トリチウムは水素原子の核に中性子が2個飛び込んで放射能化されたものですが、これで水を構成したものは通常の水と化学的にも物理的にも異ならないので分離除去することは不可能です。
北海道電力泊原発など全国の他の原発では、発生したトリチウムは海に放出しています。泊原発では、過去25年間で計570兆ベクレルを放出しました(3基当たりの年間許容量は120兆ベクレル)。トリチウムはストロンチウムのように骨などに取り込まれるということはありませんが、体内に水として存在する間はβ崩壊による内部被曝を起こします。
福島原発でも事故を起すまでは隠然と放出されていました。このように原発が稼動している間は、国民には殆ど知らされないままに自然界を放射能で汚し続けます。
原発以外の例えば六ヶ所村の核燃料再処理場からは、もっと強烈な放射性物質が大量に海に放出される計画になっています。
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福島原発1、2号機護岸側の観測用井戸の地下水から、放射性セシウム26万4千ベクレル(1リットル当たり)が検出されました。過去最高値です。
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福島第1で大量貯蔵のトリチウム 泊原発は海に放出
過去25年で計570兆ベクレル
北海道新聞 2014年10月19日
東京電力福島第1原発の汚染水に含まれる放射性物質のうち、処理装置で除去できない放射性物質トリチウム(三重水素)について、同原発では地元の反発を受け膨大な量が現地に貯蔵されているが、北海道電力泊原発(後志管内泊村)など全国の他の原発では、発生した同物質は海に放出されてきた。他の放射性物質に比べ人体に影響が小さいとして国は一定量の海洋放出を認めているものの、放出量は泊原発で過去25年間で計570兆ベクレル。福島で放出が控えられる中、専門家の中にはこれまでの大量放出を問題視する声もある。
トリチウムは国内すべての原発で運転中に発生する。北電によると、泊原発では1号機が運転を始めた1989年度以降、毎年トリチウムを日本海に放出している。3号機が運転開始した2009年度は30兆ベクレル、11年度は最多の38兆ベクレルを出した。運転停止に伴い12年度は8兆7千億ベクレル、13年度は5700億ベクレルに減少している。
泊など加圧水型原子炉では、福島第1など沸騰水型と比べてトリチウムが多く出される。このため泊3基が海に放出できる上限(管理基準値)は年間120兆ベクレルに設定され、福島第1の6基の上限、年間22兆ベクレルを大きく上回る。
北電などは、これまでのトリチウムの放出について「管理基準値を十分下回っており、健康にも環境にも影響はない」などとしている。一方で、北海道がんセンターの西尾正道名誉院長は「水の形で体内に取り込まれたトリチウムは内部被ばくの原因になり、影響がないとは言い切れない」と反論している。
福島第1、護岸の地下水でセシウム最高値更新
共同通信 2014年10月18日
東京電力は18日までに、福島第1原子力発電所1、2号機海側の護岸にある観測用井戸の地下水から、放射性セシウムが1リットル当たり26万4千ベクレルの濃度で検出されたと発表した。護岸の井戸では15日に採取した水の25万4千ベクレルを上回り、過去最高値を更新した。
地下水は16日に採取された。13日の採取分以降、最高値の更新が続いている。この井戸は原発事故の直後に高濃度汚染水が漏れたトレンチ(電源ケーブルなどが通る地下道)の近くにあり、東電は台風18、19号の降雨の影響で汚染水が拡散したとみている。