2021年8月14日土曜日

横浜・新聞博物館で東日本大震災10年展

地元紙報道、教訓を継承 横浜・新聞博物館で震災10年展
                         福島民友 2021年08月13日
 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の教訓を継承し、復興と防災・減災の在り方を考える企画展「伝える、寄り添う、守る―『3・11』から10年」が、横浜市中区のニュースパーク(日本新聞博物館)で開かれている。福島民友新聞社など被災3県の地元紙4社が特別協力し、当時の紙面や震災の特集記事、記者の手記を掲載したパネルなど計169点の記録をそろえた。9月26日まで。
 特別協力は本社のほか、岩手日報社、河北新報社、福島民報社。熊本地震や西日本豪雨、北海道地震に見舞われた各地元紙も出展し「新聞の使命」と題して災害対応を振り返っている
 「被災地から全国へ」をテーマに特別協力4社の活動を伝えるコーナーでは、ふくしまワイン広域連携協議会と福島民友新聞社が実行委を設立した「テロワージュふくしま」を紹介。発足当時、本社事業部で担当した井上飛鳥部員が寄稿し、県産の食材を使った料理と酒を組み合わせ、本県の魅力を発信するプロジェクトの意義を説明している。
 復興への歩みをたどるため、各社が撮影した写真パネルも並んだ。訪れた横浜市の60代女性は「犠牲になった人のためにも忘れてはいけない。被災地に関心を持ち続けたい」と話した。
 新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が発令中のため、31日まで開館日を金、土曜日に限り、入館には予約が必要。時間は午前10時~午後4時30分(最終入館は同4時)。入館料は一般400円、大学生300円、高校生200円、中学生以下無料。問い合わせは同館(電話045・661・2040)へ。

福島民友新聞記者の手記展示
 福島民友新聞社は、震災翌日の2011(平成23)年3月12日付と同13日付、ことし3月11日付、同12日付の紙面などを出展した。大津波で建物が流され、火災が発生した相馬市松川浦の写真を掲載した11年3月12日付1面は、未曽有の被害を物語っている。
 同13日付は1面とテレビ面を見開きで展示。福島第1原発で国内初の炉心溶融の可能性が高まり、1号機原子炉建屋が水素爆発するなど事態が深刻化している状況や、報道特別番組一色だったことが読み取れる。
 記者の手記を掲載したパネルでは辺見祐介ふたば支局長が富岡町で暮らしながら取材を続けている現状を報告し「悩みや不便さを住民と分かち合い、紙面で問題提起する。古里の魅力向上や新しい地域コミュニティーを築こうと奮闘する人の姿を発信することで、避難先の住民も勇気づけたい」との思いをつづった。報道部次長の菅野篤司記者は「無責任な言動は認めない」との表題で「被災地として納得できないような事柄には質問し、誰が何をしたのか記事として残すことが地元紙の務め」と取材の際に心掛けていたことを挙げた。過去の災害への関心が薄かったと反省し「教訓をわがことのように学んでいたならば、何か違う結果だったのではないか。原発事故を二度と繰り返してはなりません」と結んだ。

 特別協力4社の社長がメッセージを寄せ、福島民友新聞社の中川俊哉社長・編集主幹は「復興の光の中に、消えない影が映ります。私たち福島民友新聞は、歴史の目撃者として『光と影』を追い続けます。常に県民の皆様に寄り添いながら、希望の文字を紡いでいく覚悟です」と決意を示した。