2017年5月31日水曜日

米 スリーマイル島原発 採算性悪化から閉鎖へ

NHK NEWS WEB 2017年5月31日
38年前にアメリカ史上最悪の原発事故が起きたスリーマイル島原子力発電所で、事故を起こしたのとは別の原子炉の運転が、採算性の悪化から再来年に停止され、発電所自体が閉鎖される見通しになりました。
 
アメリカ東部、ペンシルベニア州にあるスリーマイル島原発では、1979年に2号機で核燃料が溶け落ちるメルトダウンが起きて、放射性物質が漏れ出すアメリカ史上最悪の原発事故があり、その後、2号機では廃炉に向けた作業が行われましたが、1号機では、運転が続けられていました。
原発を運営する会社によりますと、1974年に運転を開始したスリーマイル島原発1号機は、2034年まで運転の免許が出されているものの、競合する天然ガスなどのエネルギー価格が低い状態が続き、政府からの支援も得られないため、採算性が悪化しており、このままでは運転を続けられないとして再来年、2019年9月末をめどに運転を停止し、廃炉にすることを明らかにしました。これにより、スリーマイル島原発は閉鎖される見通しです。
 
アメリカは、およそ100基が稼働する世界最大の原発大国ですが、エネルギー価格の低下や、6年前の東京電力福島第一原発事故のあと、新たな安全強化策にコストがかかるようになったことで、採算性が悪化しているとして原発の廃炉や廃炉の決定が相次いでいます。

31- 柏崎原発再稼働へ申請書変更説明 東電社長、新潟知事に

日経新聞 2017/5/30 11:22
 東京電力ホールディングス(HD)は30日午前、広瀬直己社長らが新潟県庁を訪れ、米山隆一知事に原子力規制委員会に提出する柏崎刈羽原発の申請書の変更点について説明した。東電は規制委に安全審査の申請書の再提出を求められており、事前に米山知事に変更点を説明することで地元の理解を得たい考え
 
 説明では広瀬社長が原発で重大事故が発生した場合に放射性物質の大気への放出を抑えるフィルター付きベント(排気)設備の運用開始に関する立地自治体の事前了解について削除したい考えを伝えた。
 広瀬社長は規制委の審査を踏まえて当該部分の変更を求めたいと説明した一方で「フィルター付きベント設備は安全協定に基づく(地元の)了解が得られない限り供用しないという点についてはいささかも変更ありません」と理解を求めた。
 
 米山知事は「重要なのは(申請書に)記載するかしないかではなく、安全協定に基づく了解が得られない限りは供用されない、避難計画との整合性を持たせて検証していくという中身だ」と申請書の変更に一定の理解を示した。

2017年5月30日火曜日

廃棄物地層処分で 国策反対者は知識高より知識中に多いとパネリストが

 原発から出る高レベル放射性廃棄物の地層処分についての国の政策に「理解」を求めるため行われている説明会で、パネリストの一人が、「自宅の近くに処分場が出来ることに反対」と「最終処分場で大事故が起きる心配がある」人は「知識高」よりも「知識中」の人に多いと説明したことについて、会場から差別発言だとの抗議が出て一時紛糾したということです
 レイバーネットの報告者は、この発言をしたパネリストの母体組織のNPO「パブリック・アウトリーチ」は、様々な問題を抱えたところであるとして、政府がみずからは手を汚さずにそうした御用NPOを先兵にしていることを問題視しています。
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「国策に反対する者はバカで非常識」?~
 パネリストの差別暴言でNUMO説明会紛糾
黒鉄 好 レイバーネット 2017年5月29日
 「全国の原発から出る高レベル放射性廃棄物の“適正”な処分を推進する」という国・原子力ムラの政策に「理解」を求めるため行われているNUMO(原子力発電環境整備機構)主催の一般向け説明会。筆者も参加した「全国シンポジウム いま改めて考えよう地層処分」と題されたシンポ形式の説明会(5月27日、札幌会場)では、パネリストのひとりから恐るべき「差別暴言」が飛び出し、一時紛糾した。
 
 NUMOは発言を陳謝したが、発言したパネリストは撤回せず、NUMO側は「(問題となった)資料はいったん保留としたい」としたものの、こちらも撤回表明はないまま、逃げるように立ち去った。福島第1原発事故以降、さんざん市民を欺き、ウソ、隠蔽、ごまかし、はぐらかし、脱原発を求める市民への誹謗中傷の限りを尽くしてきた原子力ムラのことだ。資料が「保留」となることで、このままこの許しがたい差別暴言がなかったことにされる恐れがある。誰かがこの事実を告発しなければならない。
 
 前置きが長くなったが、発言はパネリストのひとりで、科学技術についての “対話” “情報提供” を目的としているNPO法人「パブリック・アウトリーチ」理事の木村浩から飛び出した。論より証拠だ。問題となった資料をご覧いただこう。
●資料「高レベル放射性廃棄物処分に関する人びとの意識」全体版(PDF)
●問題となった部分(4ページより抜粋)
 
 資料は、2014年に原子力文化財団が実施した調査結果をまとめたものである。原子力を推進する側にとっては確かに興味深い結果を示すものではあろう。木村はこの資料を説明。「自宅近隣に処分場計画されたら反対」の項目で、放射性廃棄物の処分に対する知識量が「高」の人より「中」の人の方に、また「最終処分場で大事故が起きないか心配」の項目で「高」より「中」「低」の人に反対が多かったことをやり玉に挙げ、「知識のない人による誤解が見られる」と発言した。
 
 この発言に会場は一時騒然となった。発言の指名を受けた男性が「国策に反対するだけでこんなことを言われるのか。許せない」と怒りの発言をすると、「そうだ!」というヤジが飛んだ。木村はその後、「誤解があったとすれば申し訳ない。この会場におられる皆さまは社会性の高い方だと思っています」と「釈明」したが、この発言がさらに怒りを呼んだ。後列から、「そういう問題じゃないんだよ!」という声が確かに聞こえた。
 筆者は、後方から聞こえたこの声に全面的に同意する。文字通りそういう問題ではない。政府や公的機関が、国の重要政策に関する一般市民向け説明会という公の場で、公然と市民をランク付けし、見下す言動をとること自体が差別なのだという「差別の基本」を、この木村なる人物はまったくわかっていない。
 怒りの収まらなかった筆者は、「木村の発言は差別であり、撤回と謝罪を要求する」とアンケート用紙に記載して退場した。解散後も、メディアを相手に怒りを表明する参加者の姿があちこちに見られた。
 
 筆者はNUMOの説明会に過去2回参加し、2回とも指名されている。前回、2016年11月の説明会では、「この説明会をなぜ福島で開催しないのか。事故の最大の被害者である福島県民の中に飛び込みもしないで何が対話活動か」と資源エネルギー庁・NUMO側を質した。これに対する回答は「仙台では開催しており、福島からも多くの方の参加をいただいている。処分地が正式に決まったら改めて福島を含め、各地で説明させていただく」というものであった。
 
 この回答に筆者は納得していないが、再質問を認めない形式でありそれ以上の追及はできなかった。今回の説明会も、全国9会場に福島は含まれておらず、指名を受ければ改めてこの点を質す予定にしていた。原発事故の最大の被害者である福島県民の中に飛び込み、対話し、寄り添う姿勢もなく、「言いたいことがあるなら仙台まで来い」という「対話活動」で、放射性廃棄物の処分に対する国民の理解が得られるとは思わない。
 
 この説明会は、今後、高松(6/3)、仙台(6/4)、名古屋(6/11)、広島(6/17)、大阪(6/18)の5会場が残されている。もしこの記事をお読みの方で、参加予定の方がいるなら、このような不見識極まるパネリストを徹底的に追及してほしい。
 
 そもそも、木村の所属する「パブリック・アウトリーチ」なるNPO法人は福島原発事故後に設立されている。研究員は木村含め2名いるが、驚くことに、もうひとりはあの斑目春樹氏だ。311当時、内閣府原子力安全委員長だった斑目氏は事故に対して何ら有効な手が打てないまま、支離滅裂な言動を繰り返し、インターネットを中心に「デタラメハルキ」と呼ばれたことをご記憶の方も多いだろう。現在は、漫画で原子力に関する情報発信を行っている。漫画がすべて悪いなどと言うつもりはないが、事故当時、国の原子力政策の中心にあり、事故の被害を拡大させた最高責任者のひとりでもある斑目氏が採るべき手法でないことは明らかだ。このような人物を「対話と理解活動」の中心に据えていること自体、「御用NPO」の思慮の浅さを物語っている。
 
 パブリック・アウトリーチでは、このほかにも関村直人のような許しがたい原発御用学者が理事を務めている。関村は、東日本大震災発生翌日の2011年3月12日に出演したNHKで、1号機の原発建屋が水素爆発する映像を見た直後、「爆破弁の操作」によるベントであり問題はないという、歴史に残る「迷解説」で御用学者の地位を確固たるものにした人物だ。その後、原発メーカー・電力関連企業から学者への献金としては最高額となる研究費、計3277万円を受領していたことも判明。献金していたのは三菱重工業と電力関係団体の電力中央研究所だ。学者として最高額の献金を受け取った御用学者が、支離滅裂の珍解説をしてまで原子力ムラを必死に擁護しようとしていたことを、筆者は決して忘れていない。
 
 同時に、今回の木村の発言を聞いて、共謀罪法案の成立を先取りした「非国民あぶり出し」政策がいよいよ始まったことを肌で感じた。政府がみずからは手を汚さず御用NPOを先兵にしていることも、町内会や隣組を使って非国民をあぶり出した戦前を想起させる。人権を蹂躙し、生命を危険にさらす国策に対し「黙らない」「屈しない」「あきらめない」の姿勢が今後はますます重要になるだろう。
後 略

30- 福島大がウクライナ政府と放射性物質の経路を調査

 福島大の環境放射能研究所は、ウクライナ政府との合同調査で1986年のチェルノブイリ原発事故で飛散した放射性物質が、風雨などの影響で約30年かけて移動した経路を確かめる調査を始めました。
 旧名のチェルノブイリは、ソ連解体後独立したウクライナとベラルーシの境界付近に位置しています。
 日本国内ではとかく政治的偏向(バイアス)が掛かりやすい中、ウクライナでの実態を明らかにして欲しいものです。
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福島大、ウクライナ政府と放射性物質の経路調査  
日経新聞 2017年5月30日
 福島大の環境放射能研究所の難波謙二所長らは29日、ウクライナの首都キエフで記者会見し、1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故で飛散した放射性物質が、風雨などの影響で約30年かけて移動した経路を確かめる調査を始めたと発表した。東京電力福島第1原発事故での放射性物質の拡散予測や農林水産業の復興につなげる狙い。
 ウクライナ政府との合同調査で、2022年3月末まで。
 
 難波所長は、共同通信の電話取材に対し「チェルノブイリと福島は、原発事故の経験を伝える立場にある。研究成果を世界に発信したい」と話した。
 調査は半径30キロ圏の立ち入り制限区域などで実施する。調査対象は事故のあった4号機の原子炉を冷やす水を蓄えていた長さ10キロ、幅2キロの貯水池など。近年干上がり始めており、沈殿していた放射性物質が大気中に舞う危険性が指摘されているという。
 
 また、放射性物質は地下水によって付近の川に流れているとみられており、深さ20メートルの井戸を数カ所掘って地下水も調べる。〔共同〕

2017年5月29日月曜日

東電の新計画は「絵に描いた餅」か 原発再編への冷たい視線

 J-CASTニュース 2017年5月29日
 東京電力ホールディングス(HD)の新しい再建計画がまとまった。2017年5月11日、筆頭株主である原子力損害賠償・廃炉等支援機構と連名で「新々・総合特別事業計画」を、経済産業相に認定申請した。福島第1原発事故の対策費用を安定的に確保するため、収益の大幅アップを図り、そのために原発事業の再編などを進める、というものだ。ただ、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働一つとっても、計画通りに進めるのは容易でなく、机上の空論に終わりかねない。
 
 福島第1原発事故対応の費用が、3年前に再建計画を策定した時点の11兆円から一気に約2倍に膨らみ、従来計画では賄えなくなったことから、練り直しを迫られていた。対応費の総額21兆5000億円のうち東電は15兆9000億円を負担することになり、今後30年にわたって年間5000億円(廃炉3000億円、賠償2000億円)を払う必要がある。
 
想定と実際の再稼働は「まったく別」」
 そのための柱の第1が柏崎刈羽の再稼働で、2019年度以降に順次、再稼働する複数のケースを想定。7基のうち、原子力規制委員会が審査中の6、7号機をまず動かし、残りも段階的に稼働させ、10年間、毎年平均1600億~2150億円の経常利益を生み出すと弾く。
 
 第2の柱が送配電や原発部門の他電力との事業再編や統合。大手電力は2020年に発電部門と送配電部門を切り離す「発送電分離」を義務づけられていることを踏まえ、送配電部門は20年代初頭に他社と「共同事業体」を設立するとした。原子力事業の再編は20年度をめどに、原子炉の技術面など「協力の基本的枠組みを整えていく」。具体的には、まず建設が中断している東通原発(青森県)で提携相手を募るが、「隣接地に原発を持つ東北電力が有力候補」(経産省筋)。
 このほか、送配電事業の合理化の徹底などで2000億円の資金を安定的に確保することを目指す。
 
 だが、計画実現は容易ではない。柏崎刈羽の再稼働について、米山隆一・新潟県知事は「再稼働の議論を始めるのに3、4年はかかる」と厳しい姿勢を示し、地元の同意を得られる見通しは立っていない。東電の広瀬直己社長も「いつ動くのかは不確実性が残る」として、今回の計画が描く想定と実際の再稼働は「まったく別」と認めている。
 
 「再編を考えるニーズもない」(関西電力)など、他電力は再編に否定的だ。東電に飲み込まれかねないほか、福島の事故の負担を押し付けられるとの懸念が根強いのは、当然だ。火力について、東電と中部電力の事業統合に進んでいるが、原発事故とは明確に切り離すことで、やっと実現した話。とりわけ、原発部門の再編となるとさらにハードルは高く、東通原発で再編相手と目される東北電力は「全く念頭にない」(原田宏哉社長)と、取り付く島もない。
 
日経は「危い二兎追い」と指摘
 事故対応費のうち4兆円の除染費は、再編などを通じた企業価値の向上、つまり株価の上昇で、国が持つ東電などの株式売却益で賄うことになっているが、「絵に描いた餅に終わりかねない」。
 
 東電問題の新聞報道は、各紙の原発へのスタンスを色濃く映す。脱原発の「毎日」は5月12日朝刊解説記事に「原発事故処理 提携に壁」「柏崎再稼働も見通せず」の見出しが躍り、同じく「朝日」も「多難の再建計画」「見通せぬ再稼働」「再編に他電力反発」と書く。
 一方、原発推進の「読売」は「原発で連携強化」「柏崎刈羽メドたたず」とは報じるが、東電の計画の内容解説中心で、計画通りに進まなければ、「新たな国民負担につながる可能性もある」と指摘した程度。また、同じ原発必要論でも「日経」は「収益力向上と賠償・廃炉 危い二兎追い」「『机上の案』続く難路」と、計画の実効性に大きな疑問符をつける解説記事を掲載した。
 
 社説(「産経」は主張)で直接取り上げたのは「産経」(13日)と「朝日」(14日)。「産経」は電力料引き下げの視点の必要を主眼とし、「高止まりする電気料金の引き下げに努めることを忘れてはならない。それは、電力の安定供給と並び、同社に課せられた使命だ。その実現には、運転が長期にわたって停止している柏崎刈羽原発の早期再稼働が欠かせない」として、「政府は再稼働を東電任せにせず、新潟県への働きかけを強めるべきだ」と、政府にも発破をかける。
 
 これに対し、「朝日」は「安全対策の徹底が先決であり、再稼働に頼らず必要な資金を稼ぎ出す方策を考えるべきだ」と主張し、「東電がその責任を果たせないなら、国がさらに前に出るしかない。(略)東電と政府は、国民の厳しい目を忘れてはならない」とくぎを刺している。
 両紙は同じ国の責任を論じるのでも、方向は正反対だ。

29- 韓国、老朽原発が緊急停止 放射性物質漏れなしと発表

産経新聞 2017年5月29日 
 韓国南東部、慶州の月城原発1号機が28日午後、機器故障で緊急停止した。1号機は30年の設計寿命を2012年に迎えた老朽炉。運営会社の「韓国水力原子力(韓水原)」は、放射性物質漏れはないと発表している。
 
 韓水原によると、1号機は点検目的で稼働を停止させるために出力を下げる作業をしていた。その途中で原子炉に冷却材を送り込むポンプ2台が停止したため原子炉も自動停止した。聯合ニュースによると、ポンプは全部で4台あるという。
 
 1号機は1983年に商業運転を始めた韓国で2番目に古い原発。設計寿命が尽きた12年に稼働を止めたが、韓国原子力安全委員会が15年に、22年までの再稼働許可を出し、運転が再開された。(共同)

2017年5月28日日曜日

小出裕章氏の「反原発」講演会に450人 長野県佐久市で

 長野県佐久地方の市民有志が企画した元京大原子炉実験所助教の小出裕章氏による「反原発」の講演会が27日、佐久市で開かれ定員を上回る450人が集まりました
 この講演では佐久市が「政治目的に該当する」との理由で後援取り消しましたが、小諸市と御代田町は後援しました。
 会場では、「安保関連法に反対するママの会信州」市民団体が作成した「共謀罪ってなあに?」リーフレットを配布し、壁にチラシには「We love 原発のない世界」スローガンが掲示されまし
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長野県小諸市、御代田町が後援の「反原発」講演会で政治活動
産経新聞 2017年5月27日
 長野県佐久地方の市民有志が企画した元京大原子炉実験所助教の小出裕章氏による「反原発」の講演会が27日、佐久市で開かれた。
 講演をめぐっては、佐久市が「政治目的に該当する」との理由で後援の取り消しを決定していたが、小諸市と御代田町は後援の方針を改めていなかった。
 
 一方、会場では、参加者に対し「安保関連法に反対するママの会信州」という市民団体が作成した「共謀罪ってなあに?」と題した、講演の趣旨と関係のないリーフレットを配布。壁に掲示されたチラシには「We love 原発のない世界」と「反原発」を訴えるスローガンが掲げられ、「政治活動」と受け取れかねない状況だった。
 
 会場は定員450人を上回り、別室ではビデオ上映が行われた。小出氏は講演で、原子力政策の歴史や東京電力・福島第一原発事故の経過などを紹介した。なお、会場の使用時間が限られているとして、参加者による質問の機会は与えられなかった。
 
 自治体の後援がありながら政治的主張のあるリーフレットの配布や掲示をしたことについて、主催者代表の桑田温美さんは「講演は原発について学ぶのが目的。中身の判断は各自がすることだ」と説明した。
 また、配布物について、小諸市と御代田町からは事前のチェックがなかったとし「行政のバックアップに感謝している」と述べた。
 
 産経新聞の事前の取材に対し、佐久市教委は「政治的主張が明確な催しに行政が関与するのは適当でない」と指摘。施設の利用は容認しているとして「『表現の自由』を侵してはいない」と説明した。一方、小諸市と御代田町の両教委は「特定の政党名もなく政治的活動に当たらない」として、催しに政治性はないとしていた。

大飯原発3、4号機の再稼働 福井県知事 慎重に判断

日経新聞 2017年5月27日
 福井県の西川一誠知事は26日の記者会見で、原子力規制委員会の安全審査に合格した関西電力大飯原子力発電所3、4号機(おおい町)の再稼働について、慎重に判断する考えを明らかにした。原子力に対する国民の理解、関電が福井県外で設置する中間貯蔵施設の進捗状況などを確認する。判断時期について「今の時点で判断するのでなく、やや先」と話した。
 
 同貯蔵施設は他の原発を含めた再稼働で使用済み核燃料が増えることに対応する。2020年ごろに県外で設置場所の決定を県に約束したが、難航している。同施設が困難になった場合、外気で冷やす「乾式貯蔵施設」の県内設置の可能性について、西川知事は強く否定した。
 
 同日、資源エネルギー庁の幹部が県庁を訪ね、大飯3、4号の再稼働について理解を求めた。藤田穣副知事は(1)原子力への国民理解(2)関電の中間貯蔵施設実現への対策――などを求めた。

28- 知って原発のいま 日立で7月 東海の主婦ら映画やライブ 

東京新聞 2017年5月27日
 ミュージシャンらと一緒に原発について考えてもらおうと、東海村の主婦たちがトークライブ「響き合うこころ」(東海村、日立市など後援)を七月十二日、日立市の日立シビックセンターで開く。
 
 東京電力福島第一原発事故後、子供たちを被ばくから守ろうとする福島の母親たちの闘いを追った鎌仲ひとみ監督のドキュメンタリー「小さき声のカノン-選択する人々」を上映する。
 上映後、鎌仲さん、ロックバンドブラフマンのTOSHI-LOWさん、ミュージシャンの渡辺俊美さんが登壇する。それぞれの目で見た現地の様子を語りながら、東海村の日本原子力発電東海第二原発のこれからについて考える。この後、スペシャルライブがある。
 主催者の一人、津幡美香さん(46)は、来年、営業運転開始から四十年が経過し、法律上の寿命を迎える東海第二原発について「多くの人が現状を知らない」と訴える。「再稼働か廃炉か、住民が決断する前に、まず原発について知るきっかけになれば」と話している。
 
 昼夜二部制で定員各二百人。全席自由で前売り大人二千八百円、高校・大学生二千三百円、小中学生千三百円。シビックセンターやプレイガイドなどで二十七日からチケットを販売する。
 
 問い合わせはメール hibikiau0712@gmail.com で。 (山下葉月)

2017年5月27日土曜日

規制委に柏崎刈羽原発断層の独自調査をと 共産党藤野議員が要求

 柏崎刈羽原発敷地内の断層が地元の専門家の火山灰分析で、12~13万年前以降に生成した活断層の可能性が疑われている問題について、産党の藤野保史議員が25日、衆院原子力問題調査特別委員会で東電任せにせず「原子力規制委が独自調査に乗り出すべきだ」と述べました。
※  5月24日 柏崎刈羽原発 敷地内断層の審査見直し要請
 
 それに対して規制委の田中俊一委員長は「審査中なので最終的な結論は出していない」と述べました。
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規制委、断層の独自調査を  柏崎刈羽原発 藤野議員が要求
しんぶん赤旗 2017年5月26日
 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の敷地内の断層が地元の専門家の火山灰分析で活断層の可能性が疑われている問題について、日本共産党の藤野保史議員は25日、衆院原子力問題調査特別委員会で質問しました。活断層隠しの過去を持つ東電任せにせず、「原子力規制委員会が独自調査に乗り出すべきだ」と述べ、規制委の審査のあり方をただしました。
 
 6、7号機を審査中の規制委は昨年2月、原子炉建屋直下を含む敷地内断層は「活動性はない」とする東電の評価を了承しています。
 藤野氏は、新潟県内の地質学者らでつくる「柏崎刈羽原発活断層問題研究会」が先月、敷地などに分布する火山灰分析の結果を公表し、活断層の定義にあたる12万~13万年前に堆積した可能性があると指摘したとして、指摘通りなら「再稼働どころか立地不適だ」と強調。東電が20万年前に堆積したとして活断層を否定する根拠にしている火山灰「刈羽テフラ」について、同原発から約10キロ地点の12万~13万年の地層に含まれた火山灰と同じだったことが研究会や東電自身の分析で明らかになっていることを示して、東電の説明は「不自然だ」と指摘し、規制委に対し、公正中立の立場での独自調査を求めました
 
 規制委の田中俊一委員長は「審査中なので最終的な結論は出していない」と発言。
 藤野氏は、2007年の中越沖地震の原因となった海底断層が、活断層の可能性があると4年前に東電が評価しながら公表しなかったことは隠ぺいにほかならないとして、「規制委が乗り出すべきだ。そうでないと県民は納得できない」と強調しました。

退任の東電新潟本社代表 柏崎原発再稼働への理解の後退を認める

柏崎原発再稼働への理解「後退」 退任の東電新潟本社代表
新潟日報 2017年5月26日
 6月23日に退任する東京電力ホールディングス(HD)新潟本社の木村公一代表(57)が25日、新潟市中央区の同社で任期最後の定例会見を開いた。約2年間の在任中に相次いだ不祥事を踏まえ、柏崎刈羽原発の再稼働に向けた地元理解について「後退したと考えざるを得ない」と述べた。
 
 木村氏は2015年4月の新潟本社発足と同時に代表に就任。16年2月に東電福島第1原発事故時に炉心溶融(メルトダウン)を隠した問題、17年2月には柏崎刈羽原発の免震重要棟の耐震性不足問題などが相次いで発覚した。
 
 会見で木村氏は、不祥事が相次いで「県民の信頼を得られなかった」と振り返り、約2年での退任には「道半ばという思い」と述べた。
 新潟本社の今後については「(信頼構築の)スタートラインに戻れるように(問題の)対策を実施し、信を得たい」と強調した。
 
 東電HD常務でもある木村氏は6月23日の株主総会と取締役会を経て、東電HDフェロー・社長補佐に就く。木村氏の後任は、東電HD新潟本部の橘田昌哉副本部長(53)が昇任する。

27- 原電社長、東海第二原発の運転延長申請へ意欲

東京新聞 2017年5月26日
 原電の村松衛社長は二十五日、経団連会館(東京都千代田区)で開いた二〇一六年度決算発表会見で、東海第二原発(東海村)の運転延長申請について「したいという思いは大変ある」と意欲を見せた。新役員が決まる六月末の株主総会以降、取締役会に諮って原電として意思決定したい考えを示した。
 村松社長は三月の経営計画発表で、延長申請の可能性に言及したが、さらに態度を明確にした形だ。再稼働については「延長申請とは別の問題。地元の理解を十分に得ながらステップバイステップで必要な手続きを進める」と述べるにとどめた。
 
 老朽原発の東海第二原発は、来年十一月に営業運転開始から四十年となる。最大二十年、延長運転するには、今年八月二十八日から十一月二十八日の間に原子力規制委員会に延長申請する必要があり、原電は五月十九日、申請に必要な特別点検に着手した。 (越田普之)

2017年5月26日金曜日

原発事故避難生活の実態調査へ 新潟県

 新潟県は、柏崎刈羽原発の再稼働問題を巡り今後の県の検証に生かすために、福島原発事故福島県から全国に避難した人たちの避難生活の実態調査を委託する事業者の公募を始めました。
 調査は避難生活の全体像を明らかにする総合的調査とテーマ別調査の2種類を実施し、総合的調査は避難者数の推移、住宅や家族、収入・支出といった避難者の身辺に起きた変化を調べます
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原発事故避難生活の実態調査へ 県、委託事業者を公募
新潟日報 2017年5月26日
 東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題を巡り、新潟県は24日、東電福島第1原発事故による避難生活の実態調査を委託する事業者の公募を始めた。調査は、柏崎刈羽原発の現状での再稼働を否定している米山隆一知事が主導する取り組み。福島県から全国に避難した人たちの実情を把握し、今後の県の検証に生かす。
 
 避難生活の全体像を明らかにする総合的調査と、テーマ別調査の2種類を実施。総合的調査は避難者数の推移、住宅や家族、収入・支出といった避難者の身辺に起きた変化を調べる。シンクタンクなどの応募を想定し、委託費用1千万円以内で1者を募る。
 
 テーマ別調査は、事業者自身が選んだ個別の課題について調べてもらう。研究者や避難者支援団体など3者以内を募り、委託料は1者当たり100万円以内。
 
 米山知事は(1)東電福島第1原発事故の原因(2)事故が健康と生活に及ぼす影響(3)安全な避難方法-の3点の検証がなされない限り、「再稼働議論はできない」としている。
 
 事業者がまとめた報告書は、県が6月にも立ち上げるとする(2)と(3)に関する検証委員会のうち、(2)の「健康・生活委員会」に提出される予定だ。委員は県が選定を進めている。
 
 募集要項は県ホームページで公開している。6月26日に企画提案を締め切り、7月中に審査・契約する。来年1月に最終報告書の提出を受ける見通し。県震災復興支援課は「総合的、テーマ別に調査することで、避難生活のさまざまな側面が浮き彫りになると考えている」としている。
 
 震災復興支援課によると、福島県から同県内外に避難した人の数は、2012年5月の16万4865人がピーク。ことし4月13日現在では6万8974人となっている。福島県から本県に避難してきた人は、ピークの11年3月は8436人だったが、ことし4月末現在では2825人となった。

大飯原発3・4号炉の設置変更許可に抗議声明

 24日、関電大飯原発3・4号機の規制基準審査の実質的合格を意味する審査書を確定し、3・4号炉設置変更を許可したことを受けて、市民14団体共同で設置変更許可に抗議する声明を発表しました。
 声明では規制委が、前規制委員長代理島﨑邦彦氏が、「入倉・三宅式による基準地震動は過小評価であると証言したことを無視し、過小評価の基準地震動のままで許可したこと、大飯原発近くにある活断層で地震が起これば福島原発事故が再現され数時間で大阪・神戸にも到達し、琵琶湖にも降り注げば関西一円の飲料水が汚染されること避難計画は自然災害との複合災害は想定せず、要援護者の具体的な避難方法も決まっていないことなどを指摘し、変更の許可に抗議しています。
 
 再稼働審査合格のNHKニュースも併せて紹介します。
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大飯原発3・4号炉の設置変更許可に抗議する!
原子力規制を監視する市民の会 2017年5月24日 
本日5月24日の原子力規制委員会会合において、関電大飯原発3・4号炉の設置変更申請の許可が出され、再稼働に向けた手続きが進みました。これに抗議し、市民14団体共同で抗議文を発出しましたのでお知らせします。
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2017年5月24日
  (抗議声明
大飯原発3・4号機の審査書確定・設置変更許可に強く抗議する
 
 原子力規制委員会は、本日(5月24日)、大飯原発3・4号機の「審査書」を確定し、設置変更を許可した。私たちは、これに強く抗議する。
 
 大飯原発3・4号では、とりわけ昨年来基準地震動の過小評価が大きな問題となってきた。前原子力規制委員会委員長代理で地震動評価の責任者であった島﨑邦彦氏が、「入倉・三宅式による基準地震動は過小評価であり、許可すべきではない」と4月24日に名古屋高裁金沢支部で行われた裁判で証言している。規制委員会はこの提言を全く無視して、過小評価の基準地震動のままで許可した。
 
 大飯原発が再稼働し、近くにある活断層で地震が起これば、福島原発事故が再現されることになる。そうなれば、大量の放射能が大気中に放出され、周辺住民を襲うばかりか、数時間で大阪・神戸にも到達する。琵琶湖にも降り注ぎ関西一円の飲料水が汚染されることになる。風下の中部地域にも被害が及ぶ。
 しかし、避難計画にいたっては、30km圏内で安定ヨウ素剤の事前配布もなく、自然災害との複合災害は想定せず、要援護者の避難にいたっては具体的な避難方法さえ決まっていない。広範な住民が「自己責任」で逃げまどわなければならなくなる。そうなってもだれも責任をとらないことは、福島原発事故が如実に示している。
 
 事故時に被害を被る福井や京都府北部等の住民・自治体の声はまったく無視されている。関電が高浜原発で引き起こしたクレーン倒壊事故については、高浜のみならず、大飯、美浜サイトでも「総点検」を実施するよう地元から求められたが、関電の対策は「暴風警報について気象協会からFAXを受け取る」等あきれる内容だ。そのため、京都府と京都府北部自治体はクレーン問題はいまだ解決していないと表明している。規制委員会は、クレーン倒壊事故を審査することもなく、30km圏内自治体に説明することもなく、原発の再稼働を後押ししている。無責任にも程がある。
 
 関西電力は秋から冬にも大飯原発3・4号の再稼働を狙っている。これに対して、福井、関西、全国の運動は連携し、各地で闘われている裁判闘争とも連携を深め、再稼働を止めていこう。
2017年5月24日 
  [14団体]  
 (14団体名は下記のとおり)
原発設置反対小浜市民の会/ ふるさとを守る高浜・おおいの会/ 原発なしで暮らしたい宮津の会/ グリーン・アクション/ 防災を考える京田辺市民の会/ 避難計画を案ずる関西連絡会/ 美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会/ 脱原発へ!関電株主行動の会/ 脱原発わかやま/ おおい原発止めよう裁判の会/ 核のごみキャンペーン・中部/ 玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会/ 国際環境NGO FoE Japan/ 原子力規制を監視する市民の会
 
 
福井・大飯原発3・4号機 再稼働に向けた審査に合格
NHK NEWS WEB 2017年5月24日
福井県にある大飯原子力発電所3号機と4号機について、原子力規制委員会は、再稼働の前提になる新しい規制基準の審査に合格したことを示す審査書を正式に決定しました。全国の原発で6か所目で、今後も地元の同意などが必要で、関西電力が目指す再稼働は早くてことしの冬以降になると見られます。
大飯原発3号機と4号機で、関西電力が進めている安全対策について原子力規制委員会は、新しい規制基準の審査に事実上合格したことを示す審査書の案をことし2月に取りまとめ、その後、一般から意見を募集していました。
24日の会合で規制委員会は、寄せられた意見をもとに表現を一部修正した審査書を正式に決定しました。審査書が決定されたのは、現在、運転中の鹿児島県にある川内原発などに続き6か所目です。
関西電力は、ことし7月までに安全対策の工事を終えることにしていますが、今後も、詳しい設備の設計の認可や地元の同意が必要で、関西電力が目指す再稼働は早くてことしの冬以降になると見られます。
 
大飯原発をめぐっては3年前、福井地方裁判所が出した再稼働を認めない判決に対し、関西電力が控訴して判決の効力が生じておらず、2審の裁判が続くなかで、地元、おおい町と福井県は同意するかどうかの判断を示すことになる可能性があります。
裁判では証人として出廷した規制委員会の元委員が「想定される最大規模の地震の揺れが過小評価されている」と指摘しましたが、関西電力は「詳細な調査で保守的に評価し過小とは考えられない」などとしています。
(中 略)
滋賀県知事「容認できない」
これについて滋賀県の三日月知事は「大飯原発で、原子力災害が発生した際、影響を受ける可能性のある滋賀県としては、再稼働を容認できる環境にない。実効性ある多重防護体制の構築は半ばで、使用済み核燃料の処理などが未整備のままであり、クレーンの倒壊事故などから県民の原発の安全性への不信感が根強い。国と関西電力は、国民、県民に不安が根強く残る現状を重く受け止め、万全の安全対策を行うとともに疑問や不安感の解消に向けしっかりと説明責任を果たしてほしい」というコメントを出しました。
(後 略)