2023年11月27日月曜日

川内原発 運転延長 地元の薩摩川内市はどう対応? 問われる市長の手腕

 20年の運転延長が認可された九電 川内原発は、稼働中の原発が運転延長を認められた初のケースで、立地自治体である薩摩川内市住民への理解浸透と合意形成に向け、手探りの対応を続けています
 県と市、九電で結ぶ安全協定には、運転延長に関する地元同意は含まれないため、田中市長は運転延長の明文化に否定的な見解を示す一方、「行政の執行責任がある」として延長に関する総合的な判断を表明するとしています
 同市は10月以降、各地区で計7回の対話集会を実施し、規制庁による審査経過などを説明しました。ただ原発関係の仕事に携わる市民が多く、議論自体が敬遠される実態もありました。田中市長は、陳情を審査する市議会の結論が出るとみられる12月議会中に市の判断を明らかにする見通しです。

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【川内原発 運転延長問題】
地元の薩摩川内市、どう対応? 稼働する原発では全国初の認可、問われる市長の手腕
                          南日本新聞 2023/11/27
 20年の運転延長が認可された九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)を巡り、立地自治体である薩摩川内市の動きが注目されている。稼働中の原発が運転延長を認められるのは初めてで、「川内」の手法が全国の参考となる可能性があるためだ。原子力規制庁は要望があれば住民向けの説明を検討すると言及。市は住民への理解浸透と合意形成に向け、手探りの対応を続ける
 「市民に分かりやすい丁寧な説明を考えているか」。22日、運転延長の審査内容などを報告するために市役所を訪れた規制庁担当者に、田中良二市長が尋ねた。担当者は「地元の要望があれば出向いてしっかり説明をすることは大事」と答えた。
 田中市長は24日の報道陣の取材に対し、規制庁に説明会を要請するかについて明言を避けたが、「規制庁が直接市民に説明する場面は必要」と述べた。
 説明会に対する市民の見方はさまざまだ。運転延長に賛成する同市平佐町の女性(73)は「詳しい審査内容を知らず、安全性には不安がある」と開催を要望する。同市の男性(79)は「延長を前提に手続きが進んでいる印象。アリバイ作りでは」と懐疑的だ。
 市は独自の対応を模索している。住民の安全確保や環境保全などを目的に県と市、九電で結ぶ安全協定には、運転延長に関する地元同意は含まれない。田中市長は運転延長の明文化に否定的な見解を示す一方、「行政の執行責任がある」として延長に関する総合的な判断を表明するとしている。
 市は住民の声を聞こうと10月以降、各地区で計7回の対話集会を実施。運転延長を議題の一つに加え、規制庁による審査経過などを説明した。
 質疑では避難計画の充実などを求める意見が相次いだが、「知り合いもいて、原発の話は出しにくい」との声も聞かれた。原発関係の仕事に携わる市民が多く、議論自体が敬遠される実態も浮かんだ。
 田中市長は、陳情を審査する市議会の結論が出るとみられる12月議会中に市の判断を明らかにする見通しだ。地元同意が求められない中で進められてきた運転延長手続き。立地自治体としてどう関わり、住民の不安払拭のために存在感を示すのか。手腕が問われている。