2023年10月23日月曜日

原発運転巡る請求で県民投票制度が機能していない 全国の議会で否決相次ぐ 

 九州電力川内原発12号機の運転延長の是非を問う県民投票条例制定案を審議する鹿児島県議会臨時会は23日に開会します。
 福島原発事故以降、原発再稼働に関する県民投票を求める動きが全国で起きていますが、国策」などを理由に議会で県民投票自体を否決されるケースが相次いでいます。
 武田真一郎成蹊大教授は、「国策だから県民投票をしないというのは理由にならない。国と地方は対等。原発も地元の理解を得ないで進めていいわけではない」「県民投票は政策に反対するための制度ではない。住民が賛否双方の声を聞き、自らの意見を形成して政治に反映させる制度だと理解してほしい」と語りました
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「県民投票の制度 機能していない」 原発巡る請求、全国の議会で否決相次ぐ 鹿児島県議会、23日から審議
                           南日本新聞 2023/10/22
 九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の運転延長の是非を問う県民投票条例制定案を審議する鹿児島県議会臨時会は23日に開会する。2011年の東京電力福島第1原発事故以降、原発再稼働に関する県民投票を求める動きが全国で起きているが、「国策」などを理由に議会で否決されるケースが相次ぐ。識者は「住民の意思を政治に反映させるのが県民投票。その意義が問われている」と指摘する。
 「川内原発の運転延長は将来を生きる若い世代の問題。リスクを負うのは住民だから国や事業者任せにしたくない」。4万6112人の有効署名を集め、県民投票条例制定を本請求した市民団体「川内原発20年延長を問う県民投票の会」の鮫島亮二さん(46)は、街頭や集会で繰り返し訴えてきた。
 住民が意思を示す手段として認められる直接請求は、選挙によって選ばれた代表が政治を行う間接民主主義を補完する制度。ただハードルは高い。全国では宮城や茨城、新潟などの住民が原発再稼働の是非を問う県民投票を直接請求したが、いずれも議会が否決した。
 「国策である再稼働の是非は国が責任を持って判断するべきだ」「賛否の二者択一では、県民の意思が反映できない」-。各議会では、原発政策は県民投票になじまないとする判断が目立つ。
 日本原子力発電東海第2原発(茨城県)がある「いばらき原発県民投票の会」は20年に県議会に否決され、現在2度目の請求準備を進める。同会の富岡彰事務局長(69)は「否決理由はどれも納得できず、結論ありきの印象。県民投票の制度自体が機能していない」と語る。
 住民投票に詳しい成蹊大学の武田真一郎教授(行政法)は「国策だから県民投票をしないというのは理由にならない。国と地方は対等。原発も地元の理解を得ないで進めていいわけではない」と指摘。その上で「県民投票は政策に反対するための制度ではない。住民が賛否双方の声を聞き、自らの意見を形成して政治に反映させる制度だと理解してほしい」と話した。