2023年11月4日土曜日

川内原発の40年超運転認可/危険で不安定 動かすな

 原子力規制委は1日、定例会合を開き、24年7月、2511月にそれぞれ運転期限の40年を迎える九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の最長20年の運転延長を認可しました。原子炉施設などの経年劣化を考慮しても安全に運転を続けられるとして、委員5人全員が賛成しまし南日本新聞

 なお、基準地震動基準で策定すると最大加速度が従来より1・1(水平)1・4(鉛直)大きくなりました。規制委は「今回の運転延長とは別の手続き」との立場で、この日の会合でも異論は出ませんでした。どういう意味なのか分かりにくい話です。

 しんぶん赤旗は解説記事で、老朽化した原発は、機器や建屋の劣化に加え、設計の古さなどの安全上の問題があり維持にコストがかかり、メンテナンス等で稼働率が低下するので、米国では長期の運転許可を受けた原発でも経営的判断から老朽原発の停止・廃炉が相次いでいると述べ、動かずべきではないと述べました。
 日本は様々な救済措置を講じているのでまだそういう事例はありませんが、古い原発が危険で非効率なことは全く同じで、更に日本が地震国である分 より危険です。
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川内原発の40年超運転認可「しっかり審査した」 規制委員5人全員が賛成 耐震審査は「別の手続き」
                          南日本新聞 2023/11/2
 原子力規制委員会は1日、定例会合を開き、2024年7月、25年11月にそれぞれ運転期限の40年を迎える九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の最長20年の運転延長を認可した。原子炉施設などの経年劣化を考慮しても安全に運転を続けられるとして、委員5人全員が賛成した

 関西電力高浜1、2号機、美浜3号機(いずれも福井県)、日本原子力発電東海第2(茨城県)に続き5、6基目。東京電力福島第1原発事故を受けた新規制基準下で再稼働後に認可されたのは初めて。
 5人全員が出席した会合では、規制委事務局の原子力規制庁が「九電からの申請は技術的な要求事項に適合している」との審査結果を示し、委員から異議は出なかった。会合後の会見で山中伸介委員長は「科学的、技術的な観点からしっかり審査をした」と述べた。

 別の審査で耐震設計を見直し中の川内原発では、基準地震動(耐震設計の目安となる地震の揺れ)を新しく策定したところ、最大加速度が従来より1.1~1.4倍大きくなることが分かっている。規制委は「今回の運転延長とは別の手続き」との立場で、この日の会合でも異論は出なかった。
 九電が今回認可を受けたのは、運転期間を「原則40年、最長60年」と定めた現行制度。5月成立の「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法」では、60年超運転を可能にする新しい枠組みに移行する。九電は25年6月の法施行までに、改めて規制委の審査を受ける必要があるが、現行と大きな変更はなく認められる見通し
 運転延長に向けて九電は21年10月、原子炉容器や格納容器の劣化を調べる特別点検に着手。約1年間の点検結果を踏まえ、22年10月に延長を申請。最終となった今年9月の7回目の技術審査会合で、経年劣化評価や今後の安全への取り組みについて規制委側から「おおむね妥当」との評価を受けていた。
 川内原発を巡っては、県議会が運転延長の是非を問う県民投票条例制定案を10月に否決している。


危険で不安定 動かすな 原発の運転延長認可
                      しんぶん赤旗 2023年11月2日
【解説】九州電力川内原発、2号機は原子力規制委員会が40年超運転を認可した原発としては5、6基目になります。規制委はこれまで事業者が運転期間延長を申請した原発は、全て認可しています。
 岸田政権は今年5月、原発回帰・優遇姿勢を鮮明にして、これまで最長だった60年を超える運転を容認する原子炉規制法などの改悪を成立させました。
 老朽化した原発は、機器や建屋の劣化に加え、設計の古さなどの安全上の問題があります。また、維持にコストがかかり、メンテナンス等で稼働率が低下します。米国では長期の運転許可を受けた原発でも経営的判断から老朽原発の停止・廃炉が相次いでいます
 川内原発は、福島第1原発事故後、最初に規制委の許可を受け2015年に運転を再開しました。この際の基準地震動が比較的低く、このため規制委が21年に未知の震源による基準地震動に関する新たな評価方法を導入したことに伴い、基準地震動が増加する見込みです。これまでに示されている評価では、鉛直方向が約1・4倍、水平方向が約1・1倍になる見込みです。今回の延長認可には基準地震動の新たな評価は取り込まれていないため、再度劣化を踏まえた耐震評価を実施する必要があります
 九管内では玄海原発3、4号機も再稼働しており、最大で4基の原発が稼働。このため、九電は太陽光発電など再エネの出力を抑える出力制御を頻繁に実施しています。出力制御は、再エネ拡大の重大な足かせとなっています。危険で不安定な老朽原発を動かし、再エネを抑制することは、未来に対する誤った選択です。  (「原発」取材班)