2018年9月30日日曜日

大分地裁 伊方稼働容認 司法による「安全神話」を危惧

 大分地裁の伊方原発再稼働決定を巡る、29日付の二つの社説を紹介します。
 愛媛新聞と東京新聞が社説で取り上げたのは、「社会通念」というあいまいな“物差し”を持ち出して決定を下しているという点です。
 
 どの世論調査でも「(危険で利便性のない)原発は再稼働すべきではない」という意見が多数であり、「社会通念」と言うのであればそれをこそ取り上げるべきだと思うのですが、司法はそれをことさらに無視して、民意とは逆に少数派である国や電力会社に与するのは何故なのでしょうか。最高裁事務総局による事実上の強制があるから、ということ以外には考えられません。
 
 そもそも航空機とか自動車や電車のように、それがなくしてはもはや社会生活が成り立たないというほど明確な利便性を持つものについては、事故の確率が低ければ「社会通念上容認される」と言えますが、コスト面でも高くて利便性のない原発を、致命的な危険を冒してまで稼働させることが、社会通念上容認されるということはあり得ません。
 それを敢えて「曖昧に」「社会通念上容認される」として決定文で謳うのは、十分に論理を尽くすことができない・・・原発再稼働には無理がある・・・ことを証明するものです。
 
 また新基準が避難計画について定めていない点に関して、司法が原発には命や健康を侵害する具体的危険性がないから、計画の有無や内容を検討する必要はないと断じるに至っては、原発安全神話の本家を任じ出したのかと思わされます。
 
 東京新聞は、科学でもない、法律でもない、あいまいな“物差し”である「社会通念」が容認しているからというような論法が定着し、原発が次々と息を吹き返していくとするならば、「安全神話」の復活以上に危険であると警告しています
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
社説 大分地裁伊方稼働容認 司法による「安全神話」危惧
愛媛新聞 2018年9月29日
 原発の安全神話が、国民の命と権利を守るとりでであるはずの司法によって、再び形作られることを強く危惧する。
 
 四国電力伊方原発3号機について、対岸の大分県の住民が運転差し止めを求めた仮処分申し立てに対し、大分地裁は差し止めを認めない決定を下した。広島高裁が、阿蘇山の噴火リスクを根拠に運転を禁じた同高裁抗告審の判断を覆し、再稼働を容認したばかり。再稼働を強引に推し進める国や電力会社の主張を、またも漫然と追認した。
 
 地震や火山への対策について大分地裁は、国の原子力規制委員会の新規制基準は合理的で、「合格」とした判断にも不合理な点がないと繰り返し、原発の運転による具体的な危険はないと指摘。そのため住民の命や暮らしを守る訴えには「理由がない」と一蹴した。しかし、伊方原発は南海トラフ巨大地震の震源域にある。長大な活断層・中央構造線断層帯がすぐ近くにあり、激震に見舞われる可能性が否定できない。住民の不安に向き合おうともしない冷淡な決定に、憤りを禁じ得ない。
 
 新規制基準を疑いもなく合理的と断じる姿勢は、極めて危うい。新基準は東京電力福島第1原発事故の原因究明の途上で制定されたもので、委員会自体がこれで安全とは言えないとしている。司法がお墨付きを与えて安全神話を生むことは、福島の事故以前に逆戻りすることにほかならず、看過できない。
 火山の破局的噴火についても規制委が示した考え方を追認し「社会通念上、無視できる危険性」と判断した。だが、現在の科学では予測できない以上、自然の脅威に謙虚に向き合い、最大限の安全を追求すべきだ。
 
 さらに納得できないのが避難計画に対する判断だ。新基準が避難計画について定めていない点を「不合理でない」とし、計画の有無や内容を検討するまでもなく、命や健康を侵害する具体的危険性がないと断じた。危険がないと決めつけ、避難計画の必要性にさえ目を背ける「命の軽視」は到底容認できない。
 実際、住民は万が一の際に、安心を得られないでいる。伊方町民は大分県に船で避難する計画だが、西日本豪雨によって、港に通じる道路の寸断や土砂崩れによる孤立は一層現実味を帯びている。津波などで船が出せない恐れも大きい。
 
 避難先の大分県は伊方原発から最短でわずか約45㌔。風向き次第で放射性物質が及ぶ可能性がある。にもかかわらず県は原発稼働の意思決定に関与できない。電気がもたらされることなく、リスクだけ負わされた「被害地元」の現実や、県境を越えた広範囲の命の危険を、司法も電力会社や国も直視すべきだ。
 近年、想定をはるかに超えた自然災害が頻発している。原発は安全と言い切れる根拠はどこにもない。四電は来月再稼働へ準備を進めるが、国も電力会社も、経済優先で突き進むことは許されない。
 
 
社説 大分・伊方決定 社会通念というリスク
東京新聞 2018年9月29日
 司法はまたしても「社会通念」という物差しを持ち出して、四国電力伊方原発(愛媛県)の運転差し止めを求める住民の訴えを退けた原発リスクにおける「社会通念」とは、いったい何なのか
 伊方原発は、四国の最西端、日本一細長い佐田岬半島の付け根にある。
 対岸は、豊後水道を挟んで九州・大分だ。最短で約四十五キロ。半島の三崎港から大分側の佐賀関港へは、フェリーを使えば七十分。古くから地理的に深く結び付いており、人や物の行き来も頻繁だ。
 
 伊方原発に重大な事故が起きたとき、原発の西側で暮らす約四千七百人の住民は、大分側に海路で逃げることになる。
 細長い半島には、ほかに逃げ場がないのである。
 伊方原発は「日本一再稼働させてはいけない原発」と言われてきた。
 わずか八キロ北を半島に寄り添うように、長大な「中央構造線断層帯」が九州へと延びており、南海トラフ巨大地震の震源域にある。
 さらに、伊方原発は阿蘇山から百三十キロの距離にある。
 原子力規制委員会の「火山ガイド」も指摘する、噴火による火砕流や火山灰の影響が心配される距離感だ。
 両岸の住民は、巨大地震と巨大噴火という原発事故の“二大要因”を共有する間柄、原発事故は「対岸の火事」ではないのである。
 
 大分地裁は、やはり四国電力側の主張を丸のみにするかのように「原発の耐震性評価は妥当」と判断し、「阿蘇山の破局的噴火が生じることが差し迫っているとは言えない。破局的噴火に相応の根拠がない場合、社会通念上無視できる危険である」とした。
 三日前の広島高裁と同様、またもや「社会通念」という、科学でもない、法律でもない、あいまいな“物差し”を持ち出して、大分地裁も、住民側が主張する具体的な不安を退けた。
 重ねて問う。「社会通念」とは、いったい何なのか
 地震や噴火のリスクは確かにそこにある。しかし、確率は低く、取るに足らないものであり、そのようなことに不安を覚える人たちが、非常識だということなのか。
 だから、備えを図る必要もないという判断なのか。
 このような「社会通念」が定着し、原発が次々と息を吹き返していくとするならば、「安全神話」の復活以上に危険である
 

トリチウム以外の放射性物質の「再処理必要量」が判明

 トリチウムを含む処理水で、トリチウム以外の放射性物質が放流基準値を超えている処理水は、超過割合が10~100倍のものが161000トン、同じく100倍以上が6万5000トンあることが分かりました。
 東電は、敷地境界の空間放射線量が年間1ミリシーベルト未満となるのを優先しALPSの稼働率を上げて運用したと言いますが、古来、敷地境界の空間放射線量をベースに排水水質を規制した例はありません。
 
 日刊ゲンダイによると規制値の2万倍という例もあるということです。
 また現在の処理量1日約340トンというのも問題です。これは地下水の流入量を示すもので、これまでは150トンとかと控えめな数値が公表されていました。
 要するに降雨などで地下水量が増えると地下水の循環系内への流入も増えるということで、例の凍土遮水壁が何の役にも立っていないということを示すものです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
トリチウム以外の処理水「再浄化」 東京電力方針、基準値未満に
福島民友 2018年09月29日
 東京電力福島第1原発の汚染水を浄化した後に残る放射性物質トリチウムを含む処理水の処分で、東電は28日、排水の法令基準値を上回るトリチウム以外の放射性物質を含む処理水を処分前に再浄化する方針を示した。10月1日の国の小委員会で報告する。小委員会はトリチウム以外の放射性物質の濃度が法令基準値を満たすことを前提に、処理水の処分方法を検討する。
 
 処理水の処分方法を巡っては、8月末に富岡町、郡山市、都内の3カ所で開かれた公聴会でもトリチウム以外の放射性物質が残留していることに批判が相次いでいた。このため東電は処分の際の風評被害など社会的な影響の軽減に向け、再浄化が必要と判断した。
 
 東電の調査では、福島第1原発のタンクで保管されている処理水のうち、約8割にあたる75万トンでトリチウム以外の放射性物質濃度が基準値を超過しており、タンクに貯蔵された水を多核種除去設備(ALPS)などで再浄化する方法を検討している。ALPS運転時の放射性物質62核種の分析結果などから、放射性物質を取り除く吸着材を適切に交換・管理することで、トリチウム以外の放射性物質濃度は基準値を満たすことが可能としている。
 再浄化した水を保管するタンクの設置の有無など詳細な方法は今後検討する。
 
 ALPSでの汚染水処理は基準値未満を目指すのではなく、敷地境界の空間放射線量が年間1ミリシーベルト未満となるのを優先し稼働率を上げて運用。このためヨウ素129やルテニウム106などの放射性物質が残り、特に運用初期はALPSの性能が向上前で残留放射性物質の濃度が高かった。
 
 東電は調査時点で88万7000トンあった処理水のうち、トリチウム以外の放射性物質濃度が基準値を下回っているものは13万7000トンにとどまり、75万トンが基準値を超過していると推定。うち16万1000トンは基準の超過割合が10~100倍、6万5000トンは100倍以上という。
 
 
福島第1原発の汚染水 処理後も基準値の“2万倍”放射性物質
日刊ゲンダイ 2018年9月29日
 福島第1原発から日々発生する汚染水の対策を根本から見直す必要が出てきた。
 
 東京電力は28日、汚染水を浄化した約89万トンの処理水のうち、8割超に当たる約75万トンに放出基準値を上回る放射性物質が含まれていたことを明らかにした。一部からは基準値の約2万倍の濃度が検出されていたというから驚きだ。
 これまで東電は、多核種除去設備(ALPS)で汚染水を処理すれば、化学的には水素と同じトリチウム(三重水素)以外の放射性物質を除去できると説明。しかし、ALPSの不具合で高濃度の汚染水が混入したり、劣化したフィルターの交換を後回しにしたため、基準値を上回る放射性物質が残ってしまったという。
 
 東電は処理水を処分する場合は再浄化する方針を示しているが、現在の処理量は1日約340トン。再浄化には年単位の時間と莫大な追加費用が必要になるのは必至だ

16日から「被告人質問」 津波対策の先送り焦点

 東電の旧経営陣3人が業務上過失致死傷罪で強制起訴された裁判で、東京地裁は、1016日の第30回公判から5回にわたり被告人質問を行う方針を決めました。
 これまでの公判で、社員らが大津波の危険性や具体的な対策例を経営層まで伝えていたと証言し、「大津波は予測も対策も不可能だった」とする3人の主張とは大きな隔たりがあります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
東電強制起訴、16日から「被告人質問」 津波対策の先送り焦点
 福島民友 2018年09月29日
 東京電力福島第1原発事故を巡り、東電の旧経営陣3人が業務上過失致死傷罪で強制起訴された裁判で、東京地裁(永渕健一裁判長)は28日までに、10月16日の第30回公判から同31日の第34回公判にかけて被告人質問を行う方針を決めた。
 これまでの公判では、複数の証人が被告の一人の武藤栄元副社長(68)が社内方針を撤回し、第1原発の津波対策を先送りしたと証言。武藤副社長だけで撤回できたのか、勝俣恒久元会長(78)、武黒一郎元副社長(72)の両被告に判断を仰いだのかなど、方針転換の詳細な経緯が焦点になりそうだ
 
 争点の柱は〈1〉3人が大津波を予測できたのか〈2〉対策を取れば事故を防げたのか―など。これまでの公判で示された証拠や証言によると、東電は2008(平成20)年3月、勝俣元会長や清水正孝元社長(74)が出席した常務会で、第1原発での津波対策の実施を正式決定した。しかし、対処すべき津波高が当初に想定した7.7メートル程度から15.7メートルに跳ね上がり、対策費が数百億円に上ることが分かると、武藤元副社長が経営状態を優先し、約4カ月後に方針を撤回したとされる。
 
 3人は昨年6月30日の初公判で、「大津波は予測も対策も不可能だった」と全面的に無罪を主張。公判では、社員らが大津波の危険性や具体的な対策例を経営層まで伝えていたと証言し、3人の主張とは大きな隔たりがある。3人の証言が注目される。関係者によると、被告人質問は武藤元副社長、武黒元副社長、勝俣元会長の順に実施される予定だという。

30- 汚染牧草のすき込み試験 中止 南三陸町

 汚染牧草のすき込みというのは、放射能に汚染された草を耕作地の地中に埋めるというもので、放射性汚染物を地中とはいえ広く拡散することになります。
 南三陸町周辺の住民から苦情が出たため、今月に予定していたすき込みによる処理を中止し、再検討することになりました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
福島第1原発事故 汚染牧草のすき込み中止 南三陸町 /宮城
毎日新聞 2018年9月29日
 東京電力福島第1原発事故で生じた放射性物質に汚染された牧草について、南三陸町は今月に予定していたすき込みによる処理を中止した。周辺住民から環境への影響や風評被害に懸念の声が出たためで、処分方法や場所を白紙に戻し、再検討する。 
 同町内の汚染廃棄物は牧草(290・7トン)と稲わら(0・1トン)で、すべ… 
(有料記事のため以下非公表)

2018年9月29日土曜日

伊方原発 運転差し止め認めず 大分地裁

 四国電力伊方原発3号機について、対岸の大分県の住民が運転差し止めを求めた仮処分申し立てで、大分地裁は28日、差し止めを認めない決定をくだしました。
 
 阿蘇山の噴火リスクへの対策をめぐる評価や原発の耐震性が争点で、決定は火山のリスクについて「原発の運用期間中に阿蘇山の破局的噴火が生じることが差し迫っているとは言えない」3号機のリスクは「社会通念上無視しうる程度まで管理されているとして否定しました。
 また基準地震動が650ガルと過小評価されていると訴えには、「四国電の想定に不合理な点はない」として退けました。
 
 住民側の河合弘之弁護団長は「極めて無反省な内容。『社会通念』で逃げるなら法律など要らなくなる」と批判しました
      関係記事
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
伊方原発、差し止め認めず 大分地裁  
日経新聞 2018/9/28
四国電力伊方原子力発電所3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを求め、豊後水道を挟んで対岸の大分県の住民らが申し立てた仮処分申請で、大分地裁は28日、申し立てを退ける決定をした。「阿蘇山の巨大噴火は差し迫っていない」と判断した。住民側は即時抗告する。
 
今月25日の広島高裁に続いて再稼働を認める判断で、運転再開に向けた動きが加速する。四国電は10月27日に再稼働させる方針を表明している。
過去に大規模噴火を繰り返してきた阿蘇山の噴火リスクをどう評価するかなどが争点だった。
大分地裁の佐藤重憲裁判長は決定理由で「現在の阿蘇はマグマだまりの状況やカルデラ噴火の前兆現象がないこと、地殻変動からみたマグマの蓄積状況などから、原発の運用期間中に巨大噴火が差し迫っているとはいえない」と指摘。
新規制基準などにも「不合理な点はない」として、3号機のリスクは「社会通念上無視しうる程度まで管理されている」と判断。住民の生命や身体に対する具体的危険はないと結論付けた。
住民側の河合弘之弁護団長は「極めて無反省な内容。『社会通念』で逃げるなら法律など要らなくなる」と批判。申立人の一人、中山田さつきさん(64)は「裁判所には福島の原発事故をきちんと受け止めてほしい」と話した。
四国電力は「当社の主張が認められたもので妥当な決定」などとするコメントを出した。
 
伊方3号機を巡っては、広島高裁が2017年12月に「火砕流が敷地に到達する可能性が小さいとは言えない」と判断、今年9月末まで運転を差し止めるよう命じた。
これに対し四国電が申し立てた異議審では、同高裁の別の裁判長が今月25日、噴火リスクは低いとした四国電の主張を認めて再稼働を容認。四国電は10月27日に再稼働させる方針を発表していた。
 
 
伊方原発、差し止め認めず 新基準「合理的」 住民の仮処分申請却下・大分地裁
時事通信 2018年9月28日
 四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の安全性に問題があるとして、住民が運転差し止めを求めた仮処分申請で、大分地裁(佐藤重憲裁判長)は28日、「原発の新規制基準には合理性が認められる」として、申し立てを却下した。住民側は決定を不服として、福岡高裁に即時抗告する方針。
 広島高裁が25日、運転差し止めを命じた仮処分決定を取り消しており、四国電は10月27日に3号機を再稼働する予定だ。
 耐震設計の目安になる地震の揺れ(基準地震動)や、阿蘇カルデラ(熊本県)の巨大噴火の可能性が主な争点だった。
 佐藤裁判長は決定で、新規制基準は最新の知見に基づき、地震予知に限界があることを踏まえて策定されており、合理的だと指摘。3号機を審査した原子力規制委員会の委員に強震動の専門家はいなかったものの、「看過し難い誤りはない」と判断した。
 
 住民側は、南海トラフ地震の想定震源域に立地するにもかかわらず、基準地震動が過小評価されていると訴えた。同裁判長は「四国電の想定に不合理な点はない」として退けた。
 伊方原発から約130キロ離れた阿蘇カルデラについては、マグマの蓄積状況などから、巨大噴火の前兆はないと認定。「同原発の運用期間中に差し迫った危険性はない」と結論付けた。
 愛媛県・佐田岬半島の付け根に位置する伊方原発は、豊後水道を挟んで大分市から約50キロの距離にあり、大分県の住民が2016年、仮処分を申し立てた。

常陸大宮市議会 東海第二再稼働反対意見書可決

 原電東海第二原発から30キロ圏の常陸大宮市議会が、住民同意のない再稼働に反対する意見書を賛成多数で可決しました。
 再稼働に反対する意見書は6月に水戸市議会でも可決されています
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
東海第二再稼働の反対意見書 常陸大宮市議会も可決
東京新聞 2018年9月28日
 日本原子力発電(原電)東海第二原発(東海村)を巡り、原発から三十キロ圏の常陸大宮市議会が、住民同意のない再稼働に反対する意見書を賛成多数で可決した。東海第二原発を巡っては、原子力規制委員会が二十六日に新規制基準に適合を出したが、再稼働に反対する意見書は六月に水戸市議会でも可決されている。 (山下葉月)
 
 意見書は大井川和彦知事宛てで、原発の三十キロ圏に九十六万人が住むことに触れた上で「過酷事故が起きた時にスムーズな避難は困難」と指摘。「原子力災害から市民の安全と暮らしを守ることが重要で、三十キロ圏の住民の同意のない再稼働に反対する」としている。可決は二十一日。
 
 市議会に八月、再稼働に反対し廃炉を求める陳情が提出され、総務常任委員会で議論していた。「九十六万人の避難は現実的ではない」「次世代に原発は必要なのか」などの意見を受けて、委員会は陳情を「一部採択」とした上で、「住民同意のない再稼働に反対する」との表現で意見書の提出を決めた。
 小森敬太郎委員長は「原発は住民の命に関わる問題。委員会として市民の気持ちを意見書で代弁した」と話した。
 再稼働に必要な審査は、最長二十年の運転延長と設備の詳細を定めた工事計画の残り二つ。しかし、県によると、県内の市町村議会から再稼働や運転延長に反対する意見書が相次いで提出されている。
 
◆市民ら石岡市長と面会 再稼働反対の意思表示求め
 日本原子力発電の東海第二原発の再稼働に反対する石岡市の市民グループ「新石岡市を考える市民の会」が二十七日、市役所で今泉文彦市長と面会し、再稼働を認めない意思表示をするよう要望した。今泉市長は「原発の在り方は国と県の政策推移を見守る」として、再稼働の是非には言及しなかった。
 県の計画で、東海第二原発で深刻な事故が起きた場合、原発から五十キロ圏の石岡市は、三十キロ圏のひたちなか市民を受け入れることになっている。
 市民の会はその計画が再稼働に結び付くとして、八月に計画への協力を拒否するよう市に要望し、回答と面談を求めていた。 (水谷エリナ)

福島汚染水タンクの大半で基準値超過

タンクの大半で基準値超過、福島 汚染水処理後の放射性物質
東京新聞 2018年9月28日
 東京電力は28日、福島第1原発の汚染水を浄化した後にタンクで保管している水のうち、約8割に当たる75万トンで、トリチウム以外の放射性物質の濃度が排水の法令基準値を超過しているとの調査結果を明らかにした。今後、海洋放出など処分をする場合には、多核種除去設備(ALPS)などで再浄化する方針を表明した。
 10月1日に開かれる処分方法を検討する政府の小委員会で報告する。
 
 東電は第1原発で発生した汚染水をALPSで処理するがトリチウムは除去できず、タンクにため続けている。(共同)

29- まず富岡の15トン除染廃棄物 浪江町焼却施設で処分、

 環境省は27福島県富岡町や双葉町で出た除染廃棄物などについて浪江町の仮設焼却施設での処分を始めました。27日にはまず富岡町の廃棄物15トンが運び込まれました。今後3年半で同町の約7万トンを処分する予定です。
 減容処分と報じているところもありますが、実態は償却で放射性物質飛散防止のフィルターの性能が問題となります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<福島第1原発>除染廃棄物の広域処分開始 浪江町、まず富岡の15トン
河北新報 2018年9月28日
 東京電力福島第1原発事故に伴い福島県富岡町や双葉町で出た除染廃棄物などについて、環境省は27日、浪江町の仮設焼却施設での処分を始めた。同省によると初日は富岡町の廃棄物約15トンが運び込まれ、施設内で黒い袋がトラックから下ろされた。
 受け入れるのは、浪江町の請戸漁港に近い棚塩地区にある仮設焼却施設。2021年度までの3年半で、富岡町の除染廃棄物と家屋解体後の廃棄物計約7万トンを処分予定。双葉町分は原発事故後に殺処分して埋めた牛約20トンを掘り起こして搬入、焼却する。
 焼却後の灰は、放射性物質濃度が富岡町の施設と同様1キログラム当たり約2500~11万8000ベクレルと見込まれ、中間貯蔵施設(大熊町、双葉町)に運ばれる。
 浪江町の施設は15年6月に稼働した。処理能力は年7万5000トン。実際の処理量は3万5000トンほどだったため、新たな受け入れを決めた。富岡町の施設は15年4月稼働でこれまで約16万トンを処理した。同町の施設は10月に解体が始まる。
 現地で同日、受け入れ式があった。立ち会った環境省の武部新政務官は「双葉郡の復興・復旧加速へ一歩を踏み出せた」と話した。

2018年9月28日金曜日

フクシマツアーの計画が決まりました

 今年が第4回目となるフクシマツアーの計画が決まりました。
 ツアーの内容は17日に「概要が決まりました」でお知らせしたとおりですが、申込の期限が「10月2日」から「10月5日」に変更されました。
 参加ご希望の方はどうぞお電話で幹事宛にお申し込みください。
 
 
  今年も行きます!
足を運んで分かる・感じるフシマツアー

 原発事故被害の今を見てみよう、そして被災者の話を聞いてみよう ―
 
■実施日  2018年10月14日(日)湯沢町公民館前 7:50集合 8:00出発
            ~15日(.月)  同上   19:00帰着
■視察先  福島県相馬市~浪江町他 マイクロバスに同乗
 
■日 程  1日目 湯沢から相馬市へ入り、午後2時半頃から現地の方の案内で被災地などを視察します。移動の間に「原発被災なりわい(生業)訴訟」のお話も聞く予定です。その後ホテルヘ。(以前湯沢町へ避難していたK御夫妻との交流を今年も予定しています。)
      2日目 南相馬市にあるNPO法人野馬土が運営する太陽光発電施設を見学後、事故のあった福島第1原発の近くの国道6号線を南下、浪江町、双葉町、大熊町、富岡町を通る予定。その後時間があれば、いわき市の小名浜港ヘ立ち寄ってから湯沢へ向かいます。
 
■宿泊先  ステーションプラザホテル(南相馬市のビジネスホテル)
                                                           TEL0244-24-5550
             JR原ノ町駅東口付近  夕食を兼ねた懇親会をホテル内で行います。
 
■参加費  1人 20,000円(宿泊費、交通費など)当日徴収します。
      1日日の昼食と2日日の夕食及び道中の飲物等は、各自負担ください。
 
■申込み  10月5日までに、下記幹事へお願いします。
           南雲敏夫 TEL090-2674-9414  佐藤綾子 TEL080-1007-9614
 
 

福島第一3号機 燃料取り出し来春以降 4度目の先送り

 福島原発3号機の使用済み燃料プールからの核燃料の取り出しについて、東電と経済産業省は27日、今年11月に予定していた作業開始を来年2月以降に延期する、と発表しました。実際の作業開始は来春以降にずれ込む見通しです
 40年間を見込む廃炉の工程全体にも影響が出る可能性があります
 
 これまで燃料を取り出すクレーン装置では、ケーブルの保護部品が仕様通りに取り付けられておらずケーブルが雨水で腐食していたり、制御盤の設計電圧が原子炉建屋内の供給電圧異なっている等のトラブルが重なっていました。
 経産省の担当者は「万が一、燃料取り出しの最中にトラブルが起きないよう、安全第一で進める」としています
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
燃料搬出、来年以降に延期 福島第1原発3号機、機械に不具合
時事通信 2018年9月27日
 東京電力は27日、当初11月の開始を予定していた福島第1原発3号機の使用済み燃料プール内から核燃料を取り出す作業を延期すると発表した。燃料搬出に使う機械で不具合が生じ、点検に時間を要するためで、来年以降になる見通しという。
 3号機の使用済み燃料プールには計566体の核燃料が入っている。東電はプールのある最上階に機械を設置し、取り出した燃料を敷地内の別プールに移す計画だった。
 
 しかし、8月に検査を行った際、警報が鳴って機械が停止するトラブルが発生。防水仕様のケーブルの接続部に雨水が侵入し、電線が切れたとみられることが分かった。一部のケーブルで、防じん対策の部品が組み込まれていないことも判明した。