2016年2月28日日曜日

泉田知事が4選出馬の意向を表明

 泉田裕彦新潟県知事(53)は26日の県議会で、3期目の任期満了に伴う今秋の知事選について「いま一度県民の皆さまに信を問いたい」と述べ、4選を目指して出馬する意向を表明しました。
 
 最大の焦点となるのは、東電柏崎刈羽原発の再稼働問題へのスタンスで、知事はこれまで「福島事故の検証と総括がなければ、再稼働の議論はしない」という趣旨の発言を繰り返してきました。
 しかし26日の県議会で自民党の県議の質問に答える形で、柏崎刈羽原発の再稼働問題について、「再稼働の議論ができないとはこれまでも言っていない」「観念的に脱原発と申し上げたことはない」と述べました。
 
 知事は確かにこれまでも明確に脱原発的な発言をしたことは一度もありませんでした。
 知事選の帰趨とその後の対応が注目されます。
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泉田知事、4選出馬の意向表明 県議会定例会本会議
新潟日報 2016年2月27日
 泉田裕彦知事(53)は26日午前の県議会2月定例会本会議で、3期目の任期満了に伴う今秋の知事選について「いま一度県民の皆さまに信を問いたい」と述べ、4選を目指して出馬する意向を表明した。初当選時から知事を推薦する県議会最大会派の自民党は知事選への対応を「白紙」としており、今後は自民党の動向が焦点となる。
 
 自民党の代表質問で小野峯生県議に知事選への対応を問われた泉田氏は、県政運営の成果として魚沼地域の医療再編などを挙げた上で、「政策の方向性について多くの皆さまの声に耳を傾けながら、信頼され、愛される県庁を基本理念として前進したい」と話した。
 また焦点東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題について、「再稼働の議論ができないとはこれまでも言っていない」「観念的に脱原発と申し上げたことはない」と述べた。
 泉田氏はこれまで4期目の対応について明らかにせず、後援会幹部らと話し合ってきた。
 泉田氏は加茂市出身。京大法学部を卒業後、1987年に通商産業省(現経済産業省)に入省。2004年10月の知事選で初当選し、現在3期目。
 秋の知事選への出馬表明は泉田氏が初めて。
 本県の戦後の知事で4選したのは故・君健男氏だけ。君氏は病気のため、4期目の任期途中で辞任している。
 
 
(社説)泉田氏出馬意向 原発へのスタンスが焦点
新潟日報 2016年2月27日
 泉田裕彦知事は、今秋の知事選に4選を目指して出馬する意向を表明した。
 県議会2月定例会本会議で、最大会派である自民党などの代表質問に産業政策や医療、教育といった成果を挙げ「いま一度県民の皆さまに信を問いたい」と答えた。
 
 最大の焦点となるのは、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題へのスタンスだ。
 現在、福島第1原発事故を教訓に定めた新規制基準に適合しているかどうか、原子力規制委員会の審査が続いている。知事選より前に一定の結論が出る見通しだ。
 知事はこれまで「福島事故の検証と総括がなければ、再稼働の議論はしない」という趣旨の発言を繰り返してきた。
 福島事故をめぐっては近く、東電の旧経営陣3人が業務上過失致死傷罪で、強制起訴される見込みだ。東日本大震災に伴って起きた巨大津波を具体的に予測できたかどうかが、これから裁判で争われることになる。
 東電が、事故当時の社内マニュアルに明記してあった「炉心溶融(メルトダウン)」の判断基準を5年間見過ごしていたことも明らかになったばかりだ。
 なぜ、福島事故で活用されない事態に陥ったのか、東電は第三者を交えた調査に乗りだす。
 福島事故をめぐる検証はまだ道半ばといえる。
 
 ところが、同じ代表質問の中で知事は「再稼働の議論ができないとは、これまでも言っていない」「観念的に脱原発と申し上げたことはない」と述べた。
 とりわけ、再稼働の議論についての答弁は、従来の姿勢からの転換と言っていい。過去の発言との整合性が問われることになろう。
 一方で、政府が世界最高水準としている新規制基準について「世界最高水準ではない」と、1月の会見で批判している。
 原発や再稼働への考え方が分かりづらいとの指摘も出てこよう。県民にもっと分かりやすく、丁寧に説明し、政策の選択肢として示す必要があるのではないか。
 
 焦点はまだある。選挙や県政運営で最大の後ろ盾となってきた自民党の動向だ。
 本紙が昨年12月、全県議を対象に実施したアンケートで、自民党議員の半数近くが4選に「不支持」の意思を示した。
 「多選の弊害」とともに不支持の理由とみられるのが、福島事故の検証と総括が先との姿勢を取り続けてきた知事の態度だ。
 自民党側の厳しい受け止め方は、詰問口調だった代表質問にも見て取れる。
 質問では「審査で適合が認められ、安全と安心が確保されたものは再稼働を行うべきだ」などと、党の考えをあらためて強調する場面があった。
 再稼働に関する知事の答弁は、こうした自民党の動きや意向を踏まえて、「軌道修正」を図った可能性もある。
 自民党は知事選への対応を「白紙」としている。原発再稼働を軸にした知事、自民党双方の動きを注視したい。