2018年10月31日水曜日

東電元会長再度謝罪 強制起訴公判

 業務上過失致死傷罪で強制起訴された旧東電経営陣3人の第33回公判が30日、東京地裁で開かれ勝俣恒久元会長(78)は初めての被告人質問で「社長と会長を務めた者として深くおわび申し上げます」と謝罪しました。
 しかし「会社の業務範囲は広く、全てを直接把握するのは不可能に近い」とも述べ、会長には津波対策なども含めた業務の執行権限がなく、社長の補佐的な立場だったと強調しました。
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原発事故:東電元会長、再度謝罪 強制起訴公判
毎日新聞 2018年10月30日
原発事故:東電元会長、再度謝罪 強制起訴公判
 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された旧経営陣3人の公判は30日午前、東京地裁(永渕健一裁判長)で、勝俣恒久元会長(78)の被告人質問が始まった。勝俣氏は冒頭、事故について「東電の社長、会長を務めた者としておわび申し上げます」と謝罪した。勝俣氏への質問は午後も行われる。
 この日の公判は午前10時ごろに開廷。先に、今月19日の前回公判に続いて武黒一郎元副社長(72)の被告人質問が行われた。被害者側弁護士から「福島第1原発に最大15.7メートルの津波が襲来するとの試算結果を聞き、実際にどうなるかを想像しなかったか」と問われ、「想像するには至らなかった」と述べた。
 
 勝俣氏の被告人質問は、午前11時過ぎに開始。冒頭、「亡くなられた方、遺族の方、負傷された方、大変ご迷惑をおかけしました」などと述べ、頭を下げた。
 その後、弁護人の質問が始まり、会長の業務について問われると「業務執行の権限は社長に譲り、社長が助言を求めてきたら補佐する。私は対外的な仕事や付き合いを行っていた」と話し、社長や他の幹部らを指揮する立場にはなかったと説明した。
 
 勝俣氏は昨年6月の初公判で「震災当時、津波による事故を予見するのは不可能だった」と述べており、社内で震災前に津波対策が保留された経緯について、午後の法廷でどのような認識を示すのか注目される
 勝俣氏、武黒氏、武藤栄元副社長(68)の3被告は、第1原発に大津波が襲来して事故が発生する可能性を予見できたのに対策を怠り、2011年3月の東日本大震災で事故を招き、福島県大熊町の双葉病院から長時間の避難を余儀なくされた入院患者ら44人を死亡させるなどしたとして起訴されている。
 3被告は初公判ではいずれも無罪を主張。検察官役の指定弁護士は冒頭陳述などで、勝俣氏について「(08年2月に開かれた『御前会議』などの)社内会議を通じて津波対策の必要性を認識していた」と主張している。【蒔田備憲、柳楽未来、伊藤直孝】
 
「カミソリ勝俣」の異名
 勝俣氏は1963年に東電に入社した。経営方針などを策定する本社の中枢・企画部の在籍が長く、企画部長などを歴任。2002年の原発トラブル隠しで引責辞任した前社長の後を引き継ぎ、社長に就任した。日本経団連副会長を務めるなど経済界でも存在感を発揮し「カミソリ勝俣」との異名で語られることもあった。
 08年、東電会長に就任。ある東電元社員は「会長になってからも実質的な決定権を持ち続けた」と話す。11年、原発事故から約3週間後に初めて記者会見に臨んだ際には「(津波の)対策が不十分だった。大変申し訳ない」と謝罪していた。
 元社員は「東電は縦割り、分業制の会社で、各分野の副社長が実質的なトップ。勝俣氏は原発の詳しい技術については把握していなかったのではないか」と振り返る。【柳楽未来、蒔田備憲】

東電HDは増収減益 燃料費が増加

東電HDは増収減益 燃料費増加など重しに 中間決算
SankeiBiz 2018年10月30日
 東京電力ホールディングス(HD)が30日発表した平成30年9月中間連結決算は、売上高が前年同期比7・9%増の3兆555億円だったが、最終利益は57・5%減の896億円で、増収減益だった。燃料費の増加や販売電力量の減少に加え、福島第1原発事故などに関連した原子力損害賠償費846億円を特別損失に計上したことが響いた
 
 電力小売り全面自由化に伴う競争激化を背景に、グループの販売電力量は前年同期比1・7%減の1161億キロワット時。継続的なコスト削減に加え、東電の送配電網を利用する事業者から受け取る利用料収入の増加などもあったが、燃料費の増加が収益の下押し要因となり、経常利益は2・5%減の2106億円だった。
 一方、今夏の記録的な猛暑による冷房など電力需要の増加が業績にもたらした影響について、森下義人常務執行役は「一定の仮定で計算すると、経常利益ベースで300億円程度の上積みがあった」と話した。
 31年3月期通期の業績予想については7月末公表の従来予想を据え置いた。
 
 
東電HD、4~9月純利益58%減 燃料費が増加  
日経新聞 2018年10月30日
東京電力ホールディングスが30日発表した2018年4~9月期の連結決算は、純利益が前年同期比58%減の896億円だった。燃料費の増加に加え、原発事故の賠償に関わる国の交付金の計上が上期はなかったことが響いた。
 
売上高は8%増の3兆555億円。競争激化で電力販売量は2%減ったが、重油や液化天然ガス(LNG)価格の上昇分を電気料金に反映する燃料費調整制度が収入を押し上げた。他の電力小売企業が利用する送電線の託送収入も伸びた。
経常利益は2%減の2106億円。修繕費などのコスト削減を進めたが、費用増加の影響を抑えきれなかった。
 
19年3月期通期の業績予想は据え置いた。売上高は前期比4%増の6兆990億円、純利益は21%減の2520億円を見込む。

31- 松江市民が県外移動の訓練 島根原発災害想定

島根原発災害想定で笠岡へ避難 松江市民が県外移動の訓練
山陽新聞 2018年10月30日
 島根県は30日、中国電力島根原発(松江市)で大地震と重大事故の複合災害が起きたと想定し、松江市の住民が広島県と岡山県に避難する訓練を実施した。
 同原発は全国で唯一、県庁所在地にあり、30キロ圏の島根県の住人は約39万人。県外避難訓練は初めてで、同県原子力安全対策課は「居住者が多く、事故が起きたら県外への避難も必要。実効性を上げたい」としている。
 
 訓練は震度6強の地震で、原子炉は自動停止したが、外部電源を失うなどして放射性物質が放出されたと想定。避難速報を受けた約120人が朝、公民館などに集まった後、原発から南方に約120キロの笠岡市と約100キロの広島県神石高原町へ向け、松江市が用意した計4台のバスで出発した。
 笠岡市には約60人が正午すぎに到着。笠岡総合スポーツ公園(同市平成町)で、放射線量の検査を受けたかどうかを確認した後、避難所となっている園内の体育館に身を寄せた。
 
 体育館では避難者の名簿づくりのほか、避難所運営についての協議を行った。竹矢地区自治協会の角田一雄会長(64)は「避難所が大きな体育館で安心したが、竹矢地区は高齢者が多いので県外避難は負担が大きい」と言い、現場で避難者を出迎えた松江市の松浦正敬市長は「日ごろから避難先となる自治体と交流を深めたい」と話した。
 神石高原町では観光施設・帝釈峡スコラ高原(同町相渡)で放射線量の検査についてチェックを受けた後、避難所に指定されている同町高光の交流センター「じんせきの里」に入った。 

2018年10月30日火曜日

東電が「#工場萌え」と投稿 批判受け削除

福島第1原発  東電「#工場萌え」と投稿 批判受け削除
毎日新聞 2018年10月29日
 2011年3月に事故を起こした東京電力福島第1原発について、東京電力ホールディングス(本社・東京都)が29日、公式ツイッターで、4号機原子炉建屋内部の写真に「#工場萌え」というハッシュタグ(投稿拡散のためのキーワード)を添えて投稿した。「工場萌え」は夜景など工場地帯のすばらしい景観への愛好を表す言葉。一方、同原発は史上最悪の事故を起こし、周辺住民は今も多数が避難生活を強いられている。ツイッター上でも批判の声が上がり、同社はタグを削除。同社福島広報部は「ハッシュタグのキーワードに対する配慮不足であり、深くおわびします」と謝罪した。 
 
 福島広報部によると、同アカウントは東京の本社広報室広報グループが運営。問題のつぶやきは午前11時51分に社員が投稿した。4号機の使用済み核燃料プールの写真に「福島第一原子力発電所4号機燃料プール Unit4 Spent Fuel Pool at Fukushima Daiichi Nuclear Power Station #工場萌え #東京電力 #東電 #tepco」と記載していた。同社の公式インスタグラムでも、同じ時刻に同内容の投稿をした。 
 
 投稿についてツイッター上では「無神経」「不適切」など批判が多く投稿された。同社はインスタグラムのコメント欄に批判があったことで問題を把握。午後2時ごろに投稿を一時取り下げた上で、「#工場萌え」という言葉を削除し、画像を再投稿した。福島広報部は、「他の設備の写真を投稿する際に付けたハッシュタグを設定してしまった」と釈明した。 
 
 2011年3月の事故発生当時、4号機は定期検査中で、北側に隣接する3号機から配管を通じて水素が流入し、同15日に水素爆発を起こした。使用済み核燃料プールで保管されていた燃料は14年12月に取り出しを終えている。 
 
 福島県によると、今年10月現在で県内外への避難者は約4万3000人。第1原発が立地する大熊、双葉両町の全域を含む6町村で今も避難指示が出されている。【曽根田和久】 
 
東電、原発を「工場萌え」と投稿 ツイッターで炎上騒ぎ
      
        写真は 共同通信版 全景ではありません

知事再選の内堀氏 廃炉の決定を要請へ

福島第2原発廃炉の決定要請へ 知事再選の内堀氏
中日新聞 2018年10月29日
 福島県知事選から一夜明けた29日朝、再選を果たした内堀雅雄氏が記者団の取材に応じ、東京電力福島第2原発(同県楢葉町、富岡町)の廃炉について「道筋を明確にしてもらいたい」と述べ、東電に廃炉の正式決定を要請する考えを示した
 東電の小早川智明社長は6月、内堀氏に第2原発の全4基を廃炉とする意向を示した。しかし、県内の全原発の廃炉を公約に掲げた内堀氏は「方向性は示してもらったが、最終的な決断には至っていない」と指摘した。
 また、2020年度末で廃止される復興庁の後継組織に関し、国との本格的な交渉に乗り出す意向も明らかにした。(共同)

30- 島根原発 初の県外避難訓練を実施

島根原発初の県外避難訓練を実施 複合災害、住民が岡山・広島へ
共同通信 2018年10月30日
 島根県は30日、中国電力島根原発(松江市)で大地震と重大事故の複合災害が起きたと想定し、松江市の住民が岡山県と広島県に避難する訓練を始めた。
 同原発は全国で唯一、県庁所在地にあり、30キロ圏には島根県だけで約39万人が居住。県外への住民避難訓練の実施は初めてで、同県原子力安全対策課は「居住者が多く、事故が起きたら県外への避難も必要だ。実効性を上げていきたい」としている。
 訓練は、震度6強の地震で、原子炉は自動停止したが、外部電源を失うなどして放射性物質が放出されたと想定。
 島根県は26日にも原子力防災訓練を実施し、初動対応などを確認した。

2018年10月29日月曜日

泊原発防災訓練 本当にバスを使えるのか(北海道新聞)

 北海道新聞が、泊原発の避難訓練で特にバス利用の実効性について問題点を指摘した社説を掲げました。
 バスでの避難を計画したのに、実際にはバスが使えないということでは一体何のための訓練だったのかということになります。
 道なり県なりがバスが使えると判断したのであれば、運転手の不安解消のための説明会が必要という指摘は実際的な提案です。その結果どうなるかは分かりませんが。
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(社説) 泊原発防災訓練 備えに穴ないか点検を
北海道新聞 2018年10月29日
 この態勢で、住民は安全な場所に避難できるのだろうか。
 北海道電力泊原発(後志管内泊村)から放射性物質が漏れ出したとの想定で実施した道の原子力防災訓練は、これまでと同じく、バスによる住民避難を行った。
 しかし、バス会社の多くは実際に事故が発生した際のバス派遣に難色を示しており、計画通り移動手段を確保できるかは不透明だ。
 訓練を重ねて避難などの手順を確認することは大切だが、事故時に対応が変わるようでは住民の不安を払拭(ふっしょく)できない。
 道はまず、放射性物質の危険度や、防護服などの安全対策について情報を開示し、運転手に説明を尽くす必要がある。
 
 他にも計画や備えに欠陥はないか、不断に点検し、改善を図ってもらいたい。
 バスによる避難訓練は、6社の29台が後志管内の泊、共和、ニセコなど6町村の計約600人を札幌市などの避難所に運んだ。
 ところが、この6社は今年7月までの北海道新聞の取材に「安全確保に不安がある」などとして、事故時のバス派遣は「できない」「困難」と回答していた。
 その後、「可能」と答える会社も出てきたが、大半は現在も態度を明確にしていない。
 住民が「本当にバスは来るのか」と心配するのも当然だ。
 道と北海道バス協会は2015年、避難バス確保などのため「原子力災害時における住民避難用バス要請・運行要領」に合意した。
 ただ、運転手の不安解消のための説明会などは開かれておらず、要領が周知されないまま、放置されていたのが実情だ。ずさんと言わざるを得ない。
 道は道民を守る責務がある。対応を協会へ丸投げすることなく、自ら運転手の理解を得る努力が求められよう。
 
 被ばくの可能性のある場所での作業に対する懸念は、バスだけに限らない。
 冬場であれば、避難路の除雪も課題になる。重機を動かす建設業界などと事前に対策を話し合っておく必要がある。
 今回は、台風による暴風雨と原発事故の複合災害への備えを試したが、台風で孤立した避難者の人数などの想定はなかった
 この点についても、参加した住民から実効性を疑問視する声が聞かれた。
 実際の事故では「想定外」は通じない。より具体的な条件を設定して訓練を行うべきだ

「伊方の拙速な再稼働に反対」 脱原発首長会議がアピール

 伊方原発は「社会通念」という何ともつかみどころのない理由で再稼働が認められました。最高裁の意向に沿って、再稼働を認めることは決まっていてその理由付けに苦労したという感じでした。
 同原発が再稼働した27日、隣の高知県四万十市で「脱原発をめざす首長会議」が集会を開き「伊方原発の拙速な再稼働に反対し、運転停止を求める」との緊急アピールを採択しました。
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「伊方の拙速な再稼働に反対」 脱原発首長会議がアピール
中日新聞 2018年10月27日
 四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)が再稼働した27日、原発から50キロ圏内の高知県四万十市で、全国の市区町村長らでつくる「脱原発をめざす首長会議」が集会を開き「伊方原発の拙速な再稼働に反対し、運転停止を求める」との緊急アピールを採択した。
 
 香川県丸亀市の梶正治市長と兵庫県加西市の西村和平市長の現職2人や、静岡県湖西市の三上元・前市長ら首長経験者7人のほか、地元住民ら約150人が参加。アピールは「原発事故が発生した場合、四国だけでなく九州、中国地方など広範囲の被害が考えられ、四万十川も影響を受ける恐れがある」とし、原発を動かすリスクを指摘した。 (共同)

29- 「常陽」申請書を再提出

高速実験炉「常陽」審査 申請内容見直し再提出
NHK NEWS WEB 2018年10月26日
運転再開の前提となる国の審査を受けるための申請のやり直しを求められていた茨城県にある高速実験炉「常陽」について、日本原子力研究開発機構は、設備の出力を下げて運用するなど申請の内容を見直し、26日、改めて原子力規制委員会に書類を提出しました。
 
高速実験炉「常陽」は、廃炉となった福井県にある「もんじゅ」に代わり、国が高速炉開発に活用するとしていて、原子力機構は去年3月、原子力規制委員会に運転再開の前提となる審査の申請をしました。
 
しかし、原子力機構は、原子炉の出力が14万キロワットあるのに、10万キロワットで運用すると説明したため、審査の途中で規制委員会から設備の能力と運用上の出力を合わせるよう、申請のやり直しを求められていました。
このため、原子力機構は、原子炉に入る核燃料の数を7%減らし、設備の出力を下げて運用するなど申請の内容を見直し、26日、改めて規制委員会に書類を提出しました。
出力を下げることで、住民の防災対策をとる範囲が従来の30キロ圏内から5キロ圏内に縮小され、地元自治体との調整にかかる時間も少なくできると見られています。
 
申請のやり直しで原子力機構は、当初、常陽の運転再開について2021年度までを目指すとしていましたが、2022年度までに延期するということです。

2018年10月27日土曜日

27日、28日は記事の更新が出来ません

お知らせ

都合により27日、28日は記事の更新が出来ませんのでご了承ください。

27- 国連特別報告者が福島への子どもの帰還見合わせを求める

 国連人権理事会特別報告者が、25日の国連総会で、福島原発事故避難者に対する日本政府の避難解除の基準=年間被曝量20ミリシーベルトではリスクがあるとして、子どもたちの帰還を見合わせるよう求めました
 日本政府は事故の当初から年間被曝量20ミリシーベルト以下であれば居住できるとして、それ以上の地域の住民だけの避難を認め、それ以下の地域からの避難者を「自主避難者」としてことごとく差別して来ました。前規制委員長の田中俊一氏は、「勝手に避難した人たちだから、国は手当てを出す必要はない」とまで述べました。
 
 年間被曝量20ミリシーベルトと言えば、放射線管理区域の定義=年間被曝量5ミリシーベルトの4倍にも当たるもので、そこで居住できるとするのは狂気の沙汰です。
 福島の事故に25年先だって起きたチェルノブイリ事故では、ソ連は「避難の権利」と呼ばれる原則を作り法制化しました。それは1ミリシーベルト以下は避難は不要、1~5ミリシーベルト地域の住民は自己判断で避難を決め(国は避難者にはしかるべき手当をだす)、5ミリシーベルト以上は強制的に避難させ手当てを出すという、極めて合理的なものでした。
 
 ですからそうした先例を無視した日本の基準は「野蛮」なレベルにあるもので、国際的に非難されるのは当然です。
 政府は帰還は強制ではないと言いますが、非帰還者には明確な差別をつけていること自体、強制に当たるものです。
 また政府は、ICRPが避難などが必要な緊急時の目安として、年間の被ばく量を20ミリシーベルトより大きく100ミリシーベルトまでとしていると主張していますが。それは事故直後に、文字通り「緊急避難的に」認められるという意味で、事故後7年以上が経過している日本のケースがその対象外であるのは自明のことです。
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国連の特別報告者 福島への子どもの帰還見合わせを求める
2018年10月26日
国連人権理事会が任命した特別報告者が、25日の国連総会で、福島の原発事故を受けた日本政府の避難解除の基準ではリスクがあるとして、子どもたちの帰還を見合わせるよう求めました。これに対して、日本側は、国際的な専門家団体の勧告に基づいていると反論し、日本側との立場の違いが浮き彫りになりました。
 
国連の人権理事会が任命したトゥンジャク特別報告者は、25日の国連総会の委員会で、東京電力福島第一原子力発電所の事故のあと、日本政府が避難指示を解除する基準の1つを年間の被ばく量20ミリシーベルト以下にしていることについて「去年、人権理事会が勧告した1ミリシーベルト以下という基準を考慮していない」と批判しました。
これに対し、日本政府の担当者は、この基準は専門家で作るICRP=国際放射線防護委員会が2007年に出した勧告をもとにしており、避難指示の解除にあたっては国内の専門家と協議して適切に行っているとして、「こうした報告が風評被害などの否定的な影響をもたらすことを懸念する」と反論しました。
 
この反論に、トゥンジャク特別報告者は、同じ専門家の勧告で、平常時は年間の被ばく量を1ミリシーベルト以下に設定していると指摘し、これを下回らないかぎりリスクがあるとして、子どもたちや出産年齢にある女性の帰還は見合わせるべきだと主張し、日本側との立場の違いが浮き彫りになりました。
 
政府「指摘は誤解に基づいている」
トゥンジャク特別報告者の批判について、政府の原子力被災者生活支援チームは、「ICRPの勧告では避難などの対策が必要な緊急時の目安として、年間の被ばく量で20ミリシーベルトより大きく100ミリシーベルトまでとしていて、政府は、そのうちもっとも低い20ミリシーベルト以下になることを避難指示解除の基準に用いている。また、除染などによって、長期的には、年間1ミリシーベルトを目指すという方針も示している」と説明しています。
 
そのうえで「子どもなどの帰還を見合わせるべき」という指摘については、「子どもたちに限らず、避難指示が解除されても帰還が強制されることはなく、特別報告者の指摘は誤解に基づいていると言わざるをえない」と反論しています。

2018年10月26日金曜日

<女川原発1号機廃炉>運転延長採算合わず 東北電、原発4基で初

 東北電力は25日、運転開始35年目の女川原発1号機(524000KW)の廃炉を決めたと発表しました。さらなる運転期間の延長に巨額の投資が必要となり、採算が合わないと判断したものですこれは発電容量が50万KW台と小さいためで、2・3号機(各82万5000KW)は再稼働を目指しています。
 
 福島事故後、東京電力以外で廃炉を決めた原発は女川1号機で7原発10基目となり、今年7月に4年ぶりに改定したエネルギー基本計画には新増設は盛り込まれていないので、2030年度の発電比率を2022%にするという馬鹿げた目標はこのままでは達成されない見込みです。
 女川原発1号機廃炉作業原子力規制委の認可を得て30~40年かけて行います。着手は1年先から数年先を見込み、廃炉費用は今年3月時点で432億円と想定しています
 
 親子2代で脱原発を訴えてきた女川町議の阿部美紀子さんは、「遅すぎる判断。2、3号機もある。父への良い報告とはまだ言えない」と述べました。
 大学在学中から「事故が起きれば大量の放射性物質が放出される」と危険性を訴えるビラを配り、長い闘いに身を投じ脱原発東北電力株主の会代表などを務める篠原弘典さんは「1号機は浜の共同体を破壊した。浜に残されたのは、巨大な権力と積み上げられた補償金によって分断された人々だった廃炉は当然だ」と怒りをにじませました。
お知らせ
都合により27日、28日は記事の更新ができませんのでご了承ください。
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<女川原発1号機廃炉> 運転延長採算合わず 東北電、原発4基で初
河北新報 2018年10月26日
 東北電力は25日、東日本大震災後に運転を停止している女川原発1号機(宮城県女川町、石巻市、出力52万4000キロワット)の廃炉を決めたと発表した。運転開始から35年目を迎え、さらなる運転期間の延長に巨額の投資が必要となり、採算が合わないと判断した。東北電の原発4基で初めての廃炉となる
 
 原田宏哉社長は同日午後、宮城県の村井嘉浩知事に決定を報告。その後の定例記者会見で「地域に丁寧に説明し、安全を確保して廃炉手続きを進めたい」と述べた。再稼働審査中の女川2号機などに経営資源を集中させる考えも示した。
 東京電力福島第1原発事故後、国は原発の運転期間を原則40年と定めた。厳しい特別点検の実施などを条件に20年延長できる。
 東北電は1号機の再稼働と運転延長を検討してきたが、安全対策費に1000億円前後かかることも想定される上、女川2、3号機(出力各82万5000キロワット)に比べて出力が6割にとどまり、採算が合わないと判断。沸騰水型炉(BWR)の国内初期のタイプで格納容器が小さく、安全対策工事も困難とした。
 
 今後は廃炉作業の工程を示す「廃止措置計画」を作成し、原子力規制委員会の認可を得て30~40年に及ぶ廃炉作業に入る。着手は1年先から数年先を見込む
 東北電によると、1号機の廃炉費用は今年3月時点で432億円と想定。同月までに296億円を積み立て、残る136億円も残り6年で確保する。ただ、最終的な費用ははっきりしていない。
 東北電は残る3基のうち、女川2号機を2020年度以降、東通原発(青森県東通村)を21年度以降に再稼働させるため、規制委の審査への対応や安全対策工事が続く。女川3号機も審査準備を進める。
 1号機の廃炉で、事故後に廃炉を決めた商業用原発は7原発10基(福島第1原発6基を除く)になる。
 
[女川原発1号機]東北電力が1984年6月に運転を開始した。同社の原発4基の中で最も古く、国内で運転する39基のうち8番目に古い。東日本大震災当日、運転を自動停止した。事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型炉(BWR)の国内初期の「マークI型」で、福島を除く他社の4基は廃炉が決まっている。
 
 
<女川原発1号機廃炉>脱原発活動に長年関わる 廃炉の先不安視
  河北新報 2018年10月26日
 東北電力が25日に表明した女川原発1号機(宮城県女川町、石巻市)の廃炉決定を、「原発神話」にあらがい続ける人々は複雑な思いで受け止めた。東京電力福島第1原発事故を経た今、再稼働の動きは全国で相次ぐ。建設当初から女川原発と向き合ってきた2人は、歩みを振り返りつつ廃炉の先を不安視した。
 
◎遅い判断、課題は山積/親子2代で脱原発 女川町議・阿部美紀子さん(66)
 女川町議の阿部美紀子さん(66)は、父宗悦さん(2012年死去)と親子2代で脱原発を訴えてきた。「遅すぎる判断。2、3号機もある。父への良い報告とはまだ言えない」と厳しい表情を浮かべた。
 町議会が原発誘致計画を認めた1967年、宗悦さんは地元の漁業者らと「原発設置反対女川同盟会」を結成した。69年には隣接する旧牡鹿、雄勝両町の住民らと期成同盟をつくり、反対運動の先頭を走り続けた。71年に町議に初当選し、2007年まで通算8期務めた。
 「原発は百害あって一理なし」。口癖のように言っていた宗悦さんの背中を見て育った。反原発運動に参加し、宗悦さんが原告団長を務めた差し止め訴訟にも加わった。
 11年の東日本大震災の津波で自宅を失った。親戚宅や避難所を転々とする間も思いは揺るがなかった。その年の4月下旬、がれきに埋まった自宅跡地に父娘で足を運ぶと、泥だらけのもも引きが目に入った。「全ての原発 廃炉に」。ペンで大きく書いて掲げた。
 11年11月の町議選。阿部さんは告示1週間前に立候補を決めた。人前に出るのは苦手だったが「反原発運動の火が消えてしまう」という周囲の声に支えられ、初当選した。父や仲間の思いを胸に、今は2期目の議場に立つ。
 廃炉決定の知らせを受けても、手放しには喜べない。阿部さんは「作業員の健康リスクや放射性廃棄物の処理など課題は山積している」と指摘した。
 
◎共同体破壊、怒り今も/脱原発東北電力株主の会代表・篠原弘典さん(71)
 脱原発東北電力株主の会代表などを務める仙台市泉区の篠原弘典さん(71)は女川原発建設前から反対運動に携わり、間もなく半世紀になる。「1号機は浜の共同体を破壊した。廃炉は当然だ」と怒りをにじませた。
 東北大工学部原子核工学科に在籍中の1970年10月、女川町であった漁民総決起集会に参加した。「原子力の社会的意義を疑った」。篠原さんは町内に借りた長屋を拠点に「事故が起きれば大量の放射性物質が放出される」と危険性を訴えるビラを配り、長い闘いに身を投じた
 78年、漁協が女川原発建設に伴う漁業権放棄を可決し、抵抗のすべを失う。「浜に残されたのは、巨大な権力と積み上げられた補償金によって分断された人々だった」と憤る。
 81年に起こした全国初の建設差し止め訴訟は2000年に最高裁が訴えを棄却した。それでも屈せずに仲間と脱原発運動を続ける中で、原発事故は起きた。
 「福島を原発撤退の出発点にしなければならないのに、国や電力各社は再稼働へと突き進んでいる。事故は起こり得る」
 時代も変わりつつある。国が原則40年と定めた運転期間を待たずに東北電が1号機を廃炉とすることに「原発事故後の新規制基準で巨額の安全対策費が必要となり、経済合理性が失われるなど原発の問題を象徴している」と指摘する。
 「放射性廃棄物の処分も決まらない。廃炉を機に、多くの人に原発を見詰め直してほしい」と願う。

防災行政無線のスピーカー 事故情報、全域に届くか

 原発事故の際、事故状況や避難指示などを迅速で正確に伝えるには、自治体の防災行政無線のスピーカーが重要ですが、東海第二原発に近い水戸市の例では、市内に約150本のスピーカーがありましたが、東日本大震災では老朽化でほとんど使えませんでした。
 来年3月までに全てのスピーカーを最新機種にし、無線が通じにくい地域については全スピーカー本を撤去し、代わりにラジオを配布し、情報を流すようにするということです
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<点検 東海第二原発 避難計画>
防災行政無線のスピーカー 事故情報、全域に届くか
東京新聞 2018年10月26日
 東海村の日本原子力発電東海第二原発で事故の際、住民の命を守るには、事故状況や避難指示などを迅速で正確に伝えることが基本になる。それを支えるのが、自治体の防災行政無線のスピーカーだ。
 (茨城)県のまとめでは、原発から三十キロ圏の十四市町村には、スピーカーは設置されているが、老朽化していたり、配置にばらつきがあったりするという。
 水戸市の常澄地区には、スピーカー約六十本が立つが、約三十年前に設置されたもので、市の担当者は「全国有数の老朽無線なんです」と打ち明ける。
 市内に約百五十本のスピーカーがあり、東日本大震災では老朽化でほとんど使えず、市職員が広報車を走らせ避難を呼び掛けた
 
 市は、現在のスピーカーの性能では原発事故などに対応することは難しいと判断。来年三月までに全てのスピーカーを最新機種にする。設置は半数程度になるが、聞こえる範囲など性能が格段に上がるため、問題ないとする。洪水対応のため、那珂川や桜川沿いに重点的に設置するという。
 内原地区では全スピーカー七十五本を撤去し、代わりに約五千三百世帯にラジオを配布し、情報を流す。担当者は「ラジオならば、原発事故の屋内退避でも活用できる」と話す。
 ただ、無線が聞こえない地区も残る。原発事故では市域全域が避難対象。そのため、市は、市民の携帯端末にメールで連絡するという。だが、携帯を持たなかったり、充電がなかったりすると、情報を取れなくなる恐れがある。
 
 福島県によると、東京電力福島第一原発事故では、地震で防災無線の基地局やスピーカーが壊れ、住民に伝えられないケースもあった。このため、住民は、口コミやテレビなどで独自に情報収集するしかなく、混乱に拍車を掛けた。
 また、住民への伝達内容を分かりやすくすることも課題だ。国の原子力災害対策指針でも、「用語を平易化するなど分かりやすくする」とある。
 
 七月に東海村であった避難訓練で、村は携帯に流す内容は詳細にしたが、昨年に比べ、無線で流す内容について事故の詳細をそぎ落とし簡略化した。ただ、訓練を見学していた原発を考える住民団体「リリウムの会」のメンバー津幡美香さん(47)は「原子力の知識を持たない人には、まだ分かりにくい」と指摘する。
 訓練後、村には内容について「分かりやすくなった」「シンプルに『逃げろ』だけでいい」と賛否両論の意見が寄せられた。担当者は「これからも内容を工夫し続けなくてはならない」と話した。 (山下葉月)

原発事業者への賠償資金の貸付制度を創設

原発事故で賠償仮払い資金、貸し付け…法改正案
読売新聞 2018年10月25日
 政府は、原子力発電所事故が起きた際の賠償制度を一部見直す原子力損害賠償法改正案をまとめた。国などが、加害者である原発事業者に賠償仮払いの資金を貸し付ける制度の創設が柱。25日の自民党文部科学部会で了承された。近く閣議決定し、今国会での成立を目指す。
 
 貸付制度は、示談などで賠償額が確定する前でも、電力会社などの原発事業者による仮払いを確実にする狙いがある。改正案では、事業者に賠償方針の事前作成・公表も義務づけた。
 2011年の福島第一原発事故を受け、内閣府の原子力委員会が制度見直しを検討してきたが、抜本的な法改正は見送った。
 事業者の賠償責任を上限のない「無限責任」とすることは維持される。事業者が保険契約などで賠償資金を確保できる「賠償措置額」は、電力業界が引き上げを求めたが、現行の1200億円のまま据え置かれた。

26- 核燃料取り出し装置に不具合が7件に

核燃料取り出し、装置に不具合7件 福島第1原発  
 日経新聞 2018年10月25日
東京電力福島第一原子力発電所3号機のプールから核燃料を取り出す作業が遅れている問題で、東電は25日、装置に不具合が7件見つかったと発表した。3号機ではクレーンなどの装置で不具合が相次いでおり、11月に予定していた取り出し開始を延期した。年末まで原因究明と点検を進め、部品交換などの対策を講じる。
 
今回の不具合は9月末から進めている総点検作業で見つかった。プールの中のがれきを取り出す装置で、誤作動するなどのトラブルが複数発生した。
3号機の建屋最上階にあるプールでは、566体の核燃料を冷却しながら保管している。廃炉作業を進めるため、建屋近くの別の保管施設への搬出を急いでいる。