2013年11月30日土曜日

ユニオンが労働委に仲裁申し立て 福島原発:下請け作業員問題 

 福島原発で働いていた下請け作業員が加入する派遣ユニオンは28日、発注元の東京電力や元請け会社などに、解雇問題等に関連して申し入れた「団体交渉に応じない不当労働行為があった」として、東京都労働委員会に救済を申し立てました。
 団体交渉で、福島原発現場作業員の解雇や偽装請負の是正、中間搾取分の支払い、安全確保、偽装請負・中間搾取の再発防止をはかりたいとしています。
 
 この問題でも福島原発の現場作業員の劣悪な労働の実態が浮き彫りにされました。
 Aさんは5次下請けのRH工業に、高線量下の作業はないという条件で雇われましたが、現場では3つ上位の乙社の指揮下で高線量下の作業をさせられたため乙社に抗議しました。そうしたところ雇い主のRH工業は一つ上位の丁社から「Aを現場に出させるなと上から言われた」と言われ、その翌日Aさんを解雇しました。
 
 さんは派遣ユニオンに加入して実情を訴えました。ユニオンは解雇や偽装請負の是正、中間搾取分の支払い、安全確保、偽装請負・中間搾取の再発防止を求めて、東京電力を含めた関連系列の6社に団体交渉を申し入れましたが、RH工業以外はAさんとは雇用関係がないからと団体交渉に応じませんでした。ユニオンは、下請労働者の劣悪な労働条件を解消するためには、東京電力が労働環境を整備する責任をもった具体的措置を講ずることが必要不可欠であるとしています。
 なお、直接雇用者であRH工業とは解雇問題について最終的に和解ました。
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福島原発:下請け作業員の「派遣ユニオン」が団交申し立て
毎日新聞 2013年11月28日
 福島第1原発で働いていた下請け作業員が加入する派遣ユニオン(藤野雅己委員長)は28日、発注元の東京電力や元請け会社などに「団体交渉に応じない不当労働行為があった」として、東京都労働委員会に救済を申し立てた。団体交渉で危険な作業の強要や危険手当の中抜きなどの問題を解決したいとしている。発注元に団交を求めて救済を申し立てるのは極めて異例。
 
 申立書やユニオンによると、長野県在住の林哲哉さん(41)は2012年6月、福島第1原発の作業を請け負った福島県いわき市の5次下請け業者と雇用契約を結んだ。作業道具の管理など危険のない仕事だと説明されたが、次々と被ばく線量が高い仕事に変更になり、6月19日には原子炉建屋近辺のガラス撤去などの作業に計2時間従事させられた。
 現場で抗議すると、翌日に解雇されたためユニオンに加入。解雇撤回や偽装請負の是正、危険手当の中間搾取分の支払いなどを求めて東電を含む5社に団対交渉を申し込んだが、5次下請け以外は応じなかった。
 代理人の水口洋介弁護士は「発注元の東電にも作業員の安全を確保する責任がある」と指摘。林さんは「事故対応で働く人にも国、東電が責任を持つべきだ」と話している。
 東京電力は「申し入れについて承知していないため、コメントは控える」としている。【東海林智】
 
 

2013年11月29日金曜日

柏崎刈羽原発 規制委が活断層調査へ

 原子力規制委は28日、柏崎刈羽原発安全審査で、敷地内に活断層があるかを確認するため、現地調査を行うことを決めました。
 東電に対して地面を大規模に掘下げて地層を確認する「トレンチ調査」を含めて、詳しく調査して説明するよう求めているので、審査は長期間に及ぶ可能性あります。
 
 柏崎刈羽原発原子炉建屋の直下には、東電の資料によっても23本の断層があり、当面の審査対象である6号機7号機の原子炉建屋の直下にも通っています。東電はこれまでそれらは「活断層ではない(断層が生じたのは20~30万年以前)」と主張してきましたが、新しい基準ではその時期限定のニュアンスが変わったので規制委がどう判断するのか注目されます。
 
 それとは別に、東電新しい総合特別事業計画(再建計画)は、2016年度までに柏崎刈羽原発全7基再稼働させることを前提としたものであることが分かりました。
 泉田知事はそれについて6日の記者会見で、「何の根拠もない」話だとしました
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柏崎刈羽原発 規制委が活断層調査へ 
NHK NEWS WEB 2013年11月28日
新潟県にある柏崎刈羽原子力発電所の運転再開の前提となる安全審査で、原子力規制委員会は敷地内に活断層があるかを確認するため、現地調査を行うことを決めました。
活断層の調査が長引けば審査は長期間に及ぶ可能性もあります。
 
原子力規制委員会は東京電力・柏崎刈羽原発の6号機と7号機について、28日午後、2回目の審査会合を開き、今後、重点的に確認する論点を示しました。
この中で規制委員会は敷地内に活断層があるかを確認するため、年明け以降に現地調査を行うことを決めました。
そのうえで、東京電力に対して敷地内を大規模に掘って地層を確認する「トレンチ調査」を行うなどして詳しく説明するよう求めています。
柏崎刈羽原発では、6号機7号機を含む原子炉建屋の直下に23本の断層がありますが、東京電力は「活断層ではない」と主張しています。
これに対し、規制委員会は東京電力の断層のデータが不十分で活断層調査の方針が決まるまでは津波など自然災害への対策を確認しないとしていて、調査が長引けば審査は長期間に及ぶ可能性もあります。
 
16年度中の全7基再稼働を想定 東電、柏崎刈羽原発
東京新聞 2013年11月28日
 東京電力が柏崎刈羽原発(新潟県)について、2016年度までに全7基が再稼働すると想定していることが28日、分かった。これにより17年度以降の原発の設備利用率が東日本大震災前と同水準の55%台に戻ると試算している。見直し作業中の新しい総合特別事業計画(再建計画)に盛り込む。
 新潟県の泉田裕彦知事は今月6日の記者会見で、東電が再稼働時期を勝手に想定していることを「何の根拠もない。絵に描いた餅」と批判しており、地元との溝が深まるのは必至だ。 (共同)
 
 

2013年11月28日木曜日

柏崎刈羽原発 フィルター付きベント 地元了解前提なら規制委不認可

 原子力規制委の田中委員長は、27日、柏崎刈羽原発6、7号機の審査に当たり、「フィルター付きベント」は(要旨)「別途地元の了解を得たうえで運用を開始する」と但し書きが付いていることに対して、「そのような前提では、われわれが認可をしない」との見解を示したということです
 
 この「フィルター付きベント」は、先の安全審査基準改定に当たり柏崎刈羽原発のような沸騰水型原子炉発電所に新たに義務付けられたものですが、国内初の設備であり基準で決められている「粒子状のセシウムを99.9%除去」という性能で住民の被爆が果たして防げるもなのか、新潟県としては検討したいが、そのことで規制委の審査開始自体を阻止しているといわれるのは不本意なので、事後に県と仕様の詳細を詰めるという条件をつけて、規制委の安全審査を受けることを了承したという経緯があります。
 
 地元の了解を得た上で「運用を開始する」というのは独特の官庁用語ですが、「事故時にフィルター付きベントを使うか使わないか」を地元が判断するという意味ではなくて、どのような性能の「フィルター付きベント」にすべきか、その仕様を(審査合格後に)「県と東電で決めよう」という主旨であると知事は説明もしていました。
 
 田中委員長が「認可しない」理由は不明ですが、規制委が認可した仕様を県が認めずに、「よりグレードアップしたものにしたなら面子がつぶれる」とでも思ったのでしょうか。規制委の判断が最高と言いたいのであればそれ自体が誤った傲慢さですが、もしもそういうことで認可がストップするのであれば、何よりのことです。 (^○^)
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規制委、地元了解前提なら不認可 柏崎ベント運用で
東京新聞 2013年11月27日
 原子力規制委員会の田中俊一委員長は27日の記者会見で、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の審査をめぐり、東電が事故時の重要施設「フィルター付きベント」は地元の了解を得た上で運用を開始するとしていることに対し、「そのような前提では、われわれが認可をするようなことは多分ないだろう」との見解を示した。
 規制委は28日の審査会合でも、この点を東電にただすとみられる。
 フィルター付きベントは炉心溶融などで原子炉格納容器の圧力が高まった際に、容器の破損を避けるために蒸気を外部に放出する設備。 (共同)
 
 

泉田知事も仮名で登場する『原発ホワイトアウト』

 現役の官僚が匿名で書いた暴露小説『原発ホワイトアウト』が話題になっています。
 ビジネスジャーナル電子版27日号に小説の一部を紹介する記事が載りました。
 
 政治家や原子力規制委を手玉に取っている官僚の傲慢・狡猾さや、総括原価方式の下で得られる莫大な電力会社の利潤、裏の献金システムとなって結局政権を牛耳っているという現実(電力と政治家の癒着)も簡単に紹介されています。
 そして、明らかに泉田知事と分かる人物が登場し、再稼動反対を貫くその知事を失脚させるために特捜部が動きだし、小説ではそれが成功するというストーリーだということです。
 
 これについてはかつて、プルサーマル(プルトニウム混合燃料)の導入に強硬に反対した福島県の佐藤栄佐久知事(任期:1988~2006 5期)が、特捜部の国策捜査によって収賄金額ゼロ(=判決)の収賄罪で失脚させられた例があるので、これは極めてあり得ることです。国民は検察とそれに協力するマスメディアによる世論操作には、決してだまされないように注意する必要があります。
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原発再稼動、事故再来…
現役官僚が描く原発利権のリアルな構図と衝撃シナリオ
ビジネスジャーナル 2013年11月27日
 小泉純一郎元首相の発言で、原発問題が再びクローズアップされている。
 そんな中、原発問題をめぐる1冊の小説が話題を呼んでいる。福島原発事故後の日本を舞台に、政治家、官僚、電力会社、経済団体など、原発再稼動に蠢く魑魅魍魎を描いた『原発ホワイトアウト』(若杉冽/講談社)だ。
 この作品が注目されているのは、小説と銘打ちながらも、作者が匿名の“現役官僚”で、その内容は現実の原発事故後の“事実”に即しており、登場人物もモデルが特定できるなど、一種の暴露小説となっているからだ。そんなショッキングな話題性もあり、発売1カ月で6万5000部と売り上げを伸ばしているという。
 霞が関では、官僚たちが作者は誰なのかと、犯人探しに躍起になっているといわれるが、それだけ霞が関にとって都合の悪い現実が書かれているということなのだろう。ではどこが現実とリンクするのか、モデルは誰なのか、それらを検証する形で本書の“リアリティ”に迫ってみたい。
 
 福島原発事故から数年が経過した日本。物語は、政権を奪還した保守党(※自民党がモデル)、官僚、そして電力会社が三つ巴で原発再稼動に向けて動き出すことから始まる。三者の目的は、自らの原発利権を再び手中にすることだ。そのために、さまざまな工作を張り巡らしていく。
 そんな展開の中で政治家、官僚、電力会社それぞれの“本音”も随所に描かれている。
 
●傲慢な官僚の本音
 例えば、エリート官僚である資源エネルギー庁次長は、こううそぶく。
「(再稼動について)質問側の政治部記者も、回答する幹事長も、両方素人だ」
「素人の政治家や記者には、小売り自由化や発送電分離の制度設計の細部の書きぶりによって、電力会社の独占力がどれほど維持されるのかなど、わかりはしないのだ」
 エリート官僚が政治家を懐柔して、プライドをくすぐりながら、いかに自分たちの言いなりにさせるのかという手法や、「国民や政治家、新聞記者を欺くなど簡単だ」という、傲慢な官僚の本音が語られていく。
 また、原発を規制する役割を担う原子力規制委員会を意のままに操る手法も、詳細に描かれている。
「専門審査会とは別にワーキング・グループを置いちゃえばいいだろ。思想信条をよくチェックしてよ。目くらましで外国人とか女性学者とか入れちゃってよ」
「活断層じゃねぇ、って意見を一致させちゃえば」
「大衆は、きれいごとには賛同しても、カネはこれっぽっちも出さない。原発を再稼動させないと電力料金がどんどん上がる。という構図を示し、大衆に理解させれば、徐々に、アンチ原子力の熱は冷めていく」
 国民の安全など一顧だにしない恐ろしい発言ばかりだが、これが官僚たちの本音なのだろう。
 
●政治家と電力会社の癒着
 一方、政治家も政治家だ。
 「経済産業省の連中だって、今まで散々電力産業にたかって、おいしい目を見ていたのである。口では自由化だ、システム改革だと言いながらも、下半身は現世利益に関心がないわけではない」
 日本電力連盟(※電事連がモデル)理事の目を通しては、電力会社と政治家との癒着や政治献金の闇も描かれる。
 「政党交付金が表の法律上のシステムとすれば、総括原価方式の下で生み出される電力料金のレント、すなわち超過利潤は、裏の集金・献金システムとして、日本の政治に組み込まれる」
 「日本電力連盟が預かっている、年に400億円の、わずか0・01パーセントの額で、数年後に民自党(※民主党がモデル)に追い風が吹いても、日本電力連盟に逆らうことはない」
 抜け道だらけの政治献金システム、電力利権に群がる与野党の政治家、その双方をコントロールできるとうそぶく官僚構造、さらに骨抜きにされていく発送電分離構想──。作品では原子力規制委員会と電力会社の癒着も描かれているが、これもまた現実社会で起こったことと一致する。
 
●卑劣な裏工作の数々
 さらに日本電力連盟による、巧妙なマスコミ対策、世論誘導……。こんな卑劣なことが現実とはにわかには信じ難いかもしれない。が、これは小説という形式をとりながらの、現実に即した“内部告発”だ。
 例えば、小説には再稼動に強固に反対する新潟県知事も登場する。この新潟県知事のモデルもまた、現実の泉田裕彦知事その人だろう。小説では新潟県知事が、検察をも関与する裏工作によってスキャンダルをでっち上げられるが、実際の泉田知事もスキャンダル探しのために身辺を探られていることを明かしていた。
 小説の新潟県知事はついには失脚させられてしまい、新潟原発が再稼動され、福島事故の再来という恐るべき結末が待ち受けているのだ。
 原発事故から2年半。東京五輪開催も決定し、多くの日本人は原発事故などなかったかのような日常生活を送っている。本書は再稼動を他人事のように捕らえている日本に警告を与えるものだ。もう一度、東日本大震災を、福島第一原発事故を思い出せ、と。原発事故の再来は、日本の破滅でもあるのだから。  (文=編集部)
 
 

2013年11月27日水曜日

原発・放射能ニュース 2013.11.26~30

 電子版の各紙に載った原発と放射能に関するニュースを掲示します(但し公開の範囲)。記事の掲載は原則として書き出し部分に留めますので、全文はURLをクリックしてご覧ください(URL記載のないものは公開の全文です)。公開期限後表示されなくなった記事を読みたい方はコメント欄にお書き下さい。(返信欄に表示します)
 
11.30
 
東電「データ開示必要性ない」 訴訟で被災者に回答拒否 福島民友ニュース)
 東京電力福島第1原発事故で健康や地域を損なったとして、県内外の被災者約2000人が国と東電に原状回復や月額5万円の慰謝料を求めていた訴訟で、東電が「津波の試算データを開示する必要性はない」と回答を拒否していることが29日、分かった。原告団を支援する「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発事故被害弁護団が明らかにした。
  福島地裁(潮見直之裁判長)で12日に開かれた第3回口頭弁論で、潮見裁判長は原告側の主張に沿い、東電に2008(平成20)年までに津波を試算したデータ資料を提出するよう求めていた。弁護団は「東電の対応は、裁判所との約束を踏みにじる不当なもの」と怒りをあらわにした。2日に本県と東京で会見を開き、今後の対応を説明する。
 
共用プール建屋へ移送 福島第一 使用済み核燃料22体 (東京新聞)
   (12月1日「4号機の核燃料の取り出しは順調に推移」本文記事参照)
 
11.29
 
福島第1原発:6号機の核燃料764体移動を完了 (毎日新聞
 東京電力は29日、廃炉を検討している福島第1原発6号機の原子炉内に残っていた核燃料764体を、同じ建屋内の使用済み核燃料プールに移動し終えたと発表した。
 6号機は原発事故当時、定期検査中のため運転を停止していたが、事故後も原子炉内に核燃料が入った状態のままだった。東電は10月21日からプールに移す作業をしていた。
 6号機のプールに事故以前から保管されていた940体と合わせ、プール内の核燃料は計1704体となる。東電はこれらを当面、プールで冷却する。5号機(事故時は点検停止中)についても、原子炉内に残っている548体を、今後使用済み核燃料プールに移動する。【奥山智己】
 
11.28
 
燃料プールに監視用カメラ落とす 福島第1原発3号機 (東京新聞)
 東京電力は28日、福島第1原発3号機の使用済み核燃料プールで、水中のがれき撤去に向けた準備作業中、誤って監視用のカメラをプール内に落としたと発表した。カメラは重さ約5・5キロで、落下による燃料損傷の恐れはないとしている。
 東電によると、28日午前11時すぎ、監視用の水中カメラを遠隔操作で引き上げたところ、ケーブルが切れ、数メートルの高さから落下した。ケーブルを巻き上げすぎたことが原因で、巻き上げを止める安全装置も作動しなかったという。(共同)
 
廃炉・汚染水対策:200億円に政府、積み増しへ (毎日新聞)
 政府は28日、東京電力福島第1原発の廃炉・汚染水対策への国費投入を積み増す方針を固めた。既に、凍土遮水壁などに約470億円を投入する方針を決めているが、研究開発費として新たに200億円強を確保する方向で、対策の加速を図る。今年度の補正予算案に盛り込む方針だ。
 廃炉・汚染水対策をめぐっては、政府に国内外から780件の技術提案が寄せられた。政府は予算確保と並行して提案内容の検討を進め、有望な技術開発に国費を充てる方針。
 政府はこれまで廃炉・汚染水対策として、廃炉の技術開発に約1000億円を投入。このほか遮水壁の設置費用や汚染水を浄化する多核種除去装置(アルプス)の高性能化に計470億円を投入する方針を決めている。【清水憲司】
 
お寺が除染費用の賠償申し立て 東電に、福島県内 (東京新聞)
 真宗大谷派(本山・東本願寺、京都市下京区)に属する福島県内の五つの寺は28日までに、東京電力福島第1原発事故に伴い今後必要となる除染費用として、東京電力に計約4600万円の賠償を求め、原子力損害賠償紛争解決センターに申し立てた。支援する弁護団が明らかにした。大谷派は、寺がこれまでに取り組んだ除染費用を立て替える支援を始めた。
 賠償を申し立てたのは、福島市と二本松市、須賀川市、南相馬市の寺で、27日付。寺の名前は明らかにしていない。 (共同)
 
29日に使用済み核燃料移送 福島第1原発4号機 (東京新聞)
 東京電力福島第1原発4号機の使用済み核燃料プールから共用プール建屋への使用済み燃料22体の移送が29日となることが28日、関係者への取材で分かった。当初は28日とみられていた。
 2011年3月の原発事故以降、原子炉建屋から使用済み燃料が移送されるのは初めて。燃料の移送作業は2回目で、前回(18~22日)は高い放射線を出さず、比較的リスクの低い未使用燃料22体だった。
 東電は26、27日の2日間で使用済み燃料22体を4号機プール内で輸送容器(キャスク)に収納した。 (共同)
 
11.27
 
11.26
 
海側井戸から91万ベクレル 第1原発、過去最高値 (東京新聞)
 東京電力は26日、福島第1原発の海側にある観測用井戸の水から、ストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり91万ベクレルの高い濃度で検出されたと発表した。
 ベータ線を出す放射性物質はこれまで、海側の別の井戸で7月に検出された90万ベクレルが最高だった。
 今回の井戸は2号機の東側で海まで約40メートル。水は25日に採取した。
 事故直後の2011年4月に極めて高濃度の汚染水の海洋流出が確認された作業用の穴から約40メートルしか離れていない。 (共同)
 
福島原発4号機:「使用済み」22体取り出しへ (毎日新聞)
 東京電力は26日、福島第1原発4号機の使用済み核燃料プールから、2回目の燃料取り出しを始める。初回は安全性を優先して未使用の燃料を取り出したが、今回の作業では、事故後初めて使用済み燃料22体を取り出す。使用済み燃料は高い放射線を出すため、より慎重な作業が求められる。
 この日の作業は、18日に始まった初回とほぼ同じ工程。6班(各班6人)が2時間交代で臨む。まず輸送容器「キャスク」をプール内に沈め、22体を1体ずつクレーンでキャスクに詰める。キャスクへの収容後は、約30メートル下で待機するトラックに降ろし、約100メートル離れた保管設備「共用プール」に運ぶ。
 使用済み燃料の表面では毎時数千シーベルト以上という極めて高い放射線が出ている。キャスクへの燃料搬入は放射線を通さない水中で行われるほか、キャスク自体も放射線を遮蔽(しゃへい)する能力があり、東電は「トラブルさえなければ周辺環境への影響はほとんどないが、未使用燃料を扱った前回にも増して慎重に進めたい」としている。
 4号機プールには現在、計1511体(使用済み1331体、未使用180体)の燃料が保管されている。【鳥井真平】
 
 

内部被曝問題で医師が講演 ベラルーシの教訓を生かせ

 今春日本人医師有志とともにベラルーシを訪ねた相模原の医師・牛山さんが23日に地元で講演し、ベラルーシ得た医学的知見を紹介内部被曝・低線量被曝を軽視しないように訴えました。
 現地ではいま子ども呼吸器や消化器の疾患が増加していますが、やはり「チェルノブイリ事故によると公式には言えない」状況があり、「将来、日本でも何らかのがんや疾患が増えた場合、福島の事故の影響か立証が難しいため、対策が取られなかったり、遅れたりする事態が起こるかもしれない」ということです
 牛山さんは、一緒にベラルーシに赴いた有志とともに、被曝による健康障害を減らす医学的な提言を行うグループ結成し医学的な良心を果たしたいと述べています
 
 現在ベラルーシやウクライナで極めて多数の児童に深刻な健康障害が起きていますが、原発事故は約30年前のことなので、原因が汚染食品の摂取による内部被曝(低線量被曝)であることは明らかです。それなのに日本では何の警告も出されていないどころか、食品汚染の規制限度をキロあたり100ベクレルというような高い値に設定して、「食べて東北を応援しよう」などといわせているのは、恐ろしいことです。
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ベラルーシの教訓生かして 内部被ばく問題で医師が講演/相模原
神奈川コミュニティーサイト 2013年11月26日
  今からでも被ばくを減らすことを考えて-。相模原市南区の内科勤務医・牛山元美さん(56)が、原発事故による内部被ばくの問題と向き合い続けている。23日には緑区の橋本公民館で講演し、チェルノブイリ事故を経たベラルーシを今春訪ねた際に得た医学的知見を紹介。内部被ばくを軽視しない意識の必要性を訴えた。
 
  牛山さんは3月、日本人医師有志とともに、チェルノブイリのあるウクライナの隣国ベラルーシを訪問。現地の学術機関や検診医から事故後の現状について聞き取りを行った。
  講演会では、現地で得た知見として
▽事故後、甲状腺がんが増加した
▽甲状腺がんのリスクを地域別で分類し、検診を続けている
▽保養活動で内部被ばくの線量が低下した事例も出ている
などを挙げた。
  周辺都市では子どもに呼吸器や消化器の疾患が増加。「放射能の影響かどうか専門家の間でも論争が続いている」「子どもの病気が増えているが、公式に(事故が原因と)言えない」など、難しさを抱えながら原発事故後の健康被害の治療に当たる現地の声も紹介した。
  またベラルーシの甲状腺専門医から「日本は被爆国としてベラルーシへの検診体制整備を支援してくれた。なぜ福島以外で積極的な検診をしようとしないのか」との疑問が投げ掛けられたことも明かし、日本の対応の不備を強調した。
 
  牛山さんは「将来、日本でも何らかのがんや疾患が増えた場合、福島の事故の影響か立証が難しいため、対策が取られなかったり、遅れたりする事態が起こるかもしれない」と指摘。「例え発症率が1万分の5だったとしても、その5人が自分の子どもだったらと考えて」と当事者意識を持つように促した。
  今できることとして、「卵巣への蓄積による遺伝的影響について、分かっていないことが多い現実を誠実に受け止める」「低線量被ばくを今までの常識で否定したり、軽視したりしないこと。今からでも被ばくの回避を」と強調した。
  ともにベラルーシに赴いた有志と、被ばくによる健康障害を減らす医学的な提言を行うグループも結成した牛山さん。「医学的な良心を果たしたい。無関心や誤解に働きかけていく」と締めくくった。講演会は市立橋本公民館の利用者有志が企画した。
 
 

2013年11月26日火曜日

脱原発訴え埼玉県民集会 3500人が参加

  24日、さいたま市北浦和公園で「2013さよなら原発埼玉県民集会」が開かれました。
 会場で、自らも広島で被曝した肥田舜太郎医師、被団協の田中熙巳さん、ルポライターの鎌田慧さんたちが、「原子力は人類と共存できない」などと訴えました。
 集会には約3500人が集まりました。
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「人類と共存できぬ」脱原発訴え県民集会 3500人が参加/さいたま
埼玉新聞 2013年11月25日
 「2013さよなら原発埼玉県民集会」が24日、さいたま市浦和区の北浦和公園で行われ、広島で被爆した医師肥田舜太郎さん=同市=やルポライター鎌田慧さんらが「原子力は人類と共存できない」などと脱原発への思いを訴えた。
 
 集会には約3500人(主催者発表)が参加。肥田さんは広島と長崎への原爆投下と東京電力福島第1原発事故の対応の共通項を挙げて政府を批判。「もう一つ原発事故が起こったら日本は滅びる。今、非常に大きな危険にさらされているこの日本を、孫やひ孫や子孫のために、安心して生まれてこられるような国にしよう」と熱を帯びた口調で話した。
 日本原水爆被害者団体協議会事務局長で埼玉県原爆被害者協議会会長の田中熙巳さんは、福島第1原発事故で放射性物質が世界に拡散したと指摘した上で「原子力の怖さを知らなさ過ぎた。原子力は人類と共存できない。コントロールできる代物ではない。原発は全てなくすべき」と訴えた。
 鎌田さんは「原子力産業は兵器産業。全力を尽くして原発を止める運動をさらに強めたい」と強調した。
 
 集会では、上尾和太鼓の会「和駒」などが演奏を披露したほか、県内で脱原発や福島復興の支援活動をしている団体の代表者らが活動内容を報告。原発の計画的廃炉、再生可能エネルギーへの構造転換などを求める決議を採択した。
 参加者らは「原発いらない」「国民の声を聞け」などと訴えながら、浦和駅東口までの約3・5キロを行進。2歳のひ孫と参加した川口市の女性(70)は「この子のためにという思いもある。自分たちから声を上げて訴えていかなければいけない」と話していた。
 
 

栃木県北部の子育て世帯調査 内部被曝への不安

 栃木県北部の那須塩原市と那須町の幼稚園児を持つ親たちに対して行われた調査で、「内部被曝が大いに不安、またはやや不安」と答えた世帯が過半数に及びました。
 詳しい調査結果は12月に発表されるということです。
 
 いずれにしても国や県はただやみ雲に放射能の不安を否定するのではなく、各地域の空間線量や地産食品の放射性物質濃度の情報などをきめ細かく把握して、住民に知らせることに務めるべきです。
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内部被ばく不安多く 県北の子育て世帯調査
東京新聞 2013年11月25日
 (栃木)県北部の子育て世帯に対し、東京電力福島第一原発事故による放射能への不安を聞いた調査結果の報告会が二十四日、那須塩原市関谷のハロープラザで開かれた。宇都宮大の清水奈名子准教授(国際関係論)が報告し、住民ら十五人が聞いた。
 
 調査対象は、那須塩原市と那須町の三十八の保育園と幼稚園に通う子どもの親。対象の68%にあたる約二千二百世帯が回答した。
 「内部被ばくが子どもの健康に及ぼす影響に不安を感じるか」との問いでは、「大いに不安」または「やや不安」と答えた世帯が過半数にのぼり、関心の高さがうかがえた。
 調査では「同居の祖父母世代と放射能への考え方にずれがある」「市の除染事業や尿検査の存在を知らない」などの声も聞かれた。
 清水准教授は「事故は前例がなく、県北部が安全とも危険とも言い切れない」と述べた上で、「空間線量や食品の放射性物質濃度を測り、少しでも安心して過ごして」と訴えた。詳しい調査結果は十二月に宇都宮大で発表され、県や復興庁にも提出される。 (大野暢子)
 
 

2013年11月25日月曜日

森林地帯の土壌のセシウム汚染

 福島原発事故で森林に降り積もった放射性セシウムの大部分が土壌の深さ5センチ程度にとどまっていることが、23日までに日本原子力研究開発機構の調査で分かりました
 調査は北茨城市内の落葉広葉樹林で実施され、研究チームは「セシウムは土壌に沈着して動きにくいという従来の説が裏付けられた。表土を5センチ程度削り取るという除染の手法は問題ない」ことが、データで裏付けられたとしています。
 
 データが得られたこと自体は貴重ですが、安心材料と考えるのは勿論間違っています。
 現実には山野の表層の削土などは予定されていません。
 比較的表層に固定されるということは降水の度に低地に流れ、最終的に池や河川に流れ込んで流出先を汚染させます。
 
 また表層に固着しているセシウムは、そこに生成する植物に吸収されます。今年も東北地方をはじめ長野県や山梨県の山菜・キノコ類の放射能汚染や、それらを食用としているイノシシや熊などの野生動物(肉)の放射能汚染が報告されていますが、この汚染状況は今後もずっと継続するのは確実で、30年経ってやっと半減し、100年経ってようやく10分の1になるだけです。
 現実にチェルノブイリでは原発の事故から30年近くになりますが、いまもキノコなどが多大に汚染されていて、それを食用としている住民に深刻な放射能被害を与え続けています。
 
 極くごく限定された居住地域の、しかも不完全な除染しか念頭にない今の日本は、チェルノブイリの現実を確実に後追いしているといえます。
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森林のセシウム土壌5センチに沈着 周辺流出しにくく
原子力機構 北茨城で調査 移動ごくわずか 
茨城新聞 2013年11月24日
 東京電力福島第1原発事故で、森林に降り積もった放射性セシウムの大部分が土壌の深さ5センチ程度にとどまっており、地下水を通じた周囲への汚染は拡大しにくいことが、23日までに日本原子力研究開発機構の研究チームの調査で分かった。調査は北茨城市内の落葉広葉樹林で実施。研究チームは「セシウムは土壌に沈着して動きにくいという従来の説が裏付けられた。表土を5センチ程度削り取るという除染の手法は問題ない」としている。
 
 研究チームは事故から約2カ月後の2011年5月から今年7月にかけ、福島第1原発の南西約65キロの北茨城市内の落葉広葉樹林で調査を実施。落ち葉の層と土壌の深さ5センチ、同10センチの計3層の土と水分に含まれるセシウム134と同137の濃度を計測、各層の濃度がどのように変化したかを調べた。
 
 調査の結果、落ち葉に付着した大半のセシウムは、事故から約9カ月後の11年12月ごろまでには降水量の多い時期に雨水で洗い流され、深さ0〜5センチの土壌に浸透。さらに落ち葉や枝の分解で土壌への浸透が進んだ。
 しかし、その後の土壌中でのセシウムの移動はごくわずかで、11年12月と12年8月の各層のセシウム137の蓄積量や割合に、大きな変化は見られなかった。
 深さ10センチに到達したセシウム137は、11年度が年間で全体の0・2%程度、12年度は0・1%程度とわずかだった。
 調査期間中、深さ10センチまでのセシウム137の量は1平方メートル当たり約20キロベクレルとほぼ変わらなかった。
 
 チームの中西貴宏研究員は「(セシウムが)土壌中を移動する割合はごくわずかで、地下水によって森林地帯から周辺には流出しにくいと考えられる」と説明。ただ「今後も長期的な調査が必要」としている。
 調査結果について研究チームは、福島県山間部の約7割を占める落葉広葉樹林に降り積もったセシウムの移動の実態解明と、将来予測につながると期待している。(小池忠臣)