ジャーナリストの西谷文和氏さんは「路上のラジオ」を主宰しています。
西谷さんは、定期的に各界の人たちと1時間前後の対談を行いそれを動画のコーナーで公開しています。「路上のラジオ 動画」で検索するとホームページにアクセスできます。
今回 第60回目の対談で、小出裕章さんに「原発事故は終わっていない 脱原発の社会に!」のテーマでインタビューしました。
⇒ 動画URL https://youtu.be/mPJkwKO5JcA 時間1:00
その一部が「路上のラジオ ファンクラブニュース 第8号」に載りましたので紹介します。
対談の全容は上記にアクセスすればお聞きになれます。
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小出先生に聞く その3
再稼働はクレイジー 原発は地震で壊れる
ー原発が地震に弱いというのは、今や常識になりました。例えば福井県の大飯原発は当初405ガルの基準で建てられました。震度6は700ガルなので、もし大飯原発が震度6の地震に襲われていたら、壊れていたということですか?
小出 大飯原発が設置許可を受けた時点では405ガルですから、基本的には壊れていたでしょう。日本では2千、大きいもので4千ガルの地震が起きますから、57機の原発のどれであっても、地震が直撃すれば、例外なく破壊されていたでしょうね。
-大飯原発差し止め判決を出した樋口英明さんの著書「私が原発を止めた理由」によれば、例えば三井ホームの耐震住宅は5115ガル、住友林業でも3406ガルですから、原発よりも三井ホームの方が安全(苦笑)ということですか?
小出 原発は巨大なコンクリートと鋼鉄の塊で、一般住宅と構造が違います。なので単純には比較はできませんが、原発はのべ何10kmもの配管が張りめぐらされています。仮に地震で建屋が壊れなくても配管が破れてしまえぼ、その時点でアウトです。
-美浜原発3号機では2004年に配管が壊れる事故がありましたね。
小出 140度を超える熱湯が降り注いで、作業員5名がお亡くなりに。あれは配管の肉厚が薄くなって破断した事故です。老朽化した配管を一度も点検せずに使い続けた結果です。
-地震ではなく通常運転でも破断する。関西電力の怠慢、根拠なき安全神話の結果ですね。福島第1原発も地震直後、津波に襲われる前にすでに放射能が漏れていた、とか。
小出 漏れていました。津波が決定打になりましたが、例えば1号機は地震で壊れていたと思います。原子炉建屋の5階と4階の間に大型機器搬人口があります。床にコンクリートと鋼鉄で作った頑丈な蓋があり、これは上にだけ開くのですが決して下には開かない。この床板がなくなっているのです。
ーその床板は地震でずれ落ちたのですか?
小出 いいえ、違います。下には落ちないのです。4階にICと呼ばれる冷却装置かあり、これが地震で破損し、炉心を冷やすことができずにメルトダウン。その後4階に水素が溜まって大爆発を起こし、床板が上方向に吹き飛んだのでしょう。
ーメルトダウンすれば核燃料棒を包むジルコニウムが溶けて水素が発生します。1号機の場合はそれが4階に溜まって爆発した、ということですか。
小出 そうです。3号機は5階で爆発していますが、1号機は4階で爆発し、さらに5階でも爆発したのです。
―「福島老朽原発を考える会」通称フクロウの会という市民団体が、地震の前からフクイチの危険性を指摘していました。こうした市民の声を無視し、事故を招いた東電の責任は重大です。やはり老朽化した原発は危ないのですね?
小出 原発は巨大な機械です。どんな機械も古くなればくたびれてきます。例えば原発の固定資産税は16年で切れます。減価償却が16年ということ。
-税の上では「16年で止めろ」ということですね。
小出 長く使い続ければ。その分金儲けができる。極めて危険な機械であっても、「まあなんとかなるだろう」と止めなかったのですね。
ー新設された原発の危険度を1とすれば、40年経った原発の危険度はどれくらいですか?
小出 数字で示すのは難しい(笑)。確かに福島の1号機は40年以上経過していたので、非常に脆かったのですが、例えば米国のスリーマイル原発は建ててからわずか1年、チェルノブイリも一番新しい4号機で事故が起きました。だから老朽化してなくても危険です。
-1970年の大阪万博で「原子の火が灯った」と、福井県から電気が届きました。40年どころか50年以上経ってますね。
小出 敦賀原発から万博に電気が送られて、開催期間中に美浜原発が稼働しました。つまり原発を設計した人、建設した人たちはほどんどこの世にはいません。例えば自動車に10年乗っている人はいると思いますが、20年乗っている人はほとんどいないでしょ?
-よほどのクラッシックカーマニアだけでしようね。
小出 40年も50年も経った機械を動かし続けるというのは、普通はやらない。しかし原子カマフィアたちは平気な顔で再稼働させているのです。 (次号に続く)
「路上のラジオ」 ファンクラブニュース 第8号(全4ページ)PDF版
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