2024年2月21日水曜日

東電に「計画違反疑い」 福島第1原発汚染水漏れで規制委指摘

 福島第1原発で汚染水の浄化設備がある建屋の排気口から総量220億ベクレルの汚水5・5トン漏えいした問題で、東電は19日、建屋付近で水が染み込んだ恐れのある土壌約30立方メートルを回収し終えたと発表しました。

 汚染水の全量がそこに留まっていたという保証はありません。原子力規制委は今後、法律に基づき廃炉作業の手順を定めた実施計画に違反するかどうか判断するということです。
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東京電力に「計画違反疑い」 福島第1原発汚染水漏れで規制委指摘
                          福島民友新聞 2024/2/20
 東京電力福島第1原発で汚染水の浄化設備がある建屋の排気口から放射性物質を含む水が漏えいした問題で、東電は19日、建屋付近で水が染み込んだ恐れのある土壌約30立方メートルを回収し終えたと発表した。東電は漏えいの原因を弁の開閉操作の人為ミスとしており、原子力規制委員会は今後、法律に基づき廃炉作業の手順を定めた実施計画に違反するかどうか判断する。
 規制委の特定原子力施設監視・評価検討会で東電が一連の経過を説明した。規制委の伴信彦委員は「実施計画違反の疑いがある」とした上で「原因や改善策の確認後に判断するが、東電はそれを待たず再発防止に努めてほしい」と求めた。

 東電によると、建屋付近の地表面やボーリング調査で地中に水が染み込んだ範囲を確認し、18日に回収作業を終えた。回収した土壌は構内に保管された。規制委側は汚染範囲を特定し、可能な限り土壌を回収するよう東電に指示していた。
 東電によると、漏えいは7日午前に発生。建屋内で汚染水処理装置の配管を洗浄中、閉めておくべき16カ所の弁のうち10カ所が開いており、推計で放射性物質約66億ベクレルを含む約1.5トンの水が配管を通じて建屋脇に漏れ出た。東電は、作業手順書に定める確認作業が正確に行われない人為ミスが原因だったとしている。
 規制委の会合では、有識者が「(弁が開いているのを)人間が見落としてもAI(人工知能)が見つけるような仕組みを」と作業工程で人為ミスを防ぐための監視システムの構築を求めた。大熊町商工会の蜂須賀礼子会長は「(処理水の)海洋放出が世界から注目されているにもかかわらず、こうしたトラブルが起きて残念だ」との懸念を示し「(弁の開閉の確認に東電社員が)立ち会えば防げたのではないか」と指摘した。

 東電福島第1廃炉推進カンパニーの小野明最高責任者は「昨年10月の作業員の身体汚染に続き、立て続けに地域や社会に不安を与えるトラブルを起こし、深くおわびする。重大な事態と捉えており、原因の徹底究明と再発防止に全力を挙げる」と陳謝した。