2024年2月24日土曜日

原発避難に不安…「このままの計画では避難できない」と県内30市町村長ら

 再稼働に向けた動きが進む柏崎刈羽原発について、新潟県長岡市では23日、原子力規制庁や内閣府などが県内30市町村の首長に対して説明会(研究会とも)を開きました。

 首長らからは、「避難計画そのものの見直しというのも場合によっては出てくると思っている」「能登半島地震での対応全体を見てみると生命を救うための72時間どころか1週間経っても救出の動きが出てこずに多数の人命が失われた」、「大雪の下 地震で道路が壊れるのと並行して原発が損傷した場合、孤立集落をどうやって救出するのか」、「このままの避難計画では避難できないし、屋内退避もできないことが明らかになった」「こうした認識を共有できるいい機会になった」などの声が上がりました。
 原子力規制庁、規制委、県はこれらの指摘について真剣に対応すべきです。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
原発避難に不安…内閣府などが新潟県内30市町村長に説明も「このままの計画では避難できない」
                       新潟総合テレビNST 2024/2/23
原子力規制庁が出していた事実上の運転禁止命令が解除されるなど再稼働に向けた動きが進む柏崎刈羽原発。新潟県長岡市では23日、原子力規制庁や内閣府などが県内30市町村の首長に対して説明会を開きました

【長岡市・磯田達伸市長】
避難計画そのものの見直しというのも場合によっては出てくるかなと思っている」
県内30市町村の首長を集めた説明会では、まず原子力規制庁が事実上の運転禁止命令の解除や東電の適格性に問題はないとした判断について説明。参加した首長からは軽微だとしても問題が頻発している東電への県民の不信感はなくなっていないなどとする意見が相次ぎました。
一方、内閣府は、原発おおむね30km圏内のUPZでの原子力災害を含む複合災害が発生した時の対応について説明しました。

内閣府の担当者
「安全に避難できる準備を整えてから動くようにそうしないと福島のときには多くの犠牲者を出してしまったと…」
急を要する場合には最終的には自衛隊などの実動組織が救助に向かうとしていますが…
長岡市・磯田達伸市長
「実際に能登半島地震があって、その動き全体を見てみると生命を救うための72時間どころか1週間2週間経ってもなかなか(救出の)動きが出てこない中で本当に多くの方が亡くなったり苦しんでおられる
上越市・中川幹太市長
孤立集落が複数出たときに大雪で地震で道路が壊れて原子力発電所が壊れる。これが同時に起こると孤立した人たちを誰がどうやって救うんだと」
ハード面での再稼働に向けた動きが進む一方で、能登半島地震をへて見えた避難の難しさ。
長岡市・磯田達伸市長
このままの避難計画では避難できない屋内退避もできないことが明らかになった。その認識を共有できたいい機会になった


新潟県内の首長、能登半島地震を受けて柏崎刈羽原発に不安の声 研究会で発言
                                 産経新聞 2024/2/23
再稼働を目指す東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の安全性を確認し、重大事故時の避難方法について研究する、新潟県内全30市町村で構成する研究会が23日、同県長岡市内で開かれた。出席した首長からは、能登半島地震クラスの巨大地震が起きた場合の同原発の安全性や、不祥事が相次ぐ東電を不安視する声が相次いだ

研究会には、同市の磯田達伸市長新潟市の中原八一市長らのほか、原子力規制庁や内閣府、県の担当者も出席。合計約60人が参加した。
燕市の鈴木力市長は、原子力規制員会が昨年12月、東電への事実上の運転禁止命令を解除した際、「東電にお墨付きを与えたわけではない」との発言があったことに触れ、「そのような東電が再び事故を起こしたら、その責任はどうなるのか」とただした。
規制庁の武山松次検査監督総括課長は「われわれは引き続き東電を監視していかなくてはいけない。規制をきちんとできなかったことによって同原発で事故が起きたら、規制庁にも責任がある」と答えた。
また、磯田市長は、能登半島地震を受けた規制庁の対応について質問。武山氏は「同地震から新しい知見を求め、(原子力規制に)織り込んでいきたい」とした。
中原市長は、同地震により道路が寸断された事例を取り上げ、県内の広域避難に使う道路の強靭(きょうじん)化を国に求めた。内閣府の森下泰審議官(原子力防災担当)は「新潟県からそのような話が来たら、国土交通省など関係省庁と連携してやっていきたい」と述べた。
会では、同原発の再稼働の是非について議論を進める新潟県の花角英世知事に対しても、慎重な対応を求める意見が出た。鈴木市長は「まだ再稼働の是非を議論する段階にはない。知事は国や東電の責任を徹底的に問うべきだ」と訴えた。