2013年5月31日金曜日

泉田知事は浄水汚泥の県外処分を承知していないと

 
 泉田新潟県知事は、新潟市が放射性セシウム濃度がキログラム当たり100ベクレルを超える浄水汚泥の一部を県外業者に委託して処理する方針を固めたことについて「承知していない。ダブルスタンダードになっている」と述べました。
 知事が早くから東電に対してこれらの汚泥を「低レベル放射性廃棄物」として引き取るよう要求しているにもかかわらず、東電がいまだに対処を明確にしていないなかで起きた事態です。
 
 知事がダブルスタンダードと述べたのは、これまで放射性廃棄物の処分は原子力基本法で、発電所エリア内で200リットルドラム缶で厳重に保管し放射能レベルなどに応じてそれぞれ処分していたのに、原発事故後は、各自治体処理するようにと国が変更したこと指しています。

 新潟日報の記事を紹介します。
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泉田知事「二重基準」と指摘 新潟市の汚泥処理県外委託
新潟日報 2013531
 泉田裕彦知事は30日の会見で、新潟市が放射性セシウム濃度が1キログラム当たり100ベクレルを超える浄水汚泥の一部を県外業者に委託して処理する方針を固めたことについて、「承知していない」とした上で「(放射性廃棄物の基準が)ダブルスタンダードになっている。配慮が必要ではないか」と述べた。
 国は、東京電力福島第1原発事故で発生した放射性セシウム濃度が1キログラム当たり100~8千ベクレルの汚泥は自治体に処理するよう求めている。これに対し知事は、従来の放射性廃棄物の管理基準と異なるとして東電に引き取りを求めている。
 会見で知事は放射性廃棄物の管理について「原発の構内外で基準が違う。整合性のある施策を取る必要がある」と強調。引き取りについては「東電が具体的に検討していると承知している」と話した。
 新潟市水道局はセシウム濃度100ベクレル超のうち濃度が低めの汚泥を委託処理に回すとして、「他の材料と混ぜて再利用した製品段階で100ベクレル以下になれば、原子炉等規制法の基準に整合する。知事の発言は把握していないが、ダブルスタンダードとの指摘はよく分からない」としている。
 東電広報部は引き取りについて「社内で検討しているが、回答できる状況には至っていない」とした。
 
 

2013年5月30日木曜日

規制委が福島1号機4階冷却装置周りを現地調査

 福島原発の地震直後(=津波が来襲する前)に、1号機建屋4階の緊急冷却装置付近で水漏れがおきていたとされる件について、30日、原子力規制委が初の現地調査を行います。
 この件は国会事故調査委員会でも注目され当時現地調査を行う予定にしていたのですが、東電側が「現地は照明もなく真っ暗で調査は不可能」と説明したために中止されました。しかしその後東電の説明が虚偽であったことが分かり国会で追及を受けました。

 東電はこれまで一貫して「原発事故は想定外の津波によるものである」と主張してきましたが、もしも4階の緊急冷却装置周りの破損が確認されれば、地震の直後にその付近で「水漏れを見た」という証言との整合性から、「地震により破損が起きた」とみなされ装置の耐震性に問題があったことが明らかになります。

 以下にNHKニュースを紹介します。
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原発事故検証 規制庁が初の現地調査
NHK NEWS web  2013年5月30
東京電力福島第一原子力発電所の事故の検証を始めた国の原子力規制委員会は、検証のための初めての現地調査を30日から行い、派遣する原子力規制庁の職員が1号機の内部に入って、地震の直後に起きた原因不明の水漏れについて調べることになりました。
しかし放射線量が高いため、現場での調査は10数分程度にとどまる見通しです。

原子力規制委員会は、原発事故の教訓を今後の安全規制に反映させるため今月から事故の検証を始めていて、1日の初会合では、国会の事故調査委員会が地震での損傷の可能性を指摘した1号機の冷却装置を巡って議論しました。
これを受けて規制委員会は、検証のための初めての現地調査を30日から行い、派遣する原子力規制庁の職員5人が、31日、1号機の内部の建屋4階に入り、地震の直後に冷却装置の近くで目撃された、原因不明の水漏れについて調べることになりました。
調査では、「水漏れを見た」という作業員の証言を基に現場の状況を調べるほか、東京電力による「上の階にある燃料プールの水が空調設備を通して漏れた」という説明が妥当かどうかを、設備の損傷の状態から調べる予定です。
しかし放射線量が高いため、現場での調査は10数分程度にとどまる見通しで、今回の調査でどこまで解明できるかは不透明です。
規制委員会は、現地調査の結果を来月開く2回目の会合で議論し、冷却装置近くの水漏れについて検証していくことにしています。
 

国連人権理報告を受けて緊急集会 共同アピール

 福島原発事故被災者の人権状況について日本政府に対する改善を勧告した国連「健康に対する権利」特別報告者アナンド・グローバー氏報告を受けて、29日、参議院議員会館で緊急院内集会「原発事故後の人権状況    国連人権理事会でのアナンド・グローバー氏勧告を受けて」かれました(主催:国際環境NGO FoE Japan)

 集会には福島原発の被害救済に取り組む支援団体、研究者、弁護士および事故の被害に苦しむ被災者たちが参加し、それぞれの立場から勧告を評価する発言がありました。そして日本政府に対する共同アピールが採択されました
 
 以下に共同アピールを掲載します。
       (註.「避難の権利」ブログ2013年5月29日より引用しました。同ブログのURLは下記です。   http://hinan-kenri.cocolog-nifty.com/blog/2013/05/post-822a.html 
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【共同アピール】

私たちは国連「健康に生きる権利」特別報告者の勧告を歓迎します
日本政府は勧告を受け入れてください。
原発被害者の「生きる権利」を保障してください。
抜本的な政策の見直しを行ってください。

 原発事故は終わっていません。多くの原発事故被害者が、故郷を奪われ、放射能被ばくによる健康への不安の中での生活が強いられています。多くの避難者が、避難先での生活の再建ができずに苦しんでいます。

 日本政府は「年20mSv」を基準とした避難政策を採用しました。これにより、多くの被害者が、「自主的避難」の名のもとに、賠償のあてもない避難を強いられました。さまざまな事情から避難したくても避難できずに高い汚染地域での生活を強いられている方々もたくさんいます。
 
 現在、年20mSvを下回ると判断された地域は避難解除が進められています。
 たとえば伊達小国地区の特定避難勧奨地域は昨年12月に、住民に何ら説明がなく、いきなり指定が打ち切りになり、その3か月後には賠償も打切りになりました。避難住民たちは「兵糧ぜめ」により、帰還を迫られている状況なのです。この点は、国連特別報告者の報告の通りです。

 また、福島県県民健康管理調査に対しては、調査の対象が狭く、内容も不十分で、情報開示にも問題があることを多くの住民、専門家や弁護士が指摘してきました。これらの点の多くは、国連特別報告者の報告に含まれています。
 さらに、昨年6月に制定された原発事故子ども・被災者支援法の基本方針は未だ策定されておらず、実施されていないことは国連特別報告者による報告の通りです。
 今回の国連特別報告者アナンド・グローバー氏がまとめた報告書は、原発被害に苦しむ多くの人々と、多くの支援者の声をもとに作成したものです。
 私たちはこれを支持し、歓迎します。

 私たちは、日本政府がこの報告に真摯に耳を傾け、現在までの避難、賠償、健康対応に係る政策を抜本的に見直すことを求めます。とりわけ、この勧告に従い、追加被ばく線量1mSvを下回るまで、帰還が強制されないこと、賠償を継続すること、また、少なくとも追加被ばく線量1mSv以上の人々を対象とした健康調査を行うことを求めます。さらに、原発事故の収束作業員および除染作業員の長期的な健康管理に関して、被ばく量によらず国が責任をもって取り組むことを求めます。
2013年5月29日
「緊急集会 原発事故後の人権状況」参加者一同
 
 

2013年5月29日水曜日

政府は「福島」住民保護政策の根本的転換を

 国際人権NGO ヒューマンライツ・ナウが、「国連『健康に対する権利』特別報告者の勧告に基づき、日本政府は今こそ、原発影響後の住民保護について、抜本的な政策転換を図るべき」とする声明を発表しました。

 先の国連特別報告者アナンド・グローバー氏の福島調査報告に基づいてのもので、健康管理調査の改善を求める報告者の勧告を支持・歓迎する立場から、政府は安全な環境、少なくとも年間1mSv以下の環境で生きる権利を人々に保障すべきこと、年間1mSv以上の地域に居住するすべての住民と原発労働者に対して包括的で長期間にわたる健康調査を実施すべきこと、その健康調査も血液・尿検査も含めすべての可能性のある疾患・症状に調査範囲を拡大すべきこと、また子どもに対する甲状腺検査のあり方を抜本的に改めるべきことなどを要求しています。

 日本政府は国連特別報告に対して27日、特別報告者の勧告には多くの誤解があるとして、「年間被ばく線量が最大20mSvまでなら居住しても安全と明言したことはない 日本政府は国際放射線防護委員会(ICRP)の見解に従っており問題はない」などと反論したようですが、「特定避難勧奨地点」に指定する条件が年間線量20mSv以上ということは、「それ以下であれば居住すべし」ということに他なりませんし、英国のNPO民間団体であるICRPは「年間100mSvを超えなければガンなどの被害は確認されていない」と主張し低線量被曝を認めていない団体なので、そこの基準に準拠してみてもとても国民の被曝による被害は防止できません。

 以下の記事はヒューマンライツ・ナウ事務局長伊藤和子弁護士のブログからのものです。ブログに「是非拡散してください」と書いておられるのでそのまま紹介します。 
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国連特別報告者の勧告を受け、福島原発事故後の対応の抜本的な改善を
 2013年5月28日
人権は国境を越えて 弁護士伊藤和子のダイアリー

 ジュネーブに来ています。国連人権理事会に出席していますが、主な目的は、国連特別報告者アナンド・グローバー氏の福島調査報告の傍聴と意見表明、関連イベントです。
 井戸川元双葉町長ほか、住民の方とご一緒です。
  この報告書・勧告ですが、たいへん素晴らしいものです。こらちでみなさんがもりもりがんばってくださり、すべて和訳しましたので、是非ご確認ください。
 ヒューマンライツ・ナウでは、以下のステートメントを公表しました。
 これが一つの転機になることを強く望んでいます。是非拡散いただけると嬉しいです♪

福島: 国連「健康に対する権利」特別報告者の勧告に基づき、日本政府は今こそ、原発影響後の住民保護について、抜本的な政策転換を図るべき

 2013年5月27日、国連「健康に対する権利」に関する特別報告者アナンド・グローバー氏は、国連人権理事会に対し、福島原発事故後の人権状況に関する事実調査ミッションの報告書を提出し、日本政府に対する詳細な勧告を提起した。
 この調査ミッションは2012年11月の特別報告者来日時に実施されたものである。
 東京に本拠を置く国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ(Human Rights Now)は、この報告書と提言が示す明確な結論を歓迎する。

 福島原発事故により放出された放射性物質の影響により、今も周辺住民、特に妊婦、子ども、若い世代は深刻な健康リスクにさらされている。多くの人々は、政府の設定した「年間20ミリシーベルト」という避難基準のもと、放射線量の高い地域に住み続け、移住・避難のための経済支援も十分な健康対策も図られていない。政府は、「100ミリシーベルト以下の低線量被曝は安全」との見解を普及し、低線量被曝の影響を過小評価し、すべての政策をこうした見解に基づき、住民の意見を十分に反映しないまま決定・実行してきた。
 こうした状況のもと、特別報告者は、低放射線被ばくの健康影響に関する疫学研究を丁寧に指摘し、低線量被曝の影響が否定できない以上、政府は妊婦や子どもなど、最も脆弱な人々の立場に立つべきだと指摘し、「避難地域・公衆の被ばく限度に関する国としての計画を、科学的な証拠に基づき、リスク対経済効果の立場ではなく、人権に基礎をおいて策定し、公衆の被ばくを年間1mSv以下に低減するようにすること」(勧告78(a)) を勧告した。また、帰還について「年間被ばく線量が1mSv以下及び可能な限り低くならない限り、避難者は帰還を推奨されるべきでない」と指摘した。
 これは公衆の被ばくを年間1mSv以下にするよう明確な基準を求めた、極めて重要な勧告である。
 私たちは、日本政府に対し、この勧告を受け入れ、公衆の被ばく限度を厳格に見直し、安全な環境、少なくとも年間1mSv以下の環境で生きる権利を人々に保障するよう求める。
 同時に、特別報告者の勧告に従い、学校教育その他の情報提供にあたり、低線量被曝の安全性でなく、リスクを正確に教育・情報提供するよう求める。
 特別報告者が正確に分析している通り、健康影響調査は極めて限定的で不十分であり、私たちは健康管理調査の改善を求める特別報告者の勧告を支持・歓迎する。
 政府は、年間1mSv以上の地域に居住するすべての住民と原発労働者に対して包括的で長期間にわたる健康調査を実施すべきであり、血液・尿検査も含め、すべての可能性のある疾患・症状に調査範囲を拡大すべきである。
 また、特別報告者が詳細に指摘する通り、検査の頻度、情報へのアクセス、セカンド・オピニオンの保障の点で、子どもに対する甲状腺検査のあり方を抜本的に改めるべきである。
 政府は、原発被災者への対応を怠っており、20126月に成立した基本法である「子ども被災者支援法」については、約1年経過後も、基本計画を策定せず、原発被災者の切実な要望を放置している。
 この点、特別報告者は、同法によって支援を受けるべき人々は、事故当時居住していた地域が1mSvを超えて汚染されたすべての地域であるべきだ、と指摘する。そして、政府に対し、「移住、居住、雇用教育、その他の必要な支援を、年間1mSv以上の地域に居住、避難、帰還したすべての人に提供する」よう求めている。
 これは、健康の権利を保障するために、重要かつ合理的な勧告である。私たちは、政府に対し、この勧告を直ちに実現し、影響を受けたすべての地域の居住者・避難者を対象とする包括的な施策の実施を進めるよう求める。その際には、住民、特に子どもや母親など、脆弱な立場に置かれた人々の声を十分に聴き、政策決定への参加を求めるべきである。
 このほか、特別報告者の報告・勧告は、事故原因、緊急対応、復旧、生活再建、放射線からの保護に関する日本政府のこれまでの政策を包括的・客観的に検証し、健康の権利の視点から明確で具体的な改善点が勧告として提示されている。
 政府はひとつひとつの指摘に誠実に向き合い、政策の改善・変更を行い、明確なタイムテーブルを決めて直ちに実行すべきである。
 福島原発事故から2年以上が経過したが、政府の対応は、チェルノブイリ事故等の住民保護政策から見ても著しく劣悪であり、極めて不十分な対策しか講じられないまま今日に至っている。
 私たちは、今回の国連特別報告者の調査報告書提出を契機に、日本政府と東京電力に対し、改めて原発事故の影響を受けた人々に対する政策の問題点を真摯に反省し、勧告を誠実に実施するとともに、人権の視点に立った抜本的な政策の改善を求める。
 それは、子どもや将来世代への深刻な健康影響を防ぐ唯一の道であると考える。
 以 上
 
 

2013年5月28日火曜日

原発事故時福井県は最大98万人が避難対象

 市民グループが、昨年9月に福井県が行った放射性物質の拡散シミュレーションに関する情報の開示請求を行ったところ、敦賀原発で福島原発と同規模の事故が起きた場合、岐阜県内だけで最大98万人が避難対象になることが分かりました。
 この試算は「年間放射線量が20ミリシーベルト以上の地域住民」を避難対象としたものなので、先に国連人権理事会報告が警告したとおりの人権無視レベルで線引きしても、なおこうした膨大な要避難者数になるということです。
 もしも1ミリシーベルトで線引きをしたらどれほど膨大な数になるのでしょうか。国土狭小=高人口密度の日本にはもともと原発の設置など無理なことが、こうした事例からも良く分かります。

 なお若狭湾沿岸には、敦賀発電所2基、美浜発電所3基、大飯発電所4基、高浜発電所4基、もんじゅ1基の計14機の原発が設置され原発銀座(でかつ活断層銀座)といわれているところなので、他の原発が事故を起こした場合でも似たような結果になると思われます。(1586年の天正地震では津波が発生しました)

 以下に毎日新聞の記事を紹介します。
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敦賀原発:福島と同規模事故で最大98万人避難対象 岐阜
毎日新聞 2013年05月27日

 日本原子力発電敦賀原発(福井県敦賀市)で東京電力福島第1原発事故と同規模の事故が発生した場合、岐阜県内で最大約98万人が避難対象になりかねないことが、市民グループ「さよなら原発・ぎふ」の県への情報開示請求などで分かった。グループ代表の石井伸弘さん(40)は27日に記者会見し「100万人の避難は無理。敦賀半島のすべての原発を廃炉にすべきだ」と訴えた。

 開示された資料は、県の放射性物質拡散シミュレーションで年間放射線量20ミリシーベルト以上になる区域の人口。最大で県内19市町の「約75万人」に上り、13市町では9割以上の住民が避難対象になることがグループの調査で分かった。この数値のエリアは、福島原発事故では計画的避難区域に指定され全域避難を強いられた。
 一方、一部が20ミリシーベルト区域に含まれる岐阜市は「最悪のケース」で全市民約41万人の避難を想定。市民グループによると、20ミリシーベルト区域外の住民を加えれば、避難対象は「約98万人」に膨れあがる。県の人口(約205万人)の半数近い数字だ。
 県は昨年9月、敦賀原発で事故が起きた場合の放射性物質の拡散シミュレーションをまとめた。「約75万人」の前提となる最悪のケースは、7月に梅雨前線が本州南側に停滞した場合で、北西の風に乗った放射性物質が滋賀県から岐阜県南西部に広範囲に拡散することを想定している。岐阜県は敦賀原発の南東に位置し、県北西部の揖斐川町が30キロ圏内に含まれる。
 石井さんは「被害のリスクをゼロにする方向に国や県はかじを切ってほしい」と訴えた。【加藤沙波】

2013年5月27日月曜日

原発・放射能ニュース 13.5.26~5.31

 

原発・放射能ニュース 13.5.265.31

 電子版の各紙に載った原発と放射能に関するニュースを掲示します。記事の掲載は書き出し部分に留めますので、全文はURLをクリックしてご覧ください。公開期限後表示されなくなった記事を読みたい方はコメント欄にお書き下さい。(返信欄に表示します)


5.31

燃料棒接触新たに2体 柏崎刈羽原発、東電が中間報告
新潟日報 2013年5月31日
 東京電力柏崎刈羽原発の使用済み燃料プールにある燃料集合体に燃料棒同士の接触が見つかった問題で、東電は31日、追加調査の結果、5号機で燃料棒同士の接触が新たに2体あったと発表した。東電は同日、燃料棒と通水管の変形や接触について、安全性への「影響は小さい」とする評価結果などを盛り込んだ中間報告書を原子力規制委員会に提出した。
 
原発集団訴訟初弁論 国・東電、請求棄却求める
東京新聞 2013年5月31日
 東京電力福島第一原発事故で被災した福島県民らが国と東電に損害賠償などを求め、全国の四地裁・地裁支部に起こした集団訴訟で、千葉県に避難している八世帯・二十人が原告となった訴訟の第一回口頭弁論が三十一日、千葉地裁(多見谷寿郎裁判長)で開かれた。国と東電は請求の棄却を求めた。 
 一連の訴訟は、原発事故をめぐる国の法的責任を問う初の集団訴訟と位置付けられている。国はこの日、答弁書で「原発事故の責任原因全てを争う」として全面的に争う姿勢を示した。しかし、原告の訴えに対する国の具体的な主張は「整理して次回以降に行う」と述べるにとどまった。

東電説明会、地下水放出計画に批判相次ぐ 
TBSニュース 2013年5月31日
 東京電力は30日、地元の漁業関係者を対象に福島第一原発の「地下水」を海に放出する計画について説明会を開きましたが、出席者からは計画に批判的な声が相次ぎました。
 説明会では、東京電力の新妻常正常務が「汚染水問題の解決には地下水バイパスが必要」と話し、集まった漁業関係者に理解を求めました。説明を聞いた出席者からは、「海に流した水の監視は誰がするのか」「消費者の理解を得る対策も必要だ」などといった声が相次ぎました。
 「(建屋近くの水が)地下水に混ざった瞬間、『汚染水』になるでしょ。(汚染水が)出ないとは言い切れないよね。染み出してんだから。それが全部きれいな水だとは言えない」(説明会に参加した人)
 説明会は6月、別の地域でも開かれ、その後、それぞれの漁協が話し合い、地下水放出に対する態度を決めることになっています。 (以上全文)

5.30 

汚染水で凍土遮水壁の実施指示 経産相、福島原発周囲に
東京新聞 2013年5月30日
 福島第1原発で増え続ける汚染水対策で、茂木敏充経済産業相は30日、東京電力の広瀬直己社長を呼び、建屋周囲の土壌を凍結させて遮水壁を設け、地下水の流入を抑制するよう指示した。この日開かれた政府の汚染水処理対策委員会が「凍土遮水壁」を有力な対策として取りまとめた。6月に改定する廃炉工程表に盛り込む。
 政府は、遮水効果が高く、施工が容易と判断した。2013年度内に有効性を検証した上で、15年度前半の運用開始を目指す。設置費用は数百億円の見込み。有効性の検証にかかる費用は国が負担する。 経産相は「政府も一歩前に出て予算や制度の措置を検討し支援したい」と述べた。 (共同)  (以上全文) 

原発事故避難の26人が提訴 東電と国に7億円賠償求める
東京新聞 2013年5月30日
 東京電力福島第1原発事故で避難生活を続ける26人が30日、ふるさとを失ったとして、東電と国に計約7億7千万円の損害賠償を求める訴えを、福島地裁に起こした。
 訴えによると、原告は第1原発がある双葉町、大熊町などに住んでいたが、避難区域となり、仕事や地域のつながりを失った。
 双葉町からいわき市に避難している原告の福田祐司さん(64)は記者会見で「借り上げ住宅は狭く、息苦しい。人間関係を築くのも難しい」と訴えた。馬奈木厳太郎弁護士は「元の生活に戻せないのであれば、避難者が新しい土地で生活を再建できるような賠償を求める」と話した。(共同) (以上全文)

浪江町民1万1602人申し立て 原発事故の精神賠償増額
福島民報 2013年5月30日
 東京電力福島第一原発事故で損害を受けたとして、浪江町の町民1万1602人は29日、東電に対し精神的損害賠償の増額や町内全域の除染を求め、原子力損害賠償紛争解決センターに裁判外紛争解決手続き(ADR)を申し立てた。同日、東京都内で記者会見した馬場有浪江町長は「(原発事故による)町民の苦しさや悔しさは月日がたつほど強くなっている。申し立てには町民の怒りがこもっている」と強調した。
 
自殺の酪農家遺族が東電を提訴 「原発事故で悲観」
東京新聞 2013年5月30日
 東京電力福島第1原発事故で将来を悲観して自殺した福島県相馬市の酪農家菅野重清さん=当時(54)=の妻バネッサ・アボルドさん(35)と息子2人が30日、東電に約1億2600万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
 菅野さんは乳牛約40頭を飼育。事故後、原乳が出荷停止になった。フィリピン国籍のバネッサさんが子どもたちと一時帰国していた2011年6月10日、牧場の小屋で自殺。壁に「原発さえなければ」「仕事をする気力をなくしました」と書き残していた。 バネッサさん側は、家族が離散して将来の展望も開けず、うつ病を発症したと主張。(共同) (以上全文)

指定廃棄物処分場問題 鹿沼市長、知事発言に不満
 東京新聞 2013年5月30日
 鹿沼市の佐藤信市長は二十九日の記者会見で、「指定廃棄物」の最終処分場をめぐる市町村長会議で議論が進まない現状に関し「『市町長が理解しないので、ことが運ばない』という形で進んでいるが、そうではない」と不満を示した。
 
指定廃棄物の最終処分場 宮城設置に異論相次ぐ
河北新報 2013年5月30日 
 福島第1原発事故で発生した指定廃棄物(放射性セシウム濃度1キログラム当たり8000ベクレル超)の最終処分場を宮城県に設置する方針をめぐり、環境省は29日、県と35市町村長に説明する会議を仙台市で開いた。一部の首長から国の方針への異論が出され、国は設置への理解を求めた。
 
セシウム汚泥県外処理へ、新潟市
新潟日報 2013年5月30日
 東京電力福島第1原発事故後、県内の浄水場に放射性セシウムを含む汚泥がたまり続けている問題で、新潟市が県外業者に一部の処理を委託する方針を固めたことが29日、分かった。対象は県の意向などから処分が進んでいなかったセシウム濃度1キログラム当たり100~8000ベクレルの汚泥。新潟市は県内最大量を保管するが、委託により今後の増加は抑えられるとみられる。
 複数の市関係者によると、100ベクレル超の汚泥の発生が続く阿賀野川流域の他の水道事業者と協力し、委託契約に向け最終調整している。他の材料と混ぜてコンクリートや工事用の盛り土などに再利用できるとされる、100ベクレルに近い汚泥を優先的に引き取ってもらうことを検討している。 県内では南魚沼、見附両市も既に100ベクレル超の汚泥を県外の業者に委託して処理している。 (以上全文)
 
電力4社、7月にも原発再稼働申請 伊方・川内など8基
朝日新聞 2013年5月30日
 原子力規制委員会が原発の新しい規制基準を7月に定めるのを受け、北海道、関西、四国、九州の4電力会社が計8基の原発について7月中にも規制委に再稼働のための審査を申請する見通しになった。東京電力も早期申請に向けて準備を進めている。 
 規制委は7月18日までに新基準を定める。この基準に基づいて、電力会社が申請した原発の安全対策などを審査し、再稼働を認めるかどうかを判断する。 
 早期に申請するのは、北海道電の泊原発1~3号機(北海道泊村)、関電の高浜原発3、4号機(福井県高浜町)、四電の伊方原発3号機(愛媛県伊方町)、九電の川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)。(以上全文)

5.29

1号機復水器を調査へ=福島第1、損壊原因で対立-規制委
時事通信 2013年05月29日
 原子力規制委員会は29日、東京電力福島第1原発1号機の現地調査を30、31の両日に行うと発表した。国会の事故調査委員会が、津波の到達前に地震の揺れで損傷した可能性を指摘した原子炉建屋4階の非常用復水器配管などが対象となる。
 東電は地震による損傷はないと主張している。調査結果は、規制委に設置された事故分析の専門家会合に報告される予定。(以上全文)

日本海溝に微量セシウム=事故4カ月後に検出-海洋機構
時事通信 2013年05月29日
 海洋研究開発機構などが2011年7月、水深7000メートル超の日本海溝付近を無人探査装置で調査したところ、海底の堆積物から東京電力福島第1原発事故で飛散したとみられる放射性セシウム134が検出されたことが分かった。濃度は1グラム当たり0.02ベクレルと微量だが、事故のわずか4カ月後に深海底まで影響が及んでいた。29日付の英科学誌サイエンティフィック・リポーツに発表した。(以上全文)

もんじゅ再開準備中止に=規制委が決定、点検漏れ問題
時事通信 2013年05月29日
 日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の機器1万点近くで点検時期の超過が見つかった問題で、原子力規制委員会は29日、原子力機構に対し、運転再開に向けた準備作業を当面進めないよう命令することを正式に決定した。原子炉等規制法に基づく措置で、再発防止や安全管理の徹底を求める。
 
敦賀活断層で安全報告を命令へ…規制委が原電に
 読売新聞 2013年05月29日
 原子力規制委員会は敦賀原子力発電所(福井県)の2号機直下にあるとした活断層が動いた場合、施設の安全性が確保できるかを日本原子力発電に調査して報告するよう命じる。
 29日の定例会合で決定した。2号機は運転を停止しているが、建屋内のプールで1700本の核燃料を保管しており、冷却水を失った場合の影響などを確認させる。必要があれば安全対策も求める。 http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20130529-OYT1T00595.htm?from=top 

放射性ヨウ素など残留 第1原発の汚染水処理設備
福島民友ニュース 2013年05月29日
 東京電力福島第1原発構内で発生する大量の汚染水から放射性物質を取り除く「多核種除去設備(ALPS)」の試験運転で、東電は28日までに、当初から同設備で除去できないとしていたトリチウムに加え、一部の放射性ヨウ素などが除去しきれずに残留していると原子力規制委員会に報告した。東電は設備内の吸着材の量や配置などを変更して放射性ヨウ素などを除去できるか確認するとしているが、汚染水対策の「切り札」と期待された設備が不十分となれば、抜本的な解決がさらに遠のくことになる。
 試験運転による処理水から残留が確認されたのは、ヨウ素129、コバルト、ルテニウムなど。このうちヨウ素129は濃度の法令限度1ミリリットル当たり0.009ベクレルに対し、0.0069ベクレル含まれていた。ヨウ素129の半減期は約1600万年。
 ALPSの試験運転前に行われた実証実験では、ヨウ素129などは検出限界値未満で、東電はALPSについて62種の放射性物質を除去できるとしていた。(以上全文)

三春のコシアブラが基準値超 8市町村は出荷停止
福島民友ニュース 2013年05月29日
 県は28日、13市町村で採取した栽培キノコと山菜計9品目26点の放射性物質検査結果を発表、三春町の野生コシアブラ2点から食品の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を上回る放射性セシウムを検出した。
 県は基準値を超えた野生コシアブラの出荷自粛を同町に要請した。自粛要請した山菜は市場に流通していない。
 また、政府は同日、放射性物質検査で基準値を上回った田村、本宮、会津坂下、中島、矢吹、小野、玉川、平田の8市町村のコシアブラ、須賀川市と本宮市の野生タラノメ、葛尾村のタケノコについて、出荷しないよう県に指示した。いずれも県の検査で基準値を上回ったため、県が市町村に出荷自粛を要請していた。(以上全文)

村山市産ワラビから基準値超のセシウム (山形)県産の山菜、2種類目
山形新聞 2013年05月29日
 仙台市は28日、市内の量販店に納品された村山市産のワラビから国の基準値(1キログラム当たり100ベクレル)を超える放射性セシウム120ベクレルが検出されたと発表した。
 仙台市によると、市が27日に実施した定期サンプリング検査で分かった。在庫は全て店舗に保管されており、流通していない。村山市が関係者に自生ワラビの出荷自粛を要請するほか、県は29日に同市などのワラビについて検査を行う。
 本県産の山菜から基準値を超える放射性物質が検出されるのは最上町産のコシアブラに次いで2種類目。 (以上全文)

玄海原発:長崎県漁連が再稼働反対デモ 7月にも
毎日新聞 2013年05月29日
 長崎県漁連は、九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働に反対する大規模な海上デモを実施する方針を決めた。漁船2000隻の参加を目指し、7月にも同原発周辺海域で展開する。原発事故時の漁業対策が放置され、安全が確保されないと判断した。全漁連(東京)によると、都道府県単位で再稼働を巡る反対行動は初めてとみられる。長崎県漁連の組合員は全国最多で、自治体などの再稼働判断に影響を与える可能性がある。
5.28

原発事故賠償の特例法案成立へ 時効過ぎても請求可能に
東京新聞 2013年5月28日 
 参院文教科学委員会は28日、東電福島第1原発事故の被災者が民法の損害賠償請求権の時効(3年)を過ぎても東電へ賠償を求められるようにする特例法案を全会一致で可決した。東電と和解交渉中に時効が成立する心配をなくし、国の紛争解決の仕組みを活用した賠償手続きを後押しする狙い。29日の参院本会議で成立する見通し。
 被災者と東電の和解交渉は、国の「原子力損害賠償紛争解決センター」が仲介している。法案は、センターに申し立てた仲介が不調に終わった場合打ち切りの通知から1カ月以内であれば、3年を経過していても損害賠償請求訴訟を起こせるとしている。(共同) (以上全文)

山形で内部被ばく検査 6月21日から車両派遣
福島民友ニュース 2013年5月.28日
 県は6月21日、山形県への避難者を対象にした初の内部被ばく検査を開始する。内部被ばくの度合いを測るホールボディーカウンター(WBC)を搭載した県の検査車両1台が8月5日まで山形県米沢、山形、鶴岡3市を順番に訪れる。
 県の検査車両を派遣して県外避難者の内部被ばく検査を行うのは、3月の栃木県に続いて2回目。山形県は本県から最も多い避難者を受け入れており、4歳児以上の約2000人の検査を見込んでいる。
 県は27日、検査について山形県への避難者に通知を始めた。申し込みが必要で6月3日から受け付ける。1日当たり約70人が検査を受けられる。検査費は無料だが、会場までの交通費は自己負担となる。
 申し込み、問い合わせは県民健康管理課の専用番号(電話080・5743・5867、5868)へ。受付時間は午前9時~午後5時(土、日曜日、祝日を除く)。 (以上全文)

原発避難基準の厳格化を 国連報告者、日本に要求
産経新聞 2013年5月.28日
 東京電力福島第1原発事故の被災状況を調査した国連人権理事会の健康問題に関する特別報告者、アナンド・グローバー氏は27日、同日開幕した人権理の通常会期で報告書を発表し、住民の健康を守る観点から避難区域を設ける際の放射線量の基準を厳しくするよう求めた。
 原発産業に関する不透明性も批判。規制する官庁と原発産業が癒着し福島第1原発の安全検査が甘くなっていたと指摘した上で、新たに設置された原子力規制委員会に対し、安全に関するすべての情報を公開するよう求めた。
 これに対し日本政府は「原発事故後の住民の健康管理は大変重要と認識している。報告書には事実誤認があり、避難基準も国際的な専門家機関の勧告に基づくものだ」と反論した。(共同)(以上全文)

高浜など4原発 運転再開向け7月申請へ
NHK NEWS web  2013年5月28日
国内の17の原子力発電所のうち、福井県の大飯原発以外が運転を停止しているなか、福井県の高浜原発や、愛媛県の伊方原発など、少なくとも4つの原発が新たな規制基準の施行後のことし7月に、運転の再開に向けて国への申請を行う計画を進めていることが分かりました。
おととしの原発事故を教訓に、深刻な事故や地震や津波への対策を義務づける原発の新たな規制基準は、ことし7月18日までに施行され、原発が運転を再開する場合、安全対策が新基準に適合していることをまとめて国の原子力規制委員会に申請し、審査を受ける必要があります。
NHKが原発を持つ電力会社10社に取材したところ、少なくとも4つの原発が、運転再開に向けて、ことし7月に新基準に基づく申請を行う計画を進めていることが分かりました。
計画を進めているのは、関西電力が福井県にある高浜原発の3号機と4号機、四国電力が、愛媛県にある伊方原発3号機、九州電力が鹿児島県にある川内原発の1号機と2号機、それに北海道電力が泊原発の1号機から3号機で、合わせて8基です。
5.27

核燃料撤去に10年以上 福島第1原発、避難者ら視察
神戸新聞 2013年5月27日
 東京電力福島第1原発に、20キロ圏内の旧警戒区域から避難する地元住民らが入った。事故の収束作業が続く1~4号機を間近に見た40人は、急上昇する放射線量に息をのみながら「廃炉が完了するまであと何十年、私たちは古里を追われるのか」と悔しさをにじませた。
 視察は社民党福島県連合が東電に申し入れ、22日に実現。外部の視察受け入れは極めて珍しい。同党国会議員や関係者のほか、福島県大熊町、楢葉町などの被災住民40人が参加。神戸新聞記者の同行も認められた。
 作業拠点の免震重要棟で、廃炉作業の前提になる核燃料の取り出しについて高橋毅所長が「(1~3号機でメルトダウンした燃料は)どういう状態か分からず、取り出すだけで10年以上かかるだろう」との見通しを示した。
 視察団は、放射線量が高いとしてバスから下車することが認められなかったが、現地の作業員は若い人が目立った。(木村信行)

対象区域・9割で未測定 大田原の住宅放射線量
下野新聞 2013年5月27日
 【大田原】市内の住宅除染対象区域1万9039世帯のうち、除染の前提となる空間放射線量の調査測定を申請したのは1741世帯と、1割にも達していないことが26日までに分かった。除染基準となる空間放射線量毎時0・23マイクロシーベルトを大幅に上回る場所が少なく、住民の不安が収まりつつあることなどが理由とみられる。申請期限が残り1カ月となる中、市は「全戸実施が理想。今後、PRを強化して申請を促したい」としている。
 
 
町民900人時効の恐れ 東電賠償で双葉町長が指摘
福島民友ニュース 2013年5月27日
 東京電力福島第1原発事故の損害賠償で、伊沢史朗双葉町長は26日、仮払いを請求したが本払いの請求をしていない双葉町民約900人が民法の損害賠償請求権の時効(3年)を迎える恐れがあると明らかにした。いわき市で同日開かれた町政懇談会で指摘した。
 東電は時効後も損害賠償に応じる考えを示しているが、伊沢町長は「法的な根拠がなく、これまでの東電の対応からも信用はできない」としている。町は東電に対して、時効を迎える可能性がある町民約900人の名簿の提出を求めている。
 原発事故被災者が時効を過ぎても東電に賠償を求められるようにする特例法案は今月21日の衆院本会議で可決、参院での審議を経て今国会で成立する見通し。(以上全文)

除染作業員を不当解雇 福島市発注の住宅除染 福島労基署労基法違反容疑で調査
福島民報 2013年5月27日
 東京電力福島第一原発事故に伴う福島市発注の同市松川地区の住宅除染で、元請け業者に対し、「除染が適正に行われていない」と指摘した作業員3人が雇用主である2次下請けの業者に解雇されていたことが分かった。作業員は26日までに、「告発者の排除を狙った不当解雇だ」として、福島労基署に労働基準法に基づく是正指導をするよう申告した。3人は解雇予告や労働条件の提示などを雇用主から受けていないと主張しており、同署は同法違反の疑いで調査に着手した。 (以上全文)

5.26

浪江町 代理申し立てへ 住民の原発慰謝料 増額を
東京新聞 2013年5月26日
 東京電力福島第一原発事故による放射能汚染で、すべての町民が長期避難を余儀なくされている福島県浪江町(馬場有町長)が二十九日、東電に精神的慰謝料の増額を求め「原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)」に和解仲介を申し立てる。自治体が被災住民の代理者となって、ADRに申し立てをするのは初めて。正式な裁判によらない方法によって、迅速な被害救済を求める。 
 約二万人の浪江町民は現在、全国四十六都道府県に分散して避難生活を送っている。その精神的苦痛の慰謝料として、賠償の範囲や額を定めた国の中間指針に基づき、一人月額約十万円が東電から支払われている。その額を町内の除染が完了するまで三十五万円に引き上げるよう求める。  http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013052602000135.html