2024年2月17日土曜日

原発事故の際の屋内退避 外部専門家を入れて見直しへ 原子力規制委

 原子力規制委は14の定例会議で、原発事故の際に行う屋内退避について、現行指針の見直しを議論する専門家検討会を設置することを決めました。今年度内にも人選を進め、約1年かけて結論を取りまとめます。

 規制委は現行指針は有効ということに拘っていて、論点を△対象範囲と実施期間、△想定すべき事故の進展、△解除や避難、一時避難への切り替えの判断 等に絞ろうとしています。しかし能登半島地震の現実に即して屋内退避が本当に可能なのかどうかから検討する必要があります。
 14日に内閣府が「地震災害と原発事故が同時に発生した際の避難計画」を柏崎市議会の全員協議会で説明しましたが、市議や住民からは「地震と原発事故が重なったら屋内退避はできるのか」などの厳しい質問が出されました。
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原発の災害対策指針見直しへ 屋内退避の検討チーム設置 規制委
                             毎日新聞 2024/2/14
 原子力規制委員会は14日の定例会で、住民避難や被ばく防護を定める原子力災害対策指針(原災指針)を見直す検討を始めた。能登半島地震を受け、自然災害と原発事故が同時に起きる複合災害時の「屋内退避」の期間や範囲などが対象。外部の専門家を含めた検討チームを設置し、来年3月までに報告書をまとめる。
  【図で分かる】東海第2原発で事故が起きたら… 放射性物質の拡散予測
 原災指針では、原発事故時には5キロ圏内の住民には圏外避難、5~30キロ圏内の住民には原則として屋内退避を求めているが、屋内退避の期間に明確な規定はない。

 この日の定例会では、被ばく防護における屋内退避の有効性や必要性は変わらないものの「長期にわたる継続が困難で、恒久的な措置ではない」とし、いずれかの時点で解除や避難に切り替える必要があるとした。委員からも「(被ばく防護には)基本的に避難と屋内防護しかないので、組み合わせて効果をどう最大限にするのか議論すべきだ」(伴信彦委員)といった意見が出た。
 検討チームでは、屋内退避を最も効果的に運用するため、
   対象範囲と実施期間
   想定すべき事故の進展
   解除や避難、一時避難への切り替えの判断
 の三つを検討する。例えば、事故の進展に応じて5キロ圏内と5~30キロ圏内という範囲をさらに区切り、屋内退避から避難に段階的に切り替えられるかなどを検討する方向だ。
                                   【土谷純一】


専門家検討会で議論へ 原発事故時の屋内退避見直し 規制委
                             時事通信 2024/2/14
 原子力規制委員会は14日の定例会合で、原発事故時の屋内退避に関する現行指針の見直しを議論する専門家検討会を設置することを決めた。
 今年度内にも人選を進め、約1年かけて結論を取りまとめる
 規制委は、東京電力福島第1原発事故後に避難の在り方を定めた原子力災害対策指針を策定。重大事故時には5~30キロ圏内の住民に被ばくを避けるための屋内退避を求めているが、能登半島地震で北陸電力志賀原発の周辺地域で家屋倒壊や集落の孤立が相次いだことを踏まえ、見直しの方針を示していた。


地震と原発事故が重なったら「屋内退避」はできるのか? 内閣府の避難計画に住民からも市議からも不安の声相次ぐ
                         BSN新潟放送 2024/2/15
地震と原発事故が重なったら「屋内退避」はできるのか?
新潟県の柏崎市議や柏崎刈羽原発の立地地域の住民らが、『避難計画』に関する不安を内閣府にぶつけました
【柏崎市 持田繁義市議】
「もっともっと皆さん研究して頂いて、次また来てください。こうして原子力防災計画を許可する立場に立って説明に来てください」

14日に内閣府は、地震災害と原発事故が同時に発生した際の避難計画を柏崎市議会の全員協議会で説明しましたが、担当者は厳しい非難を受けていました。
【内閣府 根木桂三参事官】
「海路の避難や空路の避難、それも難しい場合は屋内退避の継続…」
この説明に対しても市議からは厳しい声がかけられました。
【柏崎市 持田繁義市議】
能登半島地震では、屋内退避は基本的にできなかったでしょ?」
【柏崎市 真貝維義市議】
屋内退避をする際には耐震化って大事だと思うんですよね。まず自然災害に強いってベースがあって、その上に原子力防災が乗っからなければいけない
内閣府の担当者は、能登半島地震の教訓も踏まえて避難計画を検討していきたいと答えました。
同じ日に柏崎市で行われた住民説明会でも、屋内退避に関する不安の声が市民から上がりました。
【参加者】
自宅が地震で潰れる恐れがあるって時には自宅退避はできないですよね?その時には、放射性物質がそばにきているそういう時には、どうなるのでしょうか…」
【内閣府 根木桂三参事官】
「自宅の屋内退避が難しい場合は、近隣の指定の避難所に避難して頂いて、そこで屋内退避をしていただくと…」

元日に発生した能登半島地震では、石川県にある志賀原発周辺の家屋は倒壊し、道路の寸断も多発していました。
これを受けて原子力規制委員会は14日、事故時の住民避難や被ばくを防ぐ対策をまとめた『原子力災害対策指針』を見直す議論を始めています。
屋内退避をする期間や避難に切り替える判断基準などを論点とし、自治体・専門家・内閣府などを交えた検討チームを設置して、2025年3月までに結果を取りまとめるとしています。