層が多数存在する状況を見ても、原発敷地直下も同様の状況だと推測される。しっかりとした調査を実施し、結果を明らかにすべきだ」と指摘。住民運動としても継続して調査を行う考えを述べました。4団体は28日も同様の調査を実施することにしています。
 
 

2013年7月28日日曜日

米英の原子力専門家が東京電力を批判

 東電内外の有識者でつくる東電の改革監視委員会(委員長:米国デール・クライン、副委員長:英国バーバラ・ジャッジ 委員は日本人3名)は26日、同社の原子力安全改革プランの監視結果を答申書に取りまとめました。
 その中で監視委は同社の原発をめぐる事故やトラブルの対応について「一層の努力を行う必要がある」と批判し、福島第1原発の汚染水をめぐる対応を「その場しのぎ」として、社内の情報共有や危機対応、情報開示の姿勢について社外専門家に意見を求めることを提言しました

 フランス通信によると、デール・クライン委員長は会合のなかで、「福島第一原子力発電所から出た汚染水の海洋流出は、慎重な決定を行なうプロセスが東電に存在しないことを明らかにした」「東電は危機的な状況において適切な措置をとり、人々や環境を守る能力ない」と批判し、またバーバラ・ジャッジ副委員長も、東電の情報隠蔽に不満を表明しました

 こうした東電に対する極く当たり前の批判が、日本人の口からはなかなか表明されないというのは不思議なことです。
 東電は自分たちで選定した外国人改革監視委員からも厳しい批判が出たことを真摯に受け止めて、実のある改革を行って欲しいものです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
アメリカの原子力専門家が東京電力を批判
イランラジオ 2013年7月27日
アメリカ原子力規制委員会の元委員長で、東京電力の原子力改革監視委員会のデール・クライン委員長が、東京電力を批判しました。
フランス通信によりますと、デール・クライン委員長は、26日金曜東京で開催された原子力改革監視委員会の会合で東京電力を批判し、「福島第一原子力発電所から出た汚染水の海洋流出は、慎重な決定を行なうプロセスが東電に存在しないことを明らかにした」と表明しました。
また、放射性物質漏洩や放射能汚染に関する情報伝達や情報の透明性が欠けているとして東京電力を非難し、「東京電力は危機的な状況において適切な措置をとり、人々や環境を守る能力はない」と語りました。
クライン委員長は、2名の外国人専門家と、東電の取締役を含む名の日本人から構成される原子力改革監視委員会に参加するため、日本に招聘されました。
東京電力は、22日月曜、放射能に汚染された地下水の海洋流出を初めて認めました。
東京電力はこれ以前にも福島原発の地下水のサンプルにおける放射性物質の濃度が高くなったことを明らかにしましたが、「汚染水漏洩をコントロールしている」と主張していました。
イギリス原子力公社の会長をつとめる原子力改革監視委員会のバーバラ・ジャッジ副委員長も、この委員会で東京電力の情報隠蔽に不満を表明しました。
複数の専門家は、「福島原発の廃炉は数十年かかり、多くの地域住民はこの地域に帰還することが不可能であると見込まれている」と語っています。
 
 

2013年7月27日土曜日

「北茨城市で7マイクロシーベルト」をなぜ即刻公表しないのか

 道路などを走らせながら連続的にその地点の放射能レベルを測定できる放射能測定巡回車において、北茨木市の工業団地内の路上で712に毎時7マイクロシーベルト(年間換算61ミリシーベルト)の放射能が観測されたのにもかかわらず、25日になってようやく規制庁から各報道関係者にメールで連絡がありました。

 このことに関して武田邦彦教授から怒りのブログが発表されました。同ブログには「音声機能」も付属していますので、それで聞くとその怒りが直に伝わります。
 原子力規制庁からのメールと一緒に紹介します。

(コバルト60は工業製品などの内部構造を調べるために放射能を照射する際の線源)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【緊急】北茨城市で7マイクロシーベルト・・・どうするべきかも判らない!!
武田邦彦 2013年7月26日
北茨木市の工業団地で7月12日毎時7マイクロシーベルト(年間61ミリシーベルト相当)の放射線量が観測されていたことが7月25日に原子力規制庁から発表された。規制庁に報告したのは原子力機構、測定は北茨城市。
規制庁の説明では「周辺の工場で放射線を使った非破壊検査が行われていて、その放射線」ということだ。とんでもない事が起こった。

1)1年61ミリシーベルトという高い放射線が観測されたら、即刻発表しなければ逃げるに逃げられない。それを14日後に発表した。
2)非破壊検査の線源はコバルト60を使っているが、直ちに使用を止めないといけない。その後、線源がどうなっているか発表されていない。
3)どこでどのような線源を誰が使っているか国は把握しているのに発表しない。

もう、原子力を止めた方がよい。原発以外でも完全に犯罪となるこのような高い線量を放置するということになると、いつどこで高い線量が漏れて被曝しているかわからない。

1)放射性ヨウ素が継続的に漏れている、
2)福島原発から継続的に放射性物質が漏れているがベクレルが公表されない、2号機、3号機の異常がなかなか明らかではない、
3)海に放射性物質が流れていたのに選挙が終わるまで発表されない。自民党の圧力だろう

これまで原子力に携わってきた人、今でも推進派の人、原子力に携わる人はこのような杜撰で基準のない原子力にはほとんどの人が反対のはずだ。声を上げて欲しい。
今の所、北茨木が最も危険で、至急、市に説明を求め、逃げるべき所は逃げる必要がある。


原子力規制庁から報道関係者へのメール

報道関係者各位
7月25日 19:49
日本原子力研究開発機構(JAEA)から、北茨城市の走行サーベイ結果において、同市内の工業団地付近で異常に高い線量率を検出した旨の連絡がありましたのでお知らせします。
○12日9:20頃、北茨城市が北茨城市南中郷工業団地の走行サーベイを実施。
○24日、JAEAがこのサーベイ結果を分析していたところ、同工業団地付近で異常に高い線量率(7マイクロシーベルト毎時)を検出していたことを確認。
○このため、25日16時頃、JAEAが同工業団地付近の空間線量率の再測定を実施したところ、高い線量は確認されなかった。
○異常なデータの原因については、現在調査中。
                                   以上
                                        (担当)
原子力規制庁
 
 

来週甘利大臣が新潟県知事と会談へ


 甘利経済再生担当大臣は、東電が柏崎刈羽原子発の安全審査を申請することに反対している新潟県の泉田知事と来週会談し、申請を容認するよう働きかけるということです。

 「国民の安全に関わることは、いろいろな政治論とか情緒論を持ち込まないで、科学的に冷静に対処したほうがいい」と述べたということですが、何を言っているのか分かりかねる話です。

 先に泉田知事と東電社長の会談が物別れに終わったとき、多くの新聞が「知事の反対は当然であり、東電に無理がある」とする社説を掲げました。
 このたびの福島原発の汚染水の海洋流出の件でも、「東電に任せて置けない(読売)」、「公表遅れ 4回機会を逃す(産経)」、「対策不足 社長減給(日経)」などと、5大紙を含めた各紙がこぞって東電の無能力と隠蔽体質を批判しています。
 社長が公表の3日前には知っていたのに、公表するのを投票日の後に遅らせた東電の「政治的配慮」も勿論非難の的です。
 そんな風に電力会社が政府に配慮し、政府は電力会社のために理不尽な再稼動を進めるという、両者のもたれあいにこそ問題があります。

 原発にはいまや何の優位性もなく、河野康子氏(消費者団体連絡会 事務局長)が言うように、「原発は、安くも、エコ(=無公害)でも、安全でもない」ことは周知の事実となりました。それにもかかわらず「原発再稼働をもっと速く」と主張する経団連こそは、非科学的で、情緒的で、政治的であり、もはや再稼動自体が自己目的化しているとしか言いようがありません。
 
 甘利大臣の発言は自らへの戒めとすべきでしょう。(^○^)

 以下にNHKニュースとしんぶん赤旗の記事を紹介します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
甘利大臣 新潟県知事と会談へ
NHK NEWS WEB 2013年7月26日
甘利経済再生担当大臣は、閣議のあとの記者会見で、東京電力が柏崎刈羽原子力発電所の安全審査を国に申請することに反対している新潟県の泉田知事と来週会談し、申請を容認するよう働きかける考えを示しました。

東京電力は、重大な事故への対策を義務づけた原発の新たな規制基準が施行されたことを受けて、柏崎刈羽原子力発電所の安全審査を国に申請する方針ですが、新潟県が反発していて見通しは立っていません。
これについて甘利経済再生担当大臣は、閣議のあとの記者会見で、「国際基準で安全審査をしてはいけないという理屈は立たない。国民の安全に関わることは、いろいろな政治論とか情緒論を持ち込まないで、科学的に冷静に対処したほうがいい」と述べました。
そのうえで、甘利大臣は、「安全に関わる手続きはできるだけ早く進めたほうがいい。知事にも理解してもらえると思う」と述べ、新潟県の泉田知事と来週会談し、東京電力が安全審査を国に申請することを容認するよう働きかける考えを示しました。

経団連 「原発再稼働もっと速く」 経産省調査会で要求
しんぶん赤旗 2013年7月26日
 経済産業省の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会は24日、エネルギー基本計画の策定に向け民間4団体から意見を聞き取りました。この中で、日本経団連は原発の再稼働のスピードを可能な限り速めるよう求めました。

 経団連は、原子力について今後も活用していく電源だとし、「エネルギー基本計画では原子力の重要性を明確にすべき」だと主張。再稼働を速めるため、独立行政法人原子力安全基盤機構の人材を活用し、再稼働の審査人員を拡充するよう求めました。また、本来、電力会社が負担すべき放射性廃棄物の処理や使用済み燃料の再処理、原発事故の損害賠償について、「国はより積極的な役割を果たすべき」だとしました。

 一方、再生可能エネルギーの普及を促進している固定価格買い取り制度と地球温暖化対策税については、廃止も含めた抜本的見直しを求めました。
 日本商工会議所も速やかな原発再稼働を要求しました。全国消費者団体連絡会の河野康子事務局長は、「原発は、安くも、エコでも、安全でもない」と主張しました。