2019年6月26日水曜日

再開の海水浴場 今夏7ヵ所に 海水浴客は震災前の2割以下

<原発・福島のいま> 
再開の海水浴場波高し 海開き、今夏7ヵ所に 観光客、震災前の2割以下
河北新報 2019年06月25日
 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で一時は全て休止を強いられた福島県内の海水浴場は今夏3カ所が9年ぶりに復活し、計7カ所=図=で開設されることになった。震災から9年目でようやく再開が本格化するが、先に開設した海水浴場は苦戦を強いられている。
 7カ所の過去の入り込み数は=表=の通り。今夏は南相馬市の北泉、いわき市の久之浜・波立(はったち)、新地町の釣師浜の各海水浴場が再開する。震災前にあった18カ所のうち半数超は、復旧中などを理由に再開のめどが立っていない。
 
<原発事故影響も>
 先行して再開にこぎ着けた相馬、いわき両市の4カ所は昨夏の入り込み数が計約11万3000人。震災前の2010年と比べ2割以下に落ち込んだ
 相馬市商工観光課は「震災後に無料で通れる(東北中央自動車道の)相馬福島道路ができ、山形方面に期待して周知を図ったが実際は3分の1に減った」と漏らす。
 レジャーの多様化などを背景に海離れが全国で進む中、県内の減少幅はそれを上回る。いわき市観光事業課は「明確な分析はできていないが、原発事故の影響はあるだろう」と話した。
 県や各自治体による調査では、水質や空間放射線量は震災前と同様の数値が確認されている。ある自治体の担当者は「ことさら『安全』と強調すればかえって不安をあおりかねず、地道に数字を積み上げるしかない」とも打ち明けた。
 
<魅力発信へ工夫>
 サーフィンの名所として知られる北泉海水浴場は今夏、第1原発30キロ圏内で初めて再開する。南相馬市は今夏の目標を震災前の3割に当たる2万5000人に設定した
 市は「客数が減るのは目に見えている。海を知らない子ども向けのPRや通年のイベント実施など工夫をし、もう一度人が集まる場所にしていきたい」(観光交流課)と述べ、魅力発信に一層力を注ぐ考えだ。
 
 日本大の畔柳昭雄特任教授(親水工学)は「島国の日本で海離れが進めば、自然災害や環境破壊への関心も薄くなる」と懸念を示した上で「熱心な工夫によって客数増を実現させた地域もある。『泳ぐ』以外の視点で海を活用することで人を呼び込んだり、遊泳期間を拡大したりすることも有効だろう」と語る。

電源三法交付金 7年ぶり増 青森県

18年度電源三法交付金、7年ぶり増・青森県内合計137億円
デーリー東北 2019/6/25
 原発や核燃料サイクル施設の立地に伴う電源三法交付金で、2018年度の青森県と県内市町村分を合わせた交付実績は137億431万円(前年度比2億6250万円増)だったことが24日、県のまとめで分かった。7年ぶりに増額に転じた。県原子力立地対策課は増額の理由について「県総合運動公園陸上競技場の整備費など、県への交付額が増えたため」としている。
 
 同交付金は、国が「電源開発促進税法」をはじめとする法律に基づき、電気料金などを原資に、地方自治体が申請した事業に対して支給している。県内への交付が始まった1981年度以降の38年間で、総額は3438億2881万円となった。
 
 水力、火力発電所の立地地域も対象だが、原子力関連施設分は18年度分で約99%に上り、例年大部分を占めている。主な交付対象は県や、むつ、大間、六ケ所、東通の立地4市町村と、隣接、隣々接の11市町村。
 18年度の市町村への交付総額は、92億5848万円(3億6072万円減)。市町村別では六ケ所村が23億9972万円でトップだった。
 
 県への配分は44億4583万円(6億2323万円増)。内訳は、同競技場(16億4701万円)や、県道川内佐井線(4億9877万円)、県道薬研佐井線(3億5775万円)の各整備費の一部など。県立八戸工業高の校舎改築費の約8割(6500万円)にも充当した。

26- 参院選佐賀 原発 国策に翻弄いつまで

【暮らしの現場 参院選佐賀】(2)原発 国策に翻弄いつまで
西日本新聞 2019/6/26 06:56
「事故が起きて生活も何もかも失った。もう福島には戻れない」。佐賀市に住む渡辺弘幸さん(57)は、手に持った放射線測定器に視線を落とし、静かな口調でそう話した。
福島県出身。2011年の東京電力福島第1原発事故後、原発から70キロほど離れた福島市内の自宅を離れ、佐賀に引っ越してきた。「毎日、空気中の放射線量を測らないと不安。ここもいつ事故が起こるか」。事故を経験して以来、測定器を手放せないという。
佐賀に暮らして8年。九州電力玄海原発(玄海町)3、4号機は昨年、相次いで再稼働した。県や関係自治体は毎年、事故を想定した大規模な避難訓練を行うが、渡辺さんは「本当に事故があれば車は大渋滞し、パニックで訓練通りにいかない」と指摘する。
 
昨年は知事選、今年に入って県議選があったが、渡辺さんは動きだした3、4号機への議論の深まりを感じられないという。18日には山形県沖で震度6強の地震もあったばかり。「悲惨な事故を起こす原発が身近にあるのに」
□    
原発内で増え続ける使用済み核燃料の処分法も直面する課題だ。
使用済み核燃料を保管する貯蔵プールは対策を講じなければ、残り5~7年で満杯になる見通し。九電は21年度上期に青森県六ケ所村の再処理工場が完成予定であることを理由に敷地内に新たな貯蔵施設を計画するが、地元や周辺自治体には「長期保管につながる」との声がある。
 
唐津市の住民らが15日に開いた原発学習会に参加した同市の離島・神集島の中村孝徳さん(77)は、「稼働すれば使用済み核燃料が増える一方なのに、国は肝心な問題を先送りにしていておかしい。順序が逆だろう」と憤る。
 
島民にとって安全、安心な暮らしにかかわる重要な問題だが、今回の参院選でどこまで争点として取り上げられるのか。中村さんは住民が納得できる真正面からの議論を求めている。
□    
一方で、原発が地元経済に貢献していることは否定できない事実だ。
 
玄海原発周辺は今、バスやトラックが行き交い、旅館や飲食店は大勢でにぎわっている。再稼働後、3号機が5月に初めて定期検査入りし、全国から集まった作業員であふれるからだ。居酒屋で働く女性(61)は「今はどの店も遅くまで開けている。やはり再稼働すれば活気が戻る」と話す。
 
だが、この先も潤い続けるか分からない。原子力規制委員会は4月、新規制基準で各電力会社に義務づけている原発のテロ対策施設が設置期限に間に合わなければ稼働中でも原発を停止させることを決めた。玄海原発は期限の22年に間に合わない可能性があり、町には不安視する声も少なくない。
 
「安全のために一時的に止まるのは仕方ないが原発は暮らしに直結する。最終的に規制委の方針を受け入れるしかないのもわかる。ただ、これからどうなるのだろうか」。原発政策の行方に女性は気をもむ。

2019年6月25日火曜日

韓国原発トラブルは担当者の計算ミス

 韓国のハンビッ原発1号機で510 制御棒の性能の試験中に熱出力が制限値の5%を超えてごく短時間で約18%まで上昇した事故は、担当者が核分裂進行の計算を間違え、制御棒を過剰に引き出したことが原因だったとする中間調査結果を発表しました。
   (関係記事)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
原発トラブルは「人災」、韓国 熱出力急騰、担当者が計算ミス
共同通信 2019/6/24 18:57
 【ソウル共同】韓国の原発で原子炉の熱出力が制限値を超えて急騰した問題で、韓国原子力安全委員会は24日、担当者が核分裂の進み具合の計算を間違え、原子炉の出力を調整する制御棒を大幅に引き出したことが原因だったとする中間調査結果を発表した。韓国メディアは「人災」と管理体制を批判している。
 
 トラブルは南西部の全羅南道・霊光にあるハンビッ原発1号機で5月10日に発生。制御棒の性能の試験中に熱出力が制限値の5%を超えてごく短時間で約18%まで上昇した。制限値を超えた場合即時停止すると運営指針では定めているが、運営会社の韓国水力原子力(韓水原)は緊急停止しなかった。

原発訴訟で高裁裁判官が福島視察

原発訴訟で高裁裁判官が福島視察 県内の帰還困難区域など
共同通信 2019/6/24 19:47
 東京電力福島第1原発事故で、福島県から千葉県に避難した住民らが国と東電に損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁の裁判官が24日、原発事故で立ち入りが原則禁止の帰還困難区域など福島県内の被災地を視察した。
 
 視察は、裁判官が被害の実態を把握するため、現地進行協議として非公開で実施。白い防護服を着用した白井幸夫裁判長らが浪江町の帰還困難区域にある原告男性の自宅を訪れ、動物に家屋が荒らされた状況の説明を男性から受けた。休校が続く浪江町の大堀小や、飯舘村内の除染廃棄物の仮置き場なども視察した。
 
 原告側は一審千葉地裁でも裁判官の現地視察を求めたが、実現しなかった。

25- 反原発団体 国と意見交換するも具体的回答なく

反原発9団体、国と意見交換 原子力政策、具体的回答なく
佐賀新聞 2019/6/22
 「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」を含む全国9つの反原発団体は21日、国の原子力政策に関して、原子力規制庁、資源エネルギー庁、原子力委員会の担当者と意見交換した。事前に質問項目を示していたが、国は具体的な回答ができない場面が目立った。
 
 九州電力玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)の使用済み核燃料対策については、特殊な金属容器に入れて空冷する「乾式貯蔵」と、燃料プールの間隔を詰めて貯蔵容量を増やす「リラッキング」を併用する九電の計画の審査が進んでいる。団体側は「乾式貯蔵とリラッキングは許可が下りるのも同時という理解でよいか」と質問。規制庁は「審査中なので、分からない」との答えにとどめた。
 
 使用済みプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料の行き先を尋ねる質問に対しては、エネ庁は「再処理が基本方針。その上で、発生状況と保管状況、再処理技術、関係自治体の意向などを踏まえ、方策の検討を進めたい」とした。
 
 裁判の会の永野浩二事務局長は「職員たちは事務的な対応で、答える気が全く感じられなかった。不誠実な対応で、憤りを感じる」と語った

2019年6月24日月曜日

「国内有数の景観まで壊すのか」と首都圏送電計画ルートに飯舘村

 東北電力は、秋田県内に設置した太陽光発電設備を東北電力の送配電網につなぐ際に、変電所の変圧器の交換費用1億2500万円を全額負担させたとして太陽光発電業者から訴訟を起こされました。
 それとは別件ですが、東北電が新たに計画している送電線ルートが、「日本で最も美しい村」連合に加盟している飯館景観を壊すとして、住民らから苦情が出されています。
 東北電は急きょルートの再検討に着手しましたが経済性を重視する電力側と環境の保持を望む住民との対立の行方が注目されます。
 原記事にはルート案や現在の景観の写真が掲載されています。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<原発・福島のいま>
飯舘村の住民困惑「国内有数の景観まで壊すのか」 
東北電、首都圏送電計画ルートに
河北新報 2019年6月21日
 東北電力が宮城、福島両県に送電線「東北東京間連系線」を新設し、東京電力管内の首都圏への送電能力を倍増させる電力広域的運営推進機関(東京)の計画を巡り、送電線ルートになった福島県飯舘村の住民から「国内有数の景観が損なわれる」と戸惑いの声が出ている。東北電は急きょルートの再検討に着手したが、費用面などの問題もあって着地点が見えていない。(福島総局・斉藤隼人)
 
 「驚いた。これだけ原発事故で被害を受けて帰還も進んでいない村に、また東京のための設備。残された貴重な資源である景観さえも壊すのか」
 村北部の玄関口、佐須地区で田尾陽一さん(78)が語気を強めた。視線の先に田園や牧草地帯、集落が広がる。村は「日本で最も美しい村」連合に加盟し、景観を売りに地域発展を目指す
 東京都民だった田尾さんは東電福島第1原発事故直後から村に入り、村内外の仲間とNPO「ふくしま再生の会」を結成。昨夏に移り住み、農家民泊など地域交流事業を本格化させようとした矢先、拠点の目の前を高さ80メートルの鉄塔や送電線が横切ると知った。
 
 村は一部を除き2017年3月に避難指示が解除されたが、居住者数は住民登録の約2割にとどまる。「産業を復活させるには長い時間がかかるため、景観を生かした地域の将来像を描いていた。原発事故からの再生を目指す村にどれほど打撃を与えるだろう」。田尾さんはため息をつく。
 懸念は地域に広がりつつある。隣接する前田地区の佐藤健太村議(37)は「集落の真ん中を送電線が通れば住民帰還を妨げかねず、村にはメリットがほとんどない」と指摘。「できた後に『何だこれは』では遅く、今真剣に考える必要がある。計画自体に反対なのではない。もう少し配慮してほしいだけだ」と訴えた。
 
 両県を通る全長158キロのルートは図の通り。東北電が市街地や国定公園、険しい山間地などを避けて設計した。昨年、村民向け説明会を3度実施。住民要望を受け今年3、4月にも説明の場を設けた。
 同社は昨年9月の北海道地震で全域停電(ブラックアウト)が起きたことを念頭に置き、安定した電力供給の意義を強調。5月にルート変更も含めて再調査を始めたが、費用が膨らむ懸念が強く先行きは不透明だ。
 同社広域連系線福島立地事務所の遠藤淳所長は「大幅なルート変更は難しい」とした上で「調整できるかどうか技術的観点で調査している。なるべく早く結果をまとめ、住民の理解を頂きたい」と述べた。
 同社は22年の着工に向け、本年度は土質調査などを進める予定。
 
 景観トラブルに詳しい高崎経済大の谷口聡教授(民法)は「景観は歴史・文化的に価値が認められる」と指摘。「巨大な送電線は大勢の人に利益をもたらす側面もあるが、村民の精神的苦痛が大きいことを電力会社は認識すべきだ」と語る。
 
東北東京間連系線]東北-東京間に50万ボルト送電線や鉄塔を新設し、東北から首都圏に送電する場合の運用容量を現行から倍増の1028万キロワットに拡大する。電力取引の活性化や再生可能エネルギーの利用促進などが狙い。2027年の完成を目指す。工事費は1530億円。国主導で進められ、事業は全国の電力需給を調整する電力広域的運営推進機関(東京)が計画し、東北エリアは東北電力が事業実施主体となる。