2015年1月31日土曜日

複数炉の電源喪失想定せず|福島第二原発の廃炉は事業者判断

 政府追加公開した福島原発事故をめぐ政府事故調の「聴取結果書(調書)」によると、福島第一原発の防災管理を担当した東電社員は、事故前の訓練では複数の原子炉が電源喪失する事態を想定していなかったと証言しました。過酷事故対策の不十分さを示すものです。
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 安倍首相は衆議院予算委で、福島第二原発の廃炉について、「第一原発の5号機と6号機は事故処理の観点から廃炉を要請したが、第二原発は状況が違う」と述べ、今後のエネルギー政策などを総合的に勘案して、事業者が判断するという認識を示しました。
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原発、複数炉の電源喪失想定せず 政府事故調が8人分追加公開
東京新聞 2015年1月30日
 政府は30日までに、東京電力福島第1原発事故をめぐり、政府の事故調査・検証委員会が関係者を聴取した「聴取結果書(調書)」のうち8人分を追加公開した。第1原発の防災管理を担当した東電社員は、事故前の訓練では複数の原子炉が電源喪失する事態を想定していなかったと証言し、過酷事故対策の不十分さがあらためて浮かび上がった。
 調書の公開は昨年9月以降4回目で、公開された調書は計210人分となった。他に公開されたのは住民避難に当たった福島県職員ら。事故当時の東電経営陣の調書は今回も公開されなかった。
 調書は内閣官房のホームページで29日に公開。(共同)
 
 
首相 福島第二原発の廃炉は事業者判断 
NHK NEWS WEB 2015年1月30日
安倍総理大臣は、衆議院予算委員会の基本的質疑で、福島第二原子力発電所の廃炉について、「第一原発の5号機と6号機は事故処理の観点から廃炉を要請したが、第二原発は状況が違う」と述べ、今後のエネルギー政策などを総合的に勘案して、事業者が判断するという認識を示しました。
このあと委員会では、今年度の補正予算案の採決が行われ、自民・公明両党の賛成多数で可決されました。
 
この中で、共産党の高橋国会対策副委員長は、東京電力福島第二原発の廃炉について、「原発事故の収束に集中すべきで再稼働などあってはならない。去年の福島県知事選挙で、与党も支援して当選した内堀知事は、福島県内に10基あるすべての原発の廃炉を要請しており、政府としても全基の廃炉を決断すべきだ」と指摘しました。これに対し、安倍総理大臣は「福島県から福島第二原発の廃炉を要望する声があることは承知している。福島第一原発の5号機と6号機は、事故を起こした1号機から4号機の近くにあり、事故処理に集中する現場体制を構築する観点から廃炉を要請したが、遠く離れた第二原発は状況が違う。今後のエネルギー政策の状況や新規制基準への対応、地元のさまざまな意見なども総合的に勘案し、事業者が判断する」と述べました。
 (以下は別件のため省略)
 

高浜原発3,4号機の再稼働禁止 仮処分申し立て

 関電高浜原発3、4号機の再稼働禁止を求めて、滋賀県の住民29人が30日、大津地裁に仮処分を申し立てました
 
 この仮処分申請は2011年8月に申し立てましたが、大津地裁は昨年11月、原発事故の避難計画などが未整備な点を挙げ「原子力規制委員会が早急に再稼働を容認するとは考えがたい」と指摘、「仮処分」の必要はないとして請求を却下する決定を出しました。
 
 その際同地裁は、同原発について「地元自治体との連携・役割分担、住民の避難計画などが何ら策定されていない」とし、「これらの作業が進まなければ再稼働はあり得ず、原子力規制委がいたずらに早急に再稼働を容認するとは到底考えがたい」としていました
 また住民側が「過去の地震の平均像を算出しただけ」と問題視する基準地震動の策定方法についても、地裁は「関電からは何ら説明がない」と指摘しました。
 
 ところが地裁の予想に反して、規制委は決定の翌月高浜原発の安全対策の主要部分が新規制基準を満たすとする審査書案をまとめ2月初旬にも設計変更の許可を出す見込みのため、住民は「緊急性が高い」として再度、仮処分を申し立てたものです
 大津地裁がどのような決定を出すのか注目されます。
   (関係記事)
    2014年11月29日 大飯、高浜再稼働差し止め仮処分 申請却下 続報
 
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「高浜原発の再稼働禁止」仮処分申し立て 滋賀の住民ら
朝日新聞 2015年1月30日
 関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の再稼働禁止を求めて、滋賀県の住民29人が30日、大津地裁に仮処分を申し立てた。地裁が仮処分を決定すれば、関電は当面2基の原発を再稼働できなくなる。
 
 住民らは2011年8月に高浜、大飯原発などの再稼働禁止を求める仮処分を申し立てたが、大津地裁は昨年11月、原発事故の避難計画などが未整備な点を挙げ「原子力規制委員会が早急に再稼働を容認するとは考えがたい」と指摘して請求を却下した。
 しかし、規制委は翌月、高浜原発の安全対策の主要部分が新規制基準を満たすとする審査書案をまとめた。現在、国民から募った意見を整理中で、2月初旬にも審査書を正式に決定し、法に基づく設計変更の許可を出す見込みだ。事故時の避難計画は再稼働の要件とはなっておらず、今後は地元の同意手続きが焦点になる。
 
 再稼働に向けて、こうした国による手続きが進んでいることから、住民は「緊急性が高い」として再度、仮処分を申し立てた。
 

2015年1月30日金曜日

食品中の放射性物質の検査結果(1月26日公表分)

 厚労省は26日、食品中の放射性物質の検査結果を公表しました。
 
 基準値超過は、栃木県産イノシシ肉(Cs:130~420 Bq/kg)9件、群馬県産ニホンジカ肉(Cs:130, 170 Bq/kg)-2件、群馬県産ツキノワグマ肉(Cs:230 Bq/kg)-1件、宮城県産イノシシ肉(Cs:210, 610 Bq/kg)-2件、福島県産シロメバル(Cs:180 Bq/kg)-1件でした。  
          ここに
  Cs : 放射性セシウム
  Bq/kg : 1キロ当たりのベクレル値
            基準値はCs:100 Bq/kg
 
 一部を抜粋して示しますので、詳細は添付のURLから厚労省のホームページにアクセスしてご覧ください。
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食品中の放射性物質の検査結果について (第914報)
(東京電力福島原子力発電所事故関連)
厚労省 2015年1月26日
 
厚生労働省では、東京電力福島原子力発電所事故を踏まえて自治体等において行われている、食品中の放射性物質の検査結果について、別添のとおり取りまとめましたので、公表します。 
 
1 自治体の検査結果
札幌市、函館市、小樽市、旭川市、青森県、岩手県、宮城県、仙台市、秋田県、山形県、いわき市、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、さいたま市、千葉県、千葉市、柏市、東京都、文京区、目黒区、神奈川県、横浜市、川崎市、新潟県、新潟市、金沢市、静岡市、浜松市、愛知県、名古屋市、岡崎市、京都府、京都市、大阪府、大阪市、高槻市、堺市、西宮市、愛媛県、福岡市 
※ 基準値超過(14件) 
No.1041 ~1043,1045~1048,1051,1052:栃木県産イノシシ肉(Cs:130~420 Bq/kg) 
No.1053,1060 :群馬県産ニホンジカ肉(Cs:130, 170 Bq/kg) 
No.1062 :群馬県産ツキノワグマ肉(Cs:230 Bq/kg) 
No.1371,1378 :宮城県産イノシシ肉(Cs:210, 610 Bq/kg) 
 
2 緊急時モニタリング又は福島県の検査結果
※ 基準値超過(1件) 
No.139 :福島県産シロメバル(Cs:180 Bq/kg) 
 

全袋検査前の大豆を販売

 放射性物質の全量全袋検査の対象となっている福島県本宮市の2014年産大豆が検査を受けずに同市の小売店で販売されていたことが27日分かり、県は小売店が陳列販売した大豆の撤去、回収を指示しました
 たまたま巡回調査をしていた県職員によって発見されましたが、昨年12月27日から400~500グラムに小分けの97袋が店頭に陳列され、このうち50袋が販売されたということです
 この発覚が氷山の一角でないように、厳重に管理して欲しいものです。
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全袋検査前の大豆を販売 県が撤去、回収を指示
 福島民友ニュース 2015年1月28日
 東京電力福島第1原発事故の影響で放射性物質の全量全袋検査の対象となっている本宮市の旧和木沢村地区(旧白沢村)の2014(平成26)年産大豆が検査を受けずに同市の小売店で陳列、販売されていたことが27日、分かった。(福島)県は小売店に陳列、販売した大豆の撤去、回収を指示した。
 県によると、検査前の大豆が陳列、販売されたのは同市のシミズストア本宮店で、旧和木沢村の農家3人が同店に直接卸した。昨年12月27日から400~500グラムに小分けの97袋が店頭に陳列され、このうち50袋が販売された。
 巡回調査の県職員が今月23日、全量全袋検査前の地区で生産された大豆を発見した。販売前の大豆を検査したところ、放射性セシウムはいずれも食品の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を下回り、最大で同57ベクレルだった。旧和木沢村地区は13年1月から出荷に全量全袋検査が必要な出荷制限指示区域となっていた。
 農家3人は県の聞き取り調査に「本宮市が実施している自家消費用のモニタリング検査で食品の基準値を下回っており、出荷してもいいと思った」などと話しているという。3人のうち2人は13年も大豆を生産しているが、同年は全量全袋検査を受けているという。
 販売された大豆の回収などについての問い合わせは本宮市農政課(電話0243・24・5385)へ。
 

2015年1月29日木曜日

もんじゅ、未点検機器約7千点に 報告書で不備

東京新聞 2015年1月28日
 日本原子力研究開発機構は28日、事実上の運転禁止命令が出ている高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)について、昨年12月に原子力規制委員会に提出した機器保全計画の見直し報告書に不備があり、未点検機器が約500点増え、7千点近くに上ると明らかにした。
 
 敦賀市役所で記者会見した機構幹部は「確認が甘かった」と謝罪した。
 機構によると、不備があったのは禁止命令解除に必要な報告書で、保安規定の変更申請とともに昨年12月、規制委に提出した。その後確認作業を進めると、1次系ポンプに関する機器などが未点検の数に含まれていなかったことが分かった。共同)
 

高浜原発 京都府と立地自治体に準ずる協定へ

 関電高浜原発(福井県)の30キロ圏内に住民を抱える京都府と府内7市町の首長たちは28日、関電側と原子力安全協定の改定に向けて協議しました
 そのなかで関電側は、再稼働への同意権までは含まないものの、福井県の立地自治体に準ずる協定を京都府と結ぶことを了承しました
 
 協議会に参加したのは一部が高浜原発の5キロ圏内に含まれる舞鶴市と30キロ圏内の福知山市、綾部市、宮津市、南丹市、京丹波町、伊根町の首長たちです
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高浜原発:京都府と立地自治体に準ずる協定へ 関電が了承
毎日新聞 2015年01月28日
◇「再稼働への同意権までは含まず」
 関西電力高浜原発(福井県)の緊急防護措置区域(UPZ、半径30キロ圏内)に住民を抱える京都府と府内7市町の首長らは28日、京都市で関西電力側と原子力安全協定の改定に向けて協議。関電側は、再稼働への同意権までは含まないものの、福井県の立地自治体に準ずる協定を京都府と結ぶことを了承した。
 
 府は1991年に関電側と安全協定を結んでいるが、事故時の通報連絡が主で、自治体からの意見表明権は原発増設時などに限られるほか、関電側が回答する義務も定めがない。福井県などの原発立地自治体との間で定められている協定では、自治体の同意がなければ再稼働できない。
 
 国の原子力規制委員会による同原発3、4号機に対する安全審査が大詰めを迎えていることから、府は協定を改定し、将来事故が起きた際、事故後の再稼働など重要な施設状況変更の前に意見表明する権利を定めることや、関電側に回答義務を課すことなど、立地自治体に準ずる項目を盛り込むよう関電側に求めた。
 
 協議会に参加したのは山内修一副知事のほか、一部が高浜原発の予防防護措置区域(PAZ、半径5キロ圏内)に含まれる舞鶴市、UPZ内の福知山市、綾部市、宮津市、南丹市、京丹波町、伊根町の首長ら。【藤田文亮】
 

2015年1月28日水曜日

米国 大雪でピルグリム原発が緊急停止

毎日新聞 2015年01月28日  
 米東部に大雪をもたらした悪天候に伴って停電が起き、マサチューセッツ州プリマスにあるピルグリム原発(出力68万キロワット)が27日朝、外部電源の一部を失って緊急停止した。原発を運転する米電力大手エンタジーは「非常用電源が作動して安全に停止した状態だ」と説明している。
 
 米原子力規制委員会(NRC)によると、同原発は通常より出力を下げて運転していたが、2系統ある高圧線からの電力供給が不安定になり、1系統の低圧線を残して次々に途絶えた。停電に備えて非常用電源を作動させていたため、炉内の燃料冷却などに必要な電力が途切れることはなかった。 (共同)
 

南相馬市 「避難勧奨」解除から1カ月

 昨年12月28日、住民の反対を押し切って南相馬市の特定避難勧奨地点が解除されましたが、それによって帰還した人は殆どいません。
 それでもこの3月末には精神的賠償の支払いは打ち切られ、高速道路料金無料化や医療費減免などの措置もなくなります
 
 住める筈のないところに帰れというのが昨年暮れの決定でした。現実に家の近くには3マイクロシーベルト/時(年間26ミリシーベルト)以上の場所もあるということです。
 帰還が果たせないと、地域や農産品が汚染されているという風評がなくならないから、とはうまい理屈を考えたものですが、諸手当の打ち切りによる経費節減が真の狙いだったのではないでしょうか。
 
 放射能汚染の不安がなくならなければこの先も住民の帰還は進みません。
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南相馬市 「避難勧奨」解除から1カ月 放射線不安消えず、進まぬ帰還
福島民報 2015年1月27日
 東京電力福島第一原発事故に伴う南相馬市の特定避難勧奨地点が解除され、28日で1カ月を迎える。放射線に対する住民の不安は十分に解消されておらず、帰還は進んでいないとみられる。 
 
■支援策継続求める声 
 指定が解除された南相馬市原町区馬場の住宅に暮らす無職男性(68)は「状況は何も変わらない。息子たちはまだ戻っていない」と寂しげに話す。 
 東日本大震災と原発事故前は母、妻、長男夫婦、孫2人の7人で生活していた。勧奨地点に指定された後、一家で市内の借り上げ住宅に避難したが、指定が解除されると知らされ、昨年10月に妻、母とともにわが家に戻った。 
 だが、自宅付近の放射線量は市内の他地域に比べて高く、毎時3マイクロシーベルトを超える場所がある。再除染の見通しは立っておらず、長男一家は自宅に戻ることをためらっている。男性は「また一家で安心して暮らしたい」と切実な思いを打ち明けた。 
 市によると、解除前は勧奨地点に指定された152世帯の約8割が避難していた。解除後の帰還状況について調査していないが、避難世帯数に変化はないとみている。新年度となる4月が「帰還の節目」として、放射線に関する相談業務などを継続し住民の帰還を後押しする。 
 一方、指定を解除された世帯に対する東電による精神的賠償の支払いは3月末での打ち切りが決まっている。高速道路料金無料化や医療費減免などの措置も同じ時期に終了する。指定世帯の住民らでつくる南相馬特定避難勧奨地点地区災害対策協議会の菅野秀一会長(74)は「避難を続ける世帯の負担が増えないよう、各種支援策の継続を政府に要望する」と語る。 
 南相馬市では原発事故の起きた平成23年、放射線の年間積算線量が20ミリシーベルトを超えると試算された橲原、大原、大谷、高倉、押釜、馬場、片倉の7行政区の142地点(152世帯)が特定避難勧奨地点に指定された。 

2015年1月27日火曜日

桐生で放射能問題を考える勉強会

 25日、日立の技術者として福島原発4号機を建設した五十嵐高元群馬大教授を囲み、原発事故で放出された放射能問題を考える勉強会が開かれました。
 五十嵐さんは「原発から千キロ圏内の住民が賛成しないのであれば、再稼働してはいけない」と述べました
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「原発の危険性理解して」 桐生で放射能考える勉強会
東京新聞 2015年1月26日
 東京電力福島第一原発事故による放射能の問題を考える桐生市の市民団体「むらさきつゆくさの会」が二十五日、同市の桐生倶楽部会館で勉強会を開いた。
 日立の技術者として同原発4号機を建設した群馬大大学院の元教授、五十嵐高さん(84)=桐生市=を囲み、市内外から集まった男女十二人が意見を交わした。
 五十嵐さんは「福島の原発事故で東京も避難区域になっていた可能性がある」と指摘し、「原発から千キロ圏内の住民が賛成しないのであれば、再稼働してはいけない」と主張した。参加者は「国の方針で原発を止めるべきだ」「原発の危険性を市民が理解していない」などと話した。 
 
 市内の無職、秦一男さん(73)は「年月がたつごとに、事故が人ごとになっていくのが怖い。一人一人が発言していかないとだめだ」と話していた。 (杉原麻央)
 
写真
    原発再稼働について意見を交わす参加者たち

浜岡原発燃料貯蔵施設を設置申請 中部電

東京新聞 2015年1月26日 
 中部電力は26日、浜岡原発(静岡県御前崎市)敷地内で使用済み核燃料を保管する「乾式貯蔵施設」の設置許可を、原子力規制委員会に申請したと発表した。2018年度からの使用を目指す。事業費は約300億円で、規制委の許可後に着工する予定。
 
 中部電は08年12月に乾式貯蔵施設の建設を発表。当初計画では、使用開始時期を16年度としていたが、新規制基準に対応するため、施設の耐震性など基本設計を見直していた。
 
 乾式貯蔵施設は、使用済み核燃料を特殊な容器に入れ、空気で冷やしながら保管。水や電気を用いるプール貯蔵式に比べ、津波や地震に対する安全性が高いとされる。(共同)
 

2015年1月26日月曜日

井戸謙一弁護士が講演 「原発再稼動 市民の力で阻止」と

 かつて北陸電力志賀原発の運転停止判決を下した元裁判官の井戸謙一弁護士は、現在福井県若狭湾周辺の原発再稼働差し止め訴訟の滋賀県住民弁護団長をしています。
 井戸氏は24日大津市で講演し、脱原発の世論の高まりの中で裁判官が運転差し止めを出しやすくなっているという背景を説明したうえで、「国民の意思が政治に反映しない今の日本では司法で再稼働を止める必要がある」と述べまし
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原発「再稼働市民で阻止」滋賀県住民弁護団長が講演
京都新聞 2015年01月25日
 福井県若狭湾周辺の原発再稼働差し止め訴訟の滋賀県住民弁護団長を務める井戸謙一弁護士が24日、大津市内で講演した。関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じた昨年5月の福井地裁判決などを解説し「命や健康、環境をリスクにさらしてはいけない。市民の力で再稼働を止めよう」と訴えた。
 
 元裁判官の井戸弁護士は2006年3月に金沢地裁で、裁判長として北陸電力志賀原発2号機の運転停止を命じる判決を言い渡している。講演では原発の新規制基準について「住民の避難計画を審査しないばかりか、耐震基準も従来通りだ。誰も責任をとることなく再稼働に突き進んでいる」と批判した。
 
 福井地裁判決は「人格権の価値を高らかに宣言し、福島第1原発事故の経験を踏まえて独自の判断をした」と評価した。福島事故で原発災害の被害の深刻さが明らかになったことや、原発がなくても電力供給に支障がなかったことを挙げながら、「脱原発には国民の圧倒的支持があり、裁判官は差し止めを命じやすくなっている。国民の意思が政治に反映しない今の日本では司法で再稼働を止める必要がある」と述べた。
 
 講演は脱原発を目指す県内の市民団体や個人が参加する「原発を考えるびわ湖の会」が主催し、約140人が参加した。
 

川内原発 鹿児島市で再稼働反対集会ほか

 25日、川内原発再稼動に反対する集会が鹿児島市で開かれ、全国各地から約3000人が参加しました。
 集会後、参加者は市内を約2.5キロにわたりデモ行進しました。
 
 また前日の24日には、毎金曜日、「原発ゼロ」を求める「金曜行動」を行っている人たちの全国交流集会が、川内原発地元の薩摩川内市で開かれました。
 集会では、火山物理学者の須藤靖明さんが講演し、川内原発の再稼動問題で特に危険視された「火山リスク」について動画などを用いた説明がありました。
 その後の活動報告では全国の様々な脱原発の取り組みの経験が紹介されました。
 
 毎日新聞としんぶん赤旗の記事を紹介します。
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川内原発:鹿児島で再稼働反対集会
毎日新聞 2015年01月25日
 九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働反対を訴える集会が25日、鹿児島市であった。2014年11月に伊藤祐一郎知事が再稼働に同意して以降、初の大規模集会で、全国各地から約3000人(主催者発表)が参加した。県内約90の市民団体で作る実行委の主催。集会後、参加者は市内を約2.5キロにわたりデモ行進した。
 
 
「原発再稼働許さない」「金曜行動」全国交流会開く 鹿児島・薩摩川内
しんぶん赤旗 2015年1月25
 今春にも再稼働が狙われる九州電力川内(せんだい)原発が立地する鹿児島県薩摩川内市で24日、「原発ゼロ」を求め毎週金曜日に行われている「金曜行動」の全国交流会が開かれました。かごしま反原発連合(岩井哲代表)が主催し、「全国の力を結集し、金曜行動の底力を見せよう」と決意を固め合いました。
 
 火山物理学者の須藤靖明さんが講演し、原発の「火山リスク」について解説。噴火の動画や火砕流、火山灰の到達範囲を地図で示し、川内原発が過酷事故に至る危険性を説明しました。
 
 活動報告では、参加者が「九電関連の業者など表だって声を上げられない人も多く、困難はあるが、行動を貫くことが大事」(薩摩川内市)、「知事の再稼働同意に『いても立ってもいられなかった』と(参加した)若いお母さんもいる」(同県霧島市)などと発言。県庁や電力会社本店、原発ゲートの前での集会、横断幕を掲げた行進「再稼働反対ウオーク」などの取り組みが紹介されました。
 「再稼働阻止全国ネットワーク」の柳田真共同代表は「川内も、次に続く(関西電力)高浜(原発)も、再稼働は許さない。最大のヤマ場に来ており、一緒に盛り上げましょう」と呼びかけました。
 東京から駆け付けた女性(67)=出版社社長=は「お互いの行動を知り、横につなげて、大きな再稼働阻止のエネルギーにしたい」と語りました。
 

「原発の発電コストは高い」と琉球新報

 マスメディアは電力会社に遠慮して、原発の不採算性を報道したり、脱原発を主張したりしません。
 福島原発事故が起きる前は、電力会社は各テレビ局の放送内容を監視して、脱原発を取り上げたりすると、広告代理店などを通じて厳しく干渉してきたと言われています。事故後はさすがにそのようなことは行われていないと思われるのですが、それでも依然としてマスメディアが自粛しているように見えるのは、やはり莫大な広告費を持っている電力会社には頭が上がらないからでしょうか。情けない話です。
 
 そうしたなか琉球新報は25日、「原発をベースロード電源に位置づけてしがみつくのは未曽有の原発事故を経験した国として許されない」とする社説を掲げました。
 そして、「太陽光、風力など再生可能エネルギーを普及させる道を模索し、脱原発にかじを切るべきだ」と主張しました
 
 政府が原発を「温室効果ガスをほとんど出さない電源」に分類していることに 社説がクレームをつけなかったのは、炭酸ガスを出さないのは発電の過程に限定される点を失念したためだと思われますが、原発の採算性については、「コストが安いという神話は過去のものうそで塗り固められていたといえる」と、厳しく指摘しています。
 そしてエネルギー調査機関として実績のある「ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス」の試算で1キロワット時当たり原発は約15円で太陽光発電とほぼ同レベル、陸上風力発電と比べるとかなり高いという結果が出たと述べて、国民の前に試算を示すべきだとしています
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<社説>原発15~20% 教訓忘れ震災前に戻るのか
琉球新報 2015年1月25日  
 まるで何事もなかったかのように震災前へ戻ろうとする動きが加速しているように見える。
 エネルギー政策の柱とする2030年の電源構成で焦点となっている原発の比率に関し、政府は15~20%を軸に検討する方向だ
 震災前の原発比率28・6%より低くなるとはいえ、いまだに「重要なベースロード電源」と位置付け、原発にしがみつくことは未曽有の原発事故を経験した国として許されない。福島県ではいまも12万人以上が避難し、震災関連死は直接死を上回る1800人近くに上る。
 太陽光、風力など再生可能エネルギーを普及させる道を模索し、脱原発にかじを切るべきだ。
 
 政府は昨年4月、エネルギー基本計画を閣議決定し、民主党政権が掲げた「原発ゼロ」と決別した。その時に先送りした電源構成を検討する有識者委員会の初会合を今月30日に開き、議論を本格化させる。
 政府内では6月のドイツ・サミットまでに結論を出したい考えだ。原発と再生エネ(水力を含む)を合わせ「45%程度」は温室効果ガスをほとんど出さない電源とアピールしたいようだが、「温室効果ガス」を隠れみのにして原発回帰を推し進める思惑が透けて見える。
 しかし、それならば再生エネの導入機運を後退させるのではなく、原発こそゼロに近づけるべきだ。
 
 電源構成比率の策定に必要な発電コストの試算も示すというが、原発が「コストが安い」という神話は過去のものだ。うそで塗り固められていたといえよう。
 廃炉、事故が起きた場合の補償、最終処分など原発のコストは膨らむばかりだ。
 エネルギー調査機関として実績のある米国企業系「ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス」の試算では、1キロワット時当たり原発は約15円で太陽光発電とほぼ同レベル、陸上風力発電と比べるとかなり高いという結果が出た。
 これまで指摘されてきた点を含め国民の前に、試算を示すべきだ。
 
 昨年12月の衆院選で安倍政権は勝利し、原発再稼働も理解が得られたとして原発回帰に前のめりだが、白紙委任したわけではない。世論調査を見ると、原発再稼働に国民の大半は反対している。民意無視は許されない。
 有識者委員会の議論を徹底的に公開し、国民の意見を聞き、将来の電源構成を示すべきだ。
 

2015年1月25日日曜日

報告会に環境省の出席断る 塩谷町|高線量土砂が伊達市の農地に

 指定廃棄物の最終処分場候補地選定問題で、塩谷町が2月上旬に開催する経過報告会に、環境省が出席できないか町側に打診していますが、は拒否する考えです。その理由は環境省が報告会に来ると、そこでいくら反対の声をあげても「住民の理解を得たとして実績づくりにされる」からだということです。
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 福島原発事故の除染として福島県内の25カ所で土砂が違法に採取された問題で、伊達市の現場の一つで採取をした業者「放射線量の高い土砂を周辺の農地にかぶせた」と説明しているということです。原発事故で汚染された畑地権者から業者が土砂の剥ぎ取りを依頼され、採石法違反状態で2011年10月ごろから採取し始めたものの採取した土砂が高線量だったため、「採取場所付近の農地の客土(土の上に積む)として使用した」ものですが、県はそのことを知った後採取等は禁じましたが、客土された農地はそのまま放置していました。
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環境省、塩谷町の報告会に出席を打診 町長「受け入れられない」
下野新聞 2015年1月24日
 放射性物質を含む指定廃棄物の最終処分場候補地選定問題で、塩谷町が2月上旬に開催を予定する住民向けの経過報告会に、環境省が出席できないか町側に打診していることが、23日分かった。
 これに対し見形和久町長は「住民は環境省に疑念を持っている。報告会への参加は住民感情から受け入れられない」と拒否する考えを示した。
 塩谷町は2月上旬、玉生、船生、大宮の町内3地区で初めての経過報告会の開催を予定している。環境省の担当者は「新聞報道で知った」と明かした。
 環境省は昨年7月30日の候補地選定時から「住民への説明の機会を設けてもらえるようにお願いしていく」と、同省主催の説明会開催に町の協力を依頼。これに対し、町や塩谷町民指定廃棄物最終処分場反対同盟会は「反対の声を上げても、住民の理解を得たと実績づくりにされる」などと拒否している。
 同盟会は22日、同省職員の候補地への立ち入りを阻止。不信感を募らせる住民側と環境省との対話の糸口はさらに遠のいている。
 
高線量土砂が伊達市の農地に 県確認せず放置
河北新報 2015年1月24日
 福島第1原発事故の除染用などだとして、福島県内の25カ所で土砂が違法に採取された問題で、伊達市の現場の一つで違法採取をした業者が、県の聞き取り調査に対し、「放射線量の高い土砂を周辺の農地にかぶせた」と説明していたことが23日、分かった。県は土砂の線量を確認せず、農業担当部署などにも報告していなかった。
 県によると、違法採取が見つかったのは伊達市の畑で、面積は2000~3000平方メートル。畑は原発事故で汚染されたため、業者が地権者から外部被ばく防止などのために土砂採取を依頼され、採石法に違反した状態で2011年10月ごろから採取し始めた。
 業者は採取した土砂が高線量だったため、除染用土砂には不向きだと判断。違法操業発覚後の14年7月、使途について県に「採取場所付近の農地の客土として使用した」と語ったという。
 農地に用いる土砂の放射性物質濃度は国の基準で1キログラム当たり400ベクレル以下とされている。業者の説明を聞いた県の採石法担当部署は採取中止などを指導しただけで、線量については調べなかった。農業や除染の担当部署にも通報していない。
 業者から聞き取りをした県北地方振興局は「あくまで採石法に基づく調査であり、決められた報告は県本庁の採石法担当課にしている」と釈明している。
 
<情報共有すべきだ>
 震災と地方自治が研究テーマの河村和徳東北大大学院准教授の話 勝手に自分の仕事の範囲を判断し、他部署との調整コストを惜しんだ縦割り行政だ。個々の政策は本来、きちんと線引きできるものではない。どこまで仕事が広がるか考え、他部署や復興庁と情報共有するべきだった。
<「確認し処置」大切>
 福島県除染アドバイザーを務める日本原子力研究開発機構特任参与の石田順一郎氏の話 高線量の土は仮置き場に置き、住民の無用な被ばくを避けるのがルールだ。はぎ取った表土の取り扱いは最も重要な問題であり、判断に迷うことがあれば、県や市町村の除染対策担当者に確認して処置すべきだ。