2023年5月29日月曜日

川内原発延長是非の県民投票せず 鹿児島知事が表明

 九電が最長20年の運転延長を申請した川内原発を巡って、塩田康一鹿児島知事は26日、知事選の公約で条件付きで検討するとしてきた県民投票を実施しない方針を明らかにしました。知事選では県民投票に言及し、脱原発から稼働容認に転じた当時の現職を破った経緯があり、県民投票を求める市民からは「公約違反だ」との声が上がっています

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川内原発延長是非の県民投票せず 鹿児島知事の方針表明に「公約違反だ」と反発も
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 九州電力が原子力規制委員会に最長20年の運転延長を申請した川内原発(鹿児島県薩摩川内市)を巡って、塩田康一知事は26日、知事選の公約で条件付きで検討するとしてきた県民投票を実施しない方針を明らかにした。独自に安全性を検証した県の原子力専門委員会が「適正」と判断したことを受けた。知事選では県民投票に言及し、脱原発から稼働容認に転じた当時の現職を破った経緯があり、県民投票を求める市民からは「公約違反だ」との声が上がっている。
 原発の運転期間は原則40年だが、規制委の審査を経てさらに最長20年延長できる。川内原発は1号機が2024年7月、2号機が25年11月に運転期間が迫っており、九電は昨年10月に延長を申請。現在、規制委の審査が続いている。
 専門委は26日、九電が運転延長のために実施した特別点検や劣化状況の評価を「適正」とする報告書を塩田氏に提出。塩田氏は終了後、報道陣の取材に「(専門家の意見は)集約された」と述べ、県民投票を実施しないことを明言した。
 塩田氏は今後、規制委や九電への要請案を公表し県民から広く意見を募る考え。規制委の審査が終わると見込まれる秋ごろまでに要請書を規制委や九電に提出する方針で、「厳正な対応を求める」と強調した。
 一方、県民投票実施を求めて先月発足した「川内原発20年延長を問う県民投票の会」の向原祥隆事務局長(66)は「信じて投票した県民への裏切りだ」と反発した。(内田完爾)


川内原発の運転延長「県民投票は実施せず」 鹿児島県知事が表明、意見募集へ 専門委から最終報告書、6月に住民説明会
                           南日本新聞 2023/5/27
 原則40年の運転期限が迫る九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の運転延長を巡り、鹿児島県の塩田康一知事は26日、マニフェスト(政策綱領)で「必要に応じて実施する」と掲げていた県民投票を行わない方針を示した。県民の意向を把握するための手段として、原子力規制委員会などに提出する県の要請書案についての意見を募集する。

 運転延長を検証する県原子力専門委員会の地頭薗隆座長は同日、九電の特別点検などを「適正」とまとめた最終報告書を提出。受け取った塩田知事が、その後の報道陣の取材で答えた。県民投票を見送る理由について「おおむね委員会の意見は集約されたと考えている。県民投票で○×を聞くよりは、県民の意見を具体的にしっかり聞いた方がいい」と説明した。
 県は、6月14日に専門委の検証結果に関する住民説明会を薩摩川内市で開くことも公表。同15日から7月14日まで、運転延長を審査する規制委と九電宛ての要請書案に対する意見を募集する。その上で、規制委が審査結論を出す前の夏から秋にかけて要請書を提出する方針。
 専門委は、規制委などに安全性向上を求める要請事項を記した意見書も提出。塩田知事は「報告書と意見書を尊重し、規制委と九電に厳正な対応を要請したい」と述べた。
 塩田知事は県民投票に関して「専門委の意見が集約されない場合に県民の意向を把握する手段として、最も適切と判断した場合に実施する」との見解を示してきた。一部市民団体は県民投票条例制定を目指し、6月初めから署名活動を始める予定。
 川内原発は1号機が2024年7月、2号機が25年11月に運転期限を迎える。九電は22年10月に、20年の運転延長を規制委に申請した。