2023年5月15日月曜日

15- 関西電力 森社長“小売部門の分社化”などを検討すると

 12日、関西電力の森望社長は「小売部門の分社化」も含めた“発販分離=発電と小売の分離”を検討していく考えを示しました。これは別掲記事の「送配電」を「電力」から独立させることではなく、「電力」の内部で「発電」と「小売り」を分離するという話です。
 従来より一歩前進ではあるのでしょうが ・・・ 
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関西電力 森社長“小売部門の分社化”など「発販分離」を検討する姿勢示す
                          MBSニュース 2023/5/13
 5月12日、関西電力の森望社長は「小売部門の分社化」も含めた“発販分離=発電と小売の分離”を検討していく考えを示しました。関電の事業構造の大転換につながる可能性があります。
 関電の社員らが子会社「関西電力送配電」のシステムを通じて、競合の小売事業者「新電力」の顧客情報を不正に閲覧し、営業活動にも悪用していた問題をめぐり、関電は5月12日、再発防止策などをまとめた「業務改善計画」を国に提出しました。
 それに伴い開いた会見で、関電の森望社長は、不正閲覧など電力の公正な小売競争を揺るがす不祥事が続いている現状を踏まえ、「発販分離(=発電部門と小売部門の分離)も含めた最適な小売電気事業体制の検討を進めていきたい」と発言しました。業務改善計画には「発販分離」に関する具体的な記載はなく、トップ自ら、かなり踏み込んだ発言をした形です。
 関電のグループは現在、「関西電力(発電・小売)/関西電力送配電(送配電)」という構造となっています。森社長は今回、自社の発電部門と小売部門を切り離す可能性を示唆しました。分離の方法としては、「会計分離」などにとどまらず、「法的分離=分社化」の選択肢も排除しないとしています。仮に「発販分離」が実現しても、それがすぐに不祥事撲滅につながるかは不透明です。しかし、発電部門が“同じ会社に属する小売部門を新電力より優遇し、競争をゆがめるリスク”を低減する効果は、一定程度期待できます。他の大手電力のグループでは、東京電力や中部電力のグループですでに、発電・送配電・小売の3部門が完全に分社化されています
 関電の森望社長は「分社化も選択肢の1つだとは思うが、現時点で決めているわけではない」としつつも、「発電事業・小売事業が公正な競争を実現するためにふさわしい体制をどうするか検討していきたい」と述べました。

 不正閲覧をめぐっては、送配電部門と発電・小売部門との資本関係をも解消させる「所有権分離」を求める声も高まっています。今後、関電をはじめとした大手電力会社のグループで、事業構造の転換が様々な形で進んでいく可能性があります。