北陸電力志賀原発では、能登半島地震の影響で変圧器の油漏れや送電線の破損などトラブルが相次ぎました。
震源の断層長さは計画時は96キロを想定しましたが、地震調査委員会は長さ150キロ程度の範囲で活断層が連動したと評価しました。断層の長さが増えれば基準地震動は大きくなるので装置の耐震性をすべて見直す必要があります。
肝心の避難道路は数十か所(80か所とも)に渡り寸断し1ヶ月が経ってもまだ一部しか復旧していません。この点からも原発事故と地震が重なれば避難が出来ないことは明らかです。発電所は防潮堤で保護されていても、周辺の住民は津波に襲われる恐れがあるし、何よりも陸路の損壊で避難が出来ないので、原発事故と地震(家屋や道路の損壊)そして津波が重なれば対処のしようがありません。
規制委は検討に数年かかるととしていますが、解決策があるとはとても思われません。原発の再稼働は断念するしかないと思われます。
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志賀原発、相次いだトラブル 変圧器故障、情報混乱も 審査の長期化、不可避・能登半島地震
時事通信 2024/2/1
北陸電力志賀原発(石川県志賀町)では、能登半島地震の影響で変圧器の油漏れや送電線の破損などトラブルが相次いだ。
【能登半島地震】空から見た被害状況
地震の揺れは同社の想定を一部上回り、活断層の連動も広範囲だった可能性が指摘されている。再稼働を目指す2号機は現在、原子力規制委員会が審査中だが、長期化は避けられない見通しだ。
志賀原発は1、2号機ともに2011年3月から停止中。使用済み燃料プールにある計1657体の核燃料は、外部電源で冷却されている。
地震の揺れにより、1、2号機の外部電源を受けるための変圧器が1台ずつ油漏れを起こすなどして機能を停止。送電線にも損傷が見つかった。核燃料の冷却や外部への放射能の影響は出ていないが、現在も5系統の外部電源のうち2系統が使えない状況が続いている。北陸電は詳細な点検を進めているが、復旧には、少なくとも半年以上かかる見通しだ。
政府の地震調査委員会は震源断層について、長さ150キロ程度の範囲で活断層が連動したと評価した。一方、北陸電が規制委の審査会合で示した評価は96キロと短く、今後の審査で見直しを迫られる可能性もある。
また、今回観測された揺れの加速度は、旧原子力安全・保安院当時の想定を一部で上回った。ただ、現在規制委で審査中の同社の新たな想定は下回っているという。
情報公開の混乱も目立った。地震当日には、変圧器について、一時「火災が発生」と誤った情報が伝わった。当初「津波はない」と発表していたが、2日夜に「3メートルの水位上昇があった」と変更。変圧器からの油漏れ総量も見積もりが甘く、後に5倍以上に増えた。
山中伸介委員長は、一連の北陸電の対応について「火災などの情報発信は不十分で、努力していただかないといけない」と指摘。2号機の審査については、国などによる地震の調査結果を待つ必要があるとして「年単位以上の時間がかかるだろう」と述べた