福島民報が、日本新聞博物館のオンラインシンポジウム「福島の伝え方 東京電力福島第一原発事故から10年」に関する記事を出しましたので続報として紹介します。
併せて福島民友の記事を紹介します。
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原発事故の処理水や除染廃棄物問題を討議 日本新聞博物館がオンラインシンポ
福島民報 2021/08/29
日本新聞博物館のシンポジウム「福島の伝え方 東京電力福島第一原発事故から10年」は28日、オンラインで開かれ、福島民報社の紺野正人論説委員会幹事らが、政府が決定した放射性物質トリチウムを含んだ処理水の海洋放出方針や、中間貯蔵施設に搬入された除染廃棄物の福島県外最終処分などを巡る課題や論じ方について討議した。
具体的な風評抑制策を示さないまま政府が海洋放出方針を決定したことについて、紺野幹事は「本来であれば方針決定前に対策を示して漁業者をはじめとする県民の理解を得るべきで、後先が逆ではないか」と指摘。国民がトリチウムをどれだけ理解しているかについても疑問視し、「理解が進まず、『福島だけの問題』として矮小(わいしょう)化されるとしたら、風評の再燃は避けられないだろう」と述べた。
除染廃棄物の県外最終処分については、処理水と同様に国民理解の醸成を図る必要性を強調し、「県外でも再生利用の実証事業を進めるべきだ」と訴えた。ホームページに「東日本大震災・原発事故10年」のコーナーを設けるとともに、県内の話題を英訳して海外に発信する福島民報社の取り組みも紹介した。
紺野幹事の他、福島民友新聞社の高橋満彦論説委員長、処理水の扱いを議論する政府小委員会の委員を務めた関谷直也東京大大学院准教授(福島大食農学類客員准教授)が登壇し、共同通信社の高橋宏一郎編集局次長が進行役を務めた。
シンポジウムは、横浜市の同博物館で9月26日まで開催中の企画展「伝える、寄り添う、守る―『3・11』から10年」に合わせて開かれた。
新聞の役割議論 震災10年シンポ、福島民友新聞社論説委員長ら
福島民友 2021年08月29日
ニュースパーク・日本新聞博物館(横浜市)は28日、同館で開催中の企画展「伝える、寄り添う、守る―『3・11』から10年」に合わせ、福島民友新聞社など地元紙2紙の論説委員会などによるシンポジウムをオンラインで開催した。風評被害対策や、新聞などメディアの役割について議論した。
企画展関連シンポジウムの第2弾として、「福島の伝え方 東京電力福島第1原発事故から10年」をテーマに、福島民友新聞社の高橋満彦論説委員長、福島民報社の紺野正人論説委員会幹事、東京大大学院情報学環准教授の関谷直也氏が登壇し、共同通信社の高橋宏一郎編集局次長が進行役を務めた。
シンポジウムでは、第1原発で発生する処理水の海洋放出方針決定や中間貯蔵施設、風評被害対策などについて意見を交わした。高橋委員長は処理水の海洋放出による風評対策について、「安全性をどれだけ説明しても、安心は理屈ではないことを理解する必要がある。人と人の信頼関係をしっかり構築することが大切だ」と述べた。
関谷氏は「コメの全量全袋検査など、データを積み上げてきたからこそ、県内で理解が進み安心感が生まれている。県外の人たちにも、きちんと事実を伝えていかなければならない」と強調した。
企画展は9月26日までで、震災当時の紙面や特集記事などを展示している。
地方紙の使命、報道を考える
創刊140年を迎えた岐阜新聞社は27日、記念シンポジウム「つたえる、つながる~地方紙の使命と地方創生」を岐阜市で開いた。
パネル討論で、矢島薫社長は、多様なメディアがある中、地方紙が互いに切磋琢磨(せっさたくま)することが重要だと指摘。「これからも地方で生きる人に根差し、地方の物差しでニュースを伝えていく」と強調した。
岩手日報社の東根千万億(あずまねちまお)社長・主筆は、力を入れてきた震災報道に関し「経験した教訓を次の災害に生かす思いで続けていく」とした上で、「各地方紙が得意分野を増やし多様性を広げることが、地方紙全体の存在意義を高める」と語った。
作家の安部龍太郎さんは「地方紙は日本の宝。地域の意見を集めて発表の場を与えることは、地域を支える力になっている」と話した。コーディネーターは岐阜新聞社の国本真志登・統合編集局長が務めた。