植草一秀氏は掲題の記事の中で、プレートテクトニクス理論が確立された概要を述べ、日本は4つのプレートの境目に存在する世界で唯一の国であり、巨大地震はプレートの境界線上で発生することが多いので、日本列島のどこでも巨大地震が発生し得ると述べました。
そしてこのことを認識すれば原発(の建設や稼働)に合理性はなく、私たちは巨大地震発生に備えることが必要不可欠だと警告しました。
植草氏は、(5月8日)地震で廃炉避けられぬ志賀原発 の記事の中で、日本全国で最近起きた地震のうち「活断層で起こったものが約半分で、残り半分の地震は活断層と知られていない場所で発生」しているので、活断層の有無で大地震の可能性を予測することは無理であると述べています。誤った根拠で原発の再稼働が決められているということです。
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原発稼働は人道に対する罪
植草一秀の「知られざる真実」 2023年5月11日
近代的世界地図を世界で初めて作成したアブラハム・オルテリウス。
オルテリウス(1527-1598)はアメリカ大陸の東海岸とアフリカ大陸の西海岸の海岸線が似ていることに気付いたと伝えられている。
ドイツの気象学者アルフレッド・ウェゲナーが「大陸移動説」を提唱したのは1912年。
それより50年ほどさかのぼる1858年にフランスの地理学者アントニオ・スナイダー=ペレグリニが、アメリカ大陸とアフリカ大陸がかつて一つの大陸だったことを発表した。
しかし、大陸移動説に対する批判は強かった。
1928年にイギリスの地質学者アーサー・ホームズがマントル対流説の原形となる学説を提唱。
大陸移動説の根拠を提示した。
第二次世界大戦後、古地磁気学と海洋底観測の発展により、ヨーロッパ大陸と北米大陸がかつては一つであったものが2億年前から1億年前の間に大西洋を境に東西に分裂したことが明らかにされた。
その後、プレートテクトニクス理論が確立され、プレート運動の原動力が判明した。
南アメリカ大陸とアフリカ大陸は一つの大陸だったが、2つのプレートの上に乗っていたため、プレートの動きによって離れた。
インドは今よりもずっと南に位置していたがプレートの動きによってユーラシアプレートとぶつかり、ヒマラヤ山脈を形成した。
プレートは大陸を離したり、ヒマラヤ山脈を形成したりするほどのエネルギーを持つ。
そのプレートとプレートの境目で地震が起こる。
日本は4つのプレートの境目に存在する世界で唯一の国。
世界の10分の1以上の地震が日本で発生し、国内に地震の空白地帯はない。
5月5日午後2時42分に石川県珠洲市で震度6強の地震が発生した。
地震の規模を示すマグニチュードは6.5。
石川県珠洲市は2020年から群発地震に見舞われている。
5月5日の地震は一連の群発地震のなかで最大規模のもの。
その後も震度4以上の地震が多数回発生している。
こうしたなかで5月6日午前2時47分に青森県東方沖を震源とする震度4の地震、5月11日午前4時16分に千葉県南部を震源とする震度5強の地震が発生した。
石川県珠洲市はユーラシアプレートと北米プレートの境界に近い。
千葉県南部は北米プレートとフィリピンプレートの境界に近い。
武蔵野学院大学の島村英紀特任教授は千葉県南部を震源とする地震について、フィリピン海プレートの内部で生じた内陸直下型とみられ、規模がさらに大きくなれば、いわゆる首都直下地震の1つになると指摘している。
プレートのゆがみから生じた地震とみられるが、今回の地震でエネルギーを出し切っておらず、大きな揺れに警戒しなければならない、と述べている。
石川県珠洲市を震源とする地震について立命館大学環太平洋文明研究センターの高橋学特任教授は、
「能登地方の地震は太平洋プレートの活発化が大本の原因とみている。」
としている。 https://bit.ly/42sDhk4
千葉県南部を震源とする地震について高橋特任教授は、
「フィリピン海プレートを南から押す力が強いとみられるのが従来の首都圏の地震と異なる点。
太平洋プレートだけでなく、フィリピン海プレートにもかなりひずみがたまっていると推測できる。
関東大震災を起こしたメカニズムに近い。
相模トラフにからむ首都圏や南海トラフ、沖縄方面の琉球海溝の大地震が連動するリスクが高まっている」としている。
2023年は関東大震災から100年にあたる。
世界で唯一、4つのプレートの境界線上に位置する日本。巨大地震はプレートの境界線上で発生することが多い。日本列島のどこでも巨大地震が発生し得る。
辛坊治郎氏が「マスコミも地震学者もいい加減にしろ」と持論を述べたと伝えられている。
辛坊氏は「日本に住んでいる限り、どこでも地震が起きるということを前提にして耐震診断を受けて、耐震補強をしてくださいね、それが死なないためのコツですよと言い続けてきた」と述べた。
珍しく正論を示しているが、このことを認識して対応を決めなければならないのが原発政策。
4つのプレートがぶつかり合っているのが日本の地底、海底である。
原発に合理性はなく、私たちは巨大地震発生に備えることが必要不可欠だ。
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