2017年1月31日火曜日

福島第1原発2号機 原子炉の真下に燃料デブリか

 福島第一原発2号機の原子炉を収めた格納容器の内部をカメラで確認した結果、原子炉の真下にあるグレーチング(格子状の作業用の床の上に、黒い塊があるのを見つけたということです。
 当初東電は “燃料デブリ” の可能性があるとしていましたが、15~30センチもある原子炉容器の壁を溶かして落ちた核燃料が、せいぜい数ミリの帯鋼で作られているグレーチング上に留まる筈はありません。
  “燃料デブリ” の本体は、グレーチングを完全に溶かしてその下に脱落していると見るべきでしょう。
 今後の調査結果が注目されます。
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福島第一原発2号機 原子炉の真下に燃料デブリか
NHK NEWS WEB 2017年1月30日
東京電力福島第一原子力発電所2号機の格納容器の内部をカメラで確認する調査が行われ、原子炉の真下にある作業用の床に、黒みがかった堆積物が見つかりました。東京電力は溶け落ちた核燃料と構造物が混じった「燃料デブリ」の可能性を含め、さまざまな可能性が考えられるとして、今後、ロボットを使った詳しい調査を行い、デブリかどうか評価することにしています。
 
東京電力は事故で溶け落ちた核燃料の状態を把握するため、30日に福島第一原発2号機の格納容器の内部をカメラで撮影する調査を行いました。
東京電力が公開した映像には、原子炉の真下にある作業員が歩く格子状の床が写っていて、その上に表面がでこぼこした黒みがかった堆積物がこびりついているように見えるほか、床を支える鉄板の付近にも堆積物がたまっているということです。
 
床がまとまってなくなっている部分も見つかりました。これについて東京電力の担当者は記者会見で、「原子炉の下部には保温材や制御棒を動かす装置のケーブルなどがある。堆積物が溶けた燃料が構造物と混ざった燃料デブリかはなんとも言えず、いろんな可能性が考えられる」と述べ、燃料デブリの可能性を含め、さまざまな可能性が考えられると説明しました。
 
また、映像には原子炉を冷やす冷却水が降り注いでいる様子も捉えられ、担当者は「原子炉のどこかに損傷している部分がある。ただ、どれだけ壊れているかは今回の映像ではわからない」としています。
東京電力は来月上旬、放射線量を計測する機器などを備えたロボットを内部に入れて、より詳しい調査を行い、放射線量や温度を総合的に考えて、見つかった堆積物が燃料デブリかどうか評価することにしています。
燃料デブリと確認されれば、事故から6年近くがたって、初めてその姿が捉えられたことになります。
 
東京電力が映像説明
東京電力は30日夜、福島第一原発2号機の格納容器内部で撮影された映像について説明しました。
 
原子炉の真下から上方向を撮影した映像については原子炉の底の部分に、核分裂を制御する「制御棒」を動かす装置やケーブルの一部が確認され、比較的、原形をとどめている可能性が高いとしています。
原子炉の真下には、作業員が歩く格子状の床が写っていて、その上に表面がでこぼこした黒みがかった堆積物がこびりついているように見えるほか、床を支える「フラットバー」と呼ばれる鉄板の付近にも、堆積物がたまっているということです。床は一部なくなっている部分もあるということです。
また、原子炉を冷やす冷却水が降り注いでいる様子もとらえられています。
 
黒い塊が見つかった場所とは
福島第一原発2号機のカメラによる調査で黒い塊が見つかった場所は、格納容器の中にある原子炉の真下に設置された作業員が歩く格子状の床の上で、これが燃料デブリと確認されれば、溶けた核燃料は原子炉の底を突き破ってその下まで達したことになります。
今回の調査で、カメラは定期検査の際に使う原発事故の前からある配管などを通って格納容器の外から原子炉の真下まで進みました。原子炉の真下は高さ8メートル50センチ、直径5メートルの筒型をした「ペデスタル」と呼ばれるコンクリートに囲まれ、この内側の撮影が行われたのは初めてです。
 
この空間の真上は核燃料が入っている原子炉の底の部分で、核分裂を制御する制御棒を動かす装置やケーブルがあり、足元には定期検査の際に作業員が歩く格子状の床が設置されています。
東京電力が公開した画像には、原子炉の真下にある作業員が歩く格子状の床が写っていて、その上に表面がでこぼこした黒みがかった堆積物が見えます。今後の分析で、これが燃料デブリと確認されれば、溶けた核燃料は原子炉の底を突き破ってその下まで達したことになります。
 
東電「床がなくなった状況は評価中」
福島第一原発2号機の原子炉の真下で、作業員が歩く格子状の床の一部がなくなっている部分があることについて、東京電力は「比較的大きなまとまりとして床がなくなっていると見ている。床は鉄製で、溶ける温度は1000度程度だが、核燃料は2000度から3000度ある。核燃料が金属を巻き込んで落ちたのか、現時点でどういう状況で床がなくなったかは評価中だ」として、原子炉から溶け落ちた燃料が床を溶かしてなくなった可能性も含めて、今後、評価する考えを示しました。
 
専門家「燃料デブリかは追加のデータ必要」
東京電力が公開した福島第一原発2号機の内部の映像について、日本原子力学会の「廃炉検討委員会」の委員長で、法政大学の宮野廣客員教授は「内部の様子が非常によく見えていると感じた。『グレーチング』と呼ばれる格子状の床にたまっていた堆積物は、原子炉の底にあるパイプのような構造物が熱で溶けたものと推察できるが、核燃料を含む燃料デブリかどうかは、放射線量の調査など、さらに追加のデータが必要だ」と話していました。
 
設置されていたグレーチングがまとまってなくなっている部分については、「推察になるが、上から落ちてきた核燃料がグレーチングを溶かして下に落ちた可能性も考えられる」と分析していました。
今後については、「今回の手法で内部がよく見えることがわかったので、場所を広げて損傷の全体像を調べ、データベースにできれば、廃炉作業に向けた有効なツールとして活用できる」と話していました。

31- シンポジウム「原発のない東北の復興を考える」 開かれる

 原発に頼らないまちづくりの在り方を探るシンポジウム「原発のない東北の復興を考える」が29仙台国際センターで開かれ、約780人が参加しました。脱原発をめざす宮城県議の会などが主催したものです。
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原発のない復興考える「エネ転換を突破口に」
河北新報 2017年1月30日  
 東京電力福島第1原発事故を踏まえ、東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)など原発に頼らないまちづくりの在り方を探るシンポジウム「原発のない東北の復興を考える」が29日、仙台市青葉区の仙台国際センターであった。
 
 基調講演した金子勝慶応大教授は、膨らむ事故処理費用や東芝の米国原発事業での巨額損失を挙げ、原発再稼働路線がもたらす日本経済の危機を強調。「エネルギーの転換を突破口に、従来の集中型から分散ネットワーク型の新しい地域をつくりだすことが重要だ」と呼び掛けた。
 
 パネル討論では、NPO法人紫波みらい研究所(岩手県紫波町)の橋浦律子事務局長が、森林資源や再生可能エネルギーの活用による循環型まちづくりを紹介。「補助金に頼らず、経済もエネルギーも循環できる。住民参加を進め、地域の声が上がる取り組みが大事」と報告した。
 佐々木功悦県議、阿部美紀子女川町議は広域避難計画の問題点などから再稼働阻止の必要性を強調。金子教授は「普通の市民が参加して行動できる新しい回路を考えないと現状からは抜け出せない」と提言した。
 
 脱原発をめざす宮城県議の会などが主催し、約780人が参加した。

2017年1月30日月曜日

原発の40年ルール有名無実 規制委は推進委

 原発は運転開始後40年で廃炉になるのが原子炉等規制法による原則なのに、このところ立て続けに「延長」が認められてその延長幅は最長20となっています
 原発の耐用年数はもともと3040年だろうと想定されていて、原子炉圧力容器の劣化度を調べるテストピースは確か30年分しか取り付けられていなかった筈です。
 それが福島原発事故後に「運転期間は原則40年」とすることが原子炉等規制法に盛り込まれ、不思議なことに、同時に規制委の審査を通れば「1回に限り最長20年の延長」を認める規定も盛り込まれました。
 30年が40年になり、それが一気に60年になるとは呆気に取られる話です。
 配管の補強や交換などは40年経ってからも可能ですが、核分裂で発生する中性子を浴びて劣化する原子炉圧力容器が60年持つという保障は得られるのでしょうか。その間に脆性破壊遷移温度が著しく上昇しないと何故保障できるのでしょうか。
 そんな危険性を持つ60年への延長が次々と規制委に認められている実態は明らかに異常です。
 喉元過ぎれば熱さを忘れると言いますが規制委の態度が理解できません。
 
 河北新報が原発の40年ルールが無視され、極ごくの例外であった筈の60年延長が『原則』化している実態を批判しました。
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社説 原発の40年ルール/「例外」が「原則」と化した
河北新報 2017年1月29日   
 原発は運転開始後40年で廃炉になるのが法律(原子炉等規制法)による原則なのに、立て続けに「延長」が認められている。しかも期間は5年や10年でなく、最長20年というからあきれる。
 国の原子力規制委員会は昨年、関西電力の高浜1、2号機と美浜3号機(いずれも福井県)の延長を認めた。日本原子力発電も今年中に、東海第2(茨城県)の延長を申請するという。
 古い原発の安全性は時間の経過とともに深刻さを増していく。炉心溶融(メルトダウン)に陥った東京電力・福島第1原発事故の後、あえて法律に「40年で原則廃炉」を盛り込んだ重みを再確認し、慎重の上にも慎重に審査する姿勢を貫くべきだ。
 
 原発の耐用年数はもともと30~40年だろうと目されていた。だが、以前は法律に規定がなく、電力各社は40年を超えてもなお運転を続ける方針を示していた。
 2010年に日本原電の敦賀1号機(福井県)が国内の原発で初めて40年を超え、福島第1の1号機も事故直前、10年延長して50年の運転が認められた経緯がある。
 
 なし崩しに延長する流れにブレーキがかかったのは、原発事故がきっかけ。事故への反省から、13年に施行された改正原子炉等規制法に「運転期間は原則40年」が盛り込まれ、美浜1、2号機や四国電力・伊方1号機(愛媛県)など6基の廃炉が決まった。
 ところが、改正法には規制委の審査を通れば「1回に限り最長20年の延長」を認める規定もあり、美浜3号機などの運転延長に道を開く結果になってしまった。
 必要な安全対策の工事が残っており、すぐさま運転を再開できる状況ではないが、規制委の姿勢には首をかしげるしかない
 田中俊一委員長は就任した12年には「40年前の設計は十分ではない。一つの技術の寿命」と延長にかなり否定的だったのに、昨年は「金をかければ技術的に克服できる」と様変わりしてしまった。
 当初、運転延長は例外中の例外と思われたのに、あっさり認めた印象が拭えない。原発事故後の安全規制を一手に担っている組織がこれほど電力業界寄りにぶれたのでは、国民からの信頼は失われる一方だろう。
 昨年6月、初のケースとなる高浜1、2号機の延長を認めた際には「訴訟リスク」を恐れて急いで審査を終えたのではという見方さえあった。審査中に40年になれば廃炉に追い込まれかねず、電力会社は審査の不備を理由に提訴する可能性もあったという。
 これでは安全審査が空洞化しかねない。原発事故を教訓にした大切な新ルールがまるで無視され、「例外」と「原則」が逆さまになったら、老朽化原発を抱える地元の自治体にとって安全性への不安は募る一方になる。

30- 原発避難解除の5市町村、帰還13%止まり

 避難指示が2014年4月以降に解除された福島県田村市、川内村、楢葉町、葛尾村、南相馬市の5市町村で、解除された地域への住民の帰還率が全体で約13%に留まることが分かりました
 生活インフラが十分にある避難先での定住が進んだことや、子供を持つ親が放射線の影響による健康への不安を考慮した結果、帰還が進んでいないもの見られます
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原発避難解除の5市町村、帰還13%止まり 他地域へ定住進む  
日経新聞 2017年1月29日
 東京電力福島第1原発事故の避難指示が2014年4月以降に解除された福島県田村市、川内村、楢葉町、葛尾村、南相馬市の5市町村で、解除された地域への住民の帰還率が全体で約13%にとどまることが28日、各自治体への取材で分かった。
 生活インフラが十分にある避難先での定住が進んだことや、子供を持つ親が放射線の影響による健康への不安を考慮した結果、帰還が進んでいないとみられる。
 
 5市町村に出ていた避難指示は14年4月から16年7月にかけて順次解除された。5市町村で解除された地域に住民票がある計1万9460人のうち、昨年末から今年1月の時点で、実際に住んでいるのは計2561人で13.1%だった。
 
 解除時期が早いほど帰還率も高い傾向にある。市町村別に見ると、最も早い14年4月に解除された田村市都路地区では316人のうち、72.1%に当たる228人が戻った。川内村の避難指示は14年10月と16年6月に段階的に解除され、311人のうち64人が居住。帰還率は20.5%。
 楢葉町は15年9月に解除され、7282人中767人が、16年6月に一部が解除された葛尾村は1333人中107人が帰還した。
 最も遅い16年7月に一部解除となった南相馬市では、半年の間に1万218人中1395人が戻り、13.6%と比較的順調に帰還が進む。街の規模がもともと大きく、周辺の生活インフラが整っていることなどが要因とみられる。
 
 福島県内では放射線量が高い帰還困難区域を含む8市町村に現在も避難指示が出ている。〔共同〕

2017年1月29日日曜日

福島からの自主避難3世帯の生徒らが小中校でいじめに

 福島県から千葉県に自主避難した3世帯の子供たちが、小中学校で「放射能が来た」と言われるなど、いじめ被害にあっていたことが分かりました。3世帯は千葉地裁での集団訴訟の原告です
 千葉県教育委などは今月、県内の公立小中高校などに通う避難児童生徒に対するいじめはなかったと発表していました
 結果的にかなりおざなりな調査であったことが明らかになりました。
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避難の子に「放射能来た」 千葉でもいじめか  
日経新聞 2017/1/28 0:32
 東京電力福島第1原発事故で福島県から千葉県に自主避難した3世帯の子供たちが、小中学校で「放射能が来た」と言われるなど、いじめ被害に遭ったとみられることが27日、分かった。3世帯は避難者が国と東電に損害賠償を求めた千葉地裁での集団訴訟の原告。弁護団が明らかにした。
 
 弁護団によると、ある原告は約5年前に千葉県内の小学校に転校した際、子供が同級生から「放射能が来た」と言われたとしている。別の原告は子供が同級生から「福島のやつの話は聞かない」などと言われ、他の県内の学校に転校せざるを得なくなった。転校先の学校には避難者だと同級生に明かさないよう配慮を求めたという。
 
 千葉県教育委員会などは今月、福島から避難し、県内の公立小中高校などに通う児童、生徒に対するいじめはなかったと発表していた。県教委は「3世帯の事例について把握していない。事実確認を進め今後の対応を考える」としている。〔共同〕

30- 柏崎刈羽原発 安全対策費が6800億円に

 柏崎刈羽原発の再稼働に向けた安全対策費用が、従来計画の14倍の約6800億円となる見通しであることが分かりました
 緊急時対策拠点や、事故時の放射性物質の放出抑制設備を強化するためとされています
     (関係記事)
2013年8月29日  チャチなベント・フィルターでいいのか 柏崎刈羽原発
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東電・柏崎刈羽原発、安全対策費が6800億円に  
日経新聞 2017年1月28日
 東京電力ホールディングスの柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)の再稼働に向けた安全対策費用が、現時点で従来計画の1.4倍の約6800億円となる見通しであることがわかった。緊急時の対応にあたる拠点や、事故が発生した際に放射性物質の放出を抑制する設備を強化するため。
 
 柏崎刈羽原発は現在、原子力規制委員会の審査を受けている。東電は自主的な安全対策の追加などで再稼働をめざすが、新潟県の米山隆一知事は慎重な姿勢を示しており、再稼働時期を見通せない状況が続いている。

2017年1月28日土曜日

28- 東芝、原発建設工事からは撤退し原子炉などの単体納入へ

 東芝は、先に買収した米ウェスチングハウス(WH社に起因する損失額が7000億円にも達するということです。気の遠くなるような巨額の損失ですが、一体どういう経過でそんなことになったのでしょうか。それに対する対応も悠長に見えて、いわゆる「大男 総身に知恵が回りかね」の感じがします。
 
 損失の穴埋めとして「稼ぎ頭」だった半導体事業の一部を分社化し、外部から出資を受け入れること “債務超過” を回避することを目指します。
 これまで東芝は2030年度までに世界で45基以上の原発を受注する目標を掲げていましたが、それは縮小し、今後原発建設工事分野からは手を引き、原発の設計や原子炉などの単体の製造・納入に専念するということです。
 原子炉容器(や蒸気発生器)などの超大型の鋳鍛鋼タンクの世界におけるシェアは日本が80%を占めているので、それに限定しても手堅い営業が出来るという見通しが得られたのでしょう。
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東芝 “巨額損失”、原発受注目標「縮小」へ
 TBSニュース 2017年1月27日
 アメリカの原発事業で巨額の損失を計上する見通しとなった東芝は27日、半導体事業の分社化を正式に決定します。こうしたなか、東芝が海外での原発の受注目標を縮小する方向で検討していることがJNNの取材で分かりました。
 
 7000億円規模という巨額の損失を計上する見通しとなった「東芝」は現在、取締役会を開いています。取締役会では損失の穴埋めとして「稼ぎ頭」だった半導体事業の一部を分社化し、外部から出資を受け入れることを決める予定です。
 外部からの出資比率は199%にする方向で、2000億円から3000億円程度を調達するとみられています。この資金で「東芝」は負債が資産を上回る “債務超過” を回避したい考えです。
 
 一方で、損失の原因となった原発事業について、「東芝」は2030年度までに世界で45基以上の原発を受注する目標を掲げていましたが、この目標を縮小する方向で検討していることが分かりました。これは、「東芝」が原発事業のうち新規建設の分野については、撤退する方針を固めたためです。
 これまで受注を目指してきたインドとイギリスでのあわせて9基の原発について、東芝の幹部は「建設工事に責任を負うような受注はやめる。受注目標の数字は変わるかもしれない」と明言しました。主力事業の切り売りが相次ぐ「東芝」。再生は “茨の道” となります。

2017年1月27日金曜日

新潟地裁 避難者損害賠償請求事件 原告本人尋問始まる 

 福島原発被害救済 新潟県弁護団は、平成25723日、新潟地裁に対し、東電及び国を被告とする損害賠償請求集団訴訟を提訴しました。
 福島第1原発事故で避難を強いられ精神的苦痛を受けたことに対して、国や東電の責任を明らかにし、避難者、被害者の適正な損害賠償を求めるものです。
 
 その訴訟の原告本人尋問が25日、新潟地裁で始まり、3人の男女が証言台に立ち、放射線の不安や家族離ればなれの生活などを涙ながらに訴えました。
 これまでの弁論は書面のやり取りが中心でしたが、ようやく原告本人尋問の段階に入り、今後は各原告が質問を受けながら具体的な被害状況を述べることになります。
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放射線の不安訴え 原発避難者訴訟 原告本人尋問
新潟日報 2017年1月26日
 東京電力福島第1原発事故で避難を強いられ精神的苦痛を受けたとして、福島県から本県に避難した住民らが東電と国に損害賠償を求めた集団訴訟の原告本人尋問が25日、新潟地裁(今井弘晃裁判長)で始まった。3人の男女が証言台に立ち、放射線の不安や家族離ればなれの生活などを涙ながらに訴えた。
 
 3人は二本松市、郡山市、南相馬市からの避難者。二本松市から避難した40代女性は「放射能の恐怖に心が押しつぶされそうになり、子どもを守ることで必死だった」と振り返った。
 夫は福島で二重生活を送り、親類や知人がいない土地で子どもを育てる。「放射能という言葉の前では人間関係も崩れ、本心で語れる人がいない。国からの情報がないことに憤りを感じる」と話した。原告たちはほかに、経済面や健康面での苦痛を次々に語った。
 被告側は福島での放射線測定値や避難者数について原告に質問し、避難の必要性を問いただした。
 
 原告弁護団は原告807人から代表者を選び、順次尋問を行っていく方針。これまでの弁論は書面のやり取りが中心だったが、尋問では各原告が質問を受け、具体的な被害状況を述べる。
 次回期日は3月24日。
 

27- <高野病院>理事長 県へ無償提供の意向

 福島第一原発に近い広野町で、原発事故後も入院患者とともに病院にとどまって地域で唯一の病院として診療を続けていた高野病院は、12月30日夜、院長の高野英男氏(81)が自宅の火事で亡くなってからは、常勤医不在の状態で診療を続けていました
 その後福島県の協力も得て3月までは常勤医が確保できましたが、4月以降は目途が立たず、頼みの福島県からも民間病院なので医師の手配などの特別扱いは出来ないと言われました。
 
 そういう中で現理事長は、県に病院を無償提供し、その後は県立または公設民営などの形態で病院を継続させたいと考えています。
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<高野病院>理事長 県へ無償提供の意向
河北新報 2017年1月25日
 東京電力福島第1原発が立地する福島県双葉郡で唯一、入院医療を続ける高野病院(福島県広野町)の管理者と常勤医が不在となっている問題で、運営法人の高野己保理事長(49)は24日、河北新報の取材に対し「(病院施設を)県に無償提供したい」と述べ、診療継続と病院存続に向け、県などと協議したい意向を示した。高野氏は昨年末に自宅の火災で死亡した高野英男院長=当時(81)=の次女。(聞き手は福島総局・高橋一樹)
 
-2~3月は常勤医赴任が決まったが、4月以降は未定だ。病院経営の方針は。
 「同じ場所で診療を継続させたい。そのためには県など公的機関に病院を無償提供したいと考えている。県立となるほか、公設民営の形も考えられるが、病院が続くのであれば、自身の経営権にはこだわらない」
 
-無償提供を考える理由は。
 「原発事故後、双葉郡で唯一の病院を高野院長が一人で支えてきた。県には人的支援を再三要請したが、『民間病院で特別扱いできない』と断られてきた」
 「民間だからといって『管理者が見つからなければそれまで』とはいかない。診療、経営、当直と一人何役もこなし、院長が身を削って6年間つないだ地域医療と、患者、スタッフを守らなければならない。院長の死が無駄になる」
 
-県は4月以降、県立医大と連携して常勤医を派遣する方針を示している。
 「医師が確保できても、管理者は再び無理のある経営を強いられる。管理者がいなくなれば、また行き詰まる。民間が地域医療を担う仕組みを変えるべきだ」
 
-今後の進め方は。
 「県などと続けている次の緊急会議で、無償提供の意向を正式に表明し、検討の土俵に上げたい」

2017年1月26日木曜日

原発事故避難いじめ 横浜市長が教育長の発言を謝罪

 福島から横浜市に自主避難してきた生徒がいじめを受けていた問題で、同級生におよそ150万円を払わされていた行為を「いじめという結論を導くのは難しい」と述べた教育長の発言について、横浜市の林文子市長は「至らない、大変申し訳ない発言だった」と述べ、謝罪しました。
 極めて当然のことで、この事案ではいつも林市長が事態の処理を正しい軌道に乗せる役割を果たしています。
 それに対して教育長の発言からは、いつの場合もいじめの問題を正しく解決しようという意欲が感じられないし、またその能力もないように思われます。こういう人間がトップにいては いじめの問題はなかなか解決しません。
 
 それにしても一体いつまでぐずぐずとこの緊急を要する問題を長引かせているのでしょうか。もはや迅速な解決は望むべくもないので、せめて最終的に被害者や家族も納得できる正しい決着をすることを期待したいと思います。
 
   (関係記事)
1月24日 作文で気づかなければならかったのに 新潟県下越 避難生徒いじめ
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原発事故避難いじめ 横浜市長が教育長の発言を謝罪
NHK NEWS WEB 2017年1月25日
東京電力福島第一原子力発電所の事故で、横浜市に自主避難してきた生徒がいじめを受けていた問題で、同級生におよそ150万円を払わされていた行為を「いじめという結論を導くのは難しい」と述べた教育長の発言について、横浜市の林文子市長は「至らない、大変申し訳ない発言だった」と述べ、謝罪しました。
 
原発事故で横浜市に自主避難してきた現在、中学1年の男子生徒は、当時、転校した小学校で同級生から名前にばい菌の「菌」をつけて呼ばれるなどしていたとして、市の教育委員会の第三者委員会は「いじめ」と認定しました。
一方で第三者委員会は同級生に遊ぶ金としておよそ150万円を払わされていた行為については、同級生が「おごってもらった」と話していて、双方の主張が異なっているなどとして「いじめ」とは認定していません。
 
教育委員会の岡田優子教育長は今月20日の市議会で、「同級生らの話などから、いじめという結論を導くのは難しい」と述べたため、生徒側の弁護士が、23日、発言の撤回などを求める申し入れを行っていました。
横浜市の林市長は25日の定例の記者会見で、「教育長は第三者委員会の結論を尊重する立場から、『認定は難しい』という考え方を答弁したということだった」と述べました。そのうえで、「生徒がつらい思いをしている中、丁寧に趣旨を伝えるべきで、至らない、大変申し訳ない発言だった」と述べ、謝罪しました。
また、金を払わされた行為をいじめと認定するかどうかについては、再発防止策などを検討する委員会の議論を見守ったうえで、対応する考えを改めて示しました。
 
第三者委員会の報告書
横浜市教育委員会の第三者委員会が去年11月にまとめた報告書では、男子生徒が小学2年生だった6年前、福島県内から横浜市内の小学校に転校してきた直後に同級生から名前にばい菌の「菌」をつけて呼ばれたことや、4年生の時に蹴られるなどした行為については「いじめ」と認定しています。
 
一方で5年生のときに、複数の同級生に遊ぶ金としておよそ150万円を払わされていた行為については「いじめ」と認定していません。報告書では、学校側が、同級生らに聞き取りを行った結果、「自主的におごってもらった」などと話していて、双方の主張が異なっていることから、「どちらが真実なのかの認定は難しく、金を払わされた行為についてはいじめと認定することはできない」と結論づけています。
 
一方で、報告書では、男子生徒は蹴られるなどした同級生らに金を払っていることから、「いじめから逃れようとする精いっぱいの行動であったことは推察でき、おごった要因にいじめが存在したことは認められる」としています

26- 東芝が原発事業でも分社化を検討

東芝“主力”原発事業でも分社化を検討
日テレニュース 2017年1月25日
 経営難に陥っている東芝が主力事業に据えてきた原発事業についても分社化を検討していることがわかった。
 
 東芝はアメリカの原発事業で最大で7000億円の巨額損失を計上する見込みとなっていて、財務基盤の強化に向けて、27日の取締役会で稼ぎ頭のフラッシュメモリーの半導体事業を分社化することを決議する予定。分社後、一部株式を売却し債務超過を回避したい狙い。
 
 一方、これまで主力事業に据えてきた原発事業についても分社化を検討していることがわかった。福島の原発事故などを経て、日米で要求される安全基準が高まるなど、原発事業は利益を出すのが難しい状況となっている。ただ、原発事業は公共性も高いことなどから、調整には時間がかかりそうだ。

2017年1月25日水曜日

25- 東京湾のコイ セシウムが50Bq/kgに

 新中川(江戸川区)の下流域で捕獲した全長約70cmのコイを、すり身にして放射能測定所のNAITI)シンチレーション検出器で測定したところ、50Bq/kgセシウムを検出したということです
 身を乾燥させれば水分が除去されてセシウムが濃縮されるためさらに高い数値になる筈です
 
 また、千葉県の銚子・九十九里沖で採れるスズキの放射能汚染は昨年1月からのデータは不検出かせいぜい1Bq/kg程度でしたが、昨年12月から今年1月にかけてセシウム値が急激に上がり、今年1月12日に採取したものでは69Bq/kgを計測していました
 
   (関係記事)
     2015年11月14日  東京湾のセシウム 河口部汚染は高止まり
     2015年10月10日 都心の川に残る汚染 東証近くセシウム452ベクレル検出
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セシウム値が急激に上昇? 
東京湾のコイも福島原発沖のヒラメ以上に汚染されていた!
週プレNEWS 2017年1月23日
島第一原発の事故で放出された放射性物質は、依然として首都圏に滞留しているのだろうか。
それを知るために本誌は2016年秋、新中川の下流域で全長70㎝ほどのコイを捕獲して調査した。
 
■新中川のコイから、50Bq/kgのセシウムが…
旧江戸川と通じる新中川(江戸川区)の下流域で捕獲した全長約70cmのコイを、すり身にして放射能測定所のNAI(TI)シンチレーション検出器で測定したところ、50Bq/kgのセシウムを検出した。身を乾燥させれば水分が除去されてセシウムが濃縮されるため、さらに高い数値が出たはずだ。
単純比較はできないが、取材班が同じ時期に福島原発沖3㎞で釣り上げたヒラメから検出されたセシウムは21Bq/kgだったというのに…。
 
食品のセシウムの基準値は100Bq/kgだが、乳児用食品などは50Bq/kgとなっている。また、茨城県のように50Bq/kgを超えた魚介類は出荷を自粛する自治体もあるなかで、首都圏の魚からこの数値が検出されたことに取材班は驚きを隠せなかった。
 
放射線や水文学に詳しい長崎大学大学院の小川進教授によれば、「これまでの知見から、魚類では放射性物質の生態濃縮が100倍から1万倍の規模で起こることがわかっていて、大型で魚の生態系の上位に位置する魚は特にそれが顕著に現れる」のだという。
 
調査したコイは海水と淡水が混在する汽水域に生息していた。潮の満ち引きで流れが変わるこうした区域では放射性物質が海洋に流出せず、滞留しやすいことも関係していると推測できる。
 
■この年末年始にセシウム値が急上昇
コイではないが、汽水域に生息する魚で、成長すれば1mにもなる大型魚のスズキで気になることがある。
千葉県の銚子・九十九里沖で昨年12月から今年1月にかけて、県が調査したスズキのセシウム値が急激に上がっているのだ。さかのぼって昨年1月からのデータを見ると、不検出かせいぜい1Bq/kg程度だったのが、なぜか年末年始にかけて上昇を続け、今年1月12日に採取したものでは69Bq/kgを計測していた。
 
スズキは河川と外洋を回遊する魚。汚染の高い汽水域で被曝したのだろうか? 千葉県水産局漁業資源課の担当者も首をかしげる。
「スズキは以前からセシウムの値が出やすいので注意はしていました。他県ですが汽水域のクロダイで高い値が出る傾向があったので、同様に川で被曝している可能性はあります。ですが、汚染値が上がっているはっきりした原因はわかりません」
しかし、湖や沼も含めれば100Bq/kgを超える魚は何種類も検出されている。首都圏だけでも千葉・手賀沼のコイ、ギンブナ、モツゴ、利根川のウナギなどには依然として出荷規制がかかっているのが現状だ。
 
■モニタリングの継続が必要だ!
こうした放射能汚染と向き合いながら生活していくには、どうすればいいのだろうか。
沖縄琉球大学の古川雅英教授(物質地球科学)が言う。
「健康リスクを真剣に心配するほどの汚染値ではないが、それでも汚染された食品を食べすぎれば過剰な被曝をしてしまうのは事実です。それに50Bq/kgという通常ならありえない汚染値が魚から出たということは、さらに高濃度に汚染された魚がまだどこかにいるかもしれないということ。国や自治体はモニタリングを継続することが大切になるでしょう」
 
さらに取材班は、東京湾内と東京湾に流れる河川の合計24地点で放射能汚染を調査。その結果、なんと1000Bq/kgを越えるスポットが2地点もあったのだ!
 
※異常な濃度のセシウムが検出された2地点とは? なぜこのような事態になっているのか? 詳しくは発売中の週刊プレイボーイ6号「これが東京湾放射能汚染の実態だ!!」でお読みください。
 
(取材・文・撮影/桐島 瞬 取材協力/有賀 訓 伊藤周吾)
 
※取材班が捕獲した魚について、発売中の『週刊プレイボーイ』の同記事ではスズキとしていますが、コイの間違いでした。記事の趣旨が変わるものではありませんが、お詫びして訂正します。