11日に東京都品川区主催で開催予定だった「男女共同参画推進フォーラム2023」が急きょ中止されることが分かりました。
区は講演する予定だった女性学研究家の田嶋陽子さん(82)がテレビ番組で、福島第1原発のアルプス処理水海洋放出を巡って不適当な発言をしたためとしていますが、それに対し区民有志が、中止決定は憲法21条で定められる表現の自由に抵触するとして、中止の撤回を求める要請書を出すなど物議を醸しています。
田嶋さんは9月24日放送の「そこまで言って委員会NP」に出演した際、海洋放出について「魚の形態が変わってくるんじゃないのか」、IAEAの関係者についても「来た人だって顔色悪かったじゃん」「全然元気なくて、こんなになってた」などと話したということで、かなりいい加減な発言ではありました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
田嶋陽子さんの講演を品川区が中止決める 原発処理水巡る発言を受けて「混乱を避けるため」 有志が撤回要請
東京新聞 2023年11月8日
11日に東京都品川区内で開催される予定だった「男女共同参画推進フォーラム2023」が急きょ中止されることが分かった。主催する区は、講演する予定だった女性学研究家の田嶋陽子さん(82)がテレビ番組で、東京電力福島第1原発の処理水放出を巡って不適当な発言をしたためとしている。これに対し区民有志が、中止決定は憲法21条で定められる表現の自由に抵触するとして、中止の撤回を求める要請書を出すなど物議を醸している。(奥村圭吾)
◆「人権尊重都市」30周年の記念行事
フォーラムは、人権を尊重する区政の推進を誓った「人権尊重都市品川宣言」から30周年を記念して総合区民会館で開かれ、田嶋さんが「みんなの当たり前ってなんだろう?~偏見の壁を越えて 一人一人が輝ける社会へ~」と題して講演する予定だった。
区によると、田嶋さんは9月24日放送の「そこまで言って委員会NP」(読売テレビ、関西地区などで放送)に出演した際、処理水の海洋放出について「魚の形態が変わってくるんじゃないのか」などと発言。調査のために来日した国際原子力機関(IAEA)の関係者についても「来た人だって顔色悪かったじゃん」「全然元気なくて、こんなになってた」などと話し、手を胸の前で垂らす幽霊のようなしぐさをした。
田嶋さんの発言は、交流サイト(SNS)で「風評被害を助長する」などと批判を浴び、読売テレビにも賛否両論が寄せられたという。
◆ホームページでは「諸事情により中止」とだけ
放送3日後に事態を把握した区は、区長、副区長、担当者らで協議した結果、中止を決定した。同29日に委託事業者や田嶋さんのマネジャーを通じて中止の意向を伝え、「了承した」との返事を受け取ったという。
区担当者は本紙の取材に「田嶋さんの思想や発言について侵害する意図はないが、風評被害で傷つく方がいるかもしれない。混乱を避けるため、開催は難しいと判断した」と説明する。
ただし区は同29日、ホームページ上で「諸事情により中止」としか説明せず、区民から問い合わせが相次いでいる。
◆「言論・表現の自由に抵触する」区民が中止に反発
区民有志は今月6日付の文書で「政府の意に沿わない発言をしたことをもって、講師を断るのは言論・表現の自由を否定するものと言わざるをえない」と中止の撤回などを要求。有志の一人でクリニック医院長の松山毅さん(61)は「市民としてなぜ中止になったのか分からず、説明責任や情報公開の点で極めて問題。もし田嶋さんの発言で中止されたのなら、表現の自由にも抵触する」と訴える。
本紙は先月30日、田嶋さんの事務所宛てに質問状を送付したが、6日夕時点で回答は得られていない。
読売テレビ総合広報部は本紙の取材に「田嶋さんの発言とともに、それを否定する他者の見解も同時に紹介し、賛否分かれる多様な意見を取り上げた」とコメントした。
東京電力福島第1原発の処理水海洋放出 原発で発生する汚染水を浄化処理した水に大量の海水を混ぜ、沖合約1キロの海底から放出。8月24日に始まった。主な放出基準は、浄化設備で除去できない放射性物質トリチウムの濃度が国の排水基準の40分の1(1リットル当たり1500ベクレル)未満であること。開始後の海水測定で検出されたトリチウムは、最大で放出基準の70分の1程度。国際原子力機関(IAEA)は7月、「人や環境への放射線の影響は無視できる」との包括報告書を公表した。