2013年12月31日火曜日

原発新増設認めない自民議連、政府に提言へ

 自民党の脱原発派の議連(エネルギー政策議員連盟)が、政府のエネルギー基本計画を抜本的に見直すよう求める提言案をまとめたということです。1月上旬の会合で提言案を最終確認後、政府に提出されます
 
 提言案は、昨年の衆院選で「原子力に依存しない社会の確立」を公約したとおり、依存度を下げる行程表を示すべきこと、原発の新増設リプレース(更新)を含めて認めないこと、また再稼働に関して、原発から30キロ圏内の地元合意をルール化し事故時の賠償に必要な保険加入を電力会社に義務付ける、などとしています。
 
 もともとこうした多様性が自民党の本来のあり方とされて来ました。
 いま安倍政権が妥結を目指しているTPP協定も、当初は自民党内にも過半数の慎重・反対派がいました。それなのに自民党が政権の座に着くと、全くなりをひそめてしまったのはなんとも不可解なことです。
 脱原発の新議連は、原発推進に邁進する安倍政権の抑止力になって欲しいものです。
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原発新増設認めない 自民議連、政府に提言へ
 東京新聞 2013年12月30日
 自民党で脱原発を掲げるエネルギー政策議員連盟(代表世話人・河野太郎副幹事長ら)が、一月に閣議決定される政府のエネルギー基本計画を抜本的に見直すよう求める提言案をまとめたことが二十九日、分かった。原発を「過渡期の電源」と位置付け、原発が「重要なベース電源」だとして再稼働推進を明記する基本計画案と一線を画す。政権内で原発推進、脱原発両派の対立が激化しそうだ。
 
 議連は一月上旬の会合で提言案を最終確認後、政府に提出する。原発推進派でつくる自民党の電力安定供給推進議員連盟(細田博之会長)は十二月十七日、新増設やリプレース(既存炉の新型炉への置き換え)の必要性を指摘する提言をまとめ、官邸に提出している。
 
 エネルギー政策議連の提言案は、自民党が昨年の衆院選で「原子力に依存しない社会の確立」を公約したことを踏まえ、依存度を下げる行程表を示すべきだと主張。新増設に言及していない政府の基本計画案に対し、リプレースを含めて認めない姿勢を明確にした。
 再稼働に関して、原発から三十キロ圏内の地元合意をルール化し「事故時の賠償に必要な保険加入を電力会社に義務付ける」ことも盛り込んだ。
 
 

2013年12月30日月曜日

トルコへの原発の輸出は許されるのか

 安倍首相は殆ど独断的にトルコへの原発輸出を進めていますが、トルコは地震国であり1999年には約1万7千人が亡くなったM7・8の地震がありました。そんな地震国に原発を作ってよいのでしょうか。
 
 また原発から出る膨大な温排水の排出先は黒海という大きな湖です。地元の市民たちは、「人類誕生前から続く黒海の海流・生態系が原発の温排水によって永久に破壊されようとしている」と反対しています。
       原子炉で発生する熱量の2/3が最終的に温排水に変わるといわれます
 
 湖水の温度上昇に加えて放射能汚染の心配もあります。万一原発が重大事故を起せば、黒海がどれほど放射能で汚染されるか計りしれません。いまも毎月超ベクレルオーダーの放射性物質を福島原発から太平洋に流し続けている日本に、原発を輸出する資格はあるのでしょうか。
 
 1月にはトルコのエルドアン首相訪日します。安倍首相はそれを機に・トルコ原子力協定承認早期化を狙っています
 
 29日、しんぶん赤旗がトルコへの原発輸出を批判する記事を出しました。
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日本製原発をトルコへ いいのか!?危険の輸出
しんぶん赤旗 2013年12月29日
 トルコへの原発輸出に向け安倍晋三政権は、来年1月のエルドアン首相訪日を弾みに、早期の日・トルコ原子力協定承認を狙っています。危険満載のたくらみに、両国市民から批判が上がっています。(佐久間亮)
 
地震大国 耐震性も不安
 問題となっているのは、2019年までに黒海沿岸の都市シノップに110万キロワット級の原発4基を建設するというプロジェクト。総工費は220億~250億ドル(約2・2兆~2・5兆円)と見積もられています。
 安倍首相の10月末のトルコ訪問で、三菱重工や仏企業アレバを中心とした企業グループが、商業契約の大枠合意に達しました。
 
 海外の巨大インフラ(産業基盤)プロジェクトを調査している田辺有輝氏(「環境・持続社会」研究センター)は、世界有数の地震国トルコへの原発輸出には多くの問題があると批判します。
 同国では1900年以降マグニチュード(M)6以上の地震が72回発生。約1万7千人が亡くなった99年のトルコ北西部地震(M7・8)では変電設備が深刻な打撃を受け、完全な復旧に10日以上かかりました。
 
 田辺氏は、トルコの耐震化は進んでおらず「仮に日本の原子炉の耐震性が高かったとしても、地震で周辺インフラが寸断される危険性がある」と指摘。送電が途絶えれば福島原発のような事故が起きかねないと懸念します。
 原発の経済性にも疑問を呈します。ロシアが受注したアックユ原発は建設費用が50億ドル(約5千億円)増加。トルコの専門家も、長期的には他のエネルギー源に比べ割高になると指摘しているといいます。
 
日本の国会に要請書
 「人類誕生前から続く黒海の海流・生態系が原発の温排水によって永久に破壊されようとしている」
 シノップの市民団体が11月に日本の国会に提出した要請書は、古代ギリシャから美しい港として知られた街に原発が輸出される憤りを訴えます。日本の国会向けの反対署名は、開始1週間でシノップ市民の1割に当たる2千人を超えました。地元市長も2009年の当選以来、原発反対を掲げています。
 トルコの都市部では5月以降、強権的なイスタンブールの緑地再開発計画を発端に大規模な反政府デモが頻発しました。
 トルコ政治が専門の岩坂将充氏(日本学術振興会特別研究員)は「デモの中心となった学生層は環境意識が高く、原発にも反対が多い」と指摘。反政府デモが来年3月の地方選、8月の大統領選に与える影響に注目しています。
 岩坂氏はまた、トルコ政府が原発に固執する背景には、燃料分野で国際収支を改善させることとともに、原子力技術を保有し安全保障上のカードとする意図もあると指摘します。
 
身内だけの断層調査
 原発の安全評価の要となる建設予定地の断層調査を、三菱グループの会社が受託していることも、日本共産党の笠井亮議員の質問(11月27日、衆院外務委)によって明らかになっています。
 安倍政権は、シノップ原発予定地の断層調査を、日本原子力発電に委託。調査費は13年度予算で11億2千万円に上ります。同社はさらに3社に再委託。その一つが三菱グループのダイヤコンサルタントです。原発を輸出する三菱重工のグループ企業が安全評価をする、お手盛り評価です。
 日本原電とダ社は、原子力規制委員会が指摘した敦賀原発直下の活断層を、いまだに認めていません。
 笠井議員の質問では、原子力安全・保安院の廃止後、原発輸出に公的信用機関が融資する際の安全確認体制が存在しないことも明らかになっています。田中良生経済産業政務官は「経産省が中心となって確認する」と発言。推進機関が融資審査にかかわる、ここでもお手盛りです。

地図:トルコ

表:トルコへの原発輸出の問題点

2013年12月29日日曜日

東電の柏崎原発再起動頼み 毎日が社説で批判 +

 東電再建計画が、国の支援強化を盛り込み、原発事故に伴う負担に枠をはめたうえで、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働頼みであることに対して、毎日新聞が、原発に依存しない再建の道を探るべきとする社説を掲げました。
 
 社説は、同原発建屋の下に活断層の存在が疑われるのに加えて、泉田新潟県知事が住民の安全確保を理由に強く反発していることをあげ、原発を「重要なベース電源」と位置づける政府のエネルギー計画案に便乗する形で、なし崩し的に原発依存を強めようとするのでは国民の理解は得られないとしています
 
 銀行からの融資をつなぐために=自分が生き延びるために(、銀行のいうがままに)なりふりかまわず原発の再稼動に向かうというのでは、まさに「反社会的企業」に他ならないし、収益力改善のためには「企業倫理」も何もかもが捨象されるというのでは、あまりにもみすぼらしい話です。
 
 いまこそ かつては一流企業と看做されてきた矜持を思い出して、さすがはと思える道を探るべきではないでしょうか。
 その道がどうしても見出せないということであれば、潔く破綻処理するしかありません。再建計画を作るのであればそういう立場で行うべきです。
 「貸手責任」を負うべき銀行筋も全く同様です。
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(社説東電の再建計画 原発頼みの脱却目指せ
毎日新聞 2013年12月29日
 東京電力が新しい総合特別事業計画(再建計画)を決めた。国の支援強化を盛り込み、原発事故に伴う負担に枠をはめることで再建の道筋を明確に描く狙いがある。
 
 しかし、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働頼みであることは前の計画と変わらない。それが足かせになっては、計画も絵に描いた餅に終わりかねない。事故の収束や被災地復興を確実に進めるためにも、原発に依存しない再建の道を探るべきだ。
 
 新計画は電力小売りが家庭向けを含めて全面自由化される2016年度をにらんで収益力を改善させるシナリオを描く。16年度に持ち株会社制に移行して発電、送配電、小売りの事業子会社を設立する。発送電分離を先取りして競争環境を整え、事業子会社の収益性を高める狙いだ。
 
 東電は国から借金する形で除染を実施するが、その返済に原子力損害賠償支援機構が保有する同社株の将来の売却益を充てる。自らの努力で企業価値を上げるほど負担が軽くなる仕掛けだ。ただし、企業価値を上げられなければ大きな負担が残り、結局は電気料金に上乗せされる形で国民につけが回る。
 
 収益力改善が重要課題であることは間違いない。しかし、柏崎刈羽原発の再稼働をその前提としている点に大きな問題がある。計画では同原発6、7号機を14年7月に、1、5号機を15年春に再稼働させる。
 
 ところが同原発は建屋の下に活断層の存在が疑われるほか、泉田裕彦新潟県知事が住民の安全確保を理由に強く反発している。経済性を優先させて再稼働を急ぐべきではない。
 
 計画は東電と国が二人三脚で作ったものだ。再稼働重視は原発を「重要なベース電源」と位置づける政府のエネルギー計画案と符合する。なし崩し的に原発依存を強めようとするのでは国民の理解は得られまい。
 
 東電には原発頼みから脱却し、計画に盛り込んだガス販売や小売り部門での新規事業、海外投資などを収益源に育てる努力を求めたい。
 
 今回再稼働を急ぐ計画を作ったのは、収益力改善を銀行に納得させる意味合いも大きい。黒字が見込めなければ融資してもらえないからだ。しかし、東電再建に税金が投入される以上、融資で利益を得てきた銀行も一定の「貸手責任」を負うべきだ。再建の足を引っ張るような融資態度は改める必要がある。
 
 一方、事故を起こした原発の廃炉を進めるため、来春に廃炉部門を社内分社化する。廃炉費用は約2兆円を見込み、既に積み立てた1兆円を超える分は今後のリストラで捻出する。廃炉技術は確立していない。安全、確実に進めるため技術開発などで政府の積極的な支援を求めたい。
 
(社説東電事業計画―金融機関も変えてこそ
朝日新聞 2013年12月29日
  東京電力が、新たな事業計画を政府に提出した。正月明けにも認められる見通しだ。
 東電の全額負担とされてきた除染などの事故対策費に上限が設けられ、それ以上については国費が投入される。
 法律上、原発事故への無限責任を負っている電力会社に対して、実質的な免責を導入することになる。
 一企業では到底まかなえない巨額な費用を東電に押しつけるだけでは、被災者への賠償や除染が滞りかねない。電力改革も進まない。かたや国には原発を推進し、過酷事故対策を怠ってきた責任がある。国費の投入はやむを得ない。
 ただし、兆円単位の税金を投じるからには、東電の利害関係者、とくに金融機関の貸手責任を問わなければならない。
 事故で事実上、債務超過に陥った東電は、本来なら破綻(はたん)処理されている。そうなれば、金融機関も巨額の債権放棄を迫られていたはずだ。
 震災前、東電が優良な公益企業だったことに安住し、原発リスクや安全投資への姿勢を吟味してこなかったと批判されても仕方がない。事故後の支援融資はともかく、それまでの債権が丸ごと守られることに、納税者が納得できるだろうか。
 今回、東電に身を切るリストラや経営改革を実行させるのは当然だが、金融機関への追及はまだ甘い。政府はあらゆる手段を検討すべきだ。
 柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を、金融機関が強く求めていることにも注意しておく必要がある債権の保全や融資の継続のために、再稼働で東電の収益力を上げさせることが金融機関の狙いだ。
 しかし、国民負担の増大を抑えられるからといって、早々と原発を再開することは許されない。東電は、数万人に今なお避難を強いる原因をつくった当事者である。
 汚染水対策をはじめ、福島第一原発の事故収束がおぼつかないのに、どこにそんな余裕があるのか。
 金融機関は、送配電部門や発電・燃料調達部門の分社化をめぐっても、東電から引き受けた社債の担保が散逸しないよう保証を求めている。将来に向けた改革を妨げかねない。
 こうした金融機関の振る舞いは、地域独占を前提とした古い電力システムにどっぷりつかっているように映る。
 今後、電力業界全体の制度改革が進む。電力向け融資のあり方についても、根本的に見直すときだ。
 
 

避難指定外に月7万円の和解案 伊達市の千人に

 福島原発事故で「特定避難勧奨地点」に指定されなかった福島県伊達市の住民330世帯約1000人が、被ばくの不安に対する慰謝料を東電に求めた裁判外紛争解決手続き(ADR)で、紛争解決センターが住民1人当たり月7万円勧奨地点の住民に1人月10万円で実施済み)一律で支払う和解案を提示していました。
 
 慰謝料の対象期間は11年6月~13年3月で、住民たちは来年1月末までに和解に応じるか回答することになります
 
 そもそも特定避難勧奨地点に指定される条件は、年間線量20ミリシーベルトという極めて高いもので、それを下回る地域については何の補償もしないという冷酷なものでした。
 しかも当初の空間線量をベースにして行政が機械的に決めたために、同じ町内で一方は補償され他方は補償されないということが生じ問題となっていました。
 
 特定避難勧奨地点住民の7割という算定ですが、何も支払われないのに比べれば前進です。不誠実で知られる東電は「コメントを差し控える」としているので、1月末の期限までにどう回答するのか注目されます。
 
 (関連記事)
     2012年12月24日特定避難勧奨地点の判定基準 日本の恐ろしい現実 
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避難指定外に月7万円=福島・伊達市1000人、原発ADR和解案
時事通信 2013年12月28日
 東京電力福島第1原発事故で局地的に放射線量が高い「特定避難勧奨地点」に指定されなかった福島県伊達市の住民330世帯約1000人が、被ばくの不安に対する慰謝料を東電に求めた裁判外紛争解決手続き(ADR)で、仲介機関の原子力損害賠償紛争解決センターが、住民1人当たり月7万円を一律で支払う和解案を提示したことが28日分かった。弁護団が明らかにした。
 仲介を申し立てたのは勧奨地点の指定を受けた世帯と同じ地区の住民。和解案は20日付で、来年1月末までに和解に応じるか回答する。弁護団は今後、住民の意向を確認。東電は「コメントを差し控える」としている。
 和解案は指定外の住宅周辺にも、勧奨地点と同程度の放射線量の地点が存在したと推定。「被ばくへの恐怖や不安は格段に大きい」として、勧奨地点に準じた支払いを認めた。
 対象期間は11年6月~13年3月で、総額約15億円。東電は勧奨地点の住民に1人月10万円の慰謝料を支払っていた。
 
 


2013年12月28日土曜日

原発・放射能ニュース 2013.12.26~31

 電子版の各紙に載った原発と放射能に関するニュースを掲示します(但し公開の範囲)。記事の掲載は原則として書き出し部分に留めますので、全文はURLをクリックしてご覧ください(URL記載のないものは公開の全文です)。公開期限後表示されなくなった記事を読みたい方はコメント欄にお書き下さい。(返信欄に表示します)
 
12.31
 
福島4号機など廃炉作業の「危険手当増額」東電・元請けの“攻防”(しんぶん赤旗)
 (2日「廃炉作業 危険手当増額の公表は困ると元請」本文記事参照)
 
福島原発周辺の土、空港で没収 ウクライナ許容の倍の線量(東京新聞)
【モスクワ共同】インタファクス通信によると、ウクライナの国境警備当局は31日、首都キエフ郊外のボリスピリ国際空港で、日本人乗客が東京電力福島第1原発周辺で採取した土を持ち込もうとしたのを発見、没収したと発表した。土からはウクライナで許容される放射線量の2倍近い線量が計測され、専門家がさらに詳しく調べる方針。
 日本人乗客が身柄を拘束されたかどうかなどは伝えられておらず、キエフの日本大使館が確認を急いでいる。
 乗客はドイツ・フランクフルトから同空港に到着。土は12グラムで、二つの容器に入れていた。
 
住宅の除染進まず 栃木NHK)
原発事故のあと、国の費用で放射性物質の除去、「除染」を行う地域に指定された栃木県内の8つの自治体で、これまでに除染が行われるなどしたのは、対象世帯の16%余りにとどまっていることが分かりました。
 
栃木県では、那須塩原市や那須町など8つの市と町が、国の費用で除染を行う重点調査地域に指定されています。
NHKが各自治体に取材したところ、除染の対象とされた8万2000戸のうち、ことし11月末までに除染が行われたのは9300戸で、事前に不要と判断された世帯と合わせても、16.7%にとどまっています。
除染が進まない理由について、宇都宮大学の研究グループが那須塩原市と那須町の2200世帯に聞いたところ、▽「自宅の線量が分からない」が28%、▽「除染が必要な線量ではないと判断した」が23%、▽「周囲に除染する人がいない」が12%などとなっていました。
宇都宮大学の清水奈名子准教授は「住宅除染の必要性について理解を促す機会を自治体がもっと作るなどしてPRしていくことが必要ではないか」と指摘しています。
 
12.30
 
福島原発事故:居住制限区域で宿泊容認 除染作業員に限り毎日新聞
 ◇線量20ミリシーベルト以下の地域
 国の原子力災害現地対策本部は、東京電力福島第1原発事故による居住制限区域(年間被ばく線量20ミリシーベルト超〜50ミリシーベルト以下)で、除染などにより同20ミリシーベルト以下まで線量が下がっている地域については、除染作業員などに限り宿泊を認める方針を決めた。同区域は日中の立ち入りのみ可能だったが、作業員の通勤の負担を軽減し、復興を加速させるのが狙い。
 対策本部によると、事業者から自治体を通して申請を受け付けた後、除染などによって同20ミリシーベルト以下まで線量が下がっていることが確認でき、電気や水道などのインフラが復旧した場所であれば、宿泊の許可を出す。
 
福島第1原発 汚染水ますます深刻 海水の放射性物質 濃度下がらず(しんぶん赤旗)
 東京電力福島第1原発事故発生から3年近く。東電任せでコスト優先のお粗末な対策しか取らなかった結果、次つぎと事故やトラブルに見舞われ、汚染水漏れも続いています。海洋への流出も確認されています。「国が前面に」と言った政府も抜本的対策を打てないでいます。(神田康子) 
 今年6月、1、2号機間の海側の地下水から高い濃度の放射性物質が検出され、東電は7月下旬、汚染された地下水が海へ流出していることを初めて認めました。少なくとも1日300トンが流出しています。護岸で水をせき止める工事を始めたものの、海水の放射性物質の濃度は依然、下がっていません。
 
12.29
 
12.28
 
避難指定外に月7万円=福島・伊達市1000人、原発ADR和解案(時事通信)
 (29日「避難指定外に月7万円の和解案 伊達市の千人に」本文記事参照
 
地下水から210万ベクレル、過去最高 福島第一(朝日新聞)
 (12月28日「地下水のベータ線濃度は210万ベクレルに」本文記事参照)
 
損傷燃料カバーにひび 第一原発4号機プール(福島民報)
 東京電力は27日、福島第一原発4号機の使用済み核燃料プールの損傷燃料のうち一体で、「チャンネルボックス」と呼ばれる金属製のカバーにひびが見つかったと発表した。
 東電によると、昭和57年4月に作業員の操作ミスで変形した燃料で、水中カメラを使ってプール内の燃料の変形の程度を調べたところ、ひびが確認された。ひびは変形した際に生じた可能性が高い。東電は「プール内の放射性物質濃度などに目立った変化はない」としている。
 
12.27
 
12.26
 
除染最大3年延長発表 新工程表 仮置き場確保難航(東京新聞)
 東京電力福島第一原発事故を受け、汚染が深刻な福島県内の十一市町村で国が直轄で進めている除染について、環境省は二十六日、完了の時期を最大三年間延長する新たな工程表を発表した。当初は本年度中に終わる予定だったが、除染で出た汚染土壌の仮置き場確保が難航して大幅に遅れており、二〇一六年度内の完了に計画を見直した。
 住民の避難が今も続く第一原発周辺は、放射線量に応じて「帰還困難区域」「居住制限区域」などに指定されている。政府は一七年度をめどに区域を見直す方針で、それまでに除染を終えることで地元自治体が復興や住民帰還を進めやすくする狙いがある。
 石原伸晃(のぶてる)環境相は二十六日の閣議後会見で「現実的な計画に見直した。地元のニーズにきめ細かく応えながら除染を進めていく」と述べた。
 
 
1人700万円追加賠償 東電「帰還困難」住民対象に(東京新聞)
  文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会(能見(のうみ)善久会長)は二十六日、会合を開き、東京電力福島第一原発事故のため帰宅の見通しが立たない「帰還困難区域」の住民らに対し、東電が一括して一人当たり七百万円を支払うことを決めた。
 既に支払った慰謝料の将来分とは別で、合計の賠償額は千四百五十万円となる。
 「長年住み慣れた住居や地域が長期にわたり帰還不能となった精神的苦痛に対する賠償」として、賠償指針の見直し案を取りまとめた。
 事故から二年九カ月。いまだに多くの住民が避難生活を送る中、見直しによって生活再建を促すのが狙いだ。
 
福島・南相馬市の帰還目標、16年4月 学校の再開も予定(河北新報)   
 福島第1原発事故で、福島県南相馬市は市内の居住制限区域、避難指示解除準備区域の避難指示を2016年4月を目標に解除することを決めた。
 国の住宅除染が15年度に終わると見込まれ、目標時期を定めた。対象は小高、原町両区の計約4000世帯。学校の再開も予定する。
 市は区域の住民が自宅に長期滞在できる特例宿泊制度を来年夏から適用することや、原発事故から5年分の慰謝料を一括請求できるよう国に要望している。
 桜井勝延市長は「解除は除染の完了が前提。商店の再開支援など早期帰還できる環境を整備したい」と話した。
 
福島第1汚染水 政府、トリチウム対策検討で初会合(河北新報)
 福島第1原発事故の汚染水問題で政府の汚染水処理対策委員会は25日、放射性物質トリチウムへの対策を検討する専門家チームの初会合を開いた。現在の設備では汚染水からトリチウムを取り除けず、新技術の開発もめどが立たない。貯蔵タンクの容量は限度があり、「放出は不可避」との声もある。
 対策委は12月上旬、建屋に流れ込む地下水の供給源となる雨水の浸透を防ぐため、原発敷地の舗装を柱とする追加対策を決めた。地下水流入を防ぐ凍土遮水壁が効果を発揮し、タンクを増強すれば「トリチウム以外の汚染水問題は2020年度末までに解決できる」との見通しを示した。
 トリチウムは汚染水を浄化する多核種除去設備「ALPS(アルプス)」でも取り除けない。
 
 

地下水のベータ線の濃度は210万ベクレルに

 福島原発の海側敷地観測用井戸(海岸から40メートル)中に存在するストロンチウム90など放射性物質量が、ついにベータ線ベースで210万ベクレルに達しました。
 これはこれまでの最高値であり、11月下旬以降増加の一途をたどってきました。
 
     採取日      ベーター線量
   12月26日    210万ベクレル
   12月19日    190万ベクレル
   12月12日    180万ベクレル
   12月 9日    150万ベクレル
   12月 5日    140万ベクレル
   12月 2日    130万ベクレル
   11月28日    110万ベクレル
   11月2日     91万ベクレル
 
 東電は「上昇の理由はよくわからない」としています
 極めて限定されたエリア内で起きている現象で、しかもその発生源は溶融核燃料と推定されているのに、それが1ヶ月間「単調増加」をしている理由がいまだに「よくわからない」とはあきれる話です。
 本当に理由が分からないのであれば「無能」(解析能力なし)ですし、知っているのに知らない振りをしているのであれば「狡猾」です。
 
 東電はこの間、「海側では護岸の地中を薬液で固める土の壁を造成しているので海洋への影響はない」と虚偽の説明1をしたり、「井戸水をポンプで吸い上げているので汚染水が井戸付近に吸い上げられている可能性がある」と、これまた理解不能な説明2をしてきました。
   1 2013年12月7日海側井戸で140万ベクレル 福島原発 汚染の上昇続く 
   2 2013年12月12日福島原発 ALPS本格運転、来年4月以降に 
 
 
 そんな会社が本当に汚染水の問題を解決できるのか疑問です。
 いずれにしても最高値のまま正月を迎えることになりました。
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地下水から210万ベクレル、過去最高 福島第一
朝日新聞 2013年12月28日
  東京電力は27日、福島第一原発のタービン建屋東側の護岸の観測井戸で放射性ストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質が1リットルあたり210万ベクレル検出されたと発表した。過去最高値という。
 東電によると、検出されたのは1、2号機の取水口の間にある護岸の観測井戸で、26日に採取した地下水。これまでの最高値は19日に採取した190万ベクレルだった。この観測井戸では値の上昇傾向が続いているが、東電は「上昇の理由はよくわからない」としている。
 
(参考用 再掲)
福島第1原発・海側の井戸で150万ベクレル検出
 福島民友ニュース 2013年12月11日
 東京電力は10日、福島第1原発の海側にある観測用井戸の水から、ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質が過去最高値の1リットル当たり150万ベクレルの高濃度で検出されたと発表した。水は9日に採取。同じ井戸で5日に採取した140万ベクレルを更新し、濃度上昇が続いている。
  海側の敷地では、汚染水が海に流出しないよう地下水をポンプで吸い上げており、東電は原因について「吸い上げの影響で汚染水が井戸付近に吸い上げられている可能性がある」としている。井戸は2号機の東側にあり、海までの距離は約40メートル。