2016年3月31日木曜日

福島第一原発の凍土壁 31日から冷媒を循環

 福島原発で1~4号建屋を囲うように作られた凍土壁は、壁内の地下水位と建屋内の水位との差を、常に建屋内の方を低くするようにしながら出来るだけ縮めることで、建屋への地下水の流入量を現在の1日400トンから50トン程度に抑えることを目指すものです。
 工事完了後に東電と規制委の間で続けられていた水位差の調整方法について、このほど合意しましたので、31日から凍土壁に冷媒を通して実際に土壌を凍結させる作業に入ることになりました。
 始めに海側を凍結させ、1カ月ほど様子を見てから山側を一部を残して凍結させ、水位の管理が良好にできていることを確認してから、最終的に残りの部分を凍結させる予定です。
 
 凍土壁は永久的なものではなくてその寿命は7年ほどと見られています。それを承知で敢えて採用したのは、新工法=研究課題 と位置づけることで国が費用負担をしてくれるからだと言われています。東電にとって得策であっても国としてそれでよかったのかという問題があります。
 
 また最終段階で周囲を完全に凍結させることができるのかという問題もあります。
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福島第一原発の凍土壁、あすにも始動 規制委認可
東京新聞 2016年3月30日 
 東京電力福島第一原発で、建屋に流れ込む地下水を減らすため造られた凍土遮水壁について、原子力規制委員会は三十日、海側を先行して凍結させる東電の計画を認めた。東電は三十一日にも凍結を始める方針。
 
 凍土壁は1~4号機を囲むように地面を凍らせ、地下水の流入を止める計画。東電は効果に期待を寄せている。だが、地下水位が下がり過ぎると、建屋地下にたまる高濃度汚染水の水位の方が高くなり漏れ出す恐れがある。規制委は地下水位を確実にコントロールできることを求め、凍結開始に待ったをかけていた。
 計画では、まず海側の建屋周囲六百九十メートルと北側で凍結を始める。一カ月ほどかけて状況を見極め、問題がなければ、山側八百六十メートルも一部を残して凍結させる。地下水の流入量を凍結前の半分程度まで減らし、八割以上減った場合は、凍結を一部停止し、地下水位を確保するという。
 山側の大半を凍結した時点で、再度、地下水と汚染水の状況を確認し、計画通りなら、山側の残る部分も凍らせ、地下水の流入を完全にブロックさせる計画。
 規制委は東電の計画を認めたものの、建屋からの汚染水漏えいリスクを重視。水位管理ができ、漏えいリスクがないと確認できない限り、全面凍結を認めない方針をあらためて示した。
 
 凍土壁は三百二十億円超が投入されたが、当初から費用に見合う効果があるのか、鋼管のくいを並べる「鋼管矢板」など実績ある工法をなぜ採らないのかなど外部から疑問が出ていた。

31- 汚染水漏れ東電不起訴 告訴団「納得できず」検審申立て検討

 福島原発事故の放射能汚染水が海に流出した問題で、公害犯罪処罰法違反容疑で書類送検された東電の広瀬直己社長や勝俣恒久元会長ら新旧経営陣32人と法人としての東電について、福島地検は29日、法人としての東京電力と広瀬直己社長ら幹部数人については嫌疑不十分残る幹部は「嫌疑なし」として、不起訴処分としました。
 
 告発した福島原発告訴団の武藤類子団長は同日、都内の司法記者クラブで記者会見し、「とても納得できる内容ではない」処分内容に不満を募らせながら、検察審査会への申し立てを検討することを明らかにしました
 河合弘之弁護士は「はじめに不起訴ありきで、理由を一生懸命考えてへりくつを並べたもの」と地検の姿勢を批判しました。
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告訴団「納得できず」 汚染水漏れ不起訴、検審へ申し立て検討
福島民友 2016年03月30日
 「とても納得できる内容ではない」。福島第1原発の汚染水流出で、福島地検が東京電力と新旧役員32人を不起訴処分とした29日、告発した福島原発告訴団の武藤類子団長(62)=三春町=は都内の司法記者クラブで記者会見し、処分内容に不満を募らせながら、検察審査会への申し立てを検討することを明らかにした。
  
 武藤団長は「汚染水問題はこの5年間で泥沼化している。長い期間捜査したのに、非常に残念な結果だ。東電が何をできて、何をしなかったのか、地検にもう少しきちんと調べてもらいたかった」と肩を落とした。
 告訴団の代理人を務める海渡雄一弁護士は、福島地検から受け取った不起訴理由の書面を基に「汚染水の漏えいは防げたと地検は判断している。あとは漏えいを予見できていたとはっきりすれば、十分事件として成立するということだ」と強調。今後、福島地検から不起訴理由について説明を受けると明らかにした。
 
 河合弘之弁護士は「はじめに不起訴ありきで、理由を一生懸命考えてへりくつを並べたものだ。東電のやり方を追認したとしか思えない」と地検の姿勢を批判した。

2016年3月30日水曜日

無理にでも放射能と折り合いをつけないと…南相馬住民の苦悩

 放射能の汚染を受けた地域に住んでいる人たちも、決して政府や自治体が言うように「安全だ」とか「気にする必要がない」などとは思っていません。
 しかし様々な理由でそこに住むからには、無理にでも自分を納得させる=折り合いをつけるしかないと考えているのです。
 
 ハーバー・ビジネス・オンラインは、たとえ心配であっても慣れ親しんだ地元から離れることはなかなかできない、という現実のなかで苦悩する南相馬の住民を取り上げました。
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「無理にでも放射能と折り合いをつけないと生活できない」
 南相馬住民の苦悩
ハーバー・ビジネス・オンライン 2016年3月28日 
 避難指示区域である南相馬市南部の小高区。市街地は今でもゴーストタウンのようだ
 東日本大震災から5年が経過した。最近のテレビ番組では、復興の話題はアリでも放射能の話はナシの雰囲気が強い。センシティブな話題なのでなかなか取り上げづらいのだ。実際に福島第一原発近くに暮らしている人はどう思っているのか。原発からほど近い南相馬市で話を聞いた。
 
◆政府や市の言う「安全」は素直に信じられない
 福島県南相馬市は福島第一原発から10km程度しか離れておらず、市の南側3分の1は避難指示区域に指定され、今でも居住が許されていない。居住区域では現在放射性物質を取り除く除染作業が進んでいるが、若い世代を中心に避難する住民が多い。
 
 避難指示区域である南相馬市小高区で活動中のNPO法人で働くK子さん(56歳)は、娘の結婚式をどこで挙げるかで悩みぬいたと話す。
「娘は南相馬で式をあげたいと話しました。そうすれば娘の若い友人たちもここに来ることになります。もし、よそ様のお子さんが被曝して何かあれば取り返しがつきません。政府も市も『(居住可能区域は)安全だ。放射能はもう気にするな』と言いますが、素直には信じられません
 夫と市内で暮らしていますが、なるべく福島県産の野菜は食べないようにしています。この歳になってなんで……と言われるかもしれませんが、あと何十年かはある人生です。少しでも健康でいて、娘たちに迷惑をかけたくないんです」
 
◆無理にでも自分を納得させないと、ここで暮らしてはいけない
 別の考えを持つ人もいる。市内の仮設住宅で避難者の支援をする地元NPO法人で働くS子さん(55歳)は、原発事故後、飯舘村に避難して、その後、南相馬市の仮設住宅に移った。
 
「最初は放射能の被害が怖く、家の中にずっと閉じこもっていました。でも、閉じこもっているとだんだん気分もおかしくなってきます。翌年の2月から仮設の住民をケアする仕事を始めたのですが、あるとき『もう放射能のことは気にしない!』と決めました。
 安全だと思っていたわけではありません。でも『ここは危ない』『被曝している』と24時間心配しながら生きていくなんて、できるわけがありません。無理にでも自分を納得させないと、ここで暮らしていくことはできないと思います」
 
◆「放射能のついているモノなんて送らないで」と叱られる
 若い世代が市外に避難をしているので、S子さんの住む仮設住宅はお年寄りばかりだ。
 
「お年寄りの楽しみとして、市外に避難している孫にプレゼントを送る人が多いのですが、娘に『南相馬のものを送ってこないで!』と言われて突き返されることがよくあるようです。『放射能のついているモノなんて送らないで』と叱られるんです。
 コンビニでわざわざ市外のものを選んで買って送っているくらいですよ。若い世代とお年寄り世代の放射能に対する考えは大きく違います。私も無理に戻ってきてもらいたいとは思いません」(S子さん)
 
 南相馬で取材を進めると、後者のS子さんと同じ考えを持っている人が多いようだった。都会の住民は「放射能が不安なら、移住すればいいのでは」と言うかもしれない。しかし福島の住民にとって、慣れ親しんだ地元を離れることは、簡単にはできない決断なのだ。
 
「無理にでも自分を納得させて、放射能と折り合いをつけないと生きていけない」と話すS子さんの心境は複雑な放射能をめぐる状況を語っているように思えた。<取材・文・撮影/白川愚童>

東海第二原発の避難計画 県外への避難4万人増の56万人に

 茨城県東海村の東海第二原発30キロ圏内に国内最多の96万人が居住していて、そのうち原発過酷事故時に県外に避難する人数はこれまで約52万人と見込んでいました。
 しかし学校の統廃合などで避難所として使える施設減少するため約56万人に膨らみました。まさに気の遠くなるような数字です。
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東海第二原発の広域避難計画 県外への避難4万人増の56万人
東京新聞 2016年3月29日
 日本原子力発電東海第二原発(東海村)の過酷事故を想定した(茨城)県の広域避難計画で、県外への避難者が、これまで想定していた約五十二万人から約五十六万人に膨らんだことが二十八日分かった。橋本昌知事が同日の定例記者会見で明らかにした。学校の統廃合などで、避難所として使える施設の減少が見込まれることから、県内の受け入れ可能人数の見直しを迫られた形だ。(酒井健)
 
 県は、東海第二原発からおおむね三十キロ圏内の十四市町村に住む、国内最多の約九十六万人を避難の対象としている。昨年三月、県が決定した避難計画では、事故時、県内三十市町村に約四十四万人が避難、県内で収容しきれない半数以上の五十二万人を近隣の五県に受け入れてもらう考えだった。
 今回、鉾田市内の急速な学校統廃合で、鹿行地域に避難する市民が増える見通しになり、避難所がいっぱいになる可能性が出てきた。このあおりで、同じ鹿行地域に避難する計画だった大洗町の全町民を、千葉県へと県外避難に変更するなど、計画の修正を余儀なくされた。
 
 また、橋本知事は、福島県に避難する予定の日立、高萩、常陸太田の三市の約二十六万人について、福島県が受け入れを了承したと発表した。県原子力安全対策課によると、三月上旬に福島県側から「受け入れ先市町村の了解を得て、受け入れ市町村が決定した」と通知があった。
 
 日立市と高萩市は同県の浜通り、常陸太田市は中通りと会津地方への避難を想定し、今後、相手先の市町村と具体的な協議に入る。
 受け入れを依頼している残りの栃木、埼玉、千葉、群馬の四県とは、引き続き協議を続ける。
 
 このほか橋本知事は、放射性物質の拡散予測システム「SPEEDI(スピーディ)」の広域避難計画への利用について「現時点では、予測値を防護措置の判断に使用することにしていない」と否定した上で「原子力規制委員会と閣僚会議で見解が異なる。国の考えをまとめてほしい」と述べ、今後の国の動向を注視していく考えも示した。

30- 植物工場5月再稼働へ 南相馬ソーラー・アグリパーク

福島民報 2016年3月29日
 農業法人の運営撤退で昨年12月末から稼働を停止している南相馬市の南相馬ソーラー・アグリパークの植物工場は早ければ5月中に再稼働する見通しとなった。市の公募に対し、2業者が運営主体に名乗りを上げた。市は29日、選定委員会で運営者を決める。 
 市は当初、4月の稼働再開を目指していたが応募がなかったため再募集していた。業者が決まれば5月から施設を無償貸与する。 
 植物工場は東日本大震災後の農業復興を目指して平成25年3月にオープンした。復興交付金約1億1500万円を活用し、市が建設した。無償貸与を受ける形で市内の農業法人がサラダ菜などを栽培・出荷していたが従業員の確保が困難になったことなどから撤退した。

2016年3月29日火曜日

「原発事故」福島の避難者ら7割が 17年4月以降の住居未定

 福島県25日に発表した、17年3月で仮設住宅の無償提供を終える原発事故自主避難者を含む東日本大震災被災者の意向調査中間結果によると、被災者の7割の世帯が同年4月以降の住居を決めていないということです。
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原発事故福島の避難者ら7割が住居未定
河北新報 2016年3月28日   
 福島県は25日、2017年3月末で仮設住宅の無償提供を終える東京電力福島第1原発事故の自主避難者や地震・津波による被災者のうち、約7割が同年4月以降の住居を決めていないとする意向調査の中間結果を発表した。県は新年度、全国に約20カ所の相談拠点を設け、住宅確保を支援する。
 意向調査に回答した6091世帯のうち、4285世帯(70.3%)が居住先を決めていないと回答した。県内に避難している世帯では61.4%(1784世帯)、県外では78.5%(2501世帯)に上った。
 県内避難世帯は転居先が決まっているかどうかにかかわらず、約9割が県内での居住継続を希望。県外避難世帯は居住先を決めた世帯の約5割、決まっていない世帯の約7割が県外にとどまる意向を示した。
 県は1月下旬~2月下旬、新潟県を除く福島県内外の借り上げ住宅に入居する9944世帯に郵送調査を実施、6091世帯(61.3%)から回答を得た。17年4月以降も無償提供が続く原発事故の避難区域の住民は調査の対象外。
 県避難者支援課は「相談拠点の設置に加え、避難先の都道府県などとともに戸別訪問を行い、情報提供して住まいの確保を後押しする」としている。

中間貯蔵用地 交渉加速が必要 職員110人体制へ

 中間貯蔵施設用地取得などの見通しについて環境相は、213月までに現状の約52倍となる1150ヘクタールの用地を取得するという工程表を公表しました。
 現時点の取得率は1%強ですが、地権者のうちの約4割が補償額算定調査に同意していることから用地の取得が可能と見たものです。
 新年度から担当職員を110人体制とするということですが、見込み通りに進むかどうかは不透明です。
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21年3月までに汚染土「6割」搬入 中間貯蔵の工程表公表
福島民友 2016年03月28日 
 中間貯蔵施設整備に向けた用地取得や輸送の見通しについて丸川珠代環境相は27日、2021(平成33)年3月末までの工程表を初めて公表した。順調に進んだ場合、21年3月までに現状の約52倍となる1150ヘクタール(福島空港約6個分)の用地を取得し、汚染土壌の搬入は総量の約6割が完了すると見込んだ。
  
 今月25日までに取得した用地は総面積1600ヘクタールの約1%(22ヘクタール)にとどまるが、地権者2365人のうち約4割が補償額算定の調査に同意していることなどを踏まえ、工程表の範囲内での用地取得は可能とみている。ただ環境省は、積算の根拠について「担当者が地権者を個別訪問して得た感触を踏まえて出した数字」としており、見込み通りに進むかどうかは不透明だ。
 
 
用地交渉加速が必要 中間貯蔵工程表、職員110人体制へ
 福島民友 2016年03月28日
 丸川珠代環境相が27日に公表した中間貯蔵施設の用地取得の見通しなどをまとめた工程表では、東京五輪・パラリンピックが開かれる2020(平成32)年度までに、予定面積1600ヘクタール(福島空港約9個分)の約7割となる1150ヘクタールを最大で取得できると示された。用地交渉が難航する中、実現には交渉加速が不可欠となる。
 
 工程表は27日に福島市で開かれた「原子力災害からの福島復興再生協議会」で示された。用地取得の推定には公有地も含まれる。地元側は公有地の提供にあたり「民有地の取得が進むこと」を条件としているため、民有地の取得見通しを踏まえ推定に反映させた。施設面積約1600ヘクタールのうち公有地は約330ヘクタール。
 新年度から始める本格輸送の最大輸送可能量は、それぞれ18、19年度に整備が完了する大熊、双葉両インターチェンジ(IC)の利用開始前が年間200万立方メートル、大熊ICの利用開始後が同400万立方メートル、大熊、双葉両ICの利用開始後が同600万立方メートルと推定した。
 同省は工程表通りの輸送が実現すれば、21年3月末までに、少なくとも学校や住宅などで現場保管している約180万立方メートルに相当する量の汚染土などを搬入できるとみる。
 東京五輪・パラリンピックが開かれる20年7月までの輸送量は350万~800万立方メートルと見込む。現場保管に加え、国道など幹線道路沿いの仮置き場には約300万~500万立方メートル分の汚染土などが保管されているため、用地交渉が滞れば東京五輪までに汚染土などが沿道などから片付かない可能性が出てきた。
 会議後、丸川氏は報道陣に「新年度から担当職員を110人体制とし、少しでも多くの用地取得に努める」と述べた。内堀雅雄知事は工程表が示されたことを受け、「どう具体化するかが問題。国は総力を挙げて取り組んでほしい」と求めた。

29- 「女川原発」再稼働反対600人デモ行進 仙台市

 27日、東北電力女川原発の再稼働反対を訴える集会「27 NO NUKES Parade! ~みんなで止めよう女川原発~」が仙台市で開かれ、参加者約600人が市内中心部をデモ行進しました。
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女川原発再稼働反対600人デモ行進
河北新報 2016年3月28日
 東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)の再稼働反対を訴える集会「27 NO NUKES Parade! ~みんなで止めよう女川原発~」が27日、仙台市青葉区の勾当台公園市民広場で開かれ、参加者約600人が市内中心部をデモ行進した。
 集会で、高野博女川町議は「原発立地の町民として福島の事故は人ごとでない。事故が起きれば取り返しのつかない惨事になる。再稼働を許さない運動を広げよう」と訴えた。「脱原発をめざす県議の会」の佐々木功悦会長は「福島の事故原因が究明されていない中で、なぜ稼働申請するのか分からない。科学や技術、経済も大切だが、何より人の命が大切だと皆さんと一緒に訴えたい」と述べた。
 集会後、参加者は旗やプラカードを持ち、「女川原発再稼働するな」「命が大事」などと声を上げて行進した。

2016年3月28日月曜日

原子力の暴走を止めるためには(小出裕章ジャーナル 拡大版)

 今回の小出裕章ジャーナルは「原子力の暴走を止めるためには・・・」がテーマです。
 (拡大版となっていて、いつもの倍以上のボリュームがあります)
 
 まず、原子力マフィアの暴走を止めるには、福島原発事故を起こした責任者である東電のトップスを処罰することが必要で、刑事責任を含めてきちっと処罰をしない限りは、彼らはむしろ何をやっても自分は安全だと思ってしまい再稼働に奔っているとしています。そして処罰の対象は国の役人や原発にお墨付きを与えた学者たちも例外ではなく、彼らを法廷に引きずり出さなければならないと述べています。
 
 もう一つ、1960年代後半に日本はドイツに核兵器を持つ能力を持たなければならないと秘密会談を持ちかけたことがあり(ドイツは断りました)、日本政府は明白に核兵器を持ちたいという意思を持っていたのは明らかで、いま物議をかもしている核燃料再処理システムもそうした観点から見る必要があり、だまされてはいけないと述べています(要旨)。
 
追記 文中の太字箇所は原文の太字強調個所を示します。また原文では小出氏には「さん」がついていましたが、この紹介文では外しました。
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拡大版原子力の暴走を止めるためには小出裕章ジャーナル
第168回小出裕章ジャーナル 2016年03月26日
 
「原子力の暴走を止めるためには、多くの人がやはり真実に気がついて頂かなければどうにもならなかったんだということだと思います」
 
西谷文和: ここからは「拡大版小出裕章ジャーナル」です。テーマは、「3.11から5年、この国はどこへ向かうのか。福島原発事故を経験した日本で変わったこと、変わらなかったこと」と題してお送りします。前半テーマはですね、「3.11から激動の5年間を振り返る」と題してお送りしたいのですが、小出先生、その前にですね、高浜原発で素晴らしい判決が出ました。運転差し止め。なかなか裁判所もね、捨てたもんじゃないなと思ったんですが、先生どのようなご感想を。
小 出: うれしかったです、はい。私はもう日本というこの国では、司法は独立していない。三権分立なんて言うけれども、そんなものは実際にはないとずっと思ってきたのです
西 谷: だって、先生ご自身が裁判負け続き
小 出: そうです、はい。特に原子力というような国家の根幹に関わるような問題に関しては、司法は無力だと、私はずっと思い込んでいたのですが、高浜3・4号基に関しては、差し止めの仮処分の決定を出してくれた裁判官は前にもいたわけですし、それが覆された後、また今回、新たに差し止めを認めて下さるというそういう裁判官がいてくれたわけですから、ありがたいなあとそう思いました、はい。
今西憲之: やっぱり今回は、要するに現在進行形、運転をしている原発の差し止めが認められた。
西 谷: 初めてですもんね。
今 西: この点が非常に大きいのかなあと思うのですが。
小 出: そうですね。まあ関西電力は実際に動いていたものを止めなければならなくなったわけですし、これからたくさんの原子力発電所が自民党政権の下で再稼働に動いていく可能性が高いわけですけれども、でも裁判で仮処分で差し止めを命令されてしまうと、止めざるを得なくなってしまうわけですね。そんなリスクというのは、電力会社というのはとてつもないリスクになりますので、こういうことが起きるということを彼らは大変深刻に受け止めているだろうと思います
西 谷: いきなり電気料金値下げはダメやと言うてますけどね。
今 西: まあ分かりやすい会社ですわねえ、とんでもないけど。それとひとつやっぱりここで言えるのは、これまで要するに委員会のお墨付きがあれば再稼働できるというようなことになってたのですが、これからは、仮処分等を申し立てられると、司法判断も考慮して再稼働ということになる。そこに大きなひとつのステップができる。大事なことかなあと思いますね。
西 谷: これ全国的に波及するでしょうね。
小 出: そうですね。ですから、もうそこらじゅうで住民が仮処分を求めることができるわけですし。
西 谷: そうですね。声を挙げ始めてますもんねえ。
小 出: はい。福島第一原子力発電所の事故というものが、事実として起こっているわけですし、原子力発電所から250キロ圏内の住民は被害を受ける可能性があるというように、大飯原発の裁判でも認められているわけで、日本中誰でも差し止め裁判を起こすことができるという状態になっていますので、どんどんやるのがいいだろうと思います
西 谷:  久々に明るいニュースだったと思いますが、小出さん、福島原発の事故からもう5年以上が過ぎましたけど、改めて聞きますけど、小出さん、今どういうふうな意見というか感想というかお持ちですか?
小 出: はい。福島第一原子力発電所の事故を防ぐことができなかったということに関しては、原子力の場にいた人間として、本当に申し訳ないことだと思っていましたし、今でもそう思っています。ただ残念ながら、一人ひとりの個人の力というのは小さいということですので、やはり原子力の暴走を止めるためには、多くの人がやはり真実に気がついて頂かなければどうにもならなかったんだということだと思います。
西 谷:  何て言うんですかねえ、国民のひとりとしてですね、原発は恐ろしいなあと思っていたのですが、しかし例えばコストが一番安いとか、止めたら停電するとか、こういうものに騙されていたひとりとして、私も本当に申し訳ないなと思っております。今西さん、どうですか? この5年間振り返って。
今 西: この5年間というのはですね、僕、阪神大震災とかオウム真理教の事件とか、まあいろいろ大きな事件多々多々今まで取材してきてですね、長く関わらないといけないなあと思う事件事故が多かったのですが、やはり福島第一原発、東日本大震災というのはちょっとやっぱり別格かなあという気がしておりますね。たぶんこういう仕事をやっている限り、こういう仕事を辞めても、ずっと関わり続け、フォローしていかないといけないなあというふうに思います。
西 谷: そんなことでね、もうこれだけ大きな事故が起こって、まだ10万人もの方が避難生活されてる。そんな中にですね、原子力マフィアはですね、この再稼働に向けて一直線にこう来てるわけですが、この昔は原子力ムラと言ってましたが、もう最近は小出さんは原子力マフィアと。だからこの原子力マフィアについて、もう一度先生、どのように今感じておられますか?
小 出: はい。私も昔は原子力ムラという言葉を使っていたのですが、福島第一原子力発電所の事故を見て、私は彼らが犯罪者なんだと確信するようになりました。あれだけ巨大な事故を起こしても、誰ひとりとして責任を取ろうとしないし、事実として取ってもいない。そして、処罰もされていないということを見て、原子力ムラという呼び方よりは、やはり原子力マフィアと呼ぶべきだと私は思うようになりました。東京電力の会長、社長以下、誰ひとりとして自分から責任をとろうともしないわけですし、東京電力という会社も、今や黒字企業にまたなってしまった
西 谷: そうですね。今、原油が安くて黒字になってますもんねえ。
今 西: ねえ、まあ要するに東京電力は加害者なわけですよねえ。地元住民の方々だとか国民は被害者であり、かつ東京電力に電気代を払ってた者がどうして苦しまなければいけないのか。どうして東京電力の幹部はこうして原発を爆発させた張本人なのに、ええとこに住んで、ええ車に乗って。
西 谷:  東京電力とか経済産業省とかねえ。そこでね今西さん、さっき小出先生から図らずも出たんですけれども、犯罪者レベルだという話ですが、刑事告訴されますよね。
今 西: そうですね。この間ですね東京電力の勝俣会長、当時ですね、以下原発の担当者3人が強制起訴されることになった、要するに高い津波が起こりまっせという想定があった。それを知ってたのに、対策をきちんと講じてなかったというのが簡単な理由ですけれどもね。
西 谷: 知ってたんですね?
今 西: そうです。知ってたとされると。まあまあその本当に知ってて、それが刑事罰に値するのかどうかは、これから裁判所で判断されるわけなんですが。
西 谷: だから、想定外と言ってたのも嘘だったということでしょ? 
今 西: そうですねえ。想定外と言ってたのも嘘というか、まあまあその可能性があったということですね。刑事罰が与えられるかどうか。
西 谷: これから裁判で明らかになると思いますけれどね。
今 西: そうですね。ただ言って、そういう可能性があるということを東京電力が把握していたのは事実ですから。
西 谷: そうですね。そんなことがあってね。あのSPEEDIのデータが隠されるでしょ。それからメルトダウンもしてないとか言うでしょ。こういうなんかこの体質というのは今、5年経っても変わってないですかねえ。
小 出:  全く変わっていないと思います。福島第一原子力発電所の事故直後、今、西谷さんがおっしゃって下さったけれども、国や東京電力の方は、とにかく事実を隠すというそういう作戦に打って出てきたのですね。彼らが恐れていたのは、住民が被ばくをしてしまう、大変だということではなくて、むしろパニックが起きたら困るということで、そのためには情報を隠してしまうというそういうことに打って出たわけですね。でもそんなことをしたって、パニックが防げる道理がない
西 谷: 余計パニックになりますよねえ。
小 出: そうです。パニックに陥っていたのは、国や東京電力の方だったわけですね、実際には。ですから、きちっと情報を住民に流して、その上で何ができるかということを考えることこそが国の責任なはずだったのですけれども、情けないことにこの国は情報を隠してしまうというそういう行動に出たのでした。
今 西: その中でですね、この間ですね東京電力は実はメルトダウン、まあまあわかりやすく言うと、どういう現象が起こると、メルトダウンなんだということが、きちんと実は内部の資料にきちんと書かれてあったと。それが「いや、気がつきませんでした」ということで、事故当時「メルトダウンかどうかはっきり言いません」みたいな話をしてたんですれども。あんなもの当たり前やと思います。それに気付かなかった我々マスコミもアホなんですが、あんなもん当たり前じゃないですか、普通。ちゃんと書いてあるもんじゃないんですか? どっかに。
小 出: もちろんマニュアルにきちっと書いてあったわけだし、それは東京電力の要するに運転員達はもちろん承知していたはずで、マニュアルに照らして炉心溶融したということはほとんどの人は知っていたと思います。ただし私自身はマニュアルにどう書いてあったかなんていうことは、むしろ些末なことだと思いますし、1号機が3月12日の段階ですでに水素爆発をしているわけで、水素爆発なんていうのは、炉心溶融しない限りは決して起きないわけであって
西 谷: 専門家なら、それはすぐわかるわけですね?
小 出: それが分からないような専門家だったら、もう専門家と言うこと自身が間違えているという。
西 谷: でも斑目委員長は、水素爆発しないと言った途端にしましたけどね。
小 出: そうです。ですから斑目さんにしても、水素爆発を見た段階で、炉心溶融だということは、当然わかっていたはずだと思います
西 谷:  本当にね、こういう事故を起こしながら再稼働に突き進む日本、誰も責任を取らない日本ということになっていますが、どうしたらですね、そうしたこの日本を変えていくことができるのかということでお聞きしたいと思うのですが。やはりさっきもおっしゃったように、国民がもっと真実を知るということが大事でしょうか?
小 出: もちろんそうです。一番大切なのは、多くの人達が真実を知る。そして、一人ひとりが責任を持って声を挙げるということだと私は思いますが、具体的に何をしなければいけないかと言うと、原子力マフィアを処罰することだと私は思います。刑事責任を含めてきちっとと処罰をしない限りは、彼らはむしろ何をやっても自分は安全だと思ってしまうわけで、そのため今、再稼働に向かっているわけですね
今 西: そういう中ではね、強制起訴をされたというのはですね、ひとつ大きなポイントだと思うんですよねえ。要するにあんまりデタラメなことをやると検察、要するに役所ですね、検察庁、役所です。役所が「いや、起訴しません」と言っても、一般国民が加わってる検察審査会では「あんたらデタラメやないか」ということで、市民感覚の目線で起訴されるということで、これで少なくても勝俣元会長以下、幹部3人は法廷に引っ張り出されるというのは事実なんですね。これ有罪、無罪わかんない、裁判ですからわかりません。推定無罪ですから、あんまり確定的なことを言うべきではないと思いますけども、ただおそらく勝俣元会長以下ですね、3人は夢にも思わなかったと思います。自分達が法廷に引っ張り出される、刑事被告人として。これは、すごく大きいかなあと思うんですね。
西 谷: そうですよねえ。事故を起こって東電は「政府が悪い」言うて、政府は「東電が悪い」言うて、誰も責任の押し付け合いをしてやりましたから。これ良い流れがきてるかもしれませんね。この、個人の責任を追及するっていうのは大事ですね。
小 出: そうですね。ですからまあ今は東電の勝俣さん他が強制起訴されているわけですけれども、国の役人も、私は法廷に引きずり出さなければいけないと思いますし、福島第一原子力発電所の安全審査をして、合格のお墨付きを与えた学者も法廷に引きずり出さなければいけないし、私は確実に有罪にして、刑務所に入れたいと思います
西 谷: だって国策でやってたんですからねえ。
小 出: そうです。
西 谷: はい。国の責任は大きいと思いますが、そしたらですね、このちょっと後半のテーマに行きたいんですけども、結局その国民が本当のことを知ろうと思えば、やっぱりこの原発の嘘を見破らなあかんということなんですけども、まず最初にお聞きしたいのは、よく言われてました。原発はCO2を出さない。これ嘘ですよね?
小 出: もちろん嘘です。ウランの核分裂反応はCO2を出さないということだけは本当ですけれども、原子力発電所というのは、コンクリートと鋼鉄の塊なのであって、それを建てるために、もう膨大なCO2を出してしまっているわけですし、ウラン鉱山でウランを掘る時にも、もちろん出してしまっている
     そして極めつけのことを言うならば、ウランを核分裂させてつくってしまった核のゴミをこれから10万年、100万年にわたって安全にお守りをしなければいけないと言ってるわけで、そのために一体どれだけのエネルギーが必要になって、どれだけのCO2を出さなければならなくなるかということを考えれば、原子力ほど悪いものはない
西 谷: コストが一番安いというのも、今の話で言えば嘘ですね?
小 出: もちろん、全く嘘です。これまで国や電力会社は、原子力発電のコストは安いと言ってきたわけですけれども、それは単なる彼らのモデル計算ではじき出した数字です
西 谷:  机上の空論でしたね?
小 出:  そうです。実際に、電力会社の有価証券報告書というてい経営データを下に計算をしてくれた大島さんという方が、立命館大学の教授がいるんですが、大島さんの計算によれば、もうすでに原子力発電の発電単価は、水力より火力よりも高かったということがわかってしまっています。その上、福島第一原子力発電所の事故のようなことが起きれば、その費用が一体どれだけになるのか、それすらがわからない。
西 谷: 莫大な補償金が掛かる。
小 出: わけです。たくさんの人達を切り捨てて、苦難のどん底に落とし入れながら、今そのなにがしかのお金を払って、それだけでも大変な膨大なお金になっている。本当に被害者の苦難の賠償をしようと思えば、日本の国家が潰れたってあがないきれないほどの被害が出ているわけです。さらにもうひとこと言ってしまえば、自分達がつくった核のゴミを、これからお守りをしようと思えば、一体どれだけのお金が掛かるかわからないという、それが原子力発電というものです
今 西: その核のゴミを処理する、10万年かかる。
西 谷: 10万年ですよ。
今 西:  使用済み燃料棒ですね。けどその10万年後、見た人誰もいないわけですよね?まだ。
西 谷: だって、10万年前はネアンデルタール人がいたんです。
今 西: そうですよねえ。お金も通貨もない時代ですからねえ。それを10万年後って言って、これ本当に10万年後なんか誰も保証できないですよね? 小出さん。
小 出: そんなことを保証できる科学はありませんし、科学で保証できないようなことは本当はやってはいけない、そんなゴミは生んではいけないと、気が付かなければいけないと私は思います。
西 谷:  未来の子ども達に責任取れませんもんねえ。
小 出: そうです。
西 谷:  核燃料サイクルが夢のサイクルだ。これも嘘でしょ?
小 出: それも嘘です。核燃料サイクルというものを実現するためには、高速増殖炉という非常に特殊な原子炉を動かさなければいけない。日本ではもんじゅと言う原子炉ですけれども。もんじゅには、1兆円を超えるお金をすでにもう投入しましたけれども、全く動かないという状態になっているわけです。ついに原子力規制委員会も愛想を尽かして、「もうもんじゅはダメだ」と「誰かちゃんとした組織を別につくらなければダメだ」というようなことを言ってるわけですけれども、そんな組織ができるわけがない
 西: それは、できるわけがないですよねえ。この福島第一原発の事故の処理を見ているだけでもねえ、デタラメですからねえ。
西 谷: これもんじゅが1兆円で、青森県の六ヶ所村に2兆円近く。
小 出: もう2兆円をはるかに超えて。
西 谷: ということは、3兆円以上のお金が。
小 出: はい、核燃料サイクルができるできると国の方は言ってきたわけですけれども。全くできないまま、国民だけがお金を払わせられてきたということになってしまいました。
西 谷:  本当にこれは止めないといけませんね、早急にね。ということで戦争と原発はつながっているという後半テーマなんですが、戦後ですね、この核燃料サイクルを欲しがった日本。これは、やはり核兵器を持ちたいということでしょうか?
小 出: そうです。核兵器をつくるための3つの技術というのがあります。ひとつは広島型の原爆を作るためには、核分裂性のウランを集めてくる。ウランを濃縮すると、私達言ってるその技術を持たなければいけません。長崎に落とされた原爆は、ウラン型ではなくて、プルトニウム型という原爆だったのですが、ではそのプルトニウムを抽出するためにはどういう技術が必要かと言うと、ひとつがまず原子炉です。
      プルトニウムをつくるための原子炉というものが必要になるし、それから、できたプルトニウムを分離するという、再処理という技術がどうしても必要になるということです。ですから原爆をつくるための3つの技術というのは、かたやウラン濃縮、そしてもう一方で原子炉と再処理という技術が必要になる。それを何とかして手に入れたいとして日本は着々と計画を進めてきて、核燃料サイクルもやるんだと言い続けて、再処理というものも手に入れようとしているわけです。
西 谷: これ小出先生から伺ったんですが、その1960年代に日本は同じ敗戦国のドイツにですね、「一緒に核兵器つくりませんか?」みたいなことを申し入れたみたいなことを聞いたんですが、これ本当でしょうか?
小 出: そうです、はい。外交文書としてそれが残っています。それをNHKがちゃんと報道もしているのですけれども、1960年代後半だったと思いますが、日本がドイツに相談を持ちかけまして「俺達は戦争で負けて二等国になってしまった。それから這い上がるためには、核兵器を持つ力を懐に入れなければいけない」と言って、秘密会談を持ちかけたということが、ドイツの公文書にも残っているというそういう状態です
西 谷: なんか情けない話で、ドイツはそれを断ったんですね。
小 出: はい、もちろんドイツはそれを断りましたが、日本は断られても決して諦めずに、今日まで何とか核兵器をつくる技術を保持したいと思い続けてきているわけです。
西 谷:  広島・長崎経験してるのに「核兵器持ちませんか?」って言うて相談すること自体が恥ずかしいけど、だから核燃料サイクルを始めて、そしてそれが止まっていないというのが現実だった。それで3兆円以上のお金が湯水のように使われてしまったということですね。嘘に騙されないで、脱原発の社会を作っていきたいと思います。私たち有権者一人ひとりが、やっぱりこの戦争や原発のことをしっかりと学ぶべき時が来てるということでしょうね。はい、小出さん、今西さん、どうもありがとうございました。
 西: ありがとうございます。
西 谷: 以上、拡大版「小出裕章ジャーナル」でした。
小 出: ありがとうございました。

28- 核再処理しても日本のプルトニウムは減らぬ 米が懸念

 17日、トーマス・カントリーマン米国務次官補上院外交委の公聴会で、日本の核燃料再処理・核燃料サイクルプルトニウムの大量保有量を減らすことにはつながらずに、経済的合理性ない核安全保障と不拡散にとって懸念をもたらす政策なので停止することが望ましいとの考えを示したと、18日、読売新聞などが簡単に報じました※1
※1 3月19日 日本の核燃料サイクルに米高官が懸念を示す
 
 東京新聞は27日付の紙面で、その発言は米国で31日に始まる核安全保障サミットに向けた牽制であるとともに、1988年の日米原子力協定が2018年に期限を迎えるにあたり、米国は協定の自動更新を認めない意向であることを示したものであると伝えました。
 因みに米国は、1977年に核燃料再処理事業から撤退したということです。
 
 日本の核燃料サイクルがプルトニウムの減量につながらないことは誰が見ても明らかなのに、経済性も全く度外視して固執しているのは、かねてから小出裕章氏が警告してるように核兵器用のプルトニウムを確保するというのが本当の狙い※2だからとしか思えません。この際米国の警告に従って、意味不明の核燃料再処理・核燃サイクルは即刻中止すべきです。
※2 28日付別掲小出裕章ジャーナル
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減らぬ日本のプルトニウム 米、核再処理に懸念
東京新聞 2016年3月27日
【ニューヨーク=北島忠輔】米国で三十一日に始まる核安全保障サミットを前に、原発の使用済み燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、再利用する核燃料サイクル事業に米国が神経をとがらせている。背景にあるのはオバマ大統領が問題視するプルトニウムの大量保有だ。核兵器六千発分相当の四十八トンを抱える日本は核燃料サイクル事業実現で減らすと強調するが、めどが立たない現状に米国が疑問を呈した形だ。
 
 米上院外交委員会が十七日に開いた公聴会。国務省で国際安全保障や核不拡散を担当するカントリーマン次官補は「再処理事業に経済的合理性はなく、核の安全保障と不拡散に懸念をもたらす。すべての国の撤退が喜ばしい」と言い切った。AP通信は「異例の踏み込んだ発言」と報じた。
 オバマ氏は「テロリストの手に渡らないよう努力している分離済みプルトニウムのような物質を絶対に増やし続けてはいけない」と述べている。
 
 一九七七年に再処理事業から撤退した米国は他国の参入を止める一方、日本には一九八八年に定めた日米原子力協定で例外的に認めた。協定期限は二〇一八年七月。いずれかが再交渉を求めなければ自動更新される。米国には期限前に問題提起する狙いがあった。
 
 背景には事業を請け負う認可法人を設ける日本側の法制定の動きが指摘されている。鈴木達治郎・長崎大教授は「法律は、使用済み核燃料が出たら再処理費用を積み立てると規定。必要以上に持たないとの合意に反すると米側がみなした可能性がある」と話す。
 公聴会で民主党のマーキー上院議員は「(事業認可を求める)韓国の後追いを促し、北朝鮮の核保有を防ぐ米国の努力を台無しにする危険がある」と更新交渉の必要性を指摘した。
 
<米国のプルトニウム回収> オバマ大統領は2009年、「核なき世界」を訴えたプラハ演説で、各国が保有する核物質がテロなどに悪用されるのを防ぐため、管理を強化する考えを示した。日本やドイツ、ベルギー、イタリアなどにあるプルトニウムが対象となっている。
 日米は14年の核安全保障サミットで、冷戦期に英米仏が日本に提供した研究用プルトニウム331キロの返還に合意。今月22日に英国の輸送船が茨城県東海村を出港した。ところが運搬先のサバンナリバー核施設がある米サウスカロライナ州の知事が「住民の安全と環境保護のために受け入れられない」と反発。5月ごろに到着する輸送船が滞留する恐れが出ている。