2023年5月20日土曜日

東電〝2年たつのに改善せず″柏崎刈羽運転禁止継続 規制委

 核物質防護上の重大な不備が相次ぎ、運転禁止命令が出ている柏崎刈羽原発について、原子力規制委が17日、同原発を調査した項目の一部で「是正が図られているとは判断できない」とする検査報告書を了承し、検査継続を決めました。
 報告書は、▽侵入検知器がなどに反応する警報を18年比で10分の1に減らすという目標に到達していない ▽核物質防護について審議する場代理出席者が多い場合に議論が低調-など4項目で「是正が図られているとは判断できない」としています。
 今後も東電に対する検査を続行し、「自律的改善が見込める状態」と判断できるまで運転禁止命令も継続します
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東電〝2年たつのに改善せず″柏崎刈羽運転禁止継続 規制委
                       しんぶん赤旗 2023年5月18日
 不正侵入を検知する設備の損傷など核物質防護上の重大な不備が相次ぎ、運転禁止命令が出ている東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)。原子力規制委員会が17日、同原発を調査した項目の一部で「是正が図られているとは判断できない」とする検査報告書を了承し、検査継続を決めました
 不祥事を受け、規制委の事務局である原子刀規制庁に追加検査チームが設置されたのは2021年4月。今年4月まで、事実関係の調査や東電の改善措置の状況をハード面とソフト面で確認する検査を行いました。
 検査に必要な時間を当初のべ約2000間としていましたが、3475時間かかっています。
 報告書は不祥事が全社的な問題かどうかについて「柏崎刈羽原発固有の問題」と判断。
 設備の損傷問題については、全社的なコストダウン活動の一環として行われた「カイゼン活動」との関連を指摘。核物質防護設備をリリースから買い取りに切り替えた際、保守管理を担当する協力会社から設備の機能喪失時の復旧が遅れるとの懸念があったもかかわらず、懸念に対する検討をしなかたなどとしました。ただ、同じ時期の他の6件の「カイゼン活動」対象事業についでは「不適切なコストダウンの指示」などの「形跡はなかったとしています。
 報告書は、▽侵入検知器がなどに反応する警報を18年比で10分の1に減らすという目標に到達していない ▽核物質防護について審議する場代理出席者が多い場合に議論が低調-など4項目で「是正が図られているとは判断できない」としています

原発勤かす資格ない 新潟大学名誉教授 立石雅昭さん
 検査継続は当然だと思います。しかし、柏崎刈羽原発の運転禁止命令が出てからすでに2年です。命令が出た時もそうですが、それから2年たっても十分に改善の対応ができないということ自体、東電に危険な原発を動かす能力・資格があるのかどうかが問われる問題です。能力も資格もないことを改めて示しているのです。そのことを政府も経済産業省も、規制委も認識するべきです。
 同原発を抱える柏崎市や新潟県がこの事態を受けてどう発信するのか。私は、県民、市民を守る立場に立つなら、東電に即、廃炉を決めろというべきだと思います。
 問題は非常に深刻です。原発を扱う上で最も基本的な核物質防護の意識の低さや対応のひどさが、はっきりしたのですから、検査継続にとどまらず、東電に原発を動かす資格がないことをよく考える必要があります。

          柏崎刈羽涼発の核物質防護などめぐる動き

 2017年12月 6、7号機 新規制基準「合格」
   20年  9月 他人のIDカードで中央制御室に不正侵入
   21年  1月 基準に基づく「安全」対策工事完了と発表その後、工事の「未完了」
         や工事の不備相次
       同 侵入検知の設備の故障が判明。機能喪失は最良11カ

      4月 規制委が運転禁止命令



東電柏崎刈羽原発の早期再稼働困難に 規制委、運転禁止解除せず テロ対策で改善必要
                           東京新聞 2023//05/17
 原子力規制委員会は17日の定例会合で、テロ対策の不備で東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)に出している事実上の運転禁止命令について、再発防止が不十分として解除しないことを決めた東電に対する検査を続行し、「自律的改善が見込める状態」と判断できるまで運転禁止命令も継続する。政府は今夏以降の再稼働を目指す方針だが、困難になった。(小野沢健太)
 柏崎刈羽原発のテロ対策不備
 2020年3月以降、侵入検知装置が多数故障し、代わりの対策も不十分で侵入を検知できない状態が最長で1年近く続いた。11年3月の福島第一原発事故後の経営悪化によるテロ対策費の削減などが要因。20年9月には男性社員が同僚のIDカードを無断で使い、原発の心臓部である中央制御室に不正入室した。規制委は21年4月、原発内の核燃料の移動禁止を命令した。
 定例会合では、規制委事務局が東電の再発防止策に対する検査結果を報告。設備面と運用面で抽出された27項目の課題のうち、大雪や強風などの荒天時の監視体制や、組織内の情報共有など4項目については改善が不十分で、検査を続ける必要があるとした。残りの23項目は改善されたと判断した。

 委員5人は全員一致で運転禁止命令と検査の継続を決定。近く東電の小早川智明社長を呼び、今後の対応について聴取する。
 規制委は命令を出した2021年4月以降、2年以上にわたって延べ約3500時間の検査を実施。今後は4項目について東電の改善報告を受けた後、妥当かどうかを検査で確かめる。定例会合後の記者会見で、山中伸介委員長は命令解除を判断する時期について「東電の取り組み次第だが、1〜2カ月ほどで解決できるとは思っていない」と述べた。
 東電は7号機を今年10月、6号機を25年4月に再稼働する前提で電気料金の値上げ幅を算定したが、早期再稼働は難しく、収支計画の見直しを迫られる。

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